JP3983110B2 - ガスセンサ及びその制御方法並びに車両用空調制御装置 - Google Patents

ガスセンサ及びその制御方法並びに車両用空調制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスセンサ及びその制御方法並びに車両用空調制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特定ガスを検知可能なガス検知素子と、このガス検知素子から出力される出力信号が入力され、出力信号に基づいて雰囲気の汚染を判断し、制御信号を発する制御部とを備えたガスセンサが知られている(特開平5−157714号公報)。ガス検知素子としては、NO2等の酸化ガスを検知可能なWO3等を主とした酸化ガス検知素子や、CO等の還元ガスを検知可能なSnO2等を主とした還元ガス検知素子が用いられている。WO3等を主とした酸化ガス検知素子は、酸化ガスの濃度が高くなれば内部抵抗が大きくなる。他方、SnO2等を主とした還元ガス検知素子は、還元ガスの濃度が高くなれば内部抵抗が小さくなる。このガス検知素子はヒータにより加熱されるようになっている。このガス検知素子の内部抵抗の変化に基づいて出力信号が出力される。制御部は、入力ルーチンによって出力信号の入力を待ち、制御ルーチンによってその出力信号に基づいて雰囲気の汚染を判断し、制御信号を発する。
【0003】
また、上記酸化ガス検知素子と、上記還元ガス検知素子と、酸化ガス検知素子から出力される酸化ガス出力信号が入力され、酸化ガス出力信号に基づいて酸化ガスの検知を判断するとともに、還元ガス検知素子から出力される還元ガス出力信号が入力され、還元ガス出力信号に基づいて還元ガスの検知を判断し、制御信号を発する制御部とを備えた二素子タイプのガスセンサも知られている。これらのガス検知素子は各々のヒータ又は単一のヒータにより加熱されるようになっている。酸化ガス検知素子の内部抵抗の変化に基づいて酸化ガス出力信号が出力され、還元ガス検知素子の内部抵抗の変化に基づいて還元ガス出力信号が出力される。制御部は、入力ルーチンによって酸化ガス出力信号及び還元ガス出力信号の入力を待つ。また、制御部は、制御ルーチンによって、酸化ガス出力信号に基づいて酸化ガスの検知を酸化ガス検知信号として判断するとともに、還元ガス出力信号に基づいて還元ガスの検知を還元ガス検知信号として判断し、これらの出力信号に基づいて雰囲気の汚染を判断し、制御信号を発する。
【0004】
これらのガスセンサは車両用空調制御装置等に用いられる。車両用空調制御装置では、制御部が発する制御信号によって内気と外気とを切換えるフラップを作動させる。こうしてこの車両用空調制御装置では、手動で内気と外気とを切換えることなく、清浄な外気を車内に取り入れるとともに汚染された外気の流入を阻止し、車内空間を快適に保つことが可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、発明者の試験結果によれば、ガスセンサは、長期間の使用により、ガス検知素子の特性が不可避的に変化してしまう。この一方、従来のガスセンサでは、制御部におけるガスの検知を判断するガス検知用閾値が固定され、かつヒータへの供給電力も一定に保たれているに過ぎなかった。このため、従来のガスセンサでは、長期間の使用により、使用初期と比較して特定ガスが同じ濃度変化を生じたときにガス検出素子からの出力信号の挙動が略同等の変化率(一定時間に対する変化の大きさ)を生じ難く、制御信号を正しく発し得ない事態が生じてしまう、つまりガス検知感度が低下してしまうことが明らかとなった。このため、このガスセンサを用いた車両用空調制御装置においては、応答性が低下し、清浄な外気のみの車内への取り入れが困難になる。こうであれば、汚染された外気が車内に流入しやすく、快適な車内空間の確保ができない事態が発生し得る。ここで、「ガス検知感度が一定」とは、特定ガスが同じ濃度変化を生じたとき、略同じタイミングで略同じ出力形態の制御信号を発することをいう。また、本発明において、ガス検知感度のうち、酸化ガスに対するガス検知感度を「酸化ガス検知感度」、還元ガスに対するガス検知感度を「還元ガス検知感度」ともいう。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、長期間の使用によりガス検知素子の特性が変化したとしても、制御信号を可及的に正しく発し得るガスセンサを提供することを解決すべき課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記課題解決のために鋭意研究を行い、ガス検知回数とガス検知素子の特性の変化との関係に着目し、以下の第1〜5発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、第1発明のガスセンサは、特定ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該特定ガスを検知可能な単一のガス検知素子と、該ガス検知素子から出力される出力信号が入力され、該出力信号に基づいてガス検知を判断し、制御信号を発する制御部とを備えたガスセンサにおいて、
【0009】
前記制御部は、前記出力信号に基づいて前記ガス検知が判断されたガス検知回数を一定時間内において把握するガス検知回数把握手段と、
【0010】
該ガス検知回数と基準値とを比較し、前記ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する判断手段と、
【0011】
該判断手段にて前記ガス検知素子の劣化又は過敏が判断されたときにガス検知感度を変更可能な補償手段とを有することを特徴とする。
【0012】
また、第1発明のガスセンサは以下の制御方法に使用可能である。すなわち、第1発明のガスセンサの制御方法は、特定ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該特定ガスを検知可能な単一のガス検知素子から出力される出力信号の入力を待つ入力ルーチンと、該出力信号に基づいてガス検知を判断し、制御信号を発する制御ルーチンとを備えたガスセンサの制御方法において、
【0013】
前記制御ルーチンは、前記出力信号に基づいて前記ガス検知が判断されたガス検知回数を一定時間内において把握するガス検知回数把握ステップと、
【0014】
該ガス検知回数と基準値とを比較し、前記ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する判断ステップと、
【0015】
該判断ステップにて前記ガス検知素子の劣化又は過敏が判断されたときにガス検知感度を変更する補償ステップとを有することを特徴とする。
【0016】
第1発明において、ガス検知素子としては、NO2等の酸化ガスを検知可能なWO3等を主とした酸化ガス検知素子や、CO等の還元ガスを検知可能なSnO2やInO2等を主とした還元ガス検知素子を採用することができる。WO3等を主とした酸化ガス検知素子は、酸化ガスの濃度が高くなれば内部抵抗が大きくなる。SnO2やInO2等を主とした還元ガス検知素子は、還元ガスの濃度が高くなれば内部抵抗が小さくなる。このガス検知素子の内部抵抗の変化に基づいて出力信号が出力され得る。制御部は、入力ルーチンによってガス検知素子から出力される出力信号の入力を待ち、制御ルーチンによってその出力信号に基づいて雰囲気の汚染を判断し、制御信号を発する。
【0017】
この際、第1発明のガスセンサでは、ガス検知回数把握手段(ガス検知回数把握ステップ)が出力信号を処理し、一定時間内におけるガス検知回数を把握する。そして、通常の車両走行時においては、一定時間内におけるガス検知回数が一定範囲内にあると仮定し得ることから、判断手段(判断ステップ)は、ガス検知回数と基準値とを比較し、ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する。その後、補償手段(補償ステップ)は、判断手段(判断ステップ)の出力に基づいてガス検知感度を変更する。つまり、補償手段(補償ステップ)は、ガス検知素子が劣化してガス検知感度が低下すると、ガス検知感度を上げる。また、補償手段(補償ステップ)は、ガス検知素子が過敏になってガス検知感度が過剰となれば、ガス検知感度を下げる。
【0018】
したがって、第1発明のガスセンサによれば、長期間の使用によりガス検知素子の特性が変化したとしても、制御信号を可及的に正しく発することができる。
【0019】
第1発明のガスセンサでは、判断手段(判断ステップ)はガス検知回数が基準値より少ない時にガス検知素子の劣化を判断し、補償手段(補償ステップ)はガス検知感度を上げることができる。ガス検知素子が劣化すると、正常時に比べてガス検知回数が極端に少なくなるためである。
【0020】
また、第1発明のガスセンサでは、判断手段(判断ステップ)はガス検知回数が基準値より多い時にガス検知素子の過敏を判断し、補償手段(補償ステップ)はガス検知感度を下げることができる。ガス検知素子が過敏になると、正常時に比べてガス検知回数が極端に多くなるためである。
【0021】
さらに、第1発明のガスセンサでは、判断手段(判断ステップ)はガス検知回数が第1基準値より少ない時にガス検知素子の劣化を判断し、補償手段(補償ステップ)はガス検知感度を上げる一方、判断手段(判断ステップ)はガス検知回数が第2基準値より多い時にガス検知素子の過敏を判断し、補償手段(補償ステップ)はガス検知感度を下げることができる。こうであれば、ガス検知素子の劣化及び過敏の両方に対して、補償手段(補償ステップ)によりガス検知感度を補償することができる。なお、第2基準値が第1基準値よりも大きいことはいうまでもない。
【0022】
第1発明のガスセンサにおいて、補償手段(補償ステップ)は出力信号に基づいてガス検知を判断するために設定されたガス検知用閾値の大きさを変更することができる。ガス検知用閾値を下げることによりガス検知回数を多くすることができるため、ガス検知感度を上げることができるからである。また、ガス検知用閾値を上げることによりガス検知回数を少なくすることができるため、ガス検知感度を下げることができるからである。
【0023】
また、第1発明のガスセンサにおいて、補償手段(補償ステップ)はガス検知素子を加熱可能なヒータへの供給電力を変更することができる。ガス検知素子からの出力信号は一般的に温度に依存することから、ヒータへの供給電力を変更して該ヒータによる発熱量を変更することによりガス検知素子の温度が変化することになる。その結果、ガス検知素子からの出力信号を変更させることができ、ガス検知感度を変更できる。
【0024】
第2発明のガスセンサは、酸化ガス及び還元ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該酸化ガス及び還元ガスを検知可能な単一のガス検知素子と、該ガス検知素子から出力される出力信号が入力され、該出力信号に基づいてガス検知を判断し、制御信号を発する制御部とを備えたガスセンサにおいて、
【0025】
前記制御部は、前記出力信号に基づいて、前記酸化ガスの前記ガス検知が判断された酸化ガス検知回数及び前記還元ガスの前記ガス検知が判断された還元ガス検知回数を一定時間内において把握するガス検知回数把握手段と、
【0026】
該酸化ガス検知回数と第1基準値とを比較し、及び/又は該還元ガス検知回数と第2基準値とを比較し、前記ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する判断手段と、
【0027】
該判断手段にて前記ガス検知素子の劣化又は過敏が判断されたときにガス検知感度を変更可能な補償手段とを有することを特徴とする。
【0028】
また、第2発明のガスセンサは以下の制御方法に使用可能である。すなわち、第2発明のガスセンサの制御方法は、酸化ガス及び還元ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該酸化ガス及び還元ガスを検知可能な単一のガス検知素子から出力される出力信号の入力を待つ入力ルーチンと、該出力信号に基づいてガス検知を判断し、制御信号を発する制御ルーチンとを備えたガスセンサの制御方法において、
【0029】
前記制御ルーチンは、前記出力信号に基づいて、前記酸化ガスの前記ガス検知が判断された酸化ガス検知回数及び前記還元ガスの前記ガス検知が判断された還元ガス検知回数を一定時間内において把握するガス検知回数把握ステップと、
【0030】
該酸化ガス検知回数と第1基準値とを比較し、及び/又は該還元ガス検知回数と第2基準値とを比較し、前記ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する判断ステップと、
【0031】
該判断ステップにて前記ガス検知素子の劣化又は過敏が判断されたときにガス検知感度を変更する補償ステップとを有することを特徴とする。
【0032】
第2発明のガスセンサはガス検知素子を酸化ガス及び還元ガスを検知可能なものとしている。このような単一のガス検知素子として、例えば特許3024217号公報記載のものがある。制御部は、入力ルーチンによってそのガス検知素子から出力される出力信号の入力を待ち、制御ルーチンによってその出力信号に基づいて酸化ガス及び還元ガスの検知を判断し、制御信号を発する。
