JP3978162B2 - スクリュー圧縮機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は低圧・大風量を供給するのに好適なスクリュー圧縮機に関し、特に、車載用燃料電池に使用される空気圧縮機として好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、燃料電池は水素と酸素を結合する化学反応を利用して電力を生み出すエネルギ変換器の一種であり、排気されるガスは水蒸気のみなので、環境対応の面や、水素エネルギーが石油等の化石燃料に変わる次世代のエネルギーと期待されることから近年、急速に燃料電池自動車の開発が進められている。
【0003】
燃料電池用の水素は高圧タンクに充填し、車に搭載するか、メタノール等から改質器で取り出す方法がある。一方、酸素は通常は大気に含まれているものを利用し、空気を圧縮して燃料電池内に取り込み、含有する酸素を反応させている。
【0004】
従って、燃料電池の出力向上あるいは小型化のためには、単位大きさ当たりの出力増加が必要である。そのためには、水素と酸素が結合する反応を活発に促進する必要があり、多くは酸素の供給量を高めるために供給する空気を大気圧以上に昇圧している。しかし、供給圧力が高すぎても、未反応の酸素を含む空気は圧力を持ったまま燃料電池から排出されるため、エネルギーロスが増大する。そこで、エネルギー効率を考慮して空気の供給圧力は現在0.15から0.2MPaの低圧としている。
【0005】
また、車載用に用いられる燃料電池に空気を供給する圧縮機は特に小型、軽量で高性能且つ低騒音が望まれる。低圧用スクリューロータの歯形については、従来吐出圧0.7MPaの2段構成の定置式オイルフリースクリュー圧縮機の高圧段機又は低圧段機を流用しており、吐出圧が0.15〜0.2MPaの低圧専用の特別のロータは使用されていなかった。
【0006】
軸受の潤滑方法については特許文献1に記載のスクリュー式車載用過給機のものがある。この過給機は雄、雌両ロータの吸入側と吐出側の軸受をエンジンの潤滑油を利用し、外部からの強制潤滑としている。
なお、騒音に対する防音構造については配慮が為されていない。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−317172号公報
【発明が解決しようとする課題】
車載用燃料電池向けの圧縮機に対しては小型、軽量で且つ高性能、低騒音が望まれる。そこで、小型、高性能とするためにはロータの歯形を小さくして低圧(0.15〜0.2MPa)に適した歯形とする必要がある。また、燃料電池車はモータで駆動されるため、エンジン(内燃機関)では必須であった潤滑系がなくなり、このため圧縮機の軸受を強制潤滑するためには、圧縮機自体に、給油及び排油を行うための油圧ポンプによる潤滑系を設ける必要があった。このため、圧縮機が大きく且つ複雑になる欠点があった。更に、燃料電池自動車はモータで駆動されるため、エンジン自動車に比べて騒音が低く、このため圧縮機の騒音が目立つようになるから、圧縮機の低騒音化が望まれる。
【0008】
本発明の目的は、高効率で、軸受部への強制給油も必要がなく、それによって小形化できるスクリュー圧縮機を得ることにある。
本発明の他の目的は、吐出側軸受や吸入側軸受を効果的に冷却することにより、これらの軸受の信頼性を向上できるスクリュー圧縮機を得ることにある。
本発明の更に他の目的は、低騒音化を図ることのできるスクリュー圧縮機を得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため本発明は、タイミングギヤで互いに非接触で噛合い回転する雄・雌一対のロータと、これらのロータを収納すると共に吸入通路と吐出通路を有するケーシングと、前記各ロータの吸入側及び吐出側を支持する軸受と、前記ケーシングに設けられ前記吸入側軸受を収容する吸入側軸受ハウジングと、前記ケーシングに設けられ前記吐出側軸受を収容する吐出側軸受ハウジングとを備えたスクリュー圧縮機において、前記ケーシング内面と前記吸入側軸受ハウジング外面との間に設けられ前記吸入通路の一部を形成する吸入流路と、吸入側軸受ハウジングと吐出側軸受ハウジングのそれぞれの軸貫通部に設けられたシール機構と、前記吸入側と吐出側の軸受の潤滑に用いられ、高温での調度軟化が小さく且つ低温でのトルクの小さいグリースとを有すると共に、前記雄ロータ径を1としたとき、前記雌ロータの歯厚が最小限得られて前記各ロータの溝を深くするために前記雌ロータ径を0.886以上、前記雄ロータと雌ロータとの軸間距離を0.686以下、前記雄ロータの長さを1.06以下にして、前記各ロータの噛み合い部に生じる漏洩隙間を形成するシールラインの長さを小さくするために前記雌ロータの前進面歯先円弧半径を0 . 