JP3969346B2 - 水中油滴型の発酵乳製品様食品の製造法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、水中油滴型の発酵乳製品様食品の製造法に関し、さらに詳しくは乳蛋白の凝集及び澱粉を利用することによって得られる、フロマージュブランなどのフレッシュチーズ様のボディー性を有する擬性乳化安定な水中油滴型の発酵乳製品様食品の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フロマージュブランとは、フランスにおいて最もポピュラーなチーズの1種で、ヨーグルトのような爽やかな酸味とチーズの発酵風味、ソフトな蛋白凝集ボディーを有するものである。常法では、生乳あるいはクリームを乳酸菌発酵させた後、ホエーを除去することにより、カードが有する独特の乳蛋白凝集ボディーが発揮されるのであるが、この方法では、歩留まりが悪いだけでなく、廃ホエー処理の設備が必要となる。
このような状況下において、実質的にホエーを除去することなくクリームチーズ様の食品を製造する方法が特許文献1で提案されているが、これはスプレッド性を有するクリームチーズ様食品の製造法であり、蛋白質2〜15重量%、乳酸菌資化性糖類2〜15重量%、油脂10〜50重量%、水分30〜85重量%及び乳化剤を含むクリームミックスを乳酸発酵し、次いで加熱殺菌した後、実質的にホエーを除去することなく殺菌発酵液をそのまま均質化し、冷却することを特徴とする、クリームチーズ様食品の製造法であって、乳化剤を必須条件とするものである。また、さらに安定剤を添加する上記のクリームチーズ様食品は粘りのあるボディーを有しスプレッド性には優れるが、本発明の発酵乳製品様食品の求める口どけ感、食感とは異なったものである。昨今、乳化剤などの添加物は嫌われる傾向にあるため、乳化剤を含有しない、廃ホエーも出さない水中油滴型の発酵乳製品様食品が求められている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−009882号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、実質的にホエーを除去することなくフロマージュブラン等のソフトなフレッシュチーズの、ボディーを有しながら口に入れたときにくだけて溶けるような口どけのよい食感を有する擬性乳化安定な水中油滴型の発酵乳製品様食品を、乳化剤を出来る限り使用しないで提供することを目的とする。
【0005】
【課題が解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意検討を行った結果、特定組成のクリームミックスを乳酸発酵するか又は有機酸を添加してpHを調整した後、ホエーを除去することなく液に澱粉を添加し、加熱し冷却することにより目的とするボディーを有する発酵乳製品様食品を製造することが出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明の第1は、乳化剤を使用せずに、蛋白質、糖類、油脂及び水を含むクリームミックスを乳酸発酵するか又は有機酸を添加してpHを調整した後、ホエーを除去することなく液に澱粉を添加し、加熱し冷却することを特徴とする擬性乳化安定な水中油滴型の発酵乳製品様食品の製造法である。第2は、澱粉が澱粉原料がコーン、ワキシーコーン、小麦、タピオカ、馬鈴薯、サゴ、米由来の何れかであって、処理が架橋処理しアルファー化がエクストルーダー処理したアルファー化澱粉、馬鈴薯生澱粉、馬鈴薯架橋澱粉、サゴ生澱粉、サゴ架橋澱粉、タピオカ生澱粉及びタピオカ架橋澱粉から1種以上選択したものである、、第1記載の擬性乳化安定な水中油滴型の発酵乳製品様食品の製造法である。第3は、pHを調整する範囲が20℃でpH3.5〜6.0である、第1又は第2記載の擬性乳化安定な水中油滴型の発酵乳製品様食品の製造法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の擬性乳化安定な水中油滴型の発酵乳製品様食品の製造法としては、乳化剤を使用せずに、蛋白質、糖類、油脂及び水を含むクリームミックスを乳酸発酵するか又は有機酸を添加してpHを調整した後、ホエーを除去することなく液に澱粉を添加し、加熱し冷却する方法を採用することが出来る。
本発明でいう擬性乳化安定とは、油脂の分離、溶出がなく、水、乳しょうの分離が少ない乳化状態を言う。
