JP3970701B2 - Mri装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はMRI装置に係り、画像のコントラストを最適にするパラメータを短時間に設定する機能を有したMRI装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気共鳴イメージング法(MRI)は、静磁場中に置かれた被検体組織の原子核スピンに対して、そのラーモア周波数をもつ高周波信号で励起し、この励起に伴って発生する磁気共鳴信号から画像を再構成する画像診断法である。
【0003】
MRI装置は生体内から検出する磁気共鳴信号を用いた画像診断装置であり、解剖学的診断情報のみならず生化学的情報や機能診断情報など多くの診断情報を得ることができるため、今日の画像診断の分野では不可欠なものとなってきている。とくに心臓の造影MRIは最近大きな進歩を遂げ、心筋虚血と心筋梗塞の診断に関しては既に臨床の場で広く用いられるレベルにまで発展した。
【0004】
MRI装置による虚血性心疾患の診断においては、被検体にMR造影剤(例えばGd−DTPA(gadolinium diethylenetriamine pentaacetic acid)を注入し、所定時間後にIR法(Inversion Recovery法)を用いてT1強調画像を収集することによって梗塞部位の心筋を特定する心筋遅延造影法がある。心筋梗塞では組織浮腫や心筋細胞膜の障害によって、MR造影剤の細胞外液分布容積が正常心筋よりも増大するとされている。
【0005】
このGd系のMR造影剤は、MRI撮影における縦緩和時間(T1)を短縮させる効果があることが既に知られている。従って、非選択IRパルス(以下IRパルス)を被検体の心臓部位に照射して心筋組織の縦磁化を180度反転させ、所定の待ち時間TI(インバージョンタイム:反転時間)後にRFパルスを照射してT1強調画像を撮影すれば、T1時間の短い造影剤が存在する部位のみを強調して画像化することが可能となる。
【0006】
ここで、心筋梗塞部と正常心筋とのコントラストを向上させるために上記待ち時間TIは、IRパルスによって反転した心筋梗塞部および正常心筋における核スピンの縦磁化がそれぞれの縦緩和時間T1に基づいてマイナスからプラスに回復する過程で、正常心筋の縦磁化がゼロ近傍になるタイミングで設定することが望ましい。このとき、短いT1を有する造影剤が混入された心筋梗塞部の縦磁化は、既にプラスの値に回復されており、従ってTI後のT1強調画像を収集することによって、心筋梗塞部のみを強調した画像として表示することが可能となる。
【0007】
虚血性心疾患のMRI診断における本撮影では、各種の高速撮影法が導入されるが、IR―MRIの高速撮影には通常、IRプリパルスを付加したSegmented Fast Field Echo法、またはSegmented Turbo FLASHと呼ばれるk−空間を複数セグメントで分割した高速撮影法が用いられ、このとき、心電波形に同期させて呼吸停止下での撮影が実行される。この心筋遅延造影法を用いた高速撮影MRIは、心筋梗塞病変の分布をきわめて明瞭に描出するため、心筋バイアビリティ診断において、その有用性が期待されている。(佐久間肇 他, “造影MRIによる虚血性心疾患の診断”,INNERVISION(15・13)2000 P.59-66)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように梗塞部位の心筋をコントラストよく表示するためには、TI時間を最適な値に設定することが条件となるが、この値を常に一定に設定することはできない。すなわち、心筋の縦磁化がゼロになるまでの時間は造影剤投与量や投与後の時間や被検体組織などによって変動することが臨床の場で確認されている。このため、正常心筋の信号強度すなわち縦磁化がゼロになる時間をインバージョン時間TIに設定するためには、被検体ごとに、あるいは撮影ごとに上記本撮影前に行うテスト撮影において、TIをパラメータにして得られる画像から最適なTIを求めた後、この最適TIを用いてIR−MRIの本撮影を行っている。
図14は従来の最適TIを求めるためのテスト撮影法を示したものであり、MRI画像を生成する所定のスライス断面を選択し、TI時間がとり得る範囲、例えば200msec〜400msecの範囲を50msecステップで5種類のTIを設定する。この場合の撮影方法は、例えば「IRプリパルスを付加したSegmented Fast Field Echo法」が用いられる。
【0009】
まず、図14(a)に示すように心電波形のR波から所定時間Tdの後にIRパルスを関心領域全体に印加し、さらにこのIRパルスから最初のTI時間(TI1)として設定された200msecの後にRFパルスを印加して信号を読み取る。但し、このとき、MR信号が受信されるスライス断面の位置は後述する3つの勾配磁場によって決定される。
【0010】
さらにTI=TI1(200msec)の条件のままで、位相エンコードを変えながら複数回(Nx回)MR信号を読み取り、このとき得られるNxのMR信号を再構成してTI=TI1の場合のMRI画像を得る。但し、このNxのMR信号は1心拍期間でMヶづつN心拍にわたって収集され、このNx(=M*N)のMR信号から1枚のMRI画像を生成する。例えば、M=8、N=16、Nx=128である。なお、被検者は体動の画像への影響を低減するために、上記NxのMR信号の収集期間中は呼吸を停止する。次いで、他のTI時間、TI=TI2(250msec)〜TI5(400msec)の場合においても同様な手順でMRI画像を収集する。異なる5種類のTI時間を設定して得られる5枚の画像において正常心筋の信号強度が最も低い画像を選定し、その時のTI時間を求める。引き続いて、このTI時間を用い、1枚のMRI画像につき上記の位相エンコード数Nxとほぼ同じ位相エンコードデータを収集する本撮影を行う。なお、上記Segmented Fast Field Echo法についての詳細は本発明の実施の形態において説明する。
【0011】
以上述べたように従来の最適TIの設定法では、1つのTIにつき呼吸停止した状態でそれぞれN心拍期間のMR信号の収集を行ない、さらにこのような収集を5つのTIについて繰り返し行う必要があり、従ってこの方法によればMR信号の収集に多くの時間を要するのみならず、上記5回の呼吸停止は被検者にとって大きな負担となっていた。
【0012】
とくに、MRIによる虚血性心疾患の検査では、心筋遅延造影は通常心筋パフュージョン撮影やシネ撮影などと組み合わせて行われるため、上記息止めは被験者の負担と疲労を増大させるものであった。
【0013】
本発明は、この最適TIを求めるために行われるテスト撮影を短時間に行うことにより、心臓検査全体の検査時間の短縮と被検者に与える負担の低減をはかることを目的にしている
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明のMRI装置は、被検体から得られる心電波形に同期したIR法によりMRI画像を得るMRI装置であって、心電波形の1心拍期間において、予め設定される前記被検体の関心領域の複数スライスに対してそれぞれ異なるTIを設定してMR信号を収集する第1の信号収集手段と、このMR信号に対して再構成を行ってぞれぞれのTIに対応するMRI画像を生成する第1の画像生成手段と、この画像生成手段によって得られる複数のMRI画像に基づいて選択されるTIを所望TIとして設定する所望TI設定手段と、この設定手段によって設定される所望TIを用いて第2のMR信号を得る第2の信号収集手段と、このMR信号に対して再構成処理を行うことによってMRI画像を生成する第2の画像生成手段と、この生成手段によって生成されるMRI画像を表示する画像表示手段とを備えたことを特徴としている。
【0015】
