JP3982910B2 - 水性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水性樹脂組成物に関し、詳しくは、ポリウレタン樹脂およびアクリル樹脂を含有し、環状有機リン酸エステル化合物を含有してなる、抗菌性に優れた塗膜を形成することができる水性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等の合成樹脂は、各種塗料、接着剤等に用いられる他、紙、繊維、織物、不職布等の紙あるいは繊維製品の加工剤、ガラス繊維の収束剤、モルタル改質剤、床の艶出剤等の多岐の用途に用いられている。従来、これらの用途では合成樹脂を有機溶剤に溶解したワニスとして使用されていたが、この溶剤系ワニスには、有機溶剤の毒性、火災の危険性、環境汚染性等の欠点があり、近年、有機溶剤に代えて水を用いた水性樹脂が主流と成りつつある。
【0003】
上記水性樹脂としては、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等の合成樹脂を水に乳化分散させた水性ウレタン、アクリルエマルジョンが代表的なものであり、上述した溶剤系ワニスの欠点を解消したものである。しかしながら、水性ウレタンには、造膜性、弾性(強度、伸び)、耐磨耗性、耐寒性および極性物質への密着性に優れる反面、耐加水分解性、耐アルカリ性、耐汚染性および非極性物質への密着性に劣る欠点があり、また、アクリルエマルジョンには、硬度、耐加水分解性、耐アルカリ性、耐汚染性、光沢および非極性物質への密着性に優れる反面、造膜性、に劣るため造膜助剤の併用が不可欠であるばかりでなく、弾性(強度、伸び)、耐磨耗性、耐水性(特に耐熱水性)、耐溶剤性および極性物質への密着性に劣る欠点があった。
【0004】
これらの欠点を補うために、ポリウレタン樹脂とアクリル樹脂とを成膜成分として併用した水性樹脂組成物を用いることが多く提案されている。これらによって両者特性を有する水性樹脂組成物の作成が試みられている。
【0005】
一方、台所、浴室、洗面台等の多湿な場所、あるいは布団やベッド等の湿度が高まりやすい場所では、容易に細菌や黴が繁殖して不衛生となりやすい。特に、近年は住宅の機密性が高く、冷暖房が普及しているため、細菌や黴にとっても公的な増殖環境となっており、年間を通じて微生物の発育が可能となっている。このため、通常多湿な場所だけばかりでなく、居室においても微生物が繁殖し、壁紙、襖紙等を汚染するばかりでなく、アトピー性皮膚疾患やその他のアレルギー症状を引き起こすなどの衛生面においても大きな問題となっている。
【0006】
特に、近年は衛生に関する要求が強まっており、布団、枕、シーツ等の寝具や、カーペット、カーテン、壁紙等のインテリア用品、マスク、ガーゼ、包帯、白衣、おむつ等の医療衛生用品、床材、遮音材等の建材、エアコンのフィルターなどの空調設備等においても抗菌性を有するものが好まれる。
【0007】
このような状況から、塗料や接着剤などとして用いられる水性樹脂組成物においても抗菌性に優れたものが求められている。
【0008】
従って、本発明の目的は、抗菌性に優れた塗膜を形成することができる水性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、ポリウレタン樹脂およびアクリル樹脂を含有し、特定の環状有機リン酸エステル化合物を添加してなる水性樹脂組成物が、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、ポリウレタン樹脂1〜85重量%およびアクリル樹脂1〜85重量%を含有し、かつ、両者を合計した樹脂固形分2〜90重量%を含有する水性樹脂組成物であって、該樹脂固形分100重量部に対して、下記〔化2〕(前記〔化1〕と同じ)の一般式(I)で表される環状有機リン酸エステル化合物0.001〜10重量部を添加してなる水性樹脂組成物を提供するものである。
【0011】
【化2】
(式中、R 1 、R 2 およびR 3 は各々独立に水素原子または炭素原子数1〜18の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、R 4 は水素原子またはメチル基を表し、nは1または2を表し、nが1のとき、Mは水素原子またはアルカリ金属原子を表し、nが2のとき、Mはアルカリ土類金属原子または亜鉛原子を表す。)
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の水性樹脂組成物について詳細に説明する。
【0013】
