JP3970248B2 - エッチング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス基板上に形成されたCuを含む層を有する多層金属層をエッチングするエッチング方法に関する。
従来より、Cuを含む層からなる多層金属層は、様々なものに用いられており、そのエッチング方法についても種々の提案がなされている。
以下、上述のような多層金属層を用いた例、並びに、そのエッチング方法について説明する。
(1) 多層金属層を用いた例について
Cuを含む層からなる多層金属層を用いた例としては、液晶パネルに用いられる金属電極が挙げられる。
すなわち、液晶パネルは、液晶を挟持する一対のガラス基板を有しており、このガラス基板の表面には金属電極が形成されているが、この金属電極については、
a.CuやCu合金(以下、“Cu系の金属”とする)の層と、ガラス基板に接するように配置された密着層との積層構造としたもの(特許文献1参照)
b.Cu系の金属層と、該金属層を覆うように配置された酸化防止層との積層構造としたもの(特許文献2参照)、
が提案されている。
かかる金属電極において、従来はAlやAl合金が用いられていたが、電気抵抗の小さい方が、液晶駆動速度を向上させて液晶パネルの大画面化及び高精細化を実現する点から好ましいことから、これらのAl等に代わってCu系の金属が用いられるに至っている。一方で、Cu系の金属は、もともとガラス基板への密着性が悪く、また酸化され易いという欠点があることから、Ni等からなる層が、密着性向上のためにCu系の金属層と基板との間に配置されたり、酸化防止のためにCu系の金属層を覆うように配置されたりしている。
また、これらの密着層や酸化防止層にNi−Mo合金を用いたものがある。その理由は以下の通りである。
密着層や酸化防止層のための材料としてはNiが好ましいが、これらの層をNiだけで構成する場合には、マグネトロンスパッタ法のターゲットにNiターゲットを用いる必要がある。ところで、Ni自体はもともと磁性体であることから、放電を起こさせる為にはこのNiターゲットを1mm程度に薄くする必要がある。
しかし、Niターゲットを薄くすると、量産する場合において頻繁にターゲットを交換する必要があり、生産効率が悪くなるという問題がある。これに対して、密着層や酸化防止層のための材料としてNi−Mo合金を用いた場合には、ターゲットを非磁性体であって放電が起き易いNi−Mo合金にでき、その結果、ターゲットの厚さを7mm程度に厚くでき、上述のような問題が解決されるからである。
なお、密着層や酸化防止層にNi−Cr−Mo合金を用いたものは、特開平05−267299号公報や特開平6−232128号公報に開示されている。
(2) 多層金属層のエッチング方法について
上述のような多層金属層をエッチングする方法としては、ドライ方式とウェット方式とが考えられるが、ドライ方式の場合、装置が大がかりとなって設備費がかかりすぎ、また、ガラス基板を高温に維持しなければならないことからガラス基板が変形してしまうおそれもあり、さらに、基板に石英ガラス基板を用いて熱変形を回避することも考えられるが、Cuのエッチングレートが低すぎるため実用的ではないという問題がある。したがって、上述の多層金属層のエッチングには、一般にウェット方式が採用されている。
しかしながら、通常のエッチング液を用いてウェット方式のエッチングを行った場合、Niのエッチングレートの方がCu系の金属のエッチングレートに比べて遅いため、図1に示すようにNi等の層21,23がバリとなって残り、その結果、隣接される電極間でのショートが発生したり、電極間を樹脂等で埋め込み平坦化する工程がある場合は樹脂の密着性を悪化させたりするという問題があった。
また、このようなバリを除去すべく十分なエッチングを施した場合には、Cu系の金属22がエッチングされ過ぎて電極としての役割を果たせなくなったりするという問題があった。これらの問題は、金属電極の幅が細い高精細の液晶パネルにおいては顕著となる。なお、図中の符号1はガラス基板を示す。
そこで、このような問題を解決するエッチング液として、硝酸や過酸化水素水を主成分とする酸性溶液に、添加剤としてカルボキシル基を含む有機酸と、環構成員として−NH−または=N−の形で窒素原子を含有している複素環式化合物(Cuのエッチングインヒビターであるベンゾトリアゾール)とを含有させたものが提案されている(特許文献3参照)。
しかし、このようなエッチング液では、Cuが溶解されて該Cuを被覆しているレジストが浮き上がってしまい、正確なパターニングができないという問題があった。
そこで、Cuを溶解することなくNiやNi合金を溶解させるエッチング液として、無機酸や過酸化物や界面活性剤を含むものが提案されている(特許文献4参照)。
特開昭47−43971号公報 特開平6−232128号公報 特開平6−57454号公報 特開平8−311663号公報
ところで、エッチングレートはエッチング液の温度に応じて変化するという温度依存性を有しているが、この温度依存性は、室温付近では小さい(すなわち、室温付近では多少温度が変化してもエッチングレートはあまり変化しない)反面、40℃以上の温度では大きい(すなわち、少し温度が変化するだけでエッチングレートが大きく変化する)という特性を有している。
一方、上述の特許文献4に記載のエッチング液の場合、過酸化物を含んでいるために温度が上昇してしまって、その温度管理が困難である。したがって、温度依存性を有するエッチングレートの管理も困難なものとなり、量産ラインにおいてエッチングの品質が一定とならないという問題があった。
