以下本発明の一実施例を、ポータブルコンピュータに適用した図面にもとづいて説明する。
図1は、B5サイズのノート形のポータブルコンピュータ1を示している。このコンピュータ1は、卓上に載置されるコンピュータ本体2を備えている。コンピュータ本体2は、偏平な箱形状の筐体3を有している。筐体3は、ロアハウジング4とアッパハウジング5とに分割されている。ロアハウジング4およびアッパハウジング5は、ABS樹脂のような合成樹脂材料にて構成されている。
ロアハウジング4は、平坦な矩形状の底壁4aと、この底壁4aに連なる左右の側壁4b,4c、前壁4dおよび後壁4eとを有している。これら側壁4b,4c、前壁4dおよび後壁4eは、底壁4aの周縁部から上向きに延びており、これら各壁4b〜4dによって筐体3の前後左右の周壁が構成されている。
アッパハウジング5は、上壁5aを有する略平坦な板状をなしている。上壁5aは、底壁4aと向かい合っており、この上壁5aの前後左右の側縁部がロアハウジング4の側壁4b,4c、前壁4dおよび後壁4dに夫々連なっている。上壁5aは、一対のディスプレイ支持部6a,6bを有している。ディスプレイ支持部6a,6bは、上壁5aの後端の左右両側部において、この上壁5aから上向きに突出している。
アッパハウジング5の上壁5aの前半部は、手を置くための平坦なパームレスト7をなしている。このパームレスト7に連なる上壁5aの後半部には、矩形状のキーボード装着口8が開口されている。図2に示すように、キーボード装着口8は、上壁5aの後半部の略全面に亘るような大きさを有している。そして、図11に示すように、キーボード装着口8の開口側縁と開口後縁には、下向きに延びる周壁9が一体に形成されており、このキーボード装着口8の左端部に周壁9の下端部に連なる支持壁10が一体に形成されている。この支持壁10は、ロアハウジング4の底壁4aと略平行に配置されている。
図2や図11に示すように、キーボード装着口8の開口前縁にキーボード支持部12が形成されている。キーボード支持部12は、キーボード装着口8の開口前縁に沿って左右方向に延びており、その左右両端部が周壁9に連なっている。キーボード支持部12は、第1ないし第3の取り付け凹部13a〜13cを備えている。これら取り付け凹部13a〜13cは、キーボード支持部12の左右両端部と中央部とに位置しており、その中央の第2の取り付け凹部13bは、左右両端の第1および第3の取り付け凹部13a,13cよりも左右方向に幅広く形成されている。
図11や図17に示すように、第1ないし第3の取り付け凹部13a〜13cは、夫々平坦な上面14と、この上面14の後端から上向きに延びる起立面15とを有している。上面14は、キーボード装着口8の支持壁10と略同一平面上に位置しており、各取り付け凹部13a〜13cの上面14にナット16が埋め込まれている。
図2に示すように、キーボード装着口8にキーボード21が取り外し可能に装着されている。キーボード21は、合成樹脂製のキーボードパネル22を備えている。キーボードパネル22は、キーボード装着口8に嵌合し得る大きさを有する平坦な長方形板状をなしている。このキーボードパネル22の上面には、多数のキー23と、ポインティングデバイスの一種であるジョイスティック24が配置されている。
キーボードパネル22の下面に金属製の補強板25が取り付けられている。補強板25は、キー操作に伴うスイッチングノイズの漏洩を防止するとともに、キーボードパネル22を補強するためのものであり、キーボードパネル22の下面全面を覆うような大きさを有する平坦な長方形板状をなしている。そして、本実施例の場合、補強板25は、熱伝導性に優れたアルミニウム合金にて構成されている。
キーボードパネル22は、第1ないし第3の支持片27a〜27cを備えている。支持片27a〜27cは、キーボードパネル22の前縁から一体に延出されている。これら支持片27a〜27cは、キーボード21をキーボード装着口8に装着した時に、第1ないし第3の取り付け凹部13a〜13cに入り込み、その上面14に重ねられるようになっている。そして、キーボード21は、その支持片27a〜27cに上方からねじ28を挿通し、このねじ28の挿通端をナット16にねじ込むことでキーボード装着口8に固定されている。
キーボード21をキーボード装着口8に固定した状態では、補強板25の左端部が支持壁10の上面に重なるとともに、この補強板25の残りの部分が筐体3の内部に露出するようになっている。
図2に示すように、キーボード装着口8の開口前縁に化粧パネル30が取り外し可能に係止されている。化粧パネル30は、キーボード支持部12を上方から覆い隠すもので、キーボード装着口8の開口前縁に沿って左右方向に延びている。この化粧パネル30は、パームレスト7とキーボード21の最前列のキー23との間に位置している。化粧パネル30の上面は、パームレスト7に面一に連続し、このパームレスト7の一部となっている。
パームレスト7の略中央部に一対のクリックスイッチボタン31a,31bが配置されている。クリックスイッチボタン31a,31bは、コマンドの実行および取り消しを行なう際に、指先で押圧するためのもので、パームレスト7の上面から僅かに突出している。
図4や図7に示すように、筐体3は、バッテリ収容部34を備えている。バッテリ収容部34は、ロアハウジング4の底壁4a、前壁4dおよび右側の側壁4cに連続して開口するような凹所にて構成され、パームレスト7の下方において左右方向に延びている。
バッテリ収容部34は、ロアハウジング4の底壁4aに連続して左右方向に延びる起立壁35と、この起立壁35の上端に連なる天井壁36とを有している。起立壁35および天井壁36は、バッテリ収容部34と筐体3の内部との間を仕切っており、その天井壁36がパームレスト7と向かい合っている。バッテリ収容部34の左端部には、筐体3の内部に連なるコネクタ導出口37が開口されている。
バッテリ収容部34にバッテリパック40が取り外し可能に装着されている。バッテリパック40は、コンピュータ1を商用電源が得られない場所で使用する際に、その駆動用電源となるものである。このバッテリパック40をバッテリ収容部34に装着した状態では、バッテリパック40の外周面がロアハウジング4の底壁4a、前壁4dおよび右側の側壁4cに連続するようになっている。
図5、図6および図28に示すように、ロアハウジング4の内部に第1ないし第3の回路基板43〜45が収容されている。第1の回路基板43は、システム基板であり、表面43aおよび裏面43bを有している。図19や図26に示すように、第1の回路基板43は、ロアハウジング4の底壁4a上の複数のボス部46にねじ47を介して固定されている。このため、第1の回路基板43は、底壁4aと平行な姿勢でロアハウジング4の内部に収容されている。
第1の回路基板43は、キーボード21の下方に位置している。この回路基板43の表面43aの左側部には、第1のスタッキングコネクタ50と第2のスタッキングコネクタ51が配置されている。
第2の回路基板44は、電源基板である。この第2の回路基板44は、第1の回路基板43の左端部の上方において、この第1の回路基板43と略平行に配置されている。第2の回路基板44は、バッテリ収容部34のコネクタ導出口37とロアハウジング4の左側の側壁4bとの間に入り込む延長部44aを有している。
第2の回路基板44は、第1の回路基板43と向かい合う部分の下面に、第3のスタッキングコネクタ52を備えている。第3のスタッキングコネクタ52は、第1のスタッキングコネクタ50に対し上方から嵌合されており、この嵌合により、第1の回路基板43と第2の回路基板44とが電気的に接続されている。第1および第3のスタッキングコネクタ50,52は、ロアハウジング4の前後方向に延びる長方形状をなしている。
第3の回路基板45は、音響基板である。この第3の回路基板45は、第2の回路基板44の上方において、この第2の回路基板44と略平行に配置されている。第3の回路基板45はパームレスト7に沿って左右方向に延びており、その略右半分がパームレスト7とバッテリ収容部34の天井壁36との間に入り込んでいる。この第3の回路基板45は、天井壁36の上面にねじ止めされている。
第3の回路基板45には、フレキシブルな配線基板53を介して第4のスタッキングコネクタ54が接続されている。第4のスタッキングコネクタ54は、第2のスタッキングコネクタ51に対し上方から嵌合されており、この嵌合により、第1の回路基板43と第3の回路基板45とが電気的に接続されている。
