JP3977667B2 - 電動ステアリングロック機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動ステアリングロック機構に係り、特に、電動機によりステアリング等の車両の操向装置を施錠する電動ステアリングロック機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電動アクチュエータによりステアリング等の車両の操向装置を施解錠する車両用ロック装置が知られている。
【0003】
例えば、特開2000−233717号公報(以下、第1従来技術)には、ステアリングシャフトを電気ロックするための装置が開示されている。この装置によれば、ステアリングシャフトの外周に鋸歯リングを固定し、この鋸歯リングと嵌合する阻止エレメントを電動モータを動力源とするスピンドル駆動装置により駆動することで、ステアリングシャフトの施錠/解錠を行っている。
【0004】
また、特開2001−1865号公報(以下、第2従来技術)には、センサを用いてステアリングロック装置の状態を監視するステアリングロック装置が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら第1従来技術の装置においては、施解錠のためにモータを駆動する電子切換装置の誤動作等により、走行中に駆動信号を出力する場合の障害対策が施されていなく、車両走行中に誤ってステアリングシャフトがロックされ、操向不能となる恐れがあるという問題点があった。
【0006】
また、第2従来技術においては、車両走行中にロック装置のロッキングエレメントが僅かでも移動すれば、対応する警告ランプまたは警告音によって運転者に報知し、運転者の即時の車両停止を促すものであり、積極的に誤動作を防止することができないという問題点があった。
【0007】
以上の問題点に鑑み本発明の目的は、ロック制御部が走行中に誤動作しても、確実に操向装置の解錠状態を保持することができる電動ステアリングロック機構を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上記目的を達成するため、電動手段により車両のステアリングを施解錠する電動ステアリングロック機構において、前記ステアリングの解錠状態を保持する解錠保持機構と、該解錠保持機構の保持状態を解除する解錠保持解除機構と、車両の自動変速機のシフトレバーがパーキング位置にあることを検出するパーキング位置検出手段と、施錠信号に基づいて前記解錠保持解除機構を駆動するソレノイド駆動部と、前記ソレノイド駆動部へ前記施錠信号を出力することにより前記解錠保持解除機構を制御する解錠保持解除制御手段であって、前記パーキング位置検出手段がパーキング位置を検出していれば、前記解錠保持解除機構の動作を許可し、前記パーキング位置検出手段がパーキング位置を検出していなければ、前記解錠保持解除機構の動作を禁止する解錠保持解除制御手段と、車両の点火装置が給電されているときに、前記ソレノイド駆動部への給電を停止し、前記点火装置へ給電が停止されているときに、前記ソレノイド駆動部へ給電する給電制御手段と、を備え、前記施錠信号が前記解錠保持解除制御手段から出力されたとき、前記給電制御手段から前記ソレノイド駆動部へ給電されていなければ、前記ソレノイド駆動部は前記解錠保持解除機構を駆動せず、前記ステアリングの解錠状態が継続されることを要旨とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の電動ステアリングロック機構において、前記給電制御手段は、車両の点火装置が給電されているときに、前記電動手段を駆動する電動手段駆動部への給電を停止し、前記点火装置へ給電が停止されているときに、前記電動手段駆動部へ給電する給電制御手段を備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、上記目的を達成するため、請求項1または請求項2に記載の電動ステアリングロック機構において、前記電動手段は、前記ステアリングシャフトに設けた凹部に嵌合可能なロッドを前記ステアリングシャフトに対して前後に駆動するモーター及び減速機構を備えたことを要旨とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明に係る電動ステアリングロック機構を用いたエンジン始動装置の第1実施形態の構成を示すシステム構成図である。
【0013】
図1において、エンジン始動制御装置1は、携帯機3と交信する交信部5と、車両の各ドア毎に開閉状態を検出するドアスイッチ(以下、スイッチをSWと略す)7a〜7dと、エンジン始動制御装置全体を制御するCPU9と、ステアリングロックSW11と、エンジンON/OFF・SW13と、シフトレバー15がパーキング位置(以下、P位置と略す)にあることを検出するシフトレバーP位置検出SW17と、オルタネータ19のL端子信号からエンジンの回転を検出するエンジン回転検出回路21と、電動ステアリングロック機構23と、電動ステアリングロック機構23により駆動されるロッド25と、ロッド25と凹部27aとが嵌合するとロックされるステアリングシャフト27と、車両のアクセサリ類(ACC)へ電源を供給するACCリレー29と、エンジン点火装置(IGN)へ電源を供給するIGNリレー31と、エンジン始動装置(ST)へ電源を供給するSTリレー33と、エンジン制御コントロールユニット(以下、エンジン制御C/Uと略す)35とを備えている。
【0014】
携帯機3は、車両の利用者が携帯して、交信部5と赤外線や電波を介して交信可能となっている。交信部5は、携帯機3との交信による携帯機の認証を行い、携帯機が正当な携帯機であると認証されれば、CPU9へ携帯機が認証された状態にあることを示す信号を出力する。
【0015】
この認証の具体例として実施形態においては、交信部5は携帯機3へ識別符号(ID)またはその関数の送信を指示し、携帯機3からの応答信号を解析する。そして、携帯機3の識別符号(ID)が交信部5に登録済みのIDか否かを判定し、IDが登録済みであれば、交信部5からCPU9へID一致状態信号を出力する。
【0016】
ドアSW7a〜7dは、本実施形態が想定する4ドア車の各ドア毎に設けられたドアの開閉を検出するドアSWであり、全てのドアが閉じていれば全ドアSW7a〜7dはOFFとなり、いずれかのドアが開いていれば、当該ドアSWがON(閉)となり、その状態を交信部5が検出できるようになっている。2ドア車であれば、ドアSWは2個、ハッチバック車であれば、リアゲートをドアに加えることも可能である。
【0017】
ステアリングロックSW11は、車両を走行不可状態にする施錠スイッチであり、操作時にステアリングロックSW信号をCPU9へ出力し、CPU9は、ステアリングロック条件が成立していれば、電動ステアリングロック機構23へ施錠信号を出力する。
【0018】
