JP3977904B2 - 電子部品実装機の部品吸着ヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々の電子部品をプリント配線基板上に自動的に実装する電子部品実装機において、電子部品を吸着してプリント配線基板上に装着するための部品吸着ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の電子部品実装機においては、図3に示すように、実装機本体1の側方から搬送レール2を介して供給されるプリント配線基板3が所定の実装箇所に位置決めされると、実装機本体1の前方側に配置された部品供給部4に供給された電子部品が、吸着ヘッド8により吸着保持されてプリント配線基板3上に移送され、プリント配線基板3の所定位置に装着される。
【0003】
この従来の電子部品実装機に用いられる吸着ヘッド8は、図4に示すように、先端部に吸着ノズル部9を備えている。すなわち、上記吸着ノズル部9は、ノズル部本体11の先端面が電子部品10への吸着面12になっているとともに、この吸着面12の中央部に吸気用凹部13が形成され、且つ吸気用凹部13に連通してノズル部本体11の長手方向に貫通する吸気孔14が設けられている。また、ノズル部本体11の先端周縁部に形成された固定溝18に、Oリング17が吸着面12よりも僅かに突出して埋め込み固定されている。この吸着ノズル部9は、中空シャフトなどを介して真空発生装置(図示せず)に接続されている。
【0004】
吸着ノズル9が電子部品10を吸着保持する場合、まず、図4に示すように、吸着ヘッド8が下降して吸着ノズル部9の吸着面12が電子部品10の表面に押し付けられる。このとき、Oリング17が自体の弾性により図示のように変形して電子部品12の表面に密着し、吸着面12の周囲を気密に封止する。つぎに、真空発生装置の作動により吸気用凹部13内の真空圧が上昇すると、それにより発生する吸引力により電子部品10の表面が吸着面12およびOリング17に吸着する。ここで、Oリング17により空気漏れを防止して吸気用凹部13内の真空圧を所定値に維持することにより、電子部品10を確実に吸着保持する。この電子部品10がプリント配線基板3上の所定位置に載置されると、真空発生装置の作動が停止し、真空引きを解除し、電子部品10は吸着面12およびOリング17から離脱し、プリント配線基板3上に装着される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の吸着ノズル部9を備えた吸着ヘッド8は、既存のダイヤモンドを用いた吸着ノズル部に比較して、Oリング17によって電子部品10に対する吸着率が向上し、確実な部品保持力を得られる利点がある。しかしながら、吸着ノズル部9を備えた吸着ヘッド8にて電子部品10を吸着するとき、電子部品10が吸着ノズル9に対して傾いており、Oリング17および吸着面12が電子部品10に対して平行でない場合には、Oリング17の弾性変形では、電子部品10の表面に密着できず、吸着面12の周囲を気密に封止できない。つぎに、真空発生装置を作動させても吸気用凹部13内の真空圧が上昇せず、それによる吸引力が微弱となり、電子部品10を吸着できなくなるという問題を有していた。
【0006】
そこで本発明は、電子部品を確実に吸着保持できるとともに、プリント配線基板上に円滑に装着することのできる電子部品実装機の部品吸着ヘッドを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子部品実装機の部品吸着ヘッドは、電子部品を真空吸着装置により基板上に装着する電子部品実装機における部品吸着ヘッドにおいて、先端部に吸着保持部と、吸着保持部の外周で吸着保持部より僅か外方に突出し、拡開可能な弾性体により形成されたパッド部を有する吸着ノズル部と、吸着ノズル部に摺動自在に嵌挿され、中央部に真空発生装置に連通する吸気孔を有する吸着手段を備え、吸着手段の先端部が常時パッド部吸着面より突出するように付勢する付勢手段を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、電子部品の吸着時に吸着ノズル部を電子部品の表面に押し付けると、電子部品が傾いている場合であっても、パッド部の吸着面が局所的に弾性変形して電子部品の傾きを吸収し、吸着面と電子部品表面との気密性を向上することができ、真空発生装置の作動による真空圧の上昇につれて吸引力を所定値まで確保することが可能となる。また、吸着ノズル部が上昇するとパッド部の吸着面は、保持部の面まで弾性変形し、その状態を保持し電子部品を確実に吸着保持する。
