JP3980798B2 - 筆記情報入力システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙をはじめとする記録媒体上に手書きした筆記情報を処理する筆記情報入力システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、この種の筆記情報入力システムに関する研究・開発が盛んであり、各種提案がなされている。その一例としては、特開平8−36452号公報に提案されている筆記ペン及び筆記ペン装置がある。この筆記ペン装置等によれば、筆記用紙に光学的反射率の異なる紙面上を交差する二次元座標である紋様を付して、これを筆記ペン側に設けた発光素子と受光素子との作用によって読み取って、ペン先座標を特定することにより、筆記用紙上においてペンで書くような動作をするだけでその筆跡をデジタルデータとして入力することができる。この携帯型の筆記ペンまたは筆記ペン装置は、2次元座標が埋め込められている筆記用紙を用いることでタブレット等を使用することなく筆記座標情報を記憶することができ、しかも、その検出構成を筆記ペン内に収容することができるので、個々人のパーソナル的な使用に有用とされている。
【0003】
また、他の一例としては、本出願人により提案された特開平9−101864号公報に示された情報処理装置がある。この情報処理装置は、全体が紙状で各種情報を書き換え自在に表示して維持する複数の記録媒体、複数の情報蓄積媒体、1個の情報記録装置を設けて、情報記録装置に手書き入力された情報を記録媒体の表示や情報蓄積媒体の記憶に利用し、情報記録装置により情報蓄積媒体から読み出した情報も記録媒体に表示するものである。また、記録媒体は、表示した情報を維持し、その消去や修正も自在である。つまり、この情報処理装置は、文字やイメージなどの各種情報を見られる状態で保存する手段として、従来より利用している紙とディスプレイとメモリを有するコンピュータとの一長一短を解析してそれぞれの良い点をとったものとして提案されている。したがって、かかる情報処理装置によれば、媒体にはコンピュータで作成された、あるいは、手書き入力された情報が何度も書き換えが可能で(つまり紙のように消費をしない)、その情報はメモリへ蓄積されたり、外部へ出力されたり、外部から入力されたり、コンピュータが処理することが可能なデジタル情報として処理ができるものである。従って、このような情報処理装置は、紙を消費することなく書類の作成や蓄積を実現することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平8−36452号公報に提案されている筆記ペン及び筆記ペン装置によれば、反射特性を数段階に変化させた紋様を筆記用紙に設定することはコスト的に低価格で提供することが困難であり、また、それを光学的反射により筆記ペンで検出することは、検出精度や検出速度に限界があり、筆記ペンへの機構的負担が大きく実用的ではない。
【0005】
さらに、複数枚の筆記用紙を使って作業をするような状況では、複数枚の筆記用紙の加筆前情報、つまり、ある文書データが予めプリントされた筆記用紙に対して、結果的にどの文書のどこのページに何を加筆したかという情報を関連付ける(リンクさせる)ことが必要となる。つまり、今加筆している内容と加筆対象の元データが1対1に対応している必要があり、特開平8−36452号公報に提案されている筆記ペン及び筆記ペン装置では、複数枚の筆記用紙の1枚1枚を識別するような手段が明示されていない。あえて言うならば、何も書かれていない筆記用紙に新規に加筆記入する場合に、最初にIDを記入してから書き始めるといったことでもすればで対応を図ることができるかもしれないが、既存の文書データに対して加筆する場合は不可能である。
【0006】
一方、特開平9−101864号公報に提案されている情報処理装置は、ユーザビリティの観点からみると、すでに情報が書き込まれ、または印字されている複数枚の記録媒体をタブレットにのせて、その文書の上に加筆入力するようなものでは、記録媒体を持ち歩く場合でもタブレットを随時携帯する必要があり不便になる。また、個人のパーソナル的な使い方としては、従来の紙に従来の筆記ペンで書く場合と同等な利便性と機能性の実現が必要となる。また、タブレットを用いる筆記作業は、従来の紙に従来の筆記ペンで書く場合とは異なった感触となり、ユーザにとって違和感がある。
【0007】
さらにまた、近年においては、A3サイズやそれ以上の大型サイズの媒体を使って作業をするような状況(例えば、大きい紙を囲んで複数人で議論しながらコンテンツを書き込んでいくような状況等)においても、大型サイズの媒体に手書きで書き込んだアナログ的な筆記情報をデジタル的な電子情報へと自動的に変換して格納する機能が要求されている。しかしながら、特開平8−36452号公報に提案されている筆記ペン及び筆記ペン装置や特開平9−101864号公報に提案されている情報処理装置では、大型サイズのタブレットや座標情報を埋め込んだ媒体を作製することができなかったり、実現できたとしてもタブレットや媒体のコストが高くなってしまうという問題や、サイズが大きくなるので扱いが大変で実使用上使い勝手が悪い等の問題がある。
【0008】
本発明の目的は、あらゆるサイズの記録媒体の情報表示面上に筆記装置によって筆記した軌跡の位置座標の検出を利便性および実用性に優れた構成で実現することができる筆記情報入力システムを得ることである。
【0009】
本発明の目的は、座標検出精度を高めることができる筆記情報入力システムを得ることである。
【0010】
本発明の目的は、原文書を更新することができる筆記情報入力システムを得ることである。
【0011】
