JP3970466B2 - ゼラチン含有麺類 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゼラチンを高濃度で含有する麺類に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりコラーゲンまたはその熱変性物であるゼラチンもしくは加水分解物であるコラーゲンペプチドは、麺質の改良剤として使用されている。例えば以下の公知文献に、これら改良剤の利用に係る発明が記載されている。
【0003】
特開昭56−15659号公報には、ゼラチンを小麦粉に対して0.1〜1%添加することにより、麺にこしを付与し食感を改良した麺類の製造方法が開示されている。また、特開昭56−32965号公報には、ゲル化力を有しない程度にまで分解したコラーゲン分解物(ペプチド)を、小麦粉に対して0.1〜1%添加することにより、麺にこしを付与し食感を改良した麺類の製造方法が開示されている。さらに特公昭54−10619号公報の実施例2には、平均分子量1000〜10000のコラーゲンペプチドを原料粉に対して0.5%添加し、そうめん等麺類の食味食感を改良する方法が開示されている。そして、特公昭59−16764号公報には、原料粉に対して0.06〜0.2%の分子量25万〜30万の可溶化コラーゲンの水溶液を混和した練り水により製麺して、優れた食味の麺類を製造する方法が開示されている。
【0004】
以上の発明は、コラーゲン等を麺質改良剤として使用したものであり、その添加量は原料粉に対して1%を下回る程度に抑えられている。また、特開平3−228256号公報における冷凍茹麺の製造方法には、原料混合物に対してゼラチンを1〜4%、カラギーナンを0.3〜2.5%、ゲル化剤として麺類に添加して解凍後の茹で伸びを遅延する技術が開示されているが、食感の点で満足できるものではなかった。
【0005】
ところで、ゼラチンはコラーゲンの熱変性物である蛋白質であり、近年の健康志向の向上に伴ない、美容および薬理効果を持つ栄養素材として注目されている。即ち、ゼラチンは、経口摂取によって皮膚の新陳代謝の促進や保水力の向上による皺およびシミの防止、毛髪の質および強度の向上、創傷治癒の促進、胃粘膜保護による抗潰瘍性作用、関節の炎症緩和、骨組織の強化、血圧上昇の抑制、アミノ酸の栄養補充などに対して有益な効果を奏することができるものである。
【0006】
そこで、このような優れた特性を有するゼラチンを、多量に(高濃度で)麺類へ添加しようとすると、その特有の物性に起因して、製麺性が悪化し、特に蒸煮後の麺線強度が著しく低下して麺線が切れ易くなったり、食感が著しく低下するなどという問題が生じた。従って、原料粉に対して前記先願発明の如く、多くても1%程度しかゼラチンを含有させることができず、その生理作用を期待して多量に配合することは困難な状況にあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は上記問題点について検討した結果、ゼラチンを麺類に1重量%以上添加しようとすると、製麺時にはゼラチンの粘性より製麺性が比較的良好になるものの、製麺後の蒸煮時の加熱によりゼラチンの離水が発生することが明らかになった。従って、このようにゼラチンを比較的多量に含有する麺類は、加熱後には麺線が切れ易くなり、後工程での製造適性が悪く、しかも喫食時の食感自体もぶつぶつ切れて好ましくないものとなってしまうとの知見を得た。
【0008】