また、請求項2に係る本発明のMRI装置は、被検体から得られる心電波形に同期したIR法によりMRI画像を得るMRI装置であって、複数のインバージョンタイム(TI)を設定するTI設定手段と、所定スライスに対し、複数心拍にわたるMR信号の収集を、前記TIを変更して連続的に行う第1の信号収集手段と、このMR信号に対して再構成を行ってぞれぞれのTIに対応するMRI画像を生成する第1の画像生成手段と、この画像生成手段によって得られる複数のMRI画像に基づいて選択されるTIを所望TIとして設定する所望TI設定手段と、この設定手段によって設定される所望TIを用いて第2のMR信号を収集する第2の信号収集手段と、このMR信号に対して再構成処理を行うことによってMRI画像を生成する第2のMRI画像生成手段と、この画像生成手段によって生成されるMRI画像を表示する画像表示手段とを備えたことを特徴としている。
【0016】
さらに請求項10に係るMRI装置は、被検体から得られる心電波形に同期したIR法によりMRI画像を得るMRI装置であって、前記被検体の関心領域の所定のスライスに対してそれぞれ異なるTIを設定して第1のMR信号を収集する第1の信号収集手段と、この第1のMR信号に対して再構成を行ってぞれぞれのTIに対応する複数のMRI画像を生成する第1の画像生成手段と、この複数のMRI画像に基づいて選択されるTIを所望TIとして設定する所望TI設定手段と、この所望TI設定手段によって設定される所望TIを用いて第2のMR信号を収集する第2の信号収集手段と、この第2のMR信号に対して再構成処理を行うことによってMRI画像を生成する第2の画像生成手段と、この第2の画像生成手段によって生成されるMRI画像を表示する画像表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
従って、本発明によれば、短時間で最適なTIを求めることができるため、検査時間が短縮され、さらに被験者の息止め時間も短縮される。このため、被験者に与える苦痛を大幅に軽減することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
図1〜図9において本発明の実施の形態について説明する。図1はMRI装置全体の概略構成を示すブロック図である。
【0020】
このMRI装置は、磁場を発生させる静磁場発生部1および勾配磁場発生部2と、RFパルス信号を送受信する送受信部3と、システム全体の制御を行う制御部4と、画像再構成と画像の保存を行う高速演算・記憶部5と、被検体11を載せる寝台8と、心電計測部7と、入力部22および表示部21を備える。
【0021】
静磁場発生部1は、例えば超電導磁石である主磁石13と、この主磁石13に電流を供給する静磁場電源26とを備え、被検体11の周囲に強力な静磁場を形成する。
【0022】
勾配磁場発生部2は互いに直交するX、Y及びZ軸方向の勾配磁場コイル14と、これらのコイルに電流を供給する勾配磁場電源25を備える。
【0023】
勾配磁場電源25には、制御部4のシーケンス制御回路24によって勾配磁場制御信号が供給され、被検体11が置かれた空間の符号化が行なわれる。すなわち、この信号に基づいて勾配磁場電源25からX,Y,Z軸勾配磁場コイル14に供給されるパルス電流を制御することにより、X,Y,Z軸方向の勾配磁場は合成され、互いに直交するスライス選択勾配磁場Gs、位相エンコード勾配磁場Ge、および読み出し(周波数エンコード)勾配磁場Grを任意に設定することが可能となる。なお各方向の勾配磁場は静磁場に重畳され被検体11に加えられる。
【0024】
送受信部3は、被検体11にRFパルスを照射するための照射コイル15およびMR信号を受信し信号検出するための受信コイル16と、これらコイルに接続される送信器17および受信器18が備えられる。ただし照射コイル15と受信コイル16は分離される場合もある。
【0025】
送信器17は後述のシーケンス制御回路24によって制御される。主磁石13の静磁場強度によって決定される磁気共鳴周波数と同じ周波数をもち、選択励起波形で変調されたRFパルス電流によって照射コイル15を駆動し、被検体11にRFパルスを照射する。受信器18は受信コイル16によってMR信号として受信した信号に対して中間周波変換、位相検波、さらにはフィルタリングなどの信号処理を行った後A/D変換を行う。
【0026】
制御部4は主制御回路23と、シーケンス制御回路24とを備えている。主制御回路23はCPUおよびメモリを有しており、装置全体を統括して制御する機能を有しているが、とくに入力部22から入力される撮影開始指示信号や撮影方法やパルスシーケンスに関する情報、画像表示フォーマット情報などを一旦記憶する記憶機能を有し、これらの情報に基づいてシーケンス制御回路24にパルスシーケンスの情報(例えば勾配磁場コイル14や照射コイル15に印加するパルス電流の強度、印加時間、印加タイミングなどに関する情報)を送る機能を有している。また、テスト撮影によって求められる複数枚の画像の中から操作者が選択する画像に基づいて、その画像情報から最適TIを読み出し、内部メモリに保存する機能も有している。
【0027】
シーケンス制御回路24はCPUおよびメモリを備えており、主制御回路23から送られてきたパルスシーケンス情報を記憶し、この情報にしたがって勾配磁場電源25、送信器17、受信器18を制御する。また、心電計測部7からの心電波形からR波を検出し、このR波を基準にしてIRパルスやRF波あるいは勾配磁場の印加タイミングを制御する。
【0028】
高速演算・記憶部5は高速演算回路19と記憶回路20を備えている。高速演算回路19は受信器18からシーケンス制御回路24を介して送られてくるMR信号に対して、2次元フーリエ変換を行って実空間の画像データ(MRI画像)に再構成する。
【0029】
記憶回路20は受信器18から送られてくるMR信号を記憶するMR信号メモリ28と、高速演算回路19にてこのMR信号を用いて画像再構成を行い、得られたMRI画像を記憶するための画像メモリ29を備えている。このMR信号メモリ28はテスト撮影によって得られるMR信号を保存するテスト撮影用MR信号メモリ51と本撮影用MR信号メモリ52を備え、受信器18によって中間周波変換、位相検波、さらにはA/D変換されたMR信号を記憶する。
【0030】
画像メモリ29はMR信号メモリ28に一旦蓄えられたMR信号を用い、これに2次元のフーリエ変換を施すことによって得られる再構成画像、すなわちMRI画像を保存するための記憶回路である。
【0031】
寝台8は被検体11を体軸方向に移動させることが可能であり、主磁石13の開口部に挿入可能な構造になっている。
【0032】
入力部22では操作卓上に各種のスイッチやキーボード、マウスなどが備えられており、操作者により患者IDや撮影開始の指示、撮影方法およびパルスシーケンスや撮影条件などの撮影情報、あるいは表示方法に関する情報、機構部の移動などの指示などを入力する。これらの入力情報は主制御回路23を介して各ユニットに送られる。一方、マウスは表示部21のTVモニタの表示に対して対話操作を行う入力デバイスとして用いられ、TIをパラメータにして撮影された複数枚のMRI画像から最適画像を選択機能を有している。
【0033】
表示部21はTVモニタを備え、高速演算・記憶部5において再構成して得られたMRI画像を主制御回路23を介して表示する。
【0034】
心電計測部7は、被検体11の体表に装着して心電波形を検出するECGセンサ9と、このセンサの出力をデジタル信号に変換するECGユニット27を備え、この心電計測部7において計測される心電波形のR波を基準にIRパルスの照射をはじめとするパルスシーケンスのタイミングが設定される。
【0035】
次に、本発明の実施の形態の撮影手順を説明する前に、心筋遅延造影におけるIR法の役割と、IRパルスを付加したFast-Field-Echo法の概要について図2および図3を用いて説明する。
【0036】
図2はインバージョンリカバリー(IR)について示す。図2(a)の太矢印はIRパルスの印加前における核スピンの磁化方向とその大きさ(Mo)を示しており、t=0においてIRパルスが関心領域に照射された場合、縦磁化は180度反転し−Moの大きさをもつようになる(図2(b))。この縦磁化は組織のもつ緩和時間T1に従って、元の縦磁化(Mo)に戻ろうとする。
【0037】