本発明の目的は、原文書に対する筆記入力精度を向上させることができ、加筆精度に関してより信頼性の高い筆記情報入力システムを得ることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、再帰性反射部材を設けた筆記装置と、この筆記装置による筆記を受け付ける情報表示面を有する記録媒体と、この記録媒体に接離自在に各々配置され、光束を出射する光源を有し、該光束を投光して前記筆記装置の筆記を受け付ける座標指示領域を形成する少なくとも2以上の投光手段と、前記投光手段毎に設けられ、受光した光束を電気信号に変換して受光信号として出力する少なくとも2以上の受光手段と、少なくとも2つの前記投光手段間の距離を取得する距離入力手段と、この距離入力手段により取得された前記投光手段間の距離に基づいて前記光源から出射される光束の光出力値を変化させ、前記座標指示領域と前記記録媒体の前記情報表示面とを略一致させる光出力値可変手段と、前記座標指示領域を介して前記記録媒体に前記筆記装置で筆記した場合、前記受光手段から出力される受光信号に基づいてその筆記装置の位置座標を検出する座標検出手段と、を備える。
【0013】
したがって、所定の2つの投光手段が接離自在に各々配置されるとともに、投光手段から投光される光束により形成される座標指示領域と記録媒体の情報表示面とを略一致させるようにそれらの投光手段間の距離に基づいて光源から出射される光束の光出力値が変化させられる。即ち、使用する記録媒体のサイズに応じて投光手段を配置することが可能であり、当該配置した投光手段間の距離に基づいて座標指示領域と記録媒体の情報表示面とを略一致させることができる。このように、使用する記録媒体のサイズに拘わらずに座標指示領域と記録媒体の情報表示面とを略一致させることが可能になることにより、筆記装置によって筆記した軌跡の位置座標の検出があらゆるサイズの記録媒体で可能になるので、記録媒体にどのような情報を筆記したかを電子的データとして再現することがタブレット等を使用しない利便性に優れた構成で実現可能になるとともに、使用する記録媒体のサイズによらない実用性に優れた構成で実現可能になる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の筆記情報入力システムにおいて、前記光出力値可変手段は、前記投光手段間の距離と前記光源から出射される光束の光出力値との相関情報を予め記憶した相関情報記憶手段を有し、前記距離入力手段により取得された前記投光手段間の距離に基づいてその相関情報記憶手段を検索して所望の前記光出力値を取得する。
【0015】
したがって、投光手段間の距離と光源から出射される光束の光出力値との相関情報を予め記憶した相関情報記憶手段を投光手段間の距離に基づいて検索することにより、所望の光出力値が取得されるので、処理の高速化が図られる。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の筆記情報入力システムにおいて、前記距離入力手段は、前記投光手段間の距離を検出する距離検出手段を備える。
【0017】
したがって、記録媒体のサイズに相対する物理量(投光手段間の距離)を利用者が測定および入力する必要がなくなることにより、システムの使い勝手が向上する。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか一記載の筆記情報入力システムにおいて、前記記録媒体を前記情報表示面の周辺部で交換自在に保持し、その記録媒体を所定の位置に固定する媒体保持部を備える。
【0019】
したがって、記録媒体が所定の位置に固定されることにより、座標指示領域と記録媒体との位置関係が一定にされるので、座標検出精度を高めることが可能になる。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか一記載の筆記情報入力システムにおいて、各種情報を情報格納個所を特定して格納する情報格納手段と、この情報格納手段に格納されている前記各種情報の前記情報格納個所を特定する識別情報を含む情報の入力を受け付ける情報入力手段と、この情報入力手段により入力された前記識別情報を含む情報をその識別情報に基づいて前記各種情報を更新する更新手段と、を有する情報格納装置を備え、前記識別情報を前記記録媒体の周辺部に表示し、前記記録媒体に表示された前記識別情報を読み取る識別情報読取手段と、この識別情報読取手段により読み取られた前記識別情報と前記座標検出手段により検出された前記位置座標とを関連付ける情報関連付け手段と、この情報関連付け手段によって関連付けられた情報を前記識別情報に基づいて前記情報格納装置に対して出力する情報出力手段と、を備える。
【0021】
したがって、記録媒体の情報表示面上に筆記装置によって筆記した軌跡の位置座標がこの記録媒体の情報表示面上に表示されている各種情報を格納している情報格納装置における情報格納個所を特定する識別情報に関連付けられて検出されるとともに、その位置座標が識別情報に基づいて情報格納装置に対して出力され、情報格納装置に格納されている各種情報が更新される。これにより、記録媒体にどのような情報を筆記したかだけではなくどの文書に何を加筆したかを電子的データとして再現することが可能になり、原文書の更新が可能になる。
【0022】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の筆記情報入力システムにおいて、前記記録媒体を前記情報表示面の周辺部で交換自在に保持し、その記録媒体を所定の位置に固定する媒体保持部を備え、前記識別情報読取手段は、前記媒体保持部によって前記記録媒体を保持した状態でその記録媒体に表示された前記識別情報に対向して設けられる。
【0023】
したがって、媒体保持部によって記録媒体を保持して所定の位置に固定するだけで、記録媒体に表示された識別情報の読み取りが可能になることにより、システムの使い勝手が向上する。
【0024】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか一記載の筆記情報入力システムにおいて、前記記録媒体には、その記録媒体と少なくとも1つの前記投光手段との位置関係を特定する基準位置情報を表示する。
【0025】
したがって、原文書に対する筆記入力精度が向上することにより、加筆精度に関してより信頼性の高いシステムの提供が可能になる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の第一の形態を図1ないし図12に基づいて説明する。本実施の形態の筆記情報入力システムは、後述する座標検出装置と筆記装置と情報格納装置として機能するパーソナルコンピュータとによって構成されている。
