JP3979955B2 - ボトムドロス除去装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、連続溶融めっきラインに設置されているめっきポットに堆積したボトムドロスを熱間で機械的に切削し除去する装置に関する。
【0002】
【従来技術及び問題点】
連続溶融めっきラインでは、溶融めっき金属を収容しているめっきポットに還元焼鈍された被めっき鋼帯を連続的に送り込み、シンクロールを周回させてめっきポットから引き上げ、付着した過剰量の溶融めっき金属をガスワイピング等で除去することにより目付け量が調整された溶融めっき鋼帯を製造している。めっきポットから引き上げられる溶融めっき金属にドロスが随伴すると、ドロス起因の欠陥がめっき層に持ち込まれる。なかでも、耐食性の向上を狙ってAl,Mg等を多量に添加した亜鉛めっき浴では金属間化合物の生成が多く、結果として多量のドロスが発生しやすい。多量のドロスがめっきポットに堆積すると、被めっき鋼帯の走行不安定化やシンクロールのトラブル等の原因になる。
【0003】
そこで、めっきポットから溶融めっき金属を汲み出し、堆積しているボトムドロスを除去する作業を定期的に繰り返す手作業でめっきポットを保守管理している。ボトムドロスを機械的に除去する作業も一部で採用されている(特開平8−61867号公報,特開平8−92710号公報)。しかし、ボトムドロスの種類によっては凝集力が強く、切削除去が容易でない。また、溶融めっき金属の少なくとも大半をめっきポットから汲み出した後でボトムドロスを切削除去しているので、めっきポットの温度降下が避けられず、作業性も悪い。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、溶融めっき金属をめっきポットに収容したままでボトムドロスを切削除去でき、連続めっきラインの再度の立上げまでの所要時間を短縮することを目的とする。
本発明のボトムドロス除去装置は、めっきポットの相対向する縁に沿って配置されるY方向レールにX方向レールを移動可能に載置した移動架台と、X方向レールに搭載された走行可能なキャリアと、該キャリアに昇降可能に設けられたシャフトの下端に固着された回転刃物と、該回転刃物に臨ませている、該シャフトに連動して昇降する不活性ガス吹付けノズルとを備えている
【0005】
【実施の形態】
本発明に従ったボトムドロス除去装置は、めっきポット1に架設した走行可能なキャリア10を備え、キャリア10に切削工具20を昇降可能に設けている(図1)。
連続溶融めっきラインが稼動している状態では、周回するシンクロール(図示せず)がめっきポット1に浸漬されており、還元焼鈍された被めっき鋼帯(図示せず)がめっきポット1内の溶融めっき金属2に連続的に送り込まれ、シンクロールを周回して溶融めっき金属2から引き上げられる。めっき作業が継続すると、溶融めっき金属2の合金成分相互の反応,大気との反応や溶融めっき金属2と被めっき鋼帯との反応によってドロスが発生し、重いドロスがボトムドロス3となってめっきポット1の底部に沈降堆積する。
【0006】
ボトムドロス3の堆積量が設定値になると、連続溶融めっきラインを止め、シンクロールをめっきポット1から引き上げ、めっきポット1にボトムドロス除去装置を載せる。めっきポット1に検尺棒を挿し込んで測定したボトムドロス3の堆積量を指標とすることもできるが、ラインの操業実績から推定される堆積量を指標として、連続溶融めっきラインを停止させ、ボトムドロス除去装置をめっきポット1に搭載しても良い。
【0007】
ボトムドロス除去装置は、めっきポット1の相対向する縁部に配置されるY方向レール11(図2)の両端をビームで連結して移動架台を構成し、Y方向レール11に沿って走行可能なX方向レール12をY方向レール11に搭載している。キャリア10は、X方向レール12上を転動する車輪13を備え、動力が伝達されるプーリ14或いは動力伝達歯車を備えたX方向シャフト15を一側に伸ばしている。キャリア10は、Y方向シャフト16の前後進によってX方向レール12と共にY方向レール11に沿って走行し、プーリ14に伝達された動力でX方向レール12に沿って走行するが、常用のX−Yテーブルを使用可能なため動力伝達機構の詳細は説明を省略する。
【0008】
キャリア10に搭載された切削工具20は、下端に回転刃物21を固着したシャフト22を下方に伸ばし、回転刃物21で切削されたボトムドロス3を押し流す不活性ガス吹付けノズル26を回転刃物21に臨ませている。回転刃物21には、ボトムドロス3よりも格段に硬い超硬合金製の刃物が使用される。ノズル26は、シャフト22に同期して昇降するように設けられている。