【0033】
この際、第2発明のガスセンサでは、ガス検知回数把握手段(ガス検知回数把握ステップ)が出力信号を処理し、一定時間内における酸化ガス検知回数及び還元ガス検知回数を把握する。そして、通常の車両走行時においては、一定時間内における酸化ガス検知回数及び還元ガス検知回数が一定範囲内にあると仮定し得ることから、判断手段(判断ステップ)は、酸化ガス検知回数と第1基準値とを比較したり、還元ガス検知回数と第2基準値とを比較したりし、ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する。その後、補償手段(補償ステップ)は、判断手段(判断ステップ)の出力に基づいてガス検知感度を変更する。つまり、補償手段(判断ステップ)は、ガス検知素子が劣化してガス検知感度が低下すると、ガス検知感度を上げる。また、補償手段(判断ステップ)は、ガス検知素子が過敏になってガス検知感度が過剰となれば、ガス検知感度を下げる。
【0034】
したがって、第2発明のガスセンサでも、長期間の使用によりガス検知素子の特性が変化したとしても、制御信号を可及的に正しく発することができる。
【0035】
第2発明のガスセンサでは、判断手段(判断ステップ)は酸化ガス検知回数が第1基準値より少ない時、又は還元ガス検知回数が第2基準値より少ない時に、ガス検知素子の劣化を判断し、補償手段(補償ステップ)はガス検知感度を上げることができる。ガス検知素子が劣化すると、正常時に比べて酸化ガス検知回数又は還元ガス検知回数が極端に少なくなるためである。
【0036】
また、第2発明のガスセンサでは、判断手段(判断ステップ)は酸化ガス検知回数が第1基準値より多い時、又は還元ガス検知回数が第2基準値より多い時に、ガス検知素子の過敏を判断し、補償手段(補償ステップ)はガス検知感度を下げることができる。ガス検知素子が過敏になると、正常時に比べて酸化ガス検知回数又は還元ガス検知回数が極端に多くなるためである。
【0037】
さらに、第2発明のガスセンサでは、第1基準値として互いに値が異なる第1上限基準値と第1下限基準値とが設定されるとともに、第2基準値として互いに値が異なる第2上限基準値と第2下限基準値とが設定されており、判断手段(判断ステップ)は酸化ガス検知回数が第1下限基準値より少ない時、又は還元ガス検知回数が第2下限基準値より少ない時に、ガス検知素子の劣化を判断し、補償手段(補償ステップ)はガス検知感度を上げる一方、判断手段(判断ステップ)は酸化ガス検知回数が第1上限基準値より多い時、又は還元ガス検知回数が第2上限基準値より多い時に、ガス検知素子の過敏を判断し、補償手段(補償ステップ)はガス検知感度を下げることができる。こうであれば、ガス検知素子の劣化及び過敏の両方に対して、補償手段(補償ステップ)によりガス検知感度を補償することができる。なお、第1、2上限基準値が第1、2下限基準値よりも大きいことはいうまでもない。
【0038】
第2発明のガスセンサにおいて、補償手段(補償ステップ)は出力信号に基づいてガス検知を判断するために設定されたガス検知用閾値の大きさを変更することができる。ガス検知用閾値を下げることにより酸化ガス検知回数又は還元ガス検知回数を多くすることができるため、ガス検知感度を上げることができるからである。また、ガス検知用閾値を上げることにより酸化ガス検知回数又は還元ガス検知回数を少なくすることができるため、ガス検知感度を下げることができるからである。
【0039】
また、第2発明のガスセンサにおいて、補償手段(補償ステップ)はガス検知素子を加熱可能なヒータへの供給電力を変更することができる。第1発明と同様、これによりガス検知感度を変更できるからである。
【0040】
第3発明のガスセンサは、酸化ガス及び還元ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該酸化ガス及び還元ガスを検知可能な単一のガス検知素子と、該ガス検知素子から出力される出力信号が入力され、該出力信号に基づいてガス検知を判断し、制御信号を発する制御部とを備えたガスセンサにおいて、
【0041】
前記制御部は、前記出力信号に基づいて、前記酸化ガスの前記ガス検知が判断された酸化ガス検知回数及び前記還元ガスの前記ガス検知が判断された還元ガス検知回数を把握するガス検知回数把握手段と、
【0042】
該酸化ガス検知回数と該還元ガス検知回数とを比較し、前記ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する判断手段と、
【0043】
該判断手段にて前記ガス検知素子の劣化又は過敏が判断されたときにガス検知感度を変更可能な補償手段とを有することを特徴とする。
【0044】
また、第3発明のガスセンサは以下の制御方法に使用可能である。すなわち、第3発明のガスセンサの制御方法は、酸化ガス及び還元ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該酸化ガス及び還元ガスを検知可能な単一のガス検知素子から出力される出力信号の入力を待つ入力ルーチンと、該出力信号に基づいてガス検知を判断し、制御信号を発する制御ルーチンとを備えたガスセンサの制御方法において、
【0045】
前記制御ルーチンは、前記出力信号に基づいて、前記酸化ガスの前記ガス検知が判断された酸化ガス検知回数及び前記還元ガスの前記ガス検知が判断された還元ガス検知回数を把握するガス検知回数把握ステップと、
【0046】
該酸化ガス検知回数と該還元ガス検知回数とを比較し、前記ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する判断ステップと、
【0047】
該判断ステップにて前記ガス検知素子の劣化又は過敏が判断されたときにガス検知感度を変更する補償ステップとを有することを特徴とする。
【0048】
第3発明のガスセンサも、第2発明と同様、ガス検知素子を酸化ガス及び還元ガスを検知可能なものとしている。制御部は、入力ルーチンによってガス検知素子から出力される出力信号の入力を待ち、制御ルーチンによってその出力信号に基づいて酸化ガス及び還元ガスの検知を判断し、制御信号を発する。
【0049】
この際、第3発明のガスセンサでは、ガス検知回数把握手段(ガス検知回数把握ステップ)が出力信号を処理し、一定時間内における酸化ガス検知回数及び還元ガス検知回数を把握する。そして、通常の車両走行時においては、一定時間内における酸化ガス検知回数及び還元ガス検知回数が一定範囲内にあると仮定し得ることから、判断手段(判断ステップ)は、酸化ガス検知回数と還元ガス検知回数とを比較し、ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する。その後、補償手段(補償ステップ)は、第2発明と同様、判断手段(判断ステップ)の出力に基づいてガス検知感度を変更する。
【0050】
したがって、第3発明のガスセンサでも、長期間の使用によりガス検知素子の特性が変化したとしても、制御信号を可及的に正しく発することができる。
【0051】
第3発明のガスセンサでは、判断手段(判断ステップ)は酸化ガス検知回数及び還元ガス検知回数の一方が第1基準値に達した時における酸化ガス検知回数及び還元ガス検知回数の他方と第2基準値との差を判断することができる。ガス検知素子における酸化ガスの検知能力及び還元ガスの検知能力の一方が他方に比べて低下し難い場合、この判断手段(判断ステップ)を採用することができる。この場合、ガス検知素子の一方のガス検知回数を基準とした他方のガス検知回数から、他方のガスの検知能力の低下を判断できるからである。
【0052】
第3発明のガスセンサにおいても、第2発明と同様、補償手段(補償ステップ)は出力信号に基づいてガス検知を判断するために設定されたガス検知用閾値の大きさを変更することができる。
【0053】
また、第3発明のガスセンサにおいて、補償手段(補償ステップ)はガス検知素子を加熱可能なヒータへの供給電力を変更することができる。第1、2発明と同様、これによりガス検知感度を変更できるからである。
【0054】
第4発明のガスセンサは、酸化ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該酸化ガスを検知可能な酸化ガス検知素子と、還元ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該還元ガスを検知可能な還元ガス検知素子と、該酸化ガス検知素子から出力される酸化ガス出力信号が入力され、該酸化ガス出力信号に基づいて酸化ガス検知を判断するとともに、該還元ガス検知素子から出力される還元ガス出力信号が入力され、該還元ガス出力信号に基づいて還元ガス検知を判断し、制御信号を発する制御部とを備えたガスセンサにおいて、
【0055】
前記制御部は、前記酸化ガス出力信号に基づいて前記酸化ガス検知が判断された酸化ガス検知回数を一定時間内において把握する酸化ガス検知回数把握手段と、
【0056】
前記還元ガス出力信号に基づいて前記還元ガス検知が判断された還元ガス検知回数を一定時間内において把握する還元ガス検知回数把握手段と、
【0057】
該酸化ガス検知回数と第1基準値とを比較し、及び/又は該還元ガス検知回数と第2基準値とを比較し、前記酸化ガス検知素子及び/又は前記還元ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する判断手段と、
【0058】
該判断手段にて前記酸化ガス検知素子及び/又は前記還元ガス検知素子の劣化又は過敏が判断されたときに酸化ガス検知感度及び/又は還元ガス検知感度を変更可能な補償手段とを有することを特徴とする。
【0059】
また、第4発明のガスセンサは以下の制御方法に使用可能である。すなわち、第4発明のガスセンサの制御方法は、酸化ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該酸化ガスを検知可能な酸化ガス検知素子から出力される酸化ガス出力信号、及、還元ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該還元ガスを検知可能な還元ガス検知素子から出力される還元ガス出力信号の入力を待つ入力ルーチンと、該酸化ガス出力信号に基づいて酸化ガス検知を判断するとともに該還元ガス出力信号に基づいて還元ガス検知を判断し、制御信号を発する制御ルーチンとを備えたガスセンサの制御方法において、
【0060】
前記制御ルーチンは、前記酸化ガス出力信号に基づいて前記酸化ガス検知が判断された酸化ガス検知回数を一定時間内において把握する酸化ガス検知回数把握ステップと、
【0061】
前記還元ガス出力信号に基づいて前記酸化ガス検知が判断された還元ガス検知回数を一定時間内において把握する還元ガス検知回数把握ステップと、
【0062】
該酸化ガス検知回数と第1基準値とを比較し、及び/又は該還元ガス検知回数と第2基準値とを比較し、前記酸化ガス検知素子及び/又は前記還元ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する判断ステップと、
【0063】
該判断ステップにて前記酸化ガス検知素子及び/又は前記還元ガス検知素子の劣化又は過敏が判断されたときに酸化ガス検知感度及び/又は還元ガス検知感度を変更する補償ステップとを有することを特徴とする。
【0064】
第4発明のガスセンサは、酸化ガス検知素子と還元ガス検知素子との二つのガス検知素子を備えている。酸化ガス検知素子がWO3等を主としたものである場合、この酸化ガス検知素子の内部抵抗は、酸化ガスの濃度が高くなれば大きくなる。また、還元ガス検知素子がSnO2やInO2等を主としたものである場合、この還元ガス検知素子の内部抵抗は、還元ガスの濃度が高くなれば小さくなる。制御部は、入力ルーチンによって酸化ガス検知素子から出力される酸化ガス出力信号及び還元ガス検知素子から出力される還元ガス出力信号の入力を待つ。また、制御部は、制御ルーチンによって、酸化ガス出力信号に基づいて酸化ガスの検知を判断し、還元ガス出力信号に基づいて還元ガスの検知を判断し、制御信号を発する。
【0065】
この際、第4発明のガスセンサでは、酸化ガス検知回数把握手段(酸化ガス検知回数把握ステップ)が酸化ガス出力信号を処理し、一定時間内における酸化ガス検知回数を把握する。また、還元ガス検知回数把握手段(還元ガス検知回数把握ステップ)が還元ガス出力信号を処理し、一定時間内における還元ガス検知回数を把握する。そして、通常の走行時においては、一定時間内における酸化ガス検知回数及び還元ガス検知回数が一定範囲内にあると仮定し得ることから、判断手段(判断ステップ)は、酸化ガス検知回数と第1基準値とを比較したり、還元ガス検知回数と第2基準値とを比較したりし、ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する。その後、補償手段(補償ステップ)は、判断手段(判断ステップ)の出力に基づいて酸化ガス検知又は還元ガス検知に対するガス検知感度を変更する。つまり、補償手段(補償ステップ)は、酸化ガス検知素子が劣化して酸化ガス検知感度が低下すると、酸化ガス検知感度を上げる。他方、補償手段(補償ステップ)は、還元ガス検知素子が劣化して還元ガス検知感度が低下すると、還元ガス検知感度を上げる。また、補償手段(補償ステップ)は、酸化ガス検知素子が過敏になって酸化ガス検知感度が過剰となれば、酸化ガス検知感度を下げる。他方、補償手段(補償ステップ)は、還元ガス検知素子が過敏になって還元ガス検知感度が過剰となれば、還元ガス検知感度を下げる。