そこで、本発明者等は上記知見に基づき、ゼラチンの物性を補う方法について鋭意研究した結果、ゼラチンと、サイリウム、アルカリ剤および食塩を製麺原料に併用することにより、製麺性および食味食感に悪影響を及ぼすこと無くゼラチンを高濃度で含有させることができるとの知見に至り、本発明を完成させたのである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、ゼラチン、サイリウム、アルカリ剤および食塩を含有する麺生地より調製されることを特徴とするゼラチン含有麺類である。係る本発明によれば、製麺の後の蒸しおよび/または茹で工程等の加熱時にゼラチンから離水した水分を、サイリウムがその高粘性と高ゲル化能を発現して保水すると共に、アルカリ剤と食塩の作用効果が相俟って、原料粉に対して1重量%以上の高濃度でゼラチンが含有され、且つ良好な食感を維持した麺類を提供することができる。更に、サイリウムの添加により茹で工程における栄養成分としてのゼラチンの溶出を極めて有効に抑えることができ、本発明による麺類をうどん、そば、中華麺等とする場合には、喫食時のスープへのゼラチンとサイリウムの溶出を抑えることができるので、栄養成分としてのゼラチン、サイリウムを有効に摂取できると共に、スープの粘性等の食味食感に影響を与えることが無い。
【0010】
また、本発明によれば、ゼラチン、サイリウム、アルカリ剤および食塩を含有する前記麺生地を内層に含むゼラチン含有麺類が提供される。この麺類は、蒸しおよび/または茹での加熱工程および喫食時のゼラチンおよびサイリウムの溶出をより効果的に抑えることができるものである。その上、製麺後の麺類のこし、表面の食感、外観、強度などを所望に応じて調整することが容易である。
【0011】
前記ゼラチンとしては、分子量が8〜15万のものが好ましい。係る物性を有するゼラチンを用いれば、特に製造適性および食感に優れ、ゼラチンおよびサイリウムを美味しく摂食するために好ましい麺類とすることができる。
【0012】
前記ゼラチンを冷水可溶性とすると、より製麺時等の製造適性に優れたものとすることができる。
【0013】
前記ゼラチンは、好ましくは原料粉総重量の1〜7重量%を添加することができる。このような量のゼラチンを配合することで、麺類の特性や食味を損なうことなく、優れた美容および薬理効果を付与することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
本発明における麺類とは、その種類および製品形態に特に限定されず、例えば、うどん、そば、中華麺、スパゲティー等の生麺、茹で麺、乾燥麺、チルド麺、冷凍麺等である。更に本発明では、これら麺類のうち即席熱風乾燥麺において、その製造適性、熱湯による復元性、食味食感、ゼラチンの安定供給の点で特に有効である。
【0016】
<配合成分>
(1)ゼラチン
ゼラチンは、コラーゲンを熱変性することにより得られるコラーゲン熱変性物であり、コラーゲン材料の由来や処理条件に応じて、水に対する溶解性、分子量等の物性は変化する。本来ゼラチンは、水に膨潤させた後加温して初めて溶解する「温水可溶性」であるが、これに加工処理を施して「冷水可溶性」にしたものがある(例えば、特開昭58−142936号、特開昭61−211385号、特開平7−1557718号公報などを参照されたい)。
【0017】
本発明において使用するゼラチンは、前記温水可溶性または冷水可溶性の、いずれであってもよい。しかし、温水可溶性のものは水とともに加温して溶解させてから添加しなければならず製造工程上煩雑になるので、配合するゼラチンとしては、冷水可溶性のものがより好ましいといえる。
【0018】
冷水可溶性ゼラチンとしては、例えば、ゼラチン溶液をスプレードライ、凍結乾燥法等により乾燥することによって得られるものであるが、本発明においてその製造方法は特に限定されない。
【0019】
また、ゼラチンの分子量は8万以上、好ましくは8〜15万のものが、製麺性および食感の点で好ましい。分子量が低すぎる場合には麺生地の圧延時に表面が荒れたり裂け目が発生する等の問題が発生し、食感も不良となる。一方、分子量が約30万のコラーゲンの場合には特に麺帯圧延が困難となり、蒸煮後の麺線の強度も若干劣り、また、特有の獣臭が食味に悪影響を及ぼすことがある[実施例1・表1参照]。
【0020】
ここで分子量は、重量平均分子量であり、カラム(例えば、昭和電工社製、Shodex Asahipak GS-620 7G)を備えた高速液体クロマトグラフィーにて、標準物質から得られる検量線を基に算出されるものである。