一方、上記エッチング液中の過酸化物は活性酸素供給のために添加されているが、かかる活性酸素はエッチング最中に消費されるものであるため、過酸化物を追加して活性酸素量を常に一定に保つ必要がある。しかし、このような過酸化物の追加によりエッチング液の濃度組成が変化してしまし、それに伴ってエッチングレートも変化し、同じく量産ラインにおいてエッチングの品質が一定とならないという問題があった。
また、上述の特許文献3に記載のエッチング液を用いて多層金属層をエッチングする場合であって、かつ密着層や酸化防止層にMoが含有されている場合には、Moのエッチングがほとんど行われず、これらの層が図2に示すようにエッチングされずに残り、バリとなって電気的ショートの原因になるという問題があった。
なお、図2(a) はレジスト除去前の多層金属層の形状を示す図であり、同図(b) はレジスト除去後の多層金属層の形状を示す図である。そして、符号1はガラス基板を示し、符号2は多層金属層を示し、符号121は密着層であるMo−Ni層を示し、符号22はCuを含む層を示し、符号123は酸化防止層であるMo−Ni層を示す。また、符号4はレジストを示す。
また、上述のようなバリが溶解されるようにエッチング時間を長くすれば、Cuを含む層22がエッチングされ過ぎてしまうという問題があった。
一方、このような多層金属層を、液晶パネルの金属電極として用いる場合には、該電極相互の間隙に樹脂を充填して平滑な面を形成すると共に、該平滑な面にITO(インジウム ティン オキサイド)等の透明電極を形成することが一般的に行われている。しかし、上述のように酸化防止層がバリとして残るような場合には、樹脂と金属電極との密着性が阻害される等の問題があった。
またさらに、例えば、図3に示すように主導電層220がCu又はCu合金で、保護層221及び主導電層220と基板222との間に設けられる下地層223が、Moを含んだNiとの合金である場合、塩化鉄系のエッチャントでエッチングを行っても、同図に示すように保護層221の一部がバリ224として残るという問題がある。
ここで、このようにバリ224が残るのは保護層221のNi−Mo表面に強固な不動態ができるため、その破壊に時間がかかるためと考えられる。なお、下地層223、保護層221をNi単層でなくNi−Mo合金とするのはマグネトロンスパック法で成膜する場合には、Niが非磁性になるところまでMoを添加しなければならないためである。
そこで、本発明は、バリの発生を抑制することのできるエッチング方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、量産ラインにおいてエッチングの品質を一定にできるエッチング方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、ガラス基板上に形成されたCuを含む層とNi及びMoを含む層を有する多層金属層をエッチング液でエッチングするエッチング方法において、前記エッチング液は、塩化第2鉄、塩化第1鉄及び1,2,3−ベンゾトリアゾールを含む前記エッチング液であり、前記Ni及びMoを含む層のMo比率が10at%〜70at%である、ことを特徴とする。
本発明のように、Ni、Moを主成分とする合金材料から成る密着層及び酸化防止層のうちの少なくとも酸化防止層を有した電極を形成する際、密着層及び酸化防止層のMo比率を10at%〜70at%とすることにより、Ni−Moのバリ状の欠陥のない電極を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
実施の形態)
まず、本発明の実施の形態について図4を参照して説明する。
実施の形態に用いるエッチング液には、Cuを含む層の表面に防食性被膜を形成する物質と、塩化第2鉄と、が含有されている。この場合、当該エッチング液に塩化第1鉄を予め含有させても良い。
このうち、Cuを含む層の表面に防食性被膜を形成する物質としては、含窒素複素環式化合物を挙げることができ、具体的には、ベンゾトリアゾール、チオシアヌル酸、エチレンチオ尿素等を挙げることができる。
そして、本実施の形態においては、このエッチング液を用いて、Niを含む層とCuを含む層とからなる多層金属層をエッチングする。ここで、Cuを含む層とは、Cu又はCu合金からなる層を意味し、Niを含む層とは、Ni又はNi合金からなる層を意味する。
この多層金属層は、スパッタ法によってガラス基板等の基板の表面に形成すれば良く、Niを含む層31は、図4に示すように基板1に接するように形成すれば良い(以下、基板1に接するように配置されたNi層31を“第1層31”とし、該第1層31を覆うように配置されたCuを含む層32を“第2層32”とする)。この場合、第1層31は基板1との密着性を良好にするという機能を発揮し、電気抵抗の小さい第2層32は信号伝達という役割を果たす。ここで、第1層31の厚さは、基板1との密着性を充分確保できる厚さが好ましい。
なお、酸化防止用の第3層33を、第2層32を覆うように配置しても良い。但し、その厚さは、第2層32の酸化防止を充分確保できる厚さが好ましい。
次に、本実施の形態の効果について説明する。
