JP3980887B2 - 配線板用基板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、配線板用基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気・電子機器分野で使用されている配線板用基板としては、基板に銅箔等の金属箔を積層させた金属貼り積層板が知られている。この金属貼り積層板は、フォトリソグラフィー技術、すなわちフォトレジストを利用して配線パターンを描き、その配線パターンに従いエッチング等を行って回路を形成することにより種々の用途に供されている。また、別の配線板用基板として、銅板等の金属板から配線パターンを打ち抜いて作製された所謂リードフレームを基板に積層させた形態の配線板用基板も知られている。
【0003】
一般に、配線板用基板は、それに実装される素子の種類にもよるが、使用の際に発熱することがあり、熱が蓄積されて回路の温度が上昇すると不測の障害が発生する恐れがあるので、熱を速やかに放散させることが求められる。しかしながら、従来の配線板用基板の基板には、フェノール樹脂等の合成樹脂が多用されており、そのような基板は熱伝導性が劣るので、蓄積した熱を放散し難いという問題があった。
【0004】
そこで本発明者は、上記問題を解決すべく新規な配線板用基板を開発し、既に特許出願を行っている(国際公開番号WO01/19145A1)。この配線板用基板は、熱伝導性に優れる炭素質基板に、ポリイミド電着塗膜等からなる絶縁性接着層を介して、金属箔又はリードフレームを積層させたものであり、放熱性に非常に優れている。
しかし、昨今の回路の高集積化に伴い、発生する熱量も増大する傾向にあり、さらなる放熱性の向上が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記従来の状況に鑑み、特に熱抵抗の大きい電着層からなる絶縁層の熱伝導性を向上することにより、熱伝導性(放熱性)がより優れた新規な配線板用基板を提供することを目的とする。
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の配線板用基板は、請求項1として、炭素質基板と、予め酸化皮膜化処理された無機フィラーが電着によってポリイミドに分散した状態で前記炭素質基板に形成された絶縁性電着層と、前記絶縁性電着層に設けられた金属層とから構成したことを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、無機フィラーによって熱伝導性が向上した絶縁性電着層が形成され、配線板用基板全体の放熱性が高まる。また、絶縁性電着層の表面は平滑で、炭素質基板及び金属層との密着性に優れる。なお、ここで金属層の概念には、上述の金属箔、リードフレームの他、真空蒸着法、無電解めっき等の手段により形成した層も含む。また、酸化皮膜化処理により無機フィラーの表面に皮膜が形成されるため、電着液中で無機フィラーが加水分解するような事態が回避される。
【0008】
また、請求項2は、請求項1記載の配線板用基板において、無機フィラーが、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、アルミナ、窒化ホウ素から選ばれる一以上であることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、熱伝導率、電気絶縁性、及びポリイミドとの親和性を考慮し、無機フィラーの具体的な種類が特定される。
【0012】
また、請求項は、請求項1または2記載の配線板用基板において、無機フィラーの粒径が、0.5〜10μmであることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、電着液中における無機フィラーの分散性、あるいは電着層の平滑性を確保するため、無機フィラーの粒径が最適化される。
【0014】
また、請求項は、請求項1〜のいずれか記載の配線板用基板において、絶縁性電着層は、ポリイミドと無機フィラーの固形分重量比が5:3〜5:20の範囲にある電着液を用いて形成された絶縁性電着層であることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、熱伝導性を高めつつ、表面が平滑で密着性に優れた絶縁性電着層を形成するため、無機フィラーの含有量が最適化される。