本発明の水性樹脂組成物に使用されるポリウレタン樹脂は、周知の方法で製造されるもの、例えば、ポリイソシアネート、ポリオールおよびカルボキシル基またはスルホン酸基を有するポリオールあるいは分子中に塩基性基を有するポリオールを、反応に不活性で水への親和性の大きい溶媒中でウレタン化反応させてプレポリマーとし、次いで、プレポリマーを、中和剤で中和し、鎖延長剤により鎖延長し、水を加えて水性ウレタンとすることによって製造されるものが用いられる。
【0014】
上記水性ウレタンを製造するために使用される上記ポリイソシアネートとしては、脂肪族、脂環式および芳香族ポリイソシアネートがあげられ、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートエステル、1,4−シクロへキシレンジイソシアネート、4,4' −ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3' −ジメトキシ−4,4' −ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等があげられる。
【0015】
上記ポリイソシアネートは、後述するポリオール、カルボキシル基またはスルホン酸基を有するポリオールおよび鎖延長剤の活性水素の合計に対し、好ましくは0.8〜3倍当量、より好ましくは1〜2倍当量となるように使用される。該イソシアネートの使用量が0.8倍当量未満の場合には過剰のポリオール等が残存することがあり、また、3倍当量より多い場合には水を加えたときに尿素結合を多量に生成することがあり、いずれの場合もその特性を低下させるおそれがある。
【0016】
また、上記水性ウレタンを製造するために使用される上記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物等の低分子量ポリオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン/プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール;前記低分子量ポリオールとコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の多塩基酸あるいは炭酸との縮合物であるポリエステルポリオール;ポリカーボネートポリオールおよびポリカプロラクトン等があげられる。
【0017】
また、上記水性ウレタンを製造するために使用されるカルボキシル基またはスルホン酸基を有するポリオールとしては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸、1,4−ブタンジオール−2−スルホン酸等があげられ、また、分子中に塩基性基を有するポリオールとしては、例えば、メチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどがあげられ、特に、カルボキシル基を有するポリオールを用いた場合には分散性に優れる水性ウレタンが得られるので好ましい。
【0018】
上記のカルボキシル基またはスルホン酸基を有するポリオールの使用量は、用いるポリオールおよびポリイソシアネートの種類にもよるが、通常は、水性ウレタンを構成する全ての反応成分に対して、0.5〜50重量%、好ましくは1〜30重量%が用いられる。該使用量が0.5重量%未満では保存安定性が劣り、また、50重量%を超えると特性に悪影響を及ぼすことがある。
【0019】
また、上記水性ウレタンを製造するために使用される反応に不活性で水への親和性の大きい溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン等をあげることができる。これらの溶媒は、通常、プレポリマーを製造するために用いられる上記原料の合計量100重量部に対して、10〜100重量部が用いられる。
【0020】
また、上記水性ウレタンを製造するために使用される中和剤としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基があげられ、これらはカルボキシル基またはスルホン酸基を中和するに十分な量が用いられる。
【0021】
また、上記水性ウレタンを製造するために使用できる鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのポリオール類;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノフェニルメタン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、メラミン、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド等のアミン類および水等があげられる。これらの鎖延長剤の使用量は、目的とするポリウレタン樹脂の分子量にもよるが、通常は、プレポリマーに対して0.5〜10重量%が用いられる。
【0022】
