一般に、ホースたとえば消防ホースの結合金具には差し込み形のものがあり、このような差し込み形の結合金具は一対の結合金具本体が互いに軸方向に嵌合して係止結合される構造のものである。このような差し込み形の結合金具は、たとえば日本工業規格 JIS B 9911 に規定されているものあり、このような結合金具は「町野式金具」と称されて汎用されている。
このような差し込み形の結合金具は、簡単な装置で結合および結合解除ができ、操作の迅速性と確実性を要求される消防ホースの結合金具としては好ましい特性を有している。
しかし、従来の差し込み形の結合金具は、結合される一対の結合金具本体に雌雄の区別があり、一方が雄金具、他方が雌金具として構成されており、雄金具同志、雌金具同志は結合できない。このため、たとえば消火作業の際に、複数の消防ホースを延ばして互いに結合する際に、誤って雄金具同志、または雌金具同志が対応するように消防ホースを延ばしてしまう可能性があり、消火作業の迅速性、確実性の点からこのような可能性を排除することが好ましい。また、従来の結合金具は、構造の相違する雄金具と雌金具の2種類の金具を製造しなければならず、製造コストが高くなる不具合があった。
このような不具合を解消するために、雌雄の区別のない同一の形状の一対の結合金具本体からなるホースの結合金具が開発された。このものは、円筒状をなす一対の結合金具本体の先端部に周方向に配列され軸方向に突設した複数の嵌合突部とこれらの間に形成された嵌合凹部とを備え、上記一対の結合金具本体の嵌合突部と嵌合凹部は互いに相手側の結合金具本体の嵌合凹部と嵌合突部に軸方向に嵌合し、またこれら嵌合突部には相手側の結合金具本体の嵌合突部に周方向に係止して軸方向の移動を規制しこれら一対の結合金具本体を軸方向に係止する係止鉤部が形成されている。そして、これらの嵌合突部を嵌合凹部内に嵌合することにより、上記の係止鉤部が互いに係合してこれらの一対の結合金具本体が結合される。このものは、雌雄の区別がなく、また構造が簡単で着脱が容易である等の特徴を備えている。
ところで、このような結合金具は、上記の嵌合突部および嵌合凸部が軸方向に嵌合し、また係止鉤部が互いに周方向に係合するものである。この結合金具内に水圧等が作用している場合には、これら結合金具本体には互いに離反するような大きな軸方向の荷重が作用し、この荷重は上記の係止鉤部の係合によって支持される。このため、内部に圧力が作用している場合には、この結合金具は互いに周方向に係合している係止鉤部の係止面に発生する摩擦力によって基本的には不所望に結合が解除されることはない。
しかしながら、結合金具内の非常に高い水圧等の非常に高い圧力による結合金具本体を互いに引き離す方向の非常に大きな荷重が長時間に亘り係止鉤部に作用した場合に係止鉤部が形成されている係止突部が撓み、その結果として係止鉤部の係止面が、係止鉤部が形成されている嵌合突部に近い根元よりも係止鉤部が形成されている嵌合突部から周方向において最も遠い先端が、嵌合突部の係止鉤部に隣接した嵌合凹部の奥壁面に対し軸方向に遠くなるよう、いわゆるオーバーハング状とは逆になるよう上記周方向に対し傾斜してしまうことがあります。
さらに、長期間の使用に伴い係止鉤部の係止面の磨耗が進行すると、係止面は上記根元よりも上記先端の方がより多く磨耗するので、この場合にも係止面は、上述した如く係止突部が撓んだ場合と同様に、いわゆるオーバーハング状とは逆になるよう周方向に対し傾斜してしまいます。
このようにして係止鉤部の係止面がいわゆるオーバーハング状とは逆になるよう周方向に対し傾斜すると、係止鉤部が係合した状態において内部の水圧等により結合金具本体を互いに引き離す方向の荷重が作用した際に、上記の荷重の一部が上記のオーバーハング状とは逆になるよう傾斜した係止面の角度に応じた上記の周方向における分力となって上記の係合した状態の係止鉤部を上記の周方向に相互に遠ざけるよう上記の係止鉤部の係止面に周方向にずれを生じさせて不所望に結合が外れることがある。