【0016】
また、請求項は、請求項1〜のいずれか記載の配線板用基板において、金属層が、接着剤を介して絶縁性電着層に設けられ、前記接着剤には熱伝導性の添加材が含有されていることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、接着剤に熱伝導性の添加材を含有するため、接着剤層の存在によって熱伝導が阻害されることなく、配線板用基板全体としての高い放熱性が維持される。
【0018】
さらに、請求項は、請求項1〜のいずれか記載の配線板用基板において、炭素質基板の微細孔に、無機コーティング剤又は金属が含浸されていることを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、無機コーティング剤等を含浸させることにより炭素質基板が非多孔質化し、熱伝導率及び強度が向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の配線板用基板の一実施形態における断面を模式的に示したものである。図1の配線板用基板1は、炭素質基板10と、ポリイミドの電着によって無機フィラー201がポリイミド202に分散した状態で炭素質基板10に形成された絶縁性電着層20と、その絶縁性電着層20上に設けられた金属層30とから概略構成されている。なお、絶縁性電着層20及び金属層30は、図1に示すように、炭素質基板10の片面に設けることもできるし、あるいは炭素質基板10の両面に設けることもできる。また、金属層30を絶縁性電着層20上に設けるに当たっては、接着剤を用いて接着させる場合もあるが、図1では、その場合における接着剤層の図示を省略している。
【0021】
炭素質基板10としては、一般に、炭素繊維を補強材とし、炭素をマトリックスとする炭素繊維強化炭素複合材料や、あるいは等方性高密度炭素材料などの炭素質材料からなる板状物が用いられる。この炭素質基板10の厚さは、薄すぎると基板の強度低下を招き、逆に厚すぎると熱伝導性が低下し、重量増加やコストアップにもつながるので、これらを考慮して適宜設定される。一般には、0.3〜5mmが適当である。
【0022】
上記の炭素繊維強化炭素複合材料には、炭素繊維の配列の仕方によっていくつかの種類が知られている。例えば、炭素繊維を一方向に揃えて配列させ束にした1次配向のもの、炭素繊維を平織、綾織、朱子織等の織布にした2次配向のもの、炭素繊維をいわゆる立体織した3次配向のもの、炭素繊維をフェルトや短繊維にして用いたもの等があるが、本発明ではいずれも適用可能である。そして、炭素繊維強化炭素複合材料は、一般に、上記の各種配向状態の炭素繊維集合体に、フェノール樹脂等の熱硬化性合成樹脂、あるいは石油ピッチ等のマトリックス材を含浸させてプリプレグを調製し、そのプリプレグを必要に応じて複数枚積層し、加圧下で加熱してマトリックス材を硬化させ、さらに不活性雰囲気中で高温焼成してマトリックス材を炭素化することにより製造される。また、炭素繊維が短繊維の場合は、マトリックス材に炭素繊維の短繊維を混合し、その混合物を所定形状に成形し、その成形物を加圧下で加熱してマトリックス材を硬化させ、さらに不活性雰囲気中で高温焼成してマトリックス材を炭素化して製造することができる。なお、炭素繊維強化炭素複合材料は、予め所定の厚さの板状に成形しても良いし、あるいはブロック状に成形した炭素繊維強化炭素複合材料から、ワイヤーソー、回転ダイヤモンドソー等の公知の切断手段により所定の厚さの板状に切り出しても良い。また、上記の炭素繊維、炭素マトリックスは黒鉛化されていても差し支えない。
【0023】
上記の種々の炭素繊維強化炭素複合材料の中でも、炭素マトリックス中で炭素繊維が一方向に揃って配列した1次配向の炭素繊維強化炭素複合材料のブロックを、炭素繊維の配列方向に対して直角方向に切断して得られた板状物は、厚さ方向の熱伝導性に優れているため特に好ましく用いられる。
【0024】
また、上記の等方性高密度炭素材料は、一般に、生コークスやメソカーボンマイクロビーズ等の焼結性を有する黒鉛前駆体の微粒子を加圧成形しつつ高温で焼成するか、あるいは黒鉛微粒子やカーボンウイスカー粉体等をピッチや合成樹脂等の炭素前駆体からなるバインダーと混合して加圧成形し、焼成することによって得ることができる。また、上述の炭素繊維強化炭素複合材料と同様に、等方性高密度炭素材料は、予め所定の厚さの板状に製造しても良いし、ブロック状に製造された等方性高密度炭素材料から、所定の厚さの板状に切り出しても良い。なお、等方性高密度炭素材料は黒鉛化されていても差し支えない。
