JP3984456B2 - 保護拡散フィルム及びその製造方法、面光源装置及び液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズフィルムの出光面側に設けられる保護拡散フィルムに関し、特に、下側に設置されるレンズフィルム(特にその頂部)を傷付けることが無く、且つ拡散分光特性の微調整が容易な保護拡散フィルム及びその製造方法、面光源装置及び液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は、従来の保護拡散フィルム110を用いた面光源装置の一例として、エッジ型平面光源である面光源装置120を設けた液晶表示装置135の断面図である。
面光源装置120は、光源121、導光板122、反射フィルム124、光拡散フィルム125,レンズフィルム140,保護拡散フィルム110等からなっている。
導光板122は、面投光手段であって、側端部に光源121を備え、光源121からの光を拡散させて出光方向に向けるためのドットパターン123を出光面122aと対向する非出光面に設けている。反射フィルム124は、導光板122の非出光面側に設けられ、不要な方向へ出光する光線を遮るとともに、所定の方向に光線を反射して戻す役割を果たしている。
【0003】
導光板122の出光面122a側には、光を拡散することにより、ドットパターン123を隠蔽するための光拡散フィルム(拡散板)125を挟んで、レンズフィルム140が、プリズム面を出光面側にして配置されている。
光拡散フィルム(拡散板)は、光拡散作用を備えており、透明樹脂基材中に、有機又は無機ビーズを拡散剤として分散混入したものや、透明樹脂基材上に、有機又は無機ビーズを拡散剤(光拡散剤ともいう)として含有するインキをコーティングしたものが使用されていた。
レンズフィルム140の出光面側には、レンズフィルム140のプリズム140aと液晶表示素子133とが直接接触して、輸送時の振動等により互いに傷を付けることを防ぐ保護拡散フィルム110が設けられている。保護拡散フィルム110は、レンズフィルム140のプリズム140aのスジや、図示しないスペーサ等を隠蔽するために、わずかな光拡散作用も備えており、透明樹脂基材中に、有機又は無機ビーズを拡散剤として分散混入したものや、透明樹脂基材上に、有機又は無機ビーズを拡散剤(光拡散剤ともいう)として含有するインキをコーティングしたものが使用されていた。
【0004】
面光源装置120の出光側には、下基板132と上基板131に挟まれた液晶層130からなる透過型の液晶表示素子133が設けられており、面光源装置120は、液晶表示素子133を裏面から照明する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の装置に使用される保護拡散フィルム110は、有機又は無機ビーズ(拡散剤)の含有量やインキのコーティング量を調整することにより、各種バックライトの最適光学特性に適するような微妙な光学特性の調整は容易である。しかし、ビーズ(光拡散剤)は凝集したり、大きさや形状が不均一な為に、保護拡散フィルムの表面凹凸が不均一になり易い。そのため液晶表示装置用バックライトに組み込まれる時や搬送の際に、レンズフィルムの出光面側に設けられる保護拡散フィルムにおいては、表面に飛び出たビーズ(光拡散剤)や大きなビーズ、不定形なビーズ等による影響で、下側に設置されるレンズフィルム(特にプリズム140aの頂部)を傷付け易いという問題があった。
この問題を解決するために、本発明者は、透明基材の少なくとも一方の面上に、表面が均一な凹凸形状を賦型された電離放射線硬化型樹脂よりなる光拡散層を設けた保護拡散フィルムを開発した。この保護拡散フィルムの入光側(レンズフィルム側)は、表面が均一な凹凸形状を賦型された電離放射線硬化型樹脂よりなる光拡散層なので、レンズフィルムを傷つけなくて済むのである。
しかし、表面拡散性は、凹凸賦型版の表面形状により調整されているので、各種バックライトの最適光学特性に適するような微妙な光学特性の調整は不向きであることが判明した。即ち、拡散分光特性の微調整をしたい場合には、いちいちそれに合う凹凸賦型版を製造しなければならず、結局多品種の凹凸賦型版を準備、保存しなければならないという問題が残った。
【0006】