【0021】
ゼラチンの添加量は、好ましくは麺類の原料粉(小麦粉等の粉体材料と、ゼラチンおよびサイリウムの混合粉体)重量の1〜7重量%、特に好ましくは6重量%とするとよい。ゼラチンの添加量が少ない場合には、ゼラチンが有する美容および薬理効果をわずかしか保持しないものになってしまう。そしてゼラチンの添加量が多すぎると、製麺性、麺線の強度が低下し、食味・食感も不良となる傾向があり好ましくない[実施例8・表8参照]。
【0022】
(2)サイリウム
サイリウムは、インドのラジャスタン州やグジャラート州で栽培されるオオバコの一種であるPlantago種Plantaginaceae植物のPlantago Ovata Forskal等の種子から採った天然植物ガムである。本発明において使用可能なサイリウムの精製方法および粒度は、特に限定されない。
【0023】
サイリウムの添加量は、配合したゼラチンの1重量部に対しておよそ0.15〜0.8重量部、より好ましくは0.15〜0.5重量部であるとよく、例えばゼラチンを製麺原料粉重量の6重量%添加した場合、サイリウムは原料粉の1〜5重量%とするのが、製麺性および食感等の点で好ましい。添加量が少ないと、麺線の強度が低下し、湯伸びしやすくなり、また麺の食味が劣化するうえ、茹で、調理時のゼラチンの溶出量が増大することがある。また添加量が多すぎると、麺帯の形成および圧延が困難になり、麺線強度の低下を招き、しかも食味・食感に劣ったものとなってしまう[実施例5・表5参照]。
【0024】
(3)アルカリ剤
アルカリ剤としては、炭酸塩および/またはリン酸塩が挙げられる。特に1%水溶液でpH11〜12.5を示す、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸3ナトリウム、リン酸カリウム等が、製麺性および食感の点で好ましい。
【0025】
アルカリ剤の添加量は、例えば中華麺でゼラチンを原料粉重量の6重量%添加した場合には、炭酸ナトリウムで、原料粉100重量部に対して0.4〜0.8重量部とするのが、製麺性および食感等の点で好ましい。添加量が少なすぎると、製麺性、麺線強度および食味が悪くなり、また添加量が多すぎても麺の食感や製麺性に悪影響を及ぼすことがある[実施例3・表3および実施例6・表6参照]。
【0026】
(4)食塩
食塩の添加量は、上記ゼラチンの添加量に応じて適宜に調整するとよい。例えばゼラチンを原料粉重量の6重量%添加した場合、食塩の添加量は原料粉100重量部に対して1〜5重量部とするのが、製麺性および食感等の点で好ましい[実施例7・表7参照]。
【0027】
<製法>
本発明では前述の如く、製麺原料に、ゼラチン、サイリウム、アルカリ剤および食塩を配合することを特徴とするものであり、麺生地および当該麺生地より調製される麺類の製造方法自体は特に限定されるものではなく、目的とする麺の種類・形態に応じて適宜常法が採用可能である。通常、小麦粉を主成分とする原料粉に、前記ゼラチンとサイリウムを粉体で混合し、該混合粉に食塩およびアルカリ剤と、所望に応じて添加剤を加えた混練水を加え、ミキサーで混練して麺生地とする。次いで、複合ロールにて麺帯を形成し、熟成後圧延して切出し、麺線とし、生麺が調製される。その後、必要に応じ、蒸煮処理、乾燥処理、冷凍処理等により目的とする茹で麺、乾麺、即席乾燥麺、冷凍麺等が得られる。
【0028】
また、上記の通りに調製した生麺を内層とし、その外周に別途常法によって調製した麺生地の外層を積層、または被覆・周設することによって多層構造とし、加熱工程および喫食時のゼラチンおよびサイリウムの溶出を充分に抑制し、さらには製麺後の麺類のこし、表面の食感、外観、強度などを調整することができる。
【0029】
