JP3983051B2 - AMPKのγ鎖の変異体、それをエンコードするDNA配列及びその使用 - Google Patents
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Description
この発明は、AMP-活性化プロテインキナーゼ(AMPK)のγ鎖の新規な変異体、該変異体をエンコードする遺伝子及びその使用に関する。
AMPKは、真核細胞でのエネルギー代謝の調節において主要な役割を有している (HARDIEら、Annu. Rev. Biochem., 67, 821-855, 1998; KEMPら、TIBS, 24, 22-25, 1999)。哺乳動物のAMPKは、触媒作用性のαサブユニットとαサブユニットの活性を調節する2つの非触媒作用性のβ及びγサブユニットからなるヘテロトリマー複合体である。この酵素複合体の酵母同族体(SNF1と示す)は、十分に特徴付けられている; それは、哺乳動物のαサブユニットに相当する触媒作用鎖(Snf1)、及び制御サブユニット: 哺乳動物のβサブユニットに相当するSip1、Sip2 及びGal83 、及び哺乳動物のγサブユニットに相当するSnf4からなる。配列データは、AMPK同族体は線虫(Caenorhabditis elegans) 及びショウジョウバエ(Drosophila)にも存在することを示している。
【0002】
酵母SNF1及び SNF4の突然変異は、グルコース抑制遺伝子の転写、胞子形成、熱耐性、ペルオキシソーム生物発生及びグリコーゲン貯蔵の不足を引起こすことが認められている。
哺乳動物細胞では、AMPKは「燃料計」として作用することが提案されている。それは、熱ショック及びグルコースとATPの涸渇のような細胞ストレスに起因して、AMP:ATP比の増加によって活性化される。活性化AMPKはATP-産生経路(例えば脂肪酸酸化)を開き、酵素アセチル-CoA カルボキシラーゼ及びヒドロキシメチルグルタリル-CoA (HMG-CoA)リダクターゼのリン酸化をとおして、ATP-消費経路 (例えば脂肪酸及びコレステロール合成)を阻害する。それは、インビトロで、グリコーゲン合成の主要な制御酵素であるグリコーゲンシンセターゼをリン酸化により不活化することも報告されている(HARDIEら、1998, 上記)。しかし、グリコーゲンシンセターゼがインビボでAMPKの生理学上の標的であるか否かは、依然として不明である。
【0003】
哺乳動物には、3つの異なるAMPKサブユニットについて幾つかのイソ型が存在する。ヒトでは、ヒト染色体 (HSA) 5p12 上のPRKAA1及びHSA1p31上のPRKAA2が、それぞれαサブユニットのイソ型α1及びα2をエンコードし、HSA12q24.1 上のPRKAB1及びPRKAB2 (まだマップされていない)が、それぞれβサブユニットのイソ型β1及びβ2をエンコードし、かつHSA12q13.1 上のPRKAG1 及びHSA7q35-q36 上のPRKAG2が、それぞれγサブユニットのイソ型γ1及びγ2をエンコードしている(OMIM データベース、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/omim/, 1999年7月)。HARDIEら[1998, 上記]も、AMPKのγサブユニットの第三イソ型(γ3)の存在を示しているが、その情報は全く提供していない。これらのγサブユニットの配列解析は、それらが本質的に、機能が未知の4つのシスタチオンβシンターゼ(CBS)ドメインからなることを示している。AMPKサブユニットのいずれかにおける突然変異に起因する表現型の作用は、いまだ証明されていない。
【0004】
他方、大部分のハンプシャーブタは、筋肉内グリコーゲン濃度が高いことが観察されている。これらのブタでは、屠殺後に生じるグリコーゲン分解が重要なpHの低下をもたらし、この結果、水分保持能を減じた酸性肉を生じ、硬い調理ハムの収率を低下させる。
グリコーゲンの高い筋肉含量と関連した遺伝子座(RNと称する)は、ハンプシャーブタからの表現型データのファミリーの分離解析により初めて同定された(LE ROY ら、Genet. Res., 55, 33-40, 1990)。高いグリコーゲン含量に相関した完全に優性なアレレ、RN-は、大部分のハンプシャー群で高頻度に生ずるが、他品種のブタは正常な劣性rn+ アレレの同型接合体であると思われる。その後の研究により、RN-キャリアは、肝臓ではなく細胞骨格にグリコーゲンを多く増加させる(約70%)ことが分かった(MONINら、38th ICoMST, Clermont-Ferrand, FRANCE, 1992)。
【0005】
RN-とrn+ のブタのグリコーゲン含量の大きな相違は、肉質及び技術分野に著しい違いをもたらす(ENFALTら、J. Anim. Sci., 75, 2924-2935, 1997)。RN-アレレは、したがって、ブタの産業において経済的にかなり重要であり、大部分の養殖会社はこの優性突然変異を減じるか、又は除きたいであろう。
RN表現型は、生きた動物又は屠殺後の筋肉生検で糖分解能を測定して決定することができる(MONINら、Meat Science, 13, 49-63, 1985)。しかし、この方法は、実際上の繁殖プログラムでの適用を厳しく制限する。試験の精度は100%ではない: RN-及びrn+ の表現型分布ではいくらか重複があるので、試験はRN-/RN-同型接合体及びRN-/rn+ 異型接合体を区別できない。さらに、生きた動物での筋肉生検のサンプリングは、侵襲性かつ高価である。
したがって、RN遺伝子座のための簡単な診断DNA試験の開発が、極めて必要である。さらに、ブタでのRN遺伝子の劇的な表現型作用は、この遺伝子が、他の脊椎動物、特に哺乳動物の骨格筋肉で炭水化物の代謝調節に重要な役割を有していることを意味している。
【0006】
骨格筋肉及び肝臓は哺乳動物において2つの主要なグリコーゲンのレザバーであり、肝臓のグリコーゲンが正常なときの筋肉グリコーゲンの増加の知見は、RN-表現型が、おそらくは肝臓ではなく筋肉で発現される遺伝子の突然変異に起因していることを示唆している。発明者らは、RN遺伝子がブタの染色体15に局在していることを以前に報告している(MILANら、Mamm. Genome, 7, 47-51, 1996; MARIANIら、Mamm. Genome, 7, 52-54, 1996; LOOFTら、Genetics Selection Evolution, 28, 437-442, 1996)。ここで、RN-アレレが、AMP-活性化プロテインキナーゼ(AMPK)γ鎖の新しい筋肉特異的なイソ型をエンコードする遺伝子の非保存的な突然変異に関連していることが発見された。
【0007】
この発明の種々の観点は、この突然変異の発見及び特徴づけならびに突然変異遺伝子の同定及び単離に基づいている。
この発明によれば、AMPKのγ鎖における突然変異は炭水化物の代謝制御を変えることが示され、AMPKがこの代謝の必須成分であることが立証された。また、AMPKのγ鎖の筋肉特異的なイソ型をエンコードする核酸配列が提供される。すなわち、炭水化物の代謝の制御手段、より詳細には、特に骨格筋肉での炭水化物の代謝制御の検出手段及び/又は可能性のある、もしくは実際の機能不全の修正手段が提供される。
【0008】
この発明は、ポリペプチドSEQ ID NO: 2と、少なくとも 70%の同一性又は少なくとも 85%の類似性、好ましくは80%の同一性又は少なくとも 90%の類似性、より詳細には少なくとも 90%の同一性又は少なくとも 95%の類似性、さらに好ましくは少なくとも 95%の同一性又は少なくとも 99%の類似性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドを提供する。また、この発明は、該ポリペプチドをエンコードする単離された核酸配列ならびに該核酸配列の相補体を提供する。
