JP3983965B2 - 角底袋製造用積層シートおよび角底袋 - Google Patents
角底袋製造用積層シートおよび角底袋 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、角底袋製造用積層シートおよび角底袋に関し、さらに詳しくは、緩衝性に優れた角底袋を製造するための積層シートおよびこの積層シートにより製造された角底袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
角底袋は、以下に示すような特徴を有している。
(1)セルフ・オープニングの名のとおり、片手で振り下ろすのみで直ちに袋が開いて、その使用がきわめて効率的である。
(2)セルフ・スタンディングとも称されるように、袋を広げて立てた状態とすることができると共に、長方形の袋の底に物を収納したとき、きわめて安定的であって、陳列したり据置しやすい。
(3)角張って収納しにくい物品であっても、異なった形状や種類の物品であっても、たやすく一括して収納することができる。
(4)ベルトコンベアに立てて並べることができるので、自動袋詰機による流れ作業に最適である。
角底袋は、このような利便性を有することから、広く使用されており、紙のほか、セロハン、ポリエチレン等からなるプラスチックフィルム又はシート等を用いて製造されている。
【0003】
ところで、袋に収納する物品は、壊れやすいもの、変形しやすいもの等、多種多様であるため、緩衝性に富んだ袋が要求される。
角底袋に緩衝性を付与するためには、袋の内側に、多数の独立気泡室を有する気泡シートを装着すればよい。
しかしながら、特公平5−77508号公報の第3図、符号8、8’に開示されているように、角底袋の場合には、袋の両サイドにM字状を呈する折線を形成しなければならない上、同公報の第4図、符号12に開示されているように、袋の底部に一旦、8角形状を呈する半完成底を形成させることが必要とされ、その際、同公報の第7〜9図に見られるように、その半完成底を折り畳んで底部を閉じる際にも、折線を形成しなければならない。
また、しっかりとした折線を形成しなければ、気泡シートにより、袋が膨張して必要以上に嵩張ってしまうという不都合を生じる。
一方、しっかりとした折線を形成させるには、折線を形成させる箇所を折り曲げた状態で強く押圧しなければならないが、強く押圧すると、気泡シートの独立気泡室が多数破裂することとなり、その結果、緩衝性を著しく低下させることになるという問題を生じる。
特に、紙製の角底袋を製造するために、従来から使用されている輪転製袋機で気泡シート付き角底袋を製造しようとすると、気泡シートの独立気泡室の破裂割合が、一層高まることとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、緩衝性に優れた角底袋を製造するための積層シートおよびこの積層シートにより製造された角底袋を提供することをその課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の気泡シートを表装用シートに積層接着させた積層シートを用いることによって、輪転製袋機で高速運転して折線をしっかり設けた角底袋を製造したとしても、気泡シートの独立気泡室の破裂割合が小さく、緩衝性に富んだ角底袋を製造しうるということを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明によれば、多数の凸部を有する熱可塑性樹脂フィルムの凸部底面に熱可塑性樹脂フィルムを接着して、両フィルム間に多数の独立気泡室を形成せしめてなる気泡シートの少なくとも一方の面に、表装用シートを該表装用シートの一方の側端部に余葉を残して積層接着して形成した、輪転製袋機を使用して角底袋を製造するための積層シートであって、該積層シートを構成する気泡シートは、フィルムの厚さと独立気泡室の高さの合計が0.7〜7mmであるとともに、該気泡シートから切り出した、長さ65mm、幅600mmの試験用サンプルを、異方向に回転する平行に配置された二本のロールを備えた卓上用試験ロール機のロール間を下記の条件の下に通過させたときに、該独立気泡室の破裂割合が、100個当たり40個以下である耐圧縮性を有することを特徴とする角底袋製造用積層シートが提供される。
