JP3970112B2 - 断熱箱体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外箱と内箱間に断熱材を発泡充填して成る断熱箱体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりこの種低温ショーケースなどを構成する断熱箱体は、例えば特開昭60−169076号公報(F25D23/08)に示される如く、外箱内に内箱を組み込んだ後、内外両箱間に断熱材を発泡充填して構成されていた。次に、図17乃至図19を参照してこの種従来の低温ショーケース101の断熱箱体102について説明する。
【0003】
図17において、103は鋼板製の外箱、104はステンレスなどの鋼板製若しくはABSなどの硬質合成樹脂製の内箱である。これら外箱103及び内箱104は何れも前面が開口しており、外箱103内に間隔を存して内箱104を組み込み、図示しない治具内に開口面を下にして装填する。その状態で、硬質ポリウレタン原液を両箱103、104間に注入し、発泡させて断熱材106を充填することで断熱箱体102を構成していた。
【0004】
ここで、外箱103は上面及び左右側面を構成する略門型の側面材107と、背面を構成する背面材108と、底面(ここでは示さない機械室の天井面)を構成する図示しない底面材(即ち、複数の面材)を組み合わせて構成されており、特に、側面材107と背面材108とは例えば図18に示す如く接合されていた。即ち、図18において側面材107の後端は略直角に折曲されて背面と面一となり、更にその先端は内箱104側に略直角に折曲されてフランジ107Aが形成されている。
【0005】
一方、背面材108の周縁部も内箱104側に略直角に折曲されてフランジ108Aが形成されている。そして、これらフランジ107A及び108Aを当接させた状態でネジ111にて締結することで側面材107と背面材108とを接合していた(底面材も同様の方式である)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、係る構造の場合にはネジ111を比較的狭い空間で螺合させる必要があるため、特に小型の製品の場合にはネジ止め作業性が極めて悪くなる。また、ネジ止めのためのエアーツールなどが側面材107や背面材108に当たって打痕や傷付きが生じる問題もある。更に、各フランジ107Aと108Aとの隙間からどうしても断熱材106が漏洩し、外観不良を引き起こすため、シール材を貼付しなければならなくなる問題もあった。
【0007】
そこで、側面材107の後縁をロール成形することにより、図19に示す如く後向きに開口する溝107Bと、先端のフランジ107Cとを連続して形成し、この溝107B内に背面材108のフランジ108Aを挿入し、背面材108をフランジ107Cに後方からネジ111にて締結するようにすれば、ネジ止め時の困難性は解消される。また、フランジ107Cと背面材108間からの断熱材漏れも溝107B内で食い止められる可能性が高くなるものの、今度はロール形状を成形するための生産設備が必要となり、NC加工も不可能となる。
【0008】
更に、上記何れの構造においても、前述の如き断熱材106の発泡充填時には両箱103、104間の空気を外部に逃がす必要があるが、その場合に背面材108や側面材107の背面などに多数の空気抜き孔を穿設していた。そのため、この空気抜き孔から断熱材が漏洩し、それによって外観不良が生じる不都合や、発泡後には各空気抜き孔に多数のシール材をそれぞれ貼って隠蔽しなければならないなど、煩雑な作業が強いられることになる問題も発生していた。
【0009】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、組立作業性を著しく改善できる断熱箱体及びその製造方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の断熱箱体は、複数の面材から成る外箱内に内箱を組み込み、両箱間に断熱材を発泡充填して成るものであって、外箱を構成する各面材の縁部を内箱側に折曲して形成されたフランジと、隣接する各面材のフランジを相互に当接させた状態で、当該当接した両フランジを挟持して保持する保持部材とを備え、保持部材は、外箱と内箱間の空間と外箱外とに連通した空気通路を内部に備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明の断熱箱体は、複数の面材から成る外箱内に内箱を組み込み、両箱間に断熱材を発泡充填して成るものであって、外箱を構成する各面材の縁部を内箱側に折曲して形成されたフランジと、隣接する各面材のフランジを相互に当接させた状態で、当該当接した両フランジを挟持して保持する保持部材とを備え、保持部材は、一部に構成される機械室と当該機械室以外の外箱外とに連通した空気通路を内部に備えることを特徴とする