実施の形態によれば、含窒素複素環式化合物によってCu又はCu合金の表面に防食性被膜が形成されてCuのエッチングが抑制される。ここで、前記エッチング液に塩化第1鉄を添加しておくと、該塩化第1鉄によってNiのエッチングが促進されるので好ましい。したがって、特に、両金属のエッチングレートをほぼ等しくすることができ、エッチングレートの違いに伴うバリの発生を抑制することができる。すなわち、Cuを含む層上のNi層が厚い場合(具体的には500Å以上の場合)には、塩化第2鉄だけではNi層がエッチングされなくなるおそれがあるので、エッチング液には塩化第1鉄を添加しておくべきである。
また、上述したエッチング液は、従来のエッチング液と異なり温度管理が容易であると共に、過酸化物を追加する必要も無い。したがって、このエッチング液は、エッチングレートの管理が容易であって、量産ラインにおいてエッチングの品質を一定にできる。
(第1の参考の形態)
次に、本発明の第1の参考の形態について図5を参照して説明する。
参考の形態においてエッチングされる多層金属層は、少なくとも、Moを含む層を有しており、該多層金属層のエッチングに用いるエッチング液は、少なくともフッ化ナトリウムを含有したものである。ここで、Moを含む層とは、Mo又はMo合金からなる層を意味する。
この場合、多層金属層を、Cuを含む層と、Moを含む層とによって構成すると共に、エッチング液に、塩化第2鉄や、Cu表面に防食性被膜を形成する化合物を含有させても良い。なお、Cu表面に防食性被膜を形成する化合物としては、含窒素複素環式化合物を挙げることができ、具体的には、ベンゾトリアゾール(例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール)、チオシアヌル酸、エチレンチオ尿素等を挙げることができる。ここで、Cu表面に防食性被膜を形成する化合物やフッ化ナトリウムの量は、多層金属層を構成する各層のエッチングレートが同等となるように調整されている。ここで、Cuを含む層とは、Cu又はCu合金からなる層を意味する。
また、Moを含む層にNiやNi合金を含有させると共に、エッチング液に塩化第1鉄を含有させても良い。
一方、上記多層金属層は、図5に符号3で示すように、スパッタ法等の薄膜成形技術によってガラス基板等の基板1の表面に形成すれば良く、Moを含む層131は、基板1に接するように形成し(以下、“第1層131”とする)、Cuを含む層32を、該第1層131を覆うように配置すれば良い(以下、“第2層32”とする)。この場合、第1層131は基板1との密着性を良好にするという機能を発揮し、電気抵抗の小さい第2層32は信号伝達という役割を果たす。
また、第2層32を覆うように、Moを含む層133を配置して、第2層32の酸化を防止するようにしてもよい。
次に、本参考の形態の作用について説明する。
上述した多層金属層において、Moを含む層はエッチング液が塩化第2鉄のみを含むときに比べてフッ化ナトリウムによってエッチングが促進され、Cuを含む層は、塩化第2鉄によってエッチングされると共に、Cu表面に防食性被膜を形成する化合物によってそのエッチングが抑制される。さらに、NiやNi合金は、塩化第1鉄によってエッチングが促進される。
次に、本参考の形態の効果について説明する。
参考の形態によれば、各層のエッチングレートをほぼ等しくすることができ、エッチングレートの違いに伴うバリの発生及び電気的ショートの発生を抑制することができる。また、Cuを含む層が過度にエッチングされることも防止できる。
(第2の参考の形態)
以下、本発明の第2の参考の形態を図6及び図7を用いて説明する。
図6は、本参考の形態に係る配線基板を用いた液晶素子の構造を示す断面図であり、同図において、201は液晶素子、202は配線基板、203は液晶、204はシール材、205はスペーサである。ここで、この配線基板202は、透光性基材であるガラス基板206と、主電極である透明電極207と、補助電極である金属電極210と、高分子材料である紫外線硬化型樹脂で形成され、金属電極210間を絶縁する絶縁層211とを有したものである。なお、この配線基板202には絶縁膜208及び配向膜209が形成されている。また、絶縁層211は、紫外線硬化型樹脂等の高分子材料からなる。
ここで、この配線基板202の金属電極210は、図7に示すようにガラス基板206の表面に形成された密着層を構成する第1のNi合金膜210aと、この第1Ni合金膜210aの表面に形成され、主導電層を構成するCuを主成分とする銅膜210bと、この銅膜210bの表面に形成された酸化防止層である保護層を構成する第2Ni合金膜210cとからなるものである。
なお、この第1Ni合金膜210aは、銅膜210bとガラス基板206との密着力を増加させるためのものであり、第2Ni合金膜210cは銅膜210bの耐食性を向上させるためのものである。
ところで、これら2つのNi合金膜210a,210cはNiに、例えばMoを混入したものであり、このようにMoを混入することにより、既述したようにNi合金を非磁性体に近い磁性にすることができる。そして、このようにNi合金を非磁性体に近い磁性にすることにより、マグネトロン放電が可能となるため、後述する成膜時においてDCマグネトロンスパッタ法を用いることができるようになり、合金膜210a,210cの形成速度を著しく速めることができるようになる。
(参考例1)
本参考例においては、300Åの膜厚のNi(第1層31)、10Åの膜厚のCu(第2層32)、及び700Åの膜厚のNi(第3層33)からなる3層の金属層をガラス基板1に成膜し、これをエッチングした。
