JP3985314B2 - 吸収式ヒートポンプ用溶液ポンプ - Google Patents

吸収式ヒートポンプ用溶液ポンプ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸収式ヒートポンプの作動溶液を搬送する溶液ポンプ、特にアンモニアを冷媒とする吸収式ヒートポンプに用いる溶液ポンプにおける摺動部のアンモニア水溶液中での潤滑性および耐磨耗性の技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の吸収式ヒートポンプ特に、アンモニア水溶液を作動流体とする冷凍機に用いられている溶液ポンプは、一般に油圧ポンプ駆動形のダイアフラムポンプが用いられていた。この種のポンプは、粘度が高く、潤滑性の良い作動油を用いることによって高いポンプ効率が確保できるピストン型の油圧ポンプと、この油圧ポンプで発生する油圧により、全面が駆動されるダイアフラムとを有する油圧ポンプ駆動型ダイアフラムポンプとで構成されていた。この種のポンプは、アンモニアなどの冷媒の粘度が作動油と比較して極めて低く、用いる冷媒の腐食性が高いことから、ダイアフラムで媒体とポンプ機構部が分離させてポンプ効率とポンプ信頼性とを確保していた。
【0003】
しかしながら、溶液ポンプとして、上記のような油圧ポンプ駆動形のダイアフラムポンプを用いる場合には、ピストン型油圧ポンプと油圧ポンプ駆動型ダイアフラムポンプとの2種類のポンプを組み合わせることが必要で、機器の小型化およびコストの面で問題点があった。また高圧で動作するダイアフラムポンプは、一種の往復動ポンプであるため、脈動が大きく、ポンプ自体の騒音とともに、配管系での共振により生ずる騒音が高くなるという問題点があった。さらにダイアフラムの油圧駆動に用いる作動油、および、可撓性の
ある樹脂材料あるいはゴムで成形されるダイアフラム自体は、定期的なメンテナンスが必要な部品であり、家庭用機器としては不向きなポンプであった。
【0004】
このダイアフラムポンプに代わるポンプとして通常の油圧機器に用いられている、往復動型と比較して脈動の少ない回転型の容積ポンプを、アンモニアの溶液ポンプに適用した場合、性能、耐久性の面で大きな問題点があった。
【0005】
従来の油圧機器に用いられている回転型の容積ポンプは、作動流体として潤滑性が優れかつ、粘度が数百cpと流体潤滑が充分に可能な粘度の作動油を使用していた。従ってポンプ差圧が高い条件でも、充分に潤滑されるため、摺動部の材料も通常の鉄系の材料の組み合わせで、性能および信頼性を確保することができた。しかしながら、作動流体がアンモニア水溶液となった場合、流体粘度が0.5cpと油圧用ポンプの場合の1/100程度になるため、潤滑条件が非常に厳しくなり、かつアンモニア水溶液によりポンプ摺動部に腐食が生じてくるため、従来の油圧用ポンプの構成および材質ではそのまま用いることはできないという問題点があった。
【0006】
そこで、回転型の容積ポンプの中でも、圧力脈動の少ないトロコイド型の溶液ポンプの適用が検討されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のトロコイド型の溶液ポンプにあっては、以下に説明するような課題を有していた。
【0008】
すなわち、アンモニアを冷媒とする吸収式のヒートポンプでは、アンモニア水溶液が溶液ポンプの作動流体となるので、冷凍サイクルの動作範囲から、溶液ポンプの動作点は、圧力差が20kg/cm2 、流体粘度は常温の水の半分程度の粘度0.5cpとなる。そして長時間にわたり摺動部の信頼性を確保するためには、摺動部での流体潤滑状態、すなわち、摺動部で流体潤滑膜が形成されて物体同士の直接接触がない状態をできるだけ確保する必要がある。また流体粘度が0.5cpの場合、摺動面に形成される流体潤滑膜は、摺動部の面圧にもよるが1μm以下と想定する必要がある。
【0009】
従って物体同士の直接接触がない流体潤滑状態を実現しようとすれば、摺動面に要求される精度は、形状精度と表面粗さともにサブミクロンの精度が必要となり、摺動面の表面状態は、鏡面に近い状態を実現する必要がある。しかし、ギア歯面の摺動面に形成する流体潤滑膜は、通常の軸受け部の潤滑とは異なり、流体潤滑の形成機構上生成されにくいため、例えば油圧用ギアポンプでは、摺動面の面圧が高いところで作動油の粘度が局所的に上昇し流体潤滑を実現する極圧添加剤が作動油に添加し使用している。しかし、アンモニア吸収式のヒートポンプ冷媒中にこのような添加剤を投入することができないため、さらにギアの歯面の精度、表面粗さを改善する必要があった。