図5に示すように、第2の回路基板44の延長部44aにバッテリコネクタ57が取り付けられている。バッテリコネクタ57は、合成樹脂製のコネクタ本体58と、このコネクタ本体58に支持された複数の接続端子59とを備えている。コネクタ本体58は、バッテリ収容部34のコネクタ導出口37に臨む細長い四角形箱状をなしており、延長部44aの下面に取り付けられている。接続端子59は、コネクタ導出口37を介してバッテリ収容部34に露出しており、これら接続端子59にバッテリパック40の電源端子および信号端子(図示せず)が接するようになっている。
図9に示すように、ロアハウジング4は、バッテリコネクタ57を位置決めするための一対の嵌合溝61a,61bを備えている。嵌合溝61a,61bは、コネクタ導出口37の前後の開口縁部に位置している。一方の嵌合溝61aは、ロアハウジング4の前壁4dの内面に沿って上下方向に延びている。他方の嵌合溝61bは、バッテリ収容部34の起立壁35の端部に沿って上下方向に延びている。
コネクタ本体58は、その長手方向の両端部に嵌合凸部62a,62bを備えている。嵌合凸部62a,62bは、コネクタ本体58の上下方向に沿って延びている。これら嵌合凸部62a,62bは、第2の回路基板44をロアハウジング4の内部に収容する際に、このロアハウジング4の上方から嵌合溝61a,61bに嵌合するようになっている。この嵌合により、バッテリコネクタ57は、接続端子59をコネクタ導出口37に露出させた状態でロアハウジング4に保持される。
バッテリコネクタ57がロアハウジング4に保持された状態において、バッテリ導出口37の上部にインナーカバー64が取り付けられる。インナーカバー64は、コネクタ本体58の上面とコネクタ導出口37の上部との間の隙間を塞ぐためのものであり、このインナーカバー64の両端部に嵌合溝61a,61bに嵌合する一対のガイド部65a,65bが形成されている。
インナーカバー64の上端部には、天井壁36の上面に重なり合う支持片66が形成されている。この支持片66は、天井壁36に第3の回路基板45をねじ止めした時に、この回路基板45と天井壁36との間で挾持されるようになっており、このことにより、インナーカバー64がコネクタ導出口37の上部に抜け止め保持される。
図7や図8に示すように、ロアハウジング4の前壁4dと底壁4aとで規定される下端角部は、コンピュータ1のデザイン面からの要求に伴い、円弧状に彎曲された彎曲部69をなしている。この彎曲部69の存在により、一方の嵌合溝61aの下端部は、図8に示すように、下方に進むに従い先細り状に形成されている。
この場合、嵌合溝61aに嵌合される嵌合凸部62aの下端角部63は、直角に角張っているので、この嵌合凸部62aを嵌合溝61aに嵌合した時に、嵌合凸部62aの下端角部63が嵌合溝61aの内面と干渉し合い、嵌合凸部62aの嵌合が妨げられてしまう。
そこで、本実施例では、前壁4dにおける彎曲部69に対応する位置に、ロアハウジング4の内部に連なる複数の通気孔70が左右方向に一列に並んで形成されている。これら通気孔70のうちの一つは、図8に示すように嵌合溝61aの下端部に開口している。このため、コネクタ本体58の嵌合凸部62aを嵌合溝61aに上方から嵌合すると、嵌合凸部62aの下端角部63が通気孔70に入り込み、嵌合凸部62aと嵌合溝61aとの干渉が回避される。
なお、この実施例では、通気孔70にコネクタ本体58の嵌合凸部62aを挿入するようにしたが、例えば第2の回路基板44の端部と彎曲部69との干渉が問題となるようであれば、通気孔70を左右方向に延びるスリット状に形成し、この通気孔70に第2の回路基板44の端部を挿入するようにしても良い。
図5に示すように、第3の回路基板45の端部には、音声の入力端子および出力端子となる一対のジャック72a,72bと、音量調節用のダイヤル73が配置されている。これらジャック72a,72bおよびダイヤル73は、ロアハウジング4の左側の側壁4bに露出している。
第3の回路基板45の表面は、パームレスト7と向かい合っており、この表面に一対のクリックスイッチ75a,75bが配置されている。クリックスイッチ75a,75bは、クリックスイッチボタン31a,31bによって押圧されるもので、柔軟な配線基板76を介して第3の回路基板45に接続されている。
図4に示すように、第1の回路基板43の表面43aの後端部には、例えばRS232C規格のインターフェースを有する周辺機器を接続するための接続ポート80と、プリンタを接続するためのパラレルポート81と、コンピュータ1の機能を拡張する際に用いる拡張コネクタ82と、電源プラグが差し込まれる電源コネクタ83とが左右方向に一列に並べて配置されている。
また、第1の回路基板43の後端部には、図32にも示すように金属製のコネクタパネル85が取り付けられている。コネクタパネル85は、接続ポート80、パラレルポート81および拡張コネクタ82を支持している。このコネクタパネル85は、第1の回路基板43に対し起立している。コネクタパネル85の上部に左右方向に延びる係止部85aが形成されている。係止部85aは、接続ポート80や拡張コネクタ83の上方に位置している。
コネクタパネル85は、第1の回路基板43とロアハウジング4の底壁4aとの間に入り込む延長部85bを有している。延長部85bは、底壁4aと略平行をなしており、この延長部85bの端部が底壁4a上のボス部46に第1の回路基板43と共に支持されている。(図26を参照)
コネクタパネル85は、ロアハウジング4の後壁4eに沿って左右方向に延びている。この後壁4eには、接続ポート80、パラレルポート81および拡張コネクタ82を露出させる第1のコネクタ導出口86と、電源コネクタ83を露出させる第2のコネクタ導出口87が開口されている。
ロアハウジング4は、コネクタカバー88を備えている。コネクタカバー88は、第1のコネクタ導出口86を開く第1の位置と、第1のコネクタ導出口86を閉じる第2の位置とに亘って移動可能にロアハウジング4に支持されている。このコネクタカバー88は、上記第1の位置に移動させた状態では、ロアハウジング4の底壁4aとコネクタパネル85の延長部85bとの間に格納されるようになっている。
図4に示すように、第1の回路基板43の表面43aにカード収容部91が配置されている。カード収容部91は、第1の回路基板43aの右端部であり、かつバッテリ収容部34の後側に位置している。カード収容部91は、PCMCIA(personal computer memory card international association )カードやインターフェースカードのような拡張カード(図示せず)を取り出し可能に収容するためのものである。
カード収容部91は、拡張カードが接続されるカードコネクタ92と、このカードコネクタ92に拡張カードを導くガイドを有するカードケース93とを備えている。カードケース93は、例えばステンレスのような金属材料にて構成されている。このカードケース93は、平坦な上面93aを有し、この上面93aは、キーボード装着口8の右端部に露出している。そして、カードケース93の上面93aは、キーボード装着口8の内側において、支持壁10の上面やキーボード支持部12の上面14と略同一平面上に位置している。
図2や図19に示すように、第1の回路基板43の表面43aにハードディスク実装部100が形成されている。ハードディスク実装部100は、カード収容部91、第2の回路基板44およびバッテリ収容部34によって囲まれており、第1の回路基板43の略中央部に位置している。ハードディスク実装部100は、ハードディスクコネクタ101を有している。ハードディスクコネクタ101は、第1の回路基板43の後端部に位置しており、バッテリ収容部34の起立壁35と向かい合っている。
ハードディスク実装部100は、キーボード装着口8の略中央部に連なっており、キーボード21および化粧パネル30をキーボード装着口8から取り外すことで、筐体3の外方に露出されるようになっている。
ハードディスク実装部100にハードディスク駆動装置103(以下HDDと称す)が取り外し可能に収容されている。このHDD103は、キーボード装着口8を通じてハードディスク実装部100に出し入れされるもので、その詳細が図14に示されている。
HDD103は、金属製のハウジング104を備えている。ハウジング104は、上端が開放された偏平な長方形箱状をなしており、このハウジング104の上端は、トップカバー105によって気密に閉塞されている。
