JP3981489B2 - 湿式画像形成装置および湿式画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の湿式画像形成装置に係り、詳しくは、液体中にトナーを分散させた現像液を用いて潜像担持体上の静電潜像を現像する現像手段と、該現像手段により該潜像担持体に顕像化された画像を記録媒体に転写する転写手段と、転写残の残留液を回収しクリーニングするクリーニング手段とを有する湿式画像形成装置および湿式画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の画像形成方法および画像形成装置として、液体中にトナーを分散させた現像液を感光体等の像担持体に供給することにより該像担持体上の潜像を現像し、該像担持体上に形成された顕像を転写紙等の転写材に転写するものが知られている。この画像形成方法および画像形成装置においては、上記顕像が転写された後の像担持体の表面に残留している残留液としての現像液を除去して該表面をクリーニングしている。
この残留液のクリーニングは、像担持体上に形成した顕像を転写紙等の転写材に転写する方法および装置において該転写後の像担持体の表面に残留した残留液を除去する場合だけでなく、像担持体上に形成した顕像を一旦中間転写体に転写し該中間転写体上の顕像を転写紙等の転写材に転写する方法および装置において該像担持体および該中間転写体の少なくとも一方の表面に残留した残留液についても行われる。
このようにクリーニングして集められた残留液をコンパクトな分離抽出装置によって、トナーを構成しているキャリア液成分とピグメントなどの固形成分とに分離し、該固形成分は破棄するが、該キャリア液成分は分離抽出してリサイクル使用することが試みられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
除去回収した上記残留液から、固形成分を除去し、液体成分のみを分離抽出する方法として、電界を発生させた二つの平面電極間に、残留液の拡散を抑制する液拡散抑制部材を配設した残留液分離装置を使用し、該液拡散抑制部材中を、残留液を通過させる方法がある。該残留液が上記液拡散抑制部材を通過中に、残留液中の固形成分を一方の電極側に移動させるとともに、その一方の平面電極および該液拡散抑制部材中に残留液中の固形成分を拘束することによって、残留液から固形成分が除去される。残留液が電極間の液拡散抑制部材を通過する上流側終端部では、該残留液から固形成分が除去された液体成分を流出させ、回収することができる仕組みになっている。しかし、上記分離装置から該液体成分が流出する際、該残留液が拡散抑制部材を通過中に分離された固形成分が液体成分の流れとともに流出してしまうことがある。そのため、分離抽出した液体成分中に固形成分が混入していることがある。
【0004】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、転写後の像担持体の表面若しくは像担持体および中間転写体の少なくとも一方の表面から除去した残留液から液体成分を抽出する際、残留液から分離した固形成分が液体成分の流れとともに流出することを防止する。そして、固形成分を含まない液体成分のみを分離抽出してリサイクル使用することができる湿式画像形成装置および湿式画像形成方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、液体中にトナーを分散させた現像液を用いて潜像担持体上の静電潜像を現像する現像手段と、該現像手段により該潜像担持体に顕像化された画像を記録媒体に転写する転写手段と、転写残の残留液を回収しクリーニングするクリーニング手段とを有する湿式画像形成装置において、該クリーニング手段で除去回収した残留液を収容する液体現像剤回収タンクと、該液体現像剤回収タンクからの該残留液を、該残留液の拡散を抑制する液拡散抑制部材中を通過させ、該液拡散抑制部材を通過中の該残留液に電界を作用させて、該残留液の固形成分を所定箇所に移動させるとともに該所定箇所に拘束することにより、該液拡散抑制部材中から該残留液の液体成分を分離抽出する分離抽出手段と、該分離抽出手段で分離抽出された液体成分を収容する前記液体現像剤回収タンクとは別槽のキャリア液回収タンクとを設け、上記液拡散抑制部材中を、鉛直方向下方から上方へ向けて上記残留液を通過させ、該液拡散抑制部材の上部から上記残留液の液体成分を流出させるように上記分離抽出手段を構成したことを特徴とするものである。
【0006】
請求項2の発明は、上記液拡散抑制部材が、互いに異なる電位の電極間に配置され、かつ、該液拡散抑制部材を通過中の該残留液に、上記電極間に発生する電界を作用させて、該残留液の固形成分をいずれか一方の電極に移動させるとともに該電極近傍に拘束することにより、該液拡散抑制部材中から該残留液の液体成分を分離抽出する請求項1の湿式画像形成装置において、上記液拡散抑制部材中を通過した上記液体成分を、上記固形成分が拘束されない側の電極である非電着側の電極終端部に沿わせながら流出させることを特徴とするものである。
【0007】
請求項3の発明は、上記液拡散抑制部材が、互いに異なる電位の電極間に配置され、かつ、該液拡散抑制部材を通過中の該残留液に、上記電極間に発生する電界を作用させて、該残留液の固形成分をいずれか一方の電極に移動させるとともに該電極近傍に拘束することにより、該液拡散抑制部材中から該残留液の液体成分を分離抽出する請求項1の湿式画像形成装置において、上記電極のうちのいずれか一方の電極の終端部を突き出した状態に配設したことを特徴とするものである。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1、2または3の湿式画像形成装置において、上記非電着側の電極終端部に沿って上記残留液の液体成分が流出するように、少なくとも該電極および液拡散抑制部材を傾けたかあるいは曲げて配設したことを特徴とするものである。
【0009】
請求項5の発明は、液体中にトナーを分散させた現像液を用いて潜像担持体上の静電潜像を現像し、該潜像担持体に顕像化された画像を記録媒体に転写後、転写残の残留液を回収しクリーニングする湿式画像形成方法において、該クリーニング手段で除去回収した残留液を液体現像剤回収タンクに収容し、該液体現像剤回収タンクからの残留液を、該残留液の拡散を抑制する液拡散抑制部材中を鉛直方向下方から上方へ向けて通過させ、該液拡散抑制部材を通過中の該残留液に電界を作用させて、該残留液の固形成分を所定箇所に移動させるとともに該所定箇所に拘束し、かつ、該液拡散抑制部材の上部から該液体成分を流出させることにより、該液拡散抑制部材中から該残留液の液体成分を分離抽出し、該分離抽出手段で分離抽出された液体成分を、前記液体現像剤回収タンクとは別槽のキャリア液回収タンクに収容することを特徴とするものである。
【0010】