図2(b)の曲線41および曲線42はそれぞれ梗塞部位の心筋および正常心筋における縦磁化の戻り曲線を示したものである。梗塞部位の心筋は、造影剤が注入されたことにより正常心筋に対して縦緩和時間T1が短くなっているので、梗塞部位の心筋の縦磁化は曲線41から明らかなように、正常心筋の縦磁化より速く戻る。図2(b)ではt=Tβにおいて正常心筋における縦磁化の大きさはゼロとなり、このとき、梗塞部位の縦磁化はプラスの値をもつ、t>Tβ(例えばTα)では梗塞部位からの信号は正常心筋部位からの信号より大きな信号として検出される。
【0038】
すなわち、梗塞部位の心筋と正常心筋を最もコントラストよく観察するためには、正常心筋の縦磁化がゼロとなるt=Tβをインバージョン時間(TI)に設定することが望ましい。
【0039】
次に、上記のIR法を適用した本実施の形態におけるテスト撮影の概要を図3を用いて説明する。図3はIRパルス付加のFast-Field-Echo法を適用したテスト撮影のパルスシーケンスを示しており、1心拍の区間中にTIをパラメータに、複数枚(本実施の形態では5枚)のマルチスライスMRI画像のデータを高速収集する。
【0040】
すなわち、図3(a)に示した心電波形のR波から所定の遅延時間Td後に、心臓の関心領域に対してIRパルスを照射コイル15によって照射し、このIRパルスの照射からTI1後に第1のスライス断面のMR信号を収集するためのRFパルスを印加する。同様にして、t=TI2〜TI5において第2のスライス断面〜第5のスライス断面のMR信号を収集するためのRFパルスを印加する(図3(b))。
【0041】
また、図3(c)に示すように、第1〜第5のスライス断面におけるMR信号の収集においては、8種類の位相エンコードに対してのMR信号が間隔TR(繰り返し時間)で順次収集される。図3(d)は、TR区間において行われる1つの位相エンコードに対するMR信号収集時のField-Echo法パルスシーケンスを示しており、(d−1)はIRパルスおよびRFパルスの照射タイミングを、また(d−2)はスライス選択勾配磁場Gs、(d−3)は読み出し(周波数エンコード)勾配磁場Gr、(d−4)は位相エンコード勾配磁場Ge、また(d−5)はMR信号をそれぞれ示している。
【0042】
例えば、IRパルスの照射(d−1)からTI1後に、スライス選択勾配磁場Gsによって第1のスライス断面が選択され(d−2)、このスライス断面に対してフリップ角α°のRFパルスが照射される(d−1)。このRFパルスの照射が終了したならば、TE(エコー時間)後に第1のスライス断面から受信されるMR信号に対して位置情報を付加するために、第1のスライス断面に対する読み出し方向および位相エンコード方向の勾配磁場GrおよびGeが形成される(d−3、d−4)。但し、field-echo法におけるMR信号の読み出しは、180度RFパルスの印加は行わず、読み出し方向勾配磁場Grを反転することによって行うため短時間でのデータ収集が可能となる。
【0043】
上記のような撮影原理に基づき、本実施の形態におけるテスト撮影の方法を図4に示す。図3におけるIRパルスとfast-field-echo法の概要説明では説明を簡単にするために位相エンコード方向のデータ数を8としたが、フィールドエコー法におけるデータ収集の繰り返し時間TRを5msecとすれば、8つの位相エンコードデータの収集に要する時間は40msecとなり、後述するTIの増加分50msecを考慮すれば位相エンコードデータ数は8が限界である。これに対して、実際のMRI画像における位相エンコードデータ数は128以上が要求されており、これらのデータを1心拍の間に収集することは不可能となる。このため、本実施の形態ではセグメント分割した撮影方法、すなわちSegmented Fast Field Echoを用いる。この方法におけるセグメントとは1心拍(心電波形のR−R間隔)の期間を意味し、セグメント分割した撮像法では、1枚の画像を構成するのに必要な位相エンコードデータの収集を複数のセグメントに分割して行う。
【0044】
すなわち、図4に示すように第1のスライス断面〜第5のスライス断面の各々で要求される128の位相エンコードデータは、各セグメント内で収集可能なデータ数が上記理由により8とすれば16セグメントに分割されて収集される。一方、これらのデータが保存されるMR信号メモリ28の第1スライス断面用メモリ領域K−1も16のセグメントに分割される。これらの位相エンコードデータの収集と保存についての詳細は後述する本実施の形態の撮影手順の中で説明する。
【0045】
次に、本実施の形態におけるMR信号収集の手順について説明する。なお、この実施の形態におけるMRI撮影は、最適なTI(TI0)を求めるためのテスト撮影と、このテスト撮影によって求められたTI0を設定して行う本撮影の2つのステップからなっている。
【0046】
最初に、テスト撮影における手順を図1および図4〜図6を用いて説明する。ただし図5はテスト撮影の手順を示すフローチャート、また図6はMR信号メモリ28の構成を示した図である。
【0047】
テスト撮影において、まず装置の操作者は入力部22よりTI最適化のためのテスト撮影モードの開始コマンドを入力する(ステップS1)。このコマンドが主制御回路23に送られると、主制御回路23は表示部21をテスト撮影用のデータ入力画面に切り換える。操作者はこの画面に対し、入力部22に備えられたマウスやキーボードを使用して、心電波形のR波からIRパルス照射までの遅延時間Tdやテスト画像の枚数(すなわちスライス断面数)、TIの初期値(TI1)と増分(ΔTI)、あるいは撮影方法やパルスシーケンスなど、テスト撮影に必要な情報を入力する(ステップS2)。
【0048】
最適なTIは種々の条件によって異なることは既に述べたが、その大部分は200msec〜400msecの範囲に含まれる。従って、ここではTIの初期値(TI1)を200msec、TIの増分(ΔTI)を50msec、テスト画像の枚数を5枚に設定する。
【0049】
次に、操作者は被検体11の体表の所定部位に、心電計測部7のECGセンサ9を装着し、このとき検出される心電波形信号をECGユニット27は受信してデジタル信号に変換する。次に、主制御回路23はデジタル信号に変換された心電波形信号をECGユニット26から読み出し、表示部21に表示する。
【0050】
操作者は心電波形が正常に得られていることを表示部21のモニタ上で確認した後、テスト撮影開始のコマンドを入力部22にて入力する(ステップS3)。
【0051】
主制御回路23は入力部22から撮影開始コマンドを受けたならば、既に設定されている撮影方法(例えばSegmented Fast Field Echo法)に基づいて、5枚のマルチスライス撮影を可能とするパルスシーケンスの情報(例えば勾配磁場コイル14や照射コイル15に印加するパルス電流の強度、印加時間、印加タイミングなどに関する情報)に変換し、シーケンス制御回路24に送る。さらにシーケンス制御回路24は、これらの情報を内部の記憶回路に保存し、この情報にしたがって勾配磁場電源25、送信器17および受信器18に対して「IRパルス付加のSegmented Fast Field Echo」のための制御信号を送る。
【0052】
一方、ECGユニット27はECGセンサ9から送られてくる心電波形をデジタル信号に変換し、主制御回路23を介してシーケンス制御回路24に送る。シーケンス制御回路24は受信した心電波形から第1のR波(セグメント1)を検出し、そのR波を基準にソフトウエアで構成されるタイマによって所定遅延時間Tdを測定する。さらに、R波からTdだけ遅延したIRトリガ信号を生成する。
【0053】
シーケンス制御回路24は、このIRトリガ信号に基づいて、送受信部3の送信器17に対してIRパルス照射用の制御信号を送り、送信器17は核磁気共鳴を励起させるためのRF電流パルスを照射コイル15に供給する。但しこの場合、被検体11に対してスライス断面の選択を行わず、関心領域全体を励起するためのIRパルスを印加し、このIRパルスによって関心領域の磁化を180度反転させる(ステップS4)。
【0054】