[条件]
(i)卓上用試験ロール機として、クローム鋼に硬質クローム鍍金を施した駆動ロールを二本備え、該2つのロールの直径は、いずれも76mmで、そのロールの長さは、いずれも152mmである、株式会社東洋精機製作所の「No.560卓上用試験ロール機」を用いることとする。
(ii)一方のロールの回転速度は、8.6回転min−1の低速度とし、他方のロールの回転速度は、10回転min−1の高速度とする。
(iii)ロール間のクリアランスは、0.30mmとする。
(iv)該気泡シートから切り出した試験用サンプルは、気温23℃、相対湿度50%の部屋に、24時間放置してから、直ちに同室内に設置したロール間を通過させるものとし、この際、気泡シートの独立気泡室側を、上記回転速度の高いロール面に接触させて気泡シートを押圧しながらロール間を通過させ、ロール間を通過させた後、気泡シートの独立気泡室の破裂個数を調べるものとする。
また、本発明によれば、前記角底袋製造用積層シートにより、輪転製袋機を使用して形成されてなる角底袋が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の角底袋製造用積層シートにおいて用いる気泡シートは、多数の独立気泡室を有するもので、それ自体は公知のものである。このような気泡シートは、多数の凸部を有する熱可塑性樹脂フィルムの凸部底面に熱可塑性樹脂フィルムを接着して、両フィルム間に多数の独立気泡室を形成せしめてなるものである。
【0007】
このような気泡シートは、実開平4−69127号公報の第3図に記載されている装置または米国特許第4,314,865号公報の第7〜8図に記載されている装置等を用いて製造することができる。
ただし、実開平4−69127号公報においては、気泡シートの凸部を有する熱可塑性樹脂フィルムに対応するエンボスシートに、ポリオレフィン系樹脂発泡シートが積層されているが、本発明においては、ポリオレフィン系樹脂発泡シートの積層は必要に応じて行なえばよく、通常は、積層する必要はない。
したがって、ポリオレフィン系樹脂発泡シートの積層を行なわない通常の場合では、実開平4−69127号公報の第3図におけるポリオレフィン系樹脂発泡シートの原料ローラーcは不要となる。
【0008】
本発明においては、多数の凸部を有する熱可塑性樹脂フィルムの凸部底面に熱可塑性樹脂フィルムを接着して、両フィルム間に多数の独立気泡室を形成せしめて、緩衝性を有した気泡シートが製造できるものであれば、そのフィルムの表面状態には特に制限はなく、平滑であっても、多少の凹凸を有していてもよい。
【0009】
凸部を有するフィルムやその凸部を有するフィルムに接着させるフィルムを形成する熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−6、ナイロン6−10等の脂肪族ポリアミド樹脂、ポリメタキシリレンアジパミド等の芳香族ポリアミド樹脂、ポリ(メタキシリレン−ヘキサメチレンアジパミド)等の脂肪族−芳香族ポリアミド共重合体樹脂等が挙げられる。
【0010】
上記2種の各フィルムは、いずれも、単層フィルムからなるものであっても、異種の熱可塑性樹脂フィルムを2種以上積層した多層フィルムからなるものであってもよい。
フィルムの厚みには特に制限はないが、通常は、その厚みは2〜100μmであり、好ましくは、3〜60μmである。
フィルムはその厚みが薄くなりすぎると、角底袋製造時の折線形成の際に多数の独立気泡室が破裂されやすくなり、一方、厚みが厚くなりすぎると、気泡シートにしなやかさが乏しくなって、折線が形成されにくくなるので好ましくない。
気泡シートの重量は、1m2当たり、30〜150g、好ましくは35〜100gとするのがよく、この場合には、角底袋製造時の折線形成の際に、多数の独立気泡室が破裂されにくくなる上に、折線の形成を妨げないしなやかなものとなる。
【0011】
本発明の角底袋製造用積層シートにおける気泡シートは、これを異方向に回転する平行に配置された二本の金属製ロール間を通過させたときに、独立気泡室の破裂個数の割合が、100個当たり40個以下となる耐圧縮性を示すものである。
ただし、その独立気泡室の破裂個数は、前記条件により測定されたものである。
