JP3974274B2 - 光学素子の温度特性の測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ディスク装置等に設けられる光学素子の、温度変化に伴う反射面の傾角変化を測定するための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光ディスク装置等に設けられる光学素子(プリズム等)の、温度変化に伴う反射面の傾角変化を測定する方法が知られている。図7に、従来の測定方法の概略を示す。ここでは、光ディスク装置のベース部材505に取り付けられたプリズム500の反射面502の温度変化に伴う傾角変化を測定するものとする。
【0003】
プリズム500が取り付けられたベース部材505は、図示しない加熱手段を備えた加熱チャンバ510内に入れられ、加熱チャンバ510の底部である架台515に載置される。加熱チャンバ510には光を透過する窓512が設けられており、プリズム500はその反射面502を窓512に向けた状態で置かれる。
【0004】
そして、加熱チャンバ510内を所定の温度に加熱し、オートコリメータ550によって、プリズム500の反射面502に平行光を照射し、反射面502にからの反射光に基づき、反射面502の温度変化に伴う傾角変化を測定する。オートコリメータ550と加熱チャンバ510の相対角度が温度変化に伴って変化しないと仮定すれば、反射面502のベース部材505に対する傾角がαだけ変化した時、反射面502における平行光の反射角度は2αだけ変化する。従って、上記平行光の反射角度の変化2αをオートコリメータ500により検出すれば、反射面の傾角変化αが求められる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般に、温度変化に伴ってオートコリメータ550と加熱チャンバー510との相対角度が変化するため、上述の測定方法では高い測定精度は期待できない。これは、温度変化に伴うオートコリメータ550と加熱チャンバ510との相対角度の変化をβとすると、反射面502における平行光の反射角度が、2αではなく、2(α+β)となるためである。そのため、従来より、温度変化に伴う光学素子の反射面の傾角変化を高精度で測定する方法の開発が望まれていた。
【0006】
上記のような事情に鑑み、本発明は、温度変化に伴う光学素子の反射面の傾角変化を、高精度で測定する方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明による光学素子の温度特性の測定方法は、(1)所定の反射面を持つ光学素子が取り付けられたベース部材を、加熱手段を有する加熱チャンバ内に設けられた測定台に載置し、(2)測定台に当該反射面と略平行な基準面を設け、(3)加熱チャンバ内を加熱し、(4)オートコリメータにより反射面と基準面に夫々光照射を行い、(5)反射面と基準面からの各反射光に基づいて、加熱に伴う基準面に対する反射面の相対角度の変化を検知し、(6)当該相対角度の変化から、ベース部材に対する反射面の傾角変化を測定すること、を特徴とするものである。
【0008】
このように、基準面に対する反射面の相対角度の変化を読み取れば、オートコリメータと加熱チャンバとの相対的角度の変化分が相殺されるため、反射面のベース部材に対する傾角変化を正確に求めることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態による光学素子の温度特性の測定に用いられる装置を示す側面図である。光学素子200は光ディスク装置のベース部材210の水平な座面212に固着されている。尚、光学素子200を含む光ディスク装置については後述する。
【0010】
光学素子200を加熱するための加熱チャンバ100は、略立方体形状の容器である。加熱チャンバ100の一側面には窓102が形成されている。又、加熱チャンバ100の反対側の側面にはエアーダクト104が取り付けられている。エアーダクト104は、図示しない加熱及び冷却装置に連結されている。この図示しない加熱及び冷却装置から送り込まれる加熱空気等によって、加熱チャンバ100の内部は所定の温度に加熱される。
【0011】
加熱チャンバ100の底を形成する架台106上には、ベース部材210を載置するための測定台110が設けられている。測定台110は複数本の脚部114を有し、測定台110の上面と架台106の上面とが略平行になるよう、架台106上に載置されている。
【0012】
測定台110の上面には複数個の支持座116が取り付けられており、この支持座116の上にベース部材210が載せられる。ここで、ベース部材210は、光学素子200の反射面202が窓102と相対するよう、測定台110に置かれる。さらに、測定台110の窓102に相対する面は、光学素子200の反射面202と略平行な面になるように、鏡面加工を施されている。この鏡面加工された面が基準面112となる。