エンジンON/OFF・SW13は、エンジンの始動及び停止を制御するスイッチであり、操作時にエンジンON/OFF・SW信号をCPU9へ出力する。エンジン未始動時にエンジンON/OFF・SW13が操作されると、CPU9は、エンジン始動条件が成立しているか否かを調べ、成立していればエンジンを始動させる。このとき、エンジン始動前にステアリングロックが施錠されていれば、CPU9は電動ステアリングロック機構23に対して解錠信号を出力し、ステアリングロックを解錠する。
【0019】
本実施形態では、特に限定されないが、ステアリングロックSW11及びエンジンON/OFF・SW13共にモメンタリ型の押しボタンスイッチを使用している。モメンタリ型押しボタンスイッチは、例えばエンジンON/OFF・SW13でいえば、ボタンを押圧中にのみ接点13aが閉じる型式の押しボタンスイッチである。さらにエンジンON/OFF・SW13は、その内部に発光ダイオードを用いたSW照明ランプ13bを備え、CPU9が出力するSW照明信号により、SW照明ランプ13bが点灯、消灯、点滅の3状態が制御されるようになっている。
【0020】
SW照明ランプ13bの点灯状態は、利用者にエンジンON/OFF・SW13を押圧すれば、エンジン始動可能な状態を報知するものである。SW照明ランプ13bの点滅状態は、シフトレバー15がパーキング(P)位置に入っていないためにエンジン始動可能な状態にないことを報知し、シフトレバー15の操作を促す状態である。
【0021】
SW照明ランプ13bの消灯状態は、利用者に携帯機3が認証が不成功か、或いは何れかのドアが開いていて、エンジン始動不能状態であることを報知するものである。この場合、利用者は、携帯機3を運転席近くに置くことに加えて、全ドアを閉じた状態にすることにより、SW照明ランプ13bの消灯状態から点灯状態、または点滅状態へ移行させることができる。
【0022】
シフトレバーP位置検出SW17は、シフトレバー15のP位置を検出するとシフトレバーP位置信号をCPU9へ出力する。オルタネータ19のL端子は、エンジン回転検出回路21へ接続され、エンジン回転検出回路21は、L端子の信号に基づいてエンジンが回転しているか否かを検出し、この検出結果をエンジン回転検出信号としてCPU9へ出力する。
【0023】
電動ステアリングロック機構23は、電動手段であるモータ及びソレノイドを使用して車両のステアリングを施解錠する電動ステアリングロック機構である。
【0024】
電動ステアリングロック機構23は、CPU9が出力する施錠信号及び解錠信号に基づいてロッド25を出入りさせ、ステアリングシャフト27の凹部27aとロッド25との嵌合、嵌合解除により、ステアリングシャフトの施錠・解錠を行うものである。また電動ステアリングロック機構23は、ロッド25が解錠位置にあることを示す解錠位置信号をCPU9へ出力する。
【0025】
さらにシフトレバーP位置検出SW17からシフトレバーP位置信号が電動ステアリングロック機構23へ入力されている。電動ステアリングロック機構23は、シフトレバーP位置信号がP位置を示していない場合に、CPU9が誤った施錠信号を出力しても、ロッド25によりステアリングシャフト27をロックすることが無いように制御する。
【0026】
CPU9は、エンジンON/OFF・SW13の操作入力時に、携帯機3が認証され、且つシフトレバー15がP位置にあり、且つステアリングロックが施錠されていれば電動ステアリングロック機構23によりステアリングロックを解錠した後に、エンジンを始動させ、再度エンジンON/OFF・SW13の操作入力があれば、シフトレバー15がP位置にある場合に、エンジンを停止させる制御を行う。
【0027】
図2は、電動ステアリングロック機構23の詳細を説明する機能ブロック図である。電動ステアリングロック機構23は、制御用電子回路を実装した基板101と、施錠・解錠の動力源である正逆回転可能な直流モーターを使用したモーター103と、モーター103の回転を減速して駆動力を高める減速機構105と、ロッド25とステアリングシャフト27の凹部27aとが対向位置にない場合に減速機構105の施錠力を蓄積すると共に対向位置にある場合にロッド25を施錠方向に駆動して嵌合させる施錠蓄力機構107と、減速機構105から解錠力をロッド25に伝達する解錠力伝達機構109と、減速機構105の解錠駆動停止位置を検出する解錠駆動停止位置検出SW111と、減速機構105の施錠駆動停止位置を検出する施錠駆動停止位置検出SW113と、施錠時に解錠保持機構117による解錠保持状態を解除するソレノイドを用いた解錠保持解除機構115と、解錠保持解除機構115が解除するまで図示しないバネ等を用いてロッド25を解錠位置に係止する解錠保持機構117と、ロッド25が解錠位置にあることを検出する解錠位置検出SW119とを備えている。
【0028】
特許請求の範囲に記載の構成要素との対応でいえば、電動手段は、モーター103及びソレノイドを用いた解錠保持解除機構115である。
【0029】
基板101は、電動ステアリングロック機構23の電源を制御するアンドゲート131と、CPU9からの施解錠信号を受けてモーター駆動部135を制御する制御部113と、モーター103へ正極性の電流又は負極性の電流を供給してモーターを正逆転駆動する電磁リレー又は半導体リレーであるモーター駆動部135と、アンドゲート137と、解錠保持解除機構115を駆動するソレノイド駆動部139とを備えている。
【0030】
車両の点火装置が給電されているときに、モータ駆動部135(電動手段を駆動する電動手段駆動部)及びソレノイド駆動部139への給電を停止し、点火装置へ給電が停止されているときに、モータ駆動部135及びソレノイド駆動部139へ給電する給電制御手段は、アンドゲート131である。車両の自動変速機のシフトレバーがパーキング位置にあることを検出するパーキング位置検出手段は、図1のシフトレバーP位置検出SW17または図6のシフトレバーP位置検出SWb63である。パーキング位置検出手段がパーキング位置を検出していれば、解錠保持解除機構の動作を許可し、パーキング位置検出手段がパーキング位置を検出していなければ、解錠保持解除機構の動作を禁止する解錠保持解除制御手段は、アンドゲート137である。
【0031】
アンドゲート131は、バッテリの+極から電力供給されていることと、エンジンの点火装置(IGN)に電力が供給されていないこととの2つの条件の論理積により、モーター駆動部135及びソレノイド駆動部139へ電力を供給するものであり、実際の回路としては、電磁リレーや半導体スイッチを使用する。
【0032】
制御部133は、CPU9からの施錠信号及び解錠信号によりモーター駆動部135を駆動する。
【0033】