本発明におけるクリームミックスは、当該クリームミックス中の蛋白質含量が2〜15重量%が好ましく、更に3〜10重量%、最も好ましくは3〜6重量%が好ましい。蛋白質が下限未満では程よいボディーが形成され難く、また風味的にも程よい乳風味や酸味が形成され難い。また上限を越えるとクリームミックスの粘度が高く調合が困難であるか、調合が出来製品が得られたとしてもボディーがボソボソした食感の悪いものになってしまう。蛋白質としては牛乳、加工乳、生クリーム、脱脂乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、ナチュラルチーズ、プロセスチーズなどの乳製品、または酸カゼイン、レンネットカゼインあるいはカゼインナトリウムなどのカゼイン類、あるいは乳清蛋白などの乳たんぱく質、その他、各種動植物性由来の蛋白質が例示できる。
【0007】
本発明においては、クリームミックス中の糖類は2〜15重量%が好ましく、更に3〜12重量%、最も好ましくは4〜10重量%が好ましい。下限未満では、発酵させる場合は資化性物質が不足するため発酵が進みにくくなってしまい、また、上限を越える場合は甘味が残り風味バランスが崩れ易くなる。有機酸でpHを調整する場合であっても、下限未満であっても上限を越える場合であっても風味のバランスが悪いので好ましくない。糖類の種類は、単糖類、オリゴ糖類、糖アルコール類等が例示できる。単糖類としては具体的には、グルコース、フルクトース、マンノース、キシロースを挙げることができる。またオリゴ糖類としては、通常2糖類から6糖類までのものが含まれるが、具体的にはショ糖、マルトース、乳糖、トレハロース、マルトトリオース等を挙げることができる。糖アルコール類としては具体的には、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、オリゴ糖アルコール等を挙げることができる。発酵によってpHを調整する場合は、菌種によって資化しにくい又は資化しない糖類もあるので、乳糖、グルコース、フラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、フラクトオリゴ糖類、パラチノース、マルトオリゴスクロース類、ガラクトシールラクトースが好ましく、更に乳製品由来の乳糖を使用すると資化しやすく、また自然な風味が得られる点で好ましい。
【0008】
本発明においては、クリームミックス中の油脂は2〜40重量%が好ましく、更に5〜35重量%、最も好ましくは10〜30重量%が好ましい。下限未満では、程よい乳化状態にないため、発酵あるいは酸による蛋白凝集後、殺菌時に蛋白の過変性が起こり、不快なざらつきが発生していまう。上限を越えた場合は逆に乳化を維持し得ず油っぽいものとなってしまい、また風味的にもソフトなフレッシュチーズとはかけ離れたものになってしまう。油脂原料としては例えばバター、生クリームなどに由来する乳脂、あるいは菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米ぬか油、コーン油、サフラワー油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油などの植物性油脂、あるいは牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物性油脂が例示でき、上記油脂類の単独又は混合油あるいはそれらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂等の如何なる食用油脂であってもよい。好ましくは、融点が15〜38℃、更に25〜37℃の油脂を使用するのが、充分なボディーを有しながら口に入れたときにくだけて溶けるような口どけのよい食感を与える点で好ましい。
【0009】
本発明においては、クリームミックス中の水分は30〜85重量%が好ましく、更に40〜80重量%、最も好ましくは50〜80重量%が好ましい。下限未満であると乳化が不安定となり、またソフトなフレッシュチーズのみずみずしさを表現するのが難しくなる。逆に上限を越えるとボディーを形成するのが難しくなる。
【0010】