【0025】
上述のような種々の炭素質基板10は、一般に、いずれもその製造過程に由来する微細孔を有していてポーラスである。そこで本発明では、必要に応じて、炭素質基板10の微細孔に無機コーティング剤又は金属を含浸させることができる。これにより、炭素質基板10は非多孔質化し、基板の機械的強度が向上する。また、基板の空隙に無機コーティング剤又は金属が充填されるため、基板全体の熱伝導性をさらに高めることができる。
【0026】
上記無機コーティング剤としては、炭素質基板10の微細孔に含浸して無機質硬化物を形成するような液状のコーティング剤であれば適用可能である。例として、常温もしくは加熱条件下で架橋反応が進行しセラミック様の硬化物を形成する無機のケイ素含有ポリマー、アルミナセメント等のセメント、水ガラス類等を含有する無機系バインダーを挙げることができ、より具体的には、ケイ素含有ポリマーを形成するHEATLESS GLASS GAシリーズ(商品名;ホーマーテクノロジー社製)、ポリシラザン類である東燃ポリシラザン(商品名;東燃社製)、無機バインダーであるレッドプルーフ MR−100シリーズ(商品名;熱研社製)等が好適に用いられる。なお、これらの無機コーティング剤は、その含浸性を高めるために、有機溶媒で希釈することができる。
【0027】
炭素質基板10に無機コーティング剤を含浸させる方法としては、例えば、炭素質基板10に無機コーティング剤を刷毛等により塗布する方法、炭素質基板10を無機コーティング剤中に浸漬する方法、高圧で炭素質基板10に無機コーティング剤を圧入する方法、高真空にて炭素質基板10に無機コーティング剤を吸入する方法等を適宜採用することができる。含浸させた無機コーティング剤は硬化させるが、この際の硬化条件は、用いた無機コーティング剤の種類に応じて適宜設定される。例えば、上述のHEATLESS GLASSを用いた場合は、約130℃で60分間程度加熱するのが適当である。
【0028】
また、炭素質基板10に金属を含浸させる場合、その金属の種類は特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム、銅等は熱伝導率が高いため特に好ましく用いられる。金属を含浸させる方法としては、溶融したアルミニウムや銅などの金属を高温高圧下にて含浸させる方法や真空を利用し含浸させる方法等を適宜用いることができる。また、アルミニウムを含浸させた材料として、CC−MA(商品名;炭素繊維を一次配列させた先端材料社製のC/Cコンポジットベース)、C−MA(商品名;先端材料社製の等方性高密度炭素材料ベース)等や、銅を含浸させた材料として、MB−18(商品名;炭素繊維を一次配列させたメビウス・A・T社製のC/Cコンポジットベース)等があり、これらの材料を本発明の炭素質基板10として用いても良い。
【0029】
次に、図1の絶縁性電着層20について詳述する。絶縁性電着層20は、共析可能な熱伝導性の無機フィラー201と、電着性を付与したポリイミド202とを含むポリイミド電着液を用いて、炭素質基板10の表面に電着することにより形成することができる。なお、上記ポリイミドは、重合体として電着液中に存在させる場合と、前駆的重合体(ポリアミック酸など)、重合性オリゴマー、もしくはモノマーとして存在させ電着後に加熱等によって重合反応を完了させる場合とがあるが、いずれも適用可能である。電着する際には、炭素質基板10を陰極とする方式と陽極とする方式とがあり、いずれも適用可能であるが、膜厚の均一性や電極の酸化防止などの観点から、陰極にする方式(カチオン電着性のポリイミドを用いる場合)がより好ましい。これにより、図1に示すように、ポリイミド202中に無機フィラー201が均一に分散した絶縁性電着層20が形成され、絶縁性電着層20全体、ひいては配線板用基板1全体としての熱伝導性が向上する。また、電着の過程では、膜厚が厚い箇所には電気絶縁性が高くなるので析出せず、膜厚が薄い箇所に析出する、ということを繰り返すので、固体粒子である無機フィラーを含有するにもかかわらず、絶縁性電着層20の表面を非常に平滑することができる。したがって、絶縁性電着層20と金属層30との密着性が高く、金属層30(回路側)から炭素質基板10側への熱伝導性を最大限に高めることができる。なお、電着を行う際の電圧、反応時間等の条件は、ポリイミド電着液の濃度及び無機フィラーの添加量等を考慮して適宜設定することができる。