本発明が特に有効な実施態様である即席熱風乾燥麺は、前記麺線を、常法により蒸煮および/または茹で処理した後、熱風乾燥することにより製造される。例えば、熱湯注加のみにより復元するタイプのスナック麺類の場合、2分間程度蒸煮し、98〜100℃にて15〜75秒間茹で処理した後、水で約30秒間程度洗浄し、着味を施し、次に80〜110℃、好ましくは90℃の熱風にて30〜110分間乾燥することによって製造されるとよい。
【0030】
尚、本発明では、蒸煮前の製麺時におけるゼラチンのゲル化能をできるだけ抑制して製麺性の低下を防止するため、蒸煮前の麺生地の品温は25℃以上に保っておくことが好ましい。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げてより詳細に説明するが、これらにより本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0032】
尚、実施例における分子量は重量平均分子量であり、カラム(昭和電工社製、Shodex Asahipak GS-620 7G、径7.6mm×長さ500mm 2本)を備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて、溶離液に0.1mol/lリン酸2水素カリウム溶液および0.1mol/lリン酸水素2ナトリウム溶液の混合液を用い、検出はUV検出器により測定した。ゼラチン等の試料は、0.2重量%の濃度となるように溶離液に溶解して検液とし、流速1.0ml/min、カラム温度50℃、注入量100μl、230nm吸光度の条件下で測定して得られた分子量分布曲線から重量平均分子量を計算した。
【0033】
[実施例1:ゼラチンの種類]
種々のゼラチンまたはコラーゲン誘導体を添加して製造した麺類の特性を調べるため、以下のAからGの各ゼラチンまたはコラーゲン誘導体、すなわち、A:コラーゲンペプチド(分子量:約3000)、B:コラーゲンペプチド(分子量:約5000)、C:コラーゲンペプチド(分子量:約10,000)、D:冷水可溶性ゼラチン(分子量:約8万)、E:温水可溶性ゼラチン(分子量:約10万)、F:冷水可溶性ゼラチン:(分子量:約15万)、またはG:コラーゲン(分子量:約30万)を用いた。
【0034】
準強力小麦粉910gに、上記AからGの各ゼラチン、コラーゲンまたはコラーゲンペプチドを、それぞれ60g、そしてサイリウム30gを加えた混合粉1000gを調製した。次に、食塩30gおよび炭酸ナトリウム6gを加えて340mlになるように溶解・調製した混練水を前記各混合粉に加え、常圧ミキサーで15分間混練して麺生地を得た。尚、E(試料5)の温水可溶性ゼラチンは、混練水に添加し加温して溶解させて使用した。
【0035】
次いで、麺帯を形成し、15分間熟成した後、麺帯を圧延し、麺線を切り出した。前記麺線を2分間蒸煮処理し、98〜100℃にて30秒茹で処理した後、水道水にて30秒水洗し、着味液に浸漬し、次いで90℃の熱風にて70分間乾燥し、即席熱風乾燥スナック麺を得た。この際、製麺性すなわち、麺帯の形成および圧延の容易さ、蒸煮後の麺線の強さについての5段階評価を行った。その後、これら各乾燥麺を常法により調理して、湯伸びのしにくさ、食味および食感について5段階評価した。この結果を、製麺性についての5段階評価と併せて表1に示す。各評価の基準は、後掲の表9に記載の通りである。
【0036】
【表1】
Figure 0003970466
【0037】
表1の結果より、試料4、5および6のゼラチンを配合したものは、冷水・温水可溶性のいずれも製麺適性、食味食感に優れるが、試料1から3のコラーゲンペプチドを配合したものや、試料7のコラーゲンを配合したものでは、製麺適性、食味食感に劣っていた。従って、分子量が8万〜15万のゼラチンを用いた場合に、良好な麺類を製造できることが判った。
【0038】
[実施例2:必須成分]
本発明の麺類に配合すべきサイリウム、アルカリ剤および食塩の成分それぞれの必要性を確認するため、表2に示すように3種のうちのいずれか1種以上を配合しない麺について検討した。
【0039】