【0012】
請求項3の発明の断熱箱体は、複数の面材から成る外箱内に内箱を組み込み、両箱間に断熱材を発泡充填して成るものであって、外箱を構成する各面材の縁部を内箱側に折曲して形成されたフランジと、隣接する各面材のフランジを相互に当接させた状態で、当該当接した両フランジを挟持して保持する保持部材とを備え、保持部材は、一部に構成される機械室内の空気を循環させる空気通路を内部に備えることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明の断熱箱体は、上記各発明において保持部材は、内箱に当接することを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明の断熱箱体の製造方法は、複数の面材から成る外箱内に内箱を組み込み、両箱間に断熱材を発泡充填して成る断熱箱体を製造するに際して、外箱を構成する各面材の縁部を内箱側に折曲することによりフランジを形成し、隣接する各面材のフランジを相互に当接させた状態で、保持部材により両フランジを挟持し、その状態で、外箱と内箱間に断熱材を発泡充填すると共に、保持部材内には空気通路を構成し、当該空気通路を、外箱と内箱間の空間と外箱外とに連通させることを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明の断熱箱体の製造方法は、請求項5において保持部材を、内箱に当接させることを特徴とする。
【0016】
請求項1及び請求項5の発明によれば、外箱を構成する各面材を保持部材にて接合し、その状態で外箱と内箱間に断熱材を発泡充填して断熱箱体を構成することができるようになる。これにより、外箱の各面材をネジ止めする場合の如き狭い空間での組立作業性の悪化や打痕・傷付きの発生も解消することが可能となる。また、各面材を保持部材にて挟持するので、当接した各フランジ間からの断熱材の漏洩も防止若しくは抑制できるようになり、外観不良の発生やシール材の貼付作業も解消できるようになる。
【0017】
更に、外箱の各面材を接合するための加工はフランジの折曲加工のみで済むので、ロール成形が不要となり、NC加工が利用できるようになるので、生産性や生産コストの改善も図れるようになるものである。
【0018】
特に、保持部材内に、外箱と内箱間の空間と外箱外とを連通する空気通路が構成されているので、保持部材内の空気通路を利用して、断熱材の発泡充填時の空気抜きを行うことができるようになる。これにより、従来の如く外箱の背面などに多数の空気抜き孔を穿設する必要が無くなり、シールや隠蔽のための作業も不要となる。また、保持部材内には比較的長い空気通路が構成されることになるので、断熱材が侵入しても外箱外に漏出するまでに固化するようになる。これにより、断熱材の漏洩も抑制できるようになるものである。
【0019】
請求項2の発明によれば、外箱を構成する各面材を保持部材にて接合し、その状態で外箱と内箱間に断熱材を発泡充填して断熱箱体を構成することができるようになる。これにより、外箱の各面材をネジ止めする場合の如き狭い空間での組立作業性の悪化や打痕・傷付きの発生も解消することが可能となる。また、各面材を保持部材にて挟持するので、当接した各フランジ間からの断熱材の漏洩も防止若しくは抑制できるようになり、外観不良の発生やシール材の貼付作業も解消できるようになる。
【0020】
更に、外箱の各面材を接合するための加工はフランジの折曲加工のみで済むので、ロール成形が不要となり、NC加工が利用できるようになるので、生産性や生産コストの改善も図れるようになるものである。
【0021】
特に、保持部材は、一部に構成される機械室と当該機械室以外の外箱外とに連通した空気通路を内部に備えるので、機械室内で生じる廃熱を、保持部材内の空気通路を介して外部に排出することができるようになり、機械室内に設置される機器の性能改善を図ることが可能となるものである。
【0022】
