JP3969528B2 - 排ガス投入型吸収冷温水機 - Google Patents

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    • Y02B30/62Absorption based systems

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸収冷温水機に係り、特にガスタービン、排ガス等の外部からの高温排ガスを吸収冷温水機の熱源として有効利用し、熱源が不足するときには燃料で熱源をバックアップできるようにすると共に、コンパクト化ができる排ガス投入型吸収冷温水機に関する。
【0002】
【従来の技術】
高温排ガスを排ガス高温再生器に投入し、負荷が大きく熱源不足の場合には、高温再生器で燃料を焚いて、溶液を加熱濃縮する方法が特開昭58−49869号公報で提案されてきた。
これに対して、本発明者らは、先に、高温排ガスを熱源とし、冷温水を出力する冷温水機に、垂直伝熱管群を用いた排ガス高温再生器を採用することで、コンパクトで、溶液保有量が少なく起動特性のよい排ガス駆動吸収冷温水機とすることができることを提案している。しかし、この排ガス駆動吸収冷温水機に、追い焚き用の高温再生器を追加した冷温水機では、排ガス高温再生器の保有液量と高温再生器の溶液保有量との違いが大きすぎ、排ガス投入だけで起動すると、排ガス高温再生器の溶液が過熱濃縮され、発生した蒸気が高温再生器の溶液に吸収され、高温再生器の蒸気圧がなかなか上昇せず、高温再生器からの溶液流出が少なく、溶液循環が確保できない。この状態が続くと、排ガス高温再生器内で過濃縮が起き、伝熱管内の溶液不足で伝熱が悪くなり、ますますこの状態が継続し、起動できなくなるような問題が生じている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事実に鑑み、垂直伝熱管群を用いた排ガス高温再生器と、追焚き用高温再生器を用いて、コンパクトで良好な起動ができる排ガス投入型吸収冷温水機を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、排ガス高温再生器、低温再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器、高ポテンシャルエネルギを熱源とする高温再生器及びこれらの機器を接続する溶液流路と冷媒流路とを備えた排ガス投入型吸収冷温水機において、前記排ガス高温再生器が、矩形断面の排ガス通路中に、垂直伝熱管群を持ち、該垂直伝熱管群の上部に、垂直伝熱管群の開口部を覆うように気液室を、また、垂直伝熱管群の下部に、垂直伝熱管群の開口部を覆うように溶液供給室を設けた構造であり、前記高温再生器は、該再生器缶胴内に溶液を保有し、内部に配備した伝熱管が該溶液に浸る構造であり、前記排ガス高温再生器は、該再生器内で加熱濃縮された溶液が、前記気液室からオーバーフローして、前記高温再生器に流入する位置関係にすると共に、前記排ガス高温再生器の下部の溶液供給室に一端の接続口を有し、前記高温再生器の溶液部に、他端の接続口を有する配管を設けたことを特徴とする排ガス投入型吸収冷温水機としたものである。
【0005】
前記吸収冷温水機において、排ガス高温再生器の下部の溶液供給室と高温再生器溶液部とに接続口を有する配管は、該高温再生器側の接続口が、前記ガス高温再生器の下部の溶液供給室の接続口よりも下部にあり、また、該配管中には、前記高温再生器から排ガス高温再生器への一方の流れを許す逆止弁を設けることができ、前記排ガス高温再生器は、垂直伝熱管群の垂直伝熱管内に吸収溶液が通り、垂直伝熱管外に熱源となる排ガスが通り、前記垂直伝熱管群を上部管板と下部管板との間に取付け、前記上部管板を一構成部品として、上部管板を上から覆うように構成した上部室を設け、前記下部管板を一構成部品として、下部管板を下から覆うように構成した下部室を設けると共に、排ガスの流れ方向に対して垂直伝熱管群の両側を、上部室と下部室とを平板でつなぐように閉止して、ガス流路を形成レている構造とすることができ、また、前記吸収冷温水機には、排ガス低温再生器を増設し、熱源である高温排ガスを、排ガス高温再生器、排ガス低温再生器の順に投入することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を、図面を用いて詳細に説明する。