本発明の擬性乳化安定な水中油滴型の発酵乳製品様食品は、蛋白質2〜15重量%、糖類2〜15重量%、油脂2〜40重量%、水分30〜85重量%を含むクリームミックスを乳酸発酵するか又は有機酸を添加してpHを調整した後、ホエーを除去することなく液に澱粉を添加し、加熱し冷却して得るのであるが、上記クリームミックスは、通常の方法により、均質化、殺菌及び冷却の工程を経て乳酸発酵に供されるか、又は有機酸によってpH調整される。乳酸菌発酵は乳酸菌スターターを用い、20℃でpH3.5〜5.8、好ましくは4.0〜5.0になるまで行うが、発酵後、有機酸やアルカリ塩を使用してpHを調整することも出来、さらにレンネットを併用してもよい。また、有機酸によるpH調整を行う場合は、乳酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、リンゴ酸などの有機酸が全般に使用できる。pHが上限を越えると風味的に酸味が不足し、下限未満では酸味が強すぎて好ましくない。
【0011】
このようにして得られた発酵液またはpH調整液より、実質的にホエーを分離することなく、澱粉を添加した後、澱粉を糊化、殺菌するために60℃〜95℃にて加熱を行う。澱粉の添加量は、発酵液またはpH調整液100部に対して、0.5〜5部、好ましくは1〜4部が好ましい。下限未満であるとボディーを形成し難くなり、逆に上限を超えると硬くしっかりしたボディーとなってしまい、目標とする口に入れたときにくだけて溶けるような口どけのよい食感が得難くなる。澱粉としては、特に限定されるものではなく、原料として、コーン、ワキシーコーン、小麦、タピオカ、馬鈴薯、サゴ、米などが例示でき、これらの原料由来の生澱粉、又はこれらの澱粉を加工処理(化学的処理と物理的処理がある)した澱粉、具体的には、架橋、エーテル化、酵素処理などの化学処理をした澱粉、あるいは湿熱処理、アルファー化(ドラム処理とエクストルーダー処理がある)、冷水膨潤化などの物理的処理をした澱粉が含まれる。さらに好ましくはこれらの澱粉の中でも、特定のアルファー化澱粉(澱粉原料がコーン、ワキシーコーン、小麦、タピオカ、馬鈴薯、サゴ、米由来の何れかであって、処理が架橋処理しアルファー化がエクストルーダー処理したアルファー化澱粉)、馬鈴薯生澱粉、馬鈴薯架橋澱粉、サゴ生澱粉、サゴ架橋澱粉、タピオカ生澱粉、タピオカ架橋澱粉である澱粉を澱粉全体の使用量に対して割合として20%〜100%、好ましくは30%〜50%となるように混合すると、より目的とする食感が得られ好ましい。このようにして、これら澱粉の有する保水力、乳化力が働き、擬性乳化安定な水中油滴型の発酵乳製品様食品を得ることが出来る。このようにして得られた発酵乳製品様食品は乳化剤を含まないか含んだとしても口どけ感を阻害しない程度の使用で、フロマージュブラン等のソフトなフレッシュチーズの、ボディーを有しながら口に入れたときにくだけて溶けるような口どけのよい食感を有する発酵乳製品様食品を得ることが出来る。
【0012】
上記澱粉を糊化、殺菌する加熱前の段階で、場合によっては増粘多糖類などの安定剤を添加してもよい。添加量としては、発酵液またはpH調整液100部に対して、0〜2部、好ましくは0〜0.5部程度使用するのがよい。上限を超えるとねたつきが生じ、凝集ボディーを有しながらも口どけのよいという、好ましい食感が損なわれてしまう。増粘多糖類の種類は特に限定するものではなく、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、グアガム、ジェランガム、アルギン酸ナトリウムなどが例示できる。
【0013】
上記のクリームミックスを調製するに際して、口どけを阻害しないレベルの量の乳化剤を使用してもよい。乳化剤としては特に限定されるものではなく、従来公知の乳化剤が使用でき、例えばレシチン、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、酢酸モノグリセリド、酒石酸モノグリセリド、酢酸酒石酸混合モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド等各種有機酸モノグリセリド、ポリオキシエチエンソルビタン脂肪酸エステルが例示できる。これらの一種又は二種以上の乳化剤を場合によってはクリームミックスに対し0〜1重量%、好ましくは0〜0.5重量%添加してもよい。
以上の乳化剤のほかに、公知の添加剤例えばカルシウム塩、リン酸塩等も添加することが出来る。
【0014】
上記工程の最終段階として発酵液またはpH調整液に対して澱粉を添加し、加熱し冷却を行うことが必要である。加熱工程の前後で均質化工程を採用することが出来る。前均質化でも、後均質化でも、両方の均質化でも何れの方法も採用することが出来る。均質化は品温40℃以上、好ましくは70〜90℃で行い、均質化圧力は0〜200kg/cm2が適している。