請求項3の発明によれば、外箱を構成する各面材を保持部材にて接合し、その状態で外箱と内箱間に断熱材を発泡充填して断熱箱体を構成することができるようになる。これにより、外箱の各面材をネジ止めする場合の如き狭い空間での組立作業性の悪化や打痕・傷付きの発生も解消することが可能となる。また、各面材を保持部材にて挟持するので、当接した各フランジ間からの断熱材の漏洩も防止若しくは抑制できるようになり、外観不良の発生やシール材の貼付作業も解消できるようになる。
【0023】
更に、外箱の各面材を接合するための加工はフランジの折曲加工のみで済むので、ロール成形が不要となり、NC加工が利用できるようになるので、生産性や生産コストの改善も図れるようになるものである。
【0024】
特に、保持部材は、一部に構成される機械室内の空気を循環させる空気通路を内部に備えるので、機械室内で生じる廃熱を循環させながら外箱に伝熱させ、機械室内の冷却を行うことができるようになり、同様に機械室内に設置される機器の性能改善を図ることが可能となるものである。
【0025】
請求項4及び請求項6の発明によれば、上記各発明に加えて保持部材が内箱に当接するので、保持部材により内箱の位置決めと保持が可能となり、組立作業性が一層改善されるようになる。特に、断熱材の発泡充填時には保持部材により、両箱間の断熱材原液の流れを規制することができるようになるので、最終発泡箇所を空気抜き箇所に導くことで、均一な断熱材の充填を促進することも可能となる。また、保持部材内の空気通路を空気抜きに使用する場合には、保持部材内にも断熱材が侵入するので、断熱性能も問題無くなるものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明を適用した実施例としての低温ショーケース1の斜視図、図2は低温ショーケース1の正面図、図3は低温ショーケース1の縦断側面図、図4は低温ショーケース1の外箱3と内箱4の分解斜視図、図5は低温ショーケース1を構成する本発明の断熱箱体2の開口を上として寝かせた状態の斜視図、図6は同じく開口を下として寝かせた状態の斜視図、図7は断熱箱体2の後隅部の拡大平断面図、図8は断熱箱体2の背面図、図9は図8のA−A線断面図、図10は図8のB−B線断面図である。
【0027】
各図において、実施例の低温ショーケース1は飲食店やスーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの店舗に設置されて飲料などの商品を冷蔵しながら陳列するショーケースであり、前面が開口する断熱箱体2により本体が構成されている。この断熱箱体2は前面に開口する鋼板製の外箱3と、この外箱3内に間隔を存して組み込まれたステンレスなどの鋼板製若しくはABSなどの硬質合成樹脂製の前面に開口する内箱4と、これら外箱3及び内箱4間に構成される空間に現場発泡方式して充填される発泡ポリウレタン断熱材6などから構成されている。
【0028】
そして、内箱4内が貯蔵室7とされ、この貯蔵室7内には商品陳列用の棚10が架設されると共に、貯蔵室7の前面開口は引き戸式のガラス扉8、8によって開閉自在に閉塞される。貯蔵室7の天井部には冷却装置を構成する冷却器9及び冷気循環用の送風機11が設置され、これらによって貯蔵室7内は所定の冷蔵温度に冷却される。
【0029】
一方、断熱箱体2の下部には機械室12が構成され、この機械室12内には前記冷却器9と共に冷却装置の周知の冷媒回路を構成する圧縮機13や凝縮器14、凝縮器用送風機16、ドレン水を蒸発処理させるための蒸発皿17などが設置されている。この機械室12は前後及び底面が開放しており、前面は通気口18を有するパネル19にて覆われている(後面は閉塞される)。
【0030】
次に、本発明の断熱箱体2の構造及びその製造方法について説明する。図4において、外箱3は、上面及び左右側面を構成する略門型の側面材21と、背面を構成する背面材22と、底面(機械室12の天井面)を構成する底面材23(これらは何れも面材)を組み合わせて構成されている。尚、図中24は断熱箱体2の前面開口上縁を構成する上レール部材、26、26は左右縁を構成する左右縦部材、27は下縁を構成する下レール部材、28、28は機械室12の左右に位置する台脚アングル、29は機械室12の前部を位置する門型アングルである。
【0031】
上記外箱3を構成する側面材21と背面材22とは図7に示す如く接合されている。即ち、図7において側面材21の上面及び左右側面の後端は略直角に折曲されて背面と面一となり、更にその先端は内箱4側に略直角に折曲され、そこにフランジ21Aが形成されている。一方、背面材22の周縁部も内箱4側に略直角に折曲されてフランジ22Aが形成されている。これらフランジ21A、22Aの形成は折曲加工であるので、通常のNC加工で製造可能となる。