請求項6の発明は、互いに異なる電位の電極間に配置された上記液拡散抑制部材を通過中の該残留液に、上記電極間に発生する電界を作用させて、該残留液の固形成分をいずれか一方の電極に移動させるとともに該電極近傍に拘束することにより、該液拡散抑制部材中から該残留液の液体成分を分離抽出する請求項5の湿式画像形成方法において、上記液拡散抑制部材中を通過した上記液体成分を、上記固形成分が拘束されない側の電極である非電着側の電極端部に沿わせながら流出させることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
〔実施形態1〕
以下、本発明をプリンタに適用した実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係るプリンタの概略について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタの要部概略構成図である。図2は、図1のプリンタにおいて、残存した液体現像剤回収の説明図である。潜像担持体としての感光体ドラム1の回りに、帯電ローラ2、光書込ユニット3、中間転写ベルト5、感光体ドラムクリーニングユニット6等が配設されている。現像ユニット4は平行に移動可能な可動台13に設置されている。そして、上記中間転写ベルト5に対向し、最終転写材としての図示しない転写紙に現像を転写するための転写手段として転写ローラ8および中間転写ベルトクリーニングユニット7も配設されている。
【0012】
感光体ドラム1は、図示しないモータ等の駆動手段によってプリント時には一定速度で矢印方向に回転駆動される。そして帯電ローラ2により暗中にて一様に帯電された後に、光書込ユニット3により、画像情報に基づいて書込光が照射結像されて静電潜像が感光体ドラム1上に形成される。この画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン、および黒の色情報に分解した単色の画像情報である。そして、上記静電潜像は、可動台13上に設置された現像ユニット4が平行に移動し、所望色の現像ユニットが感光体ドラム1に当接することによって、各々所定のイエロー、マゼンタ、シアン、および黒トナーで現像され、感光体ドラム1上に各色画像が形成される。感光体ドラム1上に形成された各色画像は、感光体ドラム1と等速駆動されている中間転写ベルト5上に、イエロー、マゼンタ、シアン、および黒の単色毎、順次重ねて転写される。中間転写ベルト5上に重ね合わされたイエロー、マゼンタ、シアン、および黒の画像は、給紙カセット9から転写部に搬送された図示しない転写紙に、転写ローラ8により一括転写される。そして、転写終了後、この図示しない転写紙は定着ユニット10により定着され、排紙トレイ11に排紙される。なお、中間転写ベルト5上に転写されなかった感光体ドラム1上の液体現像剤は、感光体ドラムクリーニングユニット6により感光体ドラム1から除去される。また、中間転写ベルト5上の残存液体現像剤は、中間転写ベルトクリーニングユニット7により除去される。その後、感光体ドラム1の表面は図示しない除電ランプにより残留電位が除去されて次のプリントに備えられる。
【0013】
感光体ドラム1および中間転写ベルト5上に少量残存する未転写液体現像剤が、それぞれ感光体ドラムクリーニングユニット6および中間転写ベルトクリーニングユニット7により掻き取られ、キャリア液分離装置12に送られる。なお、本実施形態においては、液体現像剤として、絶縁性のキャリア液中にトナーを分散した100〜10000mPa・sの高粘度の液体現像剤を用いた。
【0014】
図3は、キャリア液分離装置12の概略構成図である。該キャリア液分離装置12は、各クリーニングユニットから送られてくる各色トナーが混色している回収液体現像剤14からキャリア液24とトナー固形分25とを分離する装置である。該キャリア液分離装置12は、キャリア液分離部40、回収液体現像剤回収タンク16およびキャリア液回収タンク23からなる。このキャリア液分離部40は、回収液体現像剤14を、該回収液体現像剤の拡散を抑制する液拡散抑制部材としての連泡発泡体41と、該連泡発泡体41を通過中の回収液体現像剤に電界を作用させるために互いに異なる電位が印加される一対の平面電極43、44とを有している。そして、該一対の平面電極43、44間に配設された上記連泡発泡体41中を、上記回収液体現像剤14を通すことによってトナー固形分25を分離し、キャリア液24を回収する。
【0015】
本実施形態では、トナー固形分25の平均粒子径が0.1〜10μmで、正極性に帯電した回収液体現像剤14を用いた。回収液体現像剤14中のトナー等の固形成分を拘束させる連泡発泡体としては、気孔が連続した立体網目構造の連泡発泡体PVF(ポリビニルホルマール)を用いた。該連泡発泡体は一層に限らず、数層の構成にしてもよい。また、電極と平行に数層に重ねてもよいし、残留液の通過する方向に数層重ねてもよい。トナー固形分25が電着しない側(以下単に「非電着側」という)の平面電極43とトナー固形分25が電着する側(以下単に「電着側」という)の平面電極44との間に約700μmの気孔径を持つ立体網目構造の連泡発泡体41を厚さaが3mmとなるように配設した。また、両電極43、44の大きさは、非電着側電極43は縦100mm、横50mm、電着側電極44は縦105mm、横50mmとし、図3に示すように、電着側電極44の終端部を非電着側電極43の終端部より5mm突き出した状態に配設した。電源47によって、非電着側電極43には電圧3.5KVを印加し、電着側電極44はグランドに接続した。
【0016】
図1、図2および図3を用いて、キャリア液分離部40による回収液体現像剤14の分離処理について説明する。
感光体ドラムクリーニングユニット6および中間転写ベルトクリーニングユニット7から送られてくる回収液体現像剤14は、回収液体現像剤導入パイプ15により、液体現像剤回収タンク16に集められる。該回収液体現像剤は、図示しない回収液体現像剤の流量14を制御する手段により適量づつキャリア液分離部40を構成する連泡発泡体41中に送り込まれる。図3の電極43、44間の連泡発泡体41が、順次通過する回収液体現像剤14の拡散を抑制する。両電極43、44間に送り込まれた回収液体現像剤14は、連泡発泡体41の気孔に浸透吸収されながら両電極43、44間を下方から上方へ移動するので、一時的にトラップされた状態となる。上記非電着側電極43には、トナー固形分25が両電極43、44間を移動できるだけの電圧を印加している。このため、正極性に帯電したトナー固形分25は、該電界の作用により連泡発泡体41の気孔内に拘束されるとともに連泡発泡体41の気孔内を通過し、上記電着側電極44の電極面に移動し電着保持される。上記連泡発泡体41の電着側は非電着側と比較して、上記電極間の電気的引力により移動し拘束されたトナー固形分25の濃度が高くなっている。非電着側は、回収液体現像剤14に含まれていたトナー固形分25の電着側への移動により、電着側と比較してトナー固形分25の濃度が低くなっている。トナー固形分25を除去した回収液体現像剤14が、連泡発泡体41の出口へ移動するので、回収液体現像剤14からキャリア液24のみを抽出し、現像に再利用することができる。通過したキャリア液24は図中両電極43、44上部である電極終端部から流出し、キャリア液回収タンク23に回収される。