【0066】
したがって、第4発明のガスセンサでも、長期間の使用により酸化ガス検知素子又は還元ガス検知素子の特性が変化したとしても、制御信号を可及的に正しく発することができる。
【0067】
第4発明のガスセンサでは、判断手段(判断ステップ)は酸化ガス検知回数が第1基準値より少ない時に酸化ガス検知素子の劣化を判断し、還元ガス検知回数が第2基準値より少ない時に還元ガス検知素子の劣化を判断し、補償手段(補償ステップ)は酸化ガス検知感度及び/又は還元ガス検知感度を上げることができる。これにより、酸化ガス検知素子及び/又は還元ガス検知素子が劣化してそれぞれに対するガス検知感度が低下すると、補償手段(補償ステップ)によりガス検知感度を上げることができる。酸化ガス検知素子が劣化すると、正常時に比べて酸化ガス検知回数が極端に少なくなり、還元ガス検知素子が劣化すると、正常時に比べて還元ガス検知回数が極端に少なくなるためである。
【0068】
また、第4発明のガスセンサでは、判断手段(判断ステップ)は酸化ガス検知回数が第1基準値より多い時に酸化ガス検知素子の過敏を判断し、還元ガス検知回数が第2基準値より多い時に還元ガス検知素子の過敏を判断し、補償手段(補償ステップ)は酸化ガス検知感度及び/又は還元ガス検知感度を下げることができる。酸化ガス検知素子が過敏になると、正常時に比べて酸化ガス検知回数が極端に多くなり、還元ガス検知素子が過敏になると、正常時に比べて還元ガス検知回数が極端に多くなるためである。
【0069】
さらに、第4発明のガスセンサでは、第1基準値として互いに値が異なる第1上限基準値と第1下限基準値とが設定されるとともに、第2基準値として互いに値が異なる第2上限基準値と第2下限基準値とが設定されており、判断手段(判断ステップ)は酸化ガス検知回数が第1下限基準値より少ない時に酸化ガス検知素子の劣化を判断し、還元ガス検知回数が第2下限基準値より少ない時に還元ガス検知素子の劣化を判断し、補償手段(補償ステップ)は酸化ガス検知感度及び/又は還元ガス検知感度を上げる一方、判断手段(判断ステップ)は酸化ガス検知回数が第1上限基準値より多い時に酸化ガス検知素子の過敏を判断し、還元ガス検知回数が第2上限基準値より多い時に還元ガス検知素子の過敏を判断し、補償手段(補償ステップ)は酸化ガス検知感度及び/又は還元ガス検知感度を下げる下げることができる。こうであれば、ガス検知素子の劣化及び過敏の両方に対して、補償手段(補償ステップ)によりガス検知感度を補償することができる。なお、第1、2上限基準値が第1、2下限基準値よりも大きいことはいうまでもない。
【0070】
第4発明のガスセンサにおいて、補償手段(補償ステップ)は酸化ガス出力信号に基づいて酸化ガス検知を判断するために設定された酸化ガス検知用閾値及び/又は還元ガス出力信号に基づいて還元ガス検知を判断するために設定された還元ガス検知用閾値の大きさを変更することができる。ガス検知用閾値を下げることにより酸化ガス検知回数又は還元ガス検知回数を多くすることができるため、ガス検知感度を上げることができるからである。また、ガス検知用閾値を上げることにより酸化ガス検知回数又は還元ガス検知回数を少なくすることができるため、ガス検知感度を下げることができるからである。
【0071】
また、第4発明のガスセンサにおいて、補償手段(補償ステップ)は酸化ガス検知素子及び/又は還元ガス検知素子を加熱可能なヒータへの供給電力を変更することができる。第1〜3発明と同様、これによりガス検知感度を変更できるからである。
【0072】
第5発明のガスセンサは、酸化ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該酸化ガスを検知可能な酸化ガス検知素子と、還元ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに還元ガスを検知可能な還元ガス検知素子と、該酸化ガス検知素子から出力される酸化ガス出力信号が入力され、該酸化ガス出力信号に基づいて酸化ガス検知を判断するとともに、該還元ガス検知素子から出力される還元ガス出力信号が入力され、該還元ガス出力信号に基づいて還元ガス検知を判断し、制御信号を発する制御部とを備えたガスセンサにおいて、
【0073】
前記制御部は、前記酸化ガス出力信号に基づいて前記酸化ガス検知が判断された酸化ガス検知回数を把握する酸化ガス検知回数把握手段と、
【0074】
前記還元ガス出力信号に基づいて前記還元ガス検知が判断された還元ガス検知回数を把握する還元ガス検知回数把握手段と、
【0075】
該酸化ガス検知回数と該還元ガス検知回数とを比較し、前記酸化ガス検知素子又は前記還元ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する判断手段と、
【0076】
該判断手段にて前記酸化ガス検知素子及び/又は前記還元ガス検知素子の劣化又は過敏が判断されたときに酸化ガス検知感度及び/又は還元ガス検知感度を変更可能な補償手段とを有することを特徴とする。
【0077】
また、第5発明のガスセンサは以下の制御方法に使用可能である。すなわち、第5発明のガスセンサの制御方法は、酸化ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該酸化ガスを検知可能な酸化ガス検知素子から出力される酸化ガス出力信号、及、還元ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該還元ガスを検知可能な還元ガス検知素子から出力される還元ガス出力信号の入力を待つ入力ルーチンと、該酸化ガス出力信号に基づいて酸化ガス検知を判断するとともに該還元ガス出力信号に基づいて還元ガス検知を判断し、制御信号を発する制御ルーチンとを備えたガスセンサの制御方法において、
【0078】
前記制御ルーチンは、前記酸化ガス出力信号に基づいて前記酸化ガス検知が判断された酸化ガス検知回数を把握する酸化ガス検知回数把握ステップと、
【0079】
前記還元ガス出力信号に基づいて前記還元ガス検知が判断された還元ガス検知回数を把握する還元ガス検知回数把握ステップと、
【0080】
該酸化ガス検知回数と該還元ガス検知回数とを比較し、前記酸化ガス検知素子及び/又は前記還元ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する判断ステップと、
【0081】
該判断ステップにて前記酸化ガス検知素子及び/又は前記還元ガス検知素子の劣化又は過敏が判断されたときに酸化ガス検知感度又は還元ガス検知感度を変更する補償ステップとを有することを特徴とする。
【0082】
第5発明のガスセンサも、第4発明と同様、酸化ガス検知素子と還元ガス検知素子との二つのガス検知素子を備えている。制御部は、酸化ガス検知素子から出力される酸化ガス出力信号が入力され、酸化ガス出力信号に基づいて酸化ガスの検知を判断するとともに、還元ガス検知素子から出力される還元ガス出力信号が入力され、還元ガス出力信号に基づいて還元ガスの検知を判断し、制御信号を発する。
【0083】
この際、第5発明のガスセンサでは、酸化ガス検知回数把握手段(酸化ガス検知回数把握ステップ)が酸化ガス出力信号を処理し、一定時間内における酸化ガス検知回数を把握する。また、還元ガス検知回数把握手段(還元ガス検知回数把握ステップ)が還元ガス出力信号を処理し、一定時間内における還元ガス検知回数を把握する。そして、通常の走行時においては、一定時間内における酸化ガス検知回数及び還元ガス検知回数が一定範囲内にあると仮定し得ることから、判断手段(判断ステップ)は、酸化ガス検知回数と還元ガス検知回数とを比較し、酸化ガス検知素子又は還元ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する。その後、補償手段(補償ステップ)は、第4発明と同様、判断手段(判断ステップ)の出力に基づいてガス検知感度を変更する。
【0084】
したがって、第5発明のガスセンサでも、長期間の使用により酸化ガス検知素子又は還元ガス検知素子の特性が変化したとしても、制御信号を可及的に正しく発することができる。
【0085】
第5発明のガスセンサでは、判断手段(判断ステップ)は酸化ガス検知回数及び還元ガス検知回数の一方が第1基準値に達した時における酸化ガス検知回数及び還元ガス検知回数の他方と第2基準値との差を判断することができる。酸化ガス検知素子及び還元ガス検知素子の一方が他方に比べて劣化し難かったり、過敏になり難かったりする場合、この判断手段を採用することができる。この場合、酸化ガス検知回数及び還元ガス検知回数の一方を基準とした他方から、他方のガス検知素子の劣化又は過敏を判断できるからである。
【0086】
第5発明のガスセンサにおいても、第4発明と同様、補償手段(補償ステップ)は酸化ガス出力信号に基づいて酸化ガス検知を判断するために設定された酸化ガス検知用閾値及び/又は還元ガス出力信号に基づいて還元ガス検知を判断するために設定された還元ガス検知用閾値の大きさを変更することができる。
【0087】
また、第5発明のガスセンサにおいて、補償手段(補償ステップ)は酸化ガス検知素子及び/又は還元ガス検知素子を加熱可能なヒータへの供給電力を変更することができる。第4発明と同様、これによりガス検知感度を変更できるからである。
【0088】
第1〜5発明のガスセンサは車両用空調制御装置に使用可能である。この車両用空調制御装置は、ガスセンサと接続され、ガスセンサの制御部から発せられる制御信号によって内気と外気とを切換えるフラップを作動させるものである。この車両用空調制御装置では、手動で内気と外気とを切換えることなく、より正確に清浄な外気を車内に取り入れるとともに汚染された外気の流入を阻止し、車内空間を快適に保つことが可能である。
【0089】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態1〜5を図面を参照しつつ説明する。
【0090】
(実施形態1)
実施形態1のガスセンサは、図1に示すように、第1発明を具体化する車両用空調制御装置に使用されている。この車両用空調制御装置は、NOx等の酸化ガスを検知して制御信号を発するガスセンサ1と、車内への外気の取り入れと内気の循環とをフラップ94により切換える換気系90と、制御信号により換気系90のフラップ94を駆動するフラップ駆動アッセンブリ80とを具備している。
【0091】
ガスセンサ1は、ガス検知素子としてのD素子2と、D素子2の近傍に設けられたヒータ4と、D素子2と接続されたマイコン5と、マイコン5及びヒータ4と接続されたヒータ制御回路8とを備えている。マイコン5及びヒータ制御回路8が制御部である。
【0092】
D素子2は、酸化ガスを検知可能なWO3等を主とした酸化ガス検知素子であり、図2に示すように、酸化ガスの濃度が高くなれば内部抵抗が大きくなるものである。なお、図2は、湿度60%のNO2を酸化ガスとし、ガス検知前の内部抵抗R0とガス検知時の内部抵抗RSとの比(RS/R0)をD素子2の感度とし、ガス濃度(p.p.m.)とD素子2の感度との関係を示している。
【0093】
図1に示すように、D素子2は内部抵抗に対応した電圧を酸化ガス出力信号VDとして出力し、この酸化ガス出力信号VDはマイコン5に入力される。より具体的には、D素子2の一端を図示しない電源電圧(例えば5V)に接続する一方、その他端を一定の抵抗値を有するとともに他端が接地された図示しない検出抵抗器の一端に接続し、D素子2と検出抵抗器との接続点(動作点)の電位(電圧)を図示しないA/D変換回路に出力する。そして、所定のサイクル時間毎にデジタル化された酸化ガス出力信号VDがマイコン5の入力端子に入力される。ヒータ制御回路8はマイコン5から発せられるヒータ4への加熱指令が入力され、電流をヒータ4に通電する。なお、ヒータ制御回路8は、ヒータ4に電力を供給する図示しない車載用バッテリ(例えば、12V)のバッテリ電圧を検出し、マイコン5にバッテリ電圧信号を出力する。そして、マイコン5は、そのバッテリ電圧信号に基づき、ヒータ4に供給する電力を制御するための指令をヒータ制御回路8に出力し、その指令に応じてヒータ制御回路8に備えられるスイッチング素子をスイッチング制御することで、ヒータ4へ所望の電力が供給されるようになる。これによりヒータ4によりD素子2が加熱されるようになっている。また、マイコン5より換気系90のフラップ94を制御する制御信号LVが出力されるようになっている。この際、マイコン5は、D素子2の劣化又は過敏を判断してガス検知感度を変更する。
【0094】