【0010】
またこの流体潤滑状態は常に確保できるとは限らず、ポンプの起動時や停止時あるいは異常運転時にはこの流体潤滑膜は破壊された状態となることがある。特にポンプがガスがみ運転状態になった場合は摺動面が直接接触して、衝撃的な力が作用することも考えられるため、潤滑膜が破壊されて摺動部が直接接触した場合でも摺動面の摩耗が促進されないように、摺動面の表面粗さ、形状精度が維持する必要があった。
【0011】
さらに吸収式ヒートポンプシステムにおける溶液ポンプの場合、溶液ポンプが吸い込むアンモニア水溶液の過冷却度が充分にとれない場合があり、アンモニア水溶液の飽和すなわち、過冷却度0degに近い条件で動作する可能性もある。このような吸い込み条件では、ポンプ内部でガスがみ、あるいはキャビテーションが非常に起こり易くなり、キャビ
テーションエロージョンにより、トロコイドギアの歯面が磨耗するという課題があった。
【0012】
このトロコイドギアの歯面の磨耗に関わる基本的な要素としては、材料の表面硬度、形状精度、表面粗さ、材料の境界潤滑性能、化学的な腐食、互いに摺動させる材料の組み合わせなどが関係している。これらの条件を高いレベルで満たす材料としては、特に水溶液中での潤滑性が優れかつ、硬度が高く、形状精度の面でも優れた珪素系のセラミック材料がある。珪素系のセラミック材料の中でも、炭化珪素あるいは窒化珪素などは水溶液中での潤滑性が特に優れ、軸受けなどの摺動部材に使用されている。
【0013】
ただ、この種のセラミック材料をギアポンプのギアに適用するには、耐衝撃性などの信頼性と、実運転時の様々な条件によるギア歯面の摺動特性の確保、ギアの歯面硬度が非常に高くなることによるポンプ騒音の増加など解決すべき課題があった。
【0014】
また、ギア歯面の摺動性については、窒化珪素系のセラミックでトロコイドギアを形成し実運転試験を行い、アンモニア水溶液中で運転した場合に、負荷変動時に溶液ポンプより異常音が発生し、これが窒化珪素系のセラミック自体がもつ負荷変動時の潤滑特性が安定でないということに起因するという課題を見いだした。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は溶液ポンプにおける容積型ポンプのトロコイドギアを構成するアウターギアあるいはインナーギアの少なくとも一方のギアを耐摩耗性、耐キャビテーション性、摺動性などの特性が基本的に優れた珪素系のセラミックで構成するとともに、耐衝撃性などの信頼性と、実運転時の様々な条件によるギア歯面の摺動特性を向上させ、また、ギアの歯面硬度が非常に高くなることにより生じ易くなるポンプ騒音の低減を図ることを目的とする。
【0016】
本発明は上記の課題を解決し、その目的を達成するために、トロコイドギアを水溶液中での潤滑性の優れた珪素系のセラミックで形成することとしている。窒化珪素系のセラミックは硬度がHv2000程度と高く、また耐衝撃性が高くボールベアリングの球にも使用されており破壊モードとして金属材料と同等に扱えることが示されており、さらに、水溶液中での潤滑性にも優れた特性を示す。炭化珪素系のセラミックは硬度がHv3000程度と非常に高く、水溶液中の潤滑性が優れまた、負荷変動時の摩擦係数も安定しており、耐摩耗性にも優れた特性を発揮する。
【0017】
また、トロコイドギアのインナーギアを鉄系の素材で形成し、このインナーギアの表面に耐食性の優れた硬化膜を形成し、このインナーギアと珪素系のセラミックで形成されたアウターギアとを組み合わせることとしている。鉄系の素材で形成し表面に薄い硬化膜を形成したインナーギアは表面硬度は高いが、この硬化膜の層は薄いため、応力が集中した部分での硬度は鉄系の母材に近くなり、歯面の応力を緩和する結果、セラミックギアと組み合わせた場合の耐衝撃性が高める機能を有する。トロコイドギアを用いたポンプは駆動力をインナーギアよりアウターギアに伝達する構成をとり、インナーギアにはポンプの動力軸より力が伝達される動力伝達部たとえばキーあるいはDカット部などを有し、この部分で応力集中が生ずるが、これを金属系の材料で応力を緩和することが可能である。
【0018】
このトロコイド型ポンプを用いた溶液ポンプの動作点がさらに負荷の高い領域で使用する場合には、鉄系の素材自体をあらかじめ窒化処理をし表面硬度を高めておいてこの上に、耐食性の優れた硬化膜を形成することにより、この硬化膜自体の強度を高めて耐久性を向上させることができる。