本発明は以上の事情に基づいてなされたもので、雌雄の区別がなく、同一の構造の一対の結合金具本体から構成されるホースの結合金具において、結合金具内の非常に高い水圧等の非常に高い圧力による結合金具本体を互いに引き離す方向の非常に大きな荷重が長時間に亘り係止鉤部に作用した場合に係止鉤部が形成されている係止突部が撓んだとしても、また長期間の使用に伴い係止鉤部の係止面の磨耗が進行しても、内部の水圧等によりこれら結合金具本体を互いに引き離す方向の荷重が長時間に亘り作用した場合に係止鉤部の係止面に周方向にずれが生じることがなく不所望に結合が外れることがないホースの結合金具を提供するものである。
請求項1に記載の本発明に従ったホースの結合金具は、円筒状をなす一対の結合金具本体と、これらの結合金具本体の前端面に形成され互いに軸方向に衝合されるシール面と、上記の結合金具本体から上記のシール面を囲んで周方向に配列され軸方向に突設した複数の嵌合突部とこれらの間に形成された嵌合凹部とを備え、上記一対の結合金具本体の嵌合突部と嵌合凹部は互いに相手側の結合金具本体の嵌合凹部と嵌合突部に軸方向に嵌合し、またこれら嵌合突部には相手側の結合金具本体の嵌合突部に周方向に係止して軸方向の移動を規制しこれら一対の結合金具本体を軸方向に係止する係止鉤部が形成されており、上記の係止鉤部が係合した状態において、上記の嵌合突部の先端面と上記の嵌合凹部の奥壁面との間に間隙が形成されていて、上記の係止鉤部の係止面は、周方向に対して所定の角度だけオーバーハング状に傾斜していて、上記の係止鉤部が形成されている嵌合突部に近い根元よりも上記の係止鉤部が形成されている嵌合突部から上記の周方向において最も遠い先端を、上記の嵌合突部の上記の係止鉤部に隣接した嵌合凹部の奥壁面に対し上記の軸方向に接近させており、上記の係止鉤部が係合した状態において上記の結合金具本体を互いに引き離す上記の軸方向の荷重が作用した場合に上記の荷重の一部が上記のオーバーハング状に傾斜した上記の所定の角度に応じた上記の周方向における分力となって上記の係合した状態の係止鉤部を上記の周方向に相互にさらに接近させようとするので上記の係合した状態の係止鉤部がより強く係合するものである、ことを特徴とする。
このように、雌雄の区別がなく同一の構造の一対の結合金具本体から構成される請求項1に記載の本発明に従ったホースの結合金具においては、上記の係止鉤部が係合した状態において、上記の係止鉤部の係止面は、周方向に対して所定の角度だけオーバーハング状に傾斜しているので、結合金具内の非常に高い水圧等の非常に高い圧力による結合金具本体を互いに引き離す方向の非常に大きな荷重が長時間に亘り係止鉤部に作用し係止鉤部が形成されている係止突部が撓んでも、その結果として係止鉤部の係止面が、係止鉤部が形成されている嵌合突部に近い根元よりも係止鉤部が形成されている嵌合突部から周方向において最も遠い先端が、嵌合突部の係止鉤部に隣接した嵌合凹部の奥壁面に対し軸方向に遠くなるよう、いわゆるオーバーハング状とは逆になるよう上記周方向に対し傾斜することがない。
さらに、長期間の使用に伴い係止鉤部の係止面の磨耗が進行して係止面が上記根元よりも上記先端の方がより多く磨耗しても、係止面は、上述した如く係止突部が撓んだ場合と同様に、いわゆるオーバーハング状とは逆になるよう周方向に対し傾斜することはない。
従って、結合金具内の非常に高い水圧等の非常に高い圧力による結合金具本体を互いに引き離す方向の非常に大きな荷重が長時間に亘り係止鉤部に作用した場合に係止鉤部が形成されている係止突部が撓んだとしても、また長期間の使用に伴い係止鉤部の係止面の磨耗が進行しても、内部の水圧等によりこれら結合金具本体を互いに引き離す方向の荷重が長時間に亘り作用した場合に係止鉤部の係止面に周方向にずれが生じることがないし、逆に上記の荷重の一部が上記のオーバーハング状に傾斜した上記の所定の角度に応じた上記の周方向における分力となって上記の係合した状態の係止鉤部を上記の周方向に相互にさらに接近させようとするので上記の係合した状態の係止鉤部がより強く係合して不所望に結合が外れることがないことが明らかである。