このポリペプチドは、AMPKのγ鎖の新しい筋肉特異的なイソ型を示す。以降、これをPrkag3としても示す; 該ポリペプチドをエンコードする遺伝子は、PRKAG3としても示す。
【0009】
この発明の好ましい具体例によれば、このポリペプチドは、ポリペプチドSEQ ID NO: 28と少なくとも 75%の同一性、好ましくは少なくとも 80%の同一性を有するアミノ酸配列からなる。
基準配列との配列の「同一性」は、2つの配列が、残基位置間の一致が最大になるようアラインされた時に同じである残基の%を意味する。基準配列との同一性が少なくとも X%のアミノ酸配列を有するポリペプチドは、基準のアミノ酸配列の各100アミノ酸当たり100-X個までのアミノ酸変化を配列が含み得るポリペプチドとしてここに定義される。アミノ酸の変化は、基準配列における保存又は散在するアミノ酸残基の欠失、置換又は挿入を含む。
【0010】
基準配列との配列の「類似性」は、2つの配列が、残基位置間一致が最大になるようアラインされた時に、同じであるか、又は保存アミノ酸置換によってのみ異なる残基の%を意味する。保存アミノ酸置換は、タンパク質の機能特性を一般に変化しない、化学特性(例えば大きさ、電荷又は極性)が類似する別のアミノ酸残基へのアミノ酸残基の置換として定義される。基準配列との類似性が少なくとも X%のアミノ酸配列を有するポリペプチドは、ここで、基準アミノ酸配列の各100アミノ酸当たり(100-X)個までの非保存アミノ酸の変化を配列が含み得るポリペプチドとして定義される。非保存アミノ酸の変化は、基準配列において保存又は散在するアミノ酸残基の欠失、挿入又は非保存置換を含む。
【0011】
例えば:
* 設定をデフォルトにし、SEQ ID NO: 2配列全体を質問としてBLASTpを用いる"GenBank nr"データベースを検索すると(ALTSCHULら、Nucleic Acids Res., 25, 3389-3402, 1997)、SEQ ID NO: 2との同一性又は類似性の高い%は、
- ヒトAMPKのγ1サブユニット: 65%同一又は82%類似(スコア: 399);
- ラットAMPKのγ1サブユニット: 65%同一又は82%類似(スコア: 399);
- マウスAMPKのγ1サブユニット: 64%同一又は80%類似(スコア: 390);
- ショウジョウバエAMPKのγサブユニット: 53%同一又は75%類似(スコア: 332);
- 酵母Snf4: 33%同一又は56%類似(スコア: 173);
について見られた。
* 設定をデフォルトにし、SEQ ID NO: 28配列全体を質問としてBLASTpを用いる"
GenBank nr"データベースを検索すると、より高い同一性又は類似性の%は、
- ヒトAMPKのγ1サブユニット: 64%同一又は80%類似(スコア: 403);
- ヒトAMPKのγ2サブユニット: 62%同一又は83%類似(スコア: 425);
- ラットAMPKのγ1サブユニット: 61%同一又は77%類似(スコア: 404);
- マウスAMPKのγ1サブユニット: 63%同一又は79%類似(スコア: 394);
- ショウジョウバエAMPKのγサブユニット: 52%同一又は76%類似(スコア: 340)について見られた。
【0012】
この発明のポリペプチドは、
- 機能性Prkag3; 又は
- 機能的に改変されたPrkag3の突然変異体
のいずれかのアミノ酸配列を含むか、又はこれらから構成される、例えばいずれかの脊椎動物種、より詳細には、鳥、例えば家禽、又はウシ、ヒツジ、ブタ、マウス、ウマならびにヒトを含む哺乳動物由来のいずれかのポリペプチド(天然、合成、半合成又は組換えのいずれか)を含む。
「機能性」は、生物活性が正常なタンパク質を意味する。そのようなタンパク質は、その活性に実質的な変化を誘発せず、顕著な表現型作用を有しないサイレント突然変異からなっていてもよい。機能性Prkag3の非限定的な例は:
- 別紙の配列リストのSEQ ID NO: 2で示される配列から少なくともなるブタPrkag3;これは、例えばポリペプチド SEQ ID NO: 28を含む;
- 別紙の配列リストのSEQ ID NO: 4で示される配列から少なくともなるヒトPrkag3; これは、例えばポリペプチドSEQ ID NO: 30を含む
である。
【0013】
また、この発明はPrkag3のスプライス変異体を含む:例えば、ヌクレオチド配列 SEQ ID NO: 27及び一方の相当するアミノ酸配列 SEQ ID NO: 28、及びヌクレオチド配列SEQ ID NO: 31 及び他方の相当するアミノ酸配列SEQ ID NO: 32は、ブタ Prkag3の2つの異なるスプライス突然変異体を示す。
タンパク質の「機能的に改変された突然変異体」は、活性の変化を誘発する1又は数個の突然変異からなる。このような突然変異は、特に、タンパク質の生物活性に必須なドメイン中のアミノ酸残基の欠失、挿入又は置換を含む。それらは、例えば活性の部分又は全体的な損失を生じるか、又は逆に、活性の増加、もしくは調節エフェクターに対する応答の損傷を生じ得る。欠失、挿入又は非保存置換は、生物活性に重要な影響を与える可能性がある。しかし、保存置換も、タンパク質の活性部位の重要な位置で生じる場合には、顕著な影響を誘発し得る。
【0014】
機能的に改変されたPrkag3突然変異体の非限定的な例は:
- SEQ ID NO: 2 又は SEQ ID NO: 4の位置41におけるアルギニン残基のグルタミン残基による非保存置換に起因するR41Q変異体(この置換はグリコーゲン含量の重要な増加を生じ、骨格筋肉の糖分解能の増加を誘発する);
- SEQ ID NO: 2 又はSEQ ID NO: 4の位置40におけるバリン残基のイソロイシン残基による置換に起因するV40I変異体(この置換は、グリコーゲン含量、つまり骨格筋肉の糖分解能の低下を生じる)である。
これらの置換は、Prkag3とAMPKのγサブユニットの既知のイソ型とで高度に保存される第一CBSドメインの部分内で生じる。
Prkag3の残基数は、SEQ ID NO: 2又はSEQ ID NO: 4のアミノ酸番号を意味する。既知のγ1及びγ2のイソ型とのヒトならびにブタの Prkag3配列のアラインメントを図3に示す。
【0015】
また、この発明は、例えばPrkag3ポリペプチドの一部の欠失によって得ることのできるPrkag3突然変異体を提供する。この突然変異体は、一般に機能的に改変されている。それらは、Prkag3配列全体と70%未満の同一性を有し得る。しかし、突然変異体の非欠失配列の同一性は、相当するPrkag3配列、より詳細にはSEQ ID NO: 2由来の相当する配列とアラインした際に、70%より高くあるべきである。突然変異体は、例えば機能性Prkag3をエンコードする核酸配列における、核酸セグメントの挿入又は欠失によって、又は非センスコドンを導入する規則的な(punctual)突然変異によって得られる核酸配列の発現に起因していてもよい。
また、この発明は、機能的に改変されたAMPKのγサブユニットの突然変異体を提供する。この変異体は、第一CBSドメイン内、好ましくはSEQ ID NO:2 又は SEQ ID NO:4の30〜50残基にわたる領域とアラインされたドメインの領域内に局在する機能性変化の原因である少なくとも 1つの突然変異からなる。この変異体は、1アミノ酸又は隣合っているか、もしくは隣合っていない幾つかのアミノ酸の挿入、欠失及び/又は置換に起因し得る。より好ましくは、突然変異は、SEQ ID NO:2 又は SEQ ID NO:4の35〜45残基にわたる領域とアラインされた領域内、例えばγ1イソ型の65〜75残基にわたる領域内に局在する。
【0016】
詳細な具体例によれば、突然変異は非保存置換、好ましくはR→Q置換である。別の詳細な具体例によれば、突然変異は保存置換、好ましくはV→I置換である。
