JP3978576B2 - 低粘度フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法 - Google Patents

低粘度フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂中にフェノール類を一定割合以上含有する低粘度フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は各種天然および合成樹脂に対する相溶性が優れているので各種天然および合成樹脂に混合して用い主樹脂の粘接着性、耐湿性、電気特性の改質などに利用されているが、更にその改質効果を上げる為にフェノール類で変性して低粘度芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂として用いる事が出来る。
【0003】
従来は芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂とフェノール類をP-トルエンスルホン酸等の強酸触媒の存在下で反応させてフェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を製造していた。芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂とフェノール類を反応させるためには酸触媒を用いなければならないが、P-トルエンスルホン酸のような強酸を芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂とフェノールの反応に用いると、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂をフェノールよりある一定割合以上用いるとゲル化を起すのでフェノール過剰系で反応を行なわなければならなかった。フェノール大過剰系で芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を反応させると低粘度芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を得る事が出来るが樹脂中にフリ−フェノールが大量に残存し好ましくない。更にホルムアルデヒドを後添加して反応させる事によりフリーフェノールを低減させる事が出来るがその様にすると樹脂粘度が上昇し好ましくない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のフェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造に関する問題点を改良した低粘度フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を提供する事を目的とする。
【0005】
【課題を解決する為の手段】
本発明者は、鋭意検討した結果、弱酸性触媒としてP-トルエンスルホン酸のアミン塩、しゅう酸、マレイン酸などの弱酸を用いて芳香族炭化水素とホルムアルデヒド樹脂を少量のフェノール類で変性する事により、フリーフェノール類の少ない低粘度フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂が得られる事を見出し本発明を完成した。
【0006】
すなわち本発明は、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂をP-トルエンスルホン酸のアミン塩、しゅう酸、マレイン酸のような弱酸触媒によってフェノール類と反応させ低粘度フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を得る方法であって、該樹脂の粘度は500〜10,000(mPa・s/25℃)である。
【0007】
本発明で使用する芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂としては三菱ガス化学株式会社製品である粘度50〜5,000(mPa・s/25℃)の比較的低粘度のキシレンホルムアルデヒド樹脂、ニカノールY1000、ニカノールY100,ニカノールY50およびメシチレンホルムアルデヒド樹脂ニカノールY5001,ニカノールY1001,ニカノールY101,ニカノールY51をあげる事が出来る。
【0008】
このような比較的低粘度のキシレンホルムアルデヒド樹脂は特開平10−168147に記載される様に、キシレンとホルムアルデヒドとを硫酸等の強酸触媒中で反応する系にメタノールなどのアルコール類を添加する事で合成出来る。
【0009】
本発明で使用するフェノール類としてはフェノール、クレゾール、キシレノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、カルダノール、テルペンフェノール等のフェノール類を例示する事ができる。
【0010】
弱酸性触媒としては硫酸、塩酸、燐酸あるいはP-トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸等の有機スルホン酸のような強酸をアミンのような弱塩基で中和してえられる塩を用いる事が出来る。強酸としてはP-トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸等の有機スルホン酸が適しており、アミンとしては1級、2級、3級アミンが例示されるがトリエチルアミン、ピリジンが適している。
【0011】
その他の弱酸性触媒としてギ酸、しゅう酸、マレイン酸、クエン酸等の有機カルボン酸を用いる事も出来る。
【0012】
フェノール類と芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の変性割合は重量比で50:50〜5:95が好ましく、更に好ましくは40:60〜10:90である。50:50よりフェノール類の割合を多くすると未反応のフェノール類が低粘度フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂中に残り好ましくない。5:95よりフェノール類の変性割合を少なくするとフェノールで変性する事の効果が少なくなり好ましくない.。
【0013】
触媒の添加量は強酸のアミン塩を用いる場合はフェノール類と芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の仕込み総重量100(部)に対して0.0001〜0.1(部)が好ましく、更に好ましくは0.001〜0.01(部)が好ましい。触媒量が0.0001(部)より少ない場合は反応の速度が遅くなり好ましくない、触媒量が0.1(部)より多い時は反応の速度が速くなり反応の制御が難しく好ましくない。有機カルボン酸を触媒に用いる場合はフェノール類と芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の仕込み総重量100(部)に対して0.1〜5(部)が好ましく、更に好ましくは1〜3(部)が好ましい。触媒量が0.1(部)より少ない場合は反応の速度が遅くなり好ましくない、触媒量が5(部)より多い時は反応の速度が速くなり反応の制御が難しく好ましくない。
【0014】
反応温度、時間は用いるフェノールの種類、触媒の種類、量によって異なるが反応温度は120℃〜160℃程度であり反応時間は2時間〜8時間程度である。
【0015】
本発明によって得られた低粘度フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の粘度は500〜10,000(mPa・s/25℃)である。粘度は使用する芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の種類、フェノール類の種類、触媒の種類添加量、反応温度、時間によって適宜500〜10,000(mPa・s/25℃)に制御する事が出来る。粘度が500(mPa・s/25℃)より低い場合には加熱減量が多くなり、10,000(mPa・s/25℃)を超えると種々の樹脂等に配合して使用する際の稀釈効果が少なくなり好ましくない。特に塗料用添加剤として使用する場合表面の平滑性が劣り好ましくない。
【0016】
このようにして得られた低粘度フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂はフェノール性水酸基を樹脂中に持つためエポキシ樹脂や各種硬化剤、ウレタン樹脂に対する相溶性に優れ、エポキシ樹脂系重防食塗料の添加材としてまたカチオン電着塗料の添加材として使用する事が出来、優れた防食性や表面の平滑性を示す。
【0017】
【実施例】
以下に本発明を詳細に説明するために実施例、比較例を示す。なお実施例、比較例において〔%〕、〔部〕は特別に記述しない限りそれぞれ〔重量%〕、〔重量部〕を示す。
【0018】
実施例1
温度計、リービッヒコンデンサー、攪拌機、窒素導入管を備えた2リットルセパラブルフラスコにニカノールY−100〔三菱ガス化学(株)商品名〕を800gフェノール200gとP-トルエンスルホン酸のピリジン塩0.1gを1gのメタノールに溶解して添加し窒素気流下135℃で5時間反応してフリーフェノール3.2%粘度6,800(mPa・s/25℃)加熱減量14.1%水酸基当量440(g/eq)の低粘度フェノール変性キシレンホルムアルデヒド樹脂936gを得た。
【0019】
実施例2〜実施例8及び参考例1
実施例1に記すと同様の方法で、低粘度キシレンホルムアルデヒド樹脂としてニカノールY−50、Y−100、Y−1000を用いフェノール類としてフェノール、o-クレゾール、ノニルフェノールを触媒としてP-トルエンスルホン酸のピリジン塩やしゅう酸を用い合成した結果を表―1、表―2に示す。
【0020】
比較例1〜3
実施例1に記すと同様の方法で、低粘度キシレンホルムアルデヒド樹脂としてY−100をフェノール類としてo-クレゾールを触媒としてP-トルエンスルホン酸のピリジン塩を用いてo-クレゾールの仕込み割合を明細書の説明より多くした場合を比較例1、o-クレゾールの仕込み割合を明細書の説明より少なくした場合を比較例2、また触媒としてP-トルエンスルホン酸を用いた例を比較例3とし結果を表−3に示す。
【0021】
【表1】
Figure 0003978576
【0022】
【表2】
Figure 0003978576
【0023】
【表3】
Figure 0003978576
【0024】
【発明の効果】
本発明で得られる低粘度フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は樹脂中にフェノール性水酸基を有し粘度が低くエポキシ樹脂やその硬化剤やウレタン樹脂との相溶性に優れエポキシ樹脂系重防食塗料あるいはカチオン電着塗料の添加剤として優れた防食性や表面の平滑性を示す。