次に、このIRパルスの照射からTI1(200msec)後に、シーケンス制御回路24の制御によってスライス断面が設定され、そのスライスにα°RFパルスが照射されて、MR信号を収集する。すなわち、シーケンス制御回路24は勾配磁場電源25に対して制御信号を送り、TI1後に勾配磁場電源25は、シーケンス制御回路24からの制御信号に基づいて、3つの勾配磁場コイル14に供給するパルス電流を設定する。さらに、このパルス電流をX、Y,Z方向の勾配磁場コイル14に供給して第1のスライス断面を選択するためのスライス選択用勾配磁場Gs1を形成する。一方、パルスシーケンス制御回路24は上記第1のスライス断面におけるMR信号を受信するために送信器17に対して制御信号を供給し、照射コイル15に供給するRFパルスの周波数および位相を設定した後、この照射コイル15に対してRFパルス電流を供給する。
【0055】
RFパルス電流は関心領域の磁場強度によって決定される磁気共鳴周波数と同じ周波数をもち選択励起波形で変調されている。送信器17は照射コイル15に対してRFパルス電流を供給することにより、照射コイル15は被検体11の関心領域に対してRFパルスを照射する(ステップS5)。
【0056】
RFパルスの照射が終了したならば、第1のスライス断面から受信されるMR信号に対して位置情報を付加するために、上記X、Y,Z方向の勾配磁場コイル14によって第1のスライス断面に対する読み出し方向の勾配磁場Gr、および位相エンコード方向の第1の勾配磁場Ge1が形成され(ステップS6)、これらの互いに直交する勾配磁場Gr,Ge1によってMR信号は位相変調を受けた状態で受信コイル16によって受信される(ステップS7)。
【0057】
受信器18は受信コイル16から供給されるMR信号に対して中間周波変換や位相検波、さらにはフィルタリングなどの信号処理を行った後A/D変換し、シーケンス制御回路24に送る。シーケンス制御回路24はこの第1のスライス断面の第1のエンコードデータをMR信号メモリ28に保存する(ステップS8)。
【0058】
ここで、MR信号メモリ28の構成を図6に示す。MR信号メモリ28はテスト撮影用MR信号メモリ51と本撮影用MR信号メモリ52を有し、テスト撮影用MR信号メモリ51は第1のスライス断面〜第5のスライス断面に対応するK−1〜K−5のメモリ領域に分割されている。この5つのメモリ領域はそれぞれセグメント単位に16分割(SK−1〜SK−16)され、その各々は1スライス断面から1セグメント内で収集される8の位相エンコードデータが順次保存されるメモリ領域D−1〜D−8で構成される。従って、上記第1のスライス断面の第1のエンコードデータはK−1の中のSK−1にあるD−1の領域に保存される。
【0059】
次に、シーケンス制御回路24の制御のもとに、位相エンコード方向における勾配磁場の傾きを所定量ΔGe変更させた第2の勾配磁場Ge2をX、Y,Z方向の勾配磁場コイル14によって形成し、第1の勾配磁場Ge1の場合と同様な手順によって得られるMR信号をMR信号メモリ28のK−1/SK−1/D−2の領域に保存する。
【0060】
以下、同様にして位相エンコード方向の第3の勾配磁場Ge3〜第8の勾配磁場Ge8を印加した場合に得られるMR信号についても順次MR信号メモリ28のK−1/SK−1領域のD−3〜D−8の領域に保存する。
【0061】
次に、このIRパルスの照射からTI2(250msec)後に、勾配磁場電源25は、シーケンス制御回路24からの制御信号に基づいて、3つの勾配磁場コイル14に供給するパルス電流を設定し、このパルス電流をX、Y,Z方向の勾配磁場コイル14に供給して、第1のスライス断面に隣接した第2のスライス断面を選択するためのスライス選択用勾配磁場Gs2を形成する。一方、送信器17は照射コイル15に対してRFパルス電流を供給し、照射コイル15は被検体11の関心領域に対してRFパルスを照射する。
【0062】
RFパルスの照射が終了したならば、勾配磁場コイル14によって第2のスライス断面に対する読み出し方向の勾配磁場Grおよび位相エンコード方向の第1の勾配磁場Ge1が形成され、これらの勾配磁場Gr,Ge1によってMR信号は位相変調を受けて受信コイル16によって受信される。
【0063】
受信器18はこのMR信号に対して所定の信号処理を行った後A/D変換し、シーケンス制御回路24に送る。シーケンス制御回路24はこの第2のスライス断面の第1のエンコードデータをMR信号メモリ28におけるK−2/SK−1/D−1の領域に保存し、以下同様にして、位相エンコード方向の第2の勾配磁場Ge2〜第8の勾配磁場Ge8を印加した場合に得られるMR信号についても順次MR信号メモリ28のK−2/SK−1のD−2〜D−8に保存する。
【0064】
さらに、IRパルスの照射からTI3(300msec)からTI5(400msec)後においても同様な手順でそれぞれ8つの位相エンコードデータを収集し、これらはメモリ領域K−3〜K−5のSK−1におけるD−1〜D−8に保存される。
【0065】
次に、シーケンス制御回路24はECGセンサ9から送られてくる心電波形の第2のR波を検出し、このR波からTd遅延したIRトリガ信号を送信器17に送る。送信器17はこのIRトリガ信号に従って照射コイル15にIRパルス電流を供給し、関心領域にIRパルスを印加する。
【0066】
以下は第1のR波の場合と同様にして、このIRパルスからTI2〜TI5遅延した時点で、第1のスライス断面〜第5のスライス断面がスライス選択勾配磁場Gs1〜Gs5によって選択される。さらにこの各スライス断面に対して位相エンコード勾配磁場Ge9〜Ge16が印加され、このとき得られるそれぞれ8つの位相エンコードデータをMR信号メモリ28のK−1〜K−5の各々のSK−2におけるD−1〜D−8にそれぞれ保存される。
【0067】
以下、第3〜第16のR波について同様に検出し、そのR波からTd遅延して関心領域にIRパルスを印加する。さらに、これらのIRパルスからTI1〜TI5遅延した時点で、第1のスライス断面〜第5のスライス断面を設定し、この各スライスに対して位相エンコード勾配磁場Ge17〜Ge24、Ge25〜Ge32・・・Ge121〜Ge128が印加される。このようにして得られた位相エンコードデータもMR信号メモリ28のK−1〜K−5のSK−3〜SK−16のD−1〜D−8に保存される。
【0068】
従ってメモリ領域K−1においては、第1のスライス断面に対してセグメント1からセグメント16において得られる位相エンコードデータD−1〜D−128が配列されている。同様にしてメモリ領域K−2〜K−5においては第2のスライス断面〜第5のスライス断面の各々に対し、セグメント1からセグメント16において得られる位相エンコードデータD−1〜D−128が配列されている。
【0069】
このようにしてMR信号メモリ28の5つの周波数空間(K−空間)K−1〜K−5に配列されたそれぞれのMR信号に対して、高速演算・記憶部5の高速演算回路19は2次元逆フーリエ変換による画像再構成を行い、その結果得られる5枚の画像を高速演算・記憶部5の画像メモリ29に保存する(ステップS9)。この場合、画像再構成によって得られる第1のスライス断面の画像はTI1(200msec)によって得られ、また第2のスライス断面の画像はTI2(250msec)によって得られている。同様にして第3〜第5のスライス断面の画像はTI3〜TI5(300〜400msec)に対応しており、各スライス断面の画像が保存される画像メモリ29には、データ収集に用いられたTIのデータも付随情報としてその付随メモリに保存される。
【0070】
高速演算回路19はテスト撮影において得られたMRI画像およびその付随情報の保存が終了したならば、主制御回路23に対してテスト画像生成の完了信号を送る。一方、主制御回路23は高速演算回路19からの完了信号を受け、予め決められている表示フォーマットに従って上記テスト画像とその付随情報を表示部21のモニタ上に表示する。この場合、TIの異なる5枚のMRI画像の中から所定の画像を順次選択して表示してもよいが、全ての画像を並べて表示することによって、正常心筋における信号強度の比較が容易となる。