アンドゲート137は、制御部133が出力する施錠出力信号をCPU9から入力されるシフトレバーP位置信号でゲートして、ソレノイド駆動部139へ出力する。これにより、シフトレバーP位置信号が付勢されていないときに、制御部133から施錠出力があっても、ソレノイド駆動部139は解錠保持解除機構(ソレノイド)115を駆動せず、解錠保持状態が解除されることはない。
【0034】
次に、図2を参照して、電動ステアリングロック機構23の施錠動作を説明する。尚、本実施形態におけるモーター103の駆動方向は、施錠時に正転、解錠時に逆転とする。
【0035】
まず電動ステアリングロック機構23へ施錠信号が入力されると、制御部133は、アンドゲート137の一方の入力へ施錠出力を出力する。このときアンドゲート137の他方の入力に接続されているシフトレバーP位置信号がP位置を示していれば、施錠出力がアンドゲート137を通過し、ソレノイド駆動部139へ伝達される。このように、制御部133の施錠出力をシフトレバーP位置信号でゲートしてソレノイド駆動部139へ出力することにより、CPU9が誤って施錠信号を出力したとしても、シフトレバー15がP位置になければ、ステアリングロックしないように制御している。
【0036】
ソレノイド駆動部139は、解錠保持解除機構115へ解錠保持解除のためのソレノイド駆動電流を出力する。これにより解錠保持機構117は、ロッド25を解錠位置に保持していた係止を外し、施錠可能とする。
【0037】
また制御部133は、上記のアンドゲート137への施錠出力と同時に、モーター駆動部135へモーター103正転させる極性の電流供給を指示する。これによりモーター駆動部135は、モーター103に正転極性の電流を供給し、減速機構105は施錠方向に回動する。
【0038】
減速機構105の施錠方向への回動は、施錠蓄力機構107に伝達され、ロッド25とステアリングシャフト27の凹部27aとが対向位置にある場合には、ロッド25を施錠方向に動かして、ロッド25とステアリングシャフト27の凹部27aとを嵌合させて、ステアリングロックする。このとき、ロッド25は解錠位置から外れるので、解錠位置検出SW119は、制御部133及びCPU9へ出力する解錠位置検出信号を停止、或いは解錠位置検出信号を偽とする。
【0039】
ロッド25とステアリングシャフト27の凹部27aとが対向位置にない場合には、施錠力が施錠蓄力機構107に蓄積され、その後ステアリングシャフト27の凹部27aがロッド25と対向する位置まで回動されたときに、蓄積された施錠力によりロッド25を凹部27aと嵌合させて、ステアリングロックする。
【0040】
減速機構105の回動が施錠駆動停止位置まで達すると、施錠駆動停止位置検出SW113がこれを検出して、制御部133へ通知する。施錠駆動停止位置検出SW113から停止位置検出を通知された制御部133は、モーター駆動部135へ電流オフを指示してモーター103の駆動を停止させて、施錠動作を終了する。
【0041】
次に、電動ステアリングロック機構23の解錠動作を説明する。まず電動ステアリングロック機構23へ解錠信号が入力されると、制御部133は、モーター駆動部135へモーター103を逆転させる極性の電流供給を指示する。これによりモーター駆動部135は、モーター103に逆転極性の電流を供給し、減速機構105は解錠方向に回動する。減速機構105の解錠方向への回動は、解錠力伝達機構109を介してロッド25に伝達され、ロッド25を解錠方向に動かして、ロッド25とステアリングシャフト27の凹部27aとの嵌合を外し、ステアリングロックを解除する。このとき、ロッド25は施錠位置から解錠位置へ移動するので、解錠位置検出SW119は、解錠位置検出信号を制御部133及びCPU9へ出力、或いは解錠位置検出信号を真とする。またロッド25が解錠位置に達すると、解錠保持機構117がロッド25を解錠位置に保持し、解錠保持解除機構115から解錠保持解除されるまで、解錠状態を保持する。
【0042】
減速機構105の回動が解錠駆動停止位置まで達すると、解錠駆動停止位置検出SW111がこれを検出して、制御部133へ通知する。解錠駆動停止位置検出SW111から停止位置検出を通知された制御部133は、モーター駆動部135へ電流オフを指示してモーター103の駆動を停止させて、解錠動作を終了する。
【0043】
図3は、ステアリングロックSW11及びエンジンON/OFF・SW13の表示例を示す図である。ステアリングロックSW11及びエンジンON/OFF・SW13は、ステアリングコラムまたはインストメントパネルに設けられ、図3(a)、(b)に示すような日本語表記、または図3(c)、(d)に示すような英語表記で表示される押しボタンSWである。
【0044】
図4は、第1実施形態のエンジン始動制御装置の動作を説明するフローチャートである。本実施形態では、従来のキーSWのスタートポジションとの操作性の継続を重視して、エンジンが始動するまで、利用者がエンジンON/OFF・SW13を押圧し続ける始動方法をとるものとする。
【0045】
図4において、まず電源が投入されると、CPU9は、ステップ(以下、ステップをSと略す)10において、初期設定を行う。この初期設定は、各種制御に使用するフラグ類の初期設定や作業用メモリエリヤの初期化等を含む。次いでS12でステアリングロックSW11が押圧(ON)されているか否かを判定する。ステアリングロックSW11がONされていれば、S14へ移り、シフトレバーP位置信号がP位置を示しているか否かを判定し、P位置を示していなければ、S20へ進む。
【0046】
S14でシフトレバーP位置信号がP位置を示していれば、ステアリングロックする条件が成立しているので、S16で、ACCリレー29,IGNリレー31,STリレー33を全てオフすることにより、ACC,IGN,STを全てOFFする。次いで、S18でCPU9から電動ステアリングロック機構23へステアリングロックするための施錠信号を出力してS12へ戻る。電動ステアリングロック機構23は、この施錠信号を受けて、シフトレバーP位置信号が入力されていれば、ロッド25によりステアリングシャフト27をロックしてステアリングを施錠する。
【0047】
S12の判定でステアリングロックSW11がONされていなければ、次いでS20で、エンジン回転が検出されているか否か、言い換えればエンジンが回転中か否かを判定する。この判定には、本実施形態では、オルタネータ19のL端子の電圧をエンジン回転検出回路21により検出してエンジン回転を検出しているが、図示しないクランク角センサ等の信号を利用しても良い。
【0048】
S20でエンジン回転中と判定されれば、次いでS22でエンジンON/OFF・SW13が押圧(ON)されたか否かを判定する。S22でエンジンON/OFF・SW13がONでなければ、S12へ移る。S22でエンジンON/OFF・SW13がONであれば、S24へ移り、シフトレバーがP位置か否かを判定する。シフトレバーがP位置でなければ、S12へ移る。S24の判定でシフトレバーがP位置であれば、S26へ移り、IGNリレー31をオフして点火装置への給電を停止(IGN OFF)して、エンジンを停止させ、ACC ONの状態は維持して、後述するS34へ移る。この状態は、ラジオやオーディオ等の装置に給電されている状態である。ACC OFFするには、ステアリングロックSW11を操作すればよい。