【0017】
以上のようにして、キャリア液24とトナー固形分25とに分離される。一方、トナー固形分25は上記キャリア液分離部40を構成する連泡発泡体41あるいは電極内にトラップされているので、メンテナンス時にキャリア液分離部40を交換することによって回収することができる。長期間の使用により、連泡発泡体41の気孔にトナー固形分25が詰まって目詰まりが生じ、分離処理能力が低下した場合には、図3中のキャリア液分離部40を新しいものに交換する。
【0018】
上述のように、回収液体現像剤14は、図中平面電極43、44間の連泡発泡体41を下方から上方へ通過する間に上記両電極43、44間の電界の作用により、トナー固形分25を電着側電極44側に移動させ拘束することでトナー固形成分25を分離し、キャリア液24のみを抽出することができる。図3中、キャリア液24流出部である両電極43、44上方においては、電着側電極44の先端部は非電着側電極43の先端部より突き出した状態に配設されている。このような構成にすることにより、両電極43、44終端部を揃えて配設したときよりも電極終端部における両電極43、44間の電界強度を高めることができる。
【0019】
上記両電極43、44終端部を揃えて配設した場合、両電極43、44終端部は、回収液体現像剤14が通過する両電極43、44上流側と比較して、トナー固形分25を電着側電極に移動させ拘束する電界の強度が低下する。これは、両電極43、44終端部においては、電着側電極44のトナー固形分25に働く該電気的引力の一部は湾曲し、あるいは開放されるからである。このため、該両電極43、44終端部を揃えた場合、キャリア液24流出部においては、回収液体現像剤14が通過する両電極43、44上流側と比較して、回収液体現像剤14中のトナー固形分25を電着側電極44へ移動させ拘束する電気的強度が低下する。
【0020】
上記の点を解決するために、図3の装置に示すように、電極終端部において、電着側電極44終端部を非電着側電極43の終端部より突き出した状態に配設した。すると、非電着側電極43の終端部に発生する電界は電着側電極44の延びた部分へ回り込み、開放される部分が減少するため、電極終端部における両電極43、44間の電界の低下を抑えることができる。該電着側電極44へ回り込んだ電界により、トナー固形分25は電着側へ移動し拘束される。この結果、キャリア液24流出部においては、両電極43、44の終端部を揃えて配設したときよりもトナー固形分25を電極の電着側へ移動させ拘束する電界強度は高くなり、キャリア液24流出部近傍の該トナー固形分25がキャリア液24へ混入するのを防止し、より純度の高いキャリア液24を回収することができた。
【0021】
また、キャリア液24の流出部は液拡散抑制部材41の終端部でもある。上記のようにキャリア液24流出部における電界強度が高くなれば、該液拡散抑制部材41終端部において、キャリア液24流出時に、電着側電極に移動し拘束されたトナー固形分25が、キャリア液24の流れで取り込まれて洗い流されるのを防ぐことができる。よって、回収液体現像剤液14からキャリア液24のみを効果的に抽出することができた。
【0022】
また、図3の装置に示すように、電着側電極44の先端部を非電着側電極43の先端部より突き出した状態に配設することにより、電極43、44間を通過したキャリア液24の流出を規制する効果もある。この延ばした部分からのキャリア液24の流れは阻止され、非電着側電極43終端部を伝って流出するよう非電着側にキャリア液24の流出部がつくられる。
【0023】
図3の装置に示す電極43終端部は、連泡発泡体41の終端部であり、回収液体現像剤14中のトナー固形分を拘束する領域の終端部でもある。両電極43、44のキャリア液24流出部や該連泡発泡体41終端部は、該連泡発泡体41の回収液体現像剤14が通過する上流側と比較して、電着側電極44に電着保持されているトナー固形分25や連泡発泡体41の電着側に拘束されているトナー固形分25が、キャリア液24の流れに取り込まれて洗い流されやすい。そこで、それらのトナー固形分25がキャリア液24の流れとともに流出するのを防ぐために、トナー固形分25が存在しないあるいはトナー固形分25の濃度が低い非電着側からキャリア液24が流出するようにした。そのために、図3に示すように、電着側電極44終端部を非電着側電極43終端部より突き出した状態に配設した。その結果、電着側電極44終端部からのキャリア液24の流出は規制され、非電着側電極43終端部に沿わせながらキャリア液24が流出するようになった。これにより、電着側電極44に保持されているトナー固形分25や連泡発泡体41の電着側に拘束されているトナー固形分25がキャリア液24へ混入し、キャリア液24の流れとともに流出するのを防止し、より純度の高いキャリア液24を回収することができた。
【0024】
図3の装置に示すキャリア液分離部40においては、電着側電極44終端部を非電着側電極43終端部より突き出した状態に配設した。電極終端部でもあるキャリア液24流出部における両電極43、44間の電界強度を高めることのみに着目するならば、一方の電極終端部を突き出して配設する方法としては、突き出す電極は電着側あるいは非電着側どちらでもよい。しかし、図3に示すように電着側電極44終端部を突き出した構成にする方が純粋なキャリア液24を抽出することができる。以下のような理由による。
【0025】
電着側を突き出した場合は、キャリア液24流出部の電界強度が高まるとともにキャリア液24が電着側から流出することが規制され、非電着側から流出し易くなる。一方、非電着側を突き出した場合は、キャリア液24流出部の電界強度は高まるが、キャリア液24は電着側から流出し易くなるため、トナー固形分25を取り込んで一緒に流出してしまうという不具合が生じる。そのため、非電着側を突き出した場合は、非電着側電極43終端部が電着側電極44終端部より低くなるように、両電極43、44および連泡発泡体41を傾けたり、あるいは曲げたりして、キャリア液24が非電着側から流出しやすいように工夫を施す必要がある。この傾けたり、曲げたり等の作業を考慮すると、電着側電極44終端部を突き出して配設した方が効果的である。
【0026】
なお、回収液体現像剤14が、上記両電極43、44間を上方から下方へ通過することによってキャリア液24を抽出する構成のキャリア液分離装置においては、非電着側電極43終端部を突き出した方が効果的である。それは、非電着側電極43終端部を突き出しすことによって、非電着側電極43終端部からトナー固形分25が取り除かれたキャリア液24が流出し易くなり、電着側に多く存在するトナー固形分25を取り込むことなくキャリア液24のみを抽出することができるからである。このように、両電極43、44間を通過する回収液体現像剤14の流れる向きにより、突き出す電極を変えた方が望ましい。