前述のように、これらの原料から水性ウレタンを製造することは周知であり、これらの原料の仕込み順序を適宜変更したり、あるいは分割して仕込むことも可能である。
【0023】
このようにして得られた水性ウレタンは、通常、樹脂固形分が1〜99重量%、より好ましくは5〜80重量%となるように調整される。
【0024】
また、市販されている水性ウレタンをそのまま使用することも勿論可能であり、例えば、旭電化工業(株)製の「アデカボンタイター」シリーズ、三井東圧化学(株)製の「オレスター」シリーズ、大日本インキ化学工業(株)製の「ボンティアック」シリーズ、バイエル製の「インプラニール」シリーズ、日本ソフラン(株)製の「ソフラネート」シリーズ、花王(株)製の「ポイズ」シリーズ、三洋化成工業(株)製の「サンプレン」シリーズ、保土ヶ谷化学工業(株)製の「アイゼラックス」シリーズ、第一工業製薬(株)製の「スーパーフレックス」シリーズ、ゼネカ(株)製の「ネオレッツ」シリーズ等を用いることができる。
【0025】
本発明の水性樹脂組成物に使用されるアクリル樹脂は、例えば、アクリル酸および/またはメタクリル酸のエステルを含有するアクリル系不飽和単量体混合物を乳化剤の存在下に、水性溶媒中に乳化または分散させ、重合開始剤を用いて重合することによって得られるもの(アクリルエマルジョン)として用いられる。ここで、上記アクリル酸またはメタクリル酸エステルとしては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル、2−ヒドロキシエチル、グリシジルなどのエステルがあげられる。
【0026】
また、上記アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルとともに他の不飽和単量体を共重合させることもできる。これらの他の不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン、ブタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の脂肪族不飽和炭化水素およびハロゲン化脂肪族不飽和炭化水素、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族不飽和炭化水素、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等の他の不飽和カルボン酸のエステル(エステルを構成するアルコール成分としては上記のアクリル酸およびメタクリル酸のエステルを構成するアルコール成分が例示される)、安息香酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アクリロニトリル等の含窒素含有ビニルモノマー等があげられる。
【0027】
上記アクリル酸および/またはメタクリル酸のエステルの含有量は任意に設定できるが、通常は、全単量体中の30重量%以上、好ましくは50重量%以上であり、30重量%未満ではアクリル酸および/またはメタクリル酸エステルを用いたことによる効果が発現しがたくなる。特に、これらのアクリル酸および/またはメタクリル酸エステルとして、グリシジルメタクリレートおよび/またはグリシジルアクリレートを全単量体の0.1〜50重量%、特に1〜30重量%となるように含有することが好ましく、グリシジルメタクリレートおよび/またはグリシジルアクリレートを含有する不飽和単量体を用いることにより、皮膜の耐水性、耐薬品性等が著しく改善される。
【0028】
また、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等の他の不飽和カルボン酸を不飽和単量体成分として使用し、かつ中和剤を使用することでアクリル系樹脂自体に水溶性を付与することもでき、これら中和剤としては、例えば、前記水性ウレタンを製造するために使用される中和剤として例示したものなどがあげられる。
【0029】
これらの不飽和単量体(アクリル系不飽和単量体混合物)は、反応当初に一括して仕込むことも、また、分割あるいは連続的に仕込むことも可能であり、さらに、必要に応じてメルカプタン類などの連鎖移動剤を添加することもできる。
【0030】
また、上記アクリル樹脂を製造するために使用される上記重合開始剤は特に制限を受けず、通常のエマルジョン重合に用いられる水溶性開始剤ばかりでなく、油溶性開始剤も使用することができる。これらの重合開始剤としては、例えば、過流酸カリウム、過流酸アンモニウム、アゾビスシアノ吉草酸、アゾビスイソブチロニトリル、第三ブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、過酸化ベンゾイル等があげられ、また、これらの重合開始剤と亜硫酸塩、スルホキシレートとの組み合わせよりなるいわゆるレドックス系触媒を使用することもできる。
