JP3975252B2 - 電気自動車用の沸騰冷却装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷媒の沸騰と凝縮の繰り返しによって発熱体を冷却する電気自動車用の沸騰冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術として、特開平8−78588号公報に記載された沸騰冷却装置が公知である。この沸騰冷却装置は、図13に示すように、液冷媒を貯留する冷媒槽100と、この冷媒槽100の上部に設けられる放熱器110とを有し、その放熱器110の内部に波板状のインナフィン120が図中左側に片寄って配置されている。これにより、冷媒槽100で発熱体130の熱を受けて沸騰した冷媒蒸気は、放熱器110内でインナフィン120の図中右側に形成される通路140を上昇して放熱器110内の上部空間150へ流れ込み、外部流体に冷却されて凝縮液となり、インナフィン120の内部通路を通って冷媒槽100へ還流することができる。
この構成によれば、放熱器110内に冷媒の循環流路が形成されるため、放熱器110内での冷媒循環が促進される効果を期待できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の沸騰冷却装置は、放熱器110の下端開口部と冷媒槽100の上端開口部とが全面的に連通している構成である。このため、冷媒槽100で沸騰した冷媒蒸気がインナフィン120の下端面に向かって吹き上げられ、インナフィン120の内部通路を下降する凝縮液と干渉することにより、放熱器110内での冷媒循環が阻害される問題があった。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、放熱器での冷媒循環を促進させることにより、放熱性能の向上を図った沸騰冷却装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
(請求項1の手段)
冷媒槽は、放熱器に対して冷却風の下流側から上流側に向って下方に傾斜するとともに、沸騰した冷媒蒸気が流出する上端開口部が斜め上方を向くように配置され、発熱体は、電気自動車のインバータ回路であり、冷媒槽の下側表面に取り付けられている。また、放熱器は、冷媒槽で沸騰した冷媒蒸気が流れ込む第1の通路と、冷媒蒸気が冷却されて液化した凝縮液を冷媒槽へ戻す第2の通路と、第1の通路と第2の通路とを互いの上部で連通する上部空間とを有し、冷媒槽で沸騰した冷媒蒸気が第1の通路へ優先的に流れ込むように構成されている。これにより、第2の通路を下降する凝縮液と冷媒槽から上昇してくる冷媒蒸気との干渉を低減できるので、放熱器での冷媒循環が促進されて放熱性能の向上を図ることができる。
【0005】
(請求項2の手段)
冷媒蒸気が流出する冷媒槽の上端開口部と第2の通路との間に介在され、冷媒槽の上端開口部より流出する冷媒蒸気を第1の通路へ導くとともに、第2の通路へ流れ込むことを抑制する冷媒流制御板を設けている。この場合、冷媒流制御板を設置するだけの簡単な構成により、冷媒槽で沸騰した冷媒蒸気を第1の通路へ導くことができ、放熱器での冷媒循環を促進できる。
【0006】
(請求項3の手段)
冷媒槽は、沸騰した冷媒蒸気が流出する上端開口部が、第1の通路と第2の通路のうち第1の通路側に近接して配置されている。これにより、冷媒槽の上端開口部より流出した冷媒蒸気が第1の通路へ優先的に流れ込むことができる。
【0007】
(請求項4の手段)
冷媒槽は、沸騰した冷媒蒸気が流出する上端開口部が第1の通路と第2の通路のうち、第1の通路の開口部と上下方向に対向して配置されている。これにより、冷媒槽の上端開口部より流出した冷媒蒸気が第1の通路へ優先的に流れ込むことができる。
【0008】
(請求項5の手段)
放熱器は、放熱フィンを介して並設される複数のチューブを具備するとともに、このチューブ内を複数の通路状に区画してチューブ内の凝縮面積を増大する凝縮面積増大部材がチューブ内に挿入され、その凝縮面積増大部材によってチューブ内に第1の通路と第2の通路とを区画形成することができる。
【0009】
(請求項6の手段)