【0027】
また、電着側電極44終端部を非電着側電極43終端部より突き出した状態に配設する場合に、それが電着側からのキャリア液24の流出を妨げ、非電着側から流出させるというキャリア液24の流出部を規制するという効果のみに着目するならば、上記電着側電極44終端部の延ばした部分は、電極に限らず、電極以外のものでもよい。
【0028】
上述のようにして、トナー固形分25を電着側電極44および連泡発泡体41の電着側へ移動させ、拘束し、該トナー固形分25のキャリア液24への混入を防止することによって、電極の非電着側からより純度の高いキャリア液24を回収することができた。
【0029】
図3の装置に示すように本実施形態においては、回収液体現像剤14が上記電極43、44間を通過する方向は、下方から上方であるが、この場合、回収液体現像剤14の分離処理中に停電が生じても何ら悪影響はない。連泡発泡体41を通過中のキャリア液24は、自重で下方へ落下し、液体現像剤回収タンク16に戻る。分離されたトナー固形分25は、連泡発泡体41内に残存するものもあれば、キャリア液24とともに液体現像剤回収タンク16に落下するものもある。キャリア液回収タンク23には未処理の回収液体現像剤14が混入するといった問題は生じない。一方、回収液体現像剤14の通過する方向が、両電極43、44間の上方から下方である構成のキャリア液分離部40においては、回収液体現像剤14の分離処理中に停電が生じると、分離処理中のトナー固形分25を含んだキャリア液24が自重で落下し、キャリア液回収タンク23に混入してしまうという不具合が生じる。よって、回収液体現像剤14を両電極43、44間を下方から上方へ通過させて分離処理する方法においては、分離処理中に停電になっても問題は生じないという製造上のメリットがある。
【0030】
本実施形態においては、平面電極43、44間の連泡発泡体41として気孔径約700μmのものを用いた。実際にはこれらに限定されるものではなく、気孔径は、トナー固形分25の粒子径によって決められる。例えば、トナー固形分25の平均粒子径が0.1〜10μmの場合には、連泡発泡体41の気孔径として、20〜1000μmのものを使用することができる。
また、上記電極43と44間の距離aは、本実施形態においては、3mmとしたが、2〜6mmの間で距離aを変えることによって、回収液体現像剤14中のトナー固形分を電着側電極43に電着させるために最適な電界強度にすることができる。該電界強度を最適化することによって回収液体現像剤14の分離処理を適切に行うことができる。
バイアスの極性については、トナー固形分25の極性に関係なく、十分な電界が発生するように両電極43、44にバイアスを印加すれば良い。回収液体現像剤14の極性あるいはバイアスの極性などは実施形態の一例で、これに限定されるものではない。
【0031】
さらに、本実施形態では中間転写体を用いたフルカラー湿式画像形成装置で説明しているが、これに限定されるものではなく、記録媒体に直接転写するフルカラー湿式画像形成装置あるいはモノクロ湿式画像形成装置でも適用できる。
【0032】
〔実施形態2〕
次に、液体中にトナーを分散させた現像液を用いて潜像担持体上の静電潜像を現像する現像手段と、該現像手段により該潜像担持体に顕像化された画像を記録媒体に転写する転写手段と、転写残の残留液を回収しクリーニングするクリーニング手段とを有する湿式画像形成装置において、該クリーニング手段で除去回収した残留液を、互いに異なる電位の電極間に配置され、かつ該残留液の拡散を抑制する液拡散抑制部材中を通過させ、該液拡散抑制部材を通過中の該残留液に上記電極間に発生する電界を作用させて、該残留液の固形成分をいずれか一方の電極に移動させるとともに該電極近傍に拘束することにより、該残留液の液体成分を分離抽出する分離抽出手段を設け、上記液拡散抑制部材として気孔が連続した立体網目構造の発泡体を配設し、該発泡体の気孔の気孔径は上記固形成分の粒子径より大きく、電極の電着側の該発泡体の気孔の気孔径は、非電着側の該発泡体の気孔の気孔径より小さくしたことを特徴とする湿式画像形成装置の実施形態について説明する。
【0033】
上記実施形態1の装置においては、上記電極43、44間には、回収液体現像剤14の拡散抑制部材として気孔の連続した立体網目構造を有する連泡発泡体41を用いたが、図4に示すキャリア液分離装置12においては、該連泡発泡体41の気孔径を、該電極間の電位によって異ならせた構成にした。
図4は、上記図3に示すキャリア液分離部40を構成する連泡発泡体41について、電極の電着側の気孔径を非電着側の気孔径より小さくした場合のキャリア液分離装置の概略構成を示している。詳細には、両電極43、44間の非電着側には気孔径700μmで厚さbが2mmの連泡発泡体41、電着側には気孔径350μmで厚さcが1mmの連泡発泡体42を配設してある。非電着側電極43には電圧を印加し、電着側電極44はグランドに接続する構成とした。
【0034】
上記非電着側の連泡発泡体41よりも電着側の連泡発泡体42の方が、気孔径が小さいため、トナー固形分25の濃度が高い回収液体現像剤14の流量を規制し、両電極43、44間の電気的引力により、トナー固形分25を電着側に移動させ、拘束する力を増大させることができる。非電着側はトナー固形分25の濃度が低く、キャリア液24が通過し易い。電着側電極44終端部を非電着側電極43終端部より突き出した状態に配設してあるため、両電極43、44間を通過したキャリア液24を非電着側電極43終端部に沿わせながら流出させることができる。非電着側から流出させることにより、キャリア液24流出部付近のトナー固形分25がキャリア液24に取り込まれて該キャリア液24とともに流出するのを避け、より純度の高いキャリア液24を回収することができた。
【0035】
〔実施形態3〕
次に、液体中にトナーを分散させた現像液を用いて潜像担持体上の静電潜像を現像する現像手段と、該現像手段により該潜像担持体に顕像化された画像を記録媒体に転写する転写手段と、転写残の残留液を回収しクリーニングするクリーニング手段とを有する湿式画像形成装置において、該クリーニング手段で除去回収した残留液を、互いに異なる電位の電極間に配置され、かつ該残留液の拡散を抑制する液拡散抑制部材中を通過させ、該液拡散抑制部材を通過中の該残留液に上記電極間に発生する電界を作用させて、該残留液の固形成分をいずれか一方の電極に移動させるとともに該電極近傍に拘束することにより、該残留液の液体成分を分離抽出する分離抽出手段を設け、上記液拡散抑制部材として気孔が連続した立体網目構造の発泡体を配設し、該発泡体の気孔の気孔径は上記固形成分の粒子径より大きく、上記発泡体の気孔径を、上記残留液の通過する方向にしたがって小さくしたことを特徴とする湿式画像形成装置の実施形態について説明する。
【0036】