【0027】
ここで、図1は筆記情報入力システムを構成する座標検出装置1を示し、(a)は座標検出装置1の構成を概略的に示す平面図、(b)は座標検出装置1の一部を示す右側面図である。図1に示すように、座標検出装置1は、記録媒体である筆記用紙Pを保持するクリップ式の左側検出部1Lと、この左側検出部1Lに対して接離自在に配置されて筆記用紙P上に載置される載置式の右側検出部1Rとにより構成されている。左側検出部1Lのケース2Lの内部には、ビーム光(光束)の発光と受光とを行う左側受発光装置4Lが設けられている。また、右側検出部1Rのケース2Rの内部には、ビーム光(光束)の発光と受光とを行う右側受発光装置4Rが設けられている。さらに、左側検出部1Lのケース2Lの内部には、識別情報読取手段として機能するコードリーダ部5が設けられている。コードリーダ部5は、例えば多数のCCD(Charge Coupled Device)をマトリックス状に配列して形成される二次元CCD撮像素子等によって構成されている。加えて、左側検出部1Lのケース2Lの上部には、テンキーや各種キー等を備える入力部21が設けられている。
【0028】
ここで、左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとについて説明する。なお、ここでは、左側受発光装置4Lを例に図2を参照して説明する。図2に示すように、左側受発光装置4Lには、駆動回路(図示せず)を有してレーザ光を光出力可変に出射する光源であるレーザダイオード(以下、LDとする。)6とハーフミラー7とポリゴンミラー8と集光レンズ9と受光回路(図示せず)を有する受光素子10とが備えられている。受光素子10は、受光手段として機能し、例えばPINフォトダイオード等で構成されている。このような左側受発光装置4Lは、LD6から出射したレーザ光をハーフミラー7を透過させた後、モータ(図示せず)により回転駆動されるポリゴンミラー8によって放射状に順次反射する。ここに、投光手段が構成されている。したがって、図1に示すように、左側受発光装置4Lから放射状に繰り返し照射されるビーム光と右側受発光装置4Rから放射状に繰り返し照射されるビーム光とが交差する部分が、座標指示領域3とされる。この座標指示領域3は、詳細は後述するが、左側検出部1Lの左側受発光装置4Lと右側検出部1Rの右側受発光装置4Rとの距離と、LD6から出射されるレーザ光の光出力値とに応じて可変とされている。
【0029】
続いて、記録媒体である筆記用紙Pについて説明する。ここで、図3は筆記用紙Pを示す斜視図である。図3に示すように、筆記用紙Pには、情報表示面である情報印刷エリアP1と、その情報印刷エリアP1の周囲を囲むように設けられる周辺部である周辺エリアP2とが形成されている。情報印刷エリアP1は、各種の文字データ等が印字されるエリアである。また、周辺エリアP2の所定の位置には、情報印刷エリアP1に印字されている文字データ等の識別情報である二次元コードCが例えば黒インクによって印刷されている。さらに、周辺エリアP2の所定の位置には、左側検出部1Lと筆記用紙Pとの位置合わせが容易にできるような基準位置情報である基準マークMが印刷されている。なお、このような筆記用紙Pは周知の印刷装置によって印刷可能となっている。
【0030】
ここで、二次元コードCに記憶される情報について説明する。二次元コードCに記憶される情報としては、例えば、文書名、ページ番号、PC(パーソナルコンピュータ)名、PCのIPアドレス等があり、“¥¥PC名(PCのIPアドレス)¥ドライブ名¥フォルダ名¥文書名¥ページ”のようなディレクトリ構造により、その文書データ(最小には1ページ分)の格納してある場所を一義的に定めるものである。ここで、文書データ(最小には1ページ分)の格納場所は、情報格納装置であるパーソナルコンピュータPC(図6参照)に設けられている情報格納手段として機能するHDD(図6参照)である。つまり、二次元コードCには、情報印刷エリアP1に印刷されている各種の文字データである元々の文書のパーソナルコンピュータPCのHDDにおける記憶先が識別情報として記憶されていることになる。
【0031】
次に、左側検出部1Lによる筆記用紙Pの保持構造について説明する。図1に示すように、左側検出部1Lには、媒体保持部として機能する保持用クリップ11が開閉回動自在に設けられている。ここで、図4(a)は保持用クリップ11が開放状態にある左側検出部1Lを示す平面図、(b)はその正面図、(c)は保持用クリップ11が閉止状態にある左側検出部1Lを示す平面図、(d)はその正面図である。図4に示すように、保持用クリップ11は、左側検出部1Lのケース2Lの一部であってその横断面形状を略L字形状とされており、軸12によって回動自在に取り付けられている。また、左側検出部1Lの下部には、後述する記録媒体である筆記用紙Pの紙厚よりも若干厚めの案内溝13が略L字形状に形成されている。さらに、保持用クリップ11には磁石14が配設されており、案内溝13の保持用クリップ11の磁石14に対向する位置には磁気シート15が配設されている。また、保持用クリップ11には、筆記用紙Pの固定を検知するための透過型のセンサ20(図6参照)が備えられている。
【0032】
ここで、筆記用紙Pを左側検出部1Lにセットする作業について説明する。図5(a)に示すように、筆記用紙Pを左側検出部1Lにセットする際には、保持用クリップ11を軸12を中心として回動させて案内溝13の一部を開放させ(図4(a)参照)、基準マークMに基づいて筆記用紙Pと左側検出部1Lとの位置を合わせながら筆記用紙Pを案内溝13に挿入する。このように、筆記用紙Pを左側検出部1Lにセットする際には、目視による簡単な位置合わせができるため、非常に使いやすくなっている。次いで、図5(b)に示すように、保持用クリップ11を軸12を中心として回動させて閉止させ(図4(d)参照)、磁石14と磁気シート15との間に生ずる磁力によって筆記用紙Pを略L字形状の案内溝13の角部をガイドとして所定の位置に固定する。これにより、筆記用紙Pが左側検出部1Lに交換自在に保持されることになる。また、このように筆記用紙Pを左側検出部1Lに保持したことは、センサ20によって検出される。以上のようにして筆記用紙Pを所定の位置に固定することで、座標検出装置1の座標指示領域3と筆記用紙Pとの位置関係を一定にし、座標検出精度を高めることが可能になっている。また、このように筆記用紙Pが左側検出部1Lの所定の位置に固定された場合には、筆記用紙Pに印刷されている二次元コードCは、左側検出部1Lのコードリーダ部5に対向している。