凝縮面積増大部材は、波板状に成形されたインナフィンであり、第2の通路は、インナフィンによって区画される複数の通路状部分により形成されている。この場合、凝縮面積増大部材として既存のインナフィンを利用できるので、極めて容易な手段でチューブ内の凝縮面積を増大でき、且つチューブ内に第1の通路と第2の通路とを区画形成できる。
【0010】
(請求項7の手段)
第1の通路は、第2の通路とは別にインナフィンによって区画される複数の通路状部分により形成され、インナフィンは、第1の通路を形成する通路状部分のピッチより第2の通路を形成する通路状部分のピッチの方が小さく設けられている。このように、1つのインナフィンのピッチを変えるだけで容易に第1の通路と第2の通路とを区画形成することができる。
【0011】
(請求項8の手段)
第1の通路は、チューブ内の中央部に設けられ、第2の通路は第1の通路の両側に設けられている。この構成によれば、第1の通路を上昇した冷媒蒸気が上部空間で両側に分かれて第2の通路へ流入することができる。その結果、第2の通路をより均一に冷媒が流れることができ、放熱器全体を有効に使用できる。
【0012】
(請求項9の手段)
第1の通路と第2の通路は、チューブ内で放熱器に送風される冷却風の流れ方向に並設され、且つ第1の通路が第2の通路より冷却風の流れ方向下流側に設けられている。放熱器に送風される冷却風は、放熱器を通過する際に冷媒蒸気の潜熱を吸収することで温度上昇する。このため、チューブの前後方向(冷却風の流れ方向)では、冷却風温度が入口側より出口側の方が大きくなるので、出口側の方が冷却風温度と放熱フィン温度との差が小さくなり、その結果、出口側より入口側の方が放熱量が大きくなる。従って、チューブ内に凝縮面積増大部材(インナフィン)を挿入し、且つその凝縮面積増大部材によって第1の通路と第2の通路とを区画形成する場合には、放熱量の大きい冷却風入口側で凝縮面積を増大できるように凝縮面積増大部材を配置することが望ましい。即ち、チューブ内の冷却風入口側に第2の通路を形成し、冷却風出口側に第1の通路を形成した方が有効に凝縮面積の増大効果を得ることができる。
【0013】
(請求項10の手段)
冷媒槽は、冷媒の沸騰領域を形成する冷媒室と、放熱器で冷却され液化した凝縮液を冷媒室へ還流させるための還流通路とを有し、冷媒室及び還流通路の上端開口部が共に放熱器の下部タンク内に開口し、且つ冷媒室の上端開口部より還流通路の上端開口部の方が低い位置に開口している。この構成によれば、各チューブから下部タンク内に滴下した凝縮液が、冷媒室の上端開口部より低い位置に開口する還流通路の上端開口部に優先的に流れ込むことができるので、冷媒室で沸騰した冷媒蒸気と還流通路へ流れ込む凝縮液とが干渉することなく、冷媒槽内での冷媒循環が促進される。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
図1は沸騰冷却装置1の側面図である。
本実施例の沸騰冷却装置1は、冷媒の沸騰と凝縮の繰り返しによって発熱体2を冷却するもので、内部に液冷媒を貯留する冷媒槽3と、この冷媒槽3の上部に組付けられる放熱器4とを備え、一体ろう付けにより製造される。
発熱体2は、例えば電気自動車のインバータ回路を構成するIGBTモジュールであり、図1に示すように、ボルト5等により冷媒槽3の表面に密着して固定される。
【0015】
冷媒槽3は、中空部材6とエンドプレート7から成り、内部に冷媒室8、液戻り通路9、断熱通路10、及び連通路11を有している(図3、図5参照)。
中空部材6は、アルミニウム等の熱伝導性に優れる金属材料から成る押出成形品で、図3(a)に示すように、横幅に対して厚みが薄い薄型形状に設けられ、その内部に太さの異なる複数の通路壁(第1通路壁12、第2通路壁13、第3通路壁14、第4通路壁15)を有している。但し、各通路壁12〜15は、図3(b)に示すように、下端部が所定の長さだけ削除されて、中空部材6の下端面より各通路壁12〜15の下端面の方が上方に位置している。また、第1通路壁12と第3通路壁14には、ボルト5を螺着するための螺子孔16が複数個設けられている。