なお、第1層31乃至第3層33の成膜にはマグネトロンスパッタ法を用い、スパッタ装置には(株)シンクロン製のBSC−700を用いた。また、第1層31乃至第3層33の成膜条件は以下の通りとした。
第1層31の成膜条件;成膜圧力・・・・・・・・3E−3torr
成膜前基板温度・・・・・200℃
Ar流量・・・・・・・・100sccm
ターゲットパワー・・・・13W/cm
成膜時間・・・・・・・・60sec
第2層32の成膜条件;成膜圧力・・・・・・・・3E−3torr
成膜前基板温度・・・・・200℃
Ar流量・・・・・・・・100sccm
ターゲットパワー・・・・28W/cm
成膜(ターゲット前通過)時間・・・・・750sec
第3層33の成膜条件;成膜時間は、第1層31の成膜時間の2倍(120s
ec)とし、それ以外の成膜条件は第1層31と同じに
した。
一方、エッチング液には、塩化第1鉄塩酸溶液(30w/w%)、塩化第2鉄水溶液(42°Be′)を1:1に混合した溶液を純水で16倍に希釈し、該希釈混合溶液に1,2,3−ベンゾトリアゾールを、希釈混合溶液1リットルにつき1グラムの割合で添加し、これを超音波で充分に溶解させたものを使用した。ここで、“°Be′(ボーメ度)”とは比重を表す単位である。このボーメ度(B)と密度(d)の関係は国によって異なる。日本では、次のように定められている。重液用では純水を0°Be′、d15=1.8249の濃硫酸を66°Be′とし、d=144.3/(144.3−B)で換算し、0°から72°Be′の範囲で用いる(岩波、理化学辞典 第4版、第1230頁)。42°Be′は濃度で約38%である。
なお、本発明で用いられる希釈混合液としては、塩化第1鉄塩酸溶液:塩化第2鉄水溶液:純水=1:1:8〜1:1:30の範囲内であることが好ましい。更に、1:1:12〜1:1:24の範囲内であるとより好ましい。
なお、エッチングに際しては、エッチング温度を25℃とし、エッチング時間を65secとした。
また一方、エッチングのためのレジストには、東京応化(株)製のOFPR−800を用いた。
なお、本参考例においてはスピンエッチング法を用いたが、以下、エッチングに用いた装置、並びにエッチング方法について説明する。
エッチングに用いた装置は、ガラス基板1が取り付けられるようになっている回転自在な基板ホルダーを有しており、この基板ホルダーはモーターによって回転されるように構成されている。また、この基板ホルダーの上方には、該ホルダーに取り付けられたガラス基板1に対向するようにノズルが配置されており、該ノズルは、ホースと三方弁とによって2つの圧力容器に連結されている。これら2つの圧力容器のうちの一方にはエッチング液が溜められており、他方の圧力容器にはリンス液が溜められている。また、これらの圧力容器には、圧力調整バルブで圧力を調整した窒素ガスが充填されるようになっている。
いま、ガラス基板1を基板ホルダーに固定した状態でモーターを起動すると、ガラス基板1は基板ホルダーと共に所定回転数で回転する。この状態で、圧力調整バルブで圧力を調整した窒素ガスを圧力容器内(エッチング液が溜められている方の圧力容器内)に充填すると、エッチング液はノズルを通ってガラス基板1に噴射される。このとき、三方弁は、エッチング液が溜められている方の圧力容器とノズルとが連通するように操作しておく。
一定の時間が経過した後で三方弁を切り換え、エッチング液の代わりにリンス液をガラス基板1に一定時間だけ噴射させる。これにより、ガラス基板1の表面に付着しているエッチング液が除去され、エッチング処理が停止される。
そして、リンス液の噴射を停止した後も一定時間だけガラス基板1の回転を維持してリンス液を飛散させ、その後、モーターの起動を止める。
本参考例によれば、上述した実施の形態と同様の効果を奏した。なお、エッチング時間が±2sec程度変動し、エッチング温度が20〜30℃程度変動しても、バリは発生しなかった。
実施
実施例においては、第1層31及び第3層33には、400Åの膜厚のNi−Mo合金(Moの含有率は10at%)を用い、第2層32には、参考例1の第2層32と同じ材質及び膜厚ものを用いた。
なお、第1層31乃至第3層33の成膜には、参考例1と同じスパッタ法及びスパッタ装置を用いた。
また、第1層31及び第3層33の成膜条件の内、成膜時間を70secとし、それ以外は参考例1における第1層31の成膜条件と同じにした。さらに、第2層32の成膜条件は参考例1と同じにした。
一方、エッチング液には、塩化第2鉄水溶液(42°Be′)を純水で24倍に希釈し、該希釈混合溶液に1,2,3−ベンゾトリアゾールを、希釈混合溶液1リットルにつき1グラムの割合で添加し、これを超音波で充分に溶解させたものを使用した。なお、エッチング温度やレジストは参考例1と同じにした。
実施例においてはラインエッチング法を用いた。すなわち、多層金属層が形成されたガラス基板1を搬送する手段と、該多層金属層に対向するように配置された複数のノズルと、を備えた装置を用い、搬送されているガラス基板1に対してエッチング液やリンス液を噴射させる方法を用いた。
実施例によれば、エッチング液は第3層33の中を浸透して第2層32に到達し、該第2層32と反応して該第2層32をエッチングする。これにより、塩化第1鉄が生成され、この塩化第1鉄によって第3層33や第1層31がエッチングされる。これにより、参考例1と同様の効果が得られた。
実施
