JP3974222B2 - 粉体塗装方法および粉体塗装装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道管の配管等に用いられるバルブの弁箱、特にソフトシール弁用の弁箱に、均一な塗膜を形成するのに有用な粉体塗装方法及び粉体塗装装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水道管などの配管には、仕切弁(ゲートバルブ)、玉形弁、蝶形弁、ボール弁などの種々のバルブが用いられている。これらのバルブの弁箱の内外面は、防蝕、防錆等のため、エポキシ樹脂などで粉体塗装が施される場合が多い。
【0003】
一方、弁箱に弁座を設け、弁体と弁座とをメタルタッチでシールする従来のバルブに代わって、最近、弁箱(例えば鋳物製)と非金属製(例えばゴム製)の弁体とを弁座を用いることなく直接当接させてシールするソフトシール弁が使用されるようになっている。このソフトシール弁の弁箱の内面には、防錆性に加えて、高い密着性を付与するため、外面よりも大きい膜厚の塗膜が必要である。例えば、水道配管用の仕切弁では、外面の塗膜厚が0.15mm程度あればよいのに対し、内面では0.3mm以上の膜厚が必要である。また、上記ソフトシール弁では、高いシール性を確保するため、弁箱のうち弁体とのシール部に高い平滑性が要求される。
【0004】
弁箱の内外面を粉体塗装する方法として、粉体塗装用の静電塗装機を用いて、粉体塗料を負に帯電させてスプレーする静電塗装法が広く利用されている。しかし、この方法では、作業時間が長く、生産性が低い。また、高電圧発生器などの多くの付帯設備を必要とするため、設備費がかさむ。さらに、塗膜の膜厚の均一性も十分ではなく、弁箱の内外面をそれぞれ適切な膜厚に調整することも困難である。
【0005】
粉体塗装の他の方法として、流動浸漬法も知られている。この方法は、作業効率及び生産性が高く、設備を簡易化できるという利点を有する。しかし、流体の流路と弁体装入孔とがT字形に形成された弁箱を粉体塗装する場合、弁箱を単に流動槽に浸漬するだけでは、粉体が侵入する各開口部の位置関係により、被塗装部位の膜厚が変動する。例えば、流体の流路を水平方向に位置させ、弁体装入孔を上方に位置させた状態で流動槽に浸漬すると、弁箱の内面のうち底部に位置する部位、特に弁体装入孔に対応する部位に粉体が蓄積しやすく、その部位の膜厚が著しく大きくなる。そのため、均一な厚みを有する塗膜を形成することができない。また、弁箱の内面の膜厚と外面の膜厚とをそれぞれ適切な値に調整することも困難である。このような問題は、特に、融点が低く膜厚調整の困難なエポキシ樹脂などで粉体塗装する場合に顕著である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、流体の流路と弁体装入孔とがT字形に形成された弁箱の表面に膜厚の均一な塗膜を効率よく形成できる塗装方法およびそのための装置を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、弁箱の内外面の塗膜を、それぞれ所望の厚みに調整できる弁箱の塗装方法および塗装装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討の結果、流体の流路と弁体装入孔とがT字形に形成された弁箱を、前記流路方向を軸として回転させながら、粉体塗料流動槽内で粉体塗装した後、弁箱内部の余剰粉体を除去すると、膜厚の均一な塗膜を効率よく形成できることを見出だし本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明の外面よりも内面の塗膜厚みが大きいソフトシール弁用の弁箱の粉体塗装方法は、流体の流路と弁体装入孔とがT字形に形成され、前記流路の両端に複数のボルト穴を有するフランジが形成され且つ加熱された弁箱を流動浸漬により粉体塗装する方法であって、前記フランジのボルト穴に装着可能であり、かつ底面の直径が前記ボルト穴の直径よりも大きい錐体状突起を有する治具を用いて、弁箱のフランジと治具との隙間から粉体を流通可能にチャッキングして弁箱を保持し、粉体塗料を流動させた流動槽内で、前記流路の両端部及び弁体装入孔を開放にした状態で弁箱を前記流路方向を軸として回転させながら粉体塗装する塗装工程と、塗装した弁箱内部の余剰粉体を除去する除去工程とを含む。