ハウジング104は、モータ装着孔106が開口された底壁104aを有している。底壁104aのモータ装着孔106にモータブラケット107が取り付けられている。モータブラケット107は、モータ装着孔106に嵌合されたボデー108を有し、このボデー108は、底壁104aの下方に突出する平坦な底面108aを有している。
ハウジング104の内部にモータ110が収容されている。モータ110は、モータブラケット107のボデー108に支持された軸111を有し、この軸111の外周面にロータ112のボス部112aが回転自在に支持されている。このロータ112の外周部には、円盤状の磁気記録媒体113が支持されている。
なお、ハウジング104の内部には、図示しない磁気ヘッドを有するキャリッジや、このキャリッジを回動させるボイスコイルモータが収容されている。
ハウジング104の底壁104aに回路基板115が支持されている。回路基板115は、ハウジング104と略同じ大きさを有する長方形板状をなしている。回路基板115は、ハウジング104の底壁104aと略平行に配置されており、この回路基板115にモータ110や磁気ヘッドおよびボイスコイルモータが電気的に接続されている。
回路基板115に中継コネクタ116が取り付けられている。この中継コネクタ116は、ハウジング104の長手方向の一端部に位置し、上記ハードディスクコネクタ101に取り外し可能に嵌合される。
また、回路基板115には、モータブラケット107のボデー108が入り込む開口部117が形成されている。開口部117は、回路基板115とボデー108との干渉を避けるためのもので、ボデー108の底面108aは、回路基板115の下面よりも僅かに突出している。
図15に示すように、HDD103のハウジング104に板金製のブラケット121が取り付けられている。ブラケット121は、ハウジング104の左右両側面にねじ止めされる一対の側板部122a,122bと、これら側板部122a,122bの間を結ぶ天板部123とを有している。
天板部123は、トップカバー105の上面に重られている。天板部123は、水平に延びる延出部124を備えている。延出部124は、HDD103の中継コネクタ116とは反対側の端部から突出しており、この延出部124の先端部に一対の舌片125a,125bが一体に形成されている。舌片125a,125bは、HDD103をハードディスク実装部100に装着した時に、キーボード支持部12の第2の取り付け凹部13bの上面14に重ね合わされるようになっており、これら舌片125a,125bにねじ28を通す挿通孔126a,126bが開口されている。そして、上面14に連なる第2の取り付け凹部13bの起立面15には、図12や図17に示すように、舌片125a,125bが入り込む逃げ孔127a,127bが形成されている。
図2に示すように、キーボード装着口8の開口後縁に連なる周壁9には、ハードディスク実装部100に向けて下向きに延びる左右一対のガイド壁128a,128bが一体に形成されている。ガイド壁128a,128bは、ハードディスクコネクタ101とHDD103との左右方向の位置決めをなすものであり、これらガイド壁128a,128bの間にHDD103が入り込むようになっている。
次に、HDD103をハードディスク実装部100に装着する手順について説明する。
まず、キーボード21を筐体3から取り外し、キーボード装着口8を通じてハードディスク実装部100を筐体3の上方に向けて開放させる。
そして、図12や図17に示すように、HDD103を筐体3の上方からキーボード装着口8を通じてハードディスク実装部100に差し込む。この際、HDD103は、舌片125a,125bを先頭にした斜め下向きの姿勢でハードディスク実装部100に向けて差し込んでいき、その舌片125a,125bを第2の取り付け凹部13bの逃げ孔127a,127bに差し入れるとともに、ブラケット121の延長部124の先端縁を、第2の取り付け凹部13bの上面14と起立面15とで規定される角部に接触させる。
次に、延長部124の先端を支点としてHDD103を下向きに回動させ、このHDD103をガイド壁128a,128bの間を通してハードディスク実装部100に落とし込む。このことにより、図18に示すように、HDD103が第1の回路基板43の表面43aに載置され、その中継コネクタ116がハードディスクコネクタ101と向かい合うとともに、ブラケット121の延長部124が第2の取り付け凹部13bの上面14に重なり合う。
この状態で、図19に示すように、HDD103を筐体3の後方に向けてスライドさせ、中継コネクタ116をハードディスクコネクタ101に嵌合させる。この嵌合により、舌片125a,125bが逃げ孔127a,127bから抜け出て、第2の取り付け凹部13bの上面14に移動し、これら舌片125a,125bの挿通孔126a,126bがナット16と合致する。
最後に舌片125a,125bの挿通孔126a,126bにねじ28を挿通し、このねじ28の挿通端をナット16にねじ込む。このことにより、HDD103がハードディスク実装部100に固定され、一連の取り付け作業が完了する。
なお、一方の舌片125bを固定するねじ28は、キーボード21の固定を兼ねており、この舌片125bは、キーボード21の第2の支持片27bと共に第2の取り付け凹部13bに固定される。
このようなHDD103の取り付け構造によれば、HDD103を斜め下向きに傾けた姿勢でハードディスク実装部100に差し込む際に、このHDD103の舌片125a,125bが入り込む逃げ孔127a,127bを筐体3側に形成したので、第2の取り付け凹部13bの周囲に、HDD103をスライドさせる際に生じる舌片125a,125bの移動を許す格別なスペースを確保する必要はない。そのため、筐体3の内部に無駄なスペースが生じるのを防止でき、高密度な実装が可能となる。
図14に示すように、ハードディスク実装部100に臨む第1の回路基板43の表面43aは、平滑な絶縁シート131によって覆われている。絶縁シート131は、HDD103の回路基板115と第1の回路基板43との接触を防止するためのもので、このHDD103をスライドさせた際には、回路基板115が摺動可能に接するようになっている。
HDD103のモータブラケット107のボデー108は、上記のように回路基板115の開口部117を貫通して、この回路基板115の下面よりも僅かに突出しているので、絶縁シート131は、ボデー108を避ける逃げ孔132を有している。この逃げ孔132は、HDD103のスライド方向に細長い楕円形状をなしており、ボデー108よりも大きな開口形状を有している。
この構成によれば、HDD103の回路基板115が摺動可能に接する絶縁シート131に、HDD103のボデー108を逃げる逃げ孔132を開けたので、HDD103をスライドさせた際に、ボデー108の底面108aが絶縁シート131に引っ掛かることはない。そのため、HDD103のスライド操作を円滑に行なえるとともに、絶縁シート131の損傷も防止することができる。
なお、逃げ孔132の形状は楕円に限らず、真円としても良いことは勿論である。
図11に示すように、HDD103をハードディスク実装部100に固定した状態において、そのブラケット121の天板部123は、キーボード装着口8の支持壁10とカードケース93の上面93aとの間に位置している。この天板部123には、キーボード装着口8の左右方向に延びる凸部135が一体に形成されている。凸部135は、天井面123に対し断面円弧状に盛り上がっている。この凸部135の先端は、カードケース93の上面93aや支持壁10の上面と略同一平面上に位置している。
そのため、キーボード21をキーボード装着口8に取り付けた状態では、このキーボード21の補強板25の下面にブラケット121の凸部135およびカードケース93の上面93aが接触するようになっている。
したがって、HDD103のブラケット121やカードケース93を利用してキーボード21を筐体3の内側から支えることができ、キー23を操作した際のキーボード21のがたつきや、キーボードパネル22の撓みを未然に防止することができる。
図11や図15に示すように、ブラケット121の天板部123にHDD103をハードディスク実装部100から取り出す際に用いるリボン140が取り付けられている。リボン140は、合成樹脂製のシート材にて構成され、幅が30mm程度の帯状をなしている。このリボン140は、直線形状を維持し得るだけの強度を有している。