【0032】
そして、これら隣接した側面材21の上面及び左右側面のフランジ21Aと背面材22の上辺及び左右辺のフランジ22Aを図7の如く相互に当接させた状態で、保持部材31により挟持して保持する。この場合の保持部材31はABSなどの硬質合成樹脂の押出材、或いは、金属バネ材により構成されており、内箱4側に位置して内部に空気通路32が構成された拡開部33と、この拡開部33を構成する周囲壁から連続して接近し、互いに近接する方向に付勢された挟持部34、34と、各挟持部34、34の先端から略直角に外側に延在する当接部36、36とから成る。
【0033】
この場合、挟持部34、34間の間隔は前記フランジ21A、22Aの厚みを合わせた寸法よりも十分に小さくされ、更にその弾性により、前述した如く相互に近接する方向に付勢されている。保持部材31は背面材22の上辺(図10参照)と左右辺(図9参照)にそれぞれ1本ずつ対応して準備され、背面材22の上辺及び左右辺の寸法と同等の長さを有している。また、背面材22の左右辺に対応する保持部材31の拡開部33には、内箱4の背面側に位置して内部の空気通路32と外部とを連通する連通孔37が複数形成され(図9)、背面材22の上辺に対応する保持部材31の拡開部33には、下方に向いて空気通路32と外部とを連通する連通孔37が複数形成されている(図10)。
【0034】
そして、側面材21と背面材22を接合する際には、両面材のフランジ21A、22Aを図7の如く相互に当接させ、その状態で保持部材31の挟持部34、34間に両フランジ21A、22Aを挿入するかたちで当該保持部材31を両面材21、22の接合部に差し込む。この場合、上述の如く背面材22の上辺及び左右辺に対応して1本ずつ差し込む。
【0035】
この状態で図7に示す如く当接部36、36は両面材21、22の内面に当接すると共に、フランジ21Aとフランジ22Aは挟持部34、34の付勢力で挟持され、当接した状態を保持される。これにより、外箱3の側面材21と背面材22は接合される。また、背面材22の上辺に対応する保持部材31の両端と左右辺に対応する保持部材31、31の上端とは相互に接続され、各空気通路32は相互に連通される。尚、底面材23も同様の方法若しくは接着部材或いはネジなどにより側面材21と背面材22に接合し、外箱3を完成する。
【0036】
このように完成した外箱3内に間隔を存して内箱4を組み込む。この場合、背面材22の左右辺に対応する保持部材31の拡開部33は、図7及び図9の如く内箱4の後部両側に当接する。このように保持部材31が内箱4に当接することで、両箱3、4間の間隔子を役割を果たすようになり、内箱4の位置決めと保持が可能となる。また、背面材22の左右辺に対応する保持部材31、31の下端には空気抜き管38が接続され、底面材23から機械室12の天井部に引き出される。この空気抜き管38、38は保持部材31の空気通路32に連通する。尚、39、39は側面材21の左右の後面(上下方向の略中央部)に穿設された硬質ポリウレタン原液の注入孔である。
【0037】
その後、外箱3の前面開口上縁に上レール部材24を、左右縁に左右縦部材26、26を、下縁に下レール部材27を、機械室12の左右に台脚アングル28、28を、機械室12の前部に門型アングル29をそれぞれ取り付け、図6の如く開口面を下にして図示しない治具内に装填する。その状態で、注入孔39、39から硬質ポリウレタン原液を両箱3、4間の空間に注入する(注入孔39、39は注入後に封止される)。
【0038】
注入された原液は一旦その直下(外箱3と内箱4との開口側の接合部)に落ちて発泡反応によりそこから徐々に立ち上がっていく。そして、外箱3、内箱4間の左右後部(図6では上部)まで立ち上がったところで内箱4に当接する保持部材31、31に堰き止められ、以後は外箱3と内箱4間の上部及び下部(図6では奥方向と手前方向)に分かれて流れながら膨張していく。そして、最終的に外箱3と内箱4の背面間に上下から侵入して充満し、固化して断熱材6となる。即ち、外箱3と内箱4の背面間が最終発泡箇所となる。
【0039】
係る断熱材6の発泡充填過程で、外箱3と内箱4間の空気は膨張する原液の進行方向に押し出されていく。この空気は、図8に矢印で示す如く保持部材31の連通孔37から空気通路32内に流入し、やがて空気抜き管38、38から外部(機械室12天井部側)に排出されることになる。これにより、格別な空気抜き孔を背面に形成する必要がなくなる。
