JP3974764B2 - シングルレバー式水栓 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、操作部材を上下方向に回動することにより吐水するシングルレバー式水栓に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5に示すように、操作部材51を実線で示す下方向に回動することにより、可動ディスク52の下面側に形成された凹部53を固定ディスク54に設けた給水孔55の直上に位置させて給水孔55を閉塞し、それによって止水状態にする一方、操作部材51を二点鎖線で示す上方向に回動することにより、前記凹部53を、固定ディスク54に設けた排水孔56および前記給水孔55に跨がる吐水位置に位置させて吐水の流量を調節するように構成されたシングルレバー式水栓57がある。
【0003】
そして既設の蛇口本体60から、水栓本体61を合成ゴムからなるパッキン62を備えた弁体63と共に取り外し、前記シングルレバー式水栓57に取り替えることにより、水栓本体61を用いたときのようにパッキン62が開閉のたびに蛇口本体60の弁座4を離れたり圧接するためパッキン62が劣化し、操作ハンドル51’を締めつけても、完全に止水することができず、蛇口本体60に接続された吐水管73から水漏れが生じるとともに、止水のために操作ハンドル51’をきつく締めつける必要があるという問題を解消できる利点がある。
【0004】
これは、シングルレバー式水栓57の水栓本体57a内に設けた前記固定ディスク54および可動ディスク52をセラミック製とし、固定ディスク54の上面に可動ディスク52を移動自在に設けるとともに、前記凹部53を固定ディスク54との接合面に形成したからで、図5に実線で示す止水状態では、前記凹部53が固定ディスク54の給水孔55をを閉塞するしているため、完全に止水することができ、水漏れがない。
【0005】
また、前記シングルレバー式水栓57の連通部材(スピンドル)59の中央貫通穴59aのまわりには複数の排水路71が形成されており、この排水路71の外方位置に連通部材59に対して回動可能に取り付けられた袋ナット59aを設けてあり、前記水栓57を蛇口本体60の差し込み部65に差し込み、続いて、袋ナット59aを差し込み部65に締付けるだけの簡単な取付け作業で、連通部材59の下端に設けた合成ゴムからなる吊コマ58が前記弁座4に圧接した状態で、かつ、連通部材59の袋ナット59a側の下面に設けたパッキン66が蛇口本体60の差し込み部65の上面65aを圧接した状態で、止水および流量調節を行うことができる。
【0006】
なお、76は、連通部材59の貫通穴59a’によって形成される導水路2と給水孔55を連通させるための連通流路を形成するシール部材(パッキン)、77は、排水孔56と排水路71を連通させるための連通流路を形成するシール部材(パッキン)である。また、蛇口本体60は、内部に、前記導水路2に連通する給水路5と、前記排水路71と吐水管73を連通させるための吐水路6を有する。31は、水栓本体61をカバーするカバー体である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、蛇口本体60の差し込み部65の上面65aおよび弁座4間の長さ(シート深さ)Lがメーカーによって異なる場合があり、取り替えにあたり以下の問題があった。
【0008】
すなわち、前記シングルレバー式水栓57は、前記吊コマ58の下面gおよび前記パッキン66間の長さKを予め前記シート深さLに設定してあるが、図4(A)に示すように、袋ナット59a直上に水栓本体57aとで形成されている隙間Sから水漏れが発生する場合がある。これは、前記シート深さLが浅く前記長さKよりも小さいからである。
【0009】
そして、水漏れを無くすために、前記水栓57を差し込み部65から取り外し、図4(B)に示すように、付属のパッキン70を追加する作業を必要とする。
【0010】
一方、前記シート深さLが前記長さKよりも大きい場合は、操作部材51を下方向に回動しても、図4(C)に示すように、吐水管73から漏水して完全に止水しないことがある。これは、吊コマ58が弁座63を圧接していないからである。そのため、前記水栓57を差し込み部65から取り外し、図4(D)に示すように、パッキン66よりも厚みが薄い付属のOリング74に交換する作業を必要とする。
【0011】