さらに、上記の係止鉤部が係合した状態において上記の嵌合突部の先端面と上記の嵌合凹部の奥壁面との間に間隙が形成されているので、内部の水圧等によりこれら結合金具本体を互いに引き離す方向の荷重が負荷されていない間に相互に結合されている一対の結合金具本体をお互いの係合鉤部が上記周方向において相互に離れるよう回動させると、お互いの係合鉤部のオーバーハング状に傾斜した係止面が相互に摺接して一対の結合金具本体を相互にさらに接近させるよう上記の軸方向に移動させるので、上記の係止鉤部の係止面の上記のオーバーハング状の傾斜にもかかわらず上記の係止鉤部の係合を解除させるよう上記の結合金具本体を互いに回動させることが可能になる。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の本発明のホースの結合金具において、前記の嵌合突部と前記の嵌合凹部が嵌合され前記の係止鉤部が互いに係合した状態において、前記の結合金具本体を互いに回動不能にロックするロック機構を具備している、ことを特徴とする。
ここにおいては、内部に圧力が作用していない間に外部からの衝撃やホース等からの捩じり荷重が作用した場合においても、上記のロック機構によってこれらの結合金具本体が互いに回動不能にロックされるので、上記の係止鉤部の係合が解除されることはない。よって、この結合金具本体の不所望な結合解除が確実に防止され、信頼性が高い。
また、請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の本発明のホースの結合金具において、前記のロック機構が、前記の嵌合凹部の奥部に略周方向に突設された弾性的に屈曲可能なロックピンと、前記の嵌合突部の先端面に形成され上記のロックピンが嵌合するロック溝とを備え、前記の結合金具本体が互いに結合された場合に上記のロックピンが上記のロック溝内に嵌合し、このロックピンの先端部が上記のロック溝の奥壁部に当接してこれらの結合金具本体を互いに回動不能にロックし、またロック解除の場合にはこれらの結合金具本体が互いに近接する軸方向に移動することにより、前記の嵌合突部の先端部で上記のロックピンを押圧して湾曲させ、このロックピンとロック溝との係合を解除することを特徴としている。
したがって、これらの結合金具本体を結合する際には、これらを軸方向に嵌合させるだけで、前記のロック機構が自動的にロックされる。また、前記のロック機構をロック解除する場合には、これらの結合金具本体を互いに軸方向に近接するように押圧するだけでロック解除ができ、その操作が容易であるとともに、構造が簡単で信頼性が高い。
また、請求項4に記載の本発明は、請求項2に記載の本発明のホースの結合金具において、前記ロック機構が、前記の嵌合凹部の内側面奥部から略周方向に突設された弾性的に屈曲可能なロックピンと、これらのロックピンに対応して前記の嵌合突部の側面の先端部に形成された解除孔とを備え、前記の結合金具本体が結合状態の場合には上記のロックピンの先端部が前記の嵌合突部の側面の上記解除孔の近傍に当接してこれら結合金具本体を互いに回動不能にロックし、またロック解除の場合にはこれらの結合金具本体が互いに近接する軸方向に移動することにより、上記のロックピンの先端部に前記の解除孔が対応し、このロックピンの先端部がこの解除孔内に進入可能となってロックが解除されることを特徴としている。
したがって、これらの結合金具本体を結合する際には、これらを軸方向に嵌合させるだけで、前記のロック機構が自動的にロックされる。また、前記のロック機構をロック解除する場合には、これらの結合金具本体を互いに軸方向に近接するように押圧するだけでロック解除ができ、その操作が容易であるとともに、構造が簡単で信頼性が高い。
また、請求項5に記載の本発明は、請求項2に記載の本発明のホースの結合金具において、前記のロック機構が、前記の結合金具本体に軸方向に摺動自在なロック部材を備え、このロック部材はスプリングによりこれら結合金具本体の先端側に移動するように付勢されており、また上記のロック部材にはこれら結合金具本体が互いに結合した場合に前記の嵌合突部と嵌合凹部の間の周方向の間隙内に進入してこれらの結合金具本体を互いに回動不能にロックするロック爪が突設されているものである。