【0049】
S20の判定でエンジン回転を検出していれば、即ちエンジンが回転中であれば、S28〜S34及びS38の処理が行われるが、これらのステップは、交信部5により実行される。これらの処理は、CPU9から交信部5に対する指示によって実行されてもよいが、一定時間毎に交信部5が自主的に実行するようにしてもよい。そして、S28〜S34及びS38の処理の結果でID一致状態フラグをセット/リセットし、このID一致状態フラグを交信部5からCPU9へのID一致状態信号として出力し、このID一致状態信号をCPU9が参照可能としている。
【0050】
S28において、交信部5は、ドアSW7a〜7dの信号を参照して全ドアが閉じているか否かを判定する。何れかのドアが開いていれば、S34へ移行する。S28の判定で、全てのドアが閉じていれば、S30で交信部5は室内アンテナを介して携帯機3と交信して、携帯機3のIDを受信する。次いでS32で携帯機3のIDが交信部5に登録済みのIDと一致するか否かを判定する。S30の交信が不能であったり、S32のID照合でIDが一致しなければ、S34へ移り、ID一致状態フラグをリセットし、S36でエンジンON/OFF・SW13の照明を消灯して、S12へ移る。
【0051】
S32のID照合でIDが一致すれば、S38へ移り、ID一致状態フラグをセットし、ID一致状態信号をCPU9へ出力する。次いでS40で、シフトレバーがP位置であるか否かを判定し、P位置でなければ、S42へ移りエンジンON/OFF・SW13の照明を点滅状態として、S12へ移る。
【0052】
このエンジンON/OFF・SW13の照明が点滅する状態は、利用者の携帯機3が認証済みであり、シフトレバー15のポジションをパーキング位置(P位置)にすれば、エンジンON/OFF・SW13によりエンジンが始動可能であることを示すものである。
【0053】
S40の判定で、シフトレバーがP位置であれば、S44へ移り、エンジンON/OFF・SW13の照明を点灯させる。このエンジンON/OFF・SW13の照明が点灯している状態は、全ドアが閉じていて且つ携帯機が認証され、エンジンON/OFF・SW13を押圧(ON)すれば直ちにエンジン始動が可能である状態を示すとともに、周囲が暗い環境下でエンジンON/OFF・SW13の位置を明示する機能でもある。
【0054】
次いで、S46でエンジンON/OFF・SW13が押圧(ON)されたか否かを判定し、ONされてなければ、S12へ移る。S46でエンジンON/OFF・SW13がONされていれば、S48へ移り、ステアリングロックの解錠位置検出信号が解錠位置検出状態か否かを判定する。解錠位置検出状態であれば、既にステアリングロック解錠状態からのエンジン始動と判断してS52へ移る。S48の判定で解錠位置検出状態でなければ、S50へ移り、ステアリングロックの解錠信号をCPU9から電動ステアリングロック機構23へ出力して、S48へ戻る。
【0055】
S52では、CPU9からエンジン制御C/U35へエンジン始動許可信号を出力する。このエンジン始動許可信号を受けたエンジン制御C/U35は、例えば燃料噴射装置への噴射タイミング信号の出力や点火装置への点火タイミング信号の出力が可能となり、スタータモーターにより適当なクランク回転が与えられれば、エンジン始動できる状態となる。またエンジンが一旦停止後、再度エンジンを始動するためには、エンジン制御C/U35は再度エンジン始動許可信号を必要とするものとする。
【0056】
S54では、ACCリレー29をオンしてアクセサリー類に給電を開始(ACC ON)する。S56でIGNリレー31をオンして点火装置に給電を開始(IGN ON)する。S58でエンジンON/OFF・SW13が押圧(ON)されているか否かを判定し、エンジンON/OFF・SW13がONであれば、S60でSTリレー33をオンしてスタータモーター等の始動装置に給電を開始する(ST ON)する。
【0057】
S58の判定で、エンジンON/OFF・SW13がONでなければ、利用者がエンジンON/OFF/SW13の押圧を止めたと判断して、STリレー33をオフしてスタータモーター等の始動装置への給電を停止(ST OFF)する。
【0058】
次いでS64で、エンジン回転検出回路21の出力を参照してエンジンが回転しているか否かを判定し、エンジンが回転していなければ、エンジン始動可能な状態にあることを表示するためS40へ移る。S64の判定でエンジンが回転していれば、S66でエンジンON/OFF・SW13の照明を消灯して、S12へ戻る。
【0059】
以上説明した第1実施形態によれば、利用者は、ID登録済みの携帯機を携帯して車両に乗り込むと、全てのドアを閉じて、シフトレバーがP位置にあることを確認する。このとき、エンジン始動制御装置1は、全ドアが閉じられていて、携帯機3のIDが認証済み、且つシフトレバーがP位置であれば、エンジンON/OFF・SW13の照明ランプを点灯して、エンジン始動可能状態を利用者に報知する。この点灯状態を確認した利用者は、エンジンON/OFF・SW13をエンジンが始動するまで押圧することにより、エンジン始動制御装置がステアリングロック解錠、ACC ON、IGN ON、ST ONへと順次状態遷移させ、エンジンを始動させる。これにより操作が簡単なエンジン始動制御装置が提供される。
【0060】
逆にエンジンを停止させる際には、利用者はシフトレバーをP位置に設定して、エンジンON/OFF・SW13を押圧する。これによりIGN OFFとなって、エンジンが停止する。エンジン停止後、ACCはON状態であり、ステアリングロック解錠状態は継続されるので、ラジオやオーディオ装置が利用可能であるとともに、牽引時のステアリング操作も可能となる。ここで利用者は、シフトレバーをP位置から動かさずに、ステアリングロックSW11を押圧することにより、ステアリングロックを施錠するとともに、ACC OFFとすることができる。
【0061】
また、上記エンジン停止後、全ドアが閉じていて、携帯機3のIDが認証されていて、シフトレバーがP位置にあれば、エンジンON/OFF・SW13の照明ランプが点灯して、エンジン始動可能状態を示す。この状態で利用者は、エンジンON/OFF・SW13の押圧でエンジンを始動することができるが、この際には、ステアリングロックは既に解除されているので、解錠動作は省略される。従って、アイドリングストップのためのエンジン停止、再始動を繰り返してもステアリングロックは解錠状態を維持し、電動ステアリングロック機構の耐久性が低下することはない。
【0062】