シャフト22は、ハンドル23を一端に備えたシャフト25との間にベルト,チェーン等の動力伝達機構(図示せず)を掛け渡しており、手動又はモータ動力でハンドル23を回転させることによってZ方向に昇降可能になっている。シャフト22は上端が刃物回転用モータ24の出力軸に接続され、モータ24からの動力で回転刃物21が回転する。
【0009】
めっきポット1に堆積しているボトムドロス3の除去に際しては、めっきポット1からシンクロールを引き上げ、溶融めっき金属2を基本的には汲み出すことなく(湯面4を一定高さにたもったまま)めっきポット1の両縁にY方向レール11を位置決めしてボトムドロス除去装置をめっきポット1の上に載置する。このとき、シャフト22を上昇させて回転刃物21を上端位置に移動させておく。
【0010】
次いで、Y方向レール11,X方向レール12に沿った走行でキャリア10を所定位置に設定し、回転刃物21を回転させながらシャフト22を下降させる。回転刃物21がボトムドロス3に接触すると、シャフト22を下降させるハンドル23の負荷が大きくなるので、負荷の検出に応じて回転刃物21の回転速度を上げる。また、ノズル26から回転刃物21に向けて不活性ガスを吹き付ける。その結果、めっきポット1に堆積しているボトムドロス3が回転刃物21で切削され、不活性ガスでめっきポット1の底部から押し流され、めっきポット1に取り付けられている樋(図示せず)を経て系外に排出される。
【0011】
ボトムドロス3が切削除去されるとハンドル23に加わる負荷が減少するので、負荷の減少をまってシャフト22を下降させ、ボトムドロス3を掘り下げる。シャフト22の下降量が設定値に達した段階で、当該位置にあるボトムドロス3が切削除去されたものと判定し、シャフト22を上昇させ、キャリア10をX方向に移動し、同じ操作手順で近傍のボトムドロス3を切削除去する。或いは、回転刃物21を一定の深さ位置に保ったままでキャリア10をX方向に移動させながら、ボトムドロス3の切削除去を連続させることもできる。
【0012】
X方向に沿ってボトムドロス3を切削除去する一工程が終わった段階で、キャリア10をX方向レール12と共にY方向に沿って移動させる。そして、Y方向に異なる位置でキャリア10をX方向に移動させながらボトムドロス3の切削除去を繰り返す。
このようにキャリア10をX方向,Y方向に移動させながらボトムドロス3が回転刃物21で切削除去され、めっきポット1から排出される。しかも、溶融めっき金属2を汲み出す必要がないため、温度降下が小さく連続溶融めっきラインの再立上げに要する時間が短縮される。
【0013】
【発明の効果】
以上に説明したように、昇降可能なシャフト22の下端に固着した回転刃物21でボトムドロス3を切削除去する方式では、溶融めっき金属2を汲み出す必要なくボトムドロス3を切削除去できる。そのため、全量の溶融めっき金属2を汲み出した後でボトムドロス3を冷間で除去する従来方式は勿論、一部の溶融めっき金属2を残したままでボトムドロス3を除去する方式に比較して、めっきポット1の温度降下が大幅に小さくなる。その結果、ボトムドロス3を除去した後のめっきポット1に新規の溶融めっき金属2を注入して必要なめっき温度まで昇温する時間が短縮され、連続溶融めっきラインの迅速な再立上げが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 めっきポットにボトムドロス除去装置を配置した側面図
【図2】 同ボトムドロス除去装置の平面図
【符号の説明】
1:めっきポット 2:溶融めっき金属 3:ボトムドロス 4:湯面
10:キャリア 11:Y方向レール 12:X方向レール 13:車輪
14:プーリ 16:Y方向シャフト
20:切削工具 21:回転刃物 22:シャフト 23:ハンドル
24:刃物回転用モータ 26:不活性ガス吹付けノズル

Claims (1)

  1. めっきポットの相対向する縁に沿って配置されるY方向レールにX方向レールを移動可能に載置した移動架台と、X方向レールに搭載された走行可能なキャリアと、該キャリアに昇降可能に設けられたシャフトの下端に固着された回転刃物と、該回転刃物に臨ませている、該シャフトに連動して昇降する不活性ガス吹付けノズルとを備え、キャリアをX方向,Y方向に移動させ、溶融めっき金属を汲み出すことなく、めっきポットに堆積しているボトムドロスを回転刃物で切削除去することを特徴とするボトムドロス除去装置。
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