したがって、これらの結合金具本体を結合する際には、これらを軸方向に嵌合させるだけで、前記のロック機構が自動的にロックされる。また、前記のロック機構をロック解除する場合には、上記のロック部材をスプリングの付勢力に抗して互いに離反するように軸方向に移動させるだけでロック解除ができ、その操作が簡単であるとともに、構造が簡単で信頼性が高い。
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。この実施形態は本発明の結合金具を消防ホースの結合金具に適用した場合のものである。図1ないし図7は本発明の第1の実施形態を示す。この結合金具は、同一の構造の一対の結合金具本体1a,1bから構成されており、これら結合金具本体1a,1bにはそれぞれ消防ホース2a,2bが接続されている。
これらの結合金具本体1a,1bは、それぞれ筒本体3を備えており、これら筒本体3は略円筒形をなし、その内周面には鋸歯状の凹凸を有するホース取り付け部4が形成されている。そして、このホース取り付け部4に消防ホース2a,2bの端部が挿入され、これらホースの内周面からかしめリング(図示せず)によってこのホースの外周面をこのホース取り付け部4に押圧してこの消防ホースを取り付ける。
また、この筒本体3の前端部の内周面には、円筒状のシール面部材5が螺装され、このシール面部材5の前端面はシール面として形成され、このシール面にはゴムパッキン等のシール部材6が取り付けられている。したがって、これらの結合金具本体1a,1bが互いに軸方向に嵌合して結合された場合には、これらのシール部材6が互いに衝合され、これらの筒本体3の内部を連通するとともにシール性を維持する。
そして、上記の筒本体3の前端部には、それぞれ複数、たとえば6個の嵌合突部8が一体に突設されている。これらの嵌合突部8は、周方向に等間隔に配列され、上記のシール面部材5のシール面から軸方向に突出している。また、これらの嵌合突部8の間は、嵌合凹部7として形成されており、これらの結合金具本体1a,1bが軸方向に衝合された場合には、一方の結合金具本体1aの嵌合突部8が他方の結合金具本体1bの嵌合凹部7内に嵌合し、また他方の結合金具本体1bの嵌合突部8が一方の結合金具本体1aの嵌合凹部7内に嵌合し、互いに相補形に嵌合する。
なお、この第1の実施形態のものでは、上記の嵌合凹部7の幅は上記の嵌合突部8の幅よりやや広く形成されている。したがって、これら嵌合突部8はこれらの嵌合凹部7内に軸方向に嵌合するとともに、周方向にも所定の量だけ回動自在である。
そして、上記の嵌合突部8の一方の側面8aには段形鉤状の係止鉤部9がそれぞれ形成されており、これらは互いに相手側の嵌合突部の係止鉤部と周方向に係合するように構成されている。したがって、これらの嵌合突部8が相手側の嵌合凹部7内に軸方向に嵌合した状態で、これら結合金具本体1a,1bを互いに回動させてこれら嵌合突部8の一方の側面8aが互いに近接すると、これらの係止鉤部9が図3に示すように互いに係合して軸方向の係止をなし、これら結合金具本体1a,1bが互いに結合される。なお。これらの係止鉤部9の根元部には、この部分の応力集中を防止するための湾曲部11が形成されている。また、これらの嵌合突部の他方の側面の先端角部は円弧状に形成されてガイド部12が形成されており、これらが嵌合する際には、これらのガイド部12が互いに当接する。また、上記の湾曲部11内には、柔軟な弾性発泡材料等の材料からなる弾性プラグ体11aが充填固定されており、このような湾曲部11内に砂、泥等の異物が堆積してこれら係止鉤部9の係合を阻害するのを防止している。