【0033】
続いて、筆記情報入力システムの各部の電気的接続について図6を参照して説明する。座標検出装置1には、CPU(Central Processing Unit)を主体に構成されていて各部を集中的に制御する制御部16が内蔵されており、この制御部16には、左側受発光装置4Lおよび右側受発光装置4Rと、コードリーダ部5と、演算処理部17と、ROM18aと、フラッシュメモリ18bと、パーソナルコンピュータPCとの通信手段として機能してRF無線通信やIrDA等の赤外線通信などの無線通信インターフェース(I/F)である通信I/F19と、センサ20と、入力部21とがそれぞれ接続されている。なお、右側受発光装置4Rと制御部16および演算処理部17との接続は、無線接続でも有線接続でも良い。
【0034】
ROM18aには、左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとの距離に応じて定められたLD6から出射されるレーザ光の光出力の相関情報が記憶されている。相関情報とは、左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとの距離と、この距離に基づく筆記用紙PのサイズをカバーするだけのLD6から出射されるレーザ光の光出力値とがあらかじめ設定されているものである。つまり、ROM18aが相関情報記憶手段として機能することになる。
【0035】
演算処理部17は、制御部16の制御によって、左側受発光装置4Lの受光素子10および右側受発光装置4Rの受光素子10から出力される電気信号を受信し、この電気信号に基づいて位置座標(x,y)の算出を実行するものである。
【0036】
また、制御部16は、LD6の発光タイミングとモータの駆動タイミングとを制御し、LD6から出射されたレーザ光を保持用クリップ11に保持された筆記用紙Pの表面に沿って放射状に繰り返し走査させる。さらに、制御部16は、LD6から出射されるレーザ光の光出力値をも可変制御する。光出力値を変える制御方法としてはLD6からの光出力値が変えられる手段であればよく、駆動回路によってLD6の光出力を制御する方法や光出力値は固定しておき光路途中に多段階に調整可能な可変アッテネータ等の光学的減衰装置を挿入する方法等がある。
【0037】
次に、ペン型の筆記装置22について図7を参照して説明する。図7に示すように、筆記装置22には、例えば黒色等のインクカートリッジ23を有するペン先24が設けられている。このペン先24の近傍には、入射した光をその入射角度によらずに所定の位置に向けて反射する特性を有する再帰性反射部材25が配設されている。この再帰性反射部材25は、例えばコーナーキューブリフレクタや再帰性反射テープ等で形成されている。
【0038】
次に、座標検出装置1と筆記装置22とパーソナルコンピュータPCとで構成される筆記情報入力システムの動作について説明する。ここで、図8(a)は筆記装置22による加筆状態を示す平面図、(b)はその右側面図である。筆記情報入力システムを動作させるためには、図8に示すように、左側検出部1Lの保持用クリップ11によって筆記用紙Pを略L字形状の案内溝13の角部をガイドとして所定の位置に固定し、かつ、右側検出部1Rをその右端が筆記用紙Pの端部に位置するように移動させて据え置くことが必要とされる。さらに、座標指示領域3内を指示した筆記装置22の座標は、左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとの距離が定まっていないと検出することができないので、ここで左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとの距離を測定し、その値を入力部21のテンキーから入力することが必要とされる。以下に、制御部16によって制御される座標検出装置1の座標検出記憶機能について説明する。
【0039】
ここで、図9は座標検出記憶処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図9に示すように、まず、筆記可能な記録媒体である筆記用紙Pが左側検出部1Lの所定の位置に固定されたか否かが判断される(ステップS1)。センサ20によって筆記用紙Pが所定の位置に固定されたことを検知した場合には(ステップS1のY)、コードリーダ部5を駆動し、筆記用紙Pの周辺エリアP2の所定の位置に二次元コードCとして印刷されている識別情報データを検出する(ステップS2)。識別情報データが検出されると(ステップS2のY)、その識別情報データに対しては、演算処理部17に送信するとともにフラッシュメモリ18bに一時的に記憶する等の処理が実行される(ステップS3)。
【0040】
続いて、入力部21からの左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとの距離の入力に待機する(ステップS4)。ここに、距離入力手段の機能が実行される。
【0041】
左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとの距離が入力部21から入力されたと判断した場合(ステップS4のY)、その距離をフラッシュメモリ18bに一時的に記憶するとともに、その距離をROM18aに記憶された相関情報と比較して、左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとの距離に応じたLD6から出射されるレーザ光の光出力値を決定し、左側受発光装置4Lおよび右側受発光装置4Rを駆動する(ステップS5)。