実施例においては、第1層31及び第3層33の材質、膜厚及び成膜方法(成膜条件、成膜装置)を実施と同じにした。
エッチング液には、塩化第1鉄塩酸溶液(30w/w%)、塩化第2鉄水溶液(42°Be′)を1:1に混合した溶液を純水で24倍に希釈し、該希釈混合溶液にチオシアヌル酸(1,3,5s−トリアジン−2,4,6−トリジオール)を、希釈混合溶液1リットルにつき1グラムの割合で添加したものを使用した。
なお、レジストには参考例1と同じものを使用し、エッチング法には、実施と同じラインエッチング法を使用した。
実施例によれば、参考例1と同様の効果を奏した。
実施
実施例においては、第1層31及び第3層33の材質、膜厚及び成膜方法(成膜条件、成膜装置)を実施と同じにした。
エッチング液には、塩化第1鉄塩酸溶液(30w/w%)、塩化第2鉄水溶液(42°Be′)を1:1に混合した溶液を純水で16倍に希釈し、該希釈混合溶液にエチレンチオ尿素を、希釈混合溶液1リットルにつき5グラムの割合で添加したものを使用した。
なお、レジストには参考例1と同じものを使用し、エッチング法には、実施と同じラインエッチング法を使用した。
実施例によれば、参考例1と同様の効果を奏した。
(参考例
本参考例においては、図5に示す多層金属層3を形成した。すなわち、第1層131及び第3層133に、500Åの膜厚のCu−Mo合金(Moの含有率は20at%)を用い、第2層32に10Åの膜厚のCuを用いた。
なお、第1層131乃至第3層133の成膜にはマグネトロンスパッタ法を用い、スパッタ装置には(株)シンクロン製のBSC−700を用いた。また、第1層131乃至第3層133の成膜条件は以下の通りとした。
第1層131の成膜条件;成膜圧力・・・・・・・・3E−3torr
成膜前基板温度・・・・・200℃
Ar流量・・・・・・・・100sccm
ターゲットパワー・・・・13W/cm
成膜時間・・・・・・・・90sec
第2層32の成膜条件 ;成膜圧力・・・・・・・・3E−3torr
成膜前基板温度・・・・・200℃
Ar流量・・・・・・・・100sccm
ターゲットパワー・・・・28W/cm
成膜(ターゲット前通過)時間・・・750sec
第3層133の成膜条件;第1層131の成膜条件と同じ
一方、エッチング液には、塩化第1鉄塩酸溶液(30w/w%)、塩化第2鉄水溶液(42°Be′)を1:1に混合した溶液を純水で16倍に希釈し、該希釈混合溶液にフッ化ナトリウムを、希釈混合溶液1リットルにつき2グラムの割合で添加し、これを超音波で充分に溶解させたものを使用した。ここで、“°Be′(ボーメ度)”とは比重を表す単位である。このボーメ度(B)と密度(d)の関係は国によって異なる。日本では、次のように定められている。重液用では純水を0°Be′、d15=1.8249の濃硫酸を66°Be′とし、d=144.3/(144.3−B)で換算し、0°から72°Be′の範囲で用いる(岩波、理化学辞典 第4版、第1230頁)。42°Be′は濃度で約38%である。
なお、エッチングに際しては、エッチング温度を25℃とし、エッチング時間を80secとした。
また一方、エッチングのためのレジストには、東京応化(株)製のOFPR−800を用いた。
なお、本参考例においてはスピンエッチング法を用いたが、以下、エッチングに用いた装置、並びにエッチング方法について説明する。
エッチングに用いた装置は、ガラス基板1が取り付けられるようになっている回転自在な基板ホルダーを有しており、この基板ホルダーはモーターによって回転されるように構成されている。また、この基板ホルダーの上方には、該ホルダーに取り付けられたガラス基板1に対向するようにノズルが配置されており、該ノズルは、ホースと三方弁とによって2つの圧力容器に連結されている。これら2つの圧力容器のうちの一方にはエッチング液が溜められており、他方の圧力容器にはリンス液が溜められている。また、これらの圧力容器には、圧力調整バルブで圧力を調整した窒素ガスが充填されるようになっている。
いま、ガラス基板1を基板ホルダーに固定した状態でモーターを起動すると、ガラス基板1は基板ホルダーと共に所定回転数で回転する。この状態で、圧力調整バルブで圧力を調整した窒素ガスを圧力容器内(エッチング液が溜められている方の圧力容器内)に充填すると、エッチング液はノズルを通ってガラス基板1に噴射される。このとき、三方弁は、エッチング液が溜められている方の圧力容器とノズルとが連通するように操作しておく。
一定の時間が経過した後で三方弁を切り換え、エッチング液の代わりにリンス液をガラス基板1に一定時間だけ噴射させる。これにより、ガラス基板1の表面に付着しているエッチング液が除去され、エッチング処理が停止される。
そして、リンス液の噴射を停止した後も一定時間だけガラス基板1の回転を維持してリンス液を飛散させ、その後、モーターの起動を止める。
本参考例によれば、上述した参考の形態と同様の効果を奏した。
実施
実施例においては、第1層131及び第3層133には、350Åの膜厚のNi−Mo合金(Moの含有率は10at%)を用い、第2層32には、参考例の第2層32と同じ材質及び膜厚もの(10Åの膜厚のCu)を用いた。
なお、第1層131乃至第3層133の成膜には、参考例と同じスパッタ法及びスパッタ装置を用いた。
また、第1層131及び第3層133の成膜条件の内、成膜時間を60secとし、それ以外は参考例における第1層131の成膜条件と同じにした。さらに、第2層32の成膜条件は参考例と同じにした。