【0019】
また窒化珪素系セラミックの負荷変動時の摺動性を向上させる手段として、自己潤滑性
を有するダイヤモンドライクカーボン(以下DLCという)の薄膜を窒化珪素系セラミックで構成したギアの表面に構成したものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明は、各請求項に記載された形態により実施されるものであり、その形態について以下説明する。
【0021】
請求項1のように、アンモニア水溶液を作動流体とする容積型ポンプ部を、窒化珪素系セラミックもしくは炭化珪素系セラミックのいずれかの材料で形成したアウターギアと鉄系の材料で形成したインナーギアとを有するトロコイド型ポンプで構成し、前記インナーギアの表面を硬化層薄膜およびDLCの薄膜の積層膜により被覆することにより、ギア歯面の摺動性が良好となり、耐摩耗性を向上させることができる。
【0022】
【実施例】
以下本発明について図1ないし図14を参照して説明する。
【0023】
(実施例1)
実施例1について、図1〜図6を参照して説明する。直流ブラシレスモータ1の固定子2は、その内側に挿入されたライナー3により回転子4と気密に分離される。回転型の容積型ポンプ部5がボディー6の前側に一体に構成されており、この容積型ポンプ部5は、回転子4に圧入された主軸7により駆動され、2段で昇圧するトロコイド型ポンプで構成している。アンモニア吸収式ヒートポンプでは、ポンプ差圧として20kg/cm2 程度必要であるので、上記のトロコイド型ポンプの昇圧構成は、一段で10kg/cm2 昇圧させることにより、トロコイドギアなどの摺動部に加わる負荷を低減させ、ポンプの耐久性を高めている。容積型ポンプ部5の主要部材は、ボディー6の前方に設けられた空洞6aの中に圧入された積層構造としている。積層されるポンプの主要部材のうち最も底面に位置するのが、側板A8で、中央部に、直流ブラシレスモータ1の主軸7の軸受け機能を有する軸受A8aを備えている。側板A8に、偏心リングA9を積層し、この偏心リングA9は、トロコイド形状のアウターギアA10を回転自在に保持し、かつアウターギアA10がインナーギアA11と適正な偏心量を形成するように保持している。アウターギアA10およびインナーギアA11は窒化珪素系のセラミックあるいは炭化珪素系のセラミック材により形成している。また、偏心リングA9はアウターギアA10およびインナーギアA11の厚さ方向のクリアランスを適正な値に保持する機能も有する。なお主軸7とインナーギアA11とはDカット7aにより固定されている。
【0024】
偏心リングA9に中間スペーサ12を積層し、この中間スペーサ12の側板A8側の面には、図5に示すように、ポンプの吸入口13と連通する切り欠き14を設け、この切り欠き14には、中間スペーサ12の側板A8側の面に設けた吸入溝15と連通している。また中間スペーサ12の側板A8側には吐出溝16を設け、この吐出溝16には吐出孔16aを形成している。このように側板A8と中間スペーサ12との間に、アウターギアA10およびインナーギアA11を介在させることにより、1段目のポンプ部を構成するポンプ部A17を形成している(図2参照)。
【0025】
中間スペーサ12に偏心リングB18を積層し、この偏心リングB18の偏心方向は、偏心リングA9の偏心方向に対し180度反転させた方向に設定されている。中間スペーサ12の偏心リングB18側の面には、図6に示すように、中間スペーサ12の偏心リングA9側と同様に、吸入溝19と吐出溝20が設けてあるが、それぞれ吸入溝15と吐出溝16に対し180度ずらした位置に設けられている。中間スペーサ12の偏心リングA9側の面に設けた吐出溝16の吐出孔16aは、偏心リングB18側の面に設けた吸入溝19と連通している。偏心リングB18は、トロコイド形状のアウターギアB21を、イ
ンナーギアB22と適正な偏心量を保持しながら回転自在に保持し、また、この偏心リングB18は、アウターギアB21およびインナーギアB22の厚さ方向のクリアランスを適正な値に保持する機能も有する。
【0026】
アウターギアB21およびインナーギアB22も、一段目のポンプ部A17のギアと同様に窒化珪素系のセラミックあるいは炭化珪素系のセラミックで構成されている。主軸7とインナーギアB22とはDカット7aにより固定されている。さらに、偏心リングB18には側板B23が積層されており、この側板B23には、中間スペーサ12の吐出溝20に対応する位置に吐出ポートが設けられている。このように、中間スペーサ12と側板B23との間に、アウターギアB21およびインナーギアB22を介在させることにより、2段目のポンプを構成するポンプ部B24を形成している(図3参照)。