また、これらの係止鉤部9の係止面は、周方向に対して所定の角度だけオーバーハング状に傾斜していて、係止鉤部9が形成されている嵌合突部8に近い根元よりも係止鉤部9が形成されている嵌合突部8から上記の周方向において最も遠い先端を、係止鉤部9が形成されている嵌合突部8に隣接し係止鉤部9が配置されている嵌合凹部7の奥壁面に対し上記の軸方向に接近させており、これらが嵌合した状態で内部の水圧等によりこれら結合金具本体1a,1bを互いに引き離す上記の軸方向の荷重が作用した場合には、上記の荷重の一部が上記のオーバーハング状に傾斜した上記の所定の角度に応じた上記の周方向における分力となって上記の係合した状態の係止鉤部9を上記の周方向に相互にさらに接近させようとするので上記の係合した状態の係止鉤部9はより強く係合し、この結合金具本体1a,1bの抜け等を確実に防止するように構成されている。
なお、この実施形態では、上記の係止鉤部9が係合した状態において、上記の嵌合突部8の先端面と嵌合凹部7の奥壁面との間に間隙が形成されるように各部の寸法が設定されている。したがって、このものは、上記の係止鉤部9が係合した状態から、これら嵌合突部8と嵌合凹部7とがさらに軸方向に互いに進入するように移動可能である。さらに、係止鉤部9が係合した状態において嵌合突部8の先端面と嵌合凹部7の奥壁面との間に間隙が形成されているので、内部の水圧等によりこれら結合金具本体1a,1bを互いに引き離す方向の荷重が負荷されていない間に相互に結合されている一対の結合金具本体1a,1bをお互いの係合鉤部9が上記周方向において相互に離れるよう回動させると、お互いの係合鉤部9のオーバーハング状に傾斜した係止面が相互に摺接して一対の結合金具本体1a,1bを相互にさらに接近させるよう上記の軸方向に移動させるので、係止鉤部9の係止面の上記のオーバーハング状の傾斜にもかかわらず係止鉤部9の係合を解除させるよう結合金具本体1a,1bを互いに回動させることが可能になる。
また、これらの嵌合突部8の他方の側面8bは、これらの結合金具本体1a,1bの軸方向に対して傾斜している。したがって、この嵌合突部8は、その先端部にゆくに従って周方向の幅が狭くなるようなテーパ状に形成され、また嵌合凹部7も同様にその奥部にゆくに従ってその周方向の幅が狭くなるようなテーパ状に形成されている。これにより、これらの嵌合突部8と嵌合凹部7の嵌合が容易となる。なお、上記の係止鉤部9が形成されている一方の側面は、この結合金具本体1a,1bの軸方向と略平行に形成されている。
また、これらの嵌合突部8の他方の側面8bには、それぞれ付勢機構10が設けられている。これらの付勢機構10は、円筒形のケース部材14内に突没自在に収容された付勢部材たとえば鋼球15と、この鋼球15を突出方向に付勢するスプリング16とから構成されており、これらの付勢機構10はこれら嵌合突部8の他方の側面に埋め込まれている。したがって、これらの嵌合突部8が図3に示すように相手側の嵌合凹部7内に嵌合されると、上記の鋼球15が互いに当接して互いに押圧付勢し、これら嵌合突部8の他方の側面を互いに離反するように付勢し、この結果これら嵌合突部8の一方の側面8aは互いに近接するように付勢され、上述のようにこれらの一方の側面の係止鉤部9が互いに係合するように付勢される。
また、これらの結合金具本体1a,1bの外周面には、複数の工具溝20が形成されている。これらの工具溝20は、たとえばレンチ等の工具と嵌合可能な形状に形成されており、万一これらの結合金具本体1a,1bの結合が砂等の噛み込みにより結合解除できなくなった場合には、これらの工具溝20にレンチ等の工具を嵌合してこれら結合金具本体1a,1bを強制的に回動させることにより、結合を解除することができる。
また、これらの結合金具本体1a,1bには、それぞれロック機構21が設けられ、これらを結合した状態にロックし、衝撃等によりこれらの結合が不所望に外れるのを防止している。以下、このロック機構21を図4ないし図6を参照して説明する。
すなわち、上記の嵌合凹部7の奥隅部、すなわち隣接する嵌合突部8の他方の傾斜した側面8bの根元部には、ロックピン22が略周方向に突設されている。このロックピン22は、直径が3mm程度の弾性を有するもの、たとえばピアノ線で形成されており、自由状態では直線状であるが、弾性的に屈曲が可能なものである。また、このロックピン22の突設されている根元部には、このロックピン22の径より大径の逃げ孔23が形成され、このロックピン22が自由に屈曲できるように構成されている。なお、この逃げ孔23内には、砂、泥等が詰まるのを防止するため、前記と同様の柔軟な弾性発泡材料等の材料からなる弾性プラグ体26が充填固定されている。