有利には、突然変異は、SEQ ID NO:2 又はSEQ ID NO:4の41残基に相当する残基、例えばγ1イソ型の場合には70残基、又はSEQ ID NO:2 もしくはSEQ ID NO:4の40残基に相当する残基、例えばγ1イソ型の場合には例えば69残基に局在する。
また、この発明は、γサブユニットがこの発明のポリペプチドからなる、ヘテロトリマーAMPKを提供する。
また、この発明は、上記の機能性の、もしくは機能的に改変されたPrkag3又はAMPKのγサブユニットの機能的に改変された突然変異体のいずれかをエンコードする単離された核酸配列、及びこれらの核酸配列のいずれか1つの核酸相補配列を提供する。
【0017】
これは、特に、PRKAG3遺伝子の天然に存在するアレレのいずれかの配列を有する単離されたいずれかの核酸、ならびにPRKAG3遺伝子の人為的な突然変異体の配列を有する単離されたいずれかの核酸(但し核酸はEST GENBANK AA178898からは構成されない)を含む。
また、これは、上記の機能的に改変されたγ1又はγ2サブユニットをエンコードする、PRKAG1又は PRKAG2遺伝子の天然もしくは人為的な突然変異体の配列を有する単離されたいずれかの核酸を含む。
この発明の核酸は、組換えDNA技術及び/又は化学DNA合成の周知方法によって得ることができる。これらの方法により、天然に存在するDNA配列に所望の突然変異を導入することも可能である。
【0018】
PRKAG3遺伝子の天然に存在するアレレをエンコードする核酸の例は、ブタ遺伝子の天然に存在するアレレをエンコードするSEQ ID NO: 1、およびヒト遺伝子の天然に存在するアレレをエンコードするSEQ ID NO: 3で示される。これらの配列は、ゲノムDNA又はcDNAのライブラリーのスクリーニングによって、他種由来のPRKAG3又は同種由来PRKAG3の他のアレレ型の単離を可能にするプローブを作成するのに用いてもよい。
また、この発明は、この発明のポリペプチドをエンコードする核酸配列の少なくとも一部、好ましくはPRKAG3遺伝子の一部、及び隣合うゲノム配列の3'及び/又は5'の500kbまで、好ましくは100kbまでからなる、いずれかの脊椎動物種、より詳細には、鳥、例えば家禽、又は特にウシ、ヒツジ、ブタ、マウス、ウマならびにヒトを含む哺乳動物由来のゲノムDNA配列を含む。
【0019】
このようなゲノムDNA配列は、当該分野で公知の方法、例えば制限部位(restriction-site) PCR(SARKARら、PCR Methods Applic., 2, 318-322, 1993)、Prkag3コード化領域ベースの分岐(divergent)プライマーを用いるインバース(inverse) PCR (TRIGLIAら、Nucleic Acids Res., 16, 8186, 1988)、捕捉(capture) PCR (LAGERSTROMら、PCR Methods Applic., 1, 111-119, 1991)などのような方法を用いる、この発明のポリペプチドをエンコードする核酸配列の伸長によって得ることができる。
また、この発明は、この発明のポリペプチドをエンコードする核酸配列又はこの発明のゲノムDNA配列の特異的なフラグメント、ならびにそれらと特異的にハイブリダイズする核酸フラグメントを含む。好ましくは、これらのフラグメントは少なくとも 15bp長、より好ましくは少なくとも 20bp長である。
【0020】
「特異的なフラグメント」は、この発明のポリペプチドをエンコードする核酸配列のみに見られ、従来技術の関連ポリペプチドをエンコードする核酸配列には見られない配列を有する核酸フラグメントを意味する。これにより、既知のPRKAG1又はPRKAG2遺伝子の1つと共有される配列からなる核酸フラグメントは除かれる。
「特異的にハイブリダイズするフラグメント」は、ストリンジェントな条件下で、この発明のポリペプチドをエンコードする核酸配列とのみハイブリダイズでき、従来技術の関連ポリペプチドをエンコードする核酸配列とはハイブリダイズしない核酸フラグメントを意味する。これにより、既知のPRKAG1又はPRKAG2遺伝子の1つと共有される配列の補体からなる核酸フラグメントが除かれる。
EST GENBANK AA178898 又はEST GENBANK W94830 又はそれらの補体からなる核酸フラグメントも、除かれる。
特異的な核酸フラグメント又は特異的にハイブリダイズする核酸フラグメントは、例えばこの発明のポリペプチドをエンコードする核酸配列を検出及び/又は増幅するためのプライマー又はプローブとして使用することができる。この発明は、上記の特異的な核酸フラグメント又は特異的にハイブリダイズする核酸フラグメントから構成される少なくとも 1つのプライマーからなる一連のプライマーを包含する。
【0021】
また、この発明は、この発明のポリペプチドをエンコードする核酸配列からなる組換えベクターを提供する。この発明のベクターは、この発明のポリペプチドをエンコードする配列が適当な転写及び翻訳制御部位のコントロール下にある発現ベクターであることが好ましい。これらのベクターは、周知の組換えDNA及び遺伝子工学的な技術によって得て、宿主細胞に導入することができる。
また、この発明は、この発明のベクター、好ましくは発現ベクターによって形質転換される原核又は真核の宿主細胞からなる。
この発明のポリペプチドは、該ポリペプチドをエンコードする核酸配列からなる発現ベクターを含む宿主細胞を、ポリペプチドの発現に適当な条件下で培養し、宿主細胞培養液からポリペプチドを回収して得ることができる。
【0022】
γサブユニットがこの発明のポリペプチドからなるヘテロトリマーAMPKは、この発明のポリペプチドをエンコードする核酸配列、αサブユニットをエンコードする核酸配列及びβサブユニットをエンコードする核酸配列をともに又は個別に発現させ、ヘテロトリマーを再構築することによって得ることができる。
こうして得られるポリペプチド又はその免疫原性フラグメントは、当該分野で周知の方法を用いて抗体を作成するのに用いることができる。Prkag3の全ポリペプチドに対する、そのいずれかの変異体を認識可能な抗体は、こうして得ることができる。また、特定のPrkag3変異体(機能性又は非機能性)の特異的なエピトープに対する抗体、又はAMPKのγサブユニットの第一CBSドメインに突然変異を有する機能的に改変された突然変異体の特異的なエピトープに対する、その変異体もしくは機能的に改変された突然変異体を認識し得る抗体は、こうして得られる。
【0023】
ここに示されるように、AMPKのγサブユニットの突然変異、特にAMPKのγサブユニットの第一CBSドメインの突然変異は、ヒトをはじめとする脊椎動物でエネルギー代謝の疾患(例えば糖尿病、肥満)を引起こす可能性がある。さらに、第一CBSドメイン又はPRKAG3遺伝子の他の部分の突然変異は、筋疾患、糖尿病及び心血管疾患のような疾患をもたらす筋肉代謝疾患を引起こす可能性がある。
この発明は、これらの疾患を検出し、いやす手段を提供する。
より詳細には、この発明は、診断評価、遺伝子試験及び代謝疾患の予後にこの発明の核酸配列及び/又はポリペプチド配列を利用する方法である。
【0024】
例えば、この発明は、AMPKのγサブユニットをエンコードする遺伝子の突然変異に起因する代謝疾患、より詳細には炭水化物代謝疾患、好ましくは改変された、特に細胞中の過剰なグリコーゲン蓄積に関連した疾患の診断方法を提供する。この方法は、機能的に改変されたPRKAG3遺伝子、又は脊椎動物から得られる核酸試料中の第一CBSドメイン内に突然変異を有するAMPKのγサブユニットの機能的に改変された突然変異の発現を検出及び/又は測定するか、又はPRKAG3遺伝子又はそのような疾患が予見される脊椎動物ゲノムのAMPKのγサブユニットの第一CBSドメインをエンコードする配列において突然変異を検出することからなる。
この発明の好ましい具体例によれば、疾患は、改変された、特に筋肉細胞中の過剰なグリコーゲンの蓄積に関連し、機能的に改変されたPRKAG3遺伝子の発現に起因する。
【0025】