【0009】
つぎに、電子部品をプリント基板上に装着して真空発生装置の作動を停止すると、吸着手段がばね体の復元力により保持部や吸着面から突き出して電子部品の表面を押圧する。そのため、パッド部が電子部品からスムーズに離れ、電子部品を位置ずれなくプリント基板上に装着できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、電子部品を真空吸着装置により基板上に装着する電子部品実装機における部品吸着ヘッドにおいて、
前記部品吸着ヘッドの先端部に位置し、前記電子部品の表面に接合する吸着保持部と、
前記吸着保持部の外周で吸着保持部より僅か外方に突出し、拡開可能な弾性体により形成され、
前記電子部品を吸着するため、電子部品の接合時に電子部品が吸着保持部に接合するまで外側に開く吸着面と、吸着保持部と一体のパッド部を有し、吸着ヘッドの中空シャフトに摺動自在に、かつ付勢手段により常時下方に付勢された吸着ノズル部と、
前記吸着ノズル部の貫通孔に摺動自在に嵌挿され、中央部に真空発生装置に連通する吸気孔と、上端近傍部から外周に張り出し、吸着ノズルの内周に設けた係止段部と係合する係止部を有し、係止部をばねにより係止段部に押圧係合するように装着された吸着手段と、
前記吸着手段の先端部が常時前記パッド部の吸着面より突出するように付勢する付勢手段と、
前記パッド部を前記吸着ノズルに着脱可能に埋め込む吸着ノズル部の下方先端部の凹部と、
前記パッド部の中央部に設けられ、前記貫通孔に連通する吸気用凹部と、
前記吸着ノズルの摺動方向に形成されたガイド溝と、中空シャフトに固設されたガイドピンを有し、ガイドピンとガイド溝により吸着ノズルの上下動範囲を規制する規制手段を備えた、
部品吸着ヘッドであり、電子部品の吸着時に吸着ノズル部を電子部品表面に押し付けると、電子部品が傾いている場合であっても、パッド部の吸着面が局所的に弾性変形して電子部品の傾きを吸収し、吸着面と電子部品表面との気密性を向上することができ、真空発生装置の作動による真空圧の上昇につれて吸引力を所定値まで確保することが可能となる。また、吸着ノズル部が上昇するとパッド部の吸着面は、保持部の面まで弾性変形し、その状態を保持し電子部品を確実に吸着保持する。
【0011】
つぎに、電子部品をプリント基板上に装着して真空発生装置の作動を停止すると、吸着手段がばね体の復元力により保持部や吸着面から突き出して電子部品の表面を押圧する。そのため、パッド部が電子部品からスムーズに離れ、電子部品を位置ずれなくプリント基板上に装着できる。
また、吸着ノズル部を吸着ヘッドの中空シャフトに摺動自在に、かつ付勢手段により常時下方に付勢して装着したことで、電子部品吸着時に吸着ノズルは電子部品により押圧され付勢手段に抗して中空シャフト内に押し込められるので、電子部品の厚みの差を吸収する作用を有する。
【0012】
また、吸着手段は上端近傍部から外周に張り出し、吸着ノズルの内周に設けた係止段部と係合する係止部を有し、係止部をばねにより係止段部に押圧係合するよう装着したことで、吸着手段の先端部のパット吸着面よりの突出長を常時正確に保つことができる作用を有する。
【0013】
また、吸着ノズル部は吸着ノズルの摺動方向に形成されたガイド溝を有し、中空シャフトに固設されたガイドピンの先端部をガイド溝に挿着し、ガイドピンとガイド溝により吸着ノズルの上下動範囲を規制したことで、ガイドピンが常時ガイド溝の上端部に当接するので、吸着ノズル部の下限位置が正確に規制できる作用を有する。
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図1および図2を用いて説明する。