【0010】
本発明の粉体塗装装置は、外面よりも内面の塗膜厚みが大きいソフトシール弁用の弁箱を塗装するために用いられ、かつ流体の流路と弁体装入孔とがT字形に形成され且つ前記流路の両端に複数のボルト穴を有するフランジが形成された弁箱を流動浸漬により粉体塗装するための装置であって、前記フランジのボルト穴に装着可能であり、かつ底面の直径が前記ボルト穴の直径よりも大きい錐体状突起を有する治具を用いて、弁箱のフランジと治具との隙間から粉体を流通可能にチャッキングして前記流路の両端部及び弁体装入孔を開放にした状態で前記弁箱を流路方向を軸として回転可能に保持する保持手段と、弁箱を、前記保持手段を介し、流路方向を軸として回転させるための回転手段と、加熱された弁箱を粉体塗装するための粉体塗料流動槽と、弁箱を前記保持手段を介して昇降させる昇降手段と、塗装した弁箱内部の余剰粉体を除去するための除去手段とを有している。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、必要により添付図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の方法において粉体塗装に付す弁箱の一例を示す斜視図である。弁箱1は、ソフトシール弁用の鋳物製の弁箱(仕切弁の弁箱)であって、内部には、流体を流通させるための直線状の流路7と、この流路7に対して直交する方向に延び且つ弁体2を装入し収容するための弁体装入孔6とがT字形に形成されている。この弁箱1の流路7の両端には、それぞれボルト穴9,10を有する丸フランジ4,5が、また弁体装入孔6の外方端部には、ボルト穴8を有する小判フランジ3が形成されている。弁箱の流路7の口径は、特に限定されないが、例えば20〜1200mmφ程度、通常、50〜350mmφ程度である。
【0013】
なお、流体の流路7と弁体装入孔6とは、必ずしも直交していなくてもよく、ある程度の角度をなして連通していればよい。また、フランジ3,4,5の形状は特に限定されない。弁箱の材質は、鋳鉄、鋳鋼などの鋳物製のほか、鍛鋼、青銅及び合金鋼などの何れであってもよい。弁箱は、仕切弁に限らず、玉形弁、蝶形弁、ボール弁などの弁箱であってもよい。
【0014】
図2は本発明の粉体塗装装置の一実施例を示す概略正面図であり、図3は図2の粉体塗装装置の要部を示す概略側面図である。また、図4は本発明の粉体塗装方法の一実施例を示す概略工程図である。図5は図4の工程で用いられる治具を示す斜視図、図6は図4の工程で用いられる回転ホルダを示す斜視図である。
【0015】
粉体塗装装置は、図2及び図3に示されるように、弁箱1を流路方向を軸として回転可能に保持する一対の治具11,11及び回転ホルダ12,12(保持手段)と、弁箱1を、前記保持手段を介し、流路方向を軸として回転させるためのモータ30(回転手段)と、加熱された弁箱1を粉体塗装するための粉体塗料流動槽13と、弁箱1を前記保持手段を介して昇降させる油圧シリンダ34(昇降手段)と、塗装した弁箱1の内部の余剰粉体をサクションユニット35を通じて吸引除去するための吸引手段(図示せず)とを有している。
【0016】