一方、エッチング液には、塩化第1鉄塩酸溶液(30w/w%)、塩化第2鉄水溶液(42°Be′)を1:1に混合した溶液を純水で16倍に希釈し、該希釈混合溶液に1,2,3−ベンゾトリアゾール及びフッ化ナトリウムを、希釈混合溶液1リットルにつきそれぞれ2グラムの割合で添加し、これを超音波で充分に溶解させたものを使用した。
なお、レジストは参考例と同じものを用い、エッチングに際しては、エッチング温度を25℃とし、エッチング時間を130secとした。
また、エッチング法としては、参考例で述べたスピンエッチング法を用いた。
実施例によれば、参考例と同様の効果を奏した。
(参考例
本参考例においては、第1層131及び第3層133には、200Åの膜厚のMoを用い、第2層32には、参考例の第2層32と同じ材質及び膜厚もの(10Åの膜厚のCu)を用いた。
なお、第1層131乃至第3層133の成膜には、参考例と同じスパッタ法及びスパッタ装置を用いた。また、第1層131乃至第3層133の成膜条件は以下の通りとした。
第1層131の成膜条件;成膜圧力・・・・・・・・3E−3torr
成膜前基板温度・・・・・200℃
Ar流量・・・・・・・・100sccm
ターゲットパワー・・・・18W/cm
成膜時間・・・・・・・・60sec
第2層32の成膜条件 ;参考例の場合と同じ
第3層133の成膜条件;上記第1層131の成膜条件と同じ
一方、エッチング液には、塩化第1鉄塩酸溶液(30w/w%)、塩化第2鉄水溶液(42°Be′)を1:1に混合した溶液を純水で8倍に希釈し、該希釈混合溶液に1,2,3−ベンゾトリアゾール及びフッ化ナトリウムを添加し、これを超音波で充分に溶解させたものを使用した。なお、1,2,3−ベンゾトリアゾールは、希釈混合溶液1リットルにつき2グラムの割合で添加し、フッ化ナトリウムは、希釈混合溶液1リットルにつき5グラムの割合で添加した。
なお、レジストは参考例と同じものを用い、エッチングに際しては、エッチング温度を25℃とし、エッチング時間を210secとした。
また、エッチング法としては、参考例で述べたスピンエッチング法を用いた。
本参考例によれば、参考例と同様の効果を奏した。
(実施例
本実施例においては、図6及び図7に示す金属電極210を形成した。
まず青板硝子を研磨処理してガラス基板206を形成し、この後、主導電層を形成する前に、このガラス基板206の表面に高分子系樹脂膜を成膜した。そして、この高分子系樹脂膜形成工程の後、ガラス基板206をオーブンで120℃で2時間ベーキングし、この後、図8の(a)に示すようにDCスパッタ法にて不図示の高分子系樹脂膜の表面にNi−Mo合金よりなる第1Ni合金膜210aを成膜した。なお、本実施例において、この第1Ni合金膜210aの膜厚は、密着性を十分確保できるよう350Åとした。
続いて、この密着膜形成工程の後、図8の(b)に示すように膜厚1μmの銅膜210bを成膜した。そして、この主導電層形成工程の後、保護層形成工程においてDCスパッタ法により、図7に示すNiーMo合金層によりなる第2Ni合金膜210cを成膜した。なお、本実施例において、この第2Ni合金膜210cの膜厚は、Cuの酸化を十分防止できるよう350Åとした。
ここで、これら成膜時の条件は以下に示すとおりである。なお、スパッタ装置は(株)シンクロン製BSC−700を用いた。
第1Ni合金膜210aの成膜条件
成膜圧力・・・・・・3E−3torr
成膜前基板温度・・・200℃
Ar流量・・・・・・100sccm
ターゲットパワー・・13w/cm
成膜時間・・・・・・60sec
銅膜210bの成膜条件
成膜圧力・・・・・・3E−3torr
成膜前基板湿度・・・200℃
Ar流量・・・・・・100sccm
ターゲットパワー・・28w/cm
成膜時間・・・・・・750sec
第2Ni合金膜210cの成膜条件
成膜圧力・・・・・・3E−3torr
成膜前基板湿度・・・200℃
Ar流量・・・・・・100sccm
ターゲットパワー・113w/cm
成膜時間・・・・・・60sec
次に、このようにして各膜210a,210b,210cが形成されたガラス基板206の被加工面にレジスト(東京応化(株)OFPR−800)によるエッチングパターンを形成した。
そして、この後、ガラス基板206を高速で回転させながら成膜面側からエッチャントを噴霧するスピンエッチング法を用いてエッチングを行い、配線パターンをガラス基板206上に形成した。なお、エッチングの際に用いられるエッチャントは、塩化第1鉄塩酸溶液(30w/w%)、塩化第2鉄水溶液(42°Be’)を1:1に混合した溶液を純水で16倍に希釈した混合溶液1リットルにつき1,2,3−ペンゾトリアゾール2グラムを添加したものを使用した。また、エッチャント温度は25℃で一定に保った。
ところで、このようにエッチングによりパターン形成された金属電極210のバリの程度と、合金膜210a,210cのNi−MoにおけるMo比率との関係を調べるため、Mo比率を、8at%、10at%、30at%、50at%、70at%、75at%、80at%の範囲で変更した金属電極210を有するガラス基板を形成した。なお、このようにMoの比率を変更しても、Ni−Moのスパッタレートはほとんどかわらない。
そして、このようにMo比率を変更したガラス基板206に対し上記エッチャントによりエッチングを行い、バリの程度をSEMで観測したところ、観測結果は下記の表1に示すようになった。
Figure 0003970248