【0031】
上記重合開始剤の使用量は、単量体の種類、濃度、反応温度等によっても変化するが、通常は全単量体に対して0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0032】
また、上記重合開始剤は、全量を一括して添加することも、あるいは、分割または連続的に添加することもできる。
【0033】
上記アクリル樹脂を製造する際の反応温度は、使用する単量体および重合開始剤の種類および量に応じて変化するが、通常は0℃〜100℃である。
【0034】
また、上記アクリル樹脂を製造する際に使用される乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤または反応性界面活性剤など全ての界面活性剤を使用することができる。
【0035】
上記アニオン性界面活性剤としては、例えば、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、アンモニウムドデシルサルフェートなどのアルキルサルフェート;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホリシノート;スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩、スルホン化パラフィンのアンモニム塩などのアルキルスルホネート;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレート、トリエタノールアミンアビエテートなどの脂肪酸塩;ナトリウムベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェートなどのアルキルアリールスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ジアルキルスルホコハク酸塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩などがあげられる。
【0036】
また、上記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセライド;トリメチロールプロパン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体;エチレンオキサイドの脂肪酸アミン、アミドまたは酸との縮合生成物などがあげられる。
【0037】
また、上記カチオン性界面活性剤としては、例えば、第1〜3級アミン塩;ピリジニウム塩;第四級アンモニム塩などがあげられる。
【0038】
また、上記高分子界面活性剤としては、例えば、ポリビニルアルコール;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸カリウム、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;またはこれらの重合体構成単位である重合性単量体の二種以上の共重合体または他の単量体との共重合体などがあげられる。また、クラウンエーテル類などの相間移動触媒と称されるものも界面活性を示すものとして有用である。
【0039】
また、上記反応性界面活性剤としては、分子内に上記不飽和単量体と共重合しうる不飽和結合を有するものであれば、ノニオン系、アニオン系あるいはカチオン系を問わず使用することができる。
【0040】
上記反応性界面活性剤は、分子内に、疎水性基、親水性基および反応性基を各々少なくとも1個有する化合物であり、該疎水性基は脂肪族または芳香族炭化水素基からなり、該親水性基はポリオキシアルキレンエーテル基に代表されるノニオン性基、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基に代表されるアニオン性基および第四級アンモニム塩に代表されるカチオン性基を含有し、該反応性基はビニルエーテル基、アリルエーテル基、ビニルフェニル基、アリルフェニル基、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミド基、マレイン酸等の不飽和二塩基酸基のエステルまたはアミド基を有するものである。
【0041】
更に、上記反応性界面活性剤の具体例としては、例えば、1−(メタ)アリロキシまたは(メタ)アクリロイルオキシまたは(メタ)アリロキシカルボニルメチル−3−アルコキシ(ポリオキシアルキレノキシ)またはアルキルフェノキシ(ポリオキシアルキレノキシ)またはアシロキシ(ポリオキシアルキレノキシ)−2−ヒドロキシプロパンまたはそのアルキレンオキシド付加物あるいはこれらの硫酸またはリン酸エステルアルカリまたはアンモニム塩、ビスフェノール化合物またはグリコール化合物のアルキレンオキシド付加物あるいはこれらの硫酸またはリン酸エステルアルカリまたはアンモニム塩、ビニルまたはアリルフェノール化合物のアルキレンオキシド付加物あるいはこれらの硫酸またはリン酸エステルアルカリまたはアンモニム塩、スルホコハク酸のモノアリル−モノアルキルエステルアルカリまたはアンモニム塩、スルホコハク酸のモノ(3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−モノアルキルエステルアルカリまたはアンモニム塩などがあげられる。