治具11は、図5に示されるように、表面に複数個の円錐状の突起16が形成された円形の基板15と、基板15の中心部を貫通し且つ弁箱1の流路7と連通可能な連通管17とで構成されている。上記円錐状突起16は、弁箱1のフランジ4,5のボルト穴9,10の位置に対応して設けられており、この突起16の底面の直径はボルト穴9,10の直径よりも大きく形成されている。
【0017】
回転ホルダ12は、図6に示されるように、角柱状の治具固定部18bと、円柱状の軸受部18aと、モータ30の回転を伝動するベルトを装着するためのプーリー部18cと、粉体除去ライン接続部18dとを有している。また、回転ホルダ12の軸方向には貫通孔19aが形成されていると共に、回転ホルダ12の端部には、軸方向に、前記貫通孔19aと連通し且つ前記治具11の連通管17を内接させることにより固定可能な断面方形状の孔19bを有する治具固定部18bが形成されている。
【0018】
モータ30は台32上に載置されている。台32からはフレーム33が下方に延出しており、回転ホルダ12の軸受部18aに連結され、弁箱1を支持している。また、モータ30の回転軸と回転ホルダ12のプーリー部18cとはベルト31を介して連結されている。台32は油圧シリンダ34(昇降手段)のピストンに連結されている。
【0019】
図4に示されるように、工程(1)では、加熱された弁箱1を、1対の治具11,11と、1対の回転ホルダ12,12により、流路方向を軸として回転可能に保持する。弁箱1は、粉体塗料の種類に応じて、例えば100〜400℃程度、好ましくは130〜250℃程度に加熱されて粉体塗装に付される。
【0020】
弁箱1の保持は、例えば、次のようにして行うことができる。すなわち、治具11の突起16を弁箱1のフランジ4,5のボルト穴9,10に位置させ、治具11の連通管17のうち内方部を弁箱1の流路7内に挿入し、治具11でフランジ4,5を挾圧することにより、フランジ4,5をチャックする。この際、フランジ4,5は、粉体がフランジ4,5と基板15,15との隙間から流通可能にチャッキングされる。そして、治具11の連通管17の外方部を回転ホルダ12の治具固定部18bに形成された断面方形状の孔19bに挿入し、必要であれば治具固定部18bにピンを差し込んで固定する。弁箱1を確実に保持するため、弁箱1の両側に配設した2つの治具11,11の基板15,15同士をスタットボルトなどにより固定してもよい。
【0021】
この例では、弁箱1のフランジのボルト穴を利用し、突起16の周面をフランジのうちボルト穴の開口端部に圧接することにより、弁箱1を保持するので、塗装後の治具跡(未塗装部)を小さくできる。なお、治具11の連通管17および回転ホルダ12の貫通孔19aは、後の吸引除去工程において、余剰粉体の通路として利用される。上記の例では、治具11の中空管17が弁箱1の流路内に挿入されるので、余剰粉体を効率よく除去できると共に、粉体の飛散を著しく抑制できる。
【0022】
工程(2)では、上記のように治具11と回転ホルダ12とからなる保持手段により保持された弁箱1を、前記保持手段を介してモータ30により回転させる。モータの回転を弁箱1に伝動するための伝動手段としては、ベルトのほかチェーンなどの慣用の伝動手段を使用できる。弁箱1の回転数は、例えば10〜400rpm、好ましくは20〜250rpm程度、さらに好ましくは25〜60rpm程度である。
【0023】
工程(3)では、弁箱1を、回転させながら、油圧シリンダ34(昇降手段)により前記保持手段を介して下降させ、粉体塗料を流動させた流動槽13内に徐々に浸漬させ、所定時間、弁箱1の内外面を粉体塗装する。
【0024】
昇降手段としては、油圧シリンダのほか、物体の直線往復運動に利用される慣用の手段、例えば、水圧シリンダなどを使用できる。粉体塗料流動槽13としては、粉体塗装用の慣用の流動槽を使用できる。
【0025】
