JP3985594B2 - 導光路の位置決め固定方法および光伝送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光信号を伝播する導光路の位置決め固定方法および光伝送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、導光路の一端に複数の段差を階段状に設けるように形成し、導光路の他端に、入出射部から入射された信号光を複数の入出射部を含む領域に反射する反射部を設け、複数の入出射部の端部が斜めに切断された形状とし、受光素子及び発光素子を1つの入出射部の投影面内にそれぞれ1つずつ配置する、という光信号伝達装置が提案されている(例えば特開2002−62457公報)。
【0003】
図1は、この種の光伝送装置の一例を示す図である。図1に示すように、光伝送装置10は、直方体形状の一端に傾斜面11を有する階段状の段差部12が形成され、他端に光信号のミキシング部3が形成された導光路1を有する。ミキシング部3の端面には光反射部2が配置されている。段差部12における傾斜面11(本例では、45度面)の導光路平面への投影面が光信号の入出射部13とされる。この入出射部13は、導光路1の上面方向に配置される図示しない発光素子または受光素子と光学的に結合可能とされている。
【0004】
このような光伝送装置10において、ある広がり角を有する発光素子からの信号光は、入出射部13より入射され、その傾斜面11で反射されて、導光路1内の上下面及び側面で反射を繰り返し伝播する。反射部2に到達した光信号は反射され、再び導光路1内を逆方向に上下面及び側面で反射を繰り返しながら伝播し、各段差部12の傾斜面11で反射され、入出射部13を介して上方へ出射される。
【0005】
図2(a)〜(d)は、それぞれ導光路の端面に配置される反射部の構成例を示す図である。図2(a)は、導光路21の端面に直接アルミニウム(Al)などの金属をスパッタ(蒸着)し反射部22を形成したものである。この場合、導光路と反射部との間に空気層が存在しないため、フレネル反射による損失は生じない。図2(b)は、光拡散層一体型導光路23の端面に反射部22を設けたものである。この場合、光拡散層一体型導光路と反射部との間に空気層が存在しないため、フレネル反射による損失は生じない。図2(c)は、導光路21と反射型光拡散層24を接着剤25を用いて一体化させたものである。さらに接着剤の屈折率を導光路と反射型光拡散層の屈折率とマッチングさせることで、フレネル損失を低減することができる。図2(d)は、導光路21と反射型拡散層24をマッチングオイル26を用いて屈折率マッチングさせたものである。屈折率マッチングされているため、フレネル損失を低減することができる。以上のように構成することにより、導光路と反射部との間で生じるフレネル損失をゼロまたは低減することが可能となるため、反射型光分岐装置における光伝送効率を向上させることができる。
【0006】
図3は、この種の導光路をプリント配線基板に固定した場合の例を示す図である。本例では、図示のように、プリント配線基板31には、階段状に形成された複数の段差部に光信号の入出射部を有する導光路32と電子回路33が配置されている。また、プリント配線基板31には、コネクタ34を介して複数の回路基板37が取り付けられている。コネクタ34には受光素子35および発光素子36が配置されている。導光路の各入出射部が受光素子および発光素子(受発光素子)と高効率で光結合可能なように、導光路32はプリント配線基板31に精度よく位置決めされ、固定される必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで従来は、導光路が比較的固い材質で作製されているため、導光路の形状及び寸法を精度よく作製し、バネを用いて導光路の一方向から力をかけて導光路全体を固定する方法がとられている。このため、高精度に作製された導光路が必要となり、導光路作製装置も含めて光伝送装置のコストが高くなってしまうという問題が生じる。また、伝送速度の高速化を図る場合、受光素子の受光面積に対する高速応答性の観点から、受光面積の小さな受光素子が採用される。そこで受光素子と導光路の結合損失を小さくしようとすると、導光路はより薄くしなければならない。しかし、導光路が薄くなるにつれて導光路はフレキシブルなものとなり、従来の方法では導光路を固定することが困難となる。