【0042】
ここで、左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとの距離と、LD6から出射されるレーザ光の光出力値との関係について図10を参照して説明する。図10(a)に示すように、左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとの距離が短くなる小サイズの紙(例えばA4程度)を筆記用紙Pとして使用する場合には、LD6から出射されるレーザ光の光出力値は、左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとの距離L0に応じて制御部16の制御によってROM18aに記憶された相関情報に基づいて光出力値P0(図10においては、矢印の長さで示す。)に決定される。この光出力値P0は、左側受発光装置4Lからのビーム光と右側受発光装置4Rからのビーム光との交差部分により形成される座標指示領域3がA4程度の小サイズの紙の端部までを包含し、かつ、筆記装置22からの反射光を受光素子10において受光する場合に十分な受光光量の確保が可能なパワーとされている。これにより、座標指示領域3が小サイズの紙上の全領域をカバーすることになり、筆記用紙Pに対して十分な検出エリアを得ることができる。
【0043】
一方、図10(b)に示すように、左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとの距離が長くなる大サイズの紙(例えばA0程度)を筆記用紙Pとして使用する場合には、LD6から出射されるレーザ光の光出力値は、左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとの距離L1に応じて制御部16の制御によりROM18aに記憶された相関情報に基づいて光出力値P1(P1>P0)に決定される。この光出力値P1は、左側受発光装置4Lからのビーム光と右側受発光装置4Rからのビーム光との交差部分により形成される座標指示領域3がA0程度の大サイズの紙の端部までを包含し、かつ、筆記装置22からの反射光を受光素子10において受光する場合に十分な受光光量の確保が可能なパワーとされている。なお、図10(b)には、左側受発光装置4Lおよび右側受発光装置4Rにおける最小検出レベルの筆記装置22の位置p(筆記用紙P上の位置)を示しておく。ここからの反射光の受光光量のレベルが最も小さいことになる。これにより、座標指示領域3が大サイズの紙上の全領域をカバーすることになり、筆記用紙Pに対して十分な検出エリアを得ることができる。このように、左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとの距離を可変とし、その距離に応じて左側受発光装置4Lおよび右側受発光装置4Rからの光出力値を可変とすることによって、いろいろなサイズの紙へ筆記入力が可能となる。ここに、光出力値可変手段の機能が実行される。
【0044】
続くステップS6においては、筆記用紙P上に対して筆記装置22のペン先24による加筆がなされたか否かが判断される。筆記装置22による加筆がなされたか否かの判断は、筆記用紙Pの表面に沿って放射状に繰り返し走査されているビーム光を筆記装置22の再帰性反射部材25において反射し、その反射された光を受光素子10が受光したか否かにより判断されることになる。より詳細には、加筆するために筆記用紙P上の適当な位置(x,y)を指し示した筆記装置22のペン先24は、左側受発光装置4Lおよび右側受発光装置4Rから照射されているビーム光を再帰性反射部材25の作用によって再び同一光路を辿る再帰反射光として反射させる。反射されてポリゴンミラー8に戻った反射光は、ハーフミラー7によって折り返され、集光レンズ9を通過して集光された後、受光素子10において受光される。受光素子10は、受光した再帰反射光の光パワーを電気信号(出力電圧値)に変換し、受光信号として出力する。
【0045】
ここで、図11は受光素子10における受光信号とパルス信号の関係を例示的に示すタイムチャートである。受光素子10において出力される受光信号は、再帰反射光を受光した場合には出力電圧値の高い「H(HIGH)」レベルの信号であり、再帰反射光を受光しない場合には出力電圧値の低い「L(LOW)」レベルの信号である。また、例えば8つのパルスで1回走査するものとすると、左側受発光装置4L側ではレーザ光がポリゴンミラー8によってそのまま反射されて再び同一光路を辿ってハーフミラー7によって折り返されて集光レンズ9を通過して集光される1番目の同期検知用パルスと7番目のパルスが反射光として検出されており、右側受発光装置4R側では1番目の同期検知用パルスと5番目に投光したパルス光が検出されたことがわかる。なお、実際に筆記用紙P上の座標を細かく検出するためには、より多くの投光パルスが必要となる。
【0046】
また、図12は左側受発光装置4Lにおける1走査中の受光光量と時間との関係の一例を示すグラフである。筆記装置22には再帰性反射部材25が設けられていることから、再帰性反射部材25からの反射光である反射信号の受光光量は、図12に示すように、同期信号の受光光量と同等のレベルとなる。これにより、受光光量のスレシュホルドレベル位置を高い位置で維持できるので、ノイズに対する正規信号の割合(S/N)を向上させることができ、ノイズの影響を受けることなくシステムの信号検出における信頼性を上げることができる。ここでは、左側受発光装置4L側のみ説明するが、右側受発光装置4Rにおいても同様の効果が得られる。
【0047】
筆記装置22のペン先24による加筆がなされた場合(受光素子10が反射光を受光した場合)には(ステップS6のY)、その受光信号が受光素子10から演算処理部17に対して出力され、位置座標(x,y)の算出処理が実行される(ステップS7)。具体的には、演算処理部17は、受光信号が出力されたビーム光の角度(左側受発光装置4Lと筆記装置22のペン先24との角度、右側受発光装置4Rと筆記装置22のペン先24との角度)をそれぞれビーム光を出射した際のモータのパルス数に基づいて算出し、それらの角度と左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとの間隔であるフラッシュメモリ18bに記憶されている距離に基づいて、三角測量の原理により、筆記装置22のペン先24によって指し示した位置座標(x,y)を算出する。ここに、座標検出手段の機能が実行される。このようにして算出された位置座標(x,y)のデータである座標情報データは、フラッシュメモリ18bに一時的に記憶される。