この工程では、粉体が弁箱1の外面に付着、溶融して塗膜が形成されると共に、粉体が弁体装入孔6の開口端部、前記フランジ4,5と基板15,15との隙間および回転ホルダ12の貫通孔19aの端部から、弁箱内部に侵入し、弁箱の内面に付着、溶融して、塗膜が形成される。
【0026】
弁箱1の移動速度(下降速度)及び流動槽内での滞留時間(弁箱と粉体塗料の接触時間)は、所望する膜厚に応じて適宜設定できる。弁箱1の移動速度は、例えば、8〜30m/分程度、好ましくは12〜18m/分程度である。また、弁箱1の前記滞留時間は、例えば0.5〜10秒程度、好ましくは1〜8秒程度である。弁箱1は、常に同一方向に回転させてもよいが、必要に応じて、交互に逆方向に回転させてもよい。回転方向を変えることにより、塗膜の均一性を向上できる場合がある。
【0027】
粉体塗料としては、粉体塗装に用いられる塗料用樹脂であれば特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂;塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、飽和ポリエステル、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂などが例示される。これらの中でも、エポキシ樹脂を用いる場合が多い。
【0028】
本発明では、弁箱1を回転させながら粉体塗装するので、粉体塗料が、弁箱1の内外の特定箇所に集積することがなく、膜厚の均一な塗膜を形成できる。
【0029】
工程(4)では、弁箱1を、前記昇降手段により、前記保持手段を介して上昇させ、流動槽13から取り出す。弁箱1の取出し操作は、弁箱1を回転させながら行ってもよく、回転させることなく行ってもよい。弁箱1を回転させず、弁体装入孔6を上方に位置させて取り出す場合には、弁箱1の流路7の内壁面に付着してはいるものの未だ溶融して被膜化していない粉体が弁体装入孔6から脱落するのを防止できる。弁箱1の移動速度(上昇速度)は、弁箱1を流動槽13に浸漬する場合と同様である。
【0030】
工程(5)では、流動槽13から取り出した弁箱1の内部に存在する余剰粉体を、流体の流路の対向する両端部から吸引により除去する。余剰粉体の吸引除去は、前記回転ホルダ12内に形成された貫通孔19aと、例えば、バッグフィルター、真空ポンプ、エジェクター、アスピレーターなどの吸引手段(図示せず)からの吸引ラインとを、サクションユニット35を用いて連通させることによって行うことができる。
【0031】
上記吸引操作は、弁箱1を静止した状態で行ってもよいが、弁箱1を、流体流路方向を軸として回転させながら行うのが好ましい。弁箱の回転数は前記と同様である。弁箱1を回転させながら吸引する場合には、弁箱1の内部に存在する余剰の粉体が吸引操作中に弁箱1内の特定の部位で被膜化するのを防止できると共に、前記粉体が浮遊状態となるため、吸引除去が容易である。また、弁箱1を回転させながら吸引操作を行うと、弁箱1の回転により、弁箱1の外面に付着している余剰の粉体も除去できる。なお、弁箱1の外面に付着した余剰の粉体は、前記吸引操作の前または後に、弁箱1を回転させることにより除去することもできる。粉体の吸引除去は、通常、極めて短時間(例えば、30秒以内、通常5〜20秒程度)で終了する。吸引除去した粉体は、吸引ラインの途中に、例えばトラップ、フィルターなどを設けることにより回収できる。
【0032】
弁箱1を流動槽13から取り出した際には、弁箱1の流路7の内部には、未だ溶融していない未塗装の粉体が残存している。この粉体は、時間の経過とともに、弁箱1の内部壁面で被膜化する。そのため、弁箱1を流動槽13から取り出してから吸引操作を行うまでの時間を調整することにより、弁箱1の内面に形成される塗膜の膜厚を調整できる。すなわち、弁箱1の外面の塗膜の膜厚と、内面の塗膜の膜厚をそれぞれ独立して調整できるので、弁箱の内外面にそれぞれ所望の膜厚を有する塗膜を形成できる。また、余剰粉体を吸引により除去するため、粉体が周囲に飛散するのを防止でき、良好な作業環境を保持できる。