【0042】
上記乳化剤の使用量は、全不飽和単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部である。該使用量が0.1重量部未満の場合には乳化安定性が不十分であり、また、20重量部を超えると、得られる水性樹脂組成物から形成される皮膜の特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0043】
本発明の水性樹脂組成物は、前記のポリウレタン樹脂およびアクリル樹脂を含有するものであるが、その調整方法には特に制限を受けず、別途に製造した水性ウレタンとアクリルエマルジョンとを混合する方法あるいは水性ウレタンにアクリル系不飽和単量体混合物および反応性乳化剤を加えて重合させる方法等のいずれでも採用することができる。
【0044】
別途に製造した水性ウレタンとアクリルエマルジョンとを混合する方法においては、混合の順序、温度等の条件については特に制限を受けず、例えば、アクリルエマルジョン中に水性ウレタンを少量ずつ添加混合する方法、水性ウレタン中にアクリルエマルジョンを少量ずつ添加混合する方法、両者を一度に混合する方法のいずれでも良く、また、両者を冷却した後混合しても、一方あるいは両方が高温のときあるいは加熱下に混合してもよい。
【0045】
特に、グリシジルメタクリレートまたはグリシジルアクリレートを含有する不飽和単量体混合物から得られたアクリルエマルジョンを用いる場合には、50〜100℃で水性ウレタンと混合するか、あるいは水性ウレタン中で50〜100℃でアクリル系不飽和単量体混合物を重合させることによって得られる水性樹脂組成物を用いることにより、形成された皮膜の特性が改善される傾向が認められる。このような高温下で製造した水性樹脂組成物を用いることによって形成される皮膜の特性が改善されることは明らかではないが、ポリウレタン樹脂に含有されるカルボキシル基またはスルホン酸基とアクリル樹脂に含有されるグリシジル基が反応して両者の間に部分的な化学的な結合が生じ、両樹脂の均一性が改善されるためであると推定される。
【0046】
また、本発明の水性樹脂組成物は、ポリウレタン樹脂1〜85重量%およびアクリル樹脂1〜85重量%を含有し、かつ、両者を合計した樹脂固形分が2〜90重量%、好ましくは5〜80重量%となるように調整される。
上記樹脂固形分が2重量%未満の場合は乾燥に長時間を要することとなり、また、樹脂固形分が90重量%を超えると、粘度が高く取り扱いに不便であるばかりでなく、保存安定性が低下する。
また、ポリウレタン樹脂が1重量%より少ない場合には、ポリウレタン樹脂の特徴である造膜性、弾性等の塗膜物性などを満足しうるものが得られず、アクリル樹脂が1重量%より少ない場合には、アクリル樹脂の特徴である硬度、耐加水分解性を満足しうるものが得られない。一方、これらの樹脂を85重量%よりも多く使用した場合には安定な水性樹脂組成物が得られない。
【0047】
また、本発明の水性樹脂組成物におけるポリウレタン樹脂とアクリル樹脂との比率(重量比)は特に制限を受けないが、通常は1:10〜10:1である。該比率が上記範囲を外れる場合は、ポリウレタン樹脂またはアクリル樹脂の量が少なくなりすぎ、所望の特性が得られない。
【0048】
本発明の水性樹脂組成物に使用される上記一般式(I)で表される環状有機リン酸エステル化合物において、R 1 、R 2 およびR 3 で表されるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、第三アミル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、イソオクチル、第三オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、トリデシル、イソデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル等があげられる。
【0049】
また、Mで表されるアルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等があげられ、アルカリ土類金属原子としては、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム等があげられ、特にMがアルカリ金属原子または亜鉛原子であるものが本発明の効果が大きく好ましい。