図1〜図4は、本発明に用いる吸収冷温水機のフロー構成図である。
図において、Aは吸収器、Gは低温再生器、GHは高温再生器、GHXは排ガス高温再生器、GLXは排ガス低温再生器、Cは凝縮器、Eは蒸発器、Xは低温熱交換器、XHは高温熱交換器、SPは溶液ポンプ、RPは冷媒ポンプ、YPは垂直伝熱管、YLは溶液供給室、YGは気液室、1は高温排ガス流路、2は燃料供給路、3、4は接続口、5は逆止弁、6は接続配管、7は上部管板、8は下部管板、9は平板、10は排ガス通路、11〜17は溶液流路、18〜22は冷媒流路である。
【0007】
このように、本発明では、吸収器A、蒸発器E、低温再生器G、凝縮器Cを一つの角型缶胴に収め、この缶胴とは別に、高温排ガスを熱源とする排ガス高温再生器GHX、排ガス低温再生器GLXと、燃料を熱源とする高温再生器GHと、溶液熱交換器XH、Xが配備されている。そして、この缶胴の吸収器A及び低温再生器Gと、排ガス高温再生器GHX、排ガス低温再生器GLX、高温再生器GHとは、溶液流路11〜17及び冷媒流路20〜22でそれぞれ接続されている。
排ガス高温再生器GHX、排ガス低温再生器GLXは、内部に高温排ガスが通る矩形断面の排ガス通路10を有し、該通路10に垂直伝熱管YP群が備えられ、該垂直伝熱管群の上部が気液室YG、下部が溶液供給室YLを構成している。本発明は、冷媒に水、吸収溶液に無機塩類水溶液を用いた吸収冷温水機を対象とする。
【0008】
次に、図1について説明する。
図1は、パラレルフローで高温排ガス再生器のみが設置された例であり、吸収器Aからの溶液の一部を流路11から分岐して流路15から低温再生器Gに送り、排ガス高温再生器GHX及び高温再生器GHからの流路21からの冷媒蒸気で加熱濃縮し、流路16から流路14を通り吸収器Aに戻す。吸収器Aからの溶液の残部は、流路11から排ガス高温再生器GHXを経由して流路12から高温再生器GHに送り、これらの機器で加熱濃縮し、流路13から流路14を通って吸収器Aに戻す。
吸収器Aから各機器への送り込みは、溶液ポンプSPで行っている。つまり、送り込み先の機器と、吸収器Aとの差圧、位置ヘッドの差等は、ポンプヘッドで賄っている。
【0009】
一方、各機器から吸収器Aへの戻りは、各機器と吸収器Aとの差圧及び位置ヘッドを駆動力として行っているが、各機器と吸収器Aとの差圧は、運転状態によって変化する。低温再生器Gの内圧変化は小さく、低温再生器Gの溶液は位置ヘッドで戻せるのが通常であり、運転状態の影響は殆ど受けない。しかし、高温再生器GHの内圧変化は大きく、高温再生器GHからの流出量(戻し量)は内圧によって大きく変化する。
高温再生器GHへの送り込み量は、高温再生器GHの液面などを検出し、溶液戻し能力に見合った量としている。例えば、高温再生器GHの出口液面が高くなれば、ポンプの回転数を低くし、ポンプヘッドを抑えて流入量を減らし、高温再生器の出口液面が低くなれば、ポンプの回転数を高くしてポンプヘッドを増し、流入量を増加させるなどの制御をしている。
【0010】
排ガス高温再生器GHXと高温再生器GHとは蒸気配管系で接続され、ほぼ均圧になっており、排ガス高温再生器GHXをオーバーフローした溶液が高温再生器GHへ流れ込む。排ガス高温再生器GHXに熱源となる高温排ガスが流れ、一方、高温再生器GHでは加熱が行われない状態で、しかも高温再生器GHの溶液が低温である場合、排ガス高温再生器GHXで発生した冷媒蒸気は、高温再生器GHで吸収され、内圧がなかなか上昇しない。従って、高温再生器GHからの溶液流出量は少なく、排ガス高温再生器GHXへ流入する溶液も少ない。
このような状態で、排ガス高温再生器GHXが加熱されていると、溶液は過濃縮となり、結晶の危険がでてくる。また垂直伝熱管YP内では蒸気の割合も増え、高温となって腐食の問題が発生する。
【0011】
本発明では、排ガス高温再生器GHX底部と高温再生器GHの溶液部とを配管6で連絡し、垂直伝熱管YPが気泡ポンプの役目をして、高温再生器GHの溶液を排ガス高温再生器GHXに戻せるようにしている。垂直伝熱管部に溶液が入り、局部加熱が避けられると共に、排ガス高温再生器GHXと高温再生器GHとの間で溶液の循環ができ、高温再生器GHの溶液も、間接的に高温排ガスで加熱することができるようになる。
排ガス高温再生器GHXと高温再生器GHの位置関係によっては、両高温再生器の運転中に、排ガス高温再生器GHX底部から、直接高温再生器GH流出することもあるので、この接続配管6中に逆止弁5を入れ、排ガス高温再生器GHX底部から高温再生器GHへ溶液が流出するのを防ぐこともできる。