【0008】
従って本発明の目的は、薄い導光路でも高精度に位置決め固定することができる導光路の位置決め固定方法および光伝送装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、階段状に形成された複数の段差部に光信号の入出射部を有する導光路の位置決め固定方法であって、導光路を保持する保持部材に導光路を配置し、導光路の段差部毎に保持部材に対して位置決めおよび固定を行う導光路の位置決め固定方法により、達成される。
【0010】
ここで、前記位置決めは各段差部に形成された突起により行うことができる。この場合、前記固定は前記突起に押し当てられるバネにより行うことができる。また、前記位置決めは各段差部と前記保持部材の端面とにより行うことができる。この場合、前記固定は各段差部および保持部材を押さえる押さえ部材により行うことができる。さらに、前記固定は各入出射部に押し当てられる受発光素子により行うことができる。この場合、受発光素子のパッケージ部分が各入出射部に押し当てられることが望ましい。
【0011】
また、本発明に係る光伝送装置は、階段状に形成された複数の段差部に光信号の入出射部を有し各段差部に位置決め用の突起を有する導光路と、導光路が配置される凹部を有する保持部材と、各段差部の突起と保持部材の凹部端面との間に設けられたバネとを備える。さらに、本発明に係る光伝送装置は、階段状に形成された複数の段差部に光信号の入出射部を有する導光路と、導光路が配置される凹部を有する保持部材と、各段差部を押さえる押さえ部材とを備える。
このように構成することにより、薄い導光路でも高精度に、例えばプリント配線基板や導光路モジュール等の保持部材に位置決め固定することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図4は本発明に係る光伝送装置の一実施例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は導光路部分の側面図である。本実施例は、図示のように、導光路41と、導光路が配置される凹部を有するプリント配線基板42とを備える。導光路41は、階段状に形成された複数の段差部43に光信号の入出射部を有し、また各段差部に突起44を有する。導光路41は、突起44によりプリント配線基板42の凹部に位置決めされる。さらに、突起44とプリント配線基板42の凹部端面との間にバネ45が設けられている。導光路41の固定はこのバネ45を突起44に押し当てることにより行う。これにより、図4(b)に示すように、導光路41が薄くてフレキシブルなものであっても、導光路の各段差部43は高精度に位置決めされ、固定される。
【0013】
図5は、本発明に係る光伝送装置の他の実施例を示す図である。本実施例は、図示のように、導光路51と、導光路が配置される凹部を有する導光路モジュール52とを備える。導光路51は、階段状に形成された複数の段差部53に光信号の入出射部を有する。導光路モジュール52は、導光路と対応する形状の凹部を有する。導光路51の位置決めは、導光路51を、対応する形状を有する凹部に配置することにより行われる。導光路51の固定は、各段差部53とその近傍の導光路モジュール52の両者を押さえる押さえ板54により行われる。すなわち、本実施例では、位置決めは導光路の入出射部に形成された階段そのもので行い、固定は押さえ板等を用いて行い、導光路の入出射部毎に導光路を導光路モジュールに位置決め固定している。
【0014】
図6は、本発明に係る光伝送装置の他の実施例を示す図である。本実施例は、図示のように、導光路61と、導光路が配置される凹部を有する導光路モジュール62とを備える。導光路61は、階段状に形成された複数の段差部63に光信号の入出射部を有する。導光路モジュール62は、導光路と対応する形状の凹部を有する。導光路61の位置決めは、導光路61を、対応する形状を有する凹部に配置することにより行われる。導光路61の固定は、各段差部63の入出射部に対応して配置される受発光素子64を押し当てることにより行われる。すなわち、位置決めは導光路の入出射部の外形で行い、固定は、導光路と光結合される受発光素子を導光路に押し当てることにより行う。導光路は各段差部53の入出射部毎に導光路モジュールに位置決め固定される。この場合、受発光素子(受光素子および発光素子)のパッケージ部分が各入出射部に押し当てられることが望ましい。