前記気泡シートの耐圧縮性の測定装置としては、直径76mm、長さ152mmのクローム鋼に、硬質クローム鍍金を施した駆動ロールを二本備える株式会社東洋精機製作所製「No.560 卓上用試験ロール機」を用いられた。
【0012】
気泡シートを異方向に回転する平行に配置された表面が平滑な二本の金属製ロール間を通過させたときに、独立気泡室の破裂個数の割合が、100個当たり40個以下の気泡シートは、強い力で押圧されたときに、独立気泡室が破裂しにくいものであることを、本発明者らは、実験的に確認している。
この破裂個数の割合が少ないほど独立気泡室は、破裂しにくいものとなる。
したがって、本発明においては、気泡シートの独立気泡室の破裂個数の割合は、100個当たり30個以下が好ましく、より好ましくは、100個当たり20個以下である。さらに好ましくは、100個当たり10個以下である。
また、本発明においては、異方向に回転する平行に配置された二本の金属製ロール間のクリアランスを、0.15mmに変更する以外は、上記条件で測定したときに、独立気泡室の破裂個数が、100個当たり30個以下であることが好ましく、より好ましくは、100個当たり20個以下である。さらに好ましくは、100個当たり10個以下である。
このように、ロール間のクリアランスをより狭くしたとしても、独立気泡室が破裂しにくいものは、角底袋製造時のしっかりとした折線の形成が容易となり、輪転製袋機を使用し、高速運転してしっかりとした折線の形成を施して角底袋を製造しても、気泡シートの独立気泡室の破裂を生じ難いものとなる。
【0013】
角底袋製造時の折線形成の際に、気泡シートの独立気泡室を破裂させにくくする重要な要因としては、次の要因を挙げることができる。
(1)気泡シートの厚さ(フィルムの厚さ+独立気泡室の高さ)をあまり厚くしないこと。ただし、薄くなりすぎると、緩衝効果が劣るようになるので、気泡シートの厚さは、より好ましくは、1〜5mmである。
(2)フィルムの凸部(独立気泡室)と凸部の間に存在する平坦部を強固に接着すること。
(3)気泡シートの各独立気泡室は、表面に弛みまたは皺が生じる程度に内部の圧をやや低下させたものとすることが好ましい。
(4)気泡シートのフィルムの各々は、0.910〜0.928g/cm3の密度の長鎖分岐ポリエチレン樹脂から製造されたフィルムを使用することも可能であるが、角底袋製造時の折線形成の際に気泡シートの各独立気泡室を破裂されにくくする上で好ましいフィルム基材樹脂は、エチレン93〜99.5モル%と炭素数が4〜12のα−オレフィン7〜0.5モル%とのランダム共重合体樹脂であって、かつ樹脂密度が0.930〜0.950g/cm3のポリエチレン系共重合体樹脂単独またはそのポリエチレン系共重合体樹脂を50%以上と他のポリエチレン樹脂50%以下およびその他の合成樹脂もしくは合成ゴム0〜10%の混合樹脂である。他のポリエチレン樹脂としては、0.910〜0.928g/cm3の密度を有する長鎖分岐ポリエチレン樹脂が好ましい。
【0014】
▲5▼上記脂肪族ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂および脂肪族/芳香族ポリアミド共重合体樹脂から選ばれた単独樹脂または2種以上の混合樹脂を基材樹脂とする衝撃強度に優れるフィルムAを、ポリエチレン樹脂、好ましくは上記▲4▼に記載したポリエチレン系共重合樹脂単独またはそのポリエチレン系共重合樹脂を50%以上含有する混合樹脂を基材樹脂とする2枚のフィルムBでサンドイッチした構造の多層フィルム(フィルムAとフィルムBとの間には接着剤層が必要である)を凸部を有するフィルムとその凸部を有するフィルムに接着させるフィルムに使用した気泡シートは、角底袋製造時の折線形成の際に、気泡シートの独立気泡室を破裂されにくくする上で最も好ましい。
両フィルムが共にポリエチレン樹脂フィルム層の間にポリアミド樹脂フィルム層がサンドイッチされた構造となっていると、独立気泡室の空気が外部に透過しにくいので、長期に亘る緩衝性の保持に優れ、また耐熱性が高まるので、表装用シートと接着する際に、接着剤を使用しても、熱接着を使用しても独立気泡室の破裂が生じ難いためで好ましいものとなる。
