JP3969285B2 - 熱回収装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特別の空スペースがなくても設置可能であって、安定した熱回収を可能にした熱回収装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
廃棄される高分子化合物を乾留炉で熱分解処理し、生成された乾留ガスを下流側に設けた燃焼炉で燃焼させる各種の方法が知られている(特許文献1,2)。
【0003】
【特許文献1】
特公平5−46397号
【特許文献2】
特公平6−17738号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法は、専ら、乾留ガスの安定した生成や、煤煙などの公害発生の防止を意図したものであり、安定した熱回収を実現できるものではなかった。そもそも、製造工場などから定常的に発生する廃棄物については、単にそれを無公害化しつつ焼却処理するのではなく、更に一歩進めて、廃棄物から得られる乾留ガスを利用して安定的なエネルギー源を確保できれば好ましい。
【0005】
ここで、廃棄物を処理する過程で発生するダイオキシン類を抑制するには、燃焼温度が800℃以上で、かつ滞留時間2秒以上の条件を満たす必要があり、ダイオキシン類の発生の無い場合の燃焼炉に比較して、大きな容量の燃焼炉が必要となり、燃焼炉が大型化して設置スペースが大きくなるという問題がある。
【0006】
また、脱臭を目的とする燃焼炉においても、燃焼温度が800℃以上で、かつ滞留時間2秒以上の条件はほぼ同じであり、燃焼炉が大型化して設置スペースが大きくなるという問題がある。
【0007】
このような場合、廃棄物から発生した乾留ガスを燃焼させる燃焼炉と、その下流側の熱交換器とを一体化することが考えられるが、廃棄物からは腐食成分を含んだガスが発生することも多いため、熱交換器の部分で腐食成分が凝縮する結果、熱交換器の腐食による劣化は、燃焼炉の劣化より格段に早いことになり、要するに、燃焼炉と熱交換器とを一体構成としたのでは、全体としての耐久年数を長くとれないという問題がある。
【0008】
この発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、特別なスペースがなくても設置でき、さらに有害物質の排出を防ぐことができ、かつ耐久年数が劣ることもない熱回収装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る熱回収装置は、必要に応じて二次燃料を供給して、上流側で生成された一次燃料を燃焼させる燃焼炉と、前記燃焼炉の出力を受ける熱交換器とを備え、前記熱交換器は、前記燃焼炉から出力される燃焼排ガスを受けて蒸気を出力する排ガスボイラであって、その軸方向を垂直に立設して構成されており、前記燃焼炉に、前記排ガスボイラに向かう燃焼排ガス温度を検出する排ガス温度計測手段を備え、前記燃焼炉には、水平方向の一側に前記一次燃料の導入口を設ける一方、水平方向の他側上部に燃焼排ガスの導出口を設けており、前記排ガス温度計測手段による燃焼排ガス温度に基づき、前記二次燃料の供給が制御されることで、一次燃料は、前記燃焼炉の軸方向に流通する過程で完全に燃焼され、その燃焼排ガスを、前記燃焼炉の上部に配置された前記排ガスボイラに導入して排出するまでのガス流路を全体として略コ字状に形成され、燃焼排ガスの温度が800〜900℃程度になるように制御されると共に、前記燃焼炉とは別に前記熱交換器だけを取り替えることが可能に構成されている。本発明では、ガス流路を略コ字状に形成しているので、燃焼炉と熱交換器とを独立して交換可能に構成できることになる。したがって、仮に、腐食成分が凝縮して熱交換器を早く劣化させても、熱交換器だけを取り替えることが可能であり、容易かつ安価に耐久年数を延ばすことが可能となる。
【0010】
また、本発明は、前記燃焼炉の上部に前記熱交換器を配置することにより、前記一次燃料を燃焼させて燃焼排ガスを排出するまでのガス流路を略コ字状に形成しているので、燃焼炉を設置する床面積を確保するだけで、上流側で生成された一次燃料を燃焼させる燃焼処理と、その後の熱交換処理とを実現することができる。この場合、熱回収装置の上流側には、乾留炉が配置され、プラスチック材等が熱分解処理されているのが好適である。
【0011】
本発明に係る熱回収装置では、上述したように、前記燃焼炉には、水平方向の一側に前記一次燃料(好適には、プラスチック材等を熱分解して生成される乾留ガス)の導入口を設ける一方、水平方向の他側上部に燃焼排ガスの導出口を設けている。燃焼炉には、必要に応じて二次燃料を供給して一次燃料を完全燃焼させるが、燃焼炉の出口での温度が800〜900℃程度であって、燃焼ガスの燃焼炉での滞留時間が2秒以上になるよう運転するのが好適である。このような燃焼方法を採ることによって、ダイオキシン類の発生を防止できると共に、効果的な脱臭処理を実現できる。
【0012】
上述したように、本発明における熱交換器は、燃焼炉から出力される燃焼排ガスを受けて蒸気を出力する排ガスボイラであって、その軸方向を垂直に立設して構成されている。好ましくは、略円筒状に形成された丸型ボイラであって、その軸方向を垂直に立設して構成される。この丸型ボイラは、上部管寄せと下部管寄せとの間に、円環状に配置された多数の垂直水管を内外二重に配列するのが特に好適である。つまり、内側水管群と外側水管群を配列するのが好適であるが、この場合、燃焼排ガスは、内側水管群の水平方向一方側に形成されたガス入口から、内外の水管群の隙間を流通し、外側水管群の水平方向他方側に形成されたガス出口から導出される略オメガ(ω)状の流路とするのが好適である。