【0048】
続くステップS8においては、位置座標算出処理により算出された座標情報データに対して識別情報データを関連付ける処理が演算処理部17において実行される。ここに、情報関連付け手段の機能が実行される。
【0049】
例えば、今、加筆する文書のアドレス(=識別情報データ)が
「c:\MyDocument\Patent.doc」
であるとする。また、前述したように筆記装置22の加筆によって検出された座標情報データが「10,10」であるとする。これらの各データが関連付けられた場合に得られるデータは、
「\c:\MyDocument\Patent.doc,10,10」
となる。以上のようにして関連付けられた加筆データは、フラッシュメモリ18bに一時的に記憶される。
【0050】
ステップS6〜S8までの処理は、記録媒体である筆記用紙Pが左側検出部1Lの保持用クリップ11から外されたとセンサ20によって判断されるまで(ステップS9のY)、繰り返される。つまり、筆記用紙Pを保持用クリップ11から外さない限り筆記装置22のペン先24の位置の検出を連続的に行なうことになるので、フラッシュメモリ18bに一時的に記憶される加筆データの集合体は筆記装置22のペン先24の筆記軌跡データということになる。
【0051】
センサ20によって筆記用紙Pが保持用クリップ11から外されたことを検知した場合には(ステップS9のY)、フラッシュメモリ18bに記憶されている加筆データを通信I/F19を介し、元々の文書が登録されていたパーソナルコンピュータPCへと識別情報データに基づいて転送する(ステップS10)。ここに、情報出力手段の機能が実行される。
【0052】
以上のように、加筆データが元々の文書が登録されていたパーソナルコンピュータPCへと転送されると、パーソナルコンピュータPCにおいては例えば通信I/F(図示せず)等の情報入力手段の機能によってその加筆データを受け付け、加筆した文字や線などを原文書上に加筆・更新する(更新手段)。いずれの場合でも、原文書を一義的に識別でき、かつ、筆記軌跡が求まるので、これらの加筆データを原文書に自動的に付加するのは容易である。文書名等から電子的な原文書を読み出し、その文書に軌跡を付加すれば良い。外部機器より軌跡情報を得て、原文書に付加するような電子文書編集方法は容易に構築することができるし、また、市販のいわゆるワードプロセッサソフトでもマクロ機能を用いれば容易に実現できる。
【0053】
ここに、本実施の形態の筆記情報入力システムは、左側受発光装置4Lおよび右側受発光装置4Rから放射状に繰り返し照射されるビーム光が交差する部分を座標指示領域3とすることにより、保持用クリップ11に記録媒体である筆記用紙Pを保持していない場合には非常にコンパクトになるので、従来のタブレット等を利用した装置に比べると利便性に優れている。また、左側受発光装置4Lおよび右側受発光装置4Rが筆記用紙Pのサイズに応じて接離自在に各々配置されるとともに、左側受発光装置4Lおよび右側受発光装置4Rから投光されるビーム光により形成される座標指示領域3と筆記用紙Pの情報表示面P1とを略一致させるように左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとの距離に基づいて光源6から出射されるビーム光の光出力値が変化させられることにより、筆記装置22によって筆記した軌跡の位置座標の検出があらゆるサイズの筆記用紙Pで可能になるので、実用性にも優れている。
【0054】
なお、入力部21から筆記用紙Pのサイズと縦横の区別とをキー入力可能にすることにより、これから使用する筆記用紙Pを例えば“A0サイズ横”として入力可能にしても良い。この場合は、ROM18aに紙のサイズと縦横の区別とに応じた光出力値の相関情報が記憶されている。つまり、入力部21から筆記用紙Pのサイズと縦横の区別とをキー入力することにより、例えば“A0サイズ横”をカバーする光出力値が設定されることになる。
【0055】
また、原文書が登録されていたパーソナルコンピュータPCへと転送された加筆データの原文書への筆記軌跡付加はいきなり行うのではなく、操作者に確認を求めてから行うほうがより望ましい。
【0056】
さらに、文書への筆記軌跡の付加は、フラッシュメモリ18bに一旦蓄えてからパーソナルコンピュータPC等に接続した後に必ずしも行うものに限るものではなく、リアルタイムで原文書へ筆記軌跡を付加するようにしてもよい。
【0057】
次に、本発明の第二の実施の形態を図13に基づいて説明する。なお、本発明の第一の実施の形態において説明した部分と同一部分については同一符号を用い、説明も省略する。本実施の形態の情報処理システムは、第一の実施の形態の筆記情報入力システムと比較して、左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとの距離の取得手法が異なるものである。
【0058】
本実施の形態の情報処理システムには、図13に示すように、距離検出手段として機能する距離検出部30が設けられている。詳細には、左側検出部1Lには一般的に使用されている測距装置である例えばレーザレーダセンサ等を備えた距離検出部30Lが設けられており、右側検出部1Rにはレーザレーダセンサからのレーザ光を距離検出部30Lに対して反射する反射部材である距離検出部30Rが設けられている。
【0059】