このロックピン22は、全ての嵌合凹部7内にそれぞれ設けられていても良く、また一部の嵌合凹部7内にのみ形成されていても良い。この実施形態では、1個おきの嵌合凹部7内にこれらのロックピン22が突設され、よって1個の結合金具本体1a,1bには3個のロックピン22が設けられている。
また、上記の嵌合突部8の先端面には、これらのロックピン22に対応してロック溝24が形成されている。このロック溝24は、図5に示すように、その一端部がこの嵌合突部8の角部に開放され、また他端部奥壁部を形成して終端となっている。また、この奥壁部には、上記のロックピン22の解除の際の逃げを確実にするための面取部25が形成されている。なお、これらのロック溝24は、全ての嵌合突部8の先端面に形成されている。したがって、これら嵌合突部8と嵌合凹部7を任意の関係で嵌合させても、相手側のロックピン22は必ずこれらロック溝24に対応するように構成されている。
このようなロック機構21は、この嵌合凹部7内に嵌合突部8が嵌合されて係合鉤部9が係合すると、図4に示すようにこのロックピン22が上記の嵌合突部8の先端面のロック溝24内に嵌合し、このロックピン22の先端がこのロック溝24の終端の奥壁部に当接する。したがって、この状態では、これら結合金具本体1a,1bは互いに上記の係止鉤部9の係合が外れる方向の周方向には回動不能にロックされる。
また、このロック機構21のロックを解除する場合には、図6に示すように、これら結合金具21を互いに近接する方向に軸方向に押圧する。そして、この嵌合突部8が図6に示すように嵌合凹部7の奥部に軸方向に移動すると、上記のロックピン22がこの嵌合突部8の先端面に押圧されて弾性的に屈曲する。したがって、このロックピン22の先端部が上記のロック溝24の奥部から抜け出し、このロックが解除され、これらの結合金具本体1a,1bが周方向に回動自在となる。よってこの状態でこれらの結合金具本体1a,1bを周方向に回動させれば、上記の係止鉤部9の係合が解除され、これらの結合金具本体1a,1bの結合を解除することができる。なお、この場合に、上記ロック溝24の奥部には面取部25が形成されているので、上記のロックピン22の先端部がこのロック溝24の奥部に引っ掛かることがなく、このロック解除が確実となる。
また、この結合金具では、上記の各嵌合突部8または嵌合凹部7の側面または内側面がいずれもこれら結合金具本体1a,1bの中心軸線を通る径方向の面で構成されている。すなわち、図7に示すように、上記の嵌合突部8の一方および他方の側面8a,8b(嵌合凹部7の内側面)、および係止鉤部9を構成する面は、いずれもこの結合金具本体1a,1bの中心軸線Oを通る径方向の面で形成されている。
次に、このような結合金具の作用を説明する。これらの結合金具本体1a,1bを結合する際には、図1に示すようにこれら結合金具本体1a,1bを略同心状に対向させ、これらを軸方向に衝合し、上記の嵌合突部8を相手側の嵌合凹部7内に嵌合する。この場合、上記の嵌合突部8はいずれも同一の形状であるとともに、6個が等間隔で配列されているので、これら嵌合突部8は相手側の任意の嵌合凹部7と嵌合することができる。したがって、これら嵌合突部8と相手側の嵌合凹部7とを対向させるには、最大で約30°だけこれら結合金具本体1a,1bを相対的に回動させるだけですみ、これらに接続されている消防ホース2a,2bを過度に捩じる必要はなく、操作が容易である。