なお、同表において、×は、電極全面において1μm以上のバリが多数観察されたもの(又は、エッチングが進行しなかったもの)を示し、○は、電極全面において0.1μm以下のバリしか観察できなかったものを示す。
ここで、この観測結果から、Mo比率が10〜70at%の範囲では図9に示すように第2合金膜210cにはバリが生じないことが判る。
なお、Mo比率が75%、80%の場合では、エッチングが進行しないが、長時間エッチングを行い続けると、第2合金膜210cのNi−Moエッチング中に銅膜210bが完全にエッチングされきってしまい配線としてエッチングできなかった(これは、NiMoの完全に膜となっていない部分からエッチャントが内部に侵入したため、又は、Mo自体は塩化第1、第2鉄でほとんどエッチングが進行しないためにNiMo中のNiの抜けた部分からエッチャントが内部に侵入しCuをエッチングしたためではないかと思われる)。
次に、Mo比率を変えたときのNi−Mo単層膜の不動態破壊時間を調べた。測定法は、成膜後24時間を経た膜厚5000Åのサンプルを既述したエッチャントで溶解させ、その時の自然電位をモニターすることで不動態破壊時間を調べた。その結果を下記の表2に示す。
Figure 0003970248
そしてこの結果から、Mo比率が10at%以上であれば不動態破壊時間は短くなり、バリのないエッチングが可能となることが分かる。なお、Mo比率が8%の場合は、不動態が破壊されている時間にCuのエッチングが進行し、上地の不動態を含めたNi−Moがバリとなったと考えられる。なお、Mo比率75%、80%では、自然電位の顕著な低下が確認できなかったため、不動態破壊時間を決定することができなかった。
以上のことから、バリのないエッチングが可能となるMo比率は10at%〜70at%であることが判明した。言い換えれば、Mo比率を10at%〜70at%とすれば、エッチングの際のバリの発生を防ぐことができる。
(実施例
次に、密着層を備えていない金属電極210を形成する金属電極210の形成法の実施例について説明する。
本実施例においては、ガラス基板に膜厚2μmの銅膜(図8参照)を形成し、この後、この銅膜の表面に保護層を構成する膜厚700ÅのNi−Mo合金よりなるNi合金膜(図8参照)を成膜した。なお、ガラス基板に接する面のCuには、ガラス基板とCuとの密着力を確保するため1at%程度の窒素をドープした。また、銅膜及びNi合金膜の成膜時の条件は、実施例の成膜時間をそれぞれ2倍にした以外は、実施例と同一である。
次に、このように各膜が形成されたガラス基板206の被加工面に実施例と同様にエッチングパターンを形成した後、スピンエッチング法を用いエッチングを行い、配線パターンを形成した。なお、このエッチングの際に用いたエッチャントは、実施例と同様のものであり、エッチャント温度も実施例と同様に25℃で一定に保った。
ところで、このようにエッチングによりパターン形成された金属電極210のバリの程度と、Ni合金膜のNi−MoにおけるMoの比率との関係を調べるため、Mo比率を、8at%、10at%、30at%、50at%、70at%、75at%、80at%の範囲で変更したガラス基板を形成した。
そして、このようにMo比率を変更したガラス基板に対しエッチングを行い、バリの程度をSEMで観測したところ、観測結果は下記の表3に示すようになった。
Figure 0003970248
なお、同表において、×はバリが残ったもの、又は、エッチングが進行しなかったもの、○はバリがないものである。
ここで、この観測結果から、実施例と同様にMo比率が10〜70at%の範囲ではバリのないエッチングが可能であることが分かる。なお、Mo比率が75%、80%の場合では、Ni−Mo自体のエッチングがほとんど進行せず、Cuのみのエッチングが進行したため配線としてエッチングできなかった。
次に、Mo比率を変えたときのNi−Mo単層膜の不動態破壊時間を調べた。測定法は、実施例と同様である。その結果を下記の表4に示す。
Figure 0003970248
そしてこの結果から、Mo比率が10at%以上であれば不動態破壊時間は短くなり、バリのないエッチングが可能となることが分かる。なお、Mo比率が8%の場合は、不動態が破壊されている時間にCuのエッチングが進行し、上地の不動態を含めたNi−Moがバリとなったと考えられる。
以上のことから、下地層を備えていないガラス基板(或は配線基板)においても、バリのないエッチングが可能となるMo比率は10at%〜70at%であることが判明した。したがって、Mo比率を10at%〜70at%とすれば、エッチングの際のバリの発生を防ぐことができる。
(実施例
以下に本発明の実施例を図7を用いて説明する。
本実施例では、実施例の塩化第2鉄、塩化第1鉄、ベンゾトリアゾールを含むエッチング液にフッ化ナトリウムを添加した。
ガラス基板206側よりNi−Mo層210a、Cu層210b、Ni−Mo層210cの構成をマグネトロンスパッタで成膜した。ガラス基板206側のNi−Mo層210aはガラス基板206との密着層、Ni−Mo層210cはCu層210bの酸化防止層である。膜厚は、それぞれNi−Mo層210aが400Å、Cu層210bが1μm、Ni−Mo層210cが400Åであり、Ni−Mo層中のMo比率を8at%、10at%、30at%、50at%、70at%、75at%、80at%と7種類製作した。スパッタの成膜条件は以下に示す通りである。
使用装置;(株)シンクロン社製BSC−700