中空部材6の上端部は、左右の第3通路壁14より外側の部分と内側の部分とで高低差を有し、外側の部分より内側の部分の方が上方へ突出して設けられ、且つ内側の部分は、図3(c)に示すように、その上端面が傾斜している。
【0016】
エンドプレート7は、例えば中空部材6と同じアルミニウム製で、図4に示すように、左右方向に細長く、且つ外周縁部7aより内側部分7bが若干突起して設けられている。このエンドプレート7は、図5に示すように、突起している内側部分7bを中空部材6の下端開口部内に嵌め込んで、外周縁部7aを中空部材6の外周下端面に当接させることにより、中空部材6の下端開口部を塞いでいる。但し、中空部材6の下端開口部内に嵌め込まれるエンドプレート7の内側部分7bの表面と中空部材6の各通路壁12〜15の下端面との間には、連通路11を形成するために所定の空間が確保されている。
【0017】
冷媒室8は、図3(b)において、中空部材6の中央部右寄りに位置する第1通路壁12と左右の第3通路壁14との間に設けられ、それぞれ第2通路壁13によって複数の通路状に区画されている。この冷媒室8は、内部に貯留する液冷媒が発熱体2の熱を受けて沸騰する空間を形成している。なお、以下の説明において、中空部材6の上端面に開口する冷媒室8の上端開口部を蒸気流出口17と呼ぶ。この蒸気流出口17は、前述のように、液戻り通路9の上端開口面より上方へ突出し、且つ開口面が傾斜している。
【0018】
液戻り通路9は、放熱器4で冷却され液化した凝縮液が流入する通路で、中空部材6の最も左右両側に設けられている。なお、以下の説明において、中空部材6の上端面に開口する液戻り通路9の上端開口部を液流入口18と呼ぶ。
断熱通路10は、冷媒室8と液戻り通路9との間を断熱するための通路で、第3通路壁14によって冷媒室8と区画され、第4通路壁15によって液戻り通路9と区画されている。
連通路11は、液戻り通路9へ流入した凝縮液を冷媒室8へ供給するための通路で、エンドプレート7で塞がれた中空部材6の下端部に形成され(図5参照)、液戻り通路9と冷媒室8及び断熱通路10とを相互に連通している。
【0019】
放熱器4は、放熱フィン19を介して並設される複数本のチューブ20と、各チューブ20の上部に設けられる上部タンク21と、各チューブ20の下部に設けられる下部タンク22とで構成され、下部タンク22の内部に冷媒流制御板23が設置されている。
放熱フィン19は、熱伝導性に優れる薄い金属板(例えばアルミニウム板)を交互に折り曲げて波状に成形したもので、チューブ20の表面に接合されている。
チューブ20は、内部を冷媒が流れる冷媒通路を形成するもので、例えばアルミニウム製の偏平な管を所定の長さに切断して上部タンク21と下部タンク22との間に複数本並設されている。
【0020】
チューブ20の内部には、図6に示すように、インナフィン24が挿入される。このインナフィン24は、熱伝導性に優れる薄い金属板(例えばアルミニウム板)を所定のピッチP(図6(a)参照)で交互に折り曲げて波状に成形したもので、チューブ20内の凝縮面積を増大させるとともに、チューブ20内に冷媒循環路(後述する)を形成する目的で用いられる。このインナフィン24は、折り曲げ部(山と谷)の延設方向をチューブ20の通路方向(図6(b)の上下方向)に向けてチューブ20内に挿入され、且つチューブ20内の横幅方向(図6の左右方向)で右側に片寄って配置され、各折り曲げ部がチューブ20の内壁面に当接して、ろう付けされている。
【0021】
これにより、チューブ20内には、図6においてインナフィン24の左側に確保される第1の通路(以後、蒸気通路25と呼ぶ)と、インナフィン24のピッチ間に形成される複数の第2の通路(以後、凝縮液通路26と呼ぶ)とを有し、その蒸気通路25と凝縮液通路26とで上記の冷媒循環路を構成している。
なお、チューブ20は、放熱フィン19との接合面である両側面が、放熱器4に送風される冷却風の流れ方向に沿って配置されるが、この時、凝縮液通路26より蒸気通路25の方が冷却風の流れ方向下流側に位置するようにチューブ20の向きを特定している(図1参照)。
【0022】
上部タンク21は、浅皿状のコアプレート21Aと深皿状のタンクプレート21Bとを組み合わせて構成され、コアプレート21Aに開けられている複数の長孔(図示しない)にそれぞれチューブ20の上端部が挿入されて各チューブ20を連通している。