【0030】
絶縁性電着層20の厚さは、炭素質基板10と金属層30との間の電気絶縁性を確保することを条件として薄く形成することが好ましいが、あまり薄過ぎると無機フィラー201のために表面に凹凸が現れる場合があり、その凹凸により接着剤塗布時にエアーが残留し易くなり、全体の熱伝導性を低下させる恐れがあるので、このことを考慮して適宜設定する。具体的には、5〜100μm程度とすることが好ましい。
【0031】
無機フィラー201としては、熱伝導率が高い物質であれば適宜選択して用いることができる。その中でも、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si34)、アルミナ(Al23)、窒化ホウ素(BN)は、電気絶縁性が非常に高く、また高温まで安定であるため特に好ましく用いられる。これらの無機フィラーは、いずれか一種のみを用いても良いし、二種以上を併用して用いても良い。また、フィラーの形状は、球状、ウィスカー状等いずれも適用可能であるが、均一に分散させる観点から球状のものがより好ましい。
【0032】
無機フィラー201の粒径は、特に限定されるものではないが、小さ過ぎると、無機フィラーの種類(例えば窒化アルミニウム)によっては電着液中で加水分解する場合がある。逆に粒径が大き過ぎると、電着液中で均一に分散せずに沈降したり、あるいは絶縁性電着層20を形成したときに、膜厚が必要以上に大きくなって絶縁性電着層20表面の平滑性が損なわれる恐れがあるので、これらのバランスを考慮して適宜設定される。具体的には、0.5〜10μm程度、さらに好ましくは0.5〜2μmである。
【0033】
また、無機フィラー201は、必要に応じて、予めリン酸塩処理等を行って、粒子表面に酸化皮膜を形成させることが好ましい。これにより、電着液中における無機フィラーの安定性が向上する。例えば、窒化アルミニウムは、水系の電着液中に長時間分散させておくと、加水分解を起こしてアンモニアを発生する場合があるので、リン酸塩処理等によって粒子表面に皮膜を形成することにより加水分解反応を抑制し、電着液を長期間安定した状態で保存させることができる。リン酸塩処理には、形成される皮膜成分に応じて、リン酸亜鉛処理、リン酸鉄処理、リン酸マンガン処理等があるが、いずれも適用可能である。なお、本発明においては、処理効率、コスト等の観点から酸化皮膜化処理としてリン酸塩処理が最も適しているが、この他の方法、例えば窒化ケイ素を空気中で加熱して表面にSiO2皮膜を形成させる方法等を採用しても良い。
【0034】
絶縁性電着層20における、無機フィラー201とポリイミド202との割合は、無機フィラーの種類や粒径等によって異なり特に限定されるものではないが、無機フィラーが少な過ぎると、熱伝導性を向上させる効果がなくなるので不適であり、逆に無機フィラーが多過ぎると、絶縁性電着層の厚さが増大したり、絶縁性電着層表面が粗くなる場合がある。したがって、これらを考慮し、ポリイミド202と無機フィラー201の固形分重量比は5:3〜5:20の範囲、例えば5%濃度のポリイミド電着液100重量部に対して無機フィラーを3〜20重量部の含有量とすることが好ましい。
【0035】
なお、電着の工程中には、無機フィラー201の均一な分散状態を維持するために、必要に応じて電着液を攪拌しつつ行うことができる。また、無機フィラー201は、当初から電着液に分散させておいても良いが、別の場合として、必要量の無機フィラーを、電着を行う時に混合し、それから時間をおかずに絶縁性電着層20を析出させても良い。これにより、電着液と無機フィラーとが反応する可能性がある場合に、無機フィラーの酸化皮膜化処理を行うことなく、したがって熱伝導性が最適な状態のまま絶縁性電着層20を形成することができるので有利である。
【0036】
電着した面は、通常、さらに適宜水洗いし、乾燥、焼付を行うことにより、溶剤を除去し、ポリイミド202を反応、硬化させて目的の絶縁性電着層20を形成する。乾燥、焼付の条件は、溶剤の種類やポリイミドの分子量によって異なり特に限定されるものではないが、例えば、乾燥は60〜120℃で数分〜1時間程度、焼付は200〜300℃で10分〜2時間程度とすることが適当である。
【0037】