044以上、前記雄ロータの歯先放物線焦点距離を0.080以下、前記雄ロータの歯先円弧半径を0.01以下とし、前記雌ロータの後進面歯先円弧半径を0.017以下としたことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
本実施例は、ロータの歯形を小型で低吐出圧においても高効率が得られる歯形とし、ロータの軸受を吸入、吐出両側ともグリース潤滑として強制給油を不要にして小型化を図ると共に、圧縮機の低騒音化も図ろうとするものである。
【0020】
まず、小型で高性能なロータ歯形とするため、理論吸い込み容積を大きくし、漏洩を小さくする。理論吸い込み容積を大きくするためには歯数を少なくすると共にロータ溝を深くし、ロータの溝間の漏れを生ずるブローホール面積をできるだけ小さくする。また、圧縮室側から吸入室側への漏洩通路を形成するシールライン長をできるだけ小さくできる歯形とし、且つ圧縮開始時のロータ溝が閉じ遅れを生じないロータの巻き角とする。
【0021】
強制潤滑手段を廃止するため、軸受の潤滑をすべてグリース潤滑とし、軸受を冷却する手段を設ける。さらに、低騒音化を図るために、ケーシングの外周に騒音を遮断することが可能な防音構造のカバーを、ケーシングの振動が伝達しないように設ける、等の工夫をした。
【0022】
以下、本発明の具体的実施例を図1〜図13を用いて説明する。
図1に本発明の第1実施例を示す。低圧で高効率な雄ロータ1と雌ロータ2が共に噛み合った状態でケーシング3の中に収納されている。各ロータの吐出側軸部は吐出側軸受ハウジング59内の吐出側軸受4により回転自在に支持されており、各吸入側軸部は吸入ポートを形成するSケーシング9の吸入側軸受ハウジング16内の吸入側軸受5により回転自在に支持されている。吐出側軸受4は組み合わせアンギュラ軸受を採用しており、ハウジングの圧縮室側には円管状の仕切板14を介して接触式シール(オイルシール)6を配置しており、更に圧縮室側にはパージ穴15を設け、そのまた先のロータ側には非接触式シール(カーボンシール)7を設けている。
【0023】
吐出側軸部の軸端側には同様に接触式シール(オイルシール)6を設け、その先の端部には各々タイミングギヤ12を設けており、雄、雌両ロータはタイミングギヤ12により非接触で回転可能に構成されている。
【0024】
両ロータの吸入側軸部は吐出側軸部と同様に、吸入側軸受5と圧縮室を形成するロータとの間に円管状の仕切板14を介して、接触式シール(オイルシール)6が設けられている。なお、両ロータの吸入側軸部端は軸受カバー8で塞がれており、両側の軸受とも軸受ハウジング内に封入したグリースで潤滑を行う。ここで、吐出側軸受4は両側を接触式シール6で密閉されているので、グリースが漏れることなく軸受を潤滑できる。また、吸入側軸受5も、一方は接触シール6で密閉されており、他方は軸受カバー8により塞がれているのでグリースが漏れることはない。
【0025】
なお、燃料電池用空気圧縮機は雄ロータの最大回転数が16000rpmにもなり、グリース及び軸受の温度上昇が厳しいため、グリースは特に高温で調度の低下が少なく且つ低温での損失トルクが小さい高速・高温用に適したグリースを用いる。吸入側軸受ハウジング16は、図13に示すように、Sケーシング9の内側と軸受ハウジング16との間に形成された軸方向吸入流路53から吸入する空気で冷却される。吸入流路53からの吸入空気はロータ溝内に充填(吸入)される。吸入側軸受ハウジング16は吸入流路53の中に補強用のリブ54を雄、雌ロータ側に各々設けており、そのリブ54の取り付け方向は、ロータ軸の中心線から45度上方としており、圧縮によるガス圧がロータに作用する方向に合わせてある。Sケーシング9のロータ下部の圧縮室側(内側端面)は、圧縮開始時のロータ溝の吸入側端面をシールするための端面を形成している。