本発明の課題は、レンズフィルムの出光面側に設けられる保護拡散フィルムにおいて、下側に設置されるレンズフィルム(特にその頂部)を傷付けることが無く、且つ各種バックライトの最適光学特性に適するような微妙な光学特性の調整(拡散分光特性の微調整)が容易な保護拡散フィルム及びその製造方法、この保護拡散フィルムを利用した面光源装置及び液晶表示装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、保護拡散フィルムの入光側(レンズフィルム側)を拡散剤を含まない電離放射線硬化型樹脂よりなる第1の光拡散層とすると、レンズフィルムを傷つけなくて済むこと、さらに、保護拡散フィルムの出光側(レンズフィルムの傷付けに関与しない側)を拡散剤(有機ビーズ)を含む熱硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂よりなる第2の光拡散層とすると、各種バックライトの最適光学特性に適するような微妙な光学特性の調整(拡散分光特性の微調整)において、前記したように多種類の凹凸賦型版を準備することなく、拡散剤の添加量や塗工量の調整だけで、拡散分光特性の微調整が容易となることに気づいて本発明に至ったものである。つまり本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、後記する本発明の実施形態(図1、図3、図4)に対応する符号を付して説明するが、これらに限定されるものではない。
【0008】
すなわち、請求項1の発明は、レンズフィルム(40)を備えた面光源装置(20)に用いられ、該レンズフィルムの出光面側に設けられる保護拡散フィルム(10)であって、透明基材(11)と、前記透明基材の一方の面上に設けられ、拡散剤を含まない電離放射線硬化型樹脂よりなり表面が微細な凹凸形状を有する第1の光拡散層(13B)と、前記透明基材のもう一方の面上に設けられ、拡散剤を含む熱硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂よりなる第2の光拡散層(13A)と、を備え、第1の光拡散層側が該レンズフィルムのレンズ面側を向くように設けられる、保護拡散フィルムである。(図1、図4)
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の保護拡散フィルム(10)において、拡散剤が有機ビーズであることを特徴とする保護拡散フィルムである。
【0012】
請求項3の発明は、前記凹凸形状に対応した型形状を有するシリンダ版(88)を用いて、電離放射線硬化型樹脂に形状を賦型し、前記電離放射線硬化型樹脂に電離放射線を照射して、前記電離放射線硬化型樹脂を硬化させることにより、透明基材の一方の面上に、第1の光拡散層を形成させ、透明基材のもう一方の面上に、拡散剤を含む熱硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂よりなる第2の光拡散層を形成させてなる請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の保護拡散フィルムの製造方法である。(図1、図3)
【0013】
請求項4の発明は、光源(21)と、前記光源の光を投光面(22a)から所定の方向に面投光する面投光手段(22)と、前記投光面上に設けられたレンズフィルム(40)と、前記レンズフィルムの出光面側に設けられた請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の保護拡散フィルムと、を備える面光源装置である。(図4)
【0014】
請求項5の発明は、光源(21)と、前記光源の光を投光面(22a)から所定の方向に面投光する面投光手段(22)と、前記投光面上に設けられたレンズフィルム(40)と、前記レンズフィルムの出光面側に設けられた請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の保護拡散フィルム(10)と、前記保護拡散フィルムの出光面側に配置された、透過型の液晶表示素子(33)とを備える液晶表示装置(35)である。(図4)
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施の形態について、更に詳しく説明する。
(第1実施形態)
(保護拡散フィルム)図1は、第1実施形態における保護拡散フィルム10の一部を拡大した断面図である。保護拡散フィルム10は、透明基材11と、その一方の面上に設けられた第1の光拡散層13Bと、そのもう一方の面上に設けられた第2の光拡散層13Aとを有している。図4は、本発明の保護拡散フィルム10を用いた面光源装置20を設けた液晶表示装置35を示す断面図である。本発明においては、保護拡散フィルム10の入光側(レンズフィルム側)が電離放射線硬化型樹脂よりなる第1の光拡散層13Bなので、レンズフィルムを傷つけなくて済むのである。さらに、保護拡散フィルム10の出光側(レンズフィルムの傷付けに関与しない側)が拡散剤(有機ビーズ)を含む熱硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂よりなる第2の光拡散層13Aなので、多種類の凹凸賦型版を準備することなく、拡散剤の添加量や塗工量の調整だけで、拡散分光特性の微調整が容易となるのである。
【0016】