図1は電子部品実装機に取り付けられる本発明の一実施形態の部品吸着ヘッド20を示す要部縦断面図である。この部品吸着ヘッド20は、真空発生装置(図示せず)側に接続された中空シャフト21に取り付けられるとともに、中心部に小径保持孔30および大径保持孔23が形成された中空軸体22と、この中空軸体22の大径保持孔23に摺動自在に配置され、常時コイルスプリング47により下方に付勢されている吸着ノズル部24と、この吸着ノズル部24の貫通孔27に摺動自在に埋め込まれ、常時は後述するパッド部より突出する突き出しピン28と、この突き出しピン28の上方に位置して吸着ノズル部24の上端部にねじ結合により連結され、上部を中空シャフト21の小径保持孔30に摺動自在に保持された保持部材29と、この保持部材29と突き出しピン28との間に介設されて、突き出しピン28を下方に付勢するコイルスプリングからなるばね体31と、吸着ノズル部24の下方先端部の凹部に埋め込まれ、吸着ノズル部24に対し着脱可能に設けた弾性体からなるパッド部32から構成されている。
【0015】
上記パッド部32は、下方先端面に電子部品10の吸着面33を有し、この吸着面33より上方に電子部品10の吸着保持部35と、中央部に貫通孔27に連通する吸気用凹部34が形成されている。一方、突き出しピン28には、軸方向に貫通する吸気孔(吸気部)38が形成され、その下端部には内方に向け凹形状で吸気孔38の先端面近傍の側部から外部に連通される空気吸込口39が設けられている。
【0016】
また、突き出しピン28は、上端近傍部から周側方に張り出し、吸着ノズル部24の内周に設けた係止段部41と係合する係止部40を備え、この係止部40をばね体31の付勢力により吸着ノズル部24の係止段部41に押し付けることにより、突き出しピン28の下方先端部は吸着面33から所定長さだけ突出される。また、保持部材29には、軸方向に貫通する吸着孔42が形成されており、したがって、突きだしピン28の吸気孔38、吸着ノズル部24の貫通孔27、上記小径保持孔30および中空シャフト21を通じて真空発生装置に連通する真空排気経路が形成されている。
【0017】
なお、この実施形態では、電子部品10の厚みの相違を吸収できるように構成されている。すなわち、中空軸体22に対し摺動自在に配置された吸着ノズル部24の一側面に、ガイド溝43が吸着ノズル部24の摺動方向に形成されており、中空軸体22に貫通して取り付けられたガイドピン44の先端部がガイド溝43に摺動自在に係合している。吸着ノズル部24と中空軸体22との間に介設されて吸着ノズル部24を下方に付勢するコイルスプリング47により、常時、吸着ノズル部24は、ガイドピン44がガイド溝43の上端部に当接する下限位置に保持されている。吸着ノズル部24は、ガイドピン44とガイド溝43とにより上下動範囲が規制されており、上記下限位置からガイドピン44がガイド溝43の下端面に当接する上限位置まで中空軸体22内に移動できるように構成されている。
【0018】
つぎに、上記部品吸着ヘッド20の動作を図2を参照しながら説明する。
部品吸着ヘッド20が、同図(a)に示すように、電子部品10に接触していない時には、パッド部32の吸着面33は自体の弾性により通常状態を保持している。また、突き出しピン28はばね体31の付勢力により吸着面33から所定長さだけ突出した状態を保持し、且つ、吸着ノズル部24は下限位置に保持されている。この状態において、矢印で示すように、部品吸着ヘッド20が部品供給部4内の電子部品10の表面に向かい下降し、吸着面33が電子部品10の表面(上面)に押し付けられる。この時、同図(b)に示すように、部品供給部4内の電子部品10が傾斜している状態であっても、吸着面33は吸着保持部35が電子部品10の表面に接合するまで外側に開き、吸着面33が電子部品10の傾斜に追従して外側に開くことにより、電子部品の傾斜を吸収し、電子部品の表面(上面)に押し付けられる。
【0019】
この吸着ノズル部24の吸着面33が電子部品10の表面に押し付けられるときに、同図(b)に示すように、突き出しピン28の先端は電子部品10に当接して押圧され、ばね体31の付勢力に抗し先端が吸着保持部35と面一となる位置まで吸着ノズル部24内に押し込められる。また、吸着ノズル部24は、電子部品10により押圧されてコイルスプリング47を圧縮させながら中空軸体22内に押し込められ、電子部品10の厚みの差を吸収する。
【0020】