【0027】
以上説明したように、1段目のポンプ部A17と2段目のポンプ部B24とは中間スペーサ12を介して積層されて容積型ポンプ部5を構成している。ポンプ部A17およびポンプ部B24の基本寸法は、インナーギアA11およびインナーギアB22の幅および外径で決まり、ポンプ部A17およびポンプ部B24では同一の寸法値に設定している。なお、ボディー6の前方に設けられ、容積型ポンプ部5が存在する空洞6aは、ポンプ蓋25により密閉されている。また、ボディー6の前側には流路A26が設けられ、ボディー6の後側には、軸受27、スペーサ28、通路29、30が設けられている。
【0028】
上記のように構成した溶液ポンプの動作について、以下説明する。直流ブラシレスモータ1の回転子4が回転すると、回転子4に圧入してある主軸7が回転する。主軸7が回転すると、Dカット7aにより主軸7に固定されたインナーギアA11およびインナーギアB22が回転し、これらのギアと各々噛み合うアウターギアA10およびアウターギアB21は従動ギアとして回転し、ポンプ部A17およびポンプ部B24においてトロコイドポンプとしてのポンプ動作を行う。このポンプ動作は、ポンプ部A17およびポンプ部B24により、直列に2段で行われ、ポンプ部A17におけるインナーギアA11とアウターギアA10とでポンプ作用が行われる1段目と、ポンプ部B24におけるインナーギアB22とアウターギアB21とで2段目のポンプ作用が行われ、2段階の昇圧作用が分割される。したがって、一段当たりの昇圧量は最大で10kg/cm2 と負荷が低減され、耐久性を高めることができる。
【0029】
また、インナーギアA11とアウターギアA10、および、インナーギアB22とアウターギアB21とはそれぞれ窒化珪素系のセラミックあるいは炭化珪素系のセラミックで形成されており、これらのセラミック材料は高硬度でしかも水溶液中で潤滑特性を有しているため、耐摩耗性とキャビテーション性を向上することができる。
【0030】
参考例1
参考例1について、図7および図8を参照して説明する。実施例1の場合と比較して異なる構成は、インナーギアA11、インナーギアB22を鉄系の材料で形成し、インナーギアA11、インナーギアB22の表面に窒化チタン膜A11aおよび、窒化チタン膜B22aを形成した点である。これらインナーギアは、高硬度でしかも化学的にアンモニア水溶液に対して侵されない窒化チタン膜によりギア内部が保護されているので、ギア歯面における形状精度、表面粗さは維持され、表面硬度が高くなって耐摩耗性と耐キャビテーション性が向上する。またこれら窒化チタン膜は数μmと非常に薄い膜であるため、ギア表面硬度を保ちつつ、窒化珪素系のセラミックあるいは炭化珪素系のセラミックで形成されたアウターギアA10、および、アウターギアB21と当接する際に生ずるギア歯面の応力を、金属系のギア側で緩和して耐衝撃性を向上することができる。また、ギア歯面の精度が充分に出ていない箇所で生ずる当接音についても、金属側のギアが弾性変形することによりギア歯面の当接を緩和して、運転騒音を低減することができる。
【0031】
参考例2
参考例2について、図9および図10を参照して説明する。参考例1の場合と比較して異なる構成は、インナーギアA11、インナーギアB22を形成する材質をクロムを含有する特殊鋼とし、インナーギアA11、インナーギアB22の表面に窒化処理された硬度の高い窒化薄膜A11b、窒化薄膜B22を形成し、この窒化薄膜A11b、および窒化薄膜B22bの上に、それぞれ窒化チタン膜A10a、窒化チタン膜B22aを形成した点である。この窒化処理により硬く、しかも強度の高い窒化薄膜A11b、および窒化薄膜B22bが形成される。この窒化薄膜は、等価的には母材の特殊鋼の硬度が高くなったと同様の効果があり、この上に形成される窒化チタンの薄膜は母材の上に直接窒化チタンの薄膜を形成した場合と比較して高い実効硬度を実現することができる。この実効硬度が高くなったことにより、より高いポンプ負荷に対しても、鉄系の材料で形成されたインナーギアA11およびインナーギアB22側で、歯面の応力集中を吸収し、耐久性を向上させることができる。
【0032】
実施例2
実施例2について、図11、図12を参照して説明する。参考例2の場合と比較して異なる構成はインナーギアA11およびインナーギアB22の表面に形成した窒化チタン膜A11aおよび窒化チタン膜B22aの上にさらにDLCの薄膜A11c、およびDLCの薄膜B22cを形成した点である。