上記実施形態2の装置においては、上記電極43、44間に用いた連泡発泡体41は、その気孔径を、該電極間の電位によって異ならせた。図5に示すキャリア液分離装置12においては、該連泡発泡体41の気孔径を上記残留液の通過する方向にしたがって小さくした構成にした。
図5は、上記図3の装置に示すキャリア液分離部40を構成する連泡発泡体41について、回収液体現像剤14通過方向下流側である両電極43、44上部の気孔径を、上流側である下部の気孔径より小さくした構成を有するキャリア液分離装置の概略構成を示している。
回収液体現像剤14の通過する上流側である両電極43、44下端部から約60mmの範囲の部分dは気孔径約700μmの連泡発泡体41、下流側である上端部から約40mmの範囲の部分eには気孔径が約350μmの連泡発泡体42を配設した。該キャリア液分離部40の、非電着側電極43に4KVの電圧を印加して回収液体現像剤14の分離処理を行った。
【0037】
図5の装置のキャリア液分離部40について、回収液体現像剤14の通過する方向の下流側は気孔径が小さいため、回収液体現像剤14の流れに対する抵抗が増加し、回収液体現像剤14が連泡発泡体41を通過するときの流速を低下させることができる。このため、図3に示す実施形態1の場合よりも電界の拘束を受ける時間が長くなり、電着側電極44全面にトナー固形分25を電着させることができる効果が高まる。電極の非電着側からは、トナー固形分25の濃度の低い純粋なキャリア液24を分離抽出することができた。回収液体現像剤14の通過する方向の上流側は電着側電極44に電着したり、連泡発泡体41の気孔に拘束されるトナー固形分25の量が多いため、上流側の気孔径を小さくしても連泡発泡体41の気孔は早期に目詰まりしてしまい、回収液体現像剤14の分離速度を低下させるに過ぎない。これに対し、下流側の気孔径を小さくすると、上流側で電着しなかった、あるいは発泡体41に拘束されなかったトナー固形分25を電着側電極44に電着させたり連泡発泡体41の気孔に拘束させることができる。結果的に、トナー固形分25を除去し、より純粋なキャリア液24を抽出することができた。
【0038】
〔実施形態4〕
キャリア液24流出部における電界強度を高め、流出部近傍のトナー固形分25がキャリア液24の流れに取り込まれキャリア液24とともに流出するのをより効果的に防止するために、キャリア液分離部40の構成をキャリア液24流出部の両電極43、44間の距離a′を入口部の距離aより小さくした構成にすることもできる。
図6は、上記両電極43、44間距離について、キャリア液24の流出部a′を回収液体現像剤14の入口部aより狭く構成したキャリア液分離装置12を示している。該電極43、44間に挟まれている気孔径700μmの連泡発泡体41の入口部の厚さaを6mmとし、出口部たる終端部の厚さa′を3mmとして配設した。
【0039】
上記両電極43と44間の距離はキャリア液24流出部に向かって狭くなっているので、該電極43終端部に近づくにつれて上記両電極43、44間の電界の強度が徐々に高くなり、トナー固形分25をより強く拘束することができる。そのため、トナー固形分25は連泡発泡体41に拘束されるとともに、電極43、44間の電気的引力により電着側に移動し拘束される。電界強度は連泡発泡体41の電着側の気孔内と電着側電極44にトナー固形分25を電着保持させる効果が高まる。図6に示す構成の装置によって、回収液体現像剤14からトナー固形分25を分離する処理能力が向上し、図3に示す装置における場合よりも純粋なキャリア液24を分離抽出することができた。
【0040】
上述の連泡発泡体41は、弾性変形しない気孔の連続した立体網目構造を有しているが、弾性変形する気孔の連続した立体網目構造を有する連泡発泡体、例えばポリウレタンを供することもできる。
【0041】
図7は、図3に示すキャリア液分離部40について、連泡発泡体41を弾性変形させて、より純度の高いキャリア液24の回収能力を高めた場合の説明図である。弾性変形する厚さaが6mmの連泡発泡体41を使用し、該連泡発泡体41を弾性変形させて両電極43、44間の距離について、キャリア液24の流出部a′を3mmとし、回収液体現像剤14の入口部a6mmより狭く構成した。回収液体現像剤14の通過方向の下流側である電極上部に沿って連泡発泡体41の弾性変形量が大きくなり、キャリア液24が流出する泡発泡体41の終端部が狭くなり、連泡発泡体41の気孔径も小さくなった。
【0042】
上記連泡発泡体41の終端部に近づくにつれて、図6の装置に示す場合より、回収液体現像剤14が連泡発泡体41を通過する速度を低下させることができる。その間にトナー固形分25は電極側に移動し拘束される。ところで、図7中、回収液体現像剤14が通過する連泡発泡体41の断面積は、電極下部と比較して電極上部であるキャリア液24流出部付近は小さい。同じ流量で回収液体現像剤液14が供給されると、下流側である電極上部に向かうほど回収液体現像剤14の流速は増加する。しかし、連泡発泡体41の上部は、弾性変形によって気孔径が小さくなっているため、回収液体現像剤液14の流れに対する抵抗が増加し、結果的に連泡発泡体41を通過する回収液体現像剤14の速度が低下することとなる。そのため、キャリア液24の流出部である非電着側電極43終端部付近では、図6に示す装置よりも電界の拘束を受ける時間が長くなり、連泡発泡体41の電着側の気孔内と電着側電極44とに回収混色したトナー固形分25を電着保持させる効果が高まる。また、キャリア液24流出部付近では、図3に示す装置よりも電界の強度が高くなる効果がある。図7の装置に示す構成によって、前記図6の装置における場合よりも効果的に純粋なキャリア液24を流出させることができた。
【0043】
キャリア液分離部40を複数配列し、同時にキャリア液分離抽出処理を行うこともできる。
図8の装置は、電着側電極44の両側に非電着側電極43を配設し、両電極43、44間に各々気孔径700μmの連泡発泡体41を挟んだ構成のキャリア液分離部40を有している。両電極43、44には、それぞれ4KV、グランド、4KVの順でバイアスを印加した。
【0044】
複数のキャリア液分離部40について同時に分離抽出することにより、単数の場合より単位時間当たりに処理できる回収液体現像剤14の量が増加した。単数の場合より電着保持面積を広くとることができ、効率的にトナー固形分25を電極の電着側に拘束させ、非電着側からはより純粋なキャリア液24を分離抽出することができた。
【0045】
上記連泡発泡体41の気孔径あるいは気孔率を、該電極間の電位あるいは該回収液体現像剤液14の通過する方向によって異ならせた構成にすることもできる。
図9は、上記図4の装置に示すキャリア液分離部40を構成する連泡発泡体41について、電極の電着側の気孔径を非電着側の気孔径より小さくした場合のキャリア液分離装置の概略構成を示している。詳細には、電着側電極44両側に非電着側電極43を配設し、両電極間の電着側には気孔径350μmで厚さcが1mmの連泡発泡体42、非電着側には気孔径700μmで電極入口部の厚さbが5mm、流出部の厚さb′が2mmの連泡発泡体42を配設した。非電着側電極43には電圧を印加し、電着側電極44はグランドに接続する構成とした。