図5は、第2実施形態のエンジン始動制御装置の動作を説明するフローチャートである。第2実施形態のエンジン始動制御装置の構成は、図1に示した第1実施形態の構成とほぼ同様であるが、CPU9によりエンジンが始動したか否かを判定するための装置を付加するのが好ましい。本実施形態では、電気的なエンジンON/OFF・SWの機能により、エンジン停止時にエンジンON/OFF・SWを一旦押圧すれば、エンジン始動制御装置が初爆を検出するまで自動的にスタータモーター等の始動装置を回転させるものとしている。
【0063】
図4に示した第1実施形態と図5の第2実施形態との相違は、図5のS70以下の各ステップであり、S10からS56までは、同じ動作であるので、重複する説明は省略する。
【0064】
図5において、S56でIGNリレー31をオンして点火装置の給電(IGNON)を始めた後、S70でSTリレー33をオンしてスタータモーター等の始動装置に給電を開始する(ST ON)する。次いでS72でエンジンが始動したか否かを判定する。この判定には、一定時間STリレー33をオンしてスタータモーター等を回転させた後に、一旦STリレー33をオフしてスタータモーターを停止して、図1のエンジン回転検出回路21によりエンジンが始動したか否かを判定してもよいが、ノックセンサ等でエンジン始動を検出する方法や、スタータモータの負荷電流の減少によりエンジン始動を判定する方法等がある。
【0065】
S72の判定でエンジンが始動していなければ、S74でスタータモーターの通電時間が所定時間を超過したか否かを判定する。この所定時間は、バッテリ上がりを防止するためにバッテリ容量や周囲温度等を考慮して数秒程度に決められるものとする。S74で所定時間を超過していなければ、S70で戻る。S74で所定時間を超過していれば、S76でSTリレー33をオフしてスタータモータへの給電を停止(ST OFF)し、利用者へエンジンON/OFF・SW13の押圧によるエンジン始動が可能なことを示すためにS40へ移る。
【0066】
S72でエンジンが始動したと判定すれば、S78でSTリレー33をオフしてスタータモータへの給電を停止(ST OFF)し、S80でエンジンON/OFF・SW13の照明を消灯して、S12へ戻る。
【0067】
図6は、本発明に係る電動ステアリングロック機構を備えたエンジン始動制御装置の第3実施形態の構成を示すシステム構成図である。本第3実施形態は、従来よりスマートエントリーシステムと呼ばれる携帯機のドア解錠ボタンの押圧操作を行わなくてもドアロックを解除できるドアロックシステムとの整合性を向上させたエンジン始動制御装置である。
【0068】
第1実施形態と第3実施形態との構成上の主要な相違は、第1実施形態の交信部5がスマートエントリーコントロールユニット(以下、スマートエントリーC/U)51に置き換えられた上、CPU9の機能の一部がスマートエントリーC/U51へ移され、スマートエントリーC/U51が電動ステアリングロック機構23に対する施錠・解錠の指示を行っていることと、スマートエントリーC/U51がエンジン制御C/U35へエンジン始動許可信号を出力していること、シフトレバー15のパーキング(P)位置検出SWが2重化されていることである。その他の構成要素は、図1に示した第1実施形態と同様の構成要素であるので、重複する説明は省略する。
【0069】
図6に示すように本実施形態によれば、P位置検出SWとして、第1のシフトレバーP位置検出SWa17と、第2のシフトレバーP位置検出SWb63とを設けてP位置検出SWを2重化している。本実施形態では、シフトレバー15は、運転席と助手席との間の床上に設けられたコンソールに装備されているものとする。そして、第1のシフトレバーP位置検出SWa17は、シフトレバー15の近傍、即ちコンソール内に設けられたSWである。
【0070】
シフトレバー15には、メカニカルワイヤー(以下、メカワイヤーと略す)67の一端が接続され、メカワイヤー67の他端は、インストメントパネル上のステアリングロックSW11の近傍に設けられた第2のシフトレバーP位置検出SWb63に接続されている。このメカワイヤー67は、機械的なステアリングロック機構を有する従来の車両において、シフトロック機能を実現するために設けられているメカワイヤーと同等のものである。
【0071】
そしてシフトレバー15をP位置に設定すると、第1のシフトレバーP位置検出SWa17がこれを検出するとともに、シフトレバー15の動きが機械的にメカワイヤー67を介して第2のシフトレバーP位置検出SWb63に伝達され、第2のシフトレバーP位置検出SWb63もシフトレバーP位置検出信号を出力するようになっている。
【0072】
通常、コンソールには、カップホルダー等が装備され、飲み物等をコンソールにこぼしやすい構造となっている。このため、シフトレバー15の近傍のコンソール内に設けられた第1のシフトレバーP位置検出SWa17は、こぼれた水分により動作不良となる恐れがある。しかし、インストパネル上の第2のシフトレバーP位置検出SWb63を第1のシフトレバーP位置検出SWa17とは異なる位置に設けたので、2つのシフトレバーP位置検出SWが同時に動作不良になる確率を限りなく0に近づけ、高い信頼性を確保することができる。
【0073】
上記のシフトレバーP位置検出SWの2重化により、第1のシフトレバーP位置検出SWa17の故障によりスマートエントリーC/U51が誤ってステアリングロックの施錠信号を出力しても、電動ステアリングロック機構23が第2のシフトレバーP位置検出SWb63からの信号により、誤った施錠信号を抑制することができるようになっている。
【0074】
図6において、エンジン始動制御装置1は、携帯機3と交信するスマートエントリーC/U51と、車両の各ドア毎に開閉状態を検出するドアSW7a〜7dと、ステアリングロックSW11と、エンジンON/OFF・SW13と、シフトレバー15がP位置にあることを検出する第1のシフトレバーP位置検出SWa17と、第2のシフトレバーP位置検出SWb63と、電動ステアリングロック機構23と、電動ステアリングロック機構23により駆動されるロッド25と、ロッド25と凹部27aとが嵌合するとロックされるステアリングシャフト27と、エンジンON/OFF・SW11の操作に基づいてエンジン始動を制御するSW・C/U61と、エンジン制御コントロールユニット(以下、エンジン制御C/U)35とを備えている。
【0075】
SW・C/U61は、オルタネータ19のL端子信号からエンジンの回転を検出するエンジン回転検出回路21と、エンジン始動装置を制御するCPU9と、車両のアクセサリ類(ACC)へ電源を供給するACCリレー29と、エンジン点火装置(IGN)へ電源を供給するIGNリレー31と、エンジン始動装置(ST)へ電源を供給するSTリレー33とを備えている。
【0076】