【0026】
図1に戻り、吸入ポートを形成するSケーシング9には、吸入フィルタや消音器(図示せず)と接続される吸入管10が接続されている。また、ロータの吐出側軸端に設けたタイミングギヤ12はタイミングギヤカバ11で密閉されており、タイミングギヤカバ11内の下部に充填されているオイルをタイミングギヤ12ではねかけ、潤滑が行われる。また、雌ロータの吐出側軸端部はタイミングギヤカバ11を貫通し、モータと接続するためのカップリング13が設けられている。なお、タイミングギヤカバ11の軸貫通部にも接触式シール(オイルシール)6を設け、充填されているオイルが漏れることがないようにしている。
【0027】
図2は図1に示す圧縮機と同様の圧縮機と高速モータとを一体型に直結した実施例を示す。図2に示すように、雌ロータ2の吐出側軸を長くしてモータロータ19を嵌合し、モータのステータ20を固定したモータケーシング60をモータアダプタ17を介して圧縮機のケーシングに取り付けて一体化している。本実施例では雌ロータ駆動としているが、その理由を以下述べる。本実施例では低吐出圧用の歯形として雄ロータの歯数を3枚、雌ロータの歯数を5枚としており、雄ロータの回転数は16000min−1(16000rpm)に達するようにする必要がある。雄ロータの回転数が最大で16000min−1の場合、雌ロータの回転数は最大で9600min−1となるから、本実施例では雌ロータを駆動することにより最大回転数10000min−1程度のモータによる直結駆動を可能とし、より安価なモータで構成することができるようにしている。
64はモータを冷却するためにモータケーシング60に形成された水冷ジャケットである。なお、水冷ジャケット64による水冷式を採用する代わりに空冷式のモータを使用することも可能である。
【0028】
図8により、低吐出圧に適したロータの歯形について説明する。低吐出圧用のロータでは圧縮過程にあるロータ溝間の圧力比が小さいため、歯数を少なくしても圧力差によるロータ溝間の漏れが増加することがなく、歯数を少なくすることが可能である。歯数を少なくすれば、ロータ周方向に対する歯溝の幅を大きく取れ、溝を深くすることも可能になり、ロータ断面積に対する空気を吸入する溝面積の比を示す歯形係数を大きく取れる利点がある。即ち、歯形係数を大きくとれることにより、歯形によって形成されるロータの歯溝容積も大きく取れるため、圧縮中のロータ溝から吸入空間への漏洩隙間を形成するシールラインからの漏れを一定とすると、吸入した空気量に対する漏れ量の割合を減少でき、この結果性能向上を図ることができる。
【0029】
本実施例では、図8に示すように、歯数は雄を3枚、雌を5枚とし、溝を深くするためにロータ間距離50に対する雄ロータ径48の割合をできるだけ大きくした。但し、雌ロータ径49に対して雌ロータの歯厚が必要最小限得られる寸法を雄ロータの最大値としている。また、ロータの噛み合い部に生じる漏洩隙間を形成するシールラインの長さを最小とするため、雌ロータ前進面歯先の円弧の半径(前進面歯先円弧半径)56はできるだけ大きくし、雄ロータ歯先の放物線の焦点距離57は小さくし、雄ロータ歯先の放物線につながる円弧の半径58も小さくした。更に、ケーシング3と雄ロータの歯面と雌ロータの歯面とで形成されるロータ溝間の漏れを生じるブローホール面積を決定する雌ロータ後進面歯先の円弧の半径(後進面歯先円弧半径)55もできるだけ小さくした。なお、雄、雌ロータの他の部分の歯形は、上記円弧及び放物線により互いに創生される形状とする。上記に基づき、溝容積をできるだけ大きくし、漏洩隙間を形成するシールライン長さをできるだけ小さくし、ブローホール面積もできるだけ小さくすることのできる歯形の具体的形状を以下に寸法比で示す。即ち、雄ロータの径を基準として、雌ロータ径を0.886以上、軸間距離を0.686以下、雌ロータ前進面歯先円弧半径を0.044以上、雌ロータ後進面歯先円弧半径を0.017以下、雄ロータ歯先放物線焦点距離を0.080以下、雄ロータ歯先円弧半径を0.01以下とし、更に雄ロータの長さを雄ロータの径に対して比を1.06以下にすると良い。