Ni−Mo層210a
成膜圧力・・・・・・3E−3torr
成膜前基板温度・・・200℃
Ar流量・・・・・・100sccm
ターゲットパワー・・13w/cm
成膜時間・・・・・・70sec
Cu層210b
成膜圧力・・・・・・3E−3torr
成膜前基板湿度・・・200℃
Ar流量・・・・・・100sccm
ターゲットパワー・・28w/cm
成膜時間・・・・・・750sec
Ni−Mo層210c
成膜圧力・・・・・・3E−3torr
成膜前基板温度・・・200℃
Ar流量・・・・・・100sccm
ターゲットパワー・・13w/cm
成膜時間・・・・・・70sec
以上のように成膜した基板の被加工面に東京応化(株)製のOFPR−800レジストによるエッチングパターンを製作し、エッチングを行った。
エッチングは、基板を高速で回転させながら成膜面側からエッチャントを噴霧するスピンエッチング法を用いた。エッチャントは塩化第1鉄塩酸溶液(30W/W%)、塩化第2鉄水溶液(42°Be′)を1:1に混合した溶液を純水で16倍に希釈した混合溶液1リットルにつき1,2,3−ベンゾトリアゾール2グラム、フッ化ナトリウム2グラムを添加し、これを超音波で溶解したものである。エッチャント温度は25℃である。
以上の膜構成、エッチャントでエッチングを行い、SEMにより酸化防止のための保護層であるNi−Mo層のバリ状欠陥の様子を観測した結果を表5に示す。この表は、保護層であるNi−Mo層のバリ状欠陥の程度を示している。×はバリ状の欠陥が残ったもの、○はバリ状欠陥がないものである。
Figure 0003970248
これより、密着層、保護層であるNi−Mo層のMo比率が10〜70at%の範囲ではバリ状の欠陥のないエッチングが可能であることが分かる。
Mo比率が75,80at%では、保護層のNi−Mo層のエッチングが進行しなかった。また、さらにそのままエッチングを行うと、保護層膜厚の薄ところからCu層内部にエッチャントが侵入し、保護層であるNi−Mo層がほとんどエッチングされていないにもかかわらず、主導電層のCu層210bがエッチングされ、配線としてエッチングができなかった。
また、保護層であるNi−Mo層の不動態破壊時間をそれぞれ調べた結果を表6に示す。測定法は、Mo比率が8〜80%それぞれのNi−Mo単層をスパッタ法でガラス基板206に成膜し、これを24時間大気中に放置し保護層であるNi−Mo層表面に不動態を形成させ、さらにこれをエッチャントに溶解させた際のエッチャントの自然電位をモニターすることから不動態破壊時間を調べた。
Figure 0003970248
不動態の自然電位は500mV程度、活性なNi−Moの自然電位は100〜300mVであるため、Ni−Mo膜をエッチャントに浸した直後の500mV程度の電位から100〜300mVの電位に下がるまでの時間を不動態破壊時間とした。Ni−Mo膜の膜厚はすべて5000Åとし、成膜条件は上述の3層構成のNi−Mo膜を成膜した際と同一であり、成膜時間だけが異なる。
表6より、Mo比率8%のNi−Mo膜は不動態破壊に68secの時間を要しているが、これよりMo比率8%のものではバリ状欠陥が発生するのは、不動態が破壊されている間に膜の薄いところや、完全に膜となっていない部分からCu層に侵入したエッチャントがCu層を先にエッチングしているため、Cu層のオーバーエッチングとなるためと思われる。
以上より、バリのないエッチングが可能であるNi−Mo膜中のMo比率は10at%〜70at%であることが判明した。
従来の問題点を説明するための模式図。 従来の問題点を説明するための模式図であり、(a) はレジスト除去前の多層金属層の形状を示す図であり、(b)はレジスト除去後の多層金属層の形状を示す図。 バリ状の欠陥の発生した従来の配線基板の断面図。 本発明に係るエッチング法によって得られた電極基板の構造の一例を示す模式図。 本発明の一参考の形態を説明するための模式図であり、(a)はレジスト除去前の多層金属層の形状を示す図であり、(b) はレジスト除去後の多層金属層の形状を示す図。 本発明の参考の形態に係る配線基板を用いた液晶素子の構造を示す断面図。 上記液晶素子の配線基板の金属電極の断面図。 上記配線基板の金属電極の製造方法を説明する図。 上記金属電極の製造方法におけるエッチング後の配線基板の断面図。
符号の説明
1 ガラス基板
3 多層金属層
31 第1層(Niを含む層)
32 第2層(Cuを含む層)
33 第3層(Niを含む層)
131 第1層(Moを含む層)
132 第2層(Cuを含む層)
133 第3層(Moを含む層)
201 液晶素子
202 配線基板
203 液晶
206 ガラス基板
210 金属電極
210a 第1Ni合金膜
210b 銅膜
210c 第2Ni合金膜

Claims (2)

  1. ガラス基板上に形成されたCuを含む層とNi及びMoを含む層を有する多層金属層をエッチング液でエッチングするエッチング方法において、
    前記エッチング液は、塩化第2鉄、塩化第1鉄及び1,2,3−ベンゾトリアゾールを含む前記エッチング液であり、
    前記Ni及びMoを含む層のMo比率が10at%〜70at%である、
    ことを特徴とするエッチング方法。
  2. 前記エッチング液がフッ化ナトリウムを有することを特徴とする請求項1に記載のエッチング方法。
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