フラップ駆動アッセンブリ80は、駆動回路81とアクチュエータ82とを備えている。駆動回路81は、ガスセンサ1のマイコン5から入力した制御信号LVによりアクチュエータ82を作動するようになっている。これによりアクチュエータ82により換気系90のフラップ94が駆動される。
【0095】
換気系90は、車内ダクト91、内気ダクト92、外気ダクト93、フラップ94及びファン95を備えている。外気ダクト93は外気を取り入れ、内気ダクト92は車内の内気を循環させるようになっている。フラップ94は、フラップ駆動アッセンブリ80により駆動され、外気ダクト93と内気ダクト92とを切換えて車内ダクト91に接続するようになっている。そして、車内ダクト91内に設けられたファン95により、車内に空気が強制的に送風される。
【0096】
以上の構成をした車両用空調制御装置のガスセンサ1について、マイコン5によりD素子2の劣化又は過敏を判断してガス検知感度を変更する方法を説明する。まず、図3に示すように、マイコン5により処理が開始されると、ステップS1が実行される。ステップS1では、酸化ガスが検知されたかどうかをチェックする。つまり、酸化ガス出力信号VDより一定時間内におけるガス検知回数が把握される。このステップS1がガス検知回数把握手段である。ここで、実施形態1では、入力した酸化ガス出力信号VDと、入力した酸化ガス出力信号VDから遡って一定個分(例えば30個分)の酸化ガス出力信号VDの平均値との差分値がガス検知用閾値を超えた場合、酸化ガスが検知されたと判断している。そして、この差分値がガス検知用閾値を1回超える毎にガス検知回数を1カウントしている。ステップS1を実行後、ステップS2が実行される。
【0097】
ステップS2では、一定時間が経過したか否かをチェックする。一定時間が経過した場合(YES)、ステップS3に進む。また、一定時間が経過しない場合(NO)、ステップS1に戻る。
【0098】
ステップS3では、D素子2が劣化したと判断されると、ガス検知用閾値の大きさを順次下降させる。また、D素子2が過敏である判断されると、ガス検知用閾値の大きさを順次上昇させる。ステップS3を実行後、ステップS1に戻る。ここで、D素子2の劣化又は過敏はガス検知回数と基準値との差により判断される。つまり、ガス検知回数が下限基準値より小さい場合、D素子2が劣化したと判断され、ガス検知回数が上限基準値より大きい場合、D素子2が過敏であると判断される。これは、通常の車両走行時においては、一定時間内におけるガス検知回数が一定範囲内にあると仮定し得るためである。
【0099】
以下、マイコン5によりD素子2の劣化又は過敏を判断してガス検知感度を変更する具体的な方法を詳説する。まず、図4に示すように、マイコン5により処理が開始されるとステップS10が実行される。ステップS10では、フラグやカウンタの初期化が行われる。初期値は、DS=300、NDT=0である。ここで、DSはD素子2のガス検知用閾値である。また、NDTは一定時間内のガス検知回数を示すカウンタである。ステップS10を実行後、ステップS11が実行される。
【0100】
ステップS11では、タイマをセットし、スタートする。これにより、15分間の酸化ガスの検知が開始される。ステップS11を実行後、ステップS12が実行される。
【0101】
ステップS12では、酸化ガスが検知されたかどうかをチェックする。なお、酸化ガス出力信号VDは0.4ms毎にサンプリングされ、その都度酸化ガスが検知されたか否かを判断(チェック)している。酸化ガスが検知されると、NDTがインクリメントされる。ステップS12を実行後、ステップS13が実行される。
【0102】
ステップS13では、タイマにより15分経過したか否かをチェックする。15分経過した場合(YES)、ステップS14に進む。また、15分経過しない場合(NO)、ステップS12に戻る。
【0103】
ステップS14では、D素子2の劣化をチェックする。NDTが3未満の場合(YES)、D素子2が劣化したと判断して、ステップS15に進む。また、NDTが3以上の場合(NO)、D素子2は劣化していないと判断してステップS16に進む。
【0104】
ステップS15では、「閾値下降サブルーチン」を実行した後、ステップS18に進む。
【0105】
ステップS16では、D素子2の過敏をチェックする。NDTが15より大きい場合(YES)、D素子2が過敏であると判断して、ステップS17に進む。また、NDTが15以下の場合(NO)、D素子2は過敏でないと判断してステップS18に進む。
【0106】
ステップS17では、「閾値上昇サブルーチン」を実行した後、ステップS18に進む。
【0107】
ステップS18では、NGT=0として、次の15分間の酸化ガスの検知の用意をする。そして、ステップS11に戻る。これにより、次の15分間の酸化ガスの検知が開始される。
【0108】
「閾値下降サブルーチン」がコールされると、図5に示すように、ステップS20が実行される。ステップS20では、D素子2のガス検知用閾値が100であるか否かをチェックする。DSが100である場合(YES)、メインプログラムにリターンする。そのため、D素子2のガス検知用閾値が100より小さくなることはなく、ノイズによる誤動作を防止することができる。DSが100でない場合(NO)、ステップS21に進む。
【0109】
ステップS21では、DSを25減少させ、メインプログラムにリターンする。これにより、ガス検知用閾値が下がって酸化ガスのガス検知回数が多くなるため、D素子2を用いたガスセンサ1の酸化ガス検知感度を上げることができる。
【0110】
また、「閾値上昇サブルーチン」がコールされると、図6に示すように、ステップS22が実行される。ステップS22では、D素子2のガス検知用閾値が400であるか否かをチェックする。DSが400である場合(YES)、メインプログラムにリターンする。そのため、D素子2のガス検知用閾値が400より大きくなることはなく、酸化ガスの検出ミスを防止することができる。DSが400でない場合(NO)、ステップS23に進む。
【0111】
ステップS23では、DSを25増加させ、メインプログラムにリターンする。これにより、ガス検知用閾値が上がって酸化ガスのガス検知回数が少なくなるため、D素子2を用いたガスセンサ1の酸化ガス検知感度を下げることができる。
【0112】
こうして、このガスセンサ1によれば、D素子2が劣化したと判断されるとガス検知用閾値を順次下降させ、D素子2が過敏である判断されるとガス検知用閾値を順次上昇させる。そのため、D素子2の特性に合わせて、劣化や過敏を補償することができる。なお、ステップS14及びステップS16が判断手段であり、ステップS15及びステップS17が補償手段である。
【0113】
したがって、このガスセンサ1によれば、長期間の使用によりD素子2の特性が変化したとしても、制御信号LVを可及的に正しく発することができる。このため、このガスセンサ1を用いた車両用空調制御装置では、手動で内気と外気とを切換えることなく、より正確に清浄な外気を車内に取り入れるとともに汚染された外気の流入を阻止できるため、車内空間を快適に保つことが可能である。
【0114】
なお、実施形態1においては、補償手段としてガス検知用閾値の大きさを変更する手法を採用したが、入力した酸化ガス出力信号VDから遡って一定個分の酸化ガス出力信号VDの平均値に重み付け係数を乗ずる算出式を設定し、D素子2の劣化、過敏の判断に基づいて上記重み付け係数を変更する手法を補償手段として採用することもできる。実施形態1では、入力した酸化ガス出力信号VDと一定個分の酸化ガス出力信号VDの平均値との差がガス検知用閾値を超えた場合、酸化ガスが検知されたと判断している。この平均値の算出式(重み付け)を変更することにより、ガス検知回数が多くなったり少なくなったりするため、これによってもD素子2を用いたガスセンサ1の酸化ガス検知感度を変更することができる。
【0115】
(実施形態2)
実施形態2のガスセンサは、図7に示すように、第4発明及び第5発明を具体化する車両用空調制御装置に使用されている。この車両用空調制御装置は、NOx等の酸化ガス及びCO等の還元ガスを検知して制御信号を発するガスセンサ11と、車内への外気の取り入れと内気の循環とをフラップ94により切り替える換気系90と、制御信号により換気系90のフラップ94を駆動するフラップ駆動アッセンブリ80とを具備している。なお、実施形態1と同一の構成については同一の符号を用いることとし、その説明を省略する。
【0116】
ガスセンサ11は、酸化ガス検知素子としてのD素子2と、還元ガス検知素子としてのG素子3と、単一のヒータ4と、D素子2及びG素子3と接続されたマイコン5と、マイコン5及びヒータ4と接続されたヒータ制御回路8とを備えている。マイコン5、ヒータ制御回路8及びヒータ4が制御部である。なお、D素子2、G素子3及びヒータ4は、単一のセラミック基板に形成されている。
【0117】
D素子2は、酸化ガスを検知可能なWO3等を主とした酸化ガス検知素子であり、図2に示すように、酸化ガスの濃度が高くなれば内部抵抗が大きくなるものである。また、G素子3は、還元ガスを検知可能なSnO2等を主とした還元ガス検知素子であり、還元ガスの濃度が高くなれば内部抵抗が小さくなるものである。なお、図2は、湿度60%のCOを還元ガスとし、ガス濃度(p.p.m.)とG素子3の感度(RS/R0)との関係を示している。
【0118】
図7に示すように、D素子2は内部抵抗に対応した電圧を酸化ガス出力信号VDとして出力し、G素子3は内部抵抗に対応した電圧を還元ガス出力信号VGとして出力する。酸化ガス出力信号VD及び還元ガス出力信号VGはマイコン5に入力される。より具体的には、D素子2の一端を図示しない電源電圧(例えば5V)に接続する一方、その他端を一定の抵抗値を有するとともに他端が接地された検出抵抗器(図示せず)の一端に接続し、D素子2とその検出抵抗器との接続点(動作点)の電位(電圧)をA/D変換回路(図示せず)に出力する。そして、所定のサイクル時間毎にデジタル化された酸化ガス出力信号VDがマイコン5の入力端子に入力される。また、G素子3も同様に、一端を図示しない別途の電源電圧(例えば5V)に接続するとともに、その他端を一定の抵抗値を有するとともに他端が接地された検出抵抗器(図示せず)の一端に接続し、G素子3とその検出抵抗器との接続点(動作点)の電位(電圧)をA/D変換回路(図示せず)に出力する。そして、所定のサイクル時間毎にデジタル化された還元ガス出力信号VGがマイコン5の入力端子に入力される。また、ヒータ制御回路8は、ヒータ4に電力を供給する図示しない車載用バッテリ(例えば、12V)のバッテリ電圧を検出し、マイコン5にバッテリ電圧信号を出力する。そして、マイコン5は、そのバッテリ電圧信号及び後述するD素子2又はG素子3の劣化又は過敏の判断に基づき、ヒータ4に供給する電力を制御するための指令をヒータ制御回路8に出力し、その指令に応じてヒータ制御回路8に備えられるスイッチング素子をスイッチング制御することで、ヒータ4へ所望の電力が供給されるようになっている。なお、ヒータ4への電力制御手法としては、Duty比制御(PWM)を行うものとし、マイコン5はヒータ4に所望の電力を供給するためのDuty比を設定し、そのDuty比に従うPWM信号を出力して、ヒータ制御回路8(詳細にはヒータ制御回路8に備えられるスイッチング素子)を用いてヒータ4をパルス駆動している。これによりヒータ4によりD素子2及びG素子3が加熱されるようになっている。また、マイコン5より換気系90のフラップ94を制御する制御信号LVが出力されるようになっている。この際、マイコン5は、D素子2及びG素子3の劣化又は過敏を判断してガス検知感度を変更する。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0119】
以上の構成をした車両用空調制御装置のガスセンサ11について、マイコン5によりD素子2及びG素子3の劣化又は過敏を判断して、それぞれのガス検知感度を変更する方法を説明する。まず、図8に示すように、マイコン5により処理が開始されるとステップS30が実行される。ステップS30では、酸化ガス及び還元ガスが検知されたかどうかをチェックする。つまり、酸化ガス出力信号VD、還元ガス出力信号VGより一定時間内における酸化ガス検知回数、還元ガス検知回数が把握される。このステップS30が酸化ガス検知回数把握手段であるとともに還元ガス検知回数把握手段である。ここで、実施形態2では、入力した酸化ガス出力信号VDから、入力した酸化ガス出力信号VDから遡って一定個分(例えば30個分)の酸化ガス出力信号VDの平均値を減じた差分値が酸化ガス検知用閾値を超えた場合、酸化ガスが検知されたと判断している。また、入力した還元ガス出力信号VGから遡って一定個分(例えば30個分)の還元ガス出力信号VGの平均値から入力した還元ガス出力信号VGを減じた差分値が還元ガス検知用閾値を超えた場合、還元ガスが検知されたと判断している。なお、酸化ガス出力信号VDは酸化ガスの温度変化が大きくなれば大きくなり、還元ガス出力信号VGは還元ガスの濃度変化が大きくなれば小さくなる。ステップS30を実行後、ステップS31が実行される。
【0120】