図6において、利用者が携帯する携帯機3は、スマートエントリーC/U51と、受信アンテナ53,室内送信アンテナ55、室外送信アンテナ57を介して交信し、携帯機3のIDがスマートエントリーC/U51に登録されたIDと一致するか否かの判定により携帯機3の認証を行うことができるようになっている。
【0077】
スマートエントリーC/U51は、ドアロックされた車両に携帯機3を所持した利用者が所定距離以内に近づくと、携帯機3と交信して、携帯機の認証を試み、この認証が成功すれば、ドアロックを解除する。これにより正当な利用者は携帯機3のドア解錠ボタン操作を行わなくても車両に乗り込むことができるようになっている。
【0078】
さらにスマートエントリーC/U51は、利用者が車両に乗り込んだ後に、ドアSW7a〜7dの信号を参照して全ドアが閉じていれば、携帯機3と交信してエンジン始動のための携帯機3の認証を行う。そして、この認証が成功すれば、スマートエントリーC/U51は、SW・C/U61へID一致状態信号によりID一致状態(認証された状態)を通知する。この後、シフトレバーがP位置にある場合、エンジン始動のために利用者がエンジンON/OFF・SW13を押圧すれば、エンジンが始動するようになっている。
【0079】
またスマートエントリーC/U51は、エンジンを総合的に制御するエンジン制御C/U35と、電動ステアリングロック機構23と、SW・C/U61とに接続されている。
【0080】
またステアリングロックSW11及びエンジンON/OFF・SW13がインストルメントパネル等に設けられている。特に限定されないが本実施形態では、エンジンON/OFF・SW13は、内部照明式のモメンタリ型押しボタンスイッチとし、ステアリングロックSW11は、エマージェンシーキーの差込口を備えたモメンタリ型のロータリスイッチである。
【0081】
ステアリングロックSW11は、車両を走行不可状態にする施錠スイッチであり、操作時にステアリングロックSW信号をスマートエントリーC/U51とCPU9へ出力し、スマートエントリーC/U51は、ステアリングロック条件が成立していれば、ステアリングロック機構23へ施錠信号を出力する。
【0082】
エンジンON/OFF・SW13は、エンジンの始動及び停止を制御するスイッチであり、操作時にエンジンON/OFF・SW信号をスマートエントリーC/U51とCPU9へ出力する。エンジン未始動時にエンジンON/OFF・SW13が操作されると、CPU9は、エンジン始動条件が成立しているか否かを調べ、成立していればエンジンを始動させる。このとき、エンジン始動前にステアリングロックが施錠されていれば、スマートエントリーC/U51は電動ステアリングロック機構23に対して解錠信号を出力し、ステアリングロックを解錠する。
【0083】
図3(e)は、ステアリングロックSW11の外観を説明する図である。同図に示すようにステアリングロックSWは、エマージェンシーキーの差込口を備えたツマミ部を有するモメンタリ型のロータリスイッチである。通常、携帯機3が電池の消耗等を起こさずに有効であれば、ステアリングロックするには、ツマミ部を持ってUNLOCK位置からLOCK位置へ回動させる。手を離すとステアリングロックSWは、元の位置に戻る。ステアリングロックSW11には、エマージェンシーキーと交信するためのアンテナが設けられ、このアンテナはスマートエントリーC/U51に接続されている。
【0084】
本実施形態において携帯機3は、内蔵電池により駆動される通常の交信部以外に、内蔵電池に依存しないトランスポンダを備えている。同様に、スマートエントリーC/U51も携帯機のトランスポンダ及びエマージェンシーキーに対応したトランスポンダを備えている。これらのトランスポンダ間の交信可能距離は、通常の交信部に比べて短く、アンテナの性能にもよるが通常数十cm以下である。
【0085】
携帯機3が内蔵電池の消耗等によりスマートエントリーC/U51と通常の交信できなくて、認証されない場合、携帯機3又はエマージェンシーキーをエマージェンシーキー差込口へ差し込むと、スマートエントリーC/U51のトランスポンダが起動される。そして、携帯機3又はエマージェンシーキーの内蔵電池に依存しないトランスポンダとの交信を行って、携帯機又はエマージェンシーキーの認証を行い、この認証が成功すれば、通常の携帯機の認証成功と同様の処理を行うようになっている。
【0086】
また、ステアリングロックSW11のエマージェンシーキー差込口に携帯機3の先端部を差し込むと、エマージェンシーキー差込口内部に設けられたキー抜け防止のラッチが掛かり、不用意なキー抜けを防止するようになっている。携帯機をエマージェンシーキー差込口から抜くためには、ステアリングロックSW11をロック位置まで回動すれば、ラッチが解除されて携帯機をエマージェンシーキー差込口から抜くことができるようになっている。
【0087】
本実施形態では、特に限定されないが、エンジンON/OFF・SW13にモメンタリ型の押しボタンスイッチを使用している。モメンタリ型押しボタンスイッチは、例えばエンジンON/OFF・SW13でいえば、ボタンを押圧中にのみ接点13aが閉じる型式の押しボタンスイッチである。
【0088】
さらにエンジンON/OFF・SW13は、その内部に発光ダイオードを用いたSW照明ランプ13bを備え、CPU9が出力するSW照明信号により、SW照明ランプ13bが点灯、消灯、点滅の3状態が制御されるようになっている。
【0089】
SW照明ランプ13bの点灯状態は、利用者にエンジンON/OFF・SW13を押圧すれば、エンジン始動可能な状態を報知するものである。SW照明ランプ13bの点滅状態は、シフトレバー15がパーキング(P)位置に入っていないためにエンジン始動可能な状態にないことを報知し、シフトレバー15の操作を促す状態である。
【0090】
SW照明ランプ13bの消灯状態は、利用者に携帯機3が認証が不成功か、或いは何れかのドアが開いていて、エンジン始動不能状態であることを報知するものである。この場合、利用者は、携帯機3を携帯するか運転席近くに置くことに加えて、全ドアを閉じた状態にすることにより、SW照明ランプ13bの消灯状態から点灯状態、または点滅状態へ移行させることができる。
【0091】
シフトレバーP位置検出SW17は、シフトレバー15のP位置を検出するとシフトレバーP位置信号をCPU9へ出力する。オルタネータ19のL端子は、エンジン回転検出回路21へ接続され、エンジン回転検出回路21は、L端子の信号に基づいてエンジンが回転しているか否かを検出し、この検出結果をエンジン回転検出信号としてCPU9へ出力する。
【0092】
電動ステアリングロック機構23は、スマートエントリーC/U51が出力する施錠信号及び解錠信号に基づいてロッド25を出入りさせ、ステアリングシャフト27の凹部27aとロッド25との嵌合、嵌合解除により、ステアリングシャフトの施錠・解錠を行うものである。また電動ステアリングロック機構23は、ロッド25が解錠位置にあることを示す解錠位置信号をスマートエントリーC/U51とCPU9へ出力する。