機能的に改変されたPrkag3、又は第一CBSドメイン内に突然変異を有するAMPKのγサブユニットの機能的に改変された突然変異の発現は、上記のようなこの発明の機能的に改変されたポリペプチドに特異的なポリクローナル又はモノクローナル抗体のいずれかを用いて検出又は測定することができる。適当な方法は、当該分野で公知である。方法には、例えば酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)及び蛍光活性細胞分類(FACS)が含まれる。
この発明のヌクレオチド配列は、正常な個体、キャリア個体又は影響を受けている個体間の遺伝子配列又は隣合う配列の相違を検出することによって、PRKAG3遺伝子又はAMPKのγサブユニットの第一CBSドメインをエンコードする配列中の突然変異を検出するために用いることができる。
【0026】
この発明は、
- 脊椎動物由来の核酸試料を得て;
- この核酸試料中における、上記のような、Prkag3突然変異体をエンコードする核酸配列、又は第一CBSドメイン内に突然変異を有するAMPKのγサブユニットの突然変異体の有無を確認すること
からなる、PRKAG3遺伝子又はAMPKのγサブユニットの第一CBSドメインをエンコードする配列における突然変異を検出する方法を提供する。
この発明の好ましい具体例によれば、
- 脊椎動物から核酸試料を得て;
- この核酸試料を、この発明の核酸から得られ、かつ突然変異にまたがる (spanning)核酸プローブと、このプローブと検出されるべき突然変異配列間の特異的なハイブリダイゼーション条件下で接触させ、
- ハイブリダイゼーション複合体を検出すること
からなる、PRKAG3遺伝子又はAMPKのγサブユニットの第一CBSドメインをエンコードする配列における突然変異からなる核酸配列の検出方法が提供される。
【0027】
好ましくは、この発明の方法は、PRKAG3配列又は突然変異が検出されるAMPKのγサブユニットの第一CBSドメインをエンコードする配列の一部から少なくともなる配列のハイブリダイゼーション前に、核酸試料からPCR増幅をさらに行うことからなる。
完全に一致する相補配列とのみのプローブの特異的なハイブリダイゼーションを可能にし、かつ規則的な突然変異の検出に有用な方法は、当該分野で公知である。それらには、例えばアレレ特異的PCR(GIBBS, Nucleic Acid Res., 17, 2427-2448, 1989)、アレレ特異的オリゴヌクレオチドスクリーニング(SAIKIら、Nature, 324, 163-166, 1986)などが含まれる。
PRKAG3遺伝子の突然変異は、突然変異に密接に関連している多型マーカーの検出により検出することもできる。
【0028】
また、この発明は、この多型マーカー、より詳細にはゲノム配列内にPRKAG3遺伝子の少なくとも一部及び500 kb、好ましくは300 kbまで、より好ましくは100kbまでの隣合う配列の3' 及び/又は5'からなる多型マーカーの同定手段を提供する。
この多型マーカーは、核酸配列からなり染色体配列にフランクしているクローンを選択するために、例えばPRKAG3遺伝子に特異的なプローブを用いて脊椎動物からゲノムDNAライブラリーをスクリーニングし、フランキング染色体配列中の多型マーカーを同定することによって得ることができる。PRKAG3遺伝子の所定の突然変異アレレに関連する多型マーカーのアレレは、突然変異アレレの存在がこの発明の核酸プローブでのハイブリダイゼーションによってあらかじめ検出される個体由来のゲノムDNAライブラリーを用いても簡単に同定することができる。
【0029】
多型マーカーには、例えば一塩基多型(SNP)、マイクロサテライト、挿入/欠失多型及び制限フラグメント長多型(RFLP)が含まれる。これらの多型マーカーは、幾つかの個体から得られるPRKAG3遺伝子をフランキングしている配列の比較によって同定することができる。マイクロサテライトは、既知のマイクロサテライトモチーフの特異的な核酸プローブとのハイブリダイゼーションによって同定することもできる。
いったん多型マーカーが同定されると、多型遺伝子座にわたるDNAセグメントをシークエンスでき、該DNAセグメントの増幅を可能にする一連のプライマーをデザインすることができる。
また、この発明は、該DNAプライマーを包含する。
PRKAG3遺伝子における突然変異の検出は、脊椎動物由来のゲノムDNA試料を得て、この発明の一連のプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応により多型マーカーにスパンするDNAセグメントを増幅し、増幅したDNA中で、突然変異に関連した多型マーカーのアレレの有無を検出することによって行うことができる。
【0030】
一例として、この発明により得られる多型マーカー、及びブタのPRKAG3遺伝子のRN-アレレに密接に関連する多型マーカーの検出を可能にするDNA プライマーを以下の表1に挙げる。
この発明の好ましい具体例によれば、脊椎動物は哺乳動物、好ましくは家畜動物、より好ましくはブタであり、検出されるべき突然変異は機能的に改変されたPrkag3を生ずる。この突然変異の検出により、哺乳動物又はその子孫が平均より高い又は低い筋肉内グリコーゲン濃度を有する可能性があるかどうかを予見することができる。このような突然変異の一例は、R41Q置換を有し、骨格筋肉内のグリコーゲン含量を増加する、機能的に改変されたPrkag3を生ずる。
このような突然変異の別の例は、V40I置換を有し、骨格筋肉内のグリコーゲン含量を低下させる、機能的に改変されたPrkag3 を生じる。このような突然変異を有する家畜動物では、屠殺後に生じるグリコーゲン分解が正常な動物ほど重要ではなく、pHを高くし、肉質をより良くする可能性がある。
【0031】
また、この発明は、この発明の方法の実施のためのキットを含む。キットは、この発明の核酸配列の少なくとも 1つの特異的なフラグメント、又はこの発明の核酸配列と特異的にハイブリダイズし得る少なくとも 1つの核酸フラグメントを含むいずれかの容器からなる。この核酸フラグメントは、標識してもよい。キットは、この発明の一連のプライマーからなっていてもよい。キットは、市販の増幅キットと共に用いることができる。キットは、正又は負の対照反応又はマーカー、ゲル電気泳動用の分子量マーカーなどを含んでいてもよい。
この発明の他のキットは、任意に標識したこの発明の抗体、ならびに抗原-抗体反応の検出用の適当な試薬を含んでいてもよい。それらは、正又は負の対照反応又はマーカーを含んでいてもよい。
さらに、この発明は、AMPKのγサブユニットをエンコードする脊椎動物遺伝子、より詳細にはPRKAG3遺伝子の発現、及び/又は該遺伝子生成物の合成又は活性の調節手段を提供する。
【0032】
野生型又は突然変異Prkag3サブユニット、又は第一CBSドメインに突然変異を有する機能的に改変されたγサブユニット突然変異体からなる精製AMPKヘテロトリマーは、AMPK活性を調節するか、又は改変されたAMPK活性を回復することのできる化合物をインビトロでスクリーニングするために用いることができる。これは、例えば
- 例えばハイスループットスクリーニング法を用いてヘテロトリマーに対する化合物の結合を測定する; 又は、
- 例えばハイスループットスクリーニング法を用いてAMPKキナーゼ活性の変化を測定する
ことによって行ってもよい。
【0033】
ハイスループットスクリーニング法は、例えば"High throughput screening: The Discovery of Bioactive Substances", J.P. DEVLIN (編集), MARCEL DEKKER Inc., New York (1997)に開示されている。
この発明の核酸は、治療目的に用いることができる。例えば、その相補分子又はフラグメント(アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、より具体的には、筋肉組織中のAMPK活性を調節するのに用いることができる。