この距離検出部30は制御部16に接続されており、距離検出部30Rにおいて反射されたレーザ光を受光したレーザレーダセンサから得られた情報は演算処理部17に出力され、演算処理部17において左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとの距離が補正値等を含めて算出された後、その距離がフラッシュメモリ18bに記憶される。したがって、本発明の第一の実施の形態の筆記情報入力システムのように、左側検出部1Lと右側検出部1Rとの距離を測定して入力部21から入力する必要がなくなる。なお、このような左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとの距離の測定は、左側検出部1Lの保持用クリップ11によって筆記用紙Pを略L字形状の案内溝13の角部をガイドとして所定の位置に固定し、かつ、右側検出部1Rをその右端が筆記用紙Pの端部に位置するように移動させて据え置いた後、入力部21に設けられた所定のキー(図示せず)を操作することによって開始される。
【0060】
また、距離検出部の変形例としては、図14に示すような距離検出手段として機能する距離検出部40がある。この距離検出部40には、左側検出部1Lと右側検出部1Rとを連結するとともに、距離測定用目盛42を設けた接続線41が備えられている。この接続線41は、普段は左側検出部1Lの内部に収納されており、右側検出部1Rを左側検出部1Lに対して離間させるとその離間した距離分の距離測定用目盛42が出現するようになっている。左側検出部1Lには、この距離測定用目盛42をカウントすることができるカウント装置(図示せず)が備えられていて、そのカウント装置で得られたカウント数が演算処理部17に出力され、演算処理部17において左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとの距離が検出された後、その距離がフラッシュメモリ18bに記憶される。
【0061】
ここに、筆記用紙Pのサイズに相対する物理量(左側受発光装置4Lと右側受発光装置4Rとの距離)を利用者が測定および入力する必要がなくなることにより、システムの使い勝手が向上する。
【0062】
なお、各実施の形態においては、記録媒体(筆記用紙P)に識別情報である二次元コードCを印刷したが、パーソナルコンピュータPCへと転送して加筆しないのであれば二次元コードCの印刷の必要はない。このように二次元コードCを印刷しないのであれば、コードリーダ部5を設ける必要はなく、また、筆記情報入力システムとしては、座標検出装置と筆記装置とによって構成される。
【0063】
また、各実施の形態においては、受発光装置としてポリゴンミラー8による回転走査系で述べてきたが、2点からの投光による筆記装置22のペン先24の位置座標を検出できるものであれば良く、これに限定するものではない。例えば光源から出た光束を扇状に広げて投光して、筆記装置22のペン先24の反射地点をライン状のセンサで検出する方式でも構わない。
【0064】
さらに、各実施の形態においては、記録媒体として筆記用紙Pを適用したが、これに限るものではなく、書き換え可能なデジタルペーパー等を適用しても良い。
【0065】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、所定の2つの投光手段を記録媒体に接離自在に各々配置するとともに、投光手段から投光される光束により形成される座標指示領域と記録媒体の情報表示面とを略一致させるようにそれらの投光手段間の距離に基づいて光源から出射される光束の光出力値を変化させる。即ち、使用する記録媒体のサイズに応じて投光手段を配置することが可能であり、当該配置した投光手段間の距離に基づいて座標指示領域と記録媒体の情報表示面とを略一致させることができる。このように、使用する記録媒体のサイズに拘わらずに座標指示領域と記録媒体の情報表示面とを略一致させることができ、筆記装置によって筆記した軌跡の位置座標の検出をあらゆるサイズの記録媒体で行うことができるので、記録媒体にどのような情報を筆記したかを電子的データとして再現することをタブレット等を使用しない利便性に優れた構成で実現することができるとともに、使用する記録媒体のサイズによらない実用性に優れた構成で実現することができる。
【0066】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の筆記情報入力システムにおいて、投光手段間の距離と光源から出射される光束の光出力値との相関情報を予め記憶した相関情報記憶手段を投光手段間の距離に基づいて検索することにより、所望の光出力値を取得することができるので、処理の高速化を図ることができる。
【0067】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の筆記情報入力システムにおいて、距離入力手段に投光手段間の距離を検出する距離検出手段を備えることにより、記録媒体のサイズに相対する物理量(投光手段間の距離)を利用者が測定および入力する必要がなくすことができるので、システムの使い勝手を向上させることができる。
【0068】
請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれか一記載の筆記情報入力システムにおいて、記録媒体を情報表示面の周辺部で交換自在に保持し、その記録媒体を所定の位置に固定する媒体保持部を備えることにより、記録媒体を所定の位置に固定することができ、座標指示領域と記録媒体との位置関係を一定にすることができるので、座標検出精度を高めることができる。
【0069】
請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれか一記載の筆記情報入力システムにおいて、記録媒体の情報表示面上に筆記装置によって筆記した軌跡の位置座標をこの記録媒体の情報表示面上に表示されている各種情報を格納している情報格納装置における情報格納個所を特定する識別情報に関連付けて検出するとともに、その位置座標を識別情報に基づいて情報格納装置に対して出力し、情報格納装置に格納されている各種情報を更新することにより、記録媒体にどのような情報を筆記したかだけではなくどの文書に何を加筆したかを電子的データとして再現することができるので、原文書を更新することができる。