透明基材11は、ベースとなる基材フィルムであり、セルローストリアセテート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリメタアクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂の延伸又は未延伸フィルムを使用することができる。透明基材11の厚みは、フィルムがもつ剛性にもよるが、50〜200μmのものが、加工性等の取扱い面からいって好ましい。また、第1の光拡散層13B、第2の光拡散層13Aを設ける面は、コロナ放電処理等の易接着処理を施すことが、積層する第1の光拡散層13B、第2の光拡散層13Aと透明基材11との接着を強固に安定化するために好ましい。
【0017】
第1の光拡散層13Bは、表面に微細な凹凸形状を有し、接触する部材(レンズフィルム40)を保護し、かつ、適度な拡散性を有することにより、隠蔽性を備える層である。
本実施形態における第1の光拡散層13Bの表面粗さは、十点平均粗さRzで示すと、Rz=1.6μmである。また、測定条件を、縦倍率:2000倍、横倍率50倍、測定基準長0.8mm、位相特性:ノーマル型、送り速度:0.1mm/秒、カウントレベル±0.1μmとして、Pc1方式により測定した場合の粗さである山の数PC=8である。
【0018】
Rzは、1〜6μmの範囲内にあることが望ましい。1μm未満では、凹凸による拡散性が足りず、隠蔽性が低くなるからであり、6μmを越えると、拡散性が大きくなり隠蔽性が必要以上に高くなりすぎて、光学特性が悪くなるからである。ここで、Rzは、1〜6μmの範囲内にあることがレンズフィルム40を傷つけ無いことにもつながり、保護機能上も望ましい。同様な理由から、PCは、上記測定条件において、2〜15の範囲内であることが望ましい。
【0019】
保護拡散フィルム10は、第2の光拡散層13Aの塗工量や拡散剤12の添加量の調整により、各種バックライトの最適光学特性に適するような微妙な光学特性の調整(拡散分光特性の微調整)が容易となるのである。
一方、第1の光拡散層13Bの表面凹凸は、各種バックライトの光学特性に適する比較的大まかな光学特性の調整作用を持っている。光を拡散するレベルを示す指標として、物体の輝度とそれを散乱媒質を通して見た場合の輝度との比として示すヘーズ値が用いられるが、本実施形態の保護拡散フィルム10のヘーズ値は、30である。保護拡散フィルムのヘーズ値としては、15〜50の範囲内にあることが望ましく、更に、20〜40の範囲内にあることがより好ましい。15未満では、隠蔽性が低くなり、導光板以下の微細な不具合等を隠せなくなり、50を越えると、必要以上に隠蔽性がありすぎて、輝度が低下するからである。
【0020】
図2は、Pc1方式を説明する図である。Pc1方式は、カウントレベルCLを設定し、粗さ曲線Fの中心線Cに平行な2本の上側ピークカウントレベルU及び下側ピークカウントレベルDを設ける。下側ピークカウントレベルDと粗さ曲線Fとが交叉する2点間において、上側ピークカウントレベルUと粗さ曲線Fとが交叉する点が1箇所以上存在するときを1山としてカウントし、このカウントを基準長さLの範囲内において行い、山のカウント数により表面粗さを表す。図2に示す例では、4山あるので、Pc1方式による山の数は、4となる。
【0021】
第1の光拡散層13Bの材料は、電離放射線硬化型樹脂で、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート(以下、本明細書では、アクリレートとメタアクリレートとを、(メタ)アクリレートと記載する。)等のオリゴマー又はプレポリマー及び反応性の希釈剤を比較的多量に含むものから構成する。上記希釈剤としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー、並びに多官能モノマー、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等がある。
【0022】
更に、上記の電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂として使用するときは、これらの中に光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、αーアミロキシムエステル、チオキサントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリn−ブチルホスフィン等を混合して使用する。
【0023】
上記の電離放射線硬化型樹脂には、次の反応性有機ケイ素化合物を含ませることもできる。Rm Si(OR′)n で表せる化合物であり、ここでR、R′は、炭素数1〜10のアルキル基を表し、m+n=4であり、そしてm及びnは、それぞれ整数である。更に具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等があげられる。
【0024】