【0033】
DLCの薄膜は摺動性がたいへん優れ、セラミック系の材料に対しても摩擦係数および摩耗量ともに優れた特性を示す。
【0034】
参考例3
参考例3について、図13、図14を参照して説明する。実施例1の場合と比較して異なる構成は珪素系のセラミックで形成したインナーギアA11及びインナーギアB22の表面にDLCの薄膜A11c、及びDLCの薄膜B22cを形成した点である。
【0035】
DLC薄膜は摺動性がたいへん優れ、セラミック系の材料に対しても摩擦係数および摩耗量ともに優れた特性を示す。またセラミックの母材自体の硬度が高くまた、珪素系のセラミックであるためDLC薄膜が強固に母材に付着し、潤滑効果を高める効果がある。なお図13に示すようにアウターギアA10の表面にDLCの薄膜10Cを形成したり、図14に示すようにアウターギアB21の表面にDLCの薄膜21Cを形成するとより一層硬度を高くすることができる。
【0036】
参考例4
参考例4が実施例1の場合と比較して異なる構成は偏心リングA9、偏心リングB18を鉄系の材料から炭化珪素系セラミックとした点である。
【0037】
偏心リングA9はアウターギアA10をインナーギアA11に対して所定の量偏心させ、同様に、偏心リングB18はアウターギアB21をインナーギアA22に対して所定の量偏心させる機能を有している。これら偏心リングの摺動面が摩耗するとアウターギアA10、アウターギアB21が所定の位置からずれて回転することになり、ギア歯面の摩耗そして流量の低下へとつながる。また、アウターギアA10、アウターギアB21と偏心リングA9、偏心リングB18との摺動抵抗はギア歯面の応力と直接関係する。従って、偏心リングとアウターギアとの摺動抵抗および摩耗を低減することは非常に重要であり、珪素系のセラミックで形成したアウターギアに対して、炭化珪素あるいは窒化珪素で構成した偏心リングは珪素系セラミックの特徴であるトライボケミカル反応で摩擦係数が0.08以下と非常に少なくまた摩耗量も少ない流体潤滑状態を確保できる。
【0038】
【発明の効果】
以上に説明するような形態で実施される本発明の吸収式ヒートポンプ用溶液ポンプによれば、次に記載するような効果が得られる。
【0039】
本発明によればアウターギアあるいはインナーギアの表面に潤滑性が優れ、かつ硬度の高いダイアモンドライクカーボンの薄膜を形成することにより、優れた耐摩耗性と耐キャビテーション性を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における吸収式ヒートポンプ用溶液ポンプの概略断面図
【図2】 同溶液ポンプにおける1段目ポンプ部の要部断面図
【図3】 同溶液ポンプにおける2段目ポンプ部の要部断面図
【図4】 同溶液ポンプにおける中間スペーサの断面図
【図5】 同中間スペーサの1段目ポンプ部側の平面図
【図6】 同中間スペーサの2段目ポンプ部側の平面図
【図7】 本発明の参考例1における溶液ポンプの1段目ポンプ部の要部断面図
【図8】 同溶液ポンプの2段目ポンプ部の要部断面図
【図9】 本発明の参考例2における溶液ポンプの1段目ポンプ部の要部断面図
【図10】 同溶液ポンプの2段目ポンプ部の要部断面図
【図11】 本発明の実施例2における溶液ポンプの1段目ポンプ部の要部断面図
【図12】 同溶液ポンプの2段目ポンプ部の要部断面図
【図13】 本発明の参考例3における溶液ポンプの1段目ポンプ部の要部断面図
【図14】 同溶液ポンプの2段目ポンプ部の要部断面図
【符号の説明】
5 容積型ポンプ部
10 アウターギアA
10a 窒化チタン膜A
11 インナーギアA
11a 窒化チタン膜A
11b 窒化薄膜A
11c DLCの薄膜A
21 アウターギアB
22 インナーギアB
22a 窒化チタン膜B
22b 窒化薄膜B
22c DLCの薄膜B

Claims (1)

  1. アンモニア水溶液を作動流体とする容積型ポンプ部を、窒化珪素系セラミックもしくは炭化珪素系セラミックのいずれかの材料で形成したアウターギアと鉄系の材料で形成したインナーギアとを有するトロコイド型ポンプで構成し、前記インナーギアの表面を硬化層薄膜およびダイヤモンドライクカーボン薄膜の積層膜により被覆した吸収式ヒートポンプ用溶液ポンプ。
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