ステップS31では、一定時間が経過したか否かをチェックする。一定時間が経過した場合(YES)、ステップS32に進む。また、一定時間が経過しない場合(NO)、ステップS34に進む。
【0121】
ステップS32では、G素子3が劣化したと判断されると、ヒータ4に供給する電力を順次上昇させる。また、G素子3が過敏である判断されると、ヒータ4に供給する電力を順次下降させる。ステップS32を実行後、ステップS33が実行される。ここで、G素子3の劣化又は過敏は、還元ガス検知回数と第2基準値との差により判断される。つまり、還元ガス検知回数が第2下限基準値より小さい場合、G素子3が劣化したと判断され、還元ガス検知回数が第2上限基準値より大きい場合、G素子3が過敏であると判断される。これは、通常の車両走行時においては、一定時間内における還元ガス検知回数が一定範囲内にあると仮定し得るためである。
【0122】
ステップS33では、D素子2が劣化したと判断されると、酸化ガス検知用閾値を順次下降させる。また、D素子2が過敏である判断されると、酸化ガス検知用閾値を順次上昇させる。ここで、D素子2の劣化又は過敏は、酸化ガス検知回数と第1基準値との差により判断される。つまり、酸化ガス検知回数が第1下限基準値より小さい場合、D素子2が劣化したと判断され、酸化ガス検知回数が第1上限基準値より大きい場合、D素子2が過敏であると判断される。ステップS33を実行後、ステップS34が実行される。これは、ステップS32における理由と同様、通常の車両走行時においては、一定時間内における酸化ガス検知回数が一定範囲内にあると仮定し得るためである。
【0123】
ここで、G素子3の補償手段をヒータ4に供給する電力を変更する構成とし、D素子2の補償手段を酸化ガス検知用閾値の大きさを変更する構成とした理由について説明する。一般に、還元ガス検知素子はガス燃焼反応により還元ガスを検知するため、還元ガス検知素子の温度(換言すれば、ヒータによる加熱温度)を上昇させることにより、還元ガス出力信号の大きさを増大させることができるので、還元ガス検知用閾値を一定とした場合に還元ガス検知回数を多くすることができる。また、酸化ガス検知素子はガス吸着反応により酸化ガスを検知するため、酸化ガス検知素子の温度を下降させることにより、酸化ガス出力信号の大きさを増大させることができるので、酸化ガス検知用閾値を一定とした場合に酸化ガス検知回数を多くすることができる。このため、D素子2及びG素子3が各々ヒータを有するのであれば、D素子2及びG素子3の温度を別々に制御することによっても、D素子2及びG素子3の劣化及び過敏の補償をすることができる。しかし、実施形態2のガスセンサ11では、ヒータ4がD素子2及びG素子3の両方を同時に加熱しているため、D素子2及びG素子3の温度を別々に制御することはできない。発明者の実験によれば、このガスセンサ11は、所定の酸化ガス検知用閾値及び還元ガス検知用閾値が予め設定されている場合において、ヒータ4による発熱温度を上昇させるに従って、G素子3の還元ガス検知感度の上昇が顕著に確認されたのに対し、D素子2の酸化ガス検知感度の低下はほとんど確認されなかった。そのため、G素子3の補償手段をヒータ4に供給する電力を変更する構成とし、D素子2の補償手段を酸化ガス検知用閾値の大きさを変更する構成としたのである。
【0124】
ステップS34では、酸化ガスが一定回数検知されたか否かをチェックする。つまり、酸化ガス検知回数が第1基準値(この第1基準値は前述のステップS33における第1基準値とは異なるものを指す。)に達したか否かをチェックする。酸化ガス検知回数が第1基準値に達した場合(YES)、ステップS35が実行され、第1基準値に達しない場合(NO)、ステップS30に戻る。
【0125】
ステップS35では、G素子3が劣化したと判断されると、ヒータ4に供給する電力を順次上昇させる。また、G素子3が過敏である判断されると、ヒータ4に供給する電力を順次下降させる。ステップS35を実行後、ステップS30に戻る。ここで、G素子3の劣化又は過敏は、還元ガス検知回数と第2基準値との差により判断される。つまり、還元ガス検知回数が第2下限基準値より小さい場合、G素子3が劣化したと判断され、還元ガス検知回数が第2上限基準値より大きい場合、G素子3が過敏であると判断される。このように、D素子2のガス検知回数を基準としてG素子3の劣化を判断できるのは、実施形態2のガスセンサ11においては、D素子2がG素子3に比べ劣化し難く、酸化ガス検知感度が安定していることによる。また、G素子3の補償手段をヒータ4に供給する電力を変更する構成としたのは、ステップS3の場合と同様、G素子3による還元ガス検知感度が温度に依存するためである。
【0126】
以下、マイコン5によりD素子2及びG素子3の劣化又は過敏を判断して、それぞれのガス検知感度を変更する具体的な方法を詳説する。まず、図9に示すように、マイコン5により処理が開始されるとステップS40が実行される。ステップS40では、フラグやカウンタの初期化が行われる。初期値は、VH=5、FLAG=0、NGT=0、NDT=0、NGD=0、NDG=0、NV=0、DS=300である。ここで、VHはヒータ4への供給電力である。FLAGはG素子3の劣化を補償する場合において、ヒータ4に5.5Vを印加したのと同様の電力が供給されるように電力制御することを固定するためのフラグである。NGT、NDTは一定時間のそれぞれのガス検知回数によりG素子3、D素子2の劣化、過敏を判断するための、還元ガス検知回数、酸化ガス検知回数を示すカウンタである。NGD、NDGはD素子2による酸化ガス検知回数を基準としてG素子3の劣化、過敏を判断するための、還元ガス検知回数、酸化ガス検知回数を示すカウンタである。NVはヒータ4に6Vを印加したのと同様の電力が供給されるように電力制御がなされた状態で、G素子3の劣化が連続して判断されている回数を示すカウンタである。DSはD素子2の酸化ガス検知用閾値である。ステップS40を実行後、ステップS41が実行される。
【0127】
ステップS41では、タイマをセットしスタートする。これにより、15分間の還元ガス及び酸化ガスの検知が開始される。ステップS41を実行後、ステップS42が実行される。
【0128】
ステップS42では、還元ガス及び酸化ガスが検知されたかどうかをチェックする。なお、酸化ガス出力信号VD及び還元ガス出力信号VGは0.4ms毎にサンプリングされ、その都度酸化ガス及び還元ガスが検知されたか否かを判断(チェック)している。還元ガスが検知されると、NGT、NGDがインクリメントされる。また、酸化ガスが検知されると、NDT、NDGがインクリメントされる。ステップS42を実行後、ステップS43が実行される。
【0129】
ステップS43では、タイマにより15分経過したか否かをチェックする。15分経過した場合(YES)、ステップS44に進む。また、15分経過しない場合(NO)、ステップS54に進む。
【0130】
ステップS44では、G素子3の劣化をチェックする。NGTが3未満の場合(YES)、G素子3が劣化したと判断して、ステップS45に進む。また、NGTが3以上の場合(NO)、G素子3は劣化していないと判断してステップS46に進む。
【0131】
ステップS45では、「ヒータ電圧上昇サブルーチン」を実行した後、ステップS48に進む。
【0132】
ステップS46では、G素子3の過敏をチェックする。NGTが15より大きい場合(YES)、G素子3が過敏であると判断して、ステップS47に進む。また、NGTが15以下の場合(NO)、G素子3は過敏でないと判断してステップS48に進む。
【0133】
ステップS47では、「ヒータ電圧下降サブルーチン」を実行した後、ステップS48に進む。
【0134】
ステップS48では、D素子2の劣化をチェックする。NDTが3未満の場合(YES)、D素子2が劣化したと判断して、ステップS49に進む。また、NDTが3以上の場合(NO)、D素子2は劣化していないと判断してステップS50に進む。
【0135】
ステップS49では、「閾値下降サブルーチン」を実行した後、ステップS52に進む。
【0136】
ステップS50では、D素子2の過敏をチェックする。NDTが15より大きい場合(YES)、D素子2が過敏であると判断して、ステップS51に進む。また、NDTが15以下の場合(NO)、D素子2は過敏でないと判断してステップS52に進む。
【0137】
ステップS51では、「閾値上昇サブルーチン」を実行した後、ステップS52に進む。
【0138】
ステップS52では、NGT=0、NDT=0として、次の15分間の還元ガス及び酸化ガスの検知の用意をする。そして、ステップS53に進む。
【0139】
ステップS53では、タイマをセットし、スタートする。これにより、次の15分間の還元ガス及び酸化ガスの検知が開始される。ステップS53を実行後、ステップS54が実行される。
【0140】
ステップS54では、NDGが第1基準値に達したか否かをチェックする。NDGが10に達した場合(YES)、第1基準値に達したと判断して、ステップS55に進む。また、NDGが10に達しない場合(NO)、第1基準値に達しないと判断して、ステップS42に戻る。
【0141】
ステップS55では、G素子3の劣化をチェックする。NGTが6未満の場合(YES)、G素子3が劣化したと判断して、ステップS56に進む。また、NGTが6以上の場合(NO)、G素子3は劣化していないと判断してステップS57に進む。
【0142】
ステップS56では、「ヒータ電圧上昇サブルーチン」を実行した後、ステップS59に進む。
【0143】
ステップS57では、G素子3の過敏をチェックする。NGTが15より大きい場合(YES)、G素子3が過敏であると判断して、ステップS58に進む。また、NGTが15以下の場合(NO)、G素子3は過敏でないと判断してステップS59に進む。
【0144】
ステップS58では、「ヒータ電圧下降サブルーチン」を実行した後、ステップS59に進む。
【0145】
ステップS59では、NDG=0、NGD=0として、ステップS42に戻る。
【0146】
「閾値下降サブルーチン」及び「閾値上昇サブルーチン」は実施形態1で使用した図5、図6に示すものと同じである。
【0147】
「ヒータ電圧上昇サブルーチン」がコールされると、図10に示すように、ステップS60が実行される。ステップS60では、G素子3の劣化補償において、ヒータ4に5.5Vを印加したのと同様の電力が供給されるように電力制御することを固定するためのフラグであるFLAGをチェックする。FLAGが1である場合(YES)、ヒータ4に5.5Vを印加したのと同様の電力が供給されるように電力制御することを固定すると判断して、ステップS61に進む。また、FLAGが1でない場合(NO)、ヒータ4に5.5Vを印加したのと同様の電力が供給されるように電力制御することを固定しないと判断して、ステップS62に進む。
【0148】
ステップS61では、VHを5.5とする。そして、ヒータ4に5.5Vを印加したのと同様の電力が供給されるように電力制御して、ヒータ4をパルス駆動し、その後、メインプログラムにリターンする。
【0149】
ステップS62では、ヒータ4に6Vを印加したのと同様の電力が供給されるように電力制御されているか否かをチェックする。VHが6でない場合(NO)、6Vを印加したのと同様の電力が供給される電力制御がされていない判断して、ステップS63に進む。VHが6である場合(YES)、6Vを印加したのと同様の電力が供給されるように電力制御がなされていると判断して、ステップS64に進む。
【0150】
ステップS63では、VHを0.25増加させる。そして、これにより、ヒータ4にかかる電圧が0.25Vだけ上昇する電力制御を実行し、G素子3によるガス検知感度を上げることができる。その後、メインプログラムにリターンする。
【0151】
ステップS64では、ヒータ4に6Vを印加したのと同様の電力が供給されるように電力制御がなされた状態で、G素子3の劣化が3回連続しているか否かをチェックする。NVが3でない場合(NO)、G素子3の劣化が3回連続していないと判断して、ステップS65に進む。NVが3である場合(YES)、G素子3の劣化が3回連続していると判断して、ステップS66に進む。
【0152】
ステップS65では、NVをインクリメントする。その後、メインプログラムにリターンする。
【0153】
ステップS66では、VHを5.5とする。また、FLAGに1をセットする。これにより、ヒータ4に5.5Vを印加したのと同様の電力制御がなされるように固定する。このようにするのは、ヒータ4への供給電力をこれ以上上昇させてもG素子3の劣化が改善されない場合、ヒータ4の寿命とD素子2のガス検知感度の低下とを防止するためである。その後、メインプログラムにリターンする。
【0154】
また、「ヒータ電圧下降サブルーチン」がコールされると、図11に示すように、ステップS67が実行される。ステップS67では、ヒータ4に5Vを印加したのと同様の電力が供給されるように電力制御されているか否かをチェックする。VHが5である場合(YES)、5Vを印加したのと同様の電力が供給される電力制御がなされていると判断して、メインプログラムにリターンする。VHが5でない場合(NO)、5Vを印加したのと同様の電力が供給される電力制御がされていないと判断して、ステップS68に進む。