次に、金属層30について説明する。金属層30としては、従来の金属貼り積層板に用いられていた銅・ニッケル等の金属箔や、あるいは金属板を所望の配線パターンに打ち抜いたリードフレーム等を用いることができる。金属箔及びリードフレームの厚さは、その用途によって適宜設定される。
これらの金属箔やリードフレームを絶縁性電着層20上に積層させる際には、絶縁性電着層20及び金属層30に対して接着可能な各種の接着剤を適宜選択して行う。また、用いる接着剤は、耐熱性を有し、熱膨張率が小さいことが好ましい。このような接着剤の例としては、ユピタイト(商品名;宇部興産社製)、カプトン(商品名;東レ・デュポン社製)等のポリイミド系接着剤、KE1800T(商品名;信越シリコーン社製)、TES−3260(商品名;東芝シリコーン社製)等のシリコーン系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。なお、炭素質基板10と、金属箔もしくはリードフレームとを接着させる際には、エアーの残留を無くし確実に密着させるため、ロールや平板プレス等で加圧することが好ましい。
【0038】
また、接着剤を介して絶縁性電着層20と金属層30とを接着させる場合には、その接着剤中に、熱伝導性の添加材を含有させることができる。これにより、添加材が熱の伝導を担うので、絶縁性電着層20と金属層30の間に接着剤層が存在しても全体の熱伝導率が低下せず、高い放熱性を得ることができる。
添加材としては、接着剤中に分散できて熱伝導率が比較的高い物質であればいずれも用いることができる。具体例としては、カーボンブラック、グラファイト等の炭素粉末、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、それらの粒径は、接着剤層の厚さを超えない範囲で適宜設定することができる。
【0039】
上記添加材の添加量は、含有させる接着剤の接着性を損なわない範囲で適宜設定することができる。具体的には、添加材の種類によっても異なるが、例えばカーボンブラックの場合、接着剤に対して10〜50重量%、就中20〜40重量%程度とすることが好ましい。
【0040】
また、金属層30は、絶縁性電着層20上にめっきして形成することもできる。めっき方法としては、無電解めっき等の湿式法、真空蒸着、低温スパッタ、イオンプレーティング等の乾式法を適宜採用することができる。その中でも、無電解めっき、及び真空蒸着による方法は、金属層30を効率的に形成できるため好ましい。また、めっきによる金属層30の厚さは、回路として機能させるために、少なくとも15μm以上有することが好ましい。
【0041】
無電解めっきにより金属層30を形成する場合には、金属イオン、還元剤等を含むめっき液に対して、炭素質基板10と絶縁性電着層20との積層体を浸漬することにより行われる。また、無電解めっきを行うにあたっては、絶縁性電着層20の表面に親水性を付与するため予め化学エッチング処理を施すことができる。また、無電解めっきによる初期の金属析出を効率的に行うため、絶縁性電着層20の表面には予め、パラジウム、銀、金、白金等の触媒層を形成させておいても良い。さらに、金属層30を厚く形成するために、無電解めっきにより形成した層の上にさらに電解めっきを施しても良い。
【0042】
金属層30を、真空蒸着により形成する場合には、炭素質基板10と絶縁性電着層20との積層体に対し、従来知られた真空蒸着の手法により、銅、ニッケル等の金属を均一に蒸着して行う。
【0043】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
(実施例)
まず、炭素質基板として、厚さ2mmの等方性高密度炭素材料であるEG−30X4(商品名;日本カーボン社製)を用いた。この基板は、カーボンを黒鉛化し、圧縮・押し出しによりブロック状に成形し、オートクレープ中で溶融したアルミニウムを含浸させた後、板状に切り出したものである。
上記の炭素質基板の両面に、粒径0.9μmの窒化アルミニウムを分散させたポリイミド電着液をもって、12Vで1分+24Vで2分の条件で電着し、80℃で10分乾燥させ、さらに250℃で30分焼付することにより、片面厚さ20μmの絶縁性電着層を形成した。なお、電着液の組成は以下の通りである。なお、窒化アルミニウムは、予めリン酸塩処理を行い、表面に酸化皮膜を形成した上で用いた。
・アミン変性ポリイミド(カチオン電着性) 30重量部
・窒化アルミニウム 68重量部
・分散剤、添加剤 2重量部
・水、溶剤 900重量部