【0093】
スマートエントリーC/U51とCPU9とは協働して、エンジンON/OFF・SW13の操作入力時に、携帯機3が認証され、且つシフトレバー15がP位置にあり、且つステアリングロックが施錠されていれば電動ステアリングロック機構23によりステアリングロックを解錠した後に、エンジンを始動させ、再度エンジンON/OFF・SW13の操作入力があれば、シフトレバー15がP位置にある場合に、エンジンを停止させる制御を行う。
【0094】
次に、図7のスマートエントリーC/Uの制御フローチャートと、図8のSW・C/Uの制御フローチャートを参照して、本実施形態の動作を説明する。
【0095】
図7において、まずスマートエントリーC/U51は、S102でステアリングロックSW11が操作されたか否かを判定し、ステアリングロックSW11が操作されていればS104へ移り、シフトレバーがP位置か否かをシフトレバーP位置検出SWa17の信号により判定する。S104でP位置と判定すれば、ステアリングロックする条件が成立しているのでS106へ移り、ステアリングロックの施錠信号を電動ステアリングロック機構23へ出力し、S102へ戻る。これにより電動ステアリングロック機構23は、この施錠信号を受けて、シフトレバーP位置検出SWb63の信号がP位置を示していれば、ステアリングシャフト27をロックする。このとき電動ステアリングロック機構23は、シフトレバーP位置検出SWb63の信号がP位置を示していなければ、施錠信号があってもステアリングシャフトをロックしない。
【0096】
S102の判定でステアリングロックSW11が操作されていなければS108へ移り、ドアSW7a〜7dの信号に基づいて全ドアが閉じているか否かを判定する。何れかのドアが開いていれば、S108の判定はNoとなり、S114へ移行する。
【0097】
S104の判定で全てのドアが閉じていれば、S110へ移り、車室内送信アンテナ55と受信アンテナ53とを介して携帯機3と交信する。次いでS112で、携帯機3から送られたIDが予めスマートエントリーC/U51に登録されたIDと一致したか否かを判定する。S112の判定でIDが一致していなければ、S114へ移り、ID一致状態フラグをリセットし、S102へ戻る。これによりスマートエントリーC/U51からCPU9へ出力するID一致状態信号は偽となる。
【0098】
S112の判定でIDが一致していれば、S116へ移り、ID一致状態フラグをセットする。これによりスマートエントリーC/U51からCPU9へ出力するID一致状態信号は真となる。次いでS118でエンジンON/OFF・SW13が押圧されたか否かを判定する。押圧されてなければ、S102へ戻る。押圧されていれば、S120へ移り、解錠位置検出SW119の出力を参照してステアリングロックが解錠位置にあるか否かを判定する。S120の判定で解錠位置が検出されてなければ、S122へ移り、スマートエントリーC/U51から電動ステアリングロック機構23へステアリングロックの解錠信号を出力し、S120へ戻る。
【0099】
S120の判定で解錠位置が検出されていれば、S124へ移り、エンジン制御C/U35へエンジン始動許可信号を出力してS102へ戻る。
【0100】
図8において、まずSW・C/U61は、S152でステアリングロックSW11が操作されたか否かを判定し、ステアリングロックSW11が操作されていればS154へ移り、ACCリレー29,IGNリレー31,STリレー33を全てオフすることにより、ACC,IGN,STを全てOFFし、S152へ戻る。これによりエンジンが回転中であれば、エンジン停止する。
【0101】
S152でステアリングロックSW11が操作されていたと判定したとき、S156へ移り、スマートエントリーC/U51が出力しているID一致状態信号を参照して、ID一致フラグが1(セット状態)か否かを判定する。
【0102】
S156の判定でID一致フラグが1でなければ、S158へ移り、エンジンON/OFF・SW13の照明ランプを消灯し、利用者にエンジン始動不能状態であることを報知して、S152へ戻る。
【0103】
S156の判定でID一致フラグが1であれば、S160へ移り、シフトレバーがP位置か否かをシフトレバーP位置検出SWa17の信号により判定する。S160の判定でP位置でなければ、S162へ移り、エンジンON/OFF・SW13の照明ランプ13bを点滅し、シフトレバー15をP位置に設定すれば、エンジン始動可能となることを利用者に報知して、S152へ戻る。
【0104】
S160の判定でP位置であれば、S164へ移り、エンジンON/OFF・SW13の照明ランプ13bを点灯し、エンジン始動可能状態であることを利用者に報知して、S166へ移る。S166では、エンジンON/OFF・SW13が押圧されているか否かを判定し、押圧されていなければ、S152へ戻る。S166の判定でエンジンON/OFF・SW13が押圧されていれば、S168へ移り、解錠位置検出SW119の出力を参照して、ステアリングロックの解錠位置が検出されているか否かを判定する。S168の判定で解錠位置が検出されていなければ、S152へ戻る。
【0105】
S168の判定で解錠位置が検出されていれば、S170へ移り、ACCリレー29をオンしてアクセサリ類に給電を開始(ACC ON)し、S172でIGNリレー31をオンして点火装置に給電を開始(IGN ON)し、S174でエンジンON/OFF・SW13が押圧されているか否かを判定する。
【0106】
S174でエンジンON/OFF・SW13が押圧されていると判定すると、S176でSTリレー33をオンしてスタータモーター等のエンジン始動装置に給電を開始(ST ON)して、S174へ戻る。S174とS176とのループにより、エンジンON/OFF・SW13が押圧されている間は、ST ONとなる。
【0107】
S174でエンジンON/OFF・SW13が押圧されていないと判定すると、S178へ移り、STリレー33をオフしてスタータモーター等のエンジン始動装置への給電を停止(ST OFF)して、S178へ移り、エンジン回転検出回路21の出力を参照して、エンジンが回転中か、即ちエンジンが始動したか否かを判定する。エンジンが始動していなければ、S160へ移り、シフトレバーがP位置か否かを判定する。
【0108】
S178の判定でエンジンが回転していれば、S180へ移り、エンジンON/OFF・SW13の照明ランプ13bを消灯し、S182でエンジンON/OFF・SW13が押圧されているか否かを判定する。ここでエンジンON/OFF・SW13が押圧されていれば、エンジン停止のために利用者がエンジンON/OFF・SW13を押圧しているので、S184へ移り、シフトレバーがP位置か否かをシフトレバーP位置検出SWa17の信号により判定する。
【0109】