【0050】
従って、上記環状有機リン酸エステル化合物の具体例としては、下記〔化3〕〜〔化10〕に示す化合物No. 1〜No. 8などがあげられる。
【0051】
【化3】
【0052】
【化4】
【0053】
【化5】
【0054】
【化6】
【0055】
【化7】
【0056】
【化8】
【0057】
【化9】
【0058】
【化10】
【0059】
上記環状有機リン酸エステル化合物の添加量は、樹脂固形分100重量部に対し、0.001〜10重量部であり、好ましくは0.005〜5重量部である。該添加量が0.001重量部未満では十分な抗菌効果は得られず、10重量部を超えても効果はあまり向上せずに経済的に不利になる。
【0060】
本発明の水性樹脂組成物には、公知の無機系および/または有機系の抗菌剤、防黴剤を併用することによって、その効果を増強しおよび/または抗菌スペクトルをより広範なものとすることができる。
【0061】
上記無機系の抗菌剤、防黴剤としては、例えば、銀、銅、亜鉛等の抗菌性および/または防黴性を付与しえる金属、またはその酸化物、水酸化物、リン酸塩、チオスルフェート塩、ケイ酸塩ならびにこれらを担持させた無機化合物があげられ、より具体的には銀または銅ゼオライト類、銀リン酸ジルコニウム、銀ハイドロキシアパタイト、銀リン酸塩ガラス、銀リン酸塩セラミックス、銀リン酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化カルシウム、水酸化カルシウム等があげられる。これらの無機系の抗菌剤、防黴剤の中でも、アルカリ土類金属または亜鉛の酸化物もしくは水酸化物であることが好ましい。
【0062】
上記アルカリ土類金属または亜鉛の酸化物もしくは水酸化物としては、例えば、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウムまたは亜鉛の酸化物もしくは水酸化物があげられ、特に、水酸化カルシウム、酸化亜鉛および水酸化亜鉛が効果が大きく好ましい。
【0063】
上記アルカリ土類金属または亜鉛の酸化物もしくは水酸化物の添加量は特に制限を受けないが、通常は、添加される樹脂固形分100重量部に対して0.001〜10重量部が好ましく、0.005〜5重量部がより好ましい。0.001重量部未満では十分な抗菌効果が得られないことがあり、10重量部を超えて用いても効果は余り向上せず、かえって、水性樹脂組成物の特性に悪影響を及ぼす恐れがある。
また、その他の無機系および/または有機系の抗菌剤、防黴剤の添加量も、上記添加量の範囲で添加される。
【0064】
また、上記アルカリ土類金属または亜鉛の酸化物もしくは水酸化物は、粉末状のものを用いることがポリウレタン樹脂およびアクリル樹脂への分散性から好ましく、その粒径は特に制限を受けないが、平均粒径が0.1〜100μのものを用いることが上記両樹脂の物性を低下させないので好ましい。また、粉末をそのまま上記両樹脂に配合することができるが、必要に応じて、溶剤または液状添加剤に分散させたり、ペースト状として用いることができる。
【0065】
また、上記有機系の抗菌剤、防黴剤としては、有機窒素硫黄系抗菌剤、有機ブロム系抗菌剤、有機窒素系抗菌剤、その他の抗菌剤などがあげられ、具体的には、上記有機窒素硫黄系抗菌剤としては、メチレンビスチオシアネート等のアルキレンビスチオシアネート化合物、5−クロル−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロル−2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾリン化合物、クロラミンT、N,N−ジメチル−N' −(フルオロジクロルメチルチオ)−N' −フェニルスルファミド等のスルファミド化合物、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、2−メルカプトチアゾール等のチアゾール化合物、2−ピリジンチオール−1−オキシドおよびその金属塩、2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾール、3,5−ジメチル−1,3,5−2H−テトラヒドロチアジアジン−2−チオン、N−(フルオロジクロルメチルチオ)フタルイミド、ジチオ−2,2' −ビス(ベンズメチルアミド)等があげられ、上記有機ブロム系抗菌剤としては、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−ジアセトキシプロパン、β−ブロモ−β−ニトロスチレン、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン等の有機ブロモニトロ化合物、2,