【0030】
また、吸入側端面でロータが噛み合い圧縮を開始したときに、雄ロータの圧縮を開始した溝が、吐出側端面で隣の雌ロータ側の吸入中の溝とつながった状態である「閉じ込み遅れ」を生じない条件として雄ロータの巻角を200°以下とする。閉じ込み遅れについて、図11と図12を用いて説明する。図11は、吸入側から見た圧縮を開始するタイミング(時点)での雄ロータ溝51及び雌ロータ溝52の状態を示す。雄ロータは、図11において右回転、雌ロータは左回転で圧縮が進行する。なお、ロータ溝は吸入側から見て雄ロータは左回転方向、雌ロータは右回転方向にねじれている。そこで、吸入側から見た吐出端面部でのロータ溝の状態を図12に示す。図12は、圧縮を開始した雄ロータ溝の吐出側端面位置での状態を表わしており、図12の状態では圧縮開始の溝51はケーシングの内壁でシールされ、雌ロータ側の溝とのつながりはない状態に構成されている。
【0031】
もし、雄ロータの巻き角が大きいと、圧縮開始のロータ溝51は吐出側端面で隣の雌ロータの溝とつながってしまい、雄ロータが回転して、雌ロータ側の溝とのつながりがきれるまで圧縮できず、このため吸入空気量が低下することになる。そこで、本実施例では、図11の圧縮開始のタイミングにおいて、図12に示すように吐出側端面で雄ロータ溝が閉じるための条件として、雄ロータの巻き角を200°以下にしている。
【0032】
図3は、吐出側軸受4も吸入空気で冷却するようにした本発明の第2実施例を示すもので、本実施例では圧縮機ケーシング3の外側に支持部材25を介してダクト22を設けた構造としている。ダクト22の圧縮機吸入側端部は閉端部23としており、圧縮機の吐出側軸受ハウジング59付近にダクト吸入ポート29を設けている。なお、ダクト吸入ポートの先端部には吸入フランジ24を設けており、吸入フィルタや消音器と接続が可能に構成されている。また、圧縮機ケーシング3とダクト22の間には空間が形成されており、ダクト吸入ポート29から吸入した空気が吐出側軸受ハウジング59を冷却した後、更に吸入側軸受ハウジング16の周囲の吸入流路53を通って、吸入空気が圧縮機に吸入されるようにし、これにより吸入側軸受5も冷却可能な構成としている。更に、Sケーシング9の吸入側軸受ハウジング16の周囲には、図1に示す吸入管10の代わりに吸入空気が滑らかに吸入流路53に入るように吸入ガイド26が設けられている。
【0033】
次に、吸入空気による軸受の冷却効果を図9を用いて説明する。図9は、横軸に雄ロータ回転数をとり、縦軸には図1に示す吸入ポート構造における吸入側軸受5の外輪温度の上昇(吸入空気との温度差)を示す。この図から、雄ロータ回転数を高くすると、本来発熱量が増加して軸受外輪温度(空気との温度差)は増加するはずであるが、吸入空気速度も増加するため冷却効果が増大し、軸受外輪温度が低下する。従って、吐出側軸受4についてもハウジングの周囲を吸入空気で冷却すれば軸受を効果的に冷却可能である。
【0034】
図4は、吐出側軸受4を水冷構造にした本発明の第3実施例を示す。この実施例では、吐出側軸受4もグリース潤滑とし、軸受の冷却を水で行うため、圧縮機吐出側軸受ハウジング59の外周部に水ジャケット30を形成し、水ジャケット30の吸水口31から水を供給し、排水口32から水を排水する。なお、本実施例において、圧縮機を駆動するモータが、図2に示すように水冷の場合には、モータの水冷ジャケット64と軸受4の水ジャケット30に流す冷却水の吸水、排水系統を一緒にすることも可能である。
【0035】
図5は、吸入ダクトから水を噴霧し、吐出空気温度を下げて吐出側軸受4の温度上昇を抑えるようにした本発明の第4実施例で、燃料電池用空気圧縮機として好適なものである。本実施例では、吸入管10に水噴霧ノズル33を設け、吸入空気中に水を噴霧することにより、吸入され圧縮される空気が冷却されるようにしたもので、本実施例によれば吐出ポートから吐出される吐出空気温度を下げることができる。
【0036】