【0155】
ステップS68では、VHを0.25減少させる。これにより、ヒータ4にかかる電圧が0.25Vだけ下降する電力制御を実行し、G素子3によるガス検知感度を下げることができる。その後、ステップS69でNV=0とし、メインプログラムにリターンする。
【0156】
こうして、このガスセンサ11では、G素子3が劣化したと判断されるとヒータ4への供給電力を順次上昇させ、過敏である判断されるとヒータ4への供給電力を順次下降させる。また、D素子2が劣化したと判断されると酸化ガス検知用閾値を順次下降させ、過敏である判断されると酸化ガス検知用閾値を順次上昇させる。そのため、G素子3及びD素子2の特性に合わせて、劣化や過敏を補償することができる。なお、ステップS44、S46、S48、S50、S54、S55、S57が判断手段であり、ステップS45、S47、S49、S51、S56、S58が補償手段である。
【0157】
したがって、このガスセンサ11によっても、長期間の使用によりG素子3及びD素子2の特性が変化したとしても、制御信号LVを可及的に正しく発することができる。このため、このガスセンサ11を用いた車両用空調制御装置においても、車内空間をより快適に保つことが可能である。
【0158】
なお、実施形態2においては、補償手段としてヒータ4に供給する電力を変更する手法及び酸化ガス検知用閾値の大きさを変更する手法を採用したが、入力した酸化ガス出力信号VD、還元ガス出力信号VGから遡って一定個分の酸化ガス出力信号VD、還元ガス出力信号VGの平均値に重み付け係数を乗ずる算出式を設定し、D素子2、G素子3の劣化、過敏の判断に基づいて上記重み付け係数を変更する手法を補償手段として採用することもできる。実施形態2では、入力した酸化ガス出力信号VDと一定個分の酸化ガス出力信号VDの平均値との差が酸化ガス検知用閾値を超えた場合、酸化ガスが検知されたと判断している。還元ガスの検知についても同様である。この平均値の算出式(重み付け)を変更することにより、ガス検知回数が多くなったり少なくなったりするため、これによってもG素子3及びD素子2を用いたガスセンサ11のガス検知感度を変更することができる。
【0159】
(実施形態3)
実施形態3のガスセンサは、第5発明を具体化する車両用空調制御装置に使用されている。この構成は、図7に示す実施形態2の車両用空調制御装置と同一であり、その説明を省略する。
【0160】
この車両用空調制御装置のガスセンサ11について、マイコン5によりG素子3の劣化又は過敏を判断してガス検知感度を変更する方法を説明する。まず、図12に示すように、マイコン5により処理が開始されるとステップS70が実行される。ステップS70では、酸化ガス及び還元ガスが検知されたかどうかをチェックする。つまり、酸化ガス出力信号VD、還元ガス出力信号VGより一定時間内における酸化ガス検知回数、還元ガス検知回数が把握される。このステップS70が酸化ガス検知回数把握手段であるとともに還元ガス検知回数把握手段である。ここで、実施形態3における酸化ガス及び還元ガスの検知方法は実施形態2と同様である。ステップS70を実行後、ステップS71が実行される。
【0161】
ステップS71では、酸化ガスが一定回数検知されたか否かをチェックする。つまり、酸化ガス検知回数が第1基準値に達したか否かをチェックする。酸化ガス検知回数が第1基準値に達した場合(YES)、ステップS72が実行され、第1基準値に達しない場合(NO)、ステップS70に戻る。
【0162】
ステップS72では、G素子3が劣化したと判断されると、ヒータ4への供給電力を順次上昇させる。また、G素子3が過敏である判断されると、ヒータ4への供給電力を順次下降させる。ステップS72を実行後、ステップS70に戻る。ここで、G素子3の劣化又は過敏は、還元ガス検知回数と第2基準値との差により判断される。つまり、還元ガス検知回数が第2下限基準値より小さい場合、G素子3が劣化したと判断され、還元ガス検知回数が第2上限基準値より大きい場合、G素子3が過敏であると判断される。このように、D素子2のガス検知回数を基準としてG素子3の劣化を判断できるのは、実施形態2と同様、D素子2がG素子3に比べ劣化し難く、ガス検知感度が安定していることによる。また、G素子3の補償手段をヒータ4に供給する電力を変更する構成としたのも、実施形態2と同様、G素子3による還元ガス検知感度が温度に依存するためである。
【0163】
以下、マイコン5によりG素子3の劣化又は過敏を判断して還元ガス検知感度を変更する具体的な方法を詳説する。まず、図13に示すように、マイコン5により処理が開始されるとステップS80が実行される。ステップS80では、フラグやカウンタの初期化が行われる。初期値は、VH=5、FLAG=0、NGD=0、NDG=0、NV=0である。ここで、VHはヒータ4への供給電力である。FLAGはG素子3の劣化を補償する場合において、ヒータ4に5.5Vを印加したのと同様の電力が供給されるように電力制御することを固定するためのフラグである。NGD、NDGはD素子2による酸化ガス検知回数を基準としてG素子3の劣化、過敏を判断するための、還元ガス検知回数、酸化ガス検知回数を示すカウンタである。NVはヒータ4に6Vを印加したのと同様の電力が供給されるように電力制御がなされた状態で、G素子3の劣化が連続して判断されている回数を示すカウンタである。ステップS80を実行後、ステップS81が実行される。
【0164】
ステップS81では、還元ガス及び酸化ガスが検知されたかどうかをチェックする。なお、酸化ガス出力信号VD及び還元ガス出力信号VGは0.4ms毎にサンプリングされ、その都度酸化ガス及び還元ガスが検知されたか否かを判断(チェック)している。還元ガスが検知されると、NGDがインクリメントされる。また、酸化ガスが検知されると、NDGがインクリメントされる。ステップS81を実行後、ステップS82が実行される。
【0165】
ステップS82では、NDGが第1基準値に達したか否かをチェックする。NDGが10に達した場合(YES)、第1基準値に達したと判断して、ステップS83に進む。また、NDGが10に達しない場合(NO)、第1基準値に達しないと判断して、ステップS81に戻る。
【0166】
ステップS83では、G素子3の劣化をチェックする。NGTが6未満の場合(YES)、G素子3が劣化したと判断して、ステップS84に進む。また、NGTが6以上の場合(NO)、G素子3は劣化していないと判断してステップS85に進む。
【0167】
ステップS84では、「ヒータ電圧上昇サブルーチン」を実行した後、ステップS87に進む。
【0168】
ステップS85では、G素子3の過敏をチェックする。NGTが15より大きい場合(YES)、G素子3が過敏であると判断して、ステップS86に進む。また、NGTが15以下の場合(NO)、G素子3は過敏でないと判断してステップS87に進む。
【0169】
ステップS86では、「ヒータ電圧下降サブルーチン」を実行した後、ステップS87に進む。
【0170】
ステップS87では、NDG=0、NGD=0として、ステップS81に戻る。これにより、次の第1基準値まで還元ガス及び酸化ガスの検知が開始される。「ヒータ電圧上昇サブルーチン」及び「ヒータ電圧下降サブルーチン」は実施形態2で使用した図10、図11に示すものと同じである。
【0171】
こうして、このガスセンサ11では、G素子3が劣化したと判断されるとヒータ4への供給電力を順次上昇させ、過敏である判断されるとヒータ4への供給電力を順次下降させる。そのため、G素子3の特性に合わせて、劣化や過敏を補償することができる。
【0172】
したがって、このガスセンサ11によっても、長期間の使用によりG素子3の特性が変化したとしても、制御信号LVを可及的に正しく発することができる。このため、このガスセンサ11を用いた車両用空調制御装置においても、車内空間をより快適に保つことが可能である。
【0173】
なお、実施形態2と同様、補償手段として一定期間内の酸化ガス出力信号VD、還元ガス出力信号VGの平均値の算出式を採用することもできる。
【0174】
(実施形態4)
実施形態4のガスセンサは、図14に示すように、第3発明を具体化する車両用空調制御装置に使用されている。この車両用空調制御装置は、NOx等の酸化ガス及びCO等の還元ガスを検知して制御信号を発するガスセンサ21と、車内への外気の取り入れと内気の循環とをフラップ94により切り替える換気系90と、制御信号により換気系90のフラップ94を駆動するフラップ駆動アッセンブリ80とを具備している。なお、実施形態1と同一の構成については同一の符号を用いることとし、その説明を省略する。
【0175】
ガスセンサ21は、酸化ガスと還元ガスとの両方を検知可能なガス検知素子22(例えば特許3024217号公報記載のガス検知素子)と、ガス検知素子22の近傍に設けられたヒータ4と、ガス検知素子22と接続されたマイコン5と、マイコン5及びヒータ4と接続されたヒータ制御回路8とを備えている。マイコン5、ヒータ制御回路8及びヒータ4が制御部である。
【0176】
図14に示すように、ガス検知素子22は内部抵抗に対応した電圧を出力信号VDGとして出力し、この出力信号VDGはマイコン5に入力される。より具体的には、ガス検知素子22の一端を図示しない電源電圧(例えば5V)に接続する一方、その他端を一定の抵抗値を有するとともに他端が接地された検出抵抗器(図示せず)の一端に接続し、ガス検知素子22とその検出抵抗器との接続点(動作点)の電位(電圧)をA/D変換回路(図示せず)に出力する。そして、所定のサイクル時間毎にデジタル化された出力信号VDGが出力され、マイコン5の入力端子に入力される。ここで、出力信号VDGは、酸化ガスの濃度変化が大きくなると大きくなり、還元ガスの濃度変化が大きくなると小さくなる。また、ヒータ制御回路8は、ヒータ4に電力を供給する図示しない車載用バッテリ(例えば、12V)のバッテリ電圧を検出し、マイコン5にバッテリ電圧信号を出力する。そして、マイコン5は、そのバッテリ電圧信号及び後述するガス検知素子22の劣化又は過敏の判断に基づき、ヒータ4に供給する電力を制御するための指令をヒータ制御回路8に出力し、その指令に応じてヒータ駆動回路8に備えられるスイッチング素子をスイッチング制御することで、ヒータ4へ所望の電力が供給されるようになっている。なお、ヒータ4への電力制御手法としては、Duty比制御(PWM)を行うものとし、マイコン5はヒータ4に所望の電力を供給するためのDuty比を設定し、そのDuty比に従うPWM信号を出力して、ヒータ制御回路8(詳細にはヒータ制御回路8に備えられるスイッチング素子)を用いてヒータ4をパルス駆動している。これによりヒータ4によりガス検知素子22が加熱されるようになっている。また、マイコン5より換気系90のフラップ94を制御する制御信号LVが出力されるようになっている。この際、マイコン5は、ガス検知素子22の劣化又は過敏を判断してガス検知感度を変更する。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0177】
以上の構成をした車両用空調制御装置のガスセンサ21について、マイコン5によりガス検知素子22の劣化又は過敏を判断して、それぞれのガス検知感度を変更する方法を説明する。まず、図15に示すように、マイコン5により処理が開始されるとステップS90が実行される。ステップS90では、酸化ガス及び還元ガスが検知されたかどうかをチェックする。つまり、出力信号VDGより一定時間内における酸化ガス検知回数、還元ガス検知回数が把握される。このステップS90が酸化ガス検知回数把握手段であるとともに還元ガス検知回数把握手段である。ここで、実施形態4では、出力信号VDGが平均値に酸化ガス検知用閾値を加えた値よりも大きい場合、酸化ガスが検知されたものとし、出力信号VDGが平均値から還元ガス検知用閾値を減じた値よりも小さい場合、還元ガスが検知されたものと判断している。ステップS90を実行後、ステップS91が実行される。
【0178】
ステップS91では、酸化ガスが一定回数検知されたか否かをチェックする。つまり、酸化ガス検知回数が第1基準値に達したか否かをチェックする。酸化ガス検知回数が第1基準値に達した場合(YES)、ステップS92が実行され、第1基準値に達しない場合(NO)、ステップS90に戻る。
【0179】
ステップS92では、ガス検知素子22の還元ガス検知能力が低下したと判断されると、ヒータ4への供給電力を順次上昇させる。また、ガス検知素子22の還元ガス検知能力が高すぎると判断されると、ヒータ4への供給電力を順次下降させる。ステップS92を実行後、ステップS90に戻る。ここで、還元ガス検知能力は、還元ガス検知回数と第2基準値との差により判断される。つまり、還元ガス検知回数が第2下限基準値より小さい場合、還元ガス検知能力が低下したと判断され、還元ガス検知回数が第2上限基準値より大きい場合、還元ガス検知能力が高すぎると判断される。このように、酸化ガス検知回数を基準として還元ガス検知能力を判断することによりガス検知素子22の劣化又は過敏を判断することができる。また、補償手段をヒータ4に供給する電力を変更する構成としたのは、実施形態2と同様、還元ガス検知感度が温度に依存するためである。