リボン140は、その一端に係止片141を有している。係止片141は、リボン140の一端から直角に折れ曲がっており、このリボン140よりも幅広い長方形状をなしている。係止片141は、天板部123の上面に重ねられるもので、この係止片141にリボン140が挿通可能なスリット状の挿通孔142が形成されている。
また、天板部123には、リボン140が挿通される取り付け孔143が形成されている。取り付け孔143は、天板部123の左右方向に延びるスリット状をなしている。
リボン140を天板部123に取り付けるには、まず、係止片141を天板部123の上面に重ね合わせ、その挿通孔142と取り付け孔143とを対向させる。そして、リボン140の係止片141とは反対側の先端部140aを、天板部123の下方を通して取り付け孔143の開口部分に導き、この天板部123の下方から取り付け孔143に差し通す。
次に、リボン140の先端部140aを係止片141の下方から挿通孔142に差し通し、この先端部を上向きに引っ張る。このことにより、図15に示すように、係止片141が天板部123の上面に重なり合うとともに、この係止片141に連なるリボン140の一端が天板部123に巻き付けられ、このリボン140が天板部123に抜け止め固定される。
リボン140を天板部123に固定した状態では、図11に示すように、リボン140は、それ自体の強度によりHDD103からキーボード装着口8に向けて上向きに突出した状態を維持している。そのため、リボン140の先端部140aを指先で掴んでパームレスト7側に引っ張れば、HDD103を筐体3の前方に向けてスライドさせることができ、ハードディスクコネクタ101と中継コネクタ116との嵌合を解除することができる。
そして、コネクタ110,116の嵌合を解除した後、リボン140を斜め前方に向けて引き上げれば、HDD103をハードディスク実装部100から取り出すことができる。
なお、キーボード装着口8にキーボード21を装着すると、リボン140は、キーボード21とHDD103との間に畳み込まれ、キーボード21の装着を妨げないようになっている。
図20ないし図23に示すように、第1の回路基板43に回路素子としてのTCP(Tape Carrier Package)150が実装されている。TCP150は、コンピュータ1の機能の多様化要求に伴う高速化および大容量化のために、動作中の発熱量が非常に大きなものとなっている。このTCP150は、第1の回路基板43の裏面43bに位置するとともに、キーボード21の左後端部の下方に位置している。
図24の(A)に示すように、TCP150は、柔軟な樹脂フィルムからなるキャリア151と、このキャリア151に支持された半導体チップ152とを備えている。キャリア151は、互いに直交し合う四つの縁部を有する四角形枠状をなしており、このキャリア151に銅箔からなる数多くのリード154が形成されている。
半導体チップ152は、平坦な表面152aと裏面152bとを有する略正方形状をなしている。半導体チップ152の裏面152bの外周部に複数のリード154の一端がボンディングされている。これらリード154の接続部は、ポッティング樹脂155によって覆われている。リード154の先端は、キャリア151の縁部から導出されている。これらリード154の先端は、第1の回路基板43の裏面43bの接続パッド156に半田付けされている。
半導体チップ152の表面152aは、ポッティング樹脂155によって覆われることなく、そのまま外部に露出しおり、この表面152aの全面に導電性のメッキが施されている。
図20や図24に示すように、第1の回路基板43は、TCP150の実装部分に正方形状の孔158を備えている。孔158は、半導体チップ152と相似形をなすとともに、この半導体チップ152の平面形状よりも大きな開口形状を有している。この孔158は、半導体チップ152と向かい合っている。
図24の(A)に示すように、第1の回路基板43は、孔158の周囲を取り囲むように配置された多数の通孔160を有している。これら通孔160は、第1の回路基板43を厚み方向に貫通している。このため、通孔160の一端は、第1の回路基板43の裏面43bに開口されて、半導体チップ152と隣り合っているとともに、通孔160の他端は、第1の回路基板43の表面43aに開口されている。そして、図24の(B)に示すように、各通孔160の内面には、熱伝導性に優れた銅メッキが施されており、通孔160の内面全面がメッキ層161によって覆われている。
第1の回路基板43の表面43aには、銅箔を被着してなる伝熱層162が形成されている。伝熱層162は、孔158の周囲を取り囲むように配置されており、この伝熱層162に通孔160の他端が開口されている。そのため、伝熱層162は、通孔160の内面のメッキ層161に連なっている。
図20ないし図25に示すように、第1の回路基板43におけるTCP150の実装部分に放熱ユニット165が取り付けられている。放熱ユニット165は、第1の回路基板43の表面43aに配置される放熱部材166と、第1の回路基板43の裏面43bに配置されるカバー167とを備えている。
放熱部材166は、例えば真鍮あるいはアルミニウム合金のような熱伝導性に優れた金属材料にて構成されている。放熱部材166は、孔158よりも遥かに大きな平面形状を有する平坦な正方形状をなしている。この放熱部材166は、第1の回路基板43の表面43aと向かい合う平坦な下面166aと、第1の回路基板43の上方に露出する放熱面としての上面166bとを有している。
下面166aは、その四隅に座部169を備えている。座部169は、下面166aから僅かに突出している。これら座部169の先端面は、同一平面上に位置するとともに、第1の回路基板43の表面43aに接している。
そのため、図24の(A)に示すように、放熱部材166を第1の回路基板43の表面43aに設置すると、この放熱部材166は、座部169の高さに相当する分だけ第1の回路基板43の表面43aから離間し、この表面43aと放熱部材166の下面166aとの間に第1の断熱隙間170が形成されるようになっている。
放熱部材166の下面166aの中央部には、凸部171が一体に突設されている。凸部171は、孔158に入り込んでいる。この凸部171の外周面と孔158の内周面との間には、周方向に連続する第2の断熱隙間172が形成されている。
凸部171は、第1の回路基板43の裏面43bに露出する平坦な受熱面173を有している。受熱面173は、半導体チップ152の表面152aよりも大きな面積を有し、第1の回路基板43の裏面43bと略同一平面上に位置している。そして、本実施例の場合は、凸部171の受熱面173に、半導体チップ152の表面152aがダイアタッチ材としての熱伝導性の接着剤174を介して隙間なく接着されている。
放熱部材166の下面166aには、凸部171の周囲を取り囲む伝熱部175が形成されている。伝熱部175は、上記座部169と同様に下面166aから僅かに突出している。この伝熱部175は、平坦な先端面175aを有している。図24の(B)に示すように、先端面175aは、第1の回路基板43の伝熱層162に接触し、通孔160の開口端を閉塞している。
放熱部材166の上面166bは、その四隅に円柱状のボス部177を備えている。これらボス部177は、上面166bから上向きに突出しているとともに、座部169と対応する位置に配置されている。
図23や図24の(A)に示すように、放熱部材166は、座部169からボス部177に至る四つのねじ孔178を有している。ねじ孔178の一端は、座部169の先端面に開口されているとともに、ねじ孔178の他端は、ボス部177の上面に開口されている。
図21に示すように、第1の回路基板43は、座部169との接触部分に四つの取り付け孔180を有している。取り付け孔180は、TCP150の実装領域の外側に位置している。各取り付け孔180は、放熱部材166のねじ孔178に連なっている。
四つの取り付け孔180のうち、放熱部材166の対角線上に位置する二つの取り付け孔180には、第1の回路基板43の下方からねじ187が挿通されている。ねじ187は、取り付け孔180を貫通して放熱部材166のねじ孔178にねじ込まれている。このねじ込みにより、放熱部材166が第1の回路基板43の表面43aに固定されている。