【0040】
また、上述の如く保持部材31はウレタン原液の流れを規制し、最終発泡箇所を空気抜き間38、38付近に導く。これにより、均一な断熱材6の充填を促進し、所謂シュリンク(巣)の発生を防止できる。尚、このとき、保持部材31内の空気通路32にも最終的に断熱材6は侵入して固化するので、保持部材31部分における外箱3及び内箱4間の断熱性能も支障が無くなる。また、このとき、最終段階では断熱材6は空気抜き管38、38から少許漏れることも考えられるが、この空気抜き管38、38は機械室12の天井部に位置しているので、外観上の問題は生じない。
【0041】
更に、ウレタン原液の膨張による生じる圧力は、保持部材31の挟持部34、34をフランジ21A、22Aに押し付け、当接部36、36を各面材21、22の内面に押し付ける方向に作用するので、断熱材6の発泡充填中、保持部材31による各面材21、22の保持力は一層増すかたちとなり、脱落も生じない。また、各面材21、22に密着することにもなるので、フランジ21A、22A間からの原液の漏洩も生じなくなる。
【0042】
尚、上記実施例では保持部材31を内箱4に当接させたが、それに限らず、請求項5及び請求項8以外の本発明では図11の如く内箱4に当接させない場合にも有効である。但し、その場合には上記内箱4の位置決めやウレタン原液の規制の効果は生じなくなる。また、実施例では保持部材31内に空気通路32を構成したが、請求項1及び請求項6の発明では図12の如く拡開部33を大きくせずに内部に空気通路32を構成しないものでも有効である。但し、同様にこの場合には空気抜きの効果は無くなる。
【0043】
次に、図13及び図14は本発明の他の実施例(請求項3に対応)を示している。この場合の保持部材31の構造は図7、図9、図10或いは図11のように内部に空気通路32を有したものであるが、連通孔37は形成しない(従って、前述の断熱材6の発泡時の空気抜きはできなくなる)。そして、背面材22の左右辺に対応する保持部材31、31の下端を前述の如き空気抜き管38、38に連通させ、機械室12の天井部に開口させると共に、上端は断熱材6及び外箱3の天面を貫通して断熱箱体2の天面に開放させる。また、背面材22の上辺に対応する保持部材31の空気通路32は左右辺に対応する保持部材31の空気通路32に連通させる。
【0044】
ここで、機械室12内には図13の如く凝縮器用送風機16により前方から外気が導入され、矢印の如く循環されて再び前方に排出される。図中41は仕切板であり、機械室12内を左前部の低圧室42(凝縮器用送風機16の吸込側)と左後部から右側に渡る高圧室43(凝縮器用送風機16の吐出側)とに仕切っている。そして、空気抜き管38、38は高圧室43内に位置している。
【0045】
係る構成で、機械室12内の圧縮機13や凝縮器14は空冷されるが、保持部材31を図14の構成とすることにより、機械室12内天井部にある排気(暖気)を、空気抜き管38、38から保持部材31の空気通路32内に導入し、図14中矢印の如く上昇させて低温ショーケース1の上方に排出することができるようになる。これにより、機械室12内の冷却(空冷)が促進され、温度上昇を防止し、圧縮機13を含む冷却装置の能力改善が図れるようになる。
【0046】
また、図15及び図16は本発明の更に他の実施例(請求項4に対応)を示している。この場合の保持部材31の構造も図7、図9、図10或いは図11のように内部に空気通路32を有したものであるが、連通孔37は形成しない(従って、前述の断熱材6の発泡時の空気抜きはできなくなる)。そして、この場合は、背面材22の左右辺に対応する保持部材31、31の下端を前述の如き空気抜き管38、38に連通させ、機械室12の天井部に開口させる。一方、上端は背面材22の上辺に対応する保持部材31の空気通路32に連通させる。
【0047】
そして、この場合は機械室12内は仕切板41によって左右に仕切られ、向かって左側が凝縮器用送風機16の吸込側となる低圧室42に、右側が吐出側となる高圧室43となる。そして、この機械室12内の凝縮器用送風機16の吸込側となる低圧室42に向かって左側の空気抜き管38を配置し、吐出側の高圧室43に右側の空気抜き管38を配置する。係る構成とすることで、高圧室43側の機械室12内天井部にある排気(暖気)は、向かって右側の空気抜き管38から保持部材31の空気通路32内に入り、図16中矢印の如く各保持部材31・・内の空気通路32を循環して向かって左側の空気抜き管38から機械室12内の低圧室42側に流出するようになる。