更に、風味付与の目的でミルクフレーバー、チーズフレーバーなどの香料、各種香辛料、フルーツピューレやジャム類、甘味付与する目的でショ糖、グルコースなどの単糖あるいはオリゴ糖類、ソルビトール、マルチトール等の糖アルコール類、アスパルテーム、ステビアなどの甘味料、また着色の意味でβカロチンやパプリカ色素、アナトー色素などの着色料を添加することが出来る。また、日持ち向上目的で、グリシン、酢酸ナトリウム、卵白リゾチームなどの日持ち向上剤を添加することも出来る。これらの物質の添加時期は限定されるものではなく、クリームミックス調製時から充填までの如何なる時期に添加してもよい。
【0015】
このようにして得られた発酵乳製品様食品は、糊感が少ない柔らかいペースト状であり、フロマージュブランにみられる、充分なボディーを有しながら口に入れたときにくだけて溶けるような口どけのよい食感を有している。また、乳化剤の使用が必須ではないにもかかわらず、擬性乳化安定な状態を保持したボディーを有する。これらの製品の硬さはレオメーター測定値で5〜100g、好ましくは10〜50g/7.065cm2(測定条件:品温5℃、直径3cmプランジャー使用、テーブルスピード5cm/分、不動工業(株)製)の範囲にあるのが最も食感良好で好ましい。
【0016】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は重量基準を意味する。
【0017】
実施例1
パーム油10部、脱脂粉乳10部、生クリーム10部、生乳15部及び水55部を70℃で30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いで100kg/cm2の圧力下で均質化処理を行い、20℃まで冷却後乳酸菌バルクスターター1部(ストレプトコッカス・クレモリス及びストレプトコッカス・ラクティスの混合菌)を添加し、20℃で15時間発酵を行い、pH4.7の発酵液(蛋白質4重量%、油脂分15重量%、全固形分26重量%)を得た。この発酵液100部に対し、コーンスターチ0.5部、架橋澱粉のα化澱粉0.5部及びミルクフレーバー0.05部を添加し、75℃で10分混練した後、更に100kg/cm2の圧力下に均質化後、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に冷却して発酵乳製品様食品(レオメーター測定値30g)を得た。
かくして得た発酵乳製品様食品は、程よい蛋白凝集ボディーを有しながら口に入れたときにくだけて溶けるような口どけのよい食感を有するものであった。また、別途得られた発酵乳製品様食品を冷蔵で1週間保存し、目視で観察したところ油脂の分離、溶出がなく、水、乳しょうの分離もない擬性乳化安定なものであった。
【0018】
実施例2
実施例1で得られた発酵液100部に対して、馬鈴薯澱粉1部及びミルクフレーバー0.05部、チーズフレーバー0.1部を添加し、75℃で10分混練した後、更に100kg/cm2の圧力下に均質化後、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に冷却して発酵乳製品様食品(レオメーター測定値15g)を得た。
かくして得た発酵乳製品様食品は、実施例1より若干口どけは劣るものの程よい蛋白凝集ボディーを有しながら口に入れたときにくだけて溶けるような口どけ感を有するものであった。また、別途得られた発酵乳製品様食品を冷蔵で1週間保存し、目視で観察したところ油脂の分離、溶出がなかったが、水、乳しょうの分離が若干認められるもののも擬性乳化安定なものであった。
【0019】
実施例3
実施例1のクリームミックスを、乳酸発酵させることなく乳酸添加によりpHを4.7まで調整し、その調整液100部に対し馬鈴薯澱粉1部及びミルクフレーバー0.05部、チーズフレーバー0.1部を添加し、80℃で10分混練した後、更に100kg/cm2の圧力下に均質化後、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に冷却して発酵乳製品様食品(レオメーター測定値15g)を得た。
かくして得た発酵乳製品様食品は、実施例1ほど奥行きのある良好な風味は有していないものの、程よい蛋白凝集ボディーを有しながら口に入れたときにくだけて溶けるような口どけのよい食感を有するものであった。また、別途得られた発酵乳製品様食品を冷蔵で1週間保存し、目視で観察したところ油脂の分離、溶出がなかったが、水、乳しょうの分離が若干認められるもののも擬性乳化安定なものであった。
【0020】
比較例1