図20、図21および図24の(A)に示すように、カバー167は、放熱部材166と略同じ大きさを有する正方形状のパネル183と、このパネル183の上面に接着された支持枠184とを備えている。パネル183は、例えばアルミニウム合金のような熱伝導性に優れた金属材料にて構成され、このパネル183の上面中央部が半導体チップ152の裏面152bと向かい合っている。支持枠184は、合成樹脂材料にて構成され、TCP150のリード154と接続パッド156との接続部を外側から取り囲んでいる。
そのため、カバー167は、TCP150ばかりでなく、このTCP150と第1の回路基板43との接続部を一体的に覆い隠している。
パネル183は、その四隅に挿通孔186a〜186dを備えている。挿通孔186a〜186dは、TCP150の実装領域の外側に位置しており、第1の回路基板43の取り付け孔180を介して放熱部材166のねじ孔178に連なっている。
これら四つの挿通孔186a〜186dのうち、パネル183の対角線上に位置する二つの挿通孔186a,186bには、夫々カバー167の下方からねじ235が挿通されている。ねじ235は、取り付け孔180を貫通して放熱部材166のねじ孔178にねじ込まれている。このねじ込みにより、放熱部材166とカバー167が第1の回路基板43を間に挾んだ状態で互いに締め付け固定されており、このカバー167の内側にTCP150が収められている。
パネル183の上面中央部に軟質な弾性シート189が接着されている。弾性シート189は、例えばシリコーン樹脂にアルミナを添加してなるゴム状の弾性体であり、熱伝導性を有している。この弾性シート189は、ねじ235の締め付けに伴ってパネル183と半導体チップ152の裏面152bとの間で挾み込まれている。
このため、弾性シート189の存在により、カバー167のパネル183と放熱部材166の凸部171との間で半導体チップ152が挟み込まれている。よって、パネル183と半導体チップ152の接触状態が良好に保たれ、この半導体チップ152の熱がパネル183に効率良く伝えられるようになっている。そして、この弾性シート189の中央部には、小孔190が開口されている。
また、本実施例の場合、カバー167は、半導体チップ152の熱を測定するためのサーミスタ191を備えている。図24の(A)に示すように、サーミスタ191は、フレキシブルな薄い配線基板192に支持されており、この配線基板192は、補強板193を介して弾性シート189に貼り付けられている。サーミスタ191は、弾性シート189の小孔190に埋め込まれており、パネル183の中央部と向かい合っている。このため、サーミスタ191は、主に半導体チップ152の熱影響を受けるパネル183の温度を測定するようになっている。
配線基板192は、細長いリード部195を有している。リード部195は、カバー167の外方に導出されており、このリード部195の先端の端子部195aが第1の回路基板43の裏面43bのコネクタ196に接続されている。そのため、サーミスタ191で測定されたパネル183の温度情報は、第1の回路基板43の制御部に入力されるようになっている。
図20や図21に示すように、放熱ユニット165の放熱部材166にメインのヒートシンク201が取り外し可能に装着されている。ヒートシンク201は、例えばアルミニウム合金のような熱伝導性に優れた金属材料をダイキャスト成形したものである。
ヒートシンク201は、放熱パネル202を備えている。放熱パネル202の下面は、放熱部材166の上面166bと向かい合う平坦な受熱面203をなしている。この受熱面203は、上面166bよりも遥かに大きな平面形状を有している。放熱パネル202の上面は、筐体3の内部に露出する平坦な放熱面204をなしている。放熱面204には、円柱状をなす多数の放熱凸部205が一体に突設されており、これら放熱凸部205の存在により、放熱面204の放熱面積が充分に確保されている。
受熱面203には、放熱部材166のボス部177が嵌まり込む四つの凹部206が形成されている。凹部206は、放熱パネル202の上面に突出しており、これら凹部206とボス部177との嵌合により、放熱部材166と放熱パネル202との位置決めがなされるようになっている。
凹部206の終端に夫々連通孔207が開口されている。連通孔207は、ボス部177のねじ孔178に連なるとともに、放熱パネル202の上面に開口されている。これら連通孔207には、上方からねじ209が挿通されており、これらねじ209の挿通端をねじ孔178にねじ込むことで、放熱パネル202と放熱部材166とが互いに連結されている。
放熱パネル202の受熱面203と放熱部材166の上面166bとの間には、軟質な弾性シート210が配置されている。弾性シート210は、例えばシリコーン樹脂にアルミナを添加してなるゴム状の弾性体であり、熱伝導性を有している。この弾性シート210は、ねじ209の締め付けに伴って受熱面203と上面166bとの間で挾み込まれている。このため、放熱部材166の上面166bは、弾性シート210を介して放熱パネル202の受熱面203に密接しており、放熱部材166に逃がされた半導体チップ152の熱を、放熱パネル202に効率良く伝えるようになっている。
図5に示すように、放熱パネル202は、第1の回路基板43の表面43a上において、この表面43aの左側の後端部に位置し、HDD103と隣り合っている。
図21および図23に示すように、放熱パネル202の後端部にファン支持部212が一体に形成されている。ファン支持部212は、上下方向に延びる左右一対の支持壁213a,213bと、これら支持壁213a,213bの下端部に連なる水平な舌片214a,214bとを有している。このファン支持部212は、第1の回路基板43の後端部に位置している。この場合、第1の回路基板43の左側の後端角部には、ファン支持部212を避ける切り欠き215が形成されており、この切り欠き215を通じて支持壁213a,213bの下端部が第1の回路基板43の下方に突出している。
図25や図26に示すように、ファン支持部212の後端部と、放熱パネル202の左側部の前後二箇所には、夫々連結片216a〜216cが一体に形成されている。ファン支持部212の連結片216aは、第1の回路基板43の表面43aに重ねられ、ねじ47を介してロアハウジング4のボス部46に固定されている。放熱パネル202の連結片216b,216cは、ねじ217を介してロアハウジング4のボス部46に固定されている。そのため、ヒートシンク201は、第1の回路基板43ばかりでなく、ロアハウジング4にも支持されている。
ファン支持部212に電動ファン220が支持されている。電動ファン220は、四角いファンフレーム221と、このファンフレーム221の中央部に支持されたロータ222とを有している。このロータ222の外周面には、複数のブレード223が一体に形成されている。
ファンフレーム221は、例えばアルミニウム合金のような熱伝導性に優れた金属材料にて構成されている。ファンフレーム221は、支持壁213a,213bの間に配置されており、このファンフレーム221の下端部が舌片214a,214bの上面にねじ止めされている。このため、ファンフレーム221は、支持壁213a,213bを介して放熱パネル202に一体的に連なっており、ロータ222の下部が第1の回路基板43とロアハウジング4の底壁4aとの間に張り出している。
図6に示すように、電動ファン220は、リード線226を介して第1の回路基板43に接続されている。このため、電動ファン226は、第1の回路基板43の制御部によって制御されるようになっており、本実施例の場合は、サーミスタ191で測定されたパネル183の温度が80度を上回った時に、ロータ222が回転駆動されるようになっている。
図25に示すように、電動ファン220が一体化された放熱パネル202は、キーボード装着口8の支持壁10やキーボード21の補強板25の下方に位置している。これら支持壁10および補強板25の一部は、放熱パネル202の放熱面204と対向しており、この放熱面204と協働して筐体3の内部に冷却風通路227を構成している。冷却風通路227は、電動ファン220に連なっており、この冷却風通路227に上記放熱凸部205が位置している。
電動ファン220のロータ222が回転すると、冷却風通路227内の空気および第1の回路基板43とロアハウジング4の底壁4aとの間の空気がロータ222に向けて吸引されるようになっており、この空気は、ロータ222の後方に向けて排出される。