【0180】
こうして、このガスセンサ21では、ガス検知素子22の還元ガス検知能力が低下したと判断されるとヒータ4への供給電力を順次上昇させ、高すぎると判断されるとヒータ4への供給電力を順次下降させる。そのため、ガス検知素子の劣化や過敏を補償することができる。
【0181】
したがって、このガスセンサ21によっても、長期間の使用によりガス検知素子22の特性が変化したとしても、制御信号LVを可及的に正しく発することができる。このため、このガスセンサ21を用いた車両用空調制御装置においても、車内空間をより快適に保つことが可能である。
【0182】
なお、実施形態4のガスセンサ21と実施形態3のガスセンサ11とは、ガスセンサ21が単一のガス検知素子22を用いているのに対し、ガスセンサ11がD素子2とG素子3との二つのガス検知素子を用いている点で異なる。そのため、ガスセンサ21がガス検知素子22により酸化ガス及び還元ガスを検知しているのに対し、ガスセンサ11はD素子2とG素子3とにより酸化ガス及び還元ガスを検知している。その他の処理方法は実施形態3と同様である。そのため、ガスセンサ21について、マイコン5によりガス検知素子22の劣化又は過敏を判断して、それらのガス検知感度を変更する具体的な方法は図12に示すものと同様であり、その説明は省略する。さらに、補償手段として一定期間内の出力信号VDGの平均値の算出式を採用することもできる。
【0183】
(実施形態5)
実施形態5のガスセンサは、第2発明を具体化する車両用空調制御装置に使用されている。その構成は図14に示す実施形態4の車両用空調制御装置と同一であり、その説明を省略する。
【0184】
この車両用空調制御装置のガスセンサ21について、マイコン5によりガス検知素子22の劣化又は過敏を判断して、それぞれのガス検知感度を変更する方法を説明する。まず、図16に示すように、マイコン5により処理が開始されるとステップS100が実行される。ステップS100では、酸化ガス及び還元ガスが検知されたかどうかをチェックする。つまり、出力信号VDGより一定時間内における酸化ガス検知回数、還元ガス検知回数が把握される。このステップS100が酸化ガス検知回数把握手段であるとともに還元ガス検知回数把握手段である。ここで、実施形態5では、出力信号VDGが平均値に酸化ガス検知用閾値を加えた値よりも大きい場合、酸化ガスが検知されたものとし、出力信号VDGが平均値から還元ガス検知用閾値を減じた値よりも小さい場合、還元ガスが検知されたものと判断している。ステップS100を実行後、ステップS101が実行される。
【0185】
ステップS101では、一定時間が経過したか否かをチェックする。一定時間が経過した場合(YES)、ステップS102に進む。また、一定時間が経過しない場合(NO)、ステップS100に戻る。
【0186】
ステップS102では、ガス検知素子22の還元ガス検知能力が低下したと判断されると、還元ガス検知用閾値を順次下降させる。また、ガス検知素子22の還元ガス検知能力が高すぎると判断されると、還元ガス検知用閾値を順次上昇させる。つまり、還元ガス検知回数が第2下限基準値より小さい場合、還元ガス検知能力が低下したと判断され、還元ガス検知回数が第2上限基準値より大きい場合、還元ガス検知能力が高すぎると判断される。ステップS102を実行後、ステップS103を実行する。
【0187】
ステップS103では、ガス検知素子22の酸化ガス検知能力が低下したと判断されると、酸化ガス検知用閾値を順次下降させる。また、ガス検知素子22の酸化ガス検知能力が高すぎると判断されると、酸化ガス検知用閾値を順次上昇させる。つまり、酸化ガス検知回数が第1下限基準値より小さい場合、酸化ガス検知能力が低下したと判断され、酸化ガス検知回数が第1上限基準値より大きい場合、酸化ガス検知能力が高すぎると判断される。ステップS103を実行後、ステップS100に戻る。
【0188】
こうして、このガスセンサ21においても、ガス検知素子22の劣化や過敏を補償することができる。
【0189】
したがって、このガスセンサ21及びガスセンサ21を用いた車両用空調制御装置によっても、実施形態4と同様の効果を得ることができる。
【0190】
なお、実施形態5のガスセンサ21と実施形態2のガスセンサ11は、ガスセンサ21が単一のガス検知素子22を用いているのに対し、ガスセンサ11がD素子2とG素子3との二つのガス検知素子を用いている点で異なる。そのため、ガスセンサ21がガス検知素子22により酸化ガス及び還元ガスを検知しているのに対し、ガスセンサ11はD素子2とG素子3とにより酸化ガス及び還元ガスを検知している。また、実施形態5のガスセンサ21では、補償手段として酸化ガス検知用閾値及び還元ガス検知用閾値の大きさを変更する手法を採用しているが、実施形態2のガスセンサ11では、D素子2の補償手段として酸化ガス検知用閾値の大きさを変更する手法、G素子3の補償手段としてヒータ4に供給する電力を変更する手法を採用している点で異なる。しかし、本実施形態の処理方法は実施形態2におけるD素子2の処理方法と同様であり、マイコン5によりガス検知素子22の劣化又は過敏を判断して、それらのガス検知感度を変更する具体的な方法の説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1のガスセンサに係り、車両用空調制御装置の主な電気的構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態1〜5のガスセンサに係り、ガス検知素子の特性を示すグラフである。
【図3】実施形態1のガスセンサに係り、ガスプログラムの概要を示すフローチャートである。
【図4】実施形態1のガスセンサに係り、プログラムの詳細を示すフローチャートである。
【図5】実施形態1、2のガスセンサに係り、閾値上昇サブルーチンプログラムのフローチャートである。
【図6】実施形態1、2のガスセンサに係り、閾値下降サブルーチンプログラムのフローチャートである。
【図7】実施形態2のガスセンサに係り、車両用空調制御装置の主な電気的構成を示すブロック図である。
【図8】実施形態2のガスセンサに係り、プログラムの概要を示すフローチャートである。
【図9】実施形態2のガスセンサに係り、プログラムの詳細を示すフローチャートである。
【図10】実施形態2のガスセンサに係り、ヒータ電圧上昇サブルーチンプログラムのフローチャートである。
【図11】実施形態2のガスセンサに係り、ヒータ電圧下降サブルーチンプログラムのフローチャートである。
【図12】実施形態3のガスセンサに係り、プログラムの概要を示すフローチャートである。
【図13】実施形態3のガスセンサに係り、プログラムの詳細を示すフローチャートである。
【図14】実施形態4のガスセンサに係り、車両用空調制御装置の主な電気的構成を示すブロック図である。
【図15】実施形態4のガスセンサに係り、プログラムの概要を示すフローチャートである。
【図16】実施形態5のガスセンサに係り、プログラムの概要を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1、11、21…ガスセンサ
2、3、22…ガス検知素子(2…酸化ガス検知素子(D素子)、3…還元ガス検知素子(G素子))
VD、VG、VDG…出力信号(VD…酸化ガス出力信号、VG…還元ガス出力信号)
5、8…制御部(5…マイコン、8…ヒータ制御回路)
S1、S30、S70、S90、S100…ガス検知回数把握手段(S30、S70、S90、S100…酸化ガス検知回数把握手段、還元ガス検知回数把握手段)
S14、S16、S44、S46、S48、S50、S54、S55、S57、S82、S83、S85…判断手段
4…ヒータ
S15、S17、S45、S47、S49、S51、S56、S58、S84、S86…補償手段

Claims (32)

  1. 特定ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該特定ガスを検知可能な単一のガス検知素子と、該ガス検知素子から出力される出力信号が入力され、該出力信号に基づいてガス検知を判断し、制御信号を発する制御部とを備えたガスセンサにおいて、
    前記制御部は、前記出力信号に基づいて前記ガス検知が判断されたガス検知回数を一定時間内において把握するガス検知回数把握手段と、
    該ガス検知回数と基準値とを比較し、前記ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する判断手段と、
    該判断手段にて前記ガス検知素子の劣化又は過敏が判断されたときにガス検知感度を変更可能な補償手段とを有することを特徴とするガスセンサ。
  2. 判断手段はガス検知回数が基準値より少ない時にガス検知素子の劣化を判断し、補償手段はガス検知感度を上げることを特徴とする請求項1記載のガスセンサ。
  3. 判断手段はガス検知回数が基準値より多い時にガス検知素子の過敏を判断し、補償手段はガス検知感度を下げることを特徴とする請求項1記載のガスセンサ。
  4. 判断手段はガス検知回数が第1基準値より少ない時にガス検知素子の劣化を判断し、補償手段はガス検知感度を上げる一方、
    該判断手段は該ガス検知回数が第2基準値より多い時に該ガス検知素子の過敏を判断し、該補償手段は該ガス検知感度を下げることを特徴とする請求項1記載のガスセンサ。
  5. 補償手段は、出力信号に基づいてガス検知を判断するために設定されたガス検知用閾値の大きさを変更することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のガスセンサ。
  6. 補償手段は、ガス検知素子を加熱可能なヒータへの供給電力を変更することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のガスセンサ。
  7. 特定ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該特定ガスを検知可能な単一のガス検知素子から出力される出力信号の入力を待つ入力ルーチンと、該出力信号に基づいてガス検知を判断し、制御信号を発する制御ルーチンとを備えたガスセンサの制御方法において、
    前記制御ルーチンは、前記出力信号に基づいて前記ガス検知が判断されたガス検知回数を一定時間内において把握するガス検知回数把握ステップと、
    該ガス検知回数と基準値とを比較し、前記ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する判断ステップと、
    該判断ステップにて前記ガス検知素子の劣化又は過敏が判断されたときにガス検知感度を変更する補償ステップとを有することを特徴とするガスセンサの制御方法。
  8. 酸化ガス及び還元ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該酸化ガス及び還元ガスを検知可能な単一のガス検知素子と、該ガス検知素子から出力される出力信号が入力され、該出力信号に基づいてガス検知を判断し、制御信号を発する制御部とを備えたガスセンサにおいて、
    前記制御部は、前記出力信号に基づいて、前記酸化ガスの前記ガス検知が判断された酸化ガス検知回数及び前記還元ガスの前記ガス検知が判断された還元ガス検知回数を一定時間内において把握するガス検知回数把握手段と、
    該酸化ガス検知回数と第1基準値とを比較し、及び/又は該還元ガス検知回数と第2基準値とを比較し、前記ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する判断手段と、
    該判断手段にて前記ガス検知素子の劣化又は過敏が判断されたときにガス検知感度を変更可能な補償手段とを有することを特徴とするガスセンサ。
  9. 判断手段は、酸化ガス検知回数が第1基準値より少ない時、又は還元ガス検知回数が第2基準値より少ない時に、ガス検知素子の劣化を判断し、補償手段はガス検知感度を上げることを特徴とする請求項8記載のガスセンサ。
  10. 判断手段は、酸化ガス検知回数が第1基準値より多い時、又は還元ガス検知回数が第2基準値より多い時に、ガス検知素子の過敏を判断し、補償手段はガス検知感度を下げることを特徴とする請求項8記載のガスセンサ。
  11. 第1基準値として互いに値が異なる第1上限基準値と第1下限基準値とが設定されるとともに、第2基準値として互いに値が異なる第2上限基準値と第2下限基準値とが設定されており、
    判断手段は、酸化ガス検知回数が該第1下限基準値より少ない時、又は還元ガス検知回数が該第2下限基準値より少ない時に、ガス検知素子の劣化を判断し、補償手段はガス検知感度を上げる一方、
    該判断手段は、該酸化ガス検知回数が該第1上限基準値より多い時、又は該還元ガス検知回数が該第2上限基準値より多い時に、該ガス検知素子の過敏を判断し、該補償手段は該ガス検知感度を下げることを特徴とする請求項8記載のガスセンサ。