圧縮機吐出空気温度による吐出側軸受4の温度への影響を図10により説明する。図10は、横軸に圧縮機吐出空気温度(吐出温度)をとり、縦軸に吐出側軸受4の外輪温度(周囲空気温度との温度差)を示す。図10に示すように、吐出温度を下げると、軸受外輪温度も低下するのがわかる。
【0037】
図6は、圧縮機から吐出される吐出空気の吐出温度を一定にコントロールするため、図5に示す水噴射式スクリュー圧縮機を採用した車載用燃料電池システムを示す図である。圧縮機34で0.15〜0.2MPaに昇圧された吐出空気は、吐出空気配管61を通り、圧縮機吐出空気冷却用のクーラ39で設定温度まで冷却されたあと、燃料電池36のカソード極へ供給される。一方、水素は高圧水素タンク35から水素供給配管62によりアノード極へ供給される。燃料電池36では水素と酸素の反応により電気を発生し、発生した電気は車輪駆動用モータ38へ、インバータ37を介して供給され、車を駆動する。なお、モータの回転速度はインバータ37により制御される。また、燃料電池で発生した水蒸気は水蒸気冷却用のクーラ39´で冷却された後、水セパレータ43に送られ、そこで水分を分離し、排気空気は放出される。なお、水セパレータの下部に回収された水はポンプ45で昇圧され、電動弁41を介して吸入管10に設けた水噴霧ノズル33から吸入管10内へ噴霧されるように構成している。
【0038】
なお、圧縮機の吐出空気温度は吐出圧が0.2MPaの時、140〜190度に達する可能性がある。吐出空気温度が高すぎると、特に吐出側軸受4の温度が高くなる。現在、車両用として多く用いられている固体高分子型燃料電池は作動温度が80〜100℃なので、吐出空気温度を80〜100℃に下げる必要がある。図5、図6に示すように、水噴霧を行うことにより、吐出空気温度を80〜100℃に保つことができるから、燃料電池へ供給する圧縮空気を冷却するためのクーラ39を不要にすることもできる。しかし、吐出空気温度を下げすぎても燃料電池の反応が低下するため、水噴霧量を吐出空気温度に応じて適正値にコントロールする必要がある。
【0039】
図6において、圧縮機の吐出空気配管61には温度センサ40を設置しており、検出した吐出空気温度は制御装置44に取り込まれる。また、水配管63には電動弁41を設けており、温度センサ40の検出温度に応じて制御装置44から電動弁41を動作させて、水噴霧量をコントロールし、吐出空気温度を一定に保つように制御している。
【0040】
図7は本発明の第5実施例を示すもので、この実施例は、低騒音化のために、圧縮機ケーシング3の外部に防音カバ46を設けたものである。防音カバ46としては、吸音及び遮音性に優れた部材を使用する。なお、本実施例では、防音カバ46を、騒音を吸収する吸音材65と吸音材を固定するベース材66とで構成している。圧縮機の騒音の原因として、ロータ振動や吐出脈動による流体力でケーシング3が加振され、騒音が増幅する要因がある。そこで、ケーシング3から防音カバ46に振動が伝播しないように、防音カバ46は、弾性体の固定部材47を介して、ケーシング3のフランジ部27及びSケーシング9のフランジ部に固定されている。
【0041】
以上説明した本実施例によれば、吸入側と吐出側の軸受をグリース潤滑としているので、給油ポンプやオイルクーラ等の強制給油装置が不要となり、小型で低価格化を実現できる。また、グリースに高温での調度軟化が小さく、低音での損失トルクの少ないグリースを用いることにより、高速での軸受潤滑に対する信頼性を向上できる。さらに、吸入流路を、吸入側軸受ハウジング外周とケーシング内周の間に形成し、軸方向吸い込みとすることにより、吸入側軸受は吸入空気により冷却されるので、更に軸受の信頼性を向上できる。
【0042】
また、ロータの歯形をロータ径に対して溝の深い歯形とし、圧縮室からの漏洩を小さくし、更に圧縮開始時に、圧縮室を形成する溝の吐出端部での閉じ込み遅れがない巻き角とすることにより、小形化できると共に、低吐出圧に対して高効率が得られる効果がある。
【0043】
ケーシングの外部にダクトを設け、吸入空気で吐出側軸受ハウジングと吸入側軸受ハウジングの両方を冷却するようにすれば、更に軸受の信頼性を向上できる。また、ダクトに防音効果をもたせるようにすれば、吸入側及び吐出側軸受を吸入空気で冷却可能とする他に騒音低減効果も得られる。