そして、これらが軸方向に嵌合される際には、嵌合突部8の一方の側面8aまたは他方の側面8bの先端部同志が当接するが、この他方の側面8bは傾斜しているとともに、その先端角部にはガイド部12が形成されているので、互いに滑らかに案内されて円滑かつ確実に嵌合する。そして、このようにして嵌合突部8を軸方向に嵌合すると、これらの他方の側面8bに設けられている付勢機構10の鋼球15が互いに押圧し、これら嵌突部8の一方の側面8aが互いに近接するように付勢する。そして、これら一方の側面8aに形成されている係止鉤部9が互いに相手の先端部を乗り越えると、図3に示すように上記の付勢機構10の付勢力によりこれら係止鉤部9が互いに周方向に係合して軸方向に移動を不能とし、この状態でこれら一対の結合金具本体1a,1bが結合される。なお、この状態では、前述のシール部材6は互いに衝合押圧されて所定量変形し、シールを維持することは前述の通りである。
この嵌合の際には、上記の付勢機構10の付勢力、または各側面8a,8b、および係止鉤部9等の当接による反力等が作用する。この場合に、上記の側面8a,8bおよび係止鉤部9は、いずれもこの結合金具本体1a,1bの中心軸線Oを通る径方向の面で形成されている。よって、これらの反力や付勢力の分力は基本的に周方向および軸方向のみとなる。よって、この嵌合の際には、これらの結合金具本体1a,1bを互いに径方向にずらすような分力は発生しない。よって、この結合の際に結合金具本体1a,1b相互に作用する力は軸方向の力と周方向の力だけとなり、これらの中心軸線がずれたり、傾いたりするようなことが確実に防止され、円滑かつ確実な嵌合がなされる。
また、この実施形態では、上記の他方の側面8bが傾斜しているため、これらの側面8b相互の反力や、これらの側面8bに形成されている付勢機構10の付勢力等の方向が複雑になる。しかし、上記の他方の側面8bも、上記のように径方向の面で構成されているので、これらの分力も軸方向と周方向のみとなるので、上記のように円滑かつ確実な嵌合ができる。
なお、上記のような嵌合または嵌合解除の際の円滑さは、嵌合突部8や嵌合凹部7の形状寸法や、これらの間の隙間等によって影響される。実際の製品では、多数の試作品を各種の条件で試用し、適切な設計がなされるものであるが、上記のように反力や付勢力の分力が基本的に軸方向と周方向のみという特徴は、この嵌合および嵌合解除の際の円滑さに大きく寄与する。
そして、上記のようにして係止鉤部9が互いに係合すると、前述のロック機構21により、これらの結合金具本体1a,1bは互いに周方向に回動不能にロックされる。よって、この結合金具に衝撃が作用したり、またホース等から捩じり等の荷重が作用した場合でも、これらの結合金具本体1a,1bの結合が不所望に解除されることはない。
次に、結合状態にある結合金具本体1a,1bを結合解除する場合には、まずこれらを軸方向に互いに近接するように押圧し、前記のロック機構21のロックを解除した後に、これら結合金具本体1a,1bを互いに反対方向にねじる。これにより、これら結合金具本体1a,1bは、上記の付勢機構10の付勢力に抗して回動し、上記の係止状態にある係止鉤部9の係合が解除される。そして、これとともにこれら結合金具本体1a,1bを互いに軸方向に引き離せば、これらは結合解除される。
また、図8には本発明の第2の実施形態の結合金具のロック機構を示す。このものは、係止鉤部9を互いに軸方向に嵌合するような突起部9aを有する形状に形成したものである。このものは、これら結合金具本体1a,1bが係止状態から互いに近接するように軸方向に所定の距離移動しない限りこれらの突起部9aの係合が解除されないようにしたものである。このものは、前述したロック機構21と相俟って、この係合が不所望に解除されることがより確実に防止される。なお、この第2の実施形態のものは、上記の点以外は前記の第1の実施形態のものと同様の構成であり、図8中第1の実施形態に対応する部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
また、図9ないし図11には本発明の第3の実施形態のロック機構を示す。このものは、前記の嵌合凹部7の内側面奥部、すなわち嵌合突部8の他方の側面8bの根元部から略周方向に突設された弾性的に屈曲可能なロックピン41を備えている。このロックピン41はたとえば超弾性材料等の弾性の大きな材料で形成され、自由状態では略直線状で、弾性的に屈曲可能なものである。なお、このロックピン41の突設されている根元部には、大径の逃げ凹部42が形成され、このロックピン41が自由に屈曲可能となっている。