【0012】
図2は、パラレルフローをベースにして、排ガス高温再生器GHXに排ガス低温再生器GLXを付加した例であり、排ガス高温再生器GHXで熱源として利用した排ガスを、排ガス低温再生器GLXに導いて熱源として利用し、低温再生器Gで加熱濃縮された溶液を排ガス低温再生器GLXに導き、さらに加熱濃縮している。
排ガス高温再生器GHX底部と高温再生器GHの溶液部とは配管6で連絡し、溶液が排ガス高温再生器GHXと高温再生器GHとの間で循環ができるようにして、局部加熱を防ぎ、また結晶、腐食の問題をも無くそうとしている。
図3は、図2に対し、排ガス低温再生器GLXに導く溶液を、低温再生器Gへの流路15から分岐した溶液としたものである。
【0013】
図4は、シリーズフローをベースにした排ガス高温再生器GHXと排ガス低温再生器GLHを併用し、吸収器Aからの溶液を排ガス高温再生器GHX、次いで高温再生器GHに送って、加熱濃縮し、この濃縮された溶液を低温再生器Gに送ると共に、両高温再生器で発生した冷媒蒸気で低温発生器内の溶液を加熱濃縮する。低温発生器Gの溶液は吸収器Aに戻す。
排ガス低温発生器GLXがある場合、吸収器Aからの溶液の一部をこの排ガス低温再生器GLXに送り、排ガス高温発生器GHXで熱源として利用された排ガスを排ガス低温再生器GLXに導き、再度熱源として利用する。排ガス低温再生器GLXで加熱濃縮された溶液は吸収器Aに戻している。
排ガス高温再生器GHXと高温再生器GHとは蒸気配管系で接続され、ほぼ均圧になっており、排ガス高温再生器GHXをオーバーフローした溶液が高温再生器GHへ流れ込む。高温再生器GHから低温発生器GLXへの流れは圧力差で生じるので、高温再生器GHの圧力が上昇しないときは溶液の循環が困難となる。
【0014】
排ガス高温再生器GHXに熱源となる高温排ガスが流れ、一方、高温再生器GHでは加熱が行われない状態で、しかも高温再生器GHの溶液が低温である場合、排ガス高温再生器GHXで発生した冷媒蒸気が、高温再生器GHで吸収されてしまい、内圧がなかなか上昇しない。このような状態では、高温再生器GHからの溶液流出量は少なく、排ガス高温再生器GHXへ流入する溶液も少なく、排ガスが高温の場合、溶液は過濃縮となり、結晶の危険がでてくる。また垂直伝熱管内では蒸気の割合も増え、高温となって腐食の問題が発生する。本発明では、排ガス高温再生器GHX底部と高温再生器GHの溶液部とを配管6で連絡し、垂直伝熱管YDが気泡ポンプの役目をして、高温再生器GHの溶液を排ガス高温再生器GHXに戻せるようにしている。垂直伝熱管GP部に溶液が入り、局部加熱が避けられると共に、排ガス高温再生器GHXと高温再生器GHとの間で溶液の循環ができ、高温再生器GHの溶液も、間接的に高温排ガスで加熱することができるようになる。
前記の図1及び図2の排ガス再生器では、排ガスと吸収溶液との流れを対向流で示し、また、図3及び図4では、平行流で示しているが、どちらの流れでもよい。但し、伝熱的には対向流が好ましく、冷温水の配管施行の関係で、平行流とすることもある。
なお、ガスエンジンのように、高温排ガスと共にエンジンジャケットからの温水も熱源として利用できる場合、図4の排ガス低温再生器GLXの代わりに、温水低温再生器としても差支えないし、また、温水低温再生器をさらに追加しても差支えない。
【0015】
図5は、排ガス高温再生器GHXの排ガス流れと直角方向の断面構成図である。
図5において、該再生器GHXは、垂直伝熱管YPを上部管板7と下部管板8との間に取付け、該垂直伝熱管YPの外が熱源となる排ガス通路10となり、該上部管板7を上から覆うように、気液室YGとなる上部室を設け、また、下部管板を下から覆うように溶液供給室YLとなる下部室を設けている。また、垂直伝熱管YP群の両側を、排ガスの流れ方向に平板9でつないで閉止し、排ガス流路10を形成してもよい。
図5(a)は、排ガス通路10の中に垂直伝熱管YPを設け、また両側に液冷壁を設けた例であり、図5(b)排ガス通路10の中に垂直伝熱管YPを設け、また両側は平板9で排ガス通路の壁を設けた例である。図5(b)の場合は、図5(a)よりも溶液保有量が少なく、排ガス高温再生器GHXと高温再生器GHとの間の再循環の配管がないと、垂直伝熱管YP内での局部加熱、結晶等の問題より受けやすくなる。逆に、本発明は図5(b)により効果を表すことになる。溶液のフローを、パラレルフロー、シリーズフローをベースにしたもので説明しているが、リバースフロー、あるいはこれらの混合したサイクルフロー等各種のものに適用できる。