また、機能性 Prkag3をエンコードする核酸配列は、正常なAMPKの機能回復に用いることができる。
野生型もしくは突然変異Prkag3、あるいは上記のAMPKのγサブユニットの機能的に改変された突然変異を発現するか、又は突然変異Prkag3もしくはAMPKのγサブユニットの機能的に改変された突然変異からなるAMPKを発現する形質転換細胞又は動物組織は、AMPK活性の代謝を誘発するために、又はAMPKの発現を調節し得る化合物をスクリーニングするために、インビトロのモデルとして用いることができる。
【0034】
スクリーニングは、試験すべき化合物を、細胞又は組織の培養培地に加え、グルコース濃度(レベル)、グルコース摂取又はATP/AMP比の変化、グリコーゲン又は脂質/タンパク質含量の測定のような方法を用いて細胞又は組織におけるエネルギー代謝の変化を測定して行うことができる。
発明は、この発明の核酸配列で形質転換された動物を提供する。
ひとつの具体例で、動物は、この発明の核酸からなる導入遺伝子を少なくとも有するトランスジェニック動物である。
別の具体例では、この動物はノックアウト動物である。「ノックアウト動物」は、天然又は内因性のPRKAG3アレレが不活化されており、独力で機能性 Prkag3を生産しない動物を意味する。
【0035】
野生型もしくは突然変異Prkag3、又はAMPKのγサブユニットの機能的に改変された突然変異をエンコードするDNA配列についてのこの発明の開示に照らすと、トランスジェニック動物ならびにノックアウト動物は、例えばインビボの同種組換え手段により当該分野で公知の技術にしたがって生産することができる。
トランスジェニック又はノックアウトの動物の生産に適当な方法は、例えば HOGAN らによるManipulating the Mouse Embryo 第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1994; Transgenic Animal Technology、C. PINKERT編集、Academic Press Inc., 1994; Gene Targeting: A Practical Approach、A.L. JOYNER編集、Oxford University Press, 1995; Strategies in Transgenic Animal Science、G.M. MONASTERSKY 及びJ.M. ROBL編集、ASM Press, 1995; Lee M. SILVER によるMouse Genetics: Concepts and Applications、University Press, 1995に開示されている。
【0036】
これらの動物は、代謝の疾患及び疾病、より詳細には筋肉のグリコーゲン代謝の疾患及び疾病のモデルとして用いることができる。例えば、動物は、試験分子のスクリーニングに用いることができる。つまり、トランスジェニック動物は、AMPK活性を調節し得る化合物のスクリーニングに用いることができる。この発明のノックアウト動物は、機能性Prkag3の不在下、特にエネルギー代謝、より詳細には炭水化物の代謝を調節可能な化合物のスクリーニングに用いることができる。
スクリーニングは、動物に試験されるべき化合物を投与し、その動物でのエネルギー代謝の変化を、グルコース耐性試験、血中インシュリンレベル測定、ATP/AMP比の変化、組織及び細胞中のグリコーゲン又は脂質/タンパク質含量のような方法を用いて測定することにより行うことができる。
【0037】
肉特性が改変されるか又はエネルギー代謝が改変されたトランスジェニック又はノックアウトの家畜動物を得ることもできる。
この発明は、この発明の核酸の入手及び使用の実施例に言及する以下の追加的な記載によってさらに例証されるであろう。しかし、これらの実施例はこの発明の例示にすぎず、いかなる方法でもそれを限定するものではないことは理解されるべきである。
【0038】
実施例1: PRKAG3遺伝子の単離
ブタの細菌の人為的な染色体(BAC)ライブラリー(ROGEL-GAILLARDら、Cytogenet and Cell Genet, 851, 273-278, 1999)をスクリーンし、RN遺伝子を有するブタ染色体15の領域にわたる重複BACクローンの整列群(contig)を構築した。これらのBACクローンを順番に用いて、以下の表1に記載するように、一塩基多型(SNPs)又はマイクロサテライト(MS)の形態の新しい遺伝マーカーを開発した。
【0039】
【表1】
【0040】
新しいマーカーは、高解像リンケージマップを構築するために幾つかの前記のマーカーと共に用いた。RN遺伝子座での分離のための約1,000の有益な減数分裂からなる系統データを用いる標準的なリンケージ解析により、MS479L3に近位でマイクロサテライト Sw936に遠位の領域からRNを除外することができた。連鎖不均衡(LD)解析は、同じマーカー及びスウェーデンハンプシャー群由来の68品種の雄ブタの無作為の試料を用いて行い、筋肉中のグリコーゲン含量を測定してRN表現型をスコアにした。DISMULTプログラムを用いるLD解析の結果(TERWILLIGER, Am. J. Hum. Genet., 56, 777-787, 1995)を図1に示す。結果は、マーカー MS127B1とSNP127G63の周囲にシャープなLDピークを示している。これらのマーカーは、RN- アレレとの完全な連鎖不均衡を示すものと思われる。つまり、RN-は、これらの2つの遺伝子座で1つのアレレと関連していた。この知見についてのもっとも単純な解釈は、RN- 突然変異はこれらのアレレを有する染色体で生じるということ、及び2つのマーカーは、組換え頻度が0%に近いRN遺伝子座にかなり密接に関連しているということである。2つのマーカーは、重複しているBACクローン、127G6と134C9に共に存在し、RN遺伝子が同じクローン又は隣合うクローンの1つに存在しうることを示唆している。
【0041】
BACクローン127G6のショット-ガンライブラリーを構築し、読解した 1,000個以上の配列を集めて、クローンから約500,000塩基対のランダムDNA配列を得た。データを解析し、配列の整列群をPHRED、PHRAP 及びCONSEDソフトウエアパッケージ(University of Washington Genome Center, http://bozeman.mbt. washington.edu)を用いて構築した。配列データをREPEATMASKER ソフトウエア(http://ftp.genome.washington.edu/cgi-bin/RepeatMasker)を用いて繰り返し体についてマスクし、BLAST検索をNCBIウェブサイト (http://www.ncbi.nlm.nih. gov)を用いて行った。コード化配列に対して3つの説得力ある一致が得られた。これらのうち2つはヒトcDNA 配列/遺伝子に対するものであり、ブタのチューブリン-チロシンリガーゼに類似しているとして記載されるKIAA0173はHSA2qに局在し(UniGene cluster Hs.169910, http://www.ncbi.nlm.nih.gov/UniGene/)、CYP27A1は HSA2q33-terに局在した(UniGene cluster Hs. 82568)。結果は、RN領域がHSA2q33-36に相同であることが十分に確立されたので、ブタのコード化配列がこれらのヒト遺伝子に対してオーソロガスであることを強く示唆した(ROBICら、Mamm. Genome, 10, 565-568, 1999)。しかし、これらの配列はRNのもっともらしい候補遺伝子とは思われない。BAC 127G6で同定された第三のコード化配列は、酵母SNF4配列をはじめとする種々のAMP-活性化プロテインキナーゼγ配列に著しく高い配列類似性を示した。この遺伝子のcDNA配列は、rn+/rn+ 同型接合体由来の筋肉mRNA を用いるRT-PCR 及びRACE解析により決定された。この配列を図2及び別紙の配列リストにSEQ ID NO: 1で示す。