2−ジブロモ−3−シアノプロピオンアミド等の有機ブロモシアノ化合物、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタン、1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン、ブロモアセトアミド等のブロモ酢酸化合物、ビストリブロモメチルスルホン等の有機ブロモスルホン化合物等があげられ、上記有機窒素系抗菌剤としては、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリエテニル−s−トリアジン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン等のs−トリアジン化合物、N,4−ジヒドロキシ−α−オキソベンゼンエタンイミドイルクロライド、α−クロロ−o−アセトキシベンゾアルドキシム等のハロゲン化オキシム化合物、トリクロロイソシアヌレート、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム等の塩素化イソシアヌル酸化合物、塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム等の第四級アンモニウム塩化合物、2−メチルカルボニルアミノベンツイミダゾール等のカルバミン酸化合物、1−〔2−(2,4−ジクロロフェニル)〕−2' −〔(2,4−ジクロロフェニル)メトキシ〕エチル−3−(2−フェニルエチル)−1H−イミダゾリウムクロライド等のイミダゾール化合物、2−クロロアセトアミド等のアミド化合物、N−(2−ヒドロキシプロピル)アミノメタノール、2−(ヒドロキシメチルアミノ)エタノール等のアミノアルコール化合物、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル等のニトリル化合物があげられ、その他の抗菌剤としては、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸イソプロピル等があげられる。
【0066】
また、本発明の水性樹脂組成物には、目的に応じて、フッ素系またはシロキサン系などの帯電防止剤、コライダルシリカまたはコロイダルアルミナなどの無機質コロイドゾル、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、ワックス類、防曇剤、防腐剤、消泡剤、可塑剤、溶剤、造膜助剤、分散剤、増粘剤、高量とうの添加物を加えることができる。
【0067】
本発明の水性樹脂組成物において、ポリウレタン樹脂およびアクリル樹脂、前記環状有機リン酸エステル化合物、並びに必要に応じ用いられるその他の添加物を除く残部は、水である。
【0068】
本発明の水性樹脂組成物は、各種塗料、接着剤等に用いられる他、紙、繊維、織物、不職布等の紙あるいは繊維製品の加工剤、ガラス繊維の収束剤、モルタル改質剤、床の艶出剤等の多岐の用途に用いられる。
【0069】
【実施例】
以下、製造例ならびに実施例を示して本発明の水性樹脂組成物を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特に断りのない限り、「部」は「重量部」を意味する。
【0070】
先ず、ポリウレタン樹脂を含有する水性ウレタン、及びアクリル樹脂を含有するアクリルエマルジョンの製造例を以下に示す。
製造例1(水性ウレタンの製造例)
平均分子量1000のポリプロピレングリコール(PPG1000)49部、シクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)176部、ジメチロールプロピオン酸70部およびN−メチルピロリドン196部を反応容器にとり、0〜100℃に保ちながら反応させて、プレポリマーを製造した。
【0071】
次いで、トリエチルアミン48部を加えて中和した後、ヘキサメチレンジアミン5部を加え、水を添加しながら35℃以下で架橋反応を行い、反応終了までに456部の水を加えて樹脂固形分35重量%の水性ウレタン(水性ウレタンA)を製造した。
【0072】
製造例2(水性ウレタンの製造例)
平均分子量790のビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物(BPAPO)140部、キシリレンジイソシアネート151部およびN−メチルピロリドン120部を反応容器にとり、80〜85℃でNCO含有率が10.3%となるまで反応させ、プレポリマーを製造した。
【0073】
次いで、ジメチロールプロピオン酸14部および1,4−ブチレングリコール25部を加え、同温度で架橋反応を行い、赤外吸収スペクトルでイソシアネートの吸収が消失するまで反応させた後、トリエチルアミン12部および水538部を加えて中和し、さらに1時間熟成させて樹脂固形分34重量%の水性ウレタン(水性ウレタンB)を製造した。