【0033】
工程(6)では、弁箱1に取り付けた治具11,11及び回転ホルダ12,12を取り外し、内外面が粉体塗装された弁箱1を得る。弁箱1は、余剰粉体の吸引除去後、粉体塗料の種類により、必要に応じて、塗装した粉体塗料を加熱硬化させてもよい。
【0034】
なお、保持手段としての治具11および回転ホルダ12は、必ずしも上記の構造を有していなくてもよく、弁箱を、流路方向を軸として回転可能に保持する構造を有していればよい。例えば、治具と回転ホルダを一体に形成してもよい。治具11の突起16の形状は、弁箱1を確実に保持できる形状であればよいが、塗装後の治具跡を小さくするため、円錐状、三角錐状、四角錐状などの錐体状であるのが好ましい。治具11の突起16は、フランジ4,5のボルト穴9,10に差し込む代わりに、フランジ面に圧接してもよい。
【0035】
弁箱1は、少なくとも粉体塗装時に回転していればよく、弁箱1を流動槽13に浸漬する前、および弁箱1を流動槽13から取り出した後は、必ずしも弁箱1を回転させなくてもよい。
【0036】
流動槽13から取り出した後、弁箱1を回転させる場合に、弁箱1内に入り込んだ粉体が弁体装入孔6から脱落し、弁箱1の流路7の内壁面のうち弁体装入孔6に対応する部位に付着した粉体の量が、他の内壁面に付着した粉体の量と比べて少なくなり、塗膜の膜厚に差異が生じることがある。これを防止するため、弁箱1の弁体装入孔6に蓋部材を取り付けてもよい。
【0037】
図7は、弁体装入孔6に取り付ける蓋部材の一例を示す斜視図であり、図8は、この蓋部材を弁箱1に取り付けた状態を示す側面図である。
【0038】
蓋部材20は、中央部に孔21aが形成された板状の基部材21と、基部材21の一方の面に、ヒンジ25を介して取り付けられた蓋24とで構成されている。蓋24は鉄などの磁石に吸着可能な材質(磁性体)で構成され、基部材21の孔21aを閉塞可能な大きさに形成されている。また、蓋24は、ヒンジ25から離間した位置に、厚みの大きいウエイト部24aを有している。基部材21のうち、蓋24の前記ウエイト部24aと対応する部位に磁石23が取り付けられている。また、基部材21の他方の面には、弁箱1の弁体装入孔6の端部に形成されたフランジ3のボルト穴8に対応する部位に、円錐状の突起22が形成されている。前記円錐状突起22の底面の直径は、前記ボルト穴8の直径よりも大きく形成されている。
【0039】
上記蓋部材20は、例えば、突起22をフランジ3のボルト穴8に入れ、蓋部材20と弁箱1のフランジ3とを適当な固定部材で固定することにより、弁箱1にセットできる。
【0040】
このように蓋部材20を取り付けた弁箱1の粉体塗装は、以下のようにして行うことができる。すなわち、流動槽13内では、蓋24を開放にした状態で、弁箱1の流路方向を軸にして、図8の2つの矢印のうち右方向に回転させながら、弁箱1の内外面を粉体塗装し、次いで、例えば、弁箱1を流動槽13から取り出した後に、左方向に逆回転させる。弁箱1を左方向に回転させると、蓋部材20の蓋24が閉まり、磁石23により固定される。
【0041】
この方法によれば、流動槽内での粉体塗装時には、蓋部材20の基板21の中央部に形成された孔21aを通して、弁体装入孔6内に粉体塗装に十分な量の粉体を取り入れることができ、流動槽から取出した後に、弁箱1を回転させても、弁箱1内に入り込んだ粉体のうち、特に弁体装入孔6に対応する部位に存在する粉体が弁体装入孔6から脱落するのを抑制できる。そのため、流動槽から取り出した後に弁箱1内部に存在する粉体の溶融により形成される塗膜の膜厚も極めて均一性が高い。したがって、弁箱1の流路7の内壁面に、所望の厚みを有する極めて均一な塗膜を形成することができる。
【0042】