気泡シートの各フィルムとして上記ポリアミド樹脂フィルム層を含むものは、気泡シートと表装用シートとを接着するに際して、両者の間に両者と熱接着性を有する溶融樹脂を導いて角底袋製造用積層シートを製造することができる。この方法を採用すると接着層(熱接着性を有する溶融樹脂)の厚みを薄くしてもよく接着するので好ましい。また、溶融樹脂の熱は気泡シートの独立気泡室を破壊し易くするが、耐熱性の高いポリアミド樹脂フィルム層の存在により独立気泡室が破壊されにくくなっている。
【0015】
気泡シートの各独立気泡室を上方から見たときの形状には制限はなく、円形、楕円形、三角形、四角形等の種々の形状をとり得る。
独立気泡室1個当たりの体積(気泡シートを水没させて全体の体積を求め、その体積を独立気泡室の個数で割って簡易的に算出した体積)は、10〜1000mm3であることが好ましい。
また、独立気泡室は、100cm2当たり、35〜300個の割合で存在させることが好ましい。
さらには、気泡シートは、その積層シートの幅方向と直交する方向における独立気泡室間(凸部間)に線状平坦部が形成されているものであることが望ましい。このような気泡シートは、角底袋製造時、この線状平坦部が折線の起線となることから折線の形成が容易になり、かつその折線部の強度も高くなることから、品質のよい角底袋を得ることができる。
【0016】
本発明の角底袋製造用積層シートは、このようにして作製された気泡シートを用い、この気泡シートの少なくとも一方の面に表装用シートを積層接着することにより得ることができる。
【0017】
積層シートから角底袋を製造するには、まず、ロール状に巻かれた積層シートを巻き出し、積層シートの側端部に糊等の接着剤を塗着して、積層シート両側端部を重ね合わせて積層接着することによりチューブ状(筒状)に形成する。
次に、このチューブに対して、角底袋の両脇に対応する両側端部にM字状の折線を入れつつ折畳むか又は上記のとおりチューブ状にしながら角底袋の両脇に対応する両側端部にM字状の折線を入れつつ折畳む。
この折畳み工程は、たとえば、特公平6−9888号公報の第1図に示される。
続いて、両側端部が折畳まれたチューブ状の積層シートを、製造しようとする角底袋の高さに応じた適当な長さに切断し、角底袋の底を形成させる側の開放端近傍に、折込みを入れて、一旦、8角形状を呈する半完成底を作製する。
この工程は、たとえば、特公平5−77508号公報の第4図が参考となる。
次に、半完成底の一部に糊等の接着剤を塗着して折り畳んで底を閉じ、底の裏側に補強材を貼付すれば角底袋が製造される。
これらの工程は、たとえば、特公平5−77508号公報の第7〜10図および特公平5−77508号公報の第13図が参考とされる。
尚、本発明の角底袋には、必要に応じて、手提げを可能とする提手を袋の開口部付近に取り付けたり、袋の開口部を封止可能とする剥離紙(封止時に剥離される)付の粘着テープを開口部に取り付けたりすることができる。特に、粘着テープを開口部に取り付けた本発明の上記角底袋は、壊れやすい物品を運送(郵送、宅配)する際の包装緩衝袋として好適である。
【0018】
本発明においては、上記のとおり、気泡シートの凸部(独立気泡室)間に、積層シートの幅方向と直交する方向(M字状の折線を形成する方向)に線状平坦部が形成されていることが好ましい。
この線状平坦部が存在することによって、角底袋の両脇に対応する積層シートチューブの両側端部にM字状の折線を入れる際、各折線の方向と線状平坦部の方向が一致し、きれいな直線状の折線を形成させやすくなり、角底袋のM字状折線の仕上りがきれいになるのである。
なお、気泡シートの表裏の両方に凸部があるときは、一方の面の凸部間における積層シートの幅方向と直交する方向に延びる線状平坦部と、他方の面の凸部間における積層シートの幅方向と直交する方向に延びる線状平坦部の少なくとも一部が一致するように、凸部を配列させる必要がある。
この場合は、たとえば、実公平4−42105号公報の第2図が参考とされる。
【0019】
また、本発明においては、積層シートは、表装用シートの一方の側端部に余葉を残して気泡シートを積層接着させたものであることが好ましい。
すなわち、積層シートの幅方向の側端部における一方の側で、表装用シートを気泡シートよりもはみ出させる。そして、そのはみ出た部分を接着部分として用いる。この表装用シートのはみ出た部分に、糊等の接着剤を塗布して、積層シートの幅方向の側端部上に重ね合わせれば、気泡シートが邪魔にならずに両側端部を接合でき、簡単にチューブ状に加工することができる。