ゼラチンには実施例1の試料4で用いたD(冷水可溶性ゼラチン、分子量:約8万)を、アルカリ剤には炭酸ナトリウムを使用し、表2記載の配合率にて前記実施例1と同様の方法により即席熱風乾燥スナック麺を得て、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
Figure 0003970466
【0041】
表2の結果より、サイリウム、アルカリ剤および食塩のいずれが欠けても、製麺性および/または食味食感に悪影響が出た。従って、いずれの成分も本発明の効果を得る上で必須であることが判った。
【0042】
[実施例3:アルカリ剤の種類]
アルカリ剤として好ましいものを検討するために、種々のアルカリ剤すなわち、a:炭酸ナトリウム(pH11.2)、b:炭酸カリウム(pH11.1)、c:リン酸3ナトリウム(pH12.1)、d:リン酸2ナトリウム(pH9.2)またはe:リン酸1ナトリウム(pH4.6)を配合した麺を調製した。尚これらのpHは、それぞれのアルカリ剤の1%水溶液についての値である。
【0043】
ゼラチンには実施例1で用いたD(冷水可溶性ゼラチン)を使用し、表3記載の配合率にて前記実施例1と同様の方法により即席熱風乾燥スナック麺を得て、評価を行った。その評価結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
Figure 0003970466
【0045】
表3の結果より、アルカリ剤a、bまたはcを使用した試料1、2または3では、製麺性および食味食感において良好な効果が示された。従って、アルカリ剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸3ナトリウム等の、1%水溶液でpH11〜12.5のものが好適であることが判った。
【0046】
[実施例4:増粘多糖類の種類]
サイリウム以外の増粘多糖類を添加した場合にも同様に優れた麺類を製造することができるか否かについて検討した。増粘多糖類として、▲1▼サイリウム、▲2▼アラビアガム、▲3▼グアガム、▲4▼アルギン酸、▲5▼キサンタンガム、▲6▼ペクチン、▲7▼ローカストビーンガムまたは▲8▼カラギーナンを用いた。
【0047】
ゼラチンには実施例1のD(冷水可溶性ゼラチン)を、アルカリ剤には炭酸ナトリウムを使用し、表4記載の配合率にて前記実施例1と同様の方法により即席熱風乾燥麺を得て、評価を行った。その結果を表4に示す。
【0048】
【表4】
Figure 0003970466
【0049】
表4の結果より、増粘多糖類としてサイリウムを配合した試料1のみに、製麺性および食味食感における良好な効果が顕著に見られた。
【0050】
[実施例5:サイリウムの添加量]
ゼラチンに対するサイリウムの添加量を検討した。小麦粉、ゼラチンおよびサイリウムを混合した原料粉中のゼラチンの添加量を6重量%添加とし、サイリウムの添加量を0から6重量%までに変化させ、ゼラチンには実施例1のD(冷水可溶性ゼラチン)を、アルカリ剤には炭酸ナトリウムを使用して、表5記載の配合率にて前記実施例1と同様の方法により即席熱風乾燥スナック麺を得て、評価を行った。その結果を表5に示す。
【0051】
【表5】
Figure 0003970466
【0052】
表5の結果より、原料粉のゼラチンの添加量が6重量%の場合、サイリウムを3重量%(試料1)および1重量%(試料3)添加した場合に製麺性および食味食感に良好な効果が見られ、ゼラチン1重量部に対しては0.15〜0.5重量部のサイリウム添加量とすることが好ましいことが判った。
【0053】
[実施例6:アルカリ剤添加量]
アルカリ剤として炭酸ナトリウムを使用し、その添加量を原料粉100重量部に対して0から1.0重量部までに変化させた。ゼラチンには実施例1のD(冷水可溶性ゼラチン)を用いて、表6記載の配合率にて前記実施例1と同様の方法により即席熱風乾燥スナック麺を得て、評価を行った。その結果を、表6に示す。
【0054】
【表6】
Figure 0003970466
【0055】