下部タンク22は、浅皿状のコアプレート22Aと深皿状のタンクプレート22B(図7参照)とを組み合わせて構成され、コアプレート22Aに開けられている複数の長孔(図示しない)にそれぞれチューブ20の下端部が挿入されて各チューブ20を連通している。また、下部タンク22は、タンクプレート22Bに開けられている開口部27に冷媒槽3(中空部材6)の上端部が挿入されて(図1参照)、冷媒槽3と各チューブ20とを連通している。
【0023】
なお、タンクプレート22Bは、図7(c)に示すように、その長手方向から見た側面形状において、最も低い底面(コアプレート22Aが被せられる上端開口部と対向する面)に対し傾斜角が大きい傾斜面22aを有し、この傾斜面22aに前記開口部27が開口している。
従って、冷媒槽3は、図1に示すように、下部タンク22に対し大きく傾斜して組付けられている。但し、冷媒槽3は、下部タンク22内で蒸気流出口17が斜め上方を向くように、発熱体2の取付け面を下向きにして開口部27に挿入される(つまり、発熱体2は、冷媒槽3の下側表面に取り付けられる)。これにより、下部タンク22内では、蒸気流出口17の最下部の方が液流入口18の最下部より上方に位置し、全体的にも蒸気流出口17の方が液流入口18より高い位置に開口している(図2参照)。
【0024】
冷媒流制御板23は、蒸気流出口17より流出した冷媒蒸気をチューブ20内の蒸気通路25へ優先的に流れ込むように導くとともに、チューブ20内で液化した凝縮液が蒸気流出口17へ落下することを防止するために設置される。この冷媒流制御板23は、図1に示すように、下部タンク22内に挿入される中空部材6の上端部表面に螺子28等で取り付けられ、チューブ20内に形成される凝縮液通路26の下方に配置される。但し、冷媒流制御板23は、中空部材6に取り付けた時に、図1に示す前後方向において、先端側が取付け部側より若干高くなるように、緩やかに傾斜した状態で取り付けられることが望ましい。この冷媒流制御板23の形状を図8に示す。
【0025】
次に、本実施例の作動を説明する。
冷媒室8に貯留される液冷媒は、発熱体2の熱を受けて沸騰し、冷媒蒸気となって蒸気流出口17から下部タンク22内へ流出する。蒸気流出口17から流出した冷媒蒸気は、冷媒流制御板23に沿って図1の矢印方向へ流れ、チューブ内の主に蒸気通路25へ流入する。蒸気通路25を上昇して上部タンク21内に流入した冷媒蒸気の一部は、主に上部タンク21の内壁面に凝縮して液化し、残りの冷媒蒸気も凝縮液通路26内でインナフィン24の表面及びチューブ20の内壁面に凝縮して液化する。
【0026】
凝縮液通路26内で液化した凝縮液の多くは下部タンク22内へ落下するが、一部の凝縮液は表面張力によってインナフィン24の下部に保持され、図1に示すように、液溜まり部29を形成する。この液溜まり部29は、放熱量が増大した時に、蒸気流出口17から冷媒蒸気とともに吹き上げられて上昇してくる液冷媒がインナフィン24の下部表面に当たり、表面張力によってインナフィン24の下部に捕らえられることでも形成される。このインナフィン24の液溜まり部29に溜まった凝縮液も、蒸気通路25を上昇する冷媒蒸気の圧力に押されて液溜まり部29から下部タンク22内へ順次落下する。
下部タンク22の底部に溜まった凝縮液は、液面が液流入口18の最下部の高さを超えた時点で液流入口18へ流れ込み、液戻り通路9より連通路11を通って冷媒室8へ還流することができる。
【0027】
(第1実施例の効果)
本実施例では、チューブ20内にインナフィン24を挿入してチューブ20内に蒸気通路25と凝縮液通路26とを形成することで冷媒循環路を構成することができる。その上、蒸気流出口17より流出する冷媒蒸気を下部タンク22内に設置した冷媒流制御板23によってチューブ20内の蒸気通路25へ優先的に導くことができるので、放熱器4内での冷媒循環が促進されて放熱性能を向上できる。
また、下部タンク22内では、蒸気流出口17より液流入口18の方が低い位置に開口しているため、チューブ20から下部タンク22内に滴下した凝縮液は、液流入口18へ優先的に流れ込むことができる。その結果、凝縮液が効率良く冷媒室8へ還流できるので、冷媒槽3内での冷媒循環が促進され、沸騰面のバーンアウトを抑制できる。