前記のはみ出し部分は、その幅が10〜50mmであることが好ましい。
【0020】
表装用シートとしては、天然パルプ紙、合成紙、装飾加工された合成樹脂フィルムまたはシート等を用いることができ、その厚みは10〜150μmが好ましい。
【0021】
図1に本発明で用いる積層シートの説明平面図を示す。
図1において、1は気泡シート、2は表装用シート、3は独立気泡室(凸部)を示す。aは表装用シートの一方の側端部に形成されたはみ出し部(表装用シートの余葉)を示す。
この積層シートにおいて、表装用シート2は、その一方の側端部に余葉(はみ出し部)aを残して気泡シート1に積層接着されている。余葉aは、接着部として用いられ、これを他方の側端部の表装用シート上に重ねて接着させることにより、チューブを得ることができる。余葉aを他方の側端部の表装用シート上に重ねる箇所は、特公平6−9888号の第1図に示されるように角底袋の両脇に対応する両側端部にM字状折線を形成する箇所であっても構わないが、その箇所は積層シート4枚分の厚さに加えて表装用シートの厚みがプラスされることになるため、強くプレスされると気泡シートの独立気泡室の破裂や空気抜けの原因になりかねない。従って、気泡シートの独立気泡室の破裂や空気抜けを局力防止するためには、余葉aを他方の側端部の表装用シート上に重ねる箇所は、角底袋の両脇に対応する両側端部にM字状折線を形成する箇所を避けることが好ましい。
独立気泡室(凸部)3(1)と3(2)との間、即ち、一点鎖線L1とL2との間には線状平坦部Sが形成される。この線状平坦部Sは、角底袋におけるM字状折線の起線となり、この線状平坦部Sを用いることにより、両側端部にM字状折線を容易に形成することができる。この線状平坦部Sの幅は0.1〜15mmが好ましく、0.2〜10mmがより好ましく、0.3〜5mmが最も好ましい。
【0022】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例によってなんら限定されるものてはない。
【0023】
実施例1
エチレンと少量のα−オレフィンとのランダム共重合体樹脂であって、樹脂密度が0.934g/cm3のポリエチレン系共重合樹脂〔メルトインデックス:(190℃/2.16kg荷重)2g/10min.〕66.7%と、樹脂密度0.923g/cm3の高圧法長鎖分岐ポリエチレン樹脂33.3%との混合ポリエチレン樹脂を溶融して、Tダイスからフィルム状に押出した後、これをエンボスロールにより真空成形して、多数の凸部を有するフィルムを製造した。
一方、同じ混合ポリエチレン樹脂を溶融して、別なTダイスからフィルム状に押出してフィルムとし、このフィルムを、前記凸部の形成は終了しているが未だエンボスロール上にあるフィルムの裏面に導いて、エンボスロールとニップロールとの間で強くプレスして、両フィルムを強固に熱接着して、幅700mmの長尺な気泡シートを製造した。
この気泡シートの1m2当たりの重量は、45.2g(凸部を形成したフィルム重量:他方のフィルム重量=1.8:1)であった。
また、この気泡シートにおいて、各凸部(独立気泡室)の平面形状は直径7mmの円形であり、その高さは約2.6mmであり、独立気泡室1個あたりの体積は、約102mm3であり、独立気泡室の数は100cm2当たり130個の割合で均一に分散されて存在するものであった。
また、独立気泡室は、押出方向には直線状に、押出方向と直交する幅方向には千鳥状に配列されたものであった。
【0024】
この気泡シートから、長さ65mm、幅600mmの試験用サンプル1枚を切り出し、気温23℃、相対湿度50%の部屋に24時間放置してから、直ちに同室内に置かれた、直径76mm、長さ152mmのクローム鋼に硬質クローム鍍金を施した駆動ロールを二本備える株式会社東洋精機製作所の「No.560 卓上用試験ロール機」を使用し、ロール間のクリアランスを0.30mmにしてロール間に試験用サンプルを通した。
この際、一方のロールの回転速度は10回転min-1であり、他方のロールの回転速度は8.6回転min-1であり、両ロールは異方向に回転するものであった。
そして、その独立気泡室側(エンボスフィルム側)を回転速度の速いロール面に接触させて気泡シートを押圧しながら通過させた。