  12. 補償手段は、出力信号に基づいてガス検知を判断するために設定されたガス検知用閾値の大きさを変更することを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項記載のガスセンサ。
  13. 補償手段は、ガス検知素子を加熱可能なヒータへの供給電力を変更することを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項記載のガスセンサ。
  14. 酸化ガス及び還元ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該酸化ガス及び還元ガスを検知可能な単一のガス検知素子から出力される出力信号の入力を待つ入力ルーチンと、該出力信号に基づいてガス検知を判断し、制御信号を発する制御ルーチンとを備えたガスセンサの制御方法において、
    前記制御ルーチンは、前記出力信号に基づいて、前記酸化ガスの前記ガス検知が判断された酸化ガス検知回数及び前記還元ガスの前記ガス検知が判断された還元ガス検知回数を一定時間内において把握するガス検知回数把握ステップと、
    該酸化ガス検知回数と第1基準値とを比較し、及び/又は該還元ガス検知回数と第2基準値とを比較し、前記ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する判断ステップと、
    該判断ステップにて前記ガス検知素子の劣化又は過敏が判断されたときにガス検知感度を変更する補償ステップとを有することを特徴とするガスセンサの制御方法。
  15. 酸化ガス及び還元ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該酸化ガス及び還元ガスを検知可能な単一のガス検知素子と、該ガス検知素子から出力される出力信号が入力され、該出力信号に基づいてガス検知を判断し、制御信号を発する制御部とを備えたガスセンサにおいて、
    前記制御部は、前記出力信号に基づいて、前記酸化ガスの前記ガス検知が判断された酸化ガス検知回数及び前記還元ガスの前記ガス検知が判断された還元ガス検知回数を把握するガス検知回数把握手段と、
    該酸化ガス検知回数と該還元ガス検知回数とを比較し、前記ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する判断手段と、
    該判断手段にて前記ガス検知素子の劣化又は過敏が判断されたときにガス検知感度を変更可能な補償手段とを有することを特徴とするガスセンサ。
  16. 判断手段は、酸化ガス検知回数及び還元ガス検知回数の一方が第1基準値に達した時における該酸化ガス検知回数及び該還元ガス検知回数の他方と第2基準値との差を判断することを特徴とする請求項15記載のガスセンサ。
  17. 補償手段は、出力信号に基づいてガス検知を判断するために設定されたガス検知用閾値の大きさを変更することを特徴とする請求項15又は16記載のガスセンサ。
  18. 補償手段は、ガス検知素子を加熱可能なヒータへの供給電力を変更することを特徴とする請求項15乃至17のいずれか1項記載のガスセンサ。
  19. 酸化ガス及び還元ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該酸化ガス及び還元ガスを検知可能な単一のガス検知素子から出力される出力信号の入力を待つ入力ルーチンと、該出力信号に基づいてガス検知を判断し、制御信号を発する制御ルーチンとを備えたガスセンサの制御方法において、
    前記制御ルーチンは、前記出力信号に基づいて、前記酸化ガスの前記ガス検知が判断された酸化ガス検知回数及び前記還元ガスの前記ガス検知が判断された還元ガス検知回数を把握するガス検知回数把握ステップと、
    該酸化ガス検知回数と該還元ガス検知回数とを比較し、前記ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する判断ステップと、
    該判断ステップにて前記ガス検知素子の劣化又は過敏が判断されたときにガス検知感度を変更する補償ステップとを有することを特徴とするガスセンサの制御方法。
  20. 酸化ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該酸化ガスを検知可能な酸化ガス検知素子と、還元ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該還元ガスを検知可能な還元ガス検知素子と、該酸化ガス検知素子から出力される酸化ガス出力信号が入力され、該酸化ガス出力信号に基づいて酸化ガス検知を判断するとともに、該還元ガス検知素子から出力される還元ガス出力信号が入力され、該還元ガス出力信号に基づいて還元ガス検知を判断し、制御信号を発する制御部とを備えたガスセンサにおいて、
    前記制御部は、前記酸化ガス出力信号に基づいて前記酸化ガス検知が判断された酸化ガス検知回数を一定時間内において把握する酸化ガス検知回数把握手段と、
    前記還元ガス出力信号に基づいて前記還元ガス検知が判断された還元ガス検知回数を一定時間内において把握する還元ガス検知回数把握手段と、
    該酸化ガス検知回数と第1基準値とを比較し、及び/又は該還元ガス検知回数と第2基準値とを比較し、前記酸化ガス検知素子及び/又は前記還元ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する判断手段と、
    該判断手段にて前記酸化ガス検知素子及び/又は前記還元ガス検知素子の劣化又は過敏が判断されたときに酸化ガス検知感度及び/又は還元ガス検知感度を変更可能な補償手段とを有することを特徴とするガスセンサ。
  21. 判断手段は、酸化ガス検知回数が第1基準値より少ない時に酸化ガス検知素子の劣化を判断し、還元ガス検知回数が第2基準値より少ない時に還元ガス検知素子の劣化を判断し、
    補償手段は酸化ガス検知感度及び/又は還元ガス検知感度を上げることを特徴とする請求項20記載のガスセンサ。
  22. 判断手段は、酸化ガス検知回数が第1基準値より多い時に酸化ガス検知素子の過敏を判断し、還元ガス検知回数が第2基準値より多い時に還元ガス検知素子の過敏を判断し、
    補償手段は酸化ガス検知感度及び/又は還元ガス検知感度を下げることを特徴とする請求項20記載のガスセンサ。
  23. 第1基準値として互いに値が異なる第1上限基準値と第1下限基準値とが設定されるとともに、第2基準値として互いに値が異なる第2上限基準値と第2下限基準値とが設定されており、
    判断手段は、酸化ガス検知回数が該第1下限基準値より少ない時に酸化ガス検知素子の劣化を判断し、還元ガス検知回数が該第2下限基準値より少ない時に還元ガス検知素子の劣化を判断し、
    補償手段は酸化ガス検知感度及び/又は還元ガス検知感度を上げる一方、
    該判断手段は、該酸化ガス検知回数が該第1上限基準値より多い時に該酸化ガス検知素子の過敏を判断し、該還元ガス検知回数が該第2上限基準値より多い時に該還元ガス検知素子の過敏を判断し、
    該補償手段は該酸化ガス検知感度及び/又は該還元ガス検知感度を下げることを特徴とする請求項20記載のガスセンサ。
  24. 補償手段は、酸化ガス出力信号に基づいて酸化ガス検知を判断するために設定された酸化ガス検知用閾値及び/又は還元ガス出力信号に基づいて還元ガス検知を判断するために設定された還元ガス検知用閾値の大きさを変更することを特徴とする請求項21乃至23のいずれか1項記載のガスセンサ。
  25. 補償手段は、酸化ガス検知素子及び/又は還元ガス検知素子を加熱可能なヒータへの供給電力を変更することを特徴とする請求項21乃至24のいずれか1項記載のガスセンサ。
  26. 酸化ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該酸化ガスを検知可能な酸化ガス検知素子から出力される酸化ガス出力信号及び、還元ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該還元ガスを検知可能な還元ガス検知素子から出力される還元ガス出力信号の入力を待つ入力ルーチンと、該酸化ガス出力信号に基づいて酸化ガス検知を判断するとともに該還元ガス出力信号に基づいて還元ガス検知を判断し、制御信号を発する制御ルーチンとを備えたガスセンサの制御方法において、
    前記制御ルーチンは、前記酸化ガス出力信号に基づいて前記酸化ガス検知が判断された酸化ガス検知回数を一定時間内において把握する酸化ガス検知回数把握ステップと、
    前記還元ガス出力信号に基づいて前記酸化ガス検知が判断された還元ガス検知回数を一定時間内において把握する還元ガス検知回数把握ステップと、
    該酸化ガス検知回数と第1基準値とを比較し、及び/又は該還元ガス検知回数と第2基準値とを比較し、前記酸化ガス検知素子及び/又は前記還元ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する判断ステップと、
    該判断ステップにて前記酸化ガス検知素子及び/又は前記還元ガス検知素子の劣化又は過敏が判断されたときに酸化ガス検知感度及び/又は還元ガス検知感度を変更する補償ステップとを有することを特徴とするガスセンサの制御方法。
  27. 酸化ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該酸化ガスを検知可能な酸化ガス検知素子と、還元ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該還元ガスを検知可能な還元ガス検知素子と、該酸化ガス検知素子から出力される酸化ガス出力信号が入力され、該酸化ガス出力信号に基づいて酸化ガス検知を判断するとともに、該還元ガス検知素子から出力される還元ガス出力信号が入力され、該還元ガス出力信号に基づいて還元ガス検知を判断し、制御信号を発する制御部とを備えたガスセンサにおいて、
    前記制御部は、前記酸化ガス出力信号に基づいて前記酸化ガス検知が判断された酸化ガス検知回数把握手段と、
    前記還元ガス出力信号に基づいて前記還元ガス検知が判断された還元ガス検知回数を把握する還元ガス検知回数把握手段と、
    該酸化ガス検知回数と該還元ガス検知回数とを比較し、前記酸化ガス検知素子又は前記還元ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する判断手段と、
    該判断手段にて前記酸化ガス検知素子及び/又は前記還元ガス検知素子の劣化又は過敏が判断されたときに酸化ガス検知感度及び/又は還元ガス検知感度を変更可能な補償手段とを有することを特徴とするガスセンサ。
  28. 判断手段は、酸化ガス検知回数及び還元ガス検知回数の一方が第1基準値に達した時における該酸化ガス検知回数及び該還元ガス検知回数の他方と第2基準値との差を判断することを特徴とする請求項27記載のガスセンサ。
  29. 補償手段は、酸化ガス出力信号に基づいて酸化ガス検知を判断するために設定された酸化ガス検知用閾値及び/又は還元ガス出力信号に基づいて還元ガス検知を判断するために設定された還元ガス検知用閾値の大きさを変更することを特徴とする請求項27又は28記載のガスセンサ。
  30. 補償手段は、酸化ガス検知素子及び/又は還元ガス検知素子を加熱可能なヒータへの供給電力を変更することを特徴とする請求項27乃至29のいずれか1項記載のガスセンサ。
  31. 酸化ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該酸化ガスを検知可能な酸化ガス検知素子から出力される酸化ガス出力信号及び、還元ガスの濃度変化に応じて内部抵抗が変化するとともに該還元ガスを検知可能な還元ガス検知素子から出力される還元ガス出力信号の入力を待つ入力ルーチンと、該酸化ガス出力信号に基づいて酸化ガス検知を判断するとともに該還元ガス出力信号に基づいて還元ガス検知を判断し、制御信号を発する制御ルーチンとを備えたガスセンサの制御方法において、
    前記制御ルーチンは、前記酸化ガス出力信号に基づいて前記酸化ガス検知が判断された酸化ガス検知回数を把握する酸化ガス検知回数把握ステップと、
    前記還元ガス出力信号に基づいて前記還元ガス検知が判断された還元ガス検知回数を把握する還元ガス検知回数把握ステップと、
    該酸化ガス検知回数と該還元ガス検知回数とを比較し、前記酸化ガス検知素子又は前記還元ガス検知素子の劣化又は過敏を判断する判断ステップと、
    該判断ステップにて前記酸化ガス検知素子及び/又は前記還元ガス検知素子の劣化又は過敏が判断されたときに酸化ガス検知感度及び/又は還元ガス検知感度を変更する補償ステップとを有することを特徴とするガスセンサの制御方法。
  32. 請求項1乃至6、8乃至13、15乃至18、20乃至25又は27乃至30のいずれか1項記載のガスセンサと接続され、制御信号によって内気と外気とを切換えるフラップを作動させることを特徴とする車両用空調制御装置。
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