S184の判定でP位置でなければ、エンジン停止条件が成立していないので、S182へ戻る。S184の判定でP位置であれば、S186へ移り、IGNリレー31をオフして点火装置への給電を停止(IGN OFF)し、エンジンを停止させて、S152へ戻る。この状態では、ACCリレー29は、S170でオン(ACC ON)したままなので、ラジオやオーディオ装置等を使用することができる。尚、ACC OFFするには、ステアリングロックSW11を操作すればよい。
【0111】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、電動手段により車両のステアリングを施解錠する電動ステアリングロック機構において、前記ステアリングの解錠状態を保持する解錠保持機構と、該解錠保持機構の保持状態を解除する解錠保持解除機構と、車両の自動変速機のシフトレバーがパーキング位置にあることを検出するパーキング位置検出手段と、施錠信号に基づいて前記解錠保持解除機構を駆動するソレノイド駆動部と、前記ソレノイド駆動部へ前記施錠信号を出力することにより前記解錠保持解除機構を制御する解錠保持解除制御手段であって、前記パーキング位置検出手段がパーキング位置を検出していれば、前記解錠保持解除機構の動作を許可し、前記パーキング位置検出手段がパーキング位置を検出していなければ、前記解錠保持解除機構の動作を禁止する解錠保持解除制御手段と、車両の点火装置が給電されているときに、前記ソレノイド駆動部への給電を停止し、前記点火装置へ給電が停止されているときに、前記ソレノイド駆動部へ給電する給電制御手段と、を備え、前記施錠信号が前記解錠保持解除制御手段から出力されたとき、前記給電制御手段から前記ソレノイド駆動部へ給電されていなければ、前記ソレノイド駆動部は前記解錠保持解除機構を駆動せず、前記ステアリングの解錠状態が継続されることにより、自動変速機のシフトレバーがパーキング位置にないときに誤操作等により施錠指示が行われてもステアリングの誤施錠を防止することができるという効果があるとともに、走行中はソレノイド駆動部への給電が停止されているため、故障等により制御装置が誤って施錠指示をしても走行中にステアリングの解錠状態が保持され誤施錠を防ぐことができるという効果がある。
【0112】
請求項2記載の発明によれば、請求項1に記載の電動ステアリングロック機構において、前記給電制御手段は、車両の点火装置が給電されているときに、前記電動手段を駆動する電動手段駆動部への給電を停止し、前記点火装置へ給電が停止されているときに、前記電動手段駆動部へ給電することにより、走行中は電動手段駆動部への給電が停止されているため、故障等により制御装置が誤って施錠指示をしても走行中にステアリングの誤施錠を防ぐことができるという効果がある。
【0113】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の電動ステアリングロック機構において、前記電動手段は、前記ステアリングシャフトに設けた凹部に嵌合可能なロッドを前記ステアリングシャフトに対して前後に駆動するモーター及び減速機構を備えたことにより、比較的簡単な構成で消費電力の小さい電動ステアリングロック機構を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動ステアリングロック機構を備えたエンジン始動制御装置の第1実施形態の全体構成を説明するシステム構成図である。
【図2】第1実施形態における電動ステアリングロック機構の詳細を説明するブロック図である。
【図3】ステアリングロックスイッチ及びエンジンON/OFFスイッチの例を説明する図である。
【図4】第1実施形態の制御動作を説明するフローチャートである。
【図5】第2実施形態の制御動作を説明するフローチャートである。
【図6】本発明に係る電動ステアリングロック機構を備えたエンジン始動制御装置の第3実施形態の全体構成を説明するシステム構成図である。
【図7】第3実施形態におけるスマートエントリC/Uの制御動作を説明するフローチャートである。
【図8】第3実施形態におけるSW C/Uの制御動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…エンジン始動制御装置
3…携帯機
5…交信部
7a〜7d…ドアSW
9…CPU
11…ステアリングロックSW
13…エンジンON/OFF・SW
15…シフトレバー
17…シフトレバーP位置検出SW
19…オルタネータ
21…エンジン回転検出回路
23…電動ステアリングロック機構
25…ロッド
27…ステアリングシャフト
27a…凹部
29…ACCリレー
31…IGNリレー
33…STリレー
35…エンジン制御C/U
101…基板
103…モーター(電動手段)
105…減速機構
115…解錠保持解除機構(電動手段)
117…解錠保持機構
131…アンドゲート(給電制御手段)
137…アンドゲート(解錠保持解除制御手段)
Claims (3)
- 電動手段により車両のステアリングを施解錠する電動ステアリングロック機構において、
前記ステアリングの解錠状態を保持する解錠保持機構と、
該解錠保持機構の保持状態を解除する解錠保持解除機構と、
車両の自動変速機のシフトレバーがパーキング位置にあることを検出するパーキング位置検出手段と、
施錠信号に基づいて前記解錠保持解除機構を駆動するソレノイド駆動部と、
前記ソレノイド駆動部へ前記施錠信号を出力することにより前記解錠保持解除機構を制御する解錠保持解除制御手段であって、前記パーキング位置検出手段がパーキング位置を検出していれば、前記解錠保持解除機構の動作を許可し、前記パーキング位置検出手段がパーキング位置を検出していなければ、前記解錠保持解除機構の動作を禁止する解錠保持解除制御手段と、
車両の点火装置が給電されているときに、前記ソレノイド駆動部への給電を停止し、前記点火装置へ給電が停止されているときに、前記ソレノイド駆動部へ給電する給電制御手段と、
を備え、
前記施錠信号が前記解錠保持解除制御手段から出力されたとき、前記給電制御手段から前記ソレノイド駆動部へ給電されていなければ、前記ソレノイド駆動部は前記解錠保持解除機構を駆動せず、前記ステアリングの解錠状態が継続されることを特徴とする電動ステアリングロック機構。 - 前記給電制御手段は、車両の点火装置が給電されているときに、前記電動手段を駆動する電動手段駆動部への給電を停止し、前記点火装置へ給電が停止されているときに、前記電動手段駆動部へ給電することを特徴とする請求項1に記載の電動ステアリングロック機構。
- 前記電動手段は、前記ステアリングシャフトに設けた凹部に嵌合可能なロッドを前記ステアリングシャフトに対して前後に駆動するモーター及び減速機構を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動ステアリングロック機構。
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