【0015】
図7は、本光伝送装置に用いられる光コネクタの一例を示す正面図である。図示のとおり、光コネクタ71にはPD等の受光素子72およびLD等の発光素子73が内蔵されている。
【0016】
図8は、導光路と光コネクタの配置の一例を示す図である。本例では、6ビット分の導光路81がベース82に固定されている。また、ベース82は開口部を有し、そこに光コネクタ83が挿入される。これにより、導光路81に形成された複数の段差部の光入出射部が光コネクタ83の受光素子または発光素子と光学的に結合可能とされる。ここで、ベース82に対する導光路81の位置決めおよび固定は、上述した図4〜図6の方法を用いて行うことができる。
【0017】
ここに記述した位置決め方法と固定方法の組み合わせは一例を示したものであり、本発明はこれらの組み合わせに限定されるものではない。
以上のように構成することにより、導光路をたるませることが可能なほどフレキシブルに作製した場合であっても、導光路の光入出射部毎に導光路とプリント配線基板または導光路モジュールを位置決めすることにより、導光路と受発光素子との位置ずれによる損失を低減することが可能となり、光伝送効率を向上することができる。導光路の形状及び寸法は従来に比べて精度よく作製する必要がなくなる。これにより導光路の製造コストを低減し、安価な光伝送装置を提供することが可能となる。さらに高速伝送に対応して導光路が薄型になっても、導光路と受発光素子が高効率に光結合された光伝送装置を提供することができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、薄い導光路でも高精度に位置決め固定することができる導光路の位置決め固定方法および光伝送装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光伝送装置の一例を示す図である。
【図2】(a)〜(d)はそれぞれ導光路の端面に配置される反射部の構成例を示す図である。
【図3】導光路をプリント配線基板に固定した場合の例を示す図である。
【図4】本発明に係る光伝送装置の一実施例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は導光路部分の側面図である。
【図5】本発明に係る光伝送装置の他の実施例を示す図である。
【図6】本発明に係る光伝送装置の他の実施例を示す図である。
【図7】光伝送装置に用いられる光コネクタの一例を示す正面図である。
【図8】導光路と光コネクタの配置の一例を示す図である。
【符号の説明】
41 導光路
42 プリント配線基板
43 段差部
44 突起
45 バネ
Claims (4)
- 階段状に形成された複数の段差部に光信号の入出射部を有する導光路の位置決め固定方法であって、導光路を保持する保持部材に導光路を配置し、導光路の段差部毎に保持部材に対して位置決めおよび固定を行うものであり、前記位置決めが各段差部に形成された突起により行われ、前記固定が前記突起に押し当てられるバネにより行われることを特徴とする導光路の位置決め固定方法。
- 階段状に形成された複数の段差部に光信号の入出射部を有する導光路の位置決め固定方法であって、導光路を保持する保持部材に導光路を配置し、導光路の段差部毎に保持部材に対して位置決めおよび固定を行うものであり、前記位置決めが前記導光路をそれに対応する形状を有する前記保持部材の凹部に配置することで各段差部と前記保持部材の凹部端面とにより行われ、前記固定が各段差部および保持部材を押さえる押さえ板により行われることを特徴とする導光路の位置決め固定方法。
- 階段状に形成された複数の段差部に光信号の入出射部を有し各段差部に位置決め用の突起を有する導光路と、導光路が配置される凹部を有する保持部材と、各段差部の突起と保持部材の凹部端面との間に設けられ前記突起に押し当てられたバネとを備えたことを特徴とする光伝送装置。
- 階段状に形成された複数の段差部に光信号の入出射部を有する導光路と、導光路が配置される凹部を有する保持部材と、各段差部および保持部材を押さえて導光路を固定する押さえ板とを備えたことを特徴とする光伝送装置。
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