その際、真空発生装置が作動して上記の真空吸引経路および空気吸込口39を通じて吸気用凹部34内の真空圧が上昇し、その吸引力により電子部品10が吸着面33を押し広げ吸着保持部35に吸着される。ここで、上述の突き出しピン28が吸着ノズル部24に押し込まれることにより圧縮されたばね体31に復元力が発生し、この復元力に相当する付勢力が電子部品10に対し加わっている。
【0021】
つぎに、このように電子部品10を吸着して上昇した部品吸着ヘッド20は、同図(c)に示すように、プリント配線基板3の所定の実装位置上に位置決めされたのちに下降して、電子部品10をプリント配線基板3上に装着し、真空発生装置の作動を停止し、部品吸着ヘッド20が上昇する。この時、突き出しピン28は、ばね体31の復元力により吸着面33より下方に予定長さだけ突出し、真空吸引力が解除された電子部品10の表面を押圧する。この動作により、電子部品10に対し強制的に離間させる力が加わり、パッド部32が電子部品10から極めて容易に離れ易くなってスムーズに離間する。したがって、電子部品10を位置ずれなくプリント配線基板3上に装着できる。
【0022】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、電子部品の吸着時に吸着ノズル部を電子部品表面に押し付けると、電子部品が傾いている場合であっても、パッド部の吸着面が局所的に弾性変形して電子部品の傾きを吸収し、吸着面と電子部品表面との気密性を向上することができ、真空発生装置の作動による真空圧の上昇につれて吸引力を所定値まで確保することが可能となる。また、吸着ノズル部が上昇するとパッド部の吸着面は、保持部の面まで弾性変形し、その状態を保持し電子部品を確実に吸着保持することができる。
【0023】
つぎに、電子部品をプリント基板上に装着して真空発生装置の作動を停止すると、吸着手段がばね体の復元力により保持部や吸着面から突き出して電子部品の表面を押圧するため、パッド部が電子部品から強制的にかつスムーズに離れ、電子部品を位置ずれなくプリント基板上に装着できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係わる部品吸着ヘッドの縦断面図である。
【図2】 (a)〜(c)は同上部品吸着ヘッドによる電子部品の吸着及び装着工程を示す縦断面図である。
【図3】 本発明が適用される電子部品実装機の斜視図である。
【図4】 電子部品実装機に取り付けられている従来の部品吸着ヘッドの一部の縦断面図である。
【符号の説明】
3 プリント配線基板
10 電子部品
20 部品装着ヘッド
24 吸着ノズル部
27 貫通孔
28 突きだしピン
32 パッド部
33 吸着面
35 吸着保持部
38 吸気孔(吸気部) 39 空気吸込口
Claims (1)
- 電子部品を真空吸着装置により基板上に装着する電子部品実装機における部品吸着ヘッドにおいて、
前記部品吸着ヘッドの先端部に位置し、前記電子部品の表面に接合する吸着保持部と、
前記吸着保持部の外周で吸着保持部より僅か外方に突出し、拡開可能な弾性体により形成され、
前記電子部品を吸着するため、電子部品の接合時に電子部品が吸着保持部に接合するまで外側に開く吸着面と、吸着保持部と一体のパッド部を有し、吸着ヘッドの中空シャフトに摺動自在に、かつ付勢手段により常時下方に付勢された吸着ノズル部と、
前記吸着ノズル部の貫通孔に摺動自在に嵌挿され、中央部に真空発生装置に連通する吸気孔と、上端近傍部から外周に張り出し、吸着ノズルの内周に設けた係止段部と係合する係止部を有し、係止部をばねにより係止段部に押圧係合するように装着された吸着手段と、
前記吸着手段の先端部が常時前記パッド部の吸着面より突出するように付勢する付勢手段と、
前記パッド部を前記吸着ノズルに着脱可能に埋め込む吸着ノズル部の下方先端部の凹部と、
前記パッド部の中央部に設けられ、前記貫通孔に連通する吸気用凹部と、
前記吸着ノズルの摺動方向に形成されたガイド溝と、中空シャフトに固設されたガイドピンを有し、ガイドピンとガイド溝により吸着ノズルの上下動範囲を規制する規制手段を備えた、
部品吸着ヘッド。
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