【0071】
なお、本実施の形態において得られる5枚の画像は、互いに隣接したスライス断面において撮影されたものであり、同一部位を撮影したものではない。しかしながら、これらのスライス断面はいずれも心臓の関心領域内に設定されているため、各画像中で表示されている正常心筋の表示感度を比較することによって、最適なTIを求めることが可能となる。
【0072】
操作者は表示されたこれらの画像を観察し、これらの画像から正常心筋の信号強度が最も弱い画像を入力部22のマウスを用いて選択する(ステップS10)。主制御回路23は選択されたMRI画像データに付随しているTI値を読み取り、図示しない主制御回路23内の記憶回路に一旦保存してテスト撮影を終了する(ステップS11)。
【0073】
以上述べたように、従来のテスト撮影では、1心拍期間において1つのTIにつきMRデータの収集を行なったが、本実施の形態においては、1心拍期間中に5種類のTIについてのデータ収集が可能となるため、テスト撮影に要する時間も1/5に短縮される。
【0074】
次に本撮影における手順を図7〜図9を用いて説明する。ただし図7は本撮影の手順を示すフローチャート、図8は本撮影の方法、図9は本撮影用MR信号メモリ52の構成を示す。
【0075】
テスト撮影に引き続き、上記最適TI(TI0)を用いて心筋遅延造影の本撮影を行う。操作者は入力部22において撮影方法や撮影条件、あるいは表示条件などを入力した後、心筋遅延造影の本撮影開始コマンドを入力し本撮影の準備を開始する(ステップS21)。
【0076】
この場合の撮影方法としては高速撮影を可能とし、しかも造影剤の注入によって梗塞部位の心筋が鮮明に表示できる「IRパルス付加のSegmented Fast Field
Echo」を用いたマルチスライス法を選択する。
【0077】
操作者は入力部22より本撮影モードのコマンドを入力する。このコマンドが主制御回路23に送られると、主制御回路23は表示部21を本撮影のデータ入力画面に切り換える。操作者はこの画面に対し、入力部22に備えられたマウスやキーボードを使用して、撮影方法(「IRパルスを付加したSegmented Fast Field Echo」)やそのパルスシーケンス、スライスの枚数や間隔など、本撮影に必要な情報を入力する。このとき、テスト撮影にて求めた最適なインバージョンタイムTI0は自動的に入力される(ステップS22)。但し、TI0以外の入力情報についてはテスト撮影開始前にテスト撮影条件と共に予め入力しておいてもよい。
【0078】
なお、本実施の形態における本撮影ではセグメント数をN、また、一つのセグメント内で収集される位相エンコードデータ数をMとする。従って、1枚のMRI画像の再構成に用いられる位相エンコードデータ数はNxMとなる。
【0079】
上記の入力作業が終了したならば、操作者は心電波形が正常に得られていることを表示部21のモニタ上で確認し、本撮影開始のコマンドを入力部22から入力する(ステップS23)。
【0080】
主制御回路23は入力部22から本撮影開始コマンドを受けたならば、操作者によって設定された撮影方法のパルスシーケンス情報(勾配磁場コイル14や照射コイル15に印加するパルス電流の強度、印加時間、印加タイミングなどに関する情報)に変換し、シーケンス制御回路24に送る。さらにシーケンス制御回路24はこれらの情報を内部の記憶回路に保存し、この情報にしたがって勾配磁場電源25、送信器17および受信器18に対して「IRパルス付加のSegmented Fast Field Echo」の制御信号を送る。
【0081】
一方、ECGユニット27はECGセンサ9から送られてくる心電波形をデジタル信号に変換し、主制御回路23を介してシーケンス制御回路24に送る。シーケンス制御回路24は受信した心電波形から第1のR波を検出し、そのR波を基準にソフトウエアで構成されるタイマによって所定遅延時間(Td)を測定する。さらにR波からTd遅延したIRトリガ信号を生成する。シーケンス制御回路24は、このIRトリガ信号に基づいて、送受信部3の送信器17に対してIRパルス照射用の制御信号を送る。送信器17はこの制御信号に従って、核磁気共鳴を励起させるためのRF電流パルスを照射コイル15に供給して被検体11にIRパルスを印加し、このIRパルスによって関心領域の磁化を180度反転させる(ステップS24)。
【0082】
次に、IRパルスの照射からTI0後に勾配磁場電源25は、シーケンス制御回路24からの制御信号に基づいて、X、Y,Z方向の3つの勾配磁場コイル14にパルス電流を供給して、スライス断面を選択するためのスライス選択用勾配磁場Gs´を形成する。一方、パルスシーケンス制御回路24は上記スライス断面におけるMR信号を受信するために送信器17に対して制御信号を供給し、送信器17は照射コイル15に対してRFパルス電流を供給して被検体11の関心領域に対してRFパルスを照射する(ステップS25)。
【0083】
RFパルスの照射が終了したならば、スライス断面から受信されるMR信号に対して位置情報を付加するために、上記X、Y,Z方向の勾配磁場コイル14によってスライス断面に対する読み出し方向の勾配磁場Gr´および位相エンコード方向の第1の勾配磁場Ge1´が形成され(ステップS26)、これらの互いに直交する勾配磁場Gr´,Ge1´によってMR信号は位相変調を受けた状態で受信コイル16によって受信される(ステップS27)。
【0084】
受信器18はこのMR信号に対して中間周波変換や位相検波さらにはフィルタリングなどの信号処理を行った後、A/D変換してシーケンス制御回路24に送る。シーケンス制御回路24はこの第1のスライス断面の第1のエンコードデータをMR信号メモリ28の本撮影用MR信号メモリ52に保存する(ステップS28)。
【0085】
この本撮影用MR信号メモリ52は図9に示すように、セグメント1〜セグメントNに対応するSK´−1〜SK´−Nのメモリ領域に分割されており、その各々は1セグメント内で収集されるMヶの位相エンコードデータが順次保存されるメモリ領域D´−1〜D´−Mで構成される。従って、上記第1のエンコードデータはSK´−1のD´−1領域に保存される。
【0086】
次に、位相エンコード方向における勾配磁場Geの傾きを所定量ΔGe´変更させた第2の勾配磁場Ge2´をシーケンス制御回路24の制御のもとに、X、Y,Z方向の勾配磁場コイル14によって形成し、第1の勾配磁場Ge1´の場合と同様な手順によって得られるMR信号をMR信号メモリ28のSK´−1のD´−2に保存する。以下、同様にして位相エンコード方向の第3の勾配磁場Ge3´〜第Mの勾配磁場GeM´を印加した場合に得られるMR信号についても順次MR信号メモリ28のSK´−1のD´−3〜D´−Mに保存する。
【0087】
次いで、シーケンス制御回路24はECGユニット27を介してECGセンサ9から送られてくる心電波形から第2のR波を検出し、このR波からTd遅延したIRトリガ信号を生成して送信器17に供給して関心領域にIRパルスを印加する。以下は第1のR波の場合と同様にして、このIRパルスからTI0遅延した時点で勾配磁場GeM+1´〜Ge2M´を印加して得られるMヶの位相エンコードデータを収集し、MR信号メモリ28におけるSK´−2のD´−1〜D´−Mに保存する。
【0088】
さらに、第3〜第NのR波についても同様にして、このR波からTd後に関心領域にIRパルスを印加し、このIRパルスからTI0後に勾配磁場Ge2M+1´〜Ge3M´、Ge3M+1´〜Ge4M´・・・GeM(N−1)+1´〜GeMN´を印加する。このようにして得られる位相エンコードデータもMR信号メモリ28のSK´−3〜SK´−Nにおいて、それぞれのD´−1〜D´−Mに保存する。従って本撮影用MR信号メモリ52においては、第1セグメントから第Nセグメントにおいて収集されるそれぞれMヶの位相エンコードデータが順次保存されている。
【0089】
次に、このようにして本撮影用MR信号メモリ52に配列されて保存されているMR信号に対して、高速演算・記憶部5の高速演算回路19は2次元逆フーリエ変換による画像再構成を行い、その結果得られる画像データを高速演算・記憶部5の画像メモリ29に本撮影用画像データとして保存する(ステップS29)。