Claims (7)

  1. 芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂およびフェノール類を、重量比50:50〜95:5の変性割合で、硫酸、塩酸、燐酸、 P- トルエンスルホン酸およびキシレンスルホン酸からなる群から選ばれる1種以上をトリエチルアミンまたはピリジンで中和してえられる塩からなる群から選ばれる1種以上である弱酸性触媒存在下で縮合反応させて得られる粘度500〜10,000 (mPa s/25 ) 低粘度フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法
  2. 芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂がキシレンホルムアルデヒド樹脂またはメシチレンホルムアルデヒド樹脂の1種以上である請求項1に記載の低粘度フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法
  3. フェノール類がフェノール、クレゾール、キシレノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、カルダノール、テルペンフェノールの1種以上である請求項1に記載の低粘度フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法
  4. 弱酸性触媒がP- トルエンスルホン酸をトリエチルアミンまたはピリジンで中和してえられる塩である請求項1に記載の低粘度フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法
  5. 弱酸性触媒が P- トルエンスルホン酸をピリジンで中和してえられる塩である請求項1に記載の低粘度フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法
  6. 芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂が、粘度50〜5,000 (mPa s/25 ) のキシレンホルムアルデヒド樹脂またはメシチレンホルムアルデヒド樹脂である請求項1に記載の低粘度フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法。
  7. 120℃〜160℃の温度で2時間〜8時間、縮合反応をさせて得られる請求項1に記載の低粘度フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法。
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