図6や図26に示すように、電動ファン220は、コネクタパネル85の左側に並んでおり、このコネクタパネル85と共にロアハウジング4の後壁4eの内側に位置している。後壁4eには、図10に示すような排気口228が開口されている。排気口228は、電動ファン220に連なるとともに、第2のコネクタ導出口87と隣り合っている。
図20や図21に示すように、カバー167にサブヒートシンク230が取り付けられている。サブヒートシンク230は、例えばアルミニウム合金のような熱伝導性に優れた金属材料にて構成されている。
サブヒートシンク230は、平坦なプレート部231を有している。プレート部231は、カバー167のパネル183の下面に重ね合わされている。このプレート部231は、パネル183よりも一回り大きな略正方形状をなしている。プレート部231は、一対の第1の連通孔232a,232bと、一対の第2の連通孔233a,233bとを有している。第1および第2の連通孔232a,232b、233a,233bは、プレート部231の対角線上に位置するとともに、パネル183の挿通孔186a〜186bと合致するようになっている。
サブヒートシンク230のプレート部231は、上記ねじ235を利用してカバー167に固定されている。ねじ235は、プレート部231の下方から第1の連通孔232a,232bに挿通され、パネル183の二つの挿通孔186a,186bおよび第1の回路基板43の取り付け孔180を貫通して放熱部材166のねじ孔178にねじ込まれている。
プレート部231の第2の連通孔233a,233bは、放熱部材166を第1の回路基板43に固定するねじ187の挿通を許容し得る大きさを有し、これら連通孔233a,233bの内側にねじ187の頭部が収められている。
プレート部231は、一対のブラケット236a,236bを備えている。一方のブラケット236aは、図26に示すように、放熱パネル202の連結片216aとロアハウジング4のボス部46との間に介在され、この連結片216aと共にボス部46に固定されている。他方のブラケット236bは、図25に示すように、放熱パネル202の連結片216cとロアハウジング4のボス部46との間に介在され、この連結片216cと共にボス部46に固定されている。そのため、サブヒートシンク230は、ロアハウジング4や放熱パネル202に連結されている。
図6に示すように、電動ファン220を有するヒートシンク201は、ロアハウジング4の左側の側壁4bの後端部に隣接されている。この側壁4bに多数の冷却風導入口240が開口されている。冷却風導入口240は、ヒートシンク201よりも前方に偏った位置に配置されており、第2の回路基板44の左側の縁部と向かい合っている。そのため、冷却風導入口240は、電動ファン220に対し冷却風通路227を間に挾んだ反対側に位置している。
図26に示すように、ファン支持部212の右側の支持壁213bは、コネクタパネル85に隣接されている。この支持壁213bの上端には、ブラケット245が一体に形成されている。このブラケット245に第1の放熱プレート246が取り付けられている。第1の放熱プレート246は、例えばアルミニウム合金のような熱伝導性に優れた金属材料にて構成されている。
第1の放熱プレート246は、ロアハウジング4の左右方向に延びる細長いプレート本体247と、このプレート本体247の一端に連なる連結片248とを有している。この第1の放熱プレート246は、連結片248をブラケット245の下面にねじ250を介して固定することで、支持壁213bに一体的に支持されている。プレート本体247は、コネクタパネル85に沿うように配置されており、このプレート本体247の後端部がコネクタパネル85の係止部85aに引っ掛かっている。
そのため、第1の放熱プレート246は、ヒートシンク201とコネクタパネル85との間に跨がっており、このヒートシンク201の熱をコネクタパネル85に逃がすようになっている。
第1の放熱プレート246は、アッパハウジング5の後端部の下方に位置している。アッパハウジング5の後端部には、図10に示すような多数の放熱孔252が開口されており、これら放熱孔252を通じて第1の放熱プレート246の周囲に外気が導かれるようになっている。そして、プレート本体247の上面には、多数の冷却フィン253が形成されており、これら冷却フィン253の存在により、プレート本体247と外気との接触面積が充分に確保されている。
図6や図13に示すように、放熱パネル202の右端部には、支持壁256が一体に形成されている。支持壁256は、HDD103に隣接されており、この支持壁256の上端に第2の放熱プレート257が取り付けられている。第2の放熱プレート257は、例えばアルミニウム合金のような熱伝導性に優れた金属材料にて構成されている。
図13に示すように、第2の放熱プレート257は、HDD103の上面を横切って筐体3の左右方向に延びるプレート本体258を有し、このプレート本体256の一端がねじ259を介して支持壁256の上面に固定されている。
プレート本体258は、キーボード装着口8の内側に配置されている。このプレート本体258の上面は、キーボード装着口8の支持壁10やカードケース93の上面93aさらにはブラケット121の凸部135の先端と略同一平面状に位置している。そのため、プレート本体258の上面は、キーボード21の補強板25に接しており、このキーボード21を下方から支えるとともに、ヒートシンク201の熱を補強板25に逃がすようになっている。
なお、第2の放熱プレート257のプレート本体258は、補強板25と略同じ大きさに形成しても良い。この構成によれば、ヒートシンク201の放熱性能がより向上するとともに、キー操作時のキーボード21の撓みを防止する上でもより好都合となる。
図27ないし図29に示すように、筐体3の内部に拡張スペース261が形成されている。拡張スペース261は、ロアハウジング4の底壁4aと第1の回路基板43との間に位置しており、上記TCP150と隣り合っている。拡張スペース261は、拡張用のメモリ基板262を収容するためのものである。メモリ基板262は、第1の回路基板43と向かい合う上面にスタッキングコネクタ263を有している。このスタッキングコネクタ263は、メモリ基板262の一端側に偏った位置に配置されている。
拡張スペース261は、メモリ基板263を出し入れする基板挿入口264を備えている。基板挿入口264は、ロアハウジング4の底壁4aに開口されており、この底壁4aに基板挿入口264を塞ぐ底蓋265が取り外し可能に取り付けられている。底蓋265は、板金材にて構成され、略平坦な四角形板状をなしている。底蓋265は、その一端部に一対のねじ挿通孔266a,266bを有するとともに、このねじ挿通孔266a,266bとは反対側の他端部に一対の係止片267a,267bを有している。
基板挿入口264の開口縁部には、底蓋265の周縁部を受ける支持部270が形成されている。この支持部270には、ねじ挿通孔266a,266bに連なる一対のナット271a,271bと、底蓋265に接する金属製の導通片272が配置されている。
底蓋265は、係止片267a,267bを基板挿入口264の開口縁部に引っ掛けた状態で、その周縁部が基板挿入口264の支持部270に重ね合わされている。そして、この底蓋265は、ねじ挿通孔266a,266bに夫々ねじ272を挿通し、これらねじ272の挿通端をナット271a,271bにねじ込むことで、底壁4aに固定されている。
拡張スペース261に臨む第1の回路基板43の裏面43bには、スタッキングコネクタ275が配置されている。スタッキングコネクタ275は、メモリ基板262のスタッキングコネクタ263に嵌合されており、この嵌合により、第1の回路基板43とメモリ基板262とが電気的に接続されている。
図28の(A)に示すように、拡張スペース261にメモリ基板262を支持する一対のボス部277a,277bが配置されている。ボス部277a,277bは、基板挿入口264の支持部270に一体に形成されており、基板挿入口264の内側において前後方向に離間して配置されている。そして、これらボス部277a,277bの下面にメモリ基板262の中間部が重ねられている。このメモリ基板262は、ねじ278を介してボス部277a,277bに取り外し可能に支持されている。
図29に示すように、ボス部277a,277bは、第1のスタッキングコネクタ50と第3のスタッキングコネクタ52との嵌合部分の真下に位置している。ボス部277a,277bは、ブリッジ部280を介して一体的に結合されている。ボス部277a,277bおよびブリッジ部280の上面は、平坦な支持面281をなしている。この支持面281は、第1および第3のスタッキングコネクタ50,52に沿って延びている。