この発明は、前記の点に留意してなされたものであり、その目的は、蛇口本体のシート深さの違いにかかわらず取り外し作業およびシート深さ調節用のパッキンの追加あるいは交換作業を不要にしながら水漏れを防止できるシングルレバー式水栓を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、この発明は、給水路、吐水路および弁座を有する蛇口本体に着脱自在に装着され、内部に、前記給水路に連通する導水路と、前記吐水路に連通する排水路とを有する連通部材を設けた水栓本体と、前記連通部材にパッキンを介して設けられ、前記導水路に連通した給水孔および前記排水路に連通した排水孔が形成された固定ディスクと、この固定ディスクの上面に移動自在に設けられ、前記固定ディスクとの接合面に凹部が形成された可動ディスクと、上下方向の回動により前記可動ディスクを移動させる操作部材とを備え、前記操作部材の回動により、前記可動ディスクを、前記凹部が前記給水孔を閉塞する閉塞位置と、前記凹部が、前記給水孔および前記排水孔に跨がる開放位置とに移動させるように構成したシングルレバー式水栓において、前記弁座に圧接可能なシール部材を先端に有し、かつ、前記連通部材の下端部に形成された外周面の外ネジに螺 合する内ネジを形成し、連通部材に対して前進・後退自在に構成され前記シール部材の位置を調整するための筒状の調整部材を前記連通部材の下端部に設けてある。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施の形態について説明する。なお、この発明はそれによって限定されるものではない。
【0014】
図1〜図3は、この発明の一実施形態を示す。
この発明と従来例の相違点は、この発明の連通部材3が、従来例で用いた連通部材59と異なる構成を持っていることである。そして、この発明では、連通部材3以外の構成部材は、従来例と同じものを用いているので説明を省略するとともに、図5に示した蛇口本体60も参照しながら説明する。
【0015】
図1〜図3および図5において、1は、シングルレバー式水栓で、これを蛇口本体60の差し込み部65に差し込んだ後、袋ナット59aを差し込み部65に締付けることにより、止水および流量調節を行うことができる。
【0016】
前記連通部材3は、既設の蛇口本体60に形成されている給水路5と給水孔55を連通する導水路2を形成する中央貫通穴3aと、蛇口本体60に形成されている吐水路6に連通するよう前記中央貫通穴3aのまわりの上端側に設けられた複数の排水路71と、この排水路71の下流側の外方位置に連通部材3に対して回動可能に取り付けられた袋ナット59aとを有する。
【0017】
更に、前記連通部材3の下端部には、前記連通部材3に対して前進・後退自在に構成された調整部材7が設けられている。
【0018】
すなわち、前記連通部材3は、シングルレバー式水栓1の水栓本体1aに形成された取り付け孔10にネジ止めするための外ネジ11を上端部の外周面Aに有するとともに、前記連通部材3の下端部の外周面Bには前記調整部材7が取り付けられ、前記外周面Aと外周面Bの間に位置する中間部の外周面Cに前記袋ナット59aが取り付けられている。
【0019】
前記連通部材3の前記下端部は、上流側の小径リング部分3bとこれに連設された下流側の大径リング部分3cとよりなる。大径リング部分3cは外ネジmを有する一方、小径リング部分3bは、一対のOリング用の環状溝Mを有する。
【0020】
一方、前記調整部材7は、筒状で、前記小径リング部分3bに一対のOリング15,15を介して嵌め込まれている嵌込部7aと、前記大径リング部分3cに形成された前記外ネジmに螺合する内ネジnを有するネジ部7bとよりなる。そのため、調整部材7を捻じることにより連通部材3に対して調整部材7を連通部材3の中心軸の方向(両矢印Zで示す方向)に微小移動させることができる。
【0021】
例えば、この実施形態では、調整部材7を微小移動させることにより、前記シール部材8の下面Gおよび前記パッキン66間の長さ寸法KをK1 ≦K≦K2 の範囲に可変できるように構成されており、これにより、最も深いシート深さL(=K2 )の蛇口本体60と最も浅いシート深さL(=K1 )の蛇口本体60にも対処できる。例えば、最小シート深さK1 を、26.4mmに設定し、最大シート深さK2 を、28.9mmに設定してある。そして、この実施形態の水栓1では、前記長さKを通常の蛇口本体60でのシート深さL(=27.65mm)に設定してある。
【0022】
また、調整部材7は、捻じり易いように外周面にローレット溝Rを有するとともに、前記嵌込部7aは、外フランジ21を備えた小径部20を先端に有する。
【0023】
8は、リング状のシール部材(例えば、合成ゴムよりなるパッキン)で、前記外フランジ21によって小径部20に取り付けられている。このシール部材8は、弁座4に圧接可能なように上述した吊コマ58と同様に肉厚に形成されている。
【0024】