【0070】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の筆記情報入力システムにおいて、記録媒体を情報表示面の周辺部で交換自在に保持し、その記録媒体を所定の位置に固定する媒体保持部を備え、識別情報読取手段は、媒体保持部によって記録媒体を保持した状態でその記録媒体に表示された識別情報に対向して設けられることにより、媒体保持部によって記録媒体を保持して所定の位置に固定するだけで、記録媒体に表示された識別情報を読み取ることができるので、システムの使い勝手を向上させることができる。
【0071】
請求項7記載の発明によれば、請求項1ないし6のいずれか一記載の筆記情報入力システムにおいて、記録媒体には、その記録媒体と少なくとも1つの投光手段との位置関係を特定する基準位置情報を表示することにより、原文書に対する筆記入力精度を向上させることができるので、加筆精度に関してより信頼性の高いシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態の筆記情報入力システムを構成する座標検出装置を示し、(a)は座標検出装置の構成を概略的に示す平面図、(b)は座標検出装置の一部を示す右側面図である。
【図2】左側受発光装置を概略的に示す平面図である。
【図3】筆記用紙を示す斜視図である。
【図4】(a)は保持用クリップが開放状態にある左側検出部を示す平面図、(b)はその正面図、(c)は保持用クリップが閉止状態にある左側検出部を示す平面図、(d)はその正面図である。
【図5】(a)は筆記用紙を座標検出装置にセットする状態を示す平面図、(b)は筆記用紙を座標検出装置にセットした状態を示す平面図である。
【図6】筆記情報入力システムの各部の電気的接続を示すブロック図である。
【図7】筆記装置を概略的に示す側面図である。
【図8】(a)は筆記装置による加筆状態を示す平面図、(b)はその右側面図である。
【図9】座標検出記憶処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図10】(a)は小サイズの紙を筆記用紙として使用した場合の座標指示領域を示す説明図、(b)は大サイズの紙を筆記用紙として使用した場合の座標指示領域を示す説明図である。
【図11】受光素子における受光信号とパルス信号の関係を例示的に示すタイムチャートである。
【図12】左側受発光装置における1走査中の受光光量と時間との関係の一例を示すグラフである。
【図13】本発明の第二の実施の形態の筆記情報入力システムの各部の電気的接続を示すブロック図である。
【図14】筆記情報入力システムの距離検出部の変形例を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
3 座標指示領域
5 識別情報読取手段
6 光源
10 受光手段
11 媒体保持部
18a 相関情報記憶手段
22 筆記装置
24 ペン先
25 再帰性反射部材
30,40 距離検出手段
C 識別情報
HDD 情報格納手段
M 基準位置情報
P 記録媒体
P1 情報表示面
P2 周辺部
PC 情報格納装置
Claims (7)
- 再帰性反射部材を設けた筆記装置と、
この筆記装置による筆記を受け付ける情報表示面を有する記録媒体と、
この記録媒体に接離自在に各々配置され、光束を出射する光源を有し、該光束を投光して前記筆記装置の筆記を受け付ける座標指示領域を形成する少なくとも2以上の投光手段と、
前記投光手段毎に設けられ、受光した光束を電気信号に変換して受光信号として出力する少なくとも2以上の受光手段と、
少なくとも2つの前記投光手段間の距離を取得する距離入力手段と、
この距離入力手段により取得された前記投光手段間の距離に基づいて前記光源から出射される光束の光出力値を変化させ、前記座標指示領域と前記記録媒体の前記情報表示面とを略一致させる光出力値可変手段と、
前記座標指示領域を介して前記記録媒体に前記筆記装置で筆記した場合、前記受光手段から出力される受光信号に基づいてその筆記装置の位置座標を検出する座標検出手段と、を備える筆記情報入力システム。 - 前記光出力値可変手段は、前記投光手段間の距離と前記光源から出射される光束の光出力値との相関情報を予め記憶した相関情報記憶手段を有し、前記距離入力手段により取得された前記投光手段間の距離に基づいてその相関情報記憶手段を検索して所望の前記光出力値を取得する請求項1記載の筆記情報入力システム。
- 前記距離入力手段は、前記投光手段間の距離を検出する距離検出手段を備える請求項1または2記載の筆記情報入力システム。
- 前記記録媒体を前記情報表示面の周辺部で交換自在に保持し、その記録媒体を所定の位置に固定する媒体保持部を備える請求項1ないし3のいずれか一記載の筆記情報入力システム。
- 各種情報を情報格納個所を特定して格納する情報格納手段と、この情報格納手段に格納されている前記各種情報の前記情報格納個所を特定する識別情報を含む情報の入力を受け付ける情報入力手段と、この情報入力手段により入力された前記識別情報を含む情報をその識別情報に基づいて前記各種情報を更新する更新手段と、を有する情報格納装置を備え、
前記識別情報を前記記録媒体の周辺部に表示し、
前記記録媒体に表示された前記識別情報を読み取る識別情報読取手段と、
この識別情報読取手段により読み取られた前記識別情報と前記座標検出手段により検出された前記位置座標とを関連付ける情報関連付け手段と、
この情報関連付け手段によって関連付けられた情報を前記識別情報に基づいて前記情報格納装置に対して出力する情報出力手段と、
を備える請求項1ないし3のいずれか一記載の筆記情報入力システム。 - 前記記録媒体を前記情報表示面の周辺部で交換自在に保持し、その記録媒体を所定の位置に固定する媒体保持部を備え、
前記識別情報読取手段は、前記媒体保持部によって前記記録媒体を保持した状態でその記録媒体に表示された前記識別情報に対向して設けられる請求項5記載の筆記情報入力システム。 - 前記記録媒体には、その記録媒体と少なくとも1つの前記投光手段との位置関係を特定する基準位置情報を表示する請求項1ないし6のいずれか一記載の筆記情報入力システム。
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