なお、蓋24を閉めるため、弁箱1の回転方向を必ずしも変換させる必要はなく、例えば、蓋24を手または適当な道具を用いて閉めることもできる。
【0043】
また、蓋部材20の構造は、上記に限らず、弁体装入孔6を閉塞可能に形成されていればよい。この場合、弁体装入孔6は完全に閉塞される必要はなく、弁体装入孔6からの粉体の過剰な脱落を抑制できる程度に閉塞されればよい。
【0044】
前記工程(5)において、流動槽13から取り出した弁箱1の内部に存在する余剰粉体を除去する方法としては、吸引除去のほか、慣用の粉体除去方法を使用できる。例えば、弁箱1内に圧縮空気などのガスを吹き込むことにより、余剰粉体を除去することもできる。この場合、ガスの供給は、ガス供給手段(例えば、空気ボンベ、コンプレッーなど)からのラインを前記貫通孔19aに接続することにより行うことができる。また、前記治具11のうち基板15より外方に、中空官17内にガスを供給可能なガス供給ノズルを形成し、このノズルを通してガスを弁箱1内に供給することもできる。さらに、弁体装入孔6からガスを吹き込んで弁箱1内の余剰粉体を除去してもよい。
【0045】
本発明の方法で得られた弁箱は、水道管用などの各種配管用バルブの弁箱、特に、ソフトシール弁用の弁箱として有用である。
【0046】
【発明の効果】
本発明では、弁箱を、流動槽内で、流路方向を軸として回転させながら粉体塗装し、塗装した弁箱内部の余剰粉体を除去するので、流体の流路と弁体装入孔とがT字形に形成された弁箱の表面に膜厚の均一な塗膜を効率よく形成できる。
【0047】
また、弁箱の内外面の塗膜を、それぞれ所望の厚みに調整できる。
【0048】
【実験例】
実験例1
図1に示す弁箱(流路の口径75mmφ)の内外面を、図2及び3に示す粉体塗装装置を用い、図4に示す工程にしたがって粉体塗装した。
【0049】
すなわち、170℃に加熱した弁箱を治具11,11及び回転ホルダ12,12により保持し、回転数32rpmで回転させながら、エポキシ樹脂の粉体を流動させた流動槽13内に徐々に浸漬し、次いで同様に回転させながら徐々に引き上げた。弁箱の浸漬時間は1.5秒であった。
【0050】
弁箱を流動槽13から引き上げて約2秒後に、弁箱内部に存在する余剰の粉体を吸引により除去した。吸引手段として、バッグフィルターを用いた。吸引操作は弁箱を回転させながら行い、吸引時間は12秒であった。
【0051】
こうして得られた弁箱の内外面の所定部位の塗膜の膜厚を測定した。その結果を表1に示す。なお、表中の番号1〜39は下記の測定部位を示す。表に示されるように、内面と外面に異なる膜厚の塗膜を形成できると共に、内外面の塗膜の膜厚は何れも均一性に優れていた。
【0052】
測定部位
[外面]
1〜4 …フランジ4のフランジ面(4か所)
5,6 …フランジ4の側面(2か所)
7〜10 …フランジ5のフランジ面(4か所)
11,12 …フランジ5の側面(2か所)
13,14 …流路7のうちフランジ4寄りの部位に対応する外面(2か所)
15,16 …流路7のうちフランジ5寄りの部位に対応する外面(2か所)
17,18 …フランジ3の表面(上面)(2か所)
19,20 …フランジ3の側面(2か所)
21,22 …弁体装入孔6に対応する外面(側面)(2か所)
23,24 …フランジ3の裏面(下面)(2か所)
[内面]
25〜28 …流路7のうちフランジ4寄りの内壁面(4か所)
29〜32 …流路7のうちフランジ5寄りの内壁面(4か所)
33〜35 …流路7の底部壁面(3か所)
36〜39 …弁体装入孔6の内壁面(4か所)
【0053】
【表1】
【0054】
実験例2
流路の口径100mmφの弁箱を165℃に加熱して粉体塗装に付した以外は、実験例1と同様の操作を行い、粉体塗装した弁箱の内外面の所定部位の塗膜の膜厚を測定した。その結果を表2に示す。なお、表中の番号1〜39は前記と同様の測定部位を示す。表に示されるように、内面と外面に異なる膜厚の塗膜を均一性よく形成することができた。