通過後の独立気泡室の破裂個数は、100個当たり0個であった。
また、この気泡シートは、ロール間のクリアランスを0.15mmに変更して同様に試験したところ、ロール通過後の独立気泡室の破裂個数は、100個当たり0個であった。
次に、幅720mm、1m2当たりの重量である坪量が75g/m2の長尺なクラフト紙(表装用シート)を用意し、これと上記気泡シートとを、両者の長手方向を一致させて接着剤で接着して積層シートを得た。
この際、積層シートの幅方向における一方の側端部ではクラフト紙が、気泡シートよりも30mmはみ出るようにクラフト紙と気泡シートをずらして接着した。続いて、積層シートの幅方向における他方の側端部を長手方向に切断して積層シートの幅を710mmとした。
【0025】
この積層シートを、輪転製袋機(紙製の角底袋の製造に使用される輪転製袋機に対して、この積層シートの厚みであっても移送したり、押さえたりできるように改造した輪転製袋機)に16m/min.のスピードで通して、高さが340mm、幅が260mm、袋を広げたときの底の奥行が80mmの、底部裏面に紙製の補強材が貼着された角底袋を連続的に製造した。
得られた角底袋は、折線の直線性に優れた、折線部の膨らみの小さなものであった。
無作為に取り出した角底袋の両脇のM字状を呈する部分において、気泡シートの独立気泡室の破裂個数を調べたところ、100個当たり5個であった。
【0026】
実施例2
気泡シートの凸部(独立気泡室)を下記のように変更した以外は、実施例1と同じ操作を行なって積層シートを製造してから角底袋を製造した。
得られた角底袋は、折線の直線性に優れた、折線部の膨らみの小さなものであった。
無作為に取り出した角底袋の両脇のM字状を呈する部分において気泡シートの独立気泡室の破裂個数を調べたところ、100個当たり17個の割合であった。
なお、変更した点は、次のとおりである。
実施例2の気泡シートは、各独立気泡室の平面形状が直径10mmの円形であり、高さが約3.2mmであり、独立気泡室1個あたりの体積が約255mm3である独立気泡室が100cm2当たり84個の割合で均一に分散されて存在するものであった。
この気泡シートの1m2当たりの重量は、45.5g(凸部を形成したフィルム重量:他方のフィルム重量=1.8:1)であった。
この気泡シートから、長さ65mm、幅600mmの試験用サンプルを1枚切り出し、株式会社東洋精機製作所の「No.560 卓上用試験ロール機」を使用して実施例1と同じ操作を行なって独立気泡室の破裂個数を調べたところ、ロール間クリアランスが、0.30mmのときは独立気泡室の破裂個数は、100個当たり0個であったが、ロール間クリアランスが、0.15mmのときは、独立気泡室の破裂個数は、100個当たり15個であった。
【0027】
比較例1
気泡シートの凸部を下記のように変更した以外は、実施例1と同じ操作を行なって積層シートを製造してから角底袋を製造した。
得られた角底袋は、折線の直線性に優れた、折線部の膨らみの小さなものであった。
無作為に取り出した角底袋の両脇のM字状を呈する部分において、気泡シートの独立気泡室の破裂個数を調べたところ、100個当たり100個であった。
なお、変更した点は、次のとおりである。
比較例1の気泡シートは、各独立気泡室の平面形状が直径30mmの円形であり、高さが約9.6mmであり、独立気泡室1個当たりの体積が、約6796mm3である独立気泡室が、100cm2当たり10個の割合で均一に分散されて存在するものであった。
この気泡シートの1m2当たりの重量は、101.0g(凸部を形成したフィルム重量:他方のフィルム重量=1.8:1)であった。
この気泡シートから、長さ65mm、幅600mmの試験用サンプルを6枚切り出し、株式会社東洋精機製作所の「No.560 卓上用試験ロール機」を使用して、実施例1と同じ操作を行なって独立気泡室の破裂個数を調べたところ、ロール間クリアランスが0.30mmのときも、0.15mmのときも、独立気泡室の破裂個数は100個当たり100個であった。
【0028】
比較例2
気泡シートの凸部を下記のように変更した以外は、実施例1と同じ操作を行なって積層シートを製造してから角底袋を製造した。
得られた角底袋は、折線の直線性に優れた、折線部の膨らみの小さなものであった。