【0042】
図2の説明:
5' UTR: 5' 非翻訳領域
3' UTR: 3' 非翻訳領域
CDS: コード化配列
***: 停止コドン
'-': マスター配列に対する同一性
'.': アラインメントギャップ
翻訳フレームは、フレーム中の最初のメチオニンコドンを開始コドンと仮定して、タンパク質ファミリーでの他のメンバーに対するホモロジーに基づいて決定した。これに基づいて推測されたポリペプチド配列を、別紙の配列リストにSEQ ID NO: 2で示す。
ブタのPRKAG3 cDNAの完全なヌクレオチド配列は、別紙の配列リストにSEQ ID NO: 27で示し、完全なポリペプチド配列は、別紙の配列リストにSEQ ID NO: 28 で、また図3に示す。
【0043】
図3は、ヌクレオチドデータベース中の代表的なAMPKγ配列を有する CLUSTAL W プログラム(THOMPSONら、Nucleic Acids Research, 22, 4673-4680, 1994)で構築したアミノ酸アラインメントを示す。
図3の説明:
用いた配列:
PRKAG2とショウジョウバエの配列は、いずれもより長いアミノ末端領域を有するが、PRKAG3のアミノ末端領域に対しては有意なホモロジーを示さず、含まれなかった。
【0044】
略語:
*: 停止コドン
'-': マスター配列に対する同一性
'.': アラインメントギャップ
4つのCBSドメインを上部に付し(overline)、RN- 突然変異の位置を矢印で示す。
以下の表2は、哺乳動物、ショウジョウバエ及び酵母AMPKG/SNF4配列におけるアミノ酸(上の項)とヌクレオチド配列(下の項) の同一性を示す(%)。ブタのPRKAG3とヒトのPRKAG3の場合、同一性は、ヌクレオチド配列についてはSEQ ID NO: 1 及びSEQ ID NO: 3、アミノ酸配列についてはSEQ ID NO: 2 及びSEQ ID NO: 4によってそれぞれ示される同一性の部分を参照して算出した。
【0045】
【表2】
【0046】
図4は、酵母SNF4を外集団として用いるPAUPソフトウェア(SWOFFORD, 節減(及び他の方法)を用いる系統発生解析、Sinauer Associates, Inc. Publishers, Sunderland, Massachusetts, 1998)で構築した隣接-結合系統樹(Neighbor-Joining phylogenetic tree)を示す。1,000個の複製を用いたブートストラップ解析で得られる支線オーダーのサポートを示し、樹のスケールを下に示す。結果は、RN領域に局在するブタ遺伝子は哺乳動物のPRKAG1ならびにPRKAG2のイソ型とは異なることを示しており、遺伝子は筋肉cDNAライブラリーから誘導されるヒト EST配列AA178898 (GenBank)によって示されるヒト遺伝子にオルソローガスであると思われる。この遺伝子は、これまでに特徴付けられた哺乳動物のAMP活性化プロテインキナーゼγの第三イソ型であるので、ここでPRKAG3と示す。
この遺伝子のcDNA配列は、ヒト骨格筋肉cDNAを用いるRT-PCR 及び5'RACE 解析によって決定した(Clontech, Palo Alto, CA)。この配列を、図2及び配列リストのSEQ ID NO: 3に示す。ブタの配列 SEQ ID NO: 2 と97%の同一性を有する推定上のポリペプチド配列(表2参照)は、図2及び配列リストのSEQ ID NO: 4に示す。
【0047】
完全なcDNA配列は、別紙の配列リストにSEQ ID NO: 29でも示す;推定されるポリペプチド配列は、別紙の配列リストのSEQ ID NO: 30及び図3に示す。
高解像のヒトTNG 放射ハイブリッドパネル: (http://shgc-www.stanford.edu/ RH/TNGindex.html) を用いて、ブタのBAC127G6に存在するPRKAG3、CYP27A1 及びKIAA0173のヒト同族体をマップした。3つの遺伝子は、ヒトのゲノムでも極めて近くに結合している。PRKAG3は、 KIAA0173 から33 cR50.000及びCYP27A1から52 cR50.000の距離で、それぞれ6.8及び4.5のロッドスコアサポート(lod score support)を用いてマップされた。
グリコーゲン貯蔵をはじめとするエネルギー代謝調節におけるAMPKの確立した役割、及び最大の連鎖不均衡を示す領域でのその位置により、PRKAG3がRNに対して極めて強力な候補遺伝子となった。これは、ヒトPRKAG1 (GenBank エントリー AA018675Iに相当するMAGEクローン0362755)、ヒトPRKAG2 (GenBank エントリーW15439に相当するIMAGEクローン0322735)及びブタのPRKAG3プローブを用いるヒトの複数組織のノーザンブロットのハイブリダイゼーション解析により、さらに強調された。結果を図5に示す。
【0048】
図5の説明:
H: 心臓、B: 脳、Pl: 胎盤、L: 肺、Li: 肝臓、M: 骨格筋肉、K: 腎臓、Pa: 膵臓、S: 脾臓、Th: 胸腺、P: 前立腺、T: 精巣、O: 卵巣、I: 小腸、C: 結腸(粘膜網(mucosal lining))、PBL: 末梢血液白血球。
PRKAG1及びPRKAG2プローブは、広範囲な発現の組織分布を示したが、PRKAG3は、異なる筋肉特異的な発現を示した。この結果はヒトESTデータベースでも支持され、PRKAG1 及び PRKAG2を示す複数のESTsが種々のcDNAライブラリーで同定され、PRKAG3を示す1つのEST (GenBank エントリーAA178898)が筋肉のcDNAライブラリーから得られた。PRKAG3の筋肉特異的な発現及び肝臓での発現の欠損は、完全にRN-の表現型作用と一致している。つまり、グリコーゲン含量は筋肉で変化されるが、肝臓では正常である(ESTRADEら、Comp. Biochem. Physiol. 104B, 321-326, 1993)。
【0049】
PRKAG3配列は、RT-PCR解析によりrn+/rn+ 及びRN-/RN- 同型接合体から決定した。比較により7つのヌクレオチドの相違全てを示したところ、以下の表3に示すように、そのうちの4つについて、非同一置換がrn+ とRN-の動物由来の配列間に認められた。異なる品種の追加されたrn+ 及びRN- のブタ由来のゲノムDNAとのこれらの7つのSNPsのスクリーニングにより5つの異なるPRKAG3アレレが示されたが、R41Q ミスセンス置換はRN-に排他的に関連しているにすぎなかった。この非保存置換はCBS1で生じる。これは、AMPK γ鎖のアイソタイプ形態にもっとも保存されている領域であり、この残基のアルギニン(Prkag1の70残基)は哺乳動物のAMPK γ配列の異なるイソ型ならびに相当するショウジョウバエの配列に保存されている(図3)。R41Q突然変異に対する簡単な診断DNA試験を、オリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA; LANDEGRENら、Science, 241, 1077-1080, 1988) に基づいてデザインした。 ハンプシャー品種の多数のRN- 及び rn+ 動物ならびに他品種の多数のrn+動物をスクリーンすると、表4に示すように、41Q アレレは全てのRN-動物で存在するが、rn+ 動物では全く見られないことが分かった。他品種に41Qアレレがないことは、RN-アレレがハンプシャー品種で生じたとの仮定と一致している。アレレは、他品種由来の純血動物ではいまだ認められていない。結論として、結果は、PRKAG3がRN遺伝子と同一であり、もっとも可能性のあるR41Q 置換が突然変異の原因であるとの説得力ある証拠を示している。