【0055】
【表2】
【0056】
比較実験例1
図1に示す弁箱(流路の口径75mmφ)の内外面を、静電粉体塗装装置(ゲマボルスタティックAG製)を用いて、エポキシ樹脂により粉体塗装した。粉体塗装は、粉体吐出量250g/分の条件で行った。
【0057】
塗装した弁箱の内外面の所定部位の塗膜の膜厚を測定した。その結果を表3に示す。なお、表中の番号1〜39は前記と同様の測定部位を示す。表に示されるように、内外面とも、塗膜の膜厚にバラツキが大きく、均一性に劣っていた。
【0058】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の方法において粉体塗装に付す弁箱の一例を示す斜視図である。
【図2】 図2は本発明の粉体塗装装置の一実施例を示す概略正面図である。
【図3】 図3は図2の粉体塗装装置の要部を示す概略側面図である。
【図4】 図4は本発明の方法の一実施例を示す概略工程図である。
【図5】 図5は図4の工程で用いられる治具を示す斜視図である。
【図6】 図6は図4の工程で用いられる回転ホルダを示す斜視図である。
【図7】 図7は図4の工程で用いられる蓋部材の一例を示す斜視図である。
【図8】 図8は図7の蓋部材を弁箱に取り付けた状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1…弁箱
2…弁体
3,4,5…フランジ
6…弁体装入孔
7…流体の流路
11…治具
12…回転ホルダ
13…粉体塗料流動槽
20…蓋部材
24…蓋
Claims (6)
- 流体の流路と弁体装入孔とがT字形に形成され、前記流路の両端に複数のボルト穴を有するフランジが形成され且つ加熱された弁箱を流動浸漬により粉体塗装する方法であって、前記フランジのボルト穴に装着可能であり、かつ底面の直径が前記ボルト穴の直径よりも大きい錐体状突起を有する治具を用いて、弁箱のフランジと治具との隙間から粉体を流通可能にチャッキングして弁箱を保持し、粉体塗料を流動させた流動槽内で、前記流路の両端部及び弁体装入孔を開放にした状態で弁箱を前記流路方向を軸として回転させながら粉体塗装する塗装工程と、塗装した弁箱内部の余剰粉体を除去する除去工程とを含む外面よりも内面の塗膜厚みが大きいソフトシール弁用弁箱の粉体塗装方法。
- 塗装工程における弁箱と粉体塗料との接触時間が0.5〜10秒である請求項1記載の粉体塗装方法。
- 弁箱内の余剰粉体を吸引により除去する請求項1記載の粉体塗装方法。
- 弁箱内の余剰粉体を流体流路の両端部から吸引除去する請求項3記載の粉体塗装方法。
- 流体の流路方向を軸として弁箱を回転させながら、余剰粉体を吸引除去する請求項3記載の粉体塗装方法。
- 流体の流路と弁体装入孔とがT字形に形成され且つ前記流路の両端に複数のボルト穴を有するフランジが形成された弁箱を流動浸漬により粉体塗装するための装置であって、前記フランジのボルト穴に装着可能であり、かつ底面の直径が前記ボルト穴の直径よりも大きい錐体状突起を有する治具を用いて、弁箱のフランジと治具との隙間から粉体を流通可能にチャッキングして前記流路の両端部及び弁体装入孔を開放にした状態で前記弁箱を流路方向を軸として回転可能に保持する保持手段と、弁箱を、前記保持手段を介し、流路方向を軸として回転させるための回転手段と、加熱された弁箱を粉体塗装するための粉体塗料流動槽と、弁箱を前記保持手段を介して昇降させる昇降手段と、塗装した弁箱内部の余剰粉体を除去するための除去手段とを有している外面よりも内面の塗膜厚みが大きいソフトシール弁用の弁箱を塗装するための粉体塗装装置。
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