図27や図28の(A)に示すように、ブリッジ部280に金属製の導電片283が取り付けられている。導電片283は、ボス部277a,277bの下面を覆う一対の第1の導電部285a,285bと、支持面281を覆う第2の導電部284とを一体に有している。
第1の導電部284a,284bは、メモリ基板262の上面に接している。このメモリ基板262の上面には、図28の(B)に示すように、第1の導電部285a,285bと向かい合うグランド配線層286が形成されている。グランド配線層286は、メモリ基板262をボス部277a,277bにねじ止めした時に、第1の導電部285a,285bに接触し、この接触により、メモリ基板262が筐体3に接地されるようになっている。
第2の導電部284は、第1の回路基板43の裏面43bに接している。この第1の回路基板43の裏面43bには、図28の(B)に示すように、第2の導電部284と向かい合うグランド配線層287が形成されており、このグランド配線層287は、ブリッジ部280に沿って延びている。グランド配線層287は、第1の回路基板43をロアハウジング4に固定した時に、第2の導電部284に接触し、この接触により、第1の回路基板43が筐体3に接地されるようになっている。
そのため、ブリッジ部280の支持面281は、第2の導電部284を介して第1の回路基板43の裏面43bに接しており、第1の回路基板43を上記第1および第3のスタッキングコネクタ50,52との嵌合部分に対応した位置において下方から支えている。
この構成によれば、第1の回路基板43に第2の回路基板44を接続する際に、第3のスタッキングコネクタ52を第1のスタッキングコネクタ50に対し上方から押し付けた場合でも、これらスタッキングコネクタ50,52の嵌合部分を、下方からボス部277a,277bやブリッジ部280によって支えることができる。そのため、第1および第3のスタッキングコネクタ50,52の嵌合時に、第1の回路基板43が下向きに撓んだり、沈み込むのを防止することができ、これらスタッキングコネクタ50,52の嵌合を確実かつ容易に行なうことができる。
図1に示すように、筐体3のディスプレイ支持部6a,6bにディスプレイユニット300が支持されている。ディスプレイユニット300は、偏平な箱状をなすハウジング301と、このハウジング301の内部に収容されたカラー液晶ディスプレイ302とを備えている。ハウジング301は、フロントパネル303とリヤパネル304とに分割されており、このフロントパネル303にカラー液晶ディスプレイ302を露出させる開口部305が形成されている。
ハウジング301は、ディスプレイ支持部6a,6bの間に介在される連結部307を備えている。連結部307は、筐体3の左右方向に沿って延びており、この連結部307の左右両端部がヒンジ装置308(図25や図26に一方を示す)を介して筐体3のディスプレイ支持部6a,6bに回動可能に支持されている。
そのため、ディスプレイユニット300は、パームレスト7やキーボード21を上方から覆う閉じ位置と、カラー液晶ディスプレイ302をキーボード21の後方で起立させる開き位置とに亘って回動し得るようになっている。
図30に示すように、ハウジング301の連結部307に凹部310が形成されている。この凹部310には、カラー液晶ディスプレイ302の駆動回路に連なるケーブル311が導かれている。アッパハウジング5の上壁5aの後端部には、ケーブルガイド313が取り付けられている。このケーブルガイド313は、筐体3の内部に連なるとともに、連結部307の凹部310に入り込んでいる。このケーブルガイド313の側面には、凹部310の側面と向かい合うケーブル挿通口314が開口されている。(図23を参照)。ケーブル311は、凹部310の側面からケーブル挿通口314およびケーブルガイド313を通じて筐体3の内部に導かれている。
ケーブル311は、上壁5aの後端部の内面に沿ってキーボード21の右端部の下方に導かれており、このケーブル311の先端のコネクタ315が第1の回路基板43に接続されている。
図30ないし図32に示すように、上壁5aの後端部にアイコン装着口318が開口されている。アイコン装着口318は、キーボード装着口8の直後であり、かつ、ディスプレイ支持部6a,6bの間に位置している。このアイコン装着口318には、アイコン319が配置されている。アイコン319は、透光性を有する合成樹脂材料にて構成され、アイコン装着口318に接着されている。
アイコン319の表面には、コンピュータ1の動作状態や機能の内容を図柄で表示する複数の表示マーク321が描かれている。表示マーク321は、筐体3の左右方向に間隔を存して配置されており、ディスプレイユニット300を開き位置に回動させた時に、キーボード21と共に筐体3上に露出するようになっている。
図30に示すように、上壁5aの後端部の内側に合成樹脂製のホルダ325が配置されている。ホルダ325は、基板支持部326と、スピーカ支持部327と、ケーブル支持部328とを一体に備えている。これら各支持部326〜328は、キーボード装着口8の開口後縁に沿うように一列に並んでおり、その基板支持部326とケーブル支持部328の各端部がねじ329を介して上壁5aの内面に支持されている。
図32に示すように、基板支持部326は、アイコン319の下方に位置している。この基板支持部326の上面にダイオード基板331が支持されている。ダイオード基板331は、アイコン319と略平行に配置されており、このダイオード基板331の上面にフレキシブルな配線基板332が貼り付けられている。図30に示すように、配線基板332は細長いリード部332aを有し、このリード部332aの先端が第1の回路基板43に接続されている。
配線基板332の上面に複数の発光ダイオード333が一列に並べて配置されている。発光ダイオード333は、アイコン319の表示マーク321と対向し合う位置に配置されている。発光ダイオード333が発光すると、それに対応した表示マーク321が点灯し、コンピュータ1の動作状態や機能の内容が表示されるようになっている。
図30や図33に示すように、スピーカ支持部327には、音声を出力するスピーカ335が支持されている。スピーカ335は、振動板(図示せず)を支持するリング状のフレーム336と、このフレーム336に固定されて振動板の前面を覆うガード337とを有し、全体として偏平な円盤状をなしている。
このスピーカ335を支持するスピーカ支持部327は、スピーカ335が嵌まり込む円形の嵌合部340を有している。図33に示すように、嵌合部340は、上壁5aの後端部からキーボード21の下方に亘る範囲に位置しており、上壁5aからキーボード21の方向に進むに従い下向きに傾斜している。そのため、スピーカ335は、前下がりに傾斜された姿勢で筐体3の内部に配置されており、その前半部がキーボード21の下方に入り込んでいる。
スピーカ335は、スピーカホルダ341を介して嵌合部340に嵌め込まれている。スピーカホルダ341は、柔軟なゴム状弾性体にて構成されている。スピーカホルダ341は、スピーカ335のフレーム336が嵌合するリング状のホルダ本体342を有し、このホルダ本体342の前半部に上向きに延びる遮音壁343が一体に形成されている。遮音壁343の上端部は、キーボード21の補強板25の下面や第2の放熱プレート257の下面に接している。
そのため、遮音壁343は、補強板25や第1の放熱プレート257と協働してスピーカ335の前半部から放出される音の拡散を抑える空間345を構成している。
図33に示すように、スピーカ335の後半部は、上壁5aの下方に位置している。この上壁5aにスピーカ335からの音声を放出する複数のスリット状の孔346が開口されている。孔346は、スピーカ335の後半部と向かい合うとともに、アイコン319の側方に位置している。
図31や図33に示すように、スピーカ335をホルダ325と共にアッパハウジング5に装着した状態では、スピーカ335の前半部と後半部との間にキーボード装着口8の開口後縁に連なる周壁9が位置している。この周壁9の下端部には、空間345とスピーカ335の後半部回りの空間とを連通させる切り欠き347が形成されている。
なお、スピーカ335のリード線348は、第1の回路基板43に接続されている。