【0028】
放熱器4に送風される冷却風は、放熱器4を通過する際に冷媒蒸気の潜熱を吸収することで温度上昇する。このため、図9に示すように、チューブ20の前後方向(冷却風の流れ方向)では、冷却風の出口側より入口側の方が放熱量〔放熱フィン温度と冷却風温度との温度差(放熱フィン温度−冷却風温度)に略比例する〕が大きくなる。従って、チューブ20内に凝縮面積を増大するためのインナフィン24を挿入し、且つそのインナフィン24によって蒸気通路25と凝縮液通路26とを区画形成する場合には、放熱量の大きい冷却風入口側で凝縮面積を増大できるようにインナフィン24を配置した方が良い。即ち、チューブ20内の冷却風入口側に凝縮液通路26を形成し、冷却風出口側に蒸気通路25を形成した方が有効に凝縮面積の増大効果を得ることができる。
【0029】
(第2実施例)
図10は沸騰冷却装置1の側面図である。
本実施例は、第1実施例で説明した冷媒流制御板23を用いることなく、チューブ20内の蒸気通路25へ冷媒蒸気を優先的に導くように構成した一例である。
冷媒槽3は、中空部材6の上端面に傾斜を付けることなく、蒸気流出口17の開口面が発熱体2の取付け面に対し略直角に設けられている。また、下部タンク22内に挿入される冷媒槽3の挿入部分を長くして、蒸気流出口17がチューブ20内の蒸気通路25の下方にくるように設けられている。
この構成によれば、冷媒流制御板を用いなくても、蒸気流出口17より流出した冷媒蒸気がチューブ20内の蒸気通路25へ優先的に流れ込むことができ、第1実施例と同様に、放熱器4内での冷媒循環が促進されて放熱性能を向上できる。
【0030】
(第3実施例)
図11はチューブ20の断面図である。
本実施例は、不等ピッチを有するインナフィン24によって蒸気通路25と凝縮液通路26とを形成した一例である。
インナフィン24は、図11に示すように、一方の端部にピッチPaを大きく取った湾曲部24Aを形成し、この湾曲部24Aによってチューブ20内に蒸気通路25を形成している。この場合、蒸気通路25をインナフィン24の湾曲部24Aで形成することにより、チューブ20内の凝縮面積を更に増大できるので、放熱性能の向上に寄与できる。
なお、凝縮液通路26と蒸気通路25とをピッチの異なる別々のインナフィン24によって形成しても良い。
【0031】
(第4実施例)
図12は沸騰冷却装置1の側面図である。
本実施例は、蒸気通路25をチューブ20内の略中央部に形成した一例である。
図12に示すように、蒸気通路25をチューブ20内の略中央部に形成し、その両側にそれぞれインナフィン24を挿入して凝縮液通路26を形成しても良い。この場合、蒸気通路25の垂直下方に冷媒槽3を配置することで、蒸気流出口17より流出した冷媒蒸気がそのままチューブ20内の蒸気通路25へ優先的に流れ込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】沸騰冷却装置の側面図である(第1実施例)。
【図2】沸騰冷却装置の正面図である(第1実施例)。
【図3】中空部材の上面図(a)、正面図(b)、側面図(c)である。
【図4】エンドプレートの側面図(a)、平面図(b)、断面図(c)である。
【図5】エンドプレートの装着状態を示す断面図である。
【図6】インナフィンを挿入したチューブの上面図(a)、正面図(b)である。
【図7】下部タンクの正面図(a)、側面図(b)、下面図(c)である。
【図8】冷媒流制御板の正面図(a)、側面図(b)である。
【図9】冷却風温度と放熱フィン温度の変化を示すグラフである。
【図10】沸騰冷却装置の側面図である(第2実施例)。
【図11】インナフィンを挿入したチューブの断面図である(第3実施例)。
【図12】沸騰冷却装置の側面図である(第4実施例)。
【図13】沸騰冷却装置の断面図である(従来技術)。
【符号の説明】
1 沸騰冷却装置
2 発熱体
3 冷媒槽
4 放熱器
8 冷媒室
9 液戻り通路(還流通路)
11 連通路(還流通路)
17 蒸気流出口(上端開口部)
18 液流入口(上端開口部)