表6の結果より、試料1、3および4で、製麺性および食味食感に良好な効果が見られ、従って、原料粉のゼラチンの添加量が6重量%の場合、アルカリ剤の添加量は原料粉100重量部に対して0.4〜0.8重量部が好適であることが判った。
【0056】
[実施例7:食塩添加量]
食塩の添加量を原料粉100重量部に対して0から5重量部までに変化させ、ゼラチンには実施例1のD(冷水可溶性ゼラチン)を、アルカリ剤には炭酸ナトリウムを使用し、表7記載の配合率にて前記実施例1と同様の方法により即席熱風乾燥スナック麺を得て、評価を行った。その結果を表7に示す。
【0057】
【表7】
Figure 0003970466
【0058】
表7の結果より、試料1、2および3に製麺性・食味食感に良好な効果が見られ、原料粉のゼラチンの添加量が6重量%の場合、食塩の添加量としては原料粉100重量部に対して1〜5重量部が好適であることが判った。
【0059】
[実施例8:ゼラチン添加可能量]
ゼラチンは実施例1のD(冷水可溶性ゼラチン)を原料粉の6から12重量%までの範囲で用い、アルカリ剤として炭酸ナトリウムを使用し、表8記載の配合率にて前記実施例1と同様の方法により即席熱風乾燥スナック麺を得て、評価を行った。その結果を表8に示す。
【0060】
【表8】
Figure 0003970466
【0061】
表8の結果より、試料1および2に製麺性および食味食感に良好な効果が見られ、少なくとも原料粉の7重量%までは、製麺性・食味食感に影響を与えること無く良好にゼラチンを添加できることが判った。
【0062】
【表9】
Figure 0003970466
【0063】
[製造例]
中力小麦粉950gにタピオカ澱粉50gを加えた混合粉1000gを調製した。次いで食塩20g、炭酸ナトリウム4gを加えて340mlになるように溶解・調製した混練水を前記混合粉に加え、常圧ミキサーで15分間混練して外層用麺生地を得た。一方、準強力小麦粉910gにゼラチン60gおよびサイリウム30gを加えた混合粉1000gを調製した。次に食塩30gおよび炭酸ナトリウム6gを加えて340mlになるように溶解・調製した混練水を前記混合粉に加え、常圧ミキサーで15分間混練して内層用麺生地を得た。双方の麺生地をそれぞれ圧延して外層用麺帯と内層用麺帯とした後、麺帯厚が外層:内層:外層=1:2:1となるように内層用麺帯を外層用麺帯で挟み込み三層麺帯を得た。次いで15分間熟成した後、係る三層麺帯を圧延して切り出し、三層麺を得た。前記三層麺を100℃にて2分間蒸煮し、98〜100℃にて30秒間茹で処理した後、水道水にて30秒間水洗し、着味液に浸漬し、次いで90℃の熱風にて70分間乾燥し、即席熱風乾燥スナック麺を得た。当該製造方法によれば、製造適性に優れ、復元性、食味食感良好な即席熱風乾燥スナック麺を得ることができた。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、製麺性および食味食感に悪影響を与えること無く、従来より高濃度でゼラチンを麺類に含有させることができる。
【0065】
しかも、配合したゼラチンが、茹で、調理等の際に溶出してしまうことが少なく、従って、有効にゼラチンを摂取することが可能となる上、スープへの溶出分に起因した食味の変化を起こすこともない。

Claims (4)

  1. ゼラチン、サイリウム、アルカリ剤および食塩を含有する麺生地より調製され、
    前記ゼラチンの分子量が8〜15万であり、
    前記麺生地における前記ゼラチンの添加量が、原料粉重量の1〜7重量%である、ゼラチン含有麺類。
  2. 前記麺生地を内層に含む請求項1に記載のゼラチン含有麺類。
  3. 前記ゼラチンが冷水可溶性である請求項1または2に記載のゼラチン含有麺類。
  4. 前記麺類が、即席熱風乾燥麺である請求項1乃至3のいずれかに記載のゼラチン含有麺類。
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