【0046】
上記非電着側の連泡発泡体41よりも電着側の連泡発泡体42の方が、気孔径が小さいため、トナー固形分25の濃度が高い回収液体現像剤14の流量を規制し、電極間の電気的引力により電着側に移動したトナー固形分25を拘束する効果を高めることができる。一方、非電着側はトナー固形分25の濃度が低くなっている。電着側電極44終端部が非電着側電極43終端部より突き出た状態に構成してあるため、両電極43、44間を通過したキャリア液24を非電着側電極43終端部に沿わせながら流出させることができる。非電着側から流出させることにより、キャリア液24流出部付近のトナー固形分25がキャリア液24に取り込まれて該キャリア液24とともに流出するのを避け、より純度の高いキャリア液24を回収することができた。図8の装置に示す場合よりも効率的かつ純粋なキャリア液24を抽出することができた。
【0047】
図10の装置は、上記連泡発泡体について、弾性変形するものを使用し、連泡発泡体41終端部を弾性変形させ、両電極43、44間距離について、電極入口部a6mmよりも流出部a′を3mmと短くしたキャリア液分離部40を有している。また、回収液体現像剤14が流れる下流側の気孔径は、上流側の気孔径700μmより小さくなっている。該キャリア液分離部40の、非電着側電極43に4KVの電圧を印加して回収液体現像剤14の分離処理を行った。
【0048】
図10のキャリア液分離部40について、回収液体現像剤14の通過する方向の下流側は気孔径が小さいため、回収液体現像剤14が連泡発泡体41を通過するときの流速を低下させることができる。連泡発泡体41上部の電極43、44間距離を小さくすると、回収液体現像剤14の流れは連泡発泡体41下部より増加する。しかし、連泡発泡体41の電着側の気孔径が小さくなっているため、回収液体現像剤41の流れに対する抵抗が大きくなり、結果的に回収液体現像剤14の流速を低下させることができる。そのため、図8に示す装置よりも電界の拘束を受ける時間が長くなる。通過方向上流側よりキャリア液24流出部付近の電極43、44間距離が短いため、キャリア液24流出部付近の電界強度も高まり、電極間の電気的引力により、トナー固形分25を電着させる効果が高まる。電着されなかったり、連泡発泡体41の気孔内に拘束されず、回収液体現像剤14中に含まれたまま下流側まで通過してきトナー固形分25を、電極間の電気的引力により電極の電着側に移動させ、連泡発泡体41の気孔内に拘束する効果が増大する。非電着側はトナー固形分25の濃度が低くなっているため、該キャリア液24を非電着側から流出させることにより、純粋なキャリア液24を抽出することができた。
【0049】
図11は、図10の装置に示したキャリア液分離部40を複数配列した構成を有すキャリア液分離装置12である。両電極43、44には、それぞれ4KV、グランド、4KVの順でバイアスを印加した。
複数のキャリア液分離部40について同時に分離抽出することにより、単数の場合より単位時間当たりに処理できる回収液体現像剤14の量が増加した。図10に示す装置よりも効率的に回収液体現像剤14の処理ができ、純粋なキャリア液24を抽出することができた。
【0050】
〔実施形態5〕
図3に示す実施形態1、図4に示す実施形態2、図5に示す実施形態3および図6乃至11に示す実施形態4の各装置においては、上記両電極43、44間の連泡発泡体41を通過したキャリア液24を非電着側電極43端部に沿わせながら流出させるために、電着側電極44終端部を非電着側電極43終端部より突き出した状態に配設した構造について説明した。実施形態5の装置においては、該キャリア液24を非電着側電極43終端部に沿わせて流出させる別の方法として、非電着側電極43終端部が電着側電極44終端部より低くなるように、両電極43、44および連泡発泡体41終端部を傾けた状態に配設した。該非電着側電極43に4kVの電圧を印加し、電着側電極44はグランドに接続して、回収液体現像剤14の分離処理を行った。
【0051】
上記連泡発泡体41終端部は、該連泡発泡体41の回収液体現像剤通過方向上流側と比較して電着側電極44に電着保持されているトナー固形分25や連泡発泡体41の電着側に拘束されているトナー固形分25が、キャリア液24の流れに取り込まれて該キャリア液24とともに流出し易い。しかし、図12の装置に示すように、非電着側電極43が低くなるように上記両電極43、44および連泡発泡体41を傾けるかあるいは曲げることによって、両電極43、44間の連泡発泡体41を通過したキャリア液24を非電着側電極43終端部に沿わせながら流出させることができる。これにより、電着側電極44に保持されているトナー固形分25や連泡発泡体41の電着側に拘束されているトナー固形分25がキャリア液24へ混入するのを防止し、純粋なキャリア液24を流出させることができた。
回収液体現像剤14からトナー固形分25を分離したキャリア液24を非電着側から流出させる効果としては、図3のキャリア液分離装置12を使用した場合と同様な結果を得た。
【0052】
図12の装置に示すキャリア液分離部40において、連泡発泡体41の気孔径あるいは気孔率を、図4および図5に示した装置のように該電極間の電位あるいは該回収液体現像剤液14の通過する方向によって異ならせた構成にすることもできる。その結果、図4および図5の装置に示したキャリア液分離部40を使用した場合と同様な効果が得られた。
【0053】
図13の装置は、上記両電極43、44間距離について、キャリア液24の流出部を回収液体現像剤14の入口部より狭く構成したキャリア液分離部40を有している。該両電極43、44間に挟まれている気孔径700μmの連泡発泡体41の入口部の厚さaを6mmとし、出口部たる終端部の厚さa′を3mmとして配設した。
【0054】
図13に示す装置によって回収液体現像剤14の分離処理を行ったところ、図6に示すキャリア液分離装置12を使用した場合と同様な結果を得た。回収液体現像剤14が連泡発泡体41を通過する間に、トナー固形分25は連泡発泡体41に拘束されるとともに、両電極43、44間の電気的引力により電極の電着側に移動し拘束される。該電極終端部に近づくにつれて上記両電極43、44間の電界強度は徐々に高まり、連泡発泡体41の電着側の気孔内と電着側電極44とに回収混色したトナー固形分25をより強く拘束することができ、電着保持させる効果も高くなる。図13の装置に示すように、キャリア液24の流出部の電極43、44間距離を回収液体現像剤14の入口部より狭くしたことによって、キャリア液24流出部における電界強度を高め、流出部近傍のトナー固形分25がキャリア液24の流れに取り込まれキャリア液24とともに流出するのをより効果的に防止することができた。その効果は、前記図12の装置における場合より顕著であった。