無作為に取りだした角底袋の両脇のM字状を呈する部分において、気泡シートの独立気泡室の破裂個数を調べたところ、100個当たり57個であった。
なお、変更した点は、次のとおりである。
比較例2の気泡シートは、各独立気泡室の平面形状が直径10mmの円形であり、高さが約3.2mmであり、独立気泡室1個あたりの体積が約255mm3である独立気泡室が、100cm2当たり84個の割合で均一に分散されて存在するものであった。
この気泡シートの1m2当たりの重量は、35.1g(凸部を形成したフィルム重量:他方のフィルム重量=1.8:1)であった。
この気泡シートから、長さ65mm、幅600mmの試験用サンプルを1枚切り出し、株式会社東洋精機製作所の「No.560 卓上用試験ロール機」を使用して、実施例1と同じ操作を行なって独立気泡室の破裂個数を調べたところ、ロール間クリアランスが0.30mmのときは、独立気泡室の破裂個数は、100個当たり43個であったが、ロール間クリアランスが0.15mmのときは、独立気泡室の破裂個数は、100個あたり93個であった。
【0029】
実施例3
実施例1と同じ混合ポリエチレン樹脂層、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン層、ナイロン6層、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン層および実施例1と同じ混合ポリエチレン樹脂層が、この順に並ぶようにTダイスから共押出法でフィルム状とした後、これをエンボスロールで真空成形して多数の凸部を有するフィルムを製造した。
一方、同じ混合ポリエチレン樹脂を、別なTダイスから共押出法でフィルムを製造し、このフィルムを、前記凸部の形成は終了しているが未だエンボスロール上にあるフィルムの裏面に導いてエンボスロールとニップロールとの間で強くプレスして、両フィルムを強固に熱接着して、幅700mmの長尺な気泡シートを製造した。
この気泡シートの1m2当たりの重量は、45.1g(凸部を形成したフィルム重量:他方のフィルム重量=1.8:1)であった。
なお、前記2つのフィルムは、いずれも、各フィルムを構成する層の重量比は、混合ポリエチレン樹脂層:無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン層:ナイロン6層:無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン層:混合ポリエチレン樹脂層=48:0.5:3:0.5:48であった。
また、この気泡シートは、各独立気泡室の平面形状が長径8mm、短径3mmの楕円形であり、高さが約1.6mmであり、独立気泡室1個当たりの体積が約36mm3である独立気泡室が100cm2当たり230個の割合で均一に分散されて存在するものであった。
独立気泡室は、押出方向には直線状に、押出方向と直交する幅方向には千鳥状に配列されたものであった。
【0030】
この気泡シートから、長さ65mm、幅600mmの試験用サンプルを1枚切り出し、株式会社東洋精機製作所の「No.560 卓上用試験ロール機」を使用して、実施例1と同じ操作を行なって独立気泡室の破裂個数を調べたところ、ロール間クリアランスが0.30mmのときも、0.15mmのときも、独立気泡室の破裂個数は100個当たり0個であった。
次に、この気泡シートを使用して実施例1と同じ操作を行なって、積層シートを製造し、この積層シートから角底袋を製造した。
ただし、気泡シートとクラフト紙との接着は、両者の間に低密度ポリエチレン樹脂を1m2当たり13.5gの割合でTダイスより押出して、これを両者の間に導いてニップロールを通過させることにより行なった。
得られた角底袋は、折線の直線性に優れた、折線部の膨らみの小さなものであった。
無作為に取り出した角底袋の両脇のM字状を呈する部分において、気泡シートの独立気泡室の破裂個数を調べたところ、100個当たり0個であった。
【0031】
実施例4
気泡シートの凸部を下記のように変更した以外は、実施例3と同じ操作を行なって積層シートを製造し、この積層シートから角底袋を製造した。
得られた角底袋は、折線の直線性に優れた、折線部の膨らみの小さなものであった。