図30に示すように、ホルダ325のケーブル支持部328は、上壁5aと向かい合う底壁350を有している。底壁350は、ケーブルガイド313の下方から右側に向かって延びており、この底壁350上にケーブルガイド313を通じて筐体3の内部に導かれたケーブル311のコア(図示せず)が保持されている。
図1に示すように、ディスプレイユニット300のハウジング301に左右一対の緩衝部材355が取り付けられている。緩衝部材355は、ディスプレイユニット300を閉じ位置に回動させた時に、ハウジング301のフロントパネル303とパームレスト7の上面との衝突を防止するためのもので、柔軟なゴム状弾性体にて構成されている。
図34や図35に示すように、緩衝部材355は、フロントパネル303の前面に取り付けられている。このフロントパネル303の前面には、緩衝部材355を取り付けるための凹部356が形成されている。この凹部356の底となる終端面には、小径な挿通孔357が開口されており、この挿通孔357は、フロントパネル303の内側に向けて開口されている。
緩衝部材355は、凹部356に嵌合される本体358と、この本体358から突出する紐状の握持部359とを一体に有している。握持部359は、挿通孔357に挿通可能な径を有し、この握持部359の本体358に連なる端部に大径部360が一体に形成されている。この大径部360の径は、挿通孔357の口径よりもやや大きく定められている。
このような緩衝部材355をフロントパネル303に取り付けるには、まず、握持部359の先端をフロントパネル303の外側から挿通孔357に差し通す。そして、フロントパネル303の内側から握持部359の先端を指先で掴み、この握持部359をフロントパネル303の内側に向けて引っ張る。
すると、本体358が凹部356に嵌まり込むとともに、握持部359の大径部360が挿通孔357の内面に食い込み、本体358が凹部356に抜け止め保持される。このため、図34に示すように、本体358は、フロントパネル303の前面から僅かに突出された状態でフロントパネル303に保持される。
このような構成において、ポータブルコンピュータ1の動作時には、TCP150の半導体チップ152が発熱する。この際、半導体チップ152は、第1の回路基板43に取り付けられた放熱部材166とカバー167とで挟み込まれており、この半導体チップ152の表面152aに放熱部材166の凸部171が熱的に接続されている。そのため、半導体チップ152の熱は、凸部171を通じて放熱部材166に伝えられることになり、半導体チップ152の表面152aから放熱部材166に至る熱伝導経路が形成される。
この放熱部材166と第1の回路基板43との間、凸部171と第1の回路基板43の孔158との間には、夫々第1および第2の断熱空間170,172が存在するので、放熱部材166に伝えられた熱が第1の回路基板43に伝わり難くなり、この第1の回路基板43への熱影響が少なくなる。
また、半導体チップ152の裏面152bは、熱伝導性を有する弾性シート189を介してカバー167のパネル183に熱的に接続されているので、半導体チップ152の熱は、弾性シート189を通じてパネル183に伝えられることになり、この半導体チップ152の裏面152bからカバー167に至る熱伝導経路が形成される。
しかも、第1の回路基板43は、凸部171が入り込む孔158の周囲に数多くの通孔160を有し、これら通孔160の開口端が放熱部材166の伝熱部175に接しているから、これら通孔160の内部の空間が孔158の周囲の熱を直接放熱部材166に伝えるための通路となる。
その上、第1の回路基板43の伝熱部175との接触面には、伝熱層162が形成され、この伝熱層162は、通孔160の内面のメッキ層161に連なっているので、孔158の周囲の熱は、メッキ層161や伝熱層162を経て放熱部材166に積極的に伝えられる。
一方、上記放熱部材166には、メインのヒートシンク201の放熱パネル202が弾性シート210を介して熱的に接続されているから、半導体チップ152の熱は、放熱部材166を経て放熱パネル202に伝えられる。この放熱パネル202の放熱面204は、多数の放熱凸部205を有しているので、放熱パネル202の放熱面積が増大し、放熱パネル202自体の放熱性が良好に保たれる。
同様に、カバー167のパネル183にサブヒートシンク230のプレート部231が接しているから、半導体チップ152の熱は、パネル183を経てプレート部231に伝えられる。
本実施例の場合、カバー167に取り付けたサーミスタ191で半導体チップ152の雰囲気温度を測定し、この半導体チップ152の雰囲気温度が80度を上回った時に、ヒートシンク201の電動ファン220を駆動させている。この電動ファン220が駆動すると、コンピュータ1の外方の空気が冷却風導入口240を通じて筐体3の内部に吸引される。この空気は、放熱パネル202とキーボード21との間の冷却風通路227を冷却風となって流れ、ロアハウジング4の排気口228から筐体3の外部に排出される。
この場合、放熱パネル202の放熱凸部205は、冷却風通路227に位置するので、放熱パネル202に伝えられた半導体チップ152の熱は、冷却風により強制的に持ち去られる。しかも、冷却風通路227は、放熱パネル202とキーボード21との間に形成されるので、冷却風が筐体3の内部に拡散することはない。そのため、冷却風通路227を流れる冷却風の風量および流速を充分に確保することができ、放熱パネル202を効率良く冷却できる。
電動ファン220のファンフレーム221は、熱を伝え易い金属材料にて構成されるとともに、放熱パネル202に直接取り付けられているので、このファンフレーム221を放熱パネル202の一部として利用することができる。その上、ファンフレーム221は、ロータ222の回転により直接冷却されるので、放熱性能が極めて良好であり、放熱パネル202からファンフレーム221に伝えられる熱を効率良く外部に逃すことができる。
さらに、電動ファン220は、放熱パネル202に支持されているので、この電動ファン220と放熱パネル202とを最適な位置関係に配置することができ、放熱パネル202に対する冷却風の流れが遮られたり、妨げられることはない。
したがって、放熱パネル202の周囲の通気性が良好となり、この放熱パネル202を介して放熱部材166ひいては半導体チップ152の放熱性を高めることができる。
ヒートシンク201の放熱パネル202は、第1の放熱プレート246を介してコネクタパネル85に連なっているので、筐体3の内部に放熱パネル202からコネクタパネル85に至る熱伝導経路を形成することができる。そのため、放熱パネル202の熱を第1の放熱プレート246を通じてコネクタパネル85に逃すことができ、このコネクタパネル85をヒートシンクの一部として利用することができる。
同様に、ヒートシンク201の放熱パネル202に第2の放熱プレート257が取り付けられ、この第2の放熱プレート257がキーボード21の補強板25に接しているので、筐体3の内部に放熱パネル202から補強板25に至る熱伝導経路を形成することができる。このため、放熱パネル202に伝えられた半導体チップ152の熱を第2の放熱プレート257を通じて補強板25に逃すことができ、この補強板25をヒートシンクの一部として利用することができる。
さらに、サブヒートシンク230は、放熱パネル202に連結されているので、サブヒートシンク230に伝えられた半導体チップ152の熱を冷却風によって強制的に冷やされる放熱パネル202に逃すことができる。それとともに、サブヒートシンク230は、コネクタパネル85の延長部85bやロアハウジング4の底壁4aにも接しているので、このサブヒートシンク230に伝えられた熱をコネクタパネル85やロアハウジング4に逃すことができる。
したがって、サブヒートシンク230に伝えられた半導体チップ152の熱を、筐体3の広い範囲に亘って拡散させることができ、このサブヒートシンク230とロアハウジング4の底壁4aとの間に熱が籠り難くなる。
このような本発明の一実施例によれば、放熱ユニット165からヒートシンク201、コネクタパネル85および補強板25への熱伝導と、電動ファン220による強制空冷を併用することで、TCP150を効率良く冷却することができる。
なお、本発明に係る携帯形電子機器は、ノート形のポータブルコンピュータに特定されるものではなく、例えばワードプロセッサのような他の携帯形の情報処理装置にも同様に実施可能である。