第2の光拡散層13Aは、有機ビーズを拡散剤として混合含有された樹脂(熱硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂)をロールコート法等で透明基材にコーティングすることにより、形成される。ロールコート法以外でも良く、例えばディピング法、スプレーコーティング、スピンコーティング法等各種の方法が用いられる。有機ビーズの配合部数、塗布する混合分散液の粘度、目的とする光拡散層の厚さ、基材の表面状態等によって最適なものを選んで行う。
【0025】
有機ビーズ(プラスチックビーズ)としては、スチレンビーズ(屈折率1.59)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54)、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ、塩化ビニルビーズ等が用いられる。これらのプラスチックビーズの粒径は、0.1〜20μmのものを適宜選択して用いる。上記プラスチックビーズのうち、アクリルビーズ、スチレンビーズが特に好ましく用いられる。
【0026】
熱硬化型樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、 フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂,シリコーン樹脂等の一般の熱硬化型樹脂であり、特に限定されるものではない。
なお、熱硬化型樹脂には、必要に応じて、硬化剤等の配合剤を配合することができる。
【0027】
第2の光拡散層13Aは、上記の熱硬化型樹脂ばかりでなく、熱可塑性樹脂を用いて形成することもできる。熱可塑性樹脂には、例えば、オレフィン系系樹脂(ポリエチレン,ポリプロピレンなど)、塩化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル,塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体など)、酢酸ビニル系樹脂(ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ポリビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコール,エチレン−ビニルアルコール共重合体など)、アクリル系樹脂(ポリメタアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル−アクリル酸エステル共重合体など)、スチレン系樹脂(ポリスチレン,スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体などのホモポリマー又はコポリマーや変性ポリマー,ゴム変性スチレン系樹脂など)、ポリエステル系樹脂(ポリアルキレンテレフタレートなどのホモポリマー,コポリエステル,変性ポリエステルなど)、ポリアミド系樹脂(ナイロン6,ナイロン66,ナイロン610,ナイロン612などのホモポリマー,コポリマーや変性ポリアミドなど)、ポリカーボネート樹脂などが例示できる。
【0028】
(保護拡散フィルムの製造方法)
保護拡散フィルム10は、透明基材11の一方の面上に第1の光拡散層13Bを設け、透明基材11のもう一方の面上に第2の光拡散層13Aを設けることにより製造した。
図3は、第1の光拡散層13Bを形成する工程の概略を説明する図である。最初に、第1の光拡散層13Bの表面の微細凹凸形状に対応した凹凸形状を形成してあるシリンダ版88に、ポンプ87で電離放射線硬化型樹脂82をダイヘッド86に送り、シリンダ版88に電離放射線硬化型樹脂82を均一に押し込む。そして、透明基材11の面とシリンダ版88とを入口ニップ83で密着(賦型工程)したものに、電離放射線照射装置85〔Dバルブ紫外線ランプ(フュージョン社製)〕により電離線を照射し、硬化した電離放射線硬化型樹脂81とするとともに透明基材11との接着を行う(硬化工程)。そして、出口ニップ84でシリンダ版88から透明基材11に形成した光拡散層13Bを剥離し、保護拡散フィルム10を形成する途中の形態であるフィルム10−1を形成した。
保護拡散フィルム10は、このフィルム10−1に、更に光拡散層13Aをロールコート法による工程により形成して作製した。第2の光拡散層13Aのコーティングは、コーティング面の安定性からコンマコーティングで行うことが好ましい。特にパターン形成が必要な場合には、グラビヤ印刷等で行っても良い。
透明基材11の表裏の塗工厚みは、光拡散性と光透過率とのバランスにより決定され、第2の光拡散層13Aが5〜50μm程度が好ましく、第1の光拡散層13Bが2〜50μm程度が好ましい。透明基材11に第2の光拡散層13Aを形成する工程と、第1の光拡散層13Bを形成する工程の順番は逆にしても良い。
【0029】