無作為に取り出した角底袋の両脇のM字状を呈する部分において、気泡シートの独立気泡室の破裂個数を調べたところ、100個当たり1個であった。
なお、変更した点は、次のとおりである。
実施例4の気泡シートは、各独立気泡室の平面形状が直径10mmの円形であり、高さが約2.5mmであり、独立気泡室1個当たりの体積が約200mm3である独立気泡室が、100cm2当たり84個の割合で均一に分散されて存在するものであった。
この気泡シートの1m2当たりの重量は、60.8g(凸部を形成したフィルム重量:他方のフィルム重量=1.8:1)であった。
この気泡シートから、長さ65mm、幅600mmの試験用サンプルを1枚切り出し、株式会社東洋精機製作所の「No.560 卓上用試験ロール機」を使用して、実施例1と同じ操作を行なって独立気泡室の破裂個数を調べたところ、ロール間クリアランスが0.30mmのときは、独立気泡室の破裂個数は、100個当たり0個であったが、ロール間クリアランスが0.15mmのときは、独立気泡室の破裂個数は100個当たり1個であった。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、緩衝性に優れた角底袋を輪転製袋機を使用して製造するための積層シートおよびこの積層シートにより輪転製袋機を使用して製造された角底袋が提供され、角底袋の設計、製造工業分野において、多大の寄与をなすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる積層シートの説明平面図を示す。
【符号の説明】
1 気泡シート
2 表装用シート
a 表装用シートの余葉
s 独立気泡部間に形成された線状平坦部
Claims (5)
- 多数の凸部を有する熱可塑性樹脂フィルムの凸部底面に熱可塑性樹脂フィルムを接着して、両フィルム間に多数の独立気泡室を形成せしめてなる気泡シートの少なくとも一方の面に、表装用シートを該表装用シートの一方の側端部に余葉を残して積層接着して形成した、輪転製袋機を使用して角底袋を製造するための積層シートであって、該積層シートを構成する気泡シートは、フィルムの厚さと独立気泡室の高さの合計が0.7〜7mmであるとともに、該気泡シートから切り出した、長さ65mm、幅600mmの試験用サンプルを、異方向に回転する平行に配置された二本のロールを備えた卓上用試験ロール機のロール間を下記の条件の下に通過させたときに、該独立気泡室の破裂割合が、100個当たり40個以下である耐圧縮性を有することを特徴とする角底袋製造用積層シート。
[条件]
(i)卓上用試験ロール機として、クローム鋼に硬質クローム鍍金を施した駆動ロールを二本備え、該2つのロールの直径は、いずれも76mmで、そのロールの長さは、いずれも152mmである、株式会社東洋精機製作所の「No.560卓上用試験ロール機」を用いることとする。
(ii)一方のロールの回転速度は、8.6回転min−1の低速度とし、他方のロールの回転速度は、10回転min−1の高速度とする。
(iii)ロール間のクリアランスは、0.30mmとする。
(iv)該気泡シートから切り出した試験用サンプルは、気温23℃、相対湿度50%の部屋に、24時間放置してから、直ちに同室内に設置したロール間を通過させるものとし、この際、気泡シートの独立気泡室側を、上記回転速度の高いロール面に接触させて気泡シートを押圧しながらロール間を通過させ、ロール間を通過させた後、気泡シートの独立気泡室の破裂個数を調べるものとする。 - 該独立気泡室の破裂割合が、100個当たり30個以下である耐圧縮性を有することを特徴とする請求項1に記載の角底袋製造用積層シート。
- 該気泡シートが、該積層シートの幅方向と直交する方向における独立気泡室間に線状平坦部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の角底袋製造用積層シート。
- 該気泡シートの重量が、1m2当たり30〜150gである請求項1〜3のいずれかに記載の角底袋製造用積層シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の角底袋製造用積層シートにより、輪転製袋機を使用して形成されてなる角底袋。
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