冷凍機専用とすることも、また暖房の可能な冷温水機とすることもできる。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、上記のような構成としたことにより、運転初期で高温再生器の内圧が上昇しない場合でも、排ガス高温再生器の垂直伝熱管が気泡ポンプの役目をして排ガス高温再生器と高温再生器との間で溶液の循環ができ、排ガス高温再生器の溶液が過濃縮されることがないので、排ガス高温再生器をコンパクトにでき、高温排ガスを有効利用できる排ガス投入型冷温水機を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる吸収冷温水機の一例を示すフロー構成図。
【図2】本発明に用いる吸収冷温水機の他の例を示すフロー構成図。
【図3】本発明に用いる吸収冷温水機の他の例を示すフロー構成図。
【図4】本発明に用いる吸収冷温水機の他の例を示すフロー構成図。
【図5】(a)、(b)は排ガス高温再生器の2つの例を示す断面構成図。
【符号の説明】
A:吸収器、G:低温再生器、GH:高温再生器、GHX:排ガス高温再生器、GLX:排ガス低温再生器、C:凝縮器、E:蒸発器、X:低温熱交換器、XH:高温熱交換器、SP:溶液ポンプ、RP:冷媒ポンプ、YP:垂直伝熱管、YL:溶液供給室、YG:気液室、1:高温排ガス流路、2:燃料供給路、3、4:接続口、5:逆止弁、6:接続配管、7:上部管板、8:下部管板、9:平板、10:排ガス通路、11〜17:溶液流路、18〜22:冷媒流路

Claims (5)

  1. 排ガス高温再生器、低温再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器、高ポテンシャルエネルギを熱源とする高温再生器及びこれらの機器を接続する溶液流路と冷媒流路とを備えた排ガス投入型吸収冷温水機において、前記排ガス高温再生器が、矩形断面の排ガス通路中に、垂直伝熱管群を持ち、該垂直伝熱管群の上部に、垂直伝熱管群の開口部を覆うように気液室を、また、垂直伝熱管群の下部に、垂直伝熱管群の開口部を覆うように溶液供給室を設けた構造であり、前記高温再生器は、該再生器の缶胴内に溶液を保有し、内部に配備した伝熱管が該溶液に浸る構造であり、前記排ガス高温再生器は、該再生器内で加熱濃縮された溶液が、前記気液室からオーバーフローして、前記高温再生器に流入する位置関係にすると共に、前記排ガス高温再生器の下部の溶液供給室に一端の接続口を有し、前記高温再生器の溶液部に、他端の接続口を有する配管を設けたことを特徴とする排ガス投入型吸収冷温水機。
  2. 前記排ガス高温再生器の下部の溶液供給室と高温再生器溶液部とに接続口を有する配管は、該高温再生器側の接続口が、前記ガス高温再生器の下部の溶液供給室の接続口よりも下部にあることを特徴とする請求項1記載の排ガス投入型吸収冷温水機。
  3. 前記排ガス高温再生器の下部の溶液供給室と高温再生器溶液部とに接続口を有する配管中には、前記高温再生器から排ガス高温再生器への一方向の流れを許す逆止弁を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の排ガス投入型吸収冷温水機。
  4. 前記排ガス高温再生器が、垂直伝熱管群の垂直伝熱管内に吸収溶液が通り、前記垂直伝熱管群を上部管板と下部管板との間に取付け、上部管板を一構成部品として、上部管板を上から覆うように構成した上部室を設け、前記下部管板を一構成部品として、下部管板を下から覆うように構成した下部室を設けると共に、排ガスの流れ方向に対して垂直伝熱管群の両側を、上部室と下部室とを平板でつなぐように閉止して、ガス流路を形成している構造であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の排ガス投入型吸収冷温水機。
  5. 前記吸収冷温水機には、排ガス低温再生器を増設し、熱源である高温排ガスを排ガス高温再生器、排ガス低温再生器の順に投入することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の排ガス投入型吸収冷温水機。
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