【0048】
このように保持部材31の空気通路32内を循環することで、暖気の熱はフランジ21A、22Aから外箱3に伝わり、放散されるようになるので、これによっても、機械室12内の冷却(空冷)が促進され、温度上昇を防止し、圧縮機13を含む冷却装置の能力改善が図れるようになる。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述した如く請求項1及び請求項5の発明によれば、外箱を構成する各面材を保持部材にて接合し、その状態で外箱と内箱間に断熱材を発泡充填して断熱箱体を構成することができるようになる。これにより、外箱の各面材をネジ止めする場合の如き狭い空間での組立作業性の悪化や打痕・傷付きの発生も解消することが可能となる。また、各面材を保持部材にて挟持するので、当接した各フランジ間からの断熱材の漏洩も防止若しくは抑制できるようになり、外観不良の発生やシール材の貼付作業も解消できるようになる。
【0050】
更に、外箱の各面材を接合するための加工はフランジの折曲加工のみで済むので、ロール成形が不要となり、NC加工が利用できるようになるので、生産性や生産コストの改善も図れるようになるものである。
【0051】
特に、保持部材内に、外箱と内箱間の空間と外箱外とを連通する空気通路が構成されているので、保持部材内の空気通路を利用して、断熱材の発泡充填時の空気抜きを行うことができるようになる。これにより、従来の如く外箱の背面などに多数の空気抜き孔を穿設する必要が無くなり、シールや隠蔽のための作業も不要となる。また、保持部材内には比較的長い空気通路が構成されることになるので、断熱材が侵入しても外箱外に漏出するまでに固化するようになる。これにより、断熱材の漏洩も抑制できるようになるものである。
【0052】
請求項2の発明によれば、外箱を構成する各面材を保持部材にて接合し、その状態で外箱と内箱間に断熱材を発泡充填して断熱箱体を構成することができるようになる。これにより、外箱の各面材をネジ止めする場合の如き狭い空間での組立作業性の悪化や打痕・傷付きの発生も解消することが可能となる。また、各面材を保持部材にて挟持するので、当接した各フランジ間からの断熱材の漏洩も防止若しくは抑制できるようになり、外観不良の発生やシール材の貼付作業も解消できるようになる。
【0053】
更に、外箱の各面材を接合するための加工はフランジの折曲加工のみで済むので、ロール成形が不要となり、NC加工が利用できるようになるので、生産性や生産コストの改善も図れるようになるものである。
【0054】
特に、保持部材は、一部に構成される機械室と当該機械室以外の外箱外とに連通した空気通路を内部に備えるので、機械室内で生じる廃熱を、保持部材内の空気通路を介して外部に排出することができるようになり、機械室内に設置される機器の性能改善を図ることが可能となるものである。
【0055】
請求項3の発明によれば、外箱を構成する各面材を保持部材にて接合し、その状態で外箱と内箱間に断熱材を発泡充填して断熱箱体を構成することができるようになる。これにより、外箱の各面材をネジ止めする場合の如き狭い空間での組立作業性の悪化や打痕・傷付きの発生も解消することが可能となる。また、各面材を保持部材にて挟持するので、当接した各フランジ間からの断熱材の漏洩も防止若しくは抑制できるようになり、外観不良の発生やシール材の貼付作業も解消できるようになる。
【0056】
更に、外箱の各面材を接合するための加工はフランジの折曲加工のみで済むので、ロール成形が不要となり、NC加工が利用できるようになるので、生産性や生産コストの改善も図れるようになるものである。
【0057】
特に、保持部材は、一部に構成される機械室内の空気を循環させる空気通路を内部に備えるので、機械室内で生じる廃熱を循環させながら外箱に伝熱させ、機械室内の冷却を行うことができるようになり、同様に機械室内に設置される機器の性能改善を図ることが可能となるものである。
【0058】
請求項4及び請求項6の発明によれば、上記各発明に加えて保持部材が内箱に当接するので、保持部材により内箱の位置決めと保持が可能となり、組立作業性が一層改善されるようになる。特に、断熱材の発泡充填時には保持部材により、両箱間の断熱材原液の流れを規制することができるようになるので、最終発泡箇所を空気抜き箇所に導くことで、均一な断熱材の充填を促進することも可能となる。また、保持部材内の空気通路を空気抜きに使用する場合には、保持部材内にも断熱材が侵入するので、断熱性能も問題無くなるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した実施例としての低温ショーケースの斜視図である。