【0044】
また、吐出側軸受のハウジング外部にジャケットを設け、水冷却を行うことで吐出側の軸受に対する信頼性を更に向上可能である。
更に、吸入管内に水を噴霧するようにすることにより、吐出空気温度を下げることができ、これにより吐出側軸受の温度上昇を低減でき、また燃料電池の動作温度に前記水噴射をコントロールすることにより、燃料電池に供給される圧縮空気を冷却するためのクーラを不要にできる効果がある。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、高効率で、軸受部への強制給油の必要もなく、小形化も可能なスクリュー圧縮機を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスクリュー圧縮機の第1実施例を示す縦断面図。
【図2】圧縮機とモータとを一体型に直結した例を示す本発明の実施例を示すスクリュー圧縮機の縦断面図。
【図3】本発明のスクリュー圧縮機の第2実施例を示す縦断面図。
【図4】本発明のスクリュー圧縮機の第3実施例を示す縦断面図。
【図5】本発明のスクリュー圧縮機の第4実施例を示す縦断面図。
【図6】図5に示す水噴射式スクリュー圧縮機を採用した車載用燃料電池システムを示す系統図。
【図7】本発明のスクリュー圧縮機の第5実施例を示す縦断面図。
【図8】本発明のスクリュー圧縮機に好適なロータ歯形の例を示すロータ部分の断面図。
【図9】雄ロータ回転数に対する吸入側軸受の外輪温度との関係を説明する線図。
【図10】圧縮機吐出温度に対する吐出側軸受の外輪温度との関係を説明する線図。
【図11】圧縮を開始するタイミング(時点)での雄ロータ溝及び雌ロータ溝の状態を吸入側から見た吸入側断面図。
【図12】圧縮を開始した雄ロータ溝の吐出側端面位置での状態を説明する吐出側断面図。
【図13】図1に示すスクリュー圧縮機における吸入流路の部分を示す側面図。
【符号の説明】
1…雄ロータ、2…雌ロータ、3…ケーシング、4…吐出側軸受、5…吸入側軸受、6…接触式シール、7…非接触式シール、8…軸受カバー、9…Sケーシング、10…吸入管、11…タイミングギヤカバ、12…タイミングギヤ、13…カップリング、14…仕切板、15…パージ穴、16…吸入側軸受ハウジング、17…モータアダプタ、18…モータ、22…ダクト、23…閉端部、24…吸入フランジ(吸入側開口部)、30…水ジャケット、33…水噴霧ノズル、34…圧縮機、35…水素タンク、36…燃料電池、37…インバータ、38…車輪駆動用モータ、39,39´…クーラ、40…温度センサ、41…電動弁、42…電動弁駆動ドライバ、43…水セパレータ、44…制御装置、46…防音カバ、48…雄ロータ径、49…雌ロータ径、50…軸間距離、51…雄ロータ溝、52…雌ロータ溝、53…吸入流路、54…リブ、55…雌ロータ後進面歯先円半径、56…雌ロータ前進面歯先円半径、57…雄ロータ歯先放物線焦点距離、58…雄ロータ歯先円半径、59…吐出側軸受ハウジング、63…水供給配管、65…吸音材、66…ベース材。

Claims (12)

  1. タイミングギヤで互いに非接触で噛合い回転する雄・雌一対のロータと、これらのロータを収納すると共に吸入通路と吐出通路を有するケーシングと、前記各ロータの吸入側及び吐出側を支持する軸受と、前記ケーシングに設けられ前記吸入側軸受を収容する吸入側軸受ハウジングと、前記ケーシングに設けられ前記吐出側軸受を収容する吐出側軸受ハウジングとを備えたスクリュー圧縮機において、
    前記ケーシング内面と前記吸入側軸受ハウジング外面との間に設けられ前記吸入通路の一部を形成する吸入流路と、
    前記吸入側軸受ハウジングと前記吐出側軸受ハウジングのそれぞれの軸貫通部に設けられたシール機構と、
    前記吸入側と吐出側の軸受の潤滑に用いられ、高温での調度軟化が小さく且つ低温でのトルクの小さいグリースとを有すると共に、