【0090】
高速演算回路19は本撮影において得られたMRI画像の再構成と保存が終了したならば、主制御回路23に対して本撮影の画像生成完了の信号を送る。主制御回路23は高速演算・記憶部5からのこの完了信号を受け、予め決められている表示フォーマットあるいは、新たに入力部22において指定される表示フォーマットに従って上記本撮影画像を表示部21のモニタ上に表示する(ステップS30)。
【0091】
以上述べた本発明の実施の形態によるテスト撮影では、1回のIRパルスの照射に対して複数の異なったTIにおけるMRデータの収集が可能となるため、従来の方法と比較して短時間で最適TI(TI0)を求めることが可能となる。このため、検査時間を短縮がはかれるのみならず、被験者の息止め時間も短縮できるため、被験者が受ける苦痛を大幅に軽減することができる。
【0092】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について図1および図10〜図12を用いて説明する。但し図10は本実施の形態におけるテスト撮影のパルスシーケンスを示し、また図11はその撮影手順を示したフローチャートである。TIの最適化を目的としたテスト撮影においては、画像上の信号強度の大きさが比較できればよく、高い空間分解能は必ずしも必要としない。本実施の形態では、空間分解と直接関係する位相エンコードの数を低減させてテスト撮影を行うことにより、最適TI(TI0)を短時間で求める方法について説明する。
【0093】
図10はIRパルス付加のSegmented Fast-Field-Echo法を適用した、本実施の形態におけるテスト撮影のパルスシーケンスであり、例えば2心拍の区間(2つのセグメント)において1つのTIを設定しMRI画像のデータを高速収集する。すなわち、図10(a)に示したセグメント1において、心電波形のR波(R1)から所定の遅延時間Td後に、心臓の関心領域に対してIRパルスを照射コイル15によって照射し、このIRパルスの照射からさらにTI1後に所定のスライス断面からMR信号を収集するためのRFパルスを印加する。(図10(b))。
【0094】
また、図10(c)に示すように、このスライス断面におけるMR信号の収集においては、例えば32種類の位相エンコードに対してのMR信号が間隔TR(繰り返し時間)毎に順次収集される。図10の(d)は、1つのTR区間において行われる1つの位相エンコードに対するMR信号収集時のField-Echo法パルスシーケンスを示しており、(d−1)はIRパルスおよびRFパルスの照射タイミングを、また(d−2)はスライス選択勾配磁場Gs、(d−3)は読み出し(周波数エンコード)勾配磁場Gr、(d−4)は位相エンコード勾配磁場Ge、また(d−5)はMR信号の読み出しタイミングをそれぞれ示している。
【0095】
例えば、(d−1)のIRパルスの照射からTI1後に、スライス選択勾配磁場Gsによって所定のスライス断面が選択され(d−2)、このスライス断面に対してフリップ角α°のRFパルスが照射される(d−1)。このRFパルスの照射が終了したならば、TE(エコー時間)後にこのスライス断面から受信されるMR信号に対して位置情報を付加するために、所定スライス断面に対する読み出し方向および位相エンコード方向の勾配磁場GrおよびGeが形成される(d−3、d−4)。
【0096】
本実施の形態では5つのTI値における画像データの収集を被検者が息止め可能な10心拍の間に行い、しかも位相エンコードデータ数は本撮影時の約1/2の64を実現するように以下の撮影条件が設定されている。従って、既に述べたように2心拍の間に1画像分の位相エンコードデータの収集を行う。
【0097】
図10におけるIRパルス付加のfast-field-echo法では、1心拍間に収集する位相エンコードデータ数を32とすれば、データ収集の繰り返し時間(TR)は5msecゆえ、32の位相エンコードデータの収集に要する時間は160msecとなり、この値は32のエンコードデータを同じTI時間におけるデータとして取り扱うには限界に近い。すなわち、テスト用MRI画像における位相エンコードデータ数64は2心拍間、すなわち2つのセグメントにて収集する必要があり、この場合もSegmented Fast Field Echo法の適用が必要となる。
【0098】
次に、本実施の形態におけるテスト撮影の手順を図1および図10〜図12を用いて説明する。但し、図12は本実施の形態におけるテスト撮影用MR信号メモリの構成を示す。
【0099】
テスト撮影において、まず装置の操作者は入力部22よりTI最適化のためのテスト撮影モードの開始コマンドを入力する(ステップS51)。このコマンドが主制御回路23に送られると、主制御回路23は表示部21をテスト撮影用のデータ入力画面に切り換える。操作者はこの画面に対し、入力部22に備えられたマウスやキーボードを使用して、心電波形のR波からIRパルス照射までの遅延時間Tdやテスト画像の枚数、TIの初期値(TI1)と増分(ΔTI)、あるいは撮影方法やパルスシーケンスなど、テスト撮影に必要な情報を入力する(ステップS52)。
【0100】
最適なTIは経験的に200msec〜400msecの範囲に含まれる。従って、ここではTIの初期値(TI1)を200msec、TIの増分(ΔTI)を50msec、テスト画像の枚数を5枚に設定する。
【0101】
次に、操作者は被検体11の体表の所定部位に、心電計測部7のECGセンサ9を装着し、このとき検出される心電波形信号をECGユニット27は受信してデジタル信号に変換する。次に、主制御回路23はデジタル信号に変換された心電波形信号をECGユニット26から読み出し、表示部21に表示する。
【0102】
操作者は心電波形が正常に得られていることを表示部21のモニタ上で確認した後、テスト撮影開始のコマンドを入力部22にて入力する(ステップS53)。
【0103】
主制御回路23は入力部22から撮影開始コマンドを受けたならば、既に設定されている撮影方法(例えばSegmented Fast Field Echo法)に基づいて、パルスシーケンスの情報(例えば勾配磁場コイル14や照射コイル15に印加するパルス電流の強度、印加時間、印加タイミングなどに関する情報)に変換し、シーケンス制御回路24に送る。さらにシーケンス制御回路24は、これらの情報を内部の記憶回路に保存し、この情報にしたがって勾配磁場電源25、送信器17および受信器18に対して「IRパルス付加のSegmented Fast Field Echo」のための制御信号を送る。
【0104】
一方、ECGユニット27はECGセンサ9から送られてくる心電波形をデジタル信号に変換し、主制御回路23を介してシーケンス制御回路24に送る。シーケンス制御回路24は受信した心電波形から第1のR波(R1)を検出し、そのR波を基準にソフトウエアで構成されるタイマによって所定遅延時間Tdを測定する。さらに、R波からTdだけ遅延したIRトリガ信号を生成する。
【0105】
シーケンス制御回路24は、このIRトリガ信号に基づいて、送受信部3の送信器17に対してIRパルス照射用の制御信号を送り、送信器17は核磁気共鳴を励起させるためのRF電流パルスを照射コイル15に供給する。但しこの場合、関心領域全体を励起するためのIRパルスを印加し、このIRパルスによって関心領域の磁化を180度反転させる(ステップS54)。
【0106】
次に、このIRパルスの照射からTI1(200msec)後に、シーケンス制御回路24の制御によってスライス断面が設定され、そのスライスにα°RFパルスが照射されて、MR信号を収集する。すなわち、シーケンス制御回路24は勾配磁場電源25に対して制御信号を送り、TI1後に勾配磁場電源25は、シーケンス制御回路24からの制御信号に基づいて、3つの勾配磁場コイル14に供給するパルス電流を設定する。さらに、このパルス電流をX、Y,Z方向の勾配磁場コイル14に供給して所定のスライス断面を選択するためのスライス選択用勾配磁場Gs1を形成する。一方、パルスシーケンス制御回路24は上記スライス断面におけるMR信号を受信するために送信器17に対して制御信号を供給し、照射コイル15に供給するRFパルスの周波数および位相を設定した後、この照射コイル15に対してRFパルス電流を供給する。