実施例1と同様に調製した発酵液100部に対し、ミルクフレーバー0.05部を添加し、80℃で10分混練した後、更に100kg/cm2の圧力下に均質化後、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に冷却して発酵乳製品様食品(レオメーター測定値3g)を得た。このようにして得られたものは、液状でありボディー性に乏しいものであった。
【0021】
比較例2
実施例1と同様に調製した発酵液100部に対し、ローカストビーンガム0.5部及びミルクフレーバー0.05部を添加し、75℃で10分混練した後、更に100kg/cm2の圧力下に均質化後、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に冷却して発酵乳製品様食品(レオメーター測定値30g)を得た。このようにして得られたものは、ボディー性は有したものの、ねたつきのある均一なペースト状であり、口に入れたときにくだけて溶けるような口どけのよい食感を有するものではなかった。
【0022】
比較例3
本願発明の効果の程度を明確にするため特許文献1の実施例1を追試し評価を行った。
菜種硬化油(融点31℃)18部、レシチンとモノグリセリド各々0.05部、水57部、無塩バター15部及び脱脂粉乳10部を70℃で30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いで100kg/cm2の圧力下で均質化処理を行い、20℃まで冷却後乳酸菌バルクスターター1部(ストレプトコッカス・クレモリス及びストレプトコッカス・ラクティスの混合菌)を添加し、20℃で15時間発酵を行い、pH4.7の発酵液を得た。この発酵液100部に対し、コーンスターチ1部、食塩0.1部及びミルクフレーバー0.05部を添加し、80℃で10分混練した後、更に100kg/cm2の圧力下に均質化後、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に冷却して発酵乳製品様食品(レオメーター測定値1000g)を得た。
かくして得た発酵乳製品様食品は、乳化安定なボディーで展延性に優れてはいるものの、口どけの面では粘りが強く、口に入れたときにねたつきを感じるものであった。
【0023】
上記の実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較例3についての結果を纏めた。またこれら6つの試料についてパネラー10人に食感、風味の評価を以下の基準で評価してもらいその平均値を表1に纏めた。
評価基準
ナチュラルのフロマージュブランオンコチュール40%(フランスイズニー社製)をコントロール にして、
食感
5:口どけよくくだける食感がコントロールと同等
4:コントロールより劣るが口どけよくくだける食感は有する
3:コントロールとは似ている部分有するがくだける食感ではない
2:コントロールとは似ている部分少ない
1:コントロールと異なる食感
風味
5:コントロールと同等に良好
4:コントロールに似た風味を有するが若干劣る
3:コントロールに似た風味有するが大幅に劣る
2:コントロールに似ている部分少ない
1:コントロールに似た風味殆んどない
【表1】
【0024】
【発明の効果】
本発明により、実質的にホエーを除去することなくフロマージュブラン等のソフトなフレッシュチーズの、ボディーを有しながら口に入れたときにくだけて溶けるような口どけのよい食感を有する擬性乳化安定な水中油滴型の発酵乳製品様食品を、乳化剤を出来る限り使用しないで提供することが可能になった。
Claims (3)
- 乳化剤を使用せずに、蛋白質、糖類、油脂及び水を含むクリームミックスを乳酸発酵するか又は有機酸を添加してpHを調整した後、ホエーを除去することなく液に澱粉を添加し、加熱し冷却することを特徴とする擬性乳化安定な水中油滴型の発酵乳製品様食品の製造法。
- 澱粉が澱粉原料がコーン、ワキシーコーン、小麦、タピオカ、馬鈴薯、サゴ、米由来の何れかであって、処理が架橋処理しアルファー化がエクストルーダー処理したアルファー化澱粉、馬鈴薯生澱粉、馬鈴薯架橋澱粉、サゴ生澱粉、サゴ架橋澱粉、タピオカ生澱粉及びタピオカ架橋澱粉から1種以上選択したものである、請求項1記載の擬性乳化安定な水中油滴型の発酵乳製品様食品の製造法。
- pHを調整する範囲が20℃でpH3.5〜6.0である、請求項1又は請求項2記載の擬性乳化安定な水中油滴型の発酵乳製品様食品の製造法。
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