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
特定の機序に関わらなければ、PRKAG3を含むAMPKへテロトリマーは骨格筋肉へのグルコースの輸送制御に関わっているものと推測される。
AMPK類似体AICAR又は筋肉収縮により誘発されるAMPKの活性化は骨格筋肉でのグルコース摂取を増加させることが、最近報告されている(BERGERONら、Am. J. Physiol., 276, E938-944, 1999; HAYASHIら、Diabetes, 47, 1369-1373, 1998)。これがPRKAG3を含むAMPKヘテロトリマーの機能であれば、R41Qは、例えば不活化しているアロステリック部位を欠いているために、構成上活性なハロ酵素を生じる機能増大(gain-of-function)突然変異であってもよい。もしそうであれば、RN-動物でのAMPK活性の低下は、筋肉の高エネルギー状態のためにフィードバック阻害を反映する可能性がある。骨格筋肉へのグルコースの摂取増加は、RN-動物で認められたような筋肉のグルコーゲン含量の増加をもたらすものと期待される。トランスジェニックマウスでのグルコーストランスポーター4(GLUT4)の過剰発現は、グルコースの摂取を増加し、グリコーゲンの貯蔵を増すことが示されている(TREADWAYら、J. Biol. Chem., 269, 29956-29961, 1994)。この種の機能増大モデルは、1つの非制御コピーの存在がAMPK酵素活性に大きく影響するので、RN-の優性に一致している。
【0053】
また、RN-アレレに関連したR41Q置換の機能上の重要性に対する別の仮説が提案され得る。グリコーゲンの利用における酵母SNF1酵素、及びエネルギー消費経路阻害ならびにエネルギー産生経路刺激のための哺乳動物AMPKの確立された役割に基づけば、活性化AMPKはグリコーゲン合成を阻害し、グリコーゲン分解を刺激するものと考えられる。これがPRKAG3生成物を含むイソ型の機能上の役割であれば、R41Q置換は、機能欠損突然変異体又は不活性状態でAMPKヘテロトリマーをロックする優性-陰性(dominant-negative)突然変異体であり、この結果、AMP活性化及びグリコーゲン分解を阻害するであろう。これらの場合、表現型作用は、 RN-が完全に優性であるために、ハプロ-不十分性(haplo-insufficiency)によって説明されるはずである。
【0054】
R41Qは、この結果、優性陰性突然変異体であってもよいが、筋肉中の主要なAMPK活性はPRKAG1及び2つのイソ型に関連していると考えられるので、複数のイソ型に緩衝している場合のみである[CHEUNG,ら、Biochem. J. 346, 659 (2000)]。RN- 突然変異体の異なる表現型は、PRKAG3が骨格筋肉でのエネルギー代謝の制御に主要な役割を果たしていることを示している。例えば、PRKAG3はグリコーゲン貯蔵の増加に関連した物理的な運動に対する適応に関わっていると考えられる。 また、PRKAG3の機能欠損突然変異体(又は他のAMPK遺伝子)は、非インシュリン-依存性真性糖尿病に個体を感染しやすくし、AMPKイソ型はこの疾患の治療のための潜在的な薬剤標的であると考えられる。
【0055】
実施例2: ブタPRKAG3におけるR41Q置換の検出
コドン41を含むPRKAG3の一部を、100 ngのゲノムDNA、0.2 mM dNTPs、1.5 mM MgCl2、4.0 pmolのフォワード(AMPKG3F3:5'-GGAGCAAATGTGCAGACAAG-3')及びリバース(AMPKG3R2:5'-CCCACGAAGCTCTGCTTCTT-3')双方のプライマー、10% DMSO、1 UのTaq DNAポリメラーゼ及び反応緩衝液(ADVANCED BIOTECH, London, UK)を含む10μl反応物で増幅させた。サイクリング条件には、94℃で5分の初期インキュベーション、続いて94℃(1分)、57℃(1分)及び72℃(1分)での3サイクル、及び94℃(20秒)、55℃(30秒)及び72℃(30秒)の35サイクルを含めた。ヌクレオチド位置122でのアレレの弁別は、オリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA, LANDEGREN ら、Science, 241, 1077-1080, 1988)を用いて行った。OLA法は、ゲル-ベースのアッセイとして行った。各10μlのOLA 反応には、0.5 pmolの各プローブSNPRN-A (5'Hex-TGGCCAACGGCGTCCA-3')、SNPRN-G (5'ROX-GGCCAACGGCGTCCG-3') 及び SNPRN-共通(Common) (5'リン酸塩-AGCGGCACCTTTGTGAAAAAAAAAA-3')、1.5 Uの熱安定性AMPLIGASE 及び反応緩衝液(EPICENTRE TECHNOLOGIES, Madison, WI)及び 0.5 μlのAMPKG3F3/AMPKG3R2 PCR産物を含めた。95℃で5分の初期インキュベーション後、以下の熱サイクルプロフィルを10回繰り返した: 94℃(30秒)の変性、55℃(90秒)でのプローブアニーリング及び連結。OLAサイクル後、1μlの生成物を94℃(3分)で熱変性し、氷上で冷却し、ABI377 DNA シークエンサー(PERKIN ELMER, Foster City, USA)での電気泳動用の6%ポリアクリルアミド変性ゲルに充填した。得られたフラグメント長及びピークの蛍光発光は、GENESCANソフトウェア(PERKIN ELMER, Foster City, USA)を用いて分析した。
【0056】
R41Q突然変異体のためのOLA-ベース法を用いて、糖分解能(GP)値に基づいてRN-又はrn+ のいずれかとしての表現型をもつ68頭のスウェーデンハンプシャー動物から回収したDNA試料の遺伝子型を決定する。図6は、3つの潜在的な遺伝子型からの一般的なOLA結果を示している。全てのRN-動物は、ヌクレオチド位置122で同型接合体A/A (n=28) 又は異型接合体A/G (n=36)としてスコアされたが、rn+ 動物はこの位置で同型接合体G/G (n=4)であった。
【0057】
実施例3: 密接に関連するマイクロサテライトMS127B1を用いるRN- アレレの有無の予想
マイクロサテライト127B1 (MS127B1)は、ブタPRKAG3を含むBAC 127G7 からクローンした。BACクローンをSau3AIで消化し、制限フラグメントをpUC18のBamHI部位にサブクローンした。得られたライブラリーを、[γ-32P]-dATP標識した (CA)15 オリゴヌクレオチドプローブでプローブした。強くハイブリダイズするクローンをシークエンスし、マイクロサテライト遺伝子座のPCR増幅用プライマーをデザインした。100 ng ゲノムDNA、0.2 mM dNTPs、 1.5 mM MgCl2、4.0 pmol のフォワード(MS127B1F:5'-フルオレセイン-CAAACTCTTCTAGGCGTGT-3') 及びリバース(MS127B1R:5'-GTTTCTGGAACTTCCATATGCCATGG-3')双方のプライマー、及び1 U のTaq DNA ポリメラーゼ及び反応緩衝液(ADVANCED BIOTECH, London, UK)を含む10μlのPCR反応を行なった。サイクリング条件には、94℃で5分の初期インキュベーション、続いて94℃(1分)、57℃(1分)及び72℃(1分)での3サイクル、及び94℃ (20秒)、55℃(30秒)及び72℃(30秒)の35サイクルを含めた。PCR生成物(0.3μl)を、ABI377 DNAシークエンサー(PERKIN ELMER, Foster City, USA)で4%ポリアクリルアミド変性ゲル電気泳動を用いて分離した。得られたフラグメント長は、 GENESCAN 及び GENOTYPER ソフトウェア(PERKIN ELMER, Foster City, USA)を用いて解析した。