【0013】
加熱チャンバ100の外には、公知のオートコリメータACが配置される。オートコリメータACは、図2にその基本構成を示すように、(1)光源L、集光レンズC、半透過ミラーH、対物レンズO及び接眼レンズEを有している。集光レンズCと半透過ミラーHの間には、十字線などの標線が刻まれたガラス板である標板G1が配置され、接眼レンズEと半透過ミラーHの間には、目盛線が刻まれたの描かれたガラス板である焦点板G2が配置されている。
【0014】
標板G1、焦点板G2の位置はいずれも対物レンズOの焦点面に相当する。上記のオートコリメータACによって反射面(図2ではRで示す)に向けて平行光が照射される。反射面Rで反射された平行光は焦点板G2の位置に標線の像を結ぶ。オートコリメータACに対して反射面Rが傾くと、焦点板G2に結ばれる標線の像位置も移動する。この移動量を焦点板G2に刻まれた目盛によって読みとることにより、反射面Rの傾角変化を知ることができる。
【0015】
尚、オートコリメータACに対して反射面Rがθだけ傾くと、反射面Rでの平行光の反射角度は2θ変化する。従って、対物レンズOの焦点距離をfとすると、焦点板G2上では標線が2fθだけ移動する。
【0016】
図3は、実施形態による光学素子の温度特性の測定方法を示す図である。まず、オートコリメータACは、加熱チャンバ100の窓102に相対して置かれ、オートコリメータAC(図2)からの出射光が光学素子200の反射面202と測定台110の基準面112に夫々照射されるよう配置される。次いで、加熱チャンバ100に加熱空気が送り込まれ、加熱チャンバ100内が所定の温度に加熱される。
【0017】
そして、上記のオートコリメータAC(図2)により、光学素子200の反射面202と測定台110の基準面112に向けて夫々平行光が照射され、基準面112に対する反射面202の相対角度が検出される。ここで、温度変化に伴う反射面202のベース部材210に対する傾角変化をαとする。又、温度変化に伴うオートコリメータACと加熱チャンバ100の相対角度の変化をβとする。
【0018】
加熱チャンバ100内で光学素子200を加熱すると、反射面202のオートコリメータACに対する傾角変化はα+βとなる。即ち、反射面202における平行光の反射角度は2(α+β)だけ変化し、これは焦点板G2(図2)における標線の移動量2f(α+β)として読みとられる。一方、測定台110の基準面112の傾角変化はβであり、基準面112における平行光の反射角は2βだけ変化する。これは、焦点板G2(図2)における標線の移動量2fβとして読みとられる。
【0019】
従って、オートコリメータAC(図2)による標線移動量の差、即ち2f(α+β)−2fβを求め、これを対物レンズO(図2)の焦点距離fで割れば、反射面202のベース部材210に対する正確な傾角変化αを求めることができる。
【0020】
このように、本実施形態の光学素子の温度特性の測定方法によれば、基準面に対する反射面の相対角度の(加熱に伴う)変化を読み取ることによって、オートコリメータと加熱チャンバとの相対的角度の変化分が相殺されるため、反射面のベース部材に対する傾角変化を正確に求めることができる。
【0021】
次に、上記の光学素子200を用いた光ディスク装置について説明する。図4は実施形態の光ディスク装置の概略構成を示す平面図であり、図5は光ディスク装置の光学系を示す概略図である。図4及び図5に示すように、光ディスク装置は、光ディスク2の記録面にレーザー光束を収束させる対物レンズ10を搭載した可動部3と、光ディスク装置の本体(図示せず)に固定された固定光学ユニット6により構成されている。
【0022】
図4に示すように、可動部3は、光ディスク装置本体(図示せず)に固定された一対のセンターヨーク41,42に沿って移動可能に保持されている。センターヨーク41は長手方向両端でコの字形状のサイドヨーク43に連結され、センターヨーク41とサイドヨーク43とが四角形の4辺を形成している。センターヨーク41とサイドヨーク43で囲まれた空間にはマグネット45が配置され、センターヨーク41・サイドヨーク43・マグネット45により磁気回路が形成されている。同様に、センターヨーク42とコの字形状のサイドヨーク44、及びこれらに囲まれた空間に配置されたマグネット46により、もう一つの磁気回路が形成されている。
【0023】
可動部3には、センターヨーク41,42を夫々周回する一対の駆動用コイル47,48が設けられている。即ち、駆動用コイル47,48は、上記一対の磁気回路内に夫々位置する。そして、駆動コイル47,48に電流を流すと、マグネット45,46により形成される磁界との作用により、可動部3は、光ディスク2(図5)のトラックを横断する方向(図4の左右方向)に直進移動する。