【図2】 図1の低温ショーケースの正面図である。
【図3】 図1の低温ショーケースの縦断側面図である。
【図4】 図1の低温ショーケースの外箱と内箱の分解斜視図である。
【図5】 図1の低温ショーケースを構成する本発明の断熱箱体の開口を上として寝かせた状態の斜視図である。
【図6】 図1の低温ショーケースを構成する本発明の断熱箱体の開口を下として寝かせた状態の斜視図である。
【図7】 本発明の断熱箱体の後隅部の拡大平断面図である。
【図8】 本発明の断熱箱体の背面図である。
【図9】 図8のA−A線断面図である。
【図10】 図8のB−B線断面図である。
【図11】 本発明の他の実施例の断熱箱体の後隅部の拡大平断面図である。
【図12】 本発明のもう一つの他の実施例の断熱箱体の後隅部の拡大平断面図である。
【図13】 本発明の更に他の実施例の断熱箱体を適用した低温ショーケースの機械室部分の平断面図である。
【図14】 図13の場合の断熱箱体の背面図である。
【図15】 本発明の更にもう一つの他の実施例の断熱箱体を適用した低温ショーケースの機械室部分の平断面図である。
【図16】 図15の場合の断熱箱体の背面図である。
【図17】 従来の低温ショーケースの平断面図である。
【図18】 図17の従来の低温ショーケースの断熱箱体の後隅部の拡大平断面図である。
【図19】 もう一つの従来の断熱箱体の後隅部の拡大平断面図である。
【符号の説明】
1 低温ショーケース
2 断熱箱体
3 外箱
4 内箱
6 断熱材
12 機械室
21 側面材
21A フランジ
22 背面材
22A フランジ
31 保持部材
32 空気通路
33 拡開部
34 挟持部
36 当接部
37 連通孔
38 空気抜き管

Claims (6)

  1. 複数の面材から成る外箱内に内箱を組み込み、両箱間に断熱材を発泡充填して成る断熱箱体において、
    前記外箱を構成する各面材の縁部を前記内箱側に折曲して形成されたフランジと、
    隣接する前記各面材のフランジを相互に当接させた状態で、当該当接した両フランジを挟持して保持する保持部材とを備え、該保持部材は、前記外箱と内箱間の空間と前記外箱外とに連通した空気通路を内部に備えることを特徴とする断熱箱体。
  2. 複数の面材から成る外箱内に内箱を組み込み、両箱間に断熱材を発泡充填して成る断熱箱体において、
    前記外箱を構成する各面材の縁部を前記内箱側に折曲して形成されたフランジと、
    隣接する前記各面材のフランジを相互に当接させた状態で、当該当接した両フランジを挟持して保持する保持部材とを備え、該保持部材は、一部に構成される機械室と当該機械室以外の前記外箱外とに連通した空気通路を内部に備えることを特徴とする断熱箱体。
  3. 複数の面材から成る外箱内に内箱を組み込み、両箱間に断熱材を発泡充填して成る断熱箱体において、
    前記外箱を構成する各面材の縁部を前記内箱側に折曲して形成されたフランジと、
    隣接する前記各面材のフランジを相互に当接させた状態で、当該当接した両フランジを挟持して保持する保持部材とを備え、該保持部材は、一部に構成される機械室内の空気を循環させる空気通路を内部に備えることを特徴とする断熱箱体。
  4. 前記保持部材は、前記内箱に当接することを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3の断熱箱体。
  5. 複数の面材から成る外箱内に内箱を組み込み、両箱間に断熱材を発泡充填して成る断熱箱体において、
    前記外箱を構成する各面材の縁部を前記内箱側に折曲することによりフランジを形成し、隣接する前記各面材のフランジを相互に当接させた状態で、保持部材により両フランジを挟持し、その状態で、前記外箱と内箱間に前記断熱材を発泡充填すると共に、前記保持部材内には空気通路を構成し、当該空気通路を、前記外箱と内箱間の空間と前記外箱外とに連通させることを特徴とする断熱箱体の製造方法。
  6. 前記保持部材を、前記内箱に当接させることを特徴とする請求項5の断熱箱体の製造方法。
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