【0107】
RFパルス電流は関心領域の磁場強度によって決定される磁気共鳴周波数と同じ周波数をもち選択励起波形で変調されている。送信器17は照射コイル15に対してRFパルス電流を供給することにより、照射コイル15は被検体11の関心領域に対してRFパルスを照射する(ステップS55)。
【0108】
RFパルスの照射が終了したならば、第1のスライス断面から受信されるMR信号に対して位置情報を付加するために、上記X、Y,Z方向の勾配磁場コイル14によって所定スライス断面に対する読み出し方向の勾配磁場Gr、および位相エンコード方向の第1の勾配磁場Ge1が形成され(ステップS56)、これらの互いに直交する勾配磁場Gr,Ge1によってMR信号は位相変調を受けた状態で受信コイル16によって受信される(ステップS57)。
【0109】
受信器18は受信コイル16から供給されるMR信号に対して中間周波変換や位相検波、さらにはフィルタリングなどの信号処理を行った後A/D変換し、シーケンス制御回路24に送る。シーケンス制御回路24はこのスライス断面の第1のエンコードデータをMR信号メモリ28に保存する(ステップS8)。
【0110】
MR信号メモリ28の構成を図12に示す。MR信号メモリ28はテスト撮影用MR信号メモリ51と本撮影用MR信号メモリ52を有し、テスト撮影用MR信号メモリ51は第1のスライス断面〜第5のスライス断面に対応するK−1〜K−5のメモリ領域に分割されている。この5つのメモリ領域はそれぞれセグメント単位に10分割(SK−1〜SK−10)され、その各々は1スライス断面から1セグメント内で収集される32の位相エンコードデータが順次保存されるメモリ領域D−1〜D−32で構成される。従って、上記の第1のエンコードデータはK−1の中のSK−1にあるD−1の領域に保存される。
【0111】
次に、シーケンス制御回路24の制御のもとに、位相エンコード方向における勾配磁場の傾きを所定量ΔGe変更させた第2の勾配磁場Ge2をX、Y,Z方向の勾配磁場コイル14によって形成し、第1の勾配磁場Ge1の場合と同様な手順によって得られるMR信号をMR信号メモリ28のK−1/SK−1/D−2に保存する。
【0112】
以下、同様にして位相エンコード方向の第3の勾配磁場Ge3〜第32の勾配磁場Ge32を印加した場合に得られるMR信号についても順次MR信号メモリ28のK−1/SK−1領域のD−3〜D−32に保存する。
【0113】
次に、シーケンス制御回路24は心電波形の第2のR波(R2)を検出し、このR波からTd遅延したIRトリガ信号を送信器17に送る。送信器17はこのIRトリガ信号に従って照射コイル15にIRパルス電流を供給し、関心領域にIRパルスを印加する。このIRパルスの照射からTI1(200msec)後に、勾配磁場電源25は、シーケンス制御回路24からの制御信号に基づいて、3つの勾配磁場コイル14に供給するパルス電流を設定し、このパルス電流をX、Y,Z方向の勾配磁場コイル14に供給して、所定スライス断面を選択するためのスライス選択用勾配磁場Gs1を形成する。一方、送信器17は照射コイル15に対してRFパルス電流を供給し、照射コイル15は被検体11の関心領域に対してRFパルスを照射する。
【0114】
RFパルスの照射が終了したならば、勾配磁場コイル14によって所定スライス断面に対する読み出し方向の勾配磁場Grおよび位相エンコード方向の第33〜第64の勾配磁場Ge33〜Ge64が形成され、これらの勾配磁場Gr,Ge33〜Ge64によってMR信号は位相変調を受けて受信コイル16によって受信される。
【0115】
受信器18はこのMR信号に対して所定の信号処理を行った後A/D変換し、シーケンス制御回路24に送る。シーケンス制御回路24はこの第2のスライス断面の第1のエンコードデータをMR信号メモリ28のK−1/SK−2領域のD−1〜D−32に保存する。このようにして、セグメント1およびセグメント2においてIRパルスからTI1後の64個のエンコードデータを収集する。
【0116】
同様にして、シーケンス制御回路24はECGセンサ9から送られてくる心電波形の第3のR波(R3)および第4のR波(R4)を検出し、このR波からTd遅延した時点で関心領域にIRパルスを印加する。さらにIRパルスの照射からTI2(250msec)後に、シーケンス制御回路24の制御によってスライス断面が設定され、そのスライスにα°RFパルスが照射される。
【0117】
RFパルスの照射が終了したならば、勾配磁場コイル14によって所定スライス断面に対する読み出し方向の勾配磁場Grおよび位相エンコード方向の第1〜32の勾配磁場Ge1〜Ge32および第33〜第64の勾配磁場Ge33〜Ge64が形成され、これらの勾配磁場によってMR信号は位相変調を受けて受信コイル16によって受信される。
【0118】
受信器18はこのMR信号に対して所定の信号処理を行った後A/D変換し、シーケンス制御回路24に送る。シーケンス制御回路24は第1〜第32および第33〜第64のエンコードデータをMR信号メモリ28のK−2/SK−3領域のD−1〜D−32およびK−2/SK−4領域のD−1〜D−32に保存する。
【0119】
以下、同様にしてセグメント5〜セグメント6でTI3における64のエンコードデータが得られ、またセグメント7〜セグメント8ではTI4、セグメント9〜セグメント10ではTI5の場合における64のエンコードデータがそれぞれ得られ、これらはMR信号メモリ28の所定の領域に保存される。
【0120】
このようにしてMR信号メモリ28の5つの周波数空間K−1〜K−5に保存されたそれぞれのMR信号に対して、高速演算・記憶部5の高速演算回路19は2次元逆フーリエ変換による画像再構成を行い、その結果得られる5枚の画像を高速演算・記憶部5の画像メモリ29に保存する(ステップS59)。このとき、各スライス断面の画像が保存される画像メモリ29には、データ収集に用いられたTIのデータも付随情報としてその付随メモリに保存される。
【0121】
高速演算回路19はテスト撮影において得られたMRI画像およびその付随情報の保存が終了したならば、主制御回路23に対してテスト画像生成の完了信号を送る。一方、主制御回路23は高速演算回路19からの完了信号を受け、予め決められている表示フォーマットに従って上記テスト画像とその付随情報を表示部21のモニタ上に表示する。この場合、TIの異なる5枚のMRI画像の中から所定の画像を順次選択して表示してもよいが、全ての画像を並べて表示することによって、正常心筋における信号強度の比較が容易となる。
【0122】
操作者は表示されたこれらの画像を観察し、これらの画像から正常心筋の信号強度が最も弱い画像を入力部22のマウスを用いて選択する(ステップS60)。主制御回路23は選択されたMRI画像データに付随しているTI値を読み取り、図示しない主制御回路23内の記憶回路に一旦保存してテスト撮影を終了する(ステップS61)。
【0123】
次に、上記の手順によって得られた最適TIを用いた本撮影を引き続き行う必要があるが、その方法や手順は第1の実施の形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0124】
以上述べた本実施の形態によれば、第1の実施の形態と比較し、テスト撮影に要する時間はさらに短縮されるため、被検者の負担は一層軽減される。また、テスト撮影時にTIを変えて得られる5枚のMRI画像は、同一スライス面の撮影によるものであるため、最適TI(TI0)を求める際の画像比較が容易となる利点をもっている。
【0125】