【0055】
図13の装置に示すように、キャリア液分離部40を複数配列した構成にすることもできる。複数配列した上記装置を同時に分離抽出することにより、単数の場合より単位時間当たりに処理できる回収液体現像剤14の量が増加した。単数の場合より電着保持面積を広くとることができ、効率的にトナー固形分25を電極の電着側に拘束させ、非電着側からはより純粋なキャリア液24を抽出することができた。連泡発泡体41、42のライフサイクルを延ばすこともできた。
【0056】
〔実施形態6〕
図14の装置に示すように、上記両電極43、44および連泡発泡体41を傾けるとともに、電着側電極44終端部を非電着側電極43終端部より突き出した状態に配設した。図3および図12に示したキャリア液分離装置12によるときよりもキャリア液24が非電着側電極43端部から流出し易くなり、より効果的に純粋なキャリア液24を抽出することができた。
【0057】
図14の装置に示すキャリア液分離部40において、連泡発泡体41を弾性変形するものを使用し、キャリア液24の流出部を回収液体現像剤14入口部より狭めた構成にした。
上記構成を有したキャリア液分離部40を図15に示す。弾性変形する厚さa6mmの連泡発泡体41を両電極43、44間に挟み、キャリア液流出部の連泡発泡体41を弾性変形させ、電極間距離a′を3mmとした。このような構成にすることにより、図13のキャリア液分離装置12により処理したときよりも効果的に純粋なキャリア液24を流出させることができた。
【0058】
また、図15の装置においては、図4の装置に示すように、電極の電着側の連泡発泡体41の気孔径を非電着側の該発泡体の気孔の気孔径より小さくした構成とすることもできる。また、図5の装置に示すように、回収液体現像剤14通過方向下流側である両電極43、44上部の気孔径を、上流側である下部の気孔径より小さくした構成にすることもできる。それぞれ、図4および図5の装置におけると同様の効果があり、図14に示すキャリア液分離装置12を使用したときよりも効果的に純粋なキャリア液24を流出させることができた。
【0059】
図14の装置のキャリア液分離部40を複数配列し、同時に処理を行うこともできる。
図11の装置に示す場合と同様の効果を得ることができた。複数配列した上記装置を同時に分離抽出することにより、単数の場合より単位時間当たりに処理できる回収液体現像剤14の量が増加した。単数の場合より電着保持面積を広くとることができ、効率的にトナー固形分25を電極の電着側に拘束させ、非電着側からはより純粋なキャリア液24を分離抽出することができた。連泡発泡体41、42のライフサイクルを延ばすこともできた。
【0060】
上述のキャリア液分離装置12は、感光体ドラムクリーニングユニット6および中間転写ベルトクリーニングユニット7とは別個に配設した。このように、キャリア液分離装置12を独立に設けて一箇所で回収、分離抽出処理するときは、上記各ユニットから液体現像剤を回収したり、分離後のキャリア液を各ユニットへ戻すのに、該液体現像剤やキャリア液を流す導管を配設することが必要で、該配管が複雑になる傾向がある。上記不具合を解決するために、感光体ドラムクリーニングユニット6および中間転写ベルトクリーニングユニット7とのそれぞれに、キャリア液分離装置12を配設した構成にすることもできる。
【0061】
図3の構成によるキャリア液分離装置12において、キャリア液回収タンク23内を減圧し、図示しない吸引ポンプ等の吸引手段によって、強制的にキャリア液24を吸引する。上記吸引手段の配設により、電界、重力との作用による分離処理よりも回収液体現像剤14を大量かつ迅速に分離処理することが可能となる。飛躍的にキャリア液24の分離抽出処理能力を向上させることができた。
【0062】
【発明の効果】
請求項1および5の発明においては、残留液中の固形成分を、電界の作用により所定箇所に移動させるとともに該所定箇所に拘束するので、残留液から液体成分のみを抽出することができる。固形成分が液体成分出口へ移動し、液体成分と共に流出するのを防ぐことができるので、残留液から液体成分のみを抽出することができ、該液体成分の再利用が可能になる。
また、残留液から液体成分のみを抽出する処理中に停電が生じても、何ら問題はない。該残留液は、液拡散抑制部材中を鉛直方向下方から上方へ向けて通過するため、該液拡散抑制部材を通過中の該残留液は、自重で下方に落下し、該残留液回収タンクへ戻る。このため、処理中の固形成分を含んだ液体成分が、液体成分のみを回収したタンクに混入することはない。液拡散抑制部材上部から何ら問題なく、固形成分を含まない液体成分を抽出することができる。
【0063】
請求項2の発明においては、液体成分を非電着側電極終端部に沿わせながら流出させることにより、液体成分流出部付近の電着側電極に電着保持されている固形成分や液拡散抑制部材の電着側に拘束されている固形成分が、液体成分の流れに取り込まれて該液体成分とともに流出するのを防止することができる。よって、非電着側電極終端部に沿わせながら、固形分を含まない液体成分を流出させることができるという優れた効果がある。効果的に該液体成分の再利用ができる。簡易な構成で実現できるため、経済的効果もある。
【0064】
請求項3の発明においては、両極の電極終端部を揃えて配設したときと比較して、電極終端部における電界強度を高めることができる。よって、液体成分流出部付近の固形成分を電着側に移動し拘束する効果が高まる。該液拡散抑制部材終端部において、液体成分流出時に、電着側電極に移動し拘束された固形成分が該液体成分の流れに取り込まれ、該液体成分とともに流出するのを防ぐことができる。また、一方の電極の終端部を突き出した状態に配設することにより、液体成分の電着側電極からの流出を規制し、非電着側電極の終端部から液体成分を流出させることができる効果もある。そのため、液体成分流出部の電着側に存在する固形成分を取り込むことなく、液体成分のみを非電着側電極終端部に沿わせながら流出させることができる。残留液から、固形成分を含まない液体成分のみを抽出し、効果的に該液体成分の再利用ができる。
【0065】
請求項4の発明においては、液体成分を非電着側電極終端部に沿わせながら流出させることにより、液体成分流出部付近の電着側電極に電着保持されている固形成分や液拡散抑制部材の電着側に拘束されている固形成分が、液体成分の流れに取り込まれて該液体成分とともに流出するのを防止することができる。非電着側電極から固形成分を含まない純粋な液体成分を流出させることができ、効果的に該液体成分の再利用ができるという優れた効果がある。しかも簡易でかつ経済的に実現することができる。
【0066】
請求項5の発明においては、残留液から液体成分のみを抽出する処理中に停電が生じても、何ら問題はない。該残留液は、液拡散抑制部材中を鉛直方向下方から上方へ向けて通過するため、該液拡散抑制部材を通過中の該残留液は、自重で下方に落下し、該残留液回収タンクへ戻る。このため、処理中の固形成分を含んだ液体成分が、液体成分のみを回収したタンクに混入することはない。該残留液の固形成分を電着側電極の所定箇所に移動させ、拘束することにより、液拡散抑制部材上部から何ら問題なく、固形成分を含まない液体成分を抽出することができる。