また、これらのロックピン41に対応して嵌合突部8の他方の側面8bの先端部には、解除孔43が形成されている。この解除孔43の位置は、前記の係止鉤部9が係合した状態では上記のロックピン41の先端部には一致せず、その近傍に位置している。なお、これらの逃げ凹部42、解除孔43内には柔軟な弾性発泡材料等の材料からなる弾性プラグ体44,45がそれぞれ充填固定されており、これらの内部に砂、泥等の異物が堆積するのを防止している。なお、この第3の実施形態のものは、上記の点以外は前記の第1の実施形態のものと同様の構成であり、図9ないし図11中、第1の実施形態に対応する部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
このものは、嵌合の際には図9に示すように上記のロックピン41が屈曲し、嵌合凹部7と嵌合突部8との嵌合を許容する。そして、上記の係止鉤部9が完全に係合した状態では、上記のロックピン41は自身の弾性力により直線状の形状に復帰し、その先端部が嵌合突部8の側面8bに当接し、これらの結合金具本体1a,1bを互いに回動不能にロックする。
またロック解除の場合には、これらの結合金具本体1a,1bを互いに近接するように軸方向に移動することにより、上記のロックピン41の先端部に上記の解除孔43が対応する。この状態では、このロックピン41の先端部がこの解除孔43内に進入可能となり、結合金具本体1a,1bが周方向に移動可能となりロックが解除され。
また、図12には第4の実施形態のロック機構を示す。このものは、上記の結合金具本体1a,1bにそれぞれ軸方向に摺動自在に設けられた環状のロック部材51が設けられている。そして、これらのロック部材51は、スプリング52によりこの結合金具1a,1bの先端部側に軸方向に移動するように付勢されている。
また、これらのロック部材51の前端からは、各嵌合凹部7にそれぞれ対応したロック爪53が突設されている。これらのロック爪53は、この嵌合凹部7内に嵌合突部8が嵌合して係止鉤部9が完全に係合した状態において、嵌合突部8の他方の側面8bの間に形成される隙間よりやや狭い幅を有している。そして、これらのロック爪53は、この側面8bの基端部に沿って嵌合凹部7内に突出している。なお、この第4の実施形態のものは、上記の点以外は前記の第1の実施形態のものと同様の構成であり、図12中、第1の実施形態に対応する部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
このものは、嵌合凹部7内に嵌合突部8が嵌合されると、この嵌合突部8の先端部に上記のロック爪53の先端部が当接し、このロック爪53はこの嵌合突部8に押され、ロック部材51とともにスプリング52の付勢力に抗して後退する。そして、この嵌合突部8が嵌合凹部7内に嵌合し、係止鉤部9が完全に係合し、上記の側面8bの間に所定の隙間が形成されると、上記のロック爪53はスプリング52の付勢力によって前進してこれらの隙間内に進入する。これによって、これらの結合金具本体は互いに回動不能にロックされる。また、ロック解除の場合には、上記のロック部材51を手で把持してこれらを互いに離反させるようにスプリング52の付勢力に抗して後退させ、上記のロック爪53を側面8bの間の隙間から抜き出してロックを解除する。
この実施形態のものは、外部からこのロック機構の状態が目視で確認できるので、これらの結合金具本体1a,1bが完全に嵌合してロックされているか否かが容易に確認でき、また構造も簡単で信頼性が高く、また操作も容易である。
なお、本発明は上記の実施形態にも限定されない。たとえば、嵌合突部や嵌合凹部の形状、またはその他の細部は上記の実施形態のものには限定されない。
1a,1b…結合金具本体、2a,2b…消防ホース、5…シール面部材、7…嵌合凹部、8…嵌合突部、8a…一方の側面、8b…他方の側面、9…係止鉤部、10…付勢機構、21…ロック機構、22…ロックピン、23…ロック溝、41…ロックピン、43…解除孔、51…ロック部材、53…ロック爪。