【0074】
製造例3((水性ウレタンの製造例)
ポリオール成分としてエチレングリコールおよびジエチレングリコール(重量比2:3)を用いた分子量1000のポリエステルポリオール(ポリエステルポリオール1)100部、イソホロンジイソシアネート107部およびメチルエチルケトン90部を反応容器にとり、75℃で十分に混合した後、ジメチロールプロピオン酸20部を加え、70℃で12時間反応させた。5%アンモニア水60部を加え中和した後、減圧下にメチルエチルケトンを留去し、水を加えて樹脂固形分23重量%の水性ウレタン(水性ウレタンC)を製造した。
【0075】
更に、上記製造例1と同様な操作により、下記〔表1〕に示す成分にて水性ウレタン(水性ウレタンD〜G)を製造した。
【0076】
【表1】
【0077】
製造例4(アクリルエマルジョンの製法)
イオン交換水100部および下記〔化11〕の化学式で表される乳化剤(乳化剤A )2部をとり、70℃に昇温してから過流酸アンモニウム0.6部を加えた。ここにメチルメタクリレート45部、n−ブチルアクリレート45部、グリシジルメタクリレート10部、乳化剤A1部およびイオン交換水30部からなる混合乳化液を3時間をかけて滴下し、滴下終了後、さらに1時間反応させた。その後アンモニア水でpH8〜9に調整し、樹脂固形分44重量%のアクリルエマルジョン(アクリルエマルジョンA)を製造した。
【0078】
【化11】
【0079】
更に、上記製造例4と同様な操作により、下記の〔表2〕に示す成分を用いてアクリルエマルジョン(B〜F)を製造した。
【0080】
【表2】
【0081】
実施例1〜25及び比較例1〜3
前記で得られた水性ウレタンおよびアクリルエマルジョンならびにその他の配合剤より水性樹脂組成物を調製した(下記〔表3〕〜〔表6〕参照、配合単位;重量部)。
得られた水性樹脂組成物をガラス板上に乾燥膜厚が0.5mmとなるように塗布し、常温で一昼夜乾燥後、さらに80℃で5分間焼き付けを行って被膜を形成させた。
上記被膜より、20mm×20mmの試験片を作成し、次の菌を用いて下記方法により抗菌性を評価した。その結果を下記〔表3〕〜〔表6〕に示す。
【0082】
菌1:黄色ブドウ球菌 菌2:MRSA
菌3:枯草菌 菌4:肺炎捍菌
菌5:大腸菌 菌6:白癬菌
菌7:ビール酵母 菌8:クロカワ黴
【0083】
細菌類;試験片上に菌培養液を塗布し、ポリエチレン性のラップフィルムを密着させ、35℃で2日間培養液の菌数を測定し、下記の基準で評価した。
◎ : 試験前の菌数の0.1%未満しか生存していないもの。
○ : 試験前の菌数の0.1%以上1%未満が生存しているもの。
△ : 試験前の菌数の1%以上10%未満が生存しているもの。
× : 試験前の菌数の10%以上が生存しているもの。
【0084】
真菌類;試験片をシャーレ中央に置き、試験片が薄く覆われるように普通寒天培地を流し込み、寒天倍地の上に菌の培養液を塗布した後35℃で1時間培養し、菌の発育状況を観察し、その結果を次の基準で評価した。
◎:試験片の上部に菌の発育がないもの。
○:試験片の上部に発育した菌の表面積が30%未満であるもの。
△:試験片の上部に発育した菌の表面積が30%以上70%未満であるもの。
×:試験片の上部に発育した菌の表面積が70%以上であるもの。
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【0087】
【表5】
【0088】
【表6】
【0089】
実施例より明らかなように、ポリウレタン樹脂およびアクリル樹脂よりなる水性樹脂組成物(比較例3)は、塗膜となったときの抗菌性が全くないものであり、本発明に係る前記環状有機リン酸エステル化合物以外の抗菌剤を用いた場合(比較例1及び2)にもその改善効果は不十分である。
【0090】
これに対して、ポリウレタン樹脂およびアクリル樹脂を含有してなる水性樹脂組成物に対して、前記環状有機リン酸エステル化合物を配合することで、抗菌性は著しく改善される(実施例1〜25)。
【0091】
【発明の効果】
本発明の水性樹脂組成物は、抗菌性に優れた塗膜を提供することができるものである。
Claims (2)
- ポリウレタン樹脂1〜85重量%およびアクリル樹脂1〜85重量%を含有し、かつ、両者を合計した樹脂固形分2〜90重量%を含有する水性樹脂組成物であって、該樹脂固形分100重量部に対して、下記〔化1〕の一般式(I)で表される環状有機リン酸エステル化合物0.001〜10重量部を添加してなる水性樹脂組成物。
- 上記一般式(I)において、Mがアルカリ金属原子または亜鉛原子である請求項1記載の水性樹脂組成物。
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