【0067】
請求項6の発明においては、液体成分を非電着側電極終端部に沿わせながら流出させることにより、液体成分流出部付近の電着側電極に電着保持されている固形成分や液拡散抑制部材の電着側に拘束されている固形成分が、液体成分の流れに取り込まれて該液体成分とともに流出するのを防止することができる。よって、非電着側電極終端部に沿わせながら、固形分を含まない液体成分を流出させることができるという優れた効果がある。効果的に該液体成分の再利用ができる。簡易な方法で実現できるため、経済的効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るプリンタの要部の説明図。
【図2】実施形態に係るプリンタにおいて、液体現像剤回収の説明図。
【図3】実施形態に係るキャリア液分離装置の説明図。
【図4】図3におけるキャリア液分離部において、連泡発泡体の気孔径を変化させた場合の説明図。
【図5】図3におけるキャリア液分離部において、連泡発泡体の気孔径を変化させた場合の説明図。
【図6】図3におけるキャリア液分離部において、キャリア液流出部を狭くした場合の説明図。
【図7】図3におけるキャリア液分離部において、連泡発泡体を弾性変形させてキャリア液流出部を狭くした場合の説明図。
【図8】電着側電極の両側でキャリア液分離処理を行うことができるように構成したキャリア液分離部の説明図。
【図9】図8におけるキャリア液分離部において、キャリア液流出部を狭くし、連泡発泡体の気孔径を変化させた場合の説明図。
【図10】図8におけるキャリア液分離部において、連泡発泡体を弾性変形させてキャリア液流出部を狭くした場合の説明図。
【図11】図10のキャリア液分離部を複数配設した場合の説明図。
【図12】他の実施形態に係るキャリア液分離装置の説明図。
【図13】図12におけるキャリア液分離部において、キャリア液流出部を狭くした場合の説明図。
【図14】他の実施形態に係るキャリア液分離装置の説明図。
【図15】図14におけるキャリア液分離部において、連泡発泡体を弾性変形させてキャリア液流出部を狭くした場合の説明図。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
2 帯電ローラ
4 現像ユニット
5 中間転写ベルト
6 感光体ドラムクリーニングユニット
7 中間転写ベルトクリーニングユニット
12 キャリア液分離装置
14 回収液体現像剤
15 回収液体現像剤導入パイプ
16 液体現像剤回収タンク
23 キャリア液回収タンク
24 キャリア液
25 トナー固形分
36 中間転写体
37 二次転写ローラ
40 キャリア液分離部
41、42 連泡発泡体
43、44 平面電極
47 電源
60、61 現像スリーブ
62 塗布ローラ
63 ドクターブレード
64 電磁弁
Claims (6)
- 液体中にトナーを分散させた現像液を用いて潜像担持体上の静電潜像を現像する現像手段と、該現像手段により該潜像担持体に顕像化された画像を記録媒体に転写する転写手段と、転写残の残留液を回収しクリーニングするクリーニング手段とを有する湿式画像形成装置において、該クリーニング手段で除去回収した残留液を収容する液体現像剤回収タンクと、該液体現像剤回収タンクからの該残留液を、該残留液の拡散を抑制する液拡散抑制部材中を通過させ、該液拡散抑制部材を通過中の該残留液に電界を作用させて、該残留液の固形成分を所定箇所に移動させるとともに該所定箇所に拘束することにより、該液拡散抑制部材中から該残留液の液体成分を分離抽出する分離抽出手段と、該分離抽出手段で分離抽出された液体成分を収容する前記液体現像剤回収タンクとは別槽のキャリア液回収タンクとを設け、上記液拡散抑制部材中を、鉛直方向下方から上方へ向けて上記残留液を通過させ、該液拡散抑制部材の上部から上記残留液の液体成分を流出させるように上記分離抽出手段を構成したことを特徴とする湿式画像形成装置。
- 上記液拡散抑制部材が、互いに異なる電位の電極間に配置され、かつ、該液拡散抑制部材を通過中の該残留液に、上記電極間に発生する電界を作用させて、該残留液の固形成分をいずれか一方の電極に移動させるとともに該電極近傍に拘束することにより、該液拡散抑制部材中から該残留液の液体成分を分離抽出する請求項1の湿式画像形成装置において、上記液拡散抑制部材中を通過した上記液体成分を、上記固形成分が拘束されない側の電極である非電着側の電極終端部に沿わせながら流出させることを特徴とする湿式画像形成装置。
- 上記液拡散抑制部材が、互いに異なる電位の電極間に配置され、かつ、該液拡散抑制部材を通過中の該残留液に、上記電極間に発生する電界を作用させて、該残留液の固形成分をいずれか一方の電極に移動させるとともに該電極近傍に拘束することにより、該液拡散抑制部材中から該残留液の液体成分を分離抽出する請求項1の湿式画像形成装置において、上記電極のうちのいずれか一方の電極の終端部を突き出した状態に配設したことを特徴とする湿式画像形成装置。
- 請求項1、2または3の湿式画像形成装置において、上記非電着側の電極終端部に沿って上記残留液の液体成分が流出するように、少なくとも該電極および液拡散抑制部材を傾けたかあるいは曲げて配設したことを特徴とする湿式画像形成装置。
- 液体中にトナーを分散させた現像液を用いて潜像担持体上の静電潜像を現像し、該潜像担持体に顕像化された画像を記録媒体に転写後、転写残の残留液を回収しクリーニングする湿式画像形成方法において、該クリーニング手段で除去回収した残留液を液体現像剤回収タンクに収容し、該液体現像剤回収タンクからの残留液を、該残留液の拡散を抑制する液拡散抑制部材中を鉛直方向下方から上方へ向けて通過させ、該液拡散抑制部材を通過中の該残留液に電界を作用させて、該残留液の固形成分を所定箇所に移動させるとともに該所定箇所に拘束し、かつ、該液拡散抑制部材の上部から該液体成分を流出させることにより、該液拡散抑制部材中から該残留液の液体成分を分離抽出し、該分離抽出手段で分離抽出された液体成分を、前記液体現像剤回収タンクとは別槽のキャリア液回収タンクに収容することを特徴とする湿式画像形成方法。
- 互いに異なる電位の電極間に配置された上記液拡散抑制部材を通過中の該残留液に、上記電極間に発生する電界を作用させて、該残留液の固形成分をいずれか一方の電極に移動させるとともに該電極近傍に拘束することにより、該液拡散抑制部材中から該残留液の液体成分を分離抽出する請求項5の湿式画像形成方法において、上記液拡散抑制部材中を通過した上記液体成分を、上記固形成分が拘束されない側の電極である非電着側の電極終端部に沿わせながら流出させることを特徴とする湿式画像形成方法。
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