【0024】
図5に示すように、固定光学ユニット6は、レーザー光束を発する半導体レーザー18,(半導体レーザー18からの)発散光を平行光に変換するコリメートレンズ20,複合プリズムアッセイ21,結像レンズ23,データ検出/フォーカス/トラッキング検出センサー24,およびAPCセンサー25を有している。
【0025】
コリメートレンズ20から射出される平行光束の断面形状は半導体レーザー18の特性のため長円状であり、レーザー光束を光ディスク2上に微小に絞り込むには都合が悪いため略円形断面に変換する必要がある。このため、複合プリズムアッセイ21の入射面21aは入射光軸に対して所定の傾斜を有しており、入射光を屈折させることにより平行光束の断面形状を長円形状から略円形形状に整形する。
【0026】
固定光学ユニット6から出射されたレーザー光束は、空間中を直進して可動部3に入射し、可動部3内に設けられた偏向ミラー31で上方に反射され、対物レンズ10に入射する。尚、固定光学ユニット6からのレーザー光束の進行方向は可動部3の直進移動方向と一致しており、可動部3の移動位置に関わらず、固定光学ユニット6からのレーザー光束は対物レンズ10に入射する。
【0027】
図6に、対物レンズ10と光ディスク2の関係を示す。対物レンズ10に入射したレーザー光束は、光ディスク2の保護層2Bを通過して記録面2Aに収束する。尚、可動部3と光ディスク2の記録面2Aとの距離を常に一定に保つため、可動部3に搭載された対物レンズ10は、光ディスク2の面ぶれに追従させるべく上下に移動制御される。このフォーカスサーボと呼ばれる対物レンズ10の移動制御方法については、説明を省略する。
【0028】
光ディスク2から反射されて戻ってきた復路のレーザー光束は、往路と逆に進んで固定光学ユニット6に戻り、複合プリズムアッセイ21に入射する。複合プリズムアッセイ21のハーフミラー面21bは、透過光と、データ検出/フォーカス/トラッキング検出センサー24へ向かう反射光を生成し、復路のレーザー光束を分離する。データ検出/フォーカス/トラッキング検出センサー24は、光ディスク2に記録されているデータ情報を読みとりデータ信号を出力し、且つフォーカス/トラッキング誤差信号を出力する複合型のセンサーである。尚、正確にはフォーカス/トラッキング誤差信号およびデータ信号は図示しないヘッドアンプ回路によって生成され、制御回路又は情報処理回路に送られる。
【0029】
上述の図1から図3で説明した光学素子200は、図5の複合プリズムアッセイ21、コリメータレンズ20等である。但し、この発明は、図4から図6に示す光ディスクで用いられる光学素子に限られるものでは無く、他のタイプ(例えば回動アーム型)の光ディスク装置の光学素子であっても良い。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光学素子の温度特性の測定方法によると、オートコリメータと加熱チャンバとの相対角度が温度により変化しても、光学素子の反射面の傾角変化を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の測定方法で用いる装置を示す側面図である。
【図2】オートコリメータの基本構成を示す図である。
【図3】実施形態の測定方法を示す図である。
【図4】実施形態の光ディスク装置の基本構成を示す図である。
【図5】図4の光ディスク装置の光学系を示す概略図である。
【図6】対物レンズと光ディスクを拡大して示す図である。
【図7】従来の測定方法を示す図である。
【符号の説明】
100 加熱チャンバ
102 窓
110 測定台
112 基準面
200 光学素子
202 反射面
210 ベース部材
AC オートコリメータ
Claims (3)
- 所定の反射面を持つ光学素子が取り付けられたベース部材を、加熱手段を有する加熱チャンバ内に設けられた測定台に載置し、
前記測定台に、前記反射面と略平行な基準面を設け、
前記加熱チャンバ内を加熱し、
オートコリメータにより、前記反射面と前記基準面に夫々光照射を行うと共に、前記反射面と前記基準面からの各反射光に基づいて、前記加熱に伴う前記基準面に対する前記反射面の相対角度の変化を検知し、
前記基準面に対する前記反射面の相対角度の変化から、前記ベース部材に対する前記反射面の傾角変化を測定すること、
を特徴とする光学素子の温度特性の測定方法。 - 前記基準面は、前記測定台を研磨加工することにより得られること、を特徴とする請求項1に記載の光学素子の温度特性の測定方法。
- 前記研磨加工は鏡面研磨であること、を特徴とする請求項2に記載の光学素子の温度特性の測定方法。
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