30は、調整部材7の緩みを防止するリング状の緩み止め部材である。この緩み止め部材30は、前記ネジ部7bの端面に下流側から当接する状態で設けられている。前記緩み止め部材30は、前記ネジ部7bと同様に前記大径リング部分3cに形成された前記外ネジmに螺合する内ネジn’を有する。
【0025】
而して、前記水栓1を蛇口本体60の差し込み部65に差し込み、続いて、袋ナット59aを差し込み部65に締付けることにより、前記シール部材8が前記弁座4に圧接した状態で、かつ、連通部材3の前記外周面Cの内側傾斜部分30に設けたリング状のパッキン66が蛇口本体60の差し込み部65の上面65aを圧接した状態で、止水および流量調節を行うことができる。
【0026】
そして、最も深いシート深さL(=K2 )の蛇口本体60に前記水栓1を装着した場合は、28.9mmから27.65mmを引き算して得た長さ分ΔK2 だけ調整部材7を捻じって弁座4側に(前進)移動させ、続いて、緩み止め部材30を捻じって前記ネジ部7bの端面に下流側から当接させる。
【0027】
一方、最も浅いシート深さL(=K1 )の蛇口本体60に前記水栓1を装着した場合は、緩み止め部材30を袋ナット59a側に(後退)移動させて調整部材7から離間させた後、27.65mmから26.4mmを引き算して得た長さ分ΔK1 だけ調整部材7を捻じって袋ナット59a側に(後退)移動させ、続いて、緩み止め部材30を捻じって前記ネジ部7bの端面に下流側から当接させる。
【0028】
このように、弁座4に圧接可能なシール部材8を調整部材7の先端に設け、この調整部材7をネジ式にしたので、蛇口本体60のシート深Lさの違いにかかわらず調整部材7および緩み止め部材30を捻じるだけの簡単な作業で水漏れが発生するのを防止できる。
【0029】
なお、この発明にいう「水」は、湯を含む概念であり、この発明のシングルレバー式水栓は、給湯設備の下流側に設置して用いることもできるのは勿論である。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明は、蛇口本体のシート深さの違いにかかわらず取り外し作業およびシート深さ調節用のパッキンの追加あるいは交換作業を不要にしながら水漏れを防止できるシングルレバー式水栓を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態を示す構成説明図である。
【図2】 上記実施形態における要部構成説明図である。
【図3】 上記実施形態を示す外観図である。
【図4】 (A)は、従来例における袋ナット側からの水漏れ状態を示す斜視図である。
(B)は、上記水漏れ防止のための作業手順を示す図である。
(C)は、従来例における止水時の吐水管側からの水漏れ状態を示す斜視図である。
(D)は、上記止水時の吐水管側からの水漏れを防止のための作業手順を示す図である。
【図5】 シングルレバー式水栓を既設の蛇口本体に装着するときの手順を説明するための図である。
【符号の説明】
1…シングルレバー式水栓、1a…水栓本体、2…導水路、3…連通部材、3b,3c…下端部、4…弁座、5…給水路、6…吐水路、7…調整部材、8…シール部材、51…操作部材、52…可動ディスク、52a…接合面、53…凹部、54…固定ディスク、54a…上面、55…給水孔、56…排水孔、71…排水路、76,77…パッキン。
Claims (2)
- 給水路、吐水路および弁座を有する蛇口本体に着脱自在に装着され、内部に、前記給水路に連通する導水路と、前記吐水路に連通する排水路とを有する連通部材を設けた水栓本体と、
前記連通部材にパッキンを介して設けられ、前記導水路に連通した給水孔および前記排水路に連通した排水孔が形成された固定ディスクと、
この固定ディスクの上面に移動自在に設けられ、前記固定ディスクとの接合面に凹部が形成された可動ディスクと、
上下方向の回動により前記可動ディスクを移動させる操作部材と
を備え、
前記操作部材の回動により、前記可動ディスクを、
前記凹部が前記給水孔を閉塞する閉塞位置と、
前記凹部が、前記給水孔および前記排水孔に跨がる開放位置と
に移動させるように構成したシングルレバー式水栓において、
前記弁座に圧接可能なシール部材を先端に有し、かつ、前記連通部材の下端部に形成された外周面の外ネジに螺合する内ネジを形成し、連通部材に対して前進・後退自在に構成され前記シール部材の位置を調整するための筒状の調整部材を前記連通部材の下端部に設けてあることを特徴とするシングルレバー式水栓。 - 前記調整部材の緩みを防止する緩み止め部材を前記連通部材に設けてある請求項1に記載のシングルレバー式水栓。
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