凹凸形状を形成してあるシリンダ版88は、円筒状の版材に、所定形状の凹部を設けたものである。このシリンダ版88は、円筒状の版材に直接旋盤加工したり、電鋳法で形成したミルによるミル加工等で切削する方法、電鋳法などにより製造できる。シリンダ版の材質としては、銅、クロム、鉄等の金属、NBR、エポキシ、エボナイト等の合成樹脂、ガラス等のセラミックス等を用いることができる。また、シリンダ版の大きさは、特に限定されず、製造しようとする凹凸表面を有するシートの大きさに応じて適宜選択することができる。なお、図示しないが、シリンダ版には、駆動装置が設けられ回転駆動するように形成されている。
好ましい実施形態として、シリンダ版88は、円筒形の鉄製の素材上に、#120〜#250の液体サンドを吹き付けて、サンドブラスト処理を行い、前述の表面凹凸形状に対応した形状を設け、更に、電解研磨により仕上げた後、保護のためにクロムメッキを施したものも使用できる。
【0030】
(面光源装置及び液晶表示装置)
図4は、本実施形態の保護拡散フィルム10を用いた面光源装置20を設けた液晶表示装置35を示す断面図である。
面光源装置20は、光源21、導光板22、反射フィルム24、光拡散フィルム25,レンズフィルム40,保護拡散フィルム10等からなっている。
面光源装置20を設けた液晶表示装置35における保護拡散フィルム10以外の部分について、以下に記載する。
導光板22 切り出したアクリル板を光学研磨し、裏面に白色インキをシルクスクリーン印刷する。線光源21から離れるにつれて白色のドットパターン23の面積は徐々に大きくなるように印刷する。
光拡散フィルム25 ポリエステルフィルム基材上に光拡散インキを塗工する。インキ成分は拡散剤である有機ビーズがポリエステルバインダー中に分散しているもので、数10μm程、塗工している。白色ドット印刷のパターン見えを防止して均一を図る。(例えば、光拡散フィルムD121(ツジデン社製))
レンズフィルム40(プリズムシート) 断面が三角プリズムであるシートで、正面方向の輝度を向上させる。ポリカーボネートシートを熱プレスする方法と、紫外線硬化樹脂により、賦形する方法がある。(例えば、BEF2(住友3M社製))
反射フィルム24 白色のポリエステルフィルムや発泡ポリエステルフィルムが用いられている。導光板からもれた光を反射させる。
【0031】
このようにして作成された光拡散フィルム25を、図4に示すように、導光板22の上面に設置し、その上に、レンズフィルム40を設置し、その上に、前記の本発明の保護拡散フィルム10を設置して面光源装置20(バックライトユニット)を得る。
面光源装置20の出光側には、下基板32と上基板31に挟まれた液晶層30からなる透過型の液晶表示素子33が設けられており、面光源装置20は、液晶表示素子33を裏面から照明する。
【0032】
【実施例】
以下、本発明について、実施例により更に説明する。
【0033】
(実施例1)
透明基材11として、PETフィルム:A4300(東洋紡績社製)の厚さt=188μmを使用した。この透明基材11の片面に、ロールコート法により、塗工厚み20μになるように、第2の光拡散層13Aを形成した。第2の光拡散層13Aの材料は、ポリエステルバインダーにアクリルビーズを含有した主剤:BAc79(ザ・インクテック株式会社製)にXEL硬化剤を混合したものを使用した。
円筒形の鉄製の素材上に、#120の液体サンドを吹き付けて、サンドブラスト処理を行い、表面に凹凸形状を設けた。これを更に、電解研磨により仕上げた後、保護のためにクロムメッキを施したシリンダ版88を用意した。
このシリンダ版88に、ポンプ87で電離放射線硬化型樹脂82(紫外線硬化型樹脂: RC19−941(大日本インキ化学工業株式会社製))をダイヘッド86に送り、シリンダ版88に電離放射線硬化型樹脂82を均一に押し込む。そして、前記した第2の光拡散層13Aを形成した基材フィルムの第2の光拡散層13Aが形成されていない面とシリンダ版88とを入口ニップ83で密着(賦型工程)したものに、電離放射線照射装置85〔Dバルブ紫外線ランプ(フュージョン社製)〕により紫外線を照射し、硬化した電離放射線硬化型樹脂81とするとともに透明基材11との接着を行った(硬化工程)。そして、出口ニップ84でシリンダ版88から透明基材11に形成した第1の光拡散層13Bを剥離し、保護拡散フィルム10を形成した。
第1の光拡散層13Bの塗工厚みは、10μであった。
第1の光拡散層13Bの材料は、紫外線硬化型樹脂: RC19−941(大日本インキ化学工業株式会社製)を使用した。
【0034】
(実施例2)
実施例1において、透明基材11の片面に第1の光拡散層13Bを先に形成させた後で、第2の光拡散層13Aを形成させた。それ以外は、実施例1と同じようにして、製造した保護拡散フィルム。
【0035】
(評価試験)
以上のようにして、実施例1〜2で作製した保護拡散フィルム10の評価を、レンズフィルムのキズ付け性や拡散特性の微調整のしやすさについて、下記の比較例1の保護拡散フィルムとの対比により行った。
【0036】
比較例1は、基材フィルムの両面にビーズを含むインキを塗工したタイプである株式会社 ツジデン製 保護拡散フィルム D117Uである。
【0037】
▲1▼レンズフィルムのキズ付け性
(評価方法)