以上、本発明の具体的な実施の形態について述べてきたが、上記の実施の形態に限定されるものでは無く、変形して実施することが可能である。例えば本実施の形態における高速撮影法としてSegmented-Fast-Field-Echo法を用いたがこれに限定されるものではなく他の撮影方法であってもよい。また、テスト撮影における撮影方法と本撮影における撮影方法は異なっていてもよく、とくに本撮影の撮影方法については限定されない。また、本実施の形態のテスト撮影における1セグメント内の位相エンコードデータ数8やセグメント数16、あるいはTIパラメータ数5などについても限定されるものではない。
【0126】
さらに操作者が最適TI(TI0)を決定する際に、操作者はTIの異なる複数の画像を観察してTIを求め、その値を入力部のキーボードなどを用いてマニュアル入力してもよいが、上記複数の画像の中から正常心筋の信号レベルが最も低い画像をマウス等を用いて選択することによって、選択された画像データに付随して付けられたTIデータを自動的に本撮影時の撮影条件として入力することも可能である。また、上記正常心筋における信号強度は所定の領域をマウスを用いて設定し、その領域内のヒストグラムを算出することにより、定量的に評価することができる。すなわち、図13に示すように、主制御回路23は操作者の指示に従い、画像メモリ28からテスト撮影で得られた画像データを読み出して表示部21に表示し(ステップS41)、操作者は、この画像に対し入力部22のマウスを用いてヒストグラム算出領域を設定する(ステップS42)。
【0127】
次にテスト撮影によって得られた複数の画像に対して、主制御回路23は設定された領域内におけるの画像データを用いてヒストグラムを作成し(ステップS43)、さらに最大値を示す輝度値を求める(ステップS44)。次に、これらの画像間で輝度値を比較し、最も低い輝度値を有する画像を選定し(ステップS45)、その画像に付随するTIの値から最適TIを求める(ステップS46)。但し、上記ステップS44は操作者がヒストグラムを観察して求めてもよいが、主制御回路23のCPUによって自動的に求めてもよく、さらに最適TIを自動的に求め、本撮影条件として設定することも可能である。
【0128】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば1回のIRパルスの照射に対して複数の異なったTIにおけるMRデータの収集が可能となるため、TIの異なるMRI画像を短時間で撮影することができ、従って短時間で最適なTIを求めることができる。このため、検査時間が短縮され、被験者の息止め時間も短縮されるため、被験者に与える苦痛を大幅に軽減可能なMRI装置およびMRI画像撮影方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1および第2の実施の形態におけるMRI装置全体の概略構成を示す図。
【図2】 インバージョンリカバリーを説明する図。
【図3】 本発明の第1の実施の形態におけるテスト撮影の概要を示す図。
【図4】 本発明の第1の実施の形態におけるテスト撮影方法を示す図。
【図5】 本発明の第1の実施の形態におけるテスト撮影手順を示すフローチャート。
【図6】 本発明の第1の実施の形態におけるテスト撮影用MR信号メモリの構成を示す図。
【図7】 本発明の第1および第2の実施の形態における本撮影の手順を示すフローチャート。
【図8】 本発明の第1および第2の実施の形態における本撮影方法を示す図。
【図9】 本発明の第1および第2の実施の形態における本撮影用MR信号メモリの構成を示す図。
【図10】 本発明の第2の実施の形態におけるテスト撮影方法を示す図。
【図11】 本発明の第2の実施の形態におけるテスト撮影手順を示すフローチャート。
【図12】 本発明の第2の実施の形態におけるテスト撮影用MR信号メモリの構成を示す図。
【図13】 最適画像の選択手順を示すフローチャート。
【図14】 従来のテスト撮影方法を示す図。
【符号の説明】
1…静磁場発生部
2…勾配磁場発生部
3…送受信部
4…制御部
5…再構成演算・記憶部
9…ECGセンサ
10…冷却システム
21…表示部
22…入力部
27…ECGユニット

Claims (10)

  1. 被検体から得られる心電波形に同期したIR法によりMRI画像を得るMRI装置であって、
    心電波形の1心拍期間において、予め設定される前記被検体の関心領域の複数スライスに対してそれぞれ異なるTIを設定して第1のMR信号を収集する第1の信号収集手段と、この第1のMR信号に対して再構成を行ってぞれぞれのTIに対応するMRI画像を生成する第1の画像生成手段と、この第1の画像生成手段によって得られる複数のMRI画像に基づいて選択されるTIを所望TIとして設定する所望TI設定手段と、この所望TI設定手段によって設定される所望TIを用いて第2のMR信号を収集する第2の信号収集手段と、この第2のMR信号に対して再構成処理を行うことによってMRI画像を生成する第2の画像生成手段と、この第2の画像生成手段によって生成されるMRI画像を表示する画像表示手段とを備えたことを特徴とするMRI装置。
  2. 被検体から得られる心電波形に同期したIR法によりMRI画像を得るMRI装置であって、複数のインバージョンタイム(TI)を設定するTI設定手段と、前記TI毎に所定スライスに対する複数心拍にわたるMR信号の収集を連続的に行い第1のMR信号の収集する第1の信号収集手段と、この第1のMR信号に対して再構成を行ってぞれぞれのTIに対応するMRI画像を生成する第1の画像生成手段と、この第1の画像生成手段によって得られる複数のMRI画像に基づいて選択されるTIを所望TIとして設定する所望TI設定手段と、この所望TI設定手段によって設定される所望TIを用いて第2のMR信号を収集する第2の信号収集手段と、この第2のMR信号に対して再構成処理を行うことによってMRI画像を生成する第2のMRI画像生成手段と、この第2の画像生成手段によって生成されるMRI画像を表示する画像表示手段とを備えたことを特徴とするMRI装置。
  3. 前記第1の画像生成手段によって生成されるMRI画像の収集データ点数は、前記第2の画像生成手段によって生成されるMRI画像の収集データ点数より少ないことを特徴とする請求項1または2記載のMRI装置。
  4. 前記第1の画像生成手段によって生成されるMRI画像の収集データ点数は、前記第2の画像生成手段によって生成されるMRI画像の収集データ点数の1/2以下であることを特徴とする請求項3記載のMRI装置。
  5. 前記第1の信号収集手段は、各TIにおけるMR信号を2心拍期間にわたって収集することを特徴とする請求項2記載のMRI装置。
  6. 前記第1の信号収集手段は、k−空間を複数セグメントで分割した高速撮影法によることを特徴とする請求項1または2記載のMRI装置。
  7. 前記設定されるTIは、200msec〜400msecの範囲で設定されることを特徴とする請求項1または2記載のMRI装置。
  8. 画像選択手段をさらに備え、前記画像選択手段は、前記第1の画像生成手段によって生成される複数のMRI画像の所定部位における画像輝度を比較することによって所望画像を選択することを特徴とする請求項1または2記載のMRI装置。
  9. 前記画像選択手段は、前記複数のMRI画像の所定部位においてヒストグラムを求め、このヒストグラム値を比較することを特徴とする請求項8記載のMRI装置。
  10. 被検体から得られる心電波形に同期したIR法によりMRI画像を得るMRI装置であって、前記被検体の関心領域の所定のスライスに対してそれぞれ異なるTIを設定して第1のMR信号を収集する第1の信号収集手段と、この第1のMR信号に対して再構成を行ってぞれぞれのTIに対応する複数のMRI画像を生成する第1の画像生成手段と、この複数のMRI画像に基づいて選択されるTIを所望TIとして設定する所望TI設定手段と、この所望TI設定手段によって設定される所望TIを用いて第2のMR信号を収集する第2の信号収集手段と、この第2のMR信号に対して再構成処理を行うことによってMRI画像を生成する第2の画像生成手段と、この第2の画像生成手段によって生成されるMRI画像を表示する画像表示手段とを備えたことを特徴とするMRI装置。
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