19 放熱フィン
20 チューブ
21 上部タンク(上部空間)
22 下部タンク
23 冷媒流制御板
24 インナフィン(波板状フィン)
25 蒸気通路(第1の通路)
26 凝縮液通路(第2の通路)

Claims (10)

  1. 発熱体の熱を受けて沸騰する液冷媒を貯留する冷媒槽と、
    この冷媒槽で沸騰した冷媒蒸気が流れ込み、その冷媒蒸気を外部流体との熱交換によって冷却する放熱器とを備えた電気自動車用の沸騰冷却装置であって、
    前記冷媒槽は、前記放熱器に対して冷却風の下流側から上流側に向って下方に傾斜するとともに、沸騰した冷媒蒸気が流出する上端開口部が斜め上方を向くように配置され、
    前記発熱体は、電気自動車のインバータ回路であり、前記冷媒槽の下側表面に取り付けられ、
    前記放熱器は、前記冷媒槽で沸騰した冷媒蒸気が流れ込む第1の通路と、
    冷媒蒸気が冷却されて液化した凝縮液を前記冷媒槽へ戻す第2の通路と、
    前記第1の通路と第2の通路とを互いの上部で連通する上部空間とを有し、
    前記冷媒槽で沸騰した冷媒蒸気が前記第1の通路へ優先的に流れ込むように構成されていることを特徴とする電気自動車用の沸騰冷却装置。
  2. 冷媒蒸気が流出する前記冷媒槽の上端開口部と前記第2の通路との間に介在され、前記冷媒槽の上端開口部より流出する冷媒蒸気を前記第1の通路へ導くとともに、前記第2の通路へ流れ込むことを抑制する冷媒流制御板を設けていることを特徴とする請求項1に記載した電気自動車用の沸騰冷却装置。
  3. 前記冷媒槽は、沸騰した冷媒蒸気が流出する上端開口部が、前記第1の通路と第2の通路のうち前記第1の通路側に近接して配置されていることを特徴とする請求項1に記載した電気自動車用の沸騰冷却装置。
  4. 前記冷媒槽は、沸騰した冷媒蒸気が流出する上端開口部が前記第1の通路と第2の通路のうち、前記第1の通路の開口部と上下方向に対向して配置されていることを特徴とする請求項1に記載した電気自動車用の沸騰冷却装置。
  5. 前記放熱器は、放熱フィンを介して並設される複数のチューブを具備するとともに、このチューブ内を複数の通路状に区画して前記チューブ内の凝縮面積を増大する凝縮面積増大部材が前記チューブ内に挿入され、前記凝縮面積増大部材によって前記チューブ内に前記第1の通路と第2の通路とが区画形成されていることを特徴とする請求項1〜4に記載した電気自動車用の沸騰冷却装置。
  6. 前記凝縮面積増大部材は、波板状に成形されたインナフィンであり、前記第2の通路は、前記インナフィンによって区画される複数の通路状部分により形成されていることを特徴とする請求項5に記載した電気自動車用の沸騰冷却装置。
  7. 前記第1の通路は、前記第2の通路とは別に前記インナフィンによって区画される複数の通路状部分により形成され、
    前記インナフィンは、前記第1の通路を形成する通路状部分のピッチより前記第2の通路を形成する通路状部分のピッチの方が小さく設けられていることを特徴とする請求項6に記載した電気自動車用の沸騰冷却装置。
  8. 前記第1の通路は、前記チューブ内の中央部に設けられ、前記第2の通路は前記第1の通路の両側に設けられていることを特徴とする請求項5〜7に記載した電気自動車用の沸騰冷却装置。
  9. 前記第1の通路と第2の通路は、前記チューブ内で前記放熱器に送風される冷却風の流れ方向に並設され、且つ前記第1の通路が第2の通路より冷却風の流れ方向下流側に設けられていることを特徴とする請求項5〜7に記載した電気自動車用の沸騰冷却装置。
  10. 前記放熱器は、前記複数のチューブの下部に設けられて前記複数のチューブを連通する下部タンクを有し、
    前記冷媒槽は、冷媒の沸騰領域を形成する冷媒室と、前記放熱器で冷却され液化した凝縮液を前記冷媒室へ還流させるための還流通路とを有し、前記冷媒室及び還流通路の上端開口部が共に前記下部タンク内に開口し、且つ前記冷媒室の上端開口部より還流通路の上端開口部の方が低い位置に開口していることを特徴とする請求項〜9に記載した電気自動車用の沸騰冷却装置。
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