    前記雄ロータ径を1としたとき、前記雌ロータの歯厚が最小限得られて前記各ロータの溝を深くするために前記雌ロータ径を0.886以上、前記雄ロータと雌ロータとの軸間距離を0.686以下、前記雄ロータの長さを1.06以下にして、前記各ロータの噛み合い部に生じる漏洩隙間を形成するシールラインの長さを小さくするために前記雌ロータの前進面歯先円弧半径を0 . 044以上、前記雄ロータの歯先放物線焦点距離を0.080以下、前記雄ロータの歯先円弧半径を0.01以下とし、前記雌ロータの後進面歯先円弧半径を0.017以下としたことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  2. 請求項1記載のスクリュー圧縮機において、雄ロータの巻角を、吸入側で圧縮開始位置にある雄ロータ溝の吐出側端面が、ケーシングの吐出側端面において、雌ロータの溝との連通が断たれる角度に構成したことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  3. 請求項1記載のスクリュー圧縮機において、
    前記吐出側軸受ハウジング側のケーシング外側に取り付けられ、該ケーシング及びケーシングに設けられた吸入通路との間に隙間を形成するように配置され且つ前記吸入側軸受ハウジング側が閉じられたダクトが設けられ
    このダクトは、前記吐出側軸受ハウジング側に、ダクト内への吸入用開口部を有すると共に、該吸入用開口部の部分を除き密閉空間を形成するように構成されていることを特徴とするスクリュー圧縮機。
  4. 請求項1記載のスクリュー圧縮機において、
    前記吐出側軸受ハウジングの外周部に設けられた冷却水ジャケットを備えることを特徴とするスクリュー圧縮機。
  5. 請求項1記載のスクリュー圧縮機において、
    前記ロータへの吸入空間又は前記ロータ間に形成される圧縮空間に水を噴霧するための水噴霧用ノズルを設けたことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  6. 請求項5記載のスクリュー圧縮機において、スクリュー圧縮機で圧縮され吐出された圧縮空気を他部に供給するための吐出空気配管と、
    この吐出空気配管に設けられ吐出温度を検出するための温度センサと、
    前記水噴射ノズルに水を供給するための水噴霧配管と、
    該水噴射配管に設けられた電動弁と、
    この電動弁を駆動するためのドライバと、
    前記温度センサからの検出信号に基づいて、前記水噴射配管の電動弁を制御する制御装置とを備えることを特徴とするスクリュー圧縮機。
  7. 請求項5記載のスクリュー圧縮機において、前記各ロータの表面または前記ケーシングの内周面の少なくとも一方に、耐蝕性金属をメッキするか耐水性樹脂をコーティングしたことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  8. 請求項5記載のスクリュー圧縮機において、ロータの歯溝を有するローブ部及びケーシングを耐蝕性金属又は耐水性樹脂としたことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  9. 請求項1記載のスクリュー圧縮機において、
    前記ケーシングの外側に該ケーシングとの間に空間を形成するように弾性材を介して取り付けられた防音カバーを有することを特徴とするスクリュー圧縮機。
  10. 請求項9記載のスクリュー圧縮機において、前記防音カバーは、吸入側が閉端に構成され、吐出側軸受のハウジング部付近には該防音カバー内に圧縮機への空気を導くための吸入用開口部が設けられ、該吸入用開口部を除いてカバー内に密閉空間を形成するように吐出側軸受ハウジング側のケーシングに取り付けられていることを特徴とするスクリュー圧縮機。
  11. 請求項1〜10の何れかに記載のスクリュー圧縮機おいて、スクリュー圧縮機を構成する雄ロータの歯数が3枚、雌ロータの歯数が5枚であることを特徴とするスクリュー圧縮機。
  12. 請求項11記載のスクリュー圧縮機において、雄ロータの最大回転数は少なくとも16000min−1であり、かつ雌ロータをモータにより直結駆動する構成としたことを特徴とするスクリュー圧縮機。
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