レンズフィルムとしてBEFII90/50(住友3M社製)を使用した。このレンズフィルムのプリズム(レンズ)面側に、試料(実施例1〜2で作製した保護拡散フィルムや比較例1の保護拡散フィルム)を載せる。その上に、20gの分銅を載せて、100mm/secの速度で引っ張り、レンズフィルムの表面のキズ付き具合を観察する。
▲2▼拡散特性の微調整のしやすさ
拡散剤の添加量や塗工量(厚さ)の調整だけで、拡散分光特性の微調整が容易となるものかどうかを評価する。
【0038】
(評価結果)
実施例1、実施例2は、比較例1と比較して、キズ付け性が非常に良好な結果となった。具体的な評価結果を、表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】
本発明においては、保護拡散フィルムの入光側(レンズフィルム側)が電離放射線硬化型樹脂よりなる第1の光拡散層なので、レンズフィルムを傷つけなくて済むのである。さらに、保護拡散フィルムの出光側(レンズフィルムの傷付けに関与しない側)が拡散剤(有機ビーズ)を含む熱硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂よりなる第2の光拡散層なので、多種類の凹凸賦型版を準備することなく、拡散剤の添加量や塗工量の調整だけで、各種バックライトの最適光学特性に適するような微妙な光学特性の調整(拡散分光特性の微調整)が容易となるのである。
以上、詳しく説明したように、本発明によれば、レンズフィルムの出光面側に設けられる保護拡散フィルムにおいて、特に、下側に設置されるレンズフィルム(特にその頂部)を傷付けることが無く、且つ拡散分光特性の微調整が容易な保護拡散フィルム及びその製造方法、面光源装置及び液晶表示装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態における保護拡散フィルムの一部を拡大した断面図である。
【図2】Pc1方式を説明する図である。
【図3】光拡散層13Bを形成する工程の概略を説明する図である。
【図4】第1実施形態の保護拡散フィルム10を用いた面光源装置20を設けた液晶表示装置35の断面図である。
【図5】従来の保護拡散フィルム110を用いた面光源装置120を設けた液晶表示装置135の断面図である。
【符号の説明】
10 保護拡散フィルム
11 透明基材
12 拡散剤
13A 第2の光拡散層
13B 第1の光拡散層
20 面光源装置
21 光源
22 面投光手段(導光板)
23 ドットパターン
24 反射フィルム
25 光拡散フィルム
33 液晶表示素子
35 液晶表示装置
40 レンズフィルム
Claims (5)
- レンズフィルムを備えた面光源装置に用いられ、該レンズフィルムの出光面側に設けられる保護拡散フィルムであって、
透明基材と、
前記透明基材の一方の面上に設けられ、拡散剤を含まない電離放射線硬化型樹脂よりなり表面が微細な凹凸形状を有する第1の光拡散層と、前記透明基材のもう一方の面上に設けられ、拡散剤を含む熱硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂よりなる第2の光拡散層と、
を備え、
第1の光拡散層側が該レンズフィルムのレンズ面側を向くように設けられる、
保護拡散フィルム。 - 請求項1に記載の保護拡散フィルムにおいて、拡散剤が有機ビーズであることを特徴とする保護拡散フィルム。
- 前記凹凸形状に対応した型形状を有するシリンダ版を用いて、電離放射線硬化型樹脂に形状を賦型し、前記電離放射線硬化型樹脂に電離放射線を照射して、前記電離放射線硬化型樹脂を硬化させることにより、透明基材の一方の面上に、第1の光拡散層を形成させ、透明基材のもう一方の面上に、拡散剤を含む熱硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂よりなる第2の光拡散層を形成させてなる請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の保護拡散フィルムの製造方法。
- 光源と、
前記光源の光を投光面から所定の方向に面投光する面投光手段と、
前記投光面上に設けられたレンズフィルムと、
前記レンズフィルムの出光面側に設けられた請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の保護拡散フィルムと、
を備える面光源装置。 - 光源と、
前記光源の光を投光面から所定の方向に面投光する面投光手段と、
前記投光面上に設けられたレンズフィルムと、
前記レンズフィルムの出光面側に設けられた請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の保護拡散フィルムと、
前記保護拡散フィルムの出光面側に配置された、透過型の液晶表示素子と、
を備える液晶表示装置。
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