続いて、絶縁性電着層の表面に、厚さ70μmの銅箔をエポキシ接着剤(厚み0.1mm)を介して積層させ、120℃で3分間ヒートプレスにて294N/cm2の押圧状態としてエアーや余剰の接着剤を排除し、その後押圧状態から開放して120℃で60分間加熱処理することにより接着剤を硬化させ、目的の配線板用基板を製造した。
得られた配線板用基板からエッチングにより表面の銅箔を取り除いたものをレーザーフラッシュ法熱定数測定装置TC−7000(アルバック理工株式会社、JIS R1611準拠)を用いて熱伝導率を測定した。そして、測定の結果、67(W/mK)の値を得た。また絶縁破壊強度は7.0(kV/mm)であった。また、絶縁性電着層のみ(20μm)の熱伝導率は1.0(W/mK)、絶縁破壊強度は45(kV/mm)であった。また、絶縁性電着層の表面粗度を測定したところ、後述の窒化アルミニウムを分散させない場合に比べて有意な違いは観測されず、平滑性に優れていた。
【0044】
(比較例)
上記実施例と同様の炭素質基板の両面に、ポリイミド電着液を12Vで3分の条件で電着し、80℃で10分乾燥させ、さらに250℃で30分焼付することにより片面厚さ20μmの電着層を形成した。
続いて、電着層の表面に、上記実施例と同様の工程により銅箔をエポキシ接着剤(厚さ0.1mm)を用いて積層、貼着させ、目的の配線板用基板を得た。
得られた配線板用基板から、エッチングにより表面の銅箔を取り除き、上記実施例と同様に、熱伝導率を測定したところ、22(W/mK)であり、絶縁破壊強度は7.2(kV/mm)であった。
また、電着層のみ(20μm)の熱伝導率は0.2(W/mK)、絶縁破壊強度は60(kV/mm)であった。
【0045】
上記の測定結果より、特に電着層の熱伝導率については、比較例が0.2(W/mK)であるのに対し、実施例は1.0(W/mK)と格段に向上させることができた。また配線板用基板全体としても、比較例は22(W/mK)であるのに対し、実施例は67(W/mK)と熱伝導率を大幅に向上させることができた。さらに、絶縁破壊強度も従来の配線板用基板の標準値を十分に満足するものであり、電着層の平滑性も問題ないレベルであった。
【0046】
【発明の効果】
以上、本発明の配線板用基板は、炭素質基板と電極となる金属層との間に、窒化アルミ等の無機フィラーが分散したポリイミドの絶縁性電着層を形成したため、全体の熱伝導率が向上し、回路で発生した熱を速やかに放散させることができる。
また、電着することにより、無機フィラーが均一に分散し、絶縁性電着層の表面が平滑になるので、炭素質基板及び金属層に対する密着性が高まり、したがって全体の放熱性能を最大限に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の配線板用基板の一実施形態における断面図である。
【符号の説明】
1 配線板用基板
10 炭素質基板
20 絶縁性電着層
201 無機フィラー
202 ポリイミド
30 金属層

Claims (6)

  1. 炭素質基板と、予め酸化皮膜化処理された無機フィラーが電着によってポリイミドに分散した状態で前記炭素質基板に形成された絶縁性電着層と、前記絶縁性電着層に設けられた金属層とから構成されてなる配線板用基板。
  2. 請求項1記載の配線板用基板において、無機フィラーが、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素から選ばれる一以上であることを特徴とする配線板用基板。
  3. 請求項1または2記載の配線板用基板において、無機フィラーの粒径が、0.5〜10μmであることを特徴とする配線板用基板。
  4. 請求項1〜のいずれか記載の配線板用基板において、絶縁性電着層は、ポリイミドと無機フィラーの固形分重量比が5:3〜5:20の範囲にある電着液を用いて形成された絶縁性電着層であることを特徴とする配線板用基板。
  5. 請求項1〜のいずれか記載の配線板用基板において、金属層が、接着剤を介して絶縁性電着層に設けられ、前記接着剤には熱伝導性の添加材が含有されていることを特徴とする配線板用基板。
  6. 請求項1〜のいずれか記載の配線板用基板において、炭素質基板の微細孔に、無機コーティング剤又は金属が含浸されていることを特徴とする配線板用基板。
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