【0058】
方法を用いて、糖分解能(GP)値に基づいてRN-又はrn+ のいずれかとしての表現型をもつ87頭のスウェーデンハンプシャー動物から回収したDNA試料の遺伝子型を決定する。下記の表5に示すとおり、全てのRN- (RN-/ RN- 又はRN-/rn+)動物はこのアレレに同型接合体又は異型接合体であったが、rn+ (rn+/rn+)動物はこのアレレを有しなかったように、アレレ108 (bp)はこの物質でRN-アレレに対する完全な関連性を示した。
【0059】
【表5】
【0060】
実施例4: PCR-RFLP 試験を用いるRN-アレレの有無の検出
RN-突然変異は、BsrBI 部位GAG^CGG/CTC^GCC (BsrBI RE 部位はパリンドロームではない)を不活化する。この部位では、RN- 配列はGAGCGG ではなくAAGCGGである。
RN遺伝子の134 bp長フラグメントは、ブタのゲノムDNAから増幅される。rn+ アレレはBsrBIの消化後に83 及び51 bpsの2つのフラグメントの検出によって同定される。
試験は、以下のように行う:
1. プライマー配列 :
RN突然変異領域の増幅に用いたプライマー配列:
消化を内部制御するために、BsrBI部位を、20 bp長のテール内の2つのプライマーの1つの末端に加える。テールにより、BsrBI部位の作成(より短いテールで十分な可能性がある)及び他のフラグメントからの未切断フラグメントの容易な弁別が可能である。テールプライマーの使用は、増幅の効率及び特異性に影響を及ぼさない。
BsrBI部位を有するコントロールテールを含むRNL修飾プライマーの配列:
【0061】
2. 用いた PCR 反応混合物 :
【0062】
5. コントロールテールを有するプライマーを用いる PCR 後に産生されるフラグメントの大きさ及び BsrBI での消化 :
RN- 又はrn+ アレレからの未切断フラグメント : 154 bp
RN- アレレから増幅したフラグメントの消化後 : 137 bp + 17 bp
rn+ アレレから増幅したフラグメントの消化後 : 83 bp + 54 bp + 17 bp
大きさの相違は、ポリアクリルアミド、アガロース/NUSIEVE又はアガロースのゲル電気泳動のいずれかの後に同定できる。
【0063】
実施例5: 糖分解能に対するV40I多型の影響
さらに、一連の181頭の rn+/rn+ 同型接合体動物(SEQ ID NO: 2の位置41でR/R)を、FokI制限酵素を用いるPCR-RFLPにより、V40I多型について分析した(SEQ ID NO: 2の位置40を示す)。糖分解能を、MONINら(Meat Science, 13, 49-63, 1985)によって開示される方法にしたがって、同時に測定した。
結果を以下の表6に示す:
【0064】
【表6】
【0065】
これらの結果は、V40I多型が、骨格筋肉の糖分解能に有意な影響を有していることを示している。
【0066】
【配列表】
Claims (12)
- 脊椎動物由来の核酸試料において、SEQ ID NO: 2の位置41に相当する位置におけるR→Q置換に起因する配列を有するポリペプチド; SEQ ID NO: 2の位置40に相当する位置におけるV→I置換に起因する配列を有するポリペプチドから選択されるポリペプチドをエンコードする核酸配列の有無を確認すること
からなる、AMPKのγサブユニットをエンコードする遺伝子における突然変異に起因するエネルギー代謝疾患及び筋肉代謝疾患の検出方法。 - 疾患が、筋肉細胞中の改変されたグリコーゲン蓄積に関連し、SEQ ID NO: 2の位置41に相当する位置におけるR→Q置換に起因する配列を有するポリペプチド; SEQ ID NO: 2の位置40に相当する位置におけるV→I置換に起因する配列を有するポリペプチドから選択されるポリペプチドのアレルの発現に起因する請求項1の方法。
- 突然変異ポリペプチドをエンコードする核酸配列の有無が、 SEQ ID NO: 2 の位置 41 に相当する位置における R → Q 置換に起因する配列を有するポリペプチド ; SEQ ID NO: 2 の位置 40 に相当する位置における V → I 置換に起因する配列を有するポリペプチドから選択されるポリペプチドをエンコードするポリヌクレオチドの少なくとも20 bp長の特異的なフラグメントであって、該突然変異にまたがる核酸プローブと核酸試料を、プローブと検出されるべき突然変異配列との特異的なハイブリダイゼーション条件下で接触させ、ハイブリダイゼーション複合体を検出することによって確認される請求項1又は2のいずれかの方法。
- - SEQ ID NO: 2の位置41に相当する位置におけるR→Q置換に起因する配列を有するポリペプチド; SEQ ID NO: 2の位置40に相当する位置におけるV→I置換に起因する配列を有するポリペプチドから選択されるポリペプチドをエンコードする核酸配列及びフランキング染色体配列からなるクローンを選択するために、前記核酸配列に特異的なプローブを用いて脊椎動物由来のゲノムDNAライブラリーをスクリーニングし、
- フランキング染色体配列中の多型遺伝座を同定し、多型遺伝子座からなるDNAセグメントをシークエンスし、
- 多型遺伝子座をフランクしているプライマー対をデザインする
ことからなる、
SEQ ID NO: 2の位置41に相当する位置におけるR→Q置換に起因する配列を有するポリペプチド; SEQ ID NO: 2の位置40に相当する位置におけるV→I置換に起因する配列を有するポリペプチドから選択されるポリペプチドをエンコードする核酸配列の遺伝多型マーカーを検出するための一対のプライマーを得るための方法。 - 選択されたクローンが、SEQ ID NO: 2の位置41に相当する位置におけるR→Q置換に起因する配列を有するポリペプチド; SEQ ID NO: 2の位置40に相当する位置におけるV→I置換に起因する配列を有するポリペプチドから選択されるポリペプチドをエンコードする核酸配列の少なくとも一部、及び500kbまでの隣合う配列の3'及び/又は5'からなる請求項4の方法。
- 脊椎動物が哺乳動物である請求項1〜5のいずれかの方法。
- 哺乳動物がブタである請求項6の方法。
- 請求項4〜7のいずれかの方法によって得られる、 SEQ ID NO: 2 の位置 41 に相当する位置における R → Q 置換に起因する配列を有するポリペプチド ; SEQ ID NO: 2 の位置 40 に相当する位置における V → I 置換に起因する配列を有するポリペプチドから選択されるポリペプチドをエンコードする核酸配列の遺伝多型マーカーを検出するための一対のプライマー。
- - 脊椎動物由来のゲノムDNAを、PCR増幅可能な条件下で請求項8の一対のプライマーと接触させ、
- PCR産物を分析し、SEQ ID NO: 2の位置41に相当する位置におけるR→Q置換に起因する配列を有するポリペプチド; SEQ ID NO: 2の位置40に相当する位置におけるV→I置換に起因する配列を有するポリペプチドから選択されるポリペプチドのアレルをエンコードする核酸配列の多型マーカーのアレルが存在するかどうかを検出する
ことからなる、SEQ ID NO: 2の位置41に相当する位置におけるR→Q置換に起因する配列を有するポリペプチド; SEQ ID NO: 2の位置40に相当する位置におけるV→I置換に起因する配列を有するポリペプチドから選択されるポリペプチドのアレルの脊椎動物での発現に起因する炭水化物代謝の機能不全の検出方法。 - 脊椎動物が哺乳動物である請求項9の方法。
- 哺乳動物がブタである請求項10の方法。
- 一対のプライマーが、SEQ ID NO: 21 及び SEQ ID NO: 22からなるプライマー対である請求項11の方法。
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