【0013】
燃焼炉の上部には更にエコノマイザが配置され、熱交換した後に燃焼排ガスが排出されるのが好適である。この構成の場合には、設置スペースを増加することなく、確実に熱回収効率を上げることができる。また、排気時のガス温度をより低下させることができる。
【0014】
また、本発明では、燃焼炉の上部には更に誘引ファンを配置するのが好ましく、誘引ファンに誘引されて燃焼排ガスが排出されるのが好適である。この構成の場合にも、設置スペースを増加することなく、燃焼排ガスの排気処理が可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に係る熱回収装置HRに基づいて説明する。図1は、熱回収装置HRのうち、上流側から供給される可燃ガスを燃焼させる燃焼炉2(2A〜2C)と、燃焼炉2から出力される燃焼排ガスを受けて蒸気を出力する排ガスボイラ3の設置状態を図示したものである。この実施例において、熱回収装置HRの上流側には、可燃ガスの供給源として、図2に示す乾留炉1が配置される。
【0016】
本実施例の場合、燃焼炉2は、排ガスボイラ3に安定した熱量を供給するため、必要に応じて他のガス燃料の供給を受けつつ燃焼動作を実行している。また、燃焼炉2の上部には、排ガスボイラ3への給水を予備加熱するエコノマイザ4と、熱交換を終えた燃焼排ガスを排出するための誘引ファン5と、煙突6を含むその他の付属装置とが固定的に載置されている。
【0017】
図1に示す通り、燃焼炉2は、略円筒形の本体部2Aと、軸方向2箇所で本体部2Aに固着される支持部2B,2Bと、本体部2Aの上部に固着された連結部2Cとで構成されている。支持部2B,2Bは、円弧状に形成された当接板30と、当接板30に連設される支持脚31と、支持脚31に連設される平板状の基板32とで一体的に構成され、燃焼炉2の本体部2Aだけでなく、排ガスボイラ3、エコノマイザ4、及び、その他の付属装置を支えている。
【0018】
連結部2Cは、排ガスボイラ3などが固定される平板状の載置台33と、載置台33を支える6本の連結脚34…と、各連結脚34…を燃焼炉2の本体部2Aに連結する当接部35…とで構成されている。なお、載置台33には、垂直方向の貫通口(図示省略)が設けられ、この貫通口には、燃焼炉2と排ガスボイラ3の間の連通管36A,36Bが挿通されている。
【0019】
燃焼炉2は、本体部2Aの軸方向一側に配置される拡散型ガスバーナ7と、軸方向他側に配置される点検口8及びセンサ取付口9と、軸方向他側の上部に開口される排ガス出口(図示省略)と、排ガス出口に連続する連通管36Bとを備えて構成されている。センサ取付口9には、排ガス出口に向かう燃焼排ガス温度を検出する温度センサ10を備えており、前記温度センサ10の信号が引出されて図2に示す制御部11に伝えられるようになっている。
【0020】
拡散型ガスバーナ7の構成は特に限定されないが、例えば、図3に示すように、一次燃料導入管12aに乾留ガスを導入する一方、二次燃料導入管12bに二次燃料たるガス燃料を導入している。導入された乾留ガスとガス燃料は、混合部13に向けて吐出され、混合部13の側面から導入される燃焼用空気と混合されて燃焼する。そして、混合部13の側面には、送風機(図示省略)によって燃焼用空気が供給されている。
【0021】
この実施例の場合、乾留炉1から出力される乾留ガスと、二次燃料導入管12bから供給されるガス燃料とが混合状態で燃焼されることになる。具体的には、温度センサ10及び制御部11によって制御弁14が制御されて、前記排ガス出口における燃焼排ガスの温度が800℃以上(典型的には800〜900℃程度)に管理されている。また、燃焼ガス(燃焼火炎及び燃焼完了ガス)の滞留時間が2秒以上となるように、本体部2Aの容積や燃焼用空気の供給量などが設定されている。
【0022】
排ガスボイラ3は、連通管36A,36Bを通して燃焼炉2の排ガス出口に連通している。この排ガスボイラ3の構成は特に限定されないが、この実施例では、図5に示すような貫流ボイラを使用している。この貫流ボイラは、上部管寄せ17Aと下部管寄せ17Bとの間に多数の垂直水管18・・・18を接続した構成であり、下部管寄せ17Bに給水を行い、垂直水管18を上昇する間に気水混合状態とし、これを上部管寄せ17Aから気水分離器(図示省略)に送り込み、分離して蒸気を得るものである。
【0023】
図5(b)に示す通り、垂直水管18は、円環状に配置された内側水管群18Aと外側水管群18Bの二重構造になっている。そして、燃焼炉2の排ガス出口から導入された燃焼排ガスは、内側水管群18Aの一方側に形成されたガス入口20から内外の水管群18A,18Bの隙間を流通し、外側水管群18Bの他方側に形成されたガス出口21から導出される。すなわち、この排ガスボイラ3は、略オメガ(ω)状のガス流路を形成している。なお、ガス出口21から導出された燃焼排ガスは、エコノマイザ4で更に熱交換した後、誘引ファン5によって煙突6に導出されて大気に放出される。
【0024】
以上説明したように、この実施例では、乾留炉1から導入された乾留ガスは、燃焼炉2の軸方向に流通する過程で完全に燃焼され、その燃焼排ガスは、燃焼炉2の上部に配置された排ガスボイラ3に導入されて略オメガ(ω)状に流通しつつ熱交換される。その後、燃焼排ガスは、燃焼炉2の上部に設けられたエコノマイザ4で更に熱交換した後、誘引ファン5によって大気に放出され、全体として略コ字状のガス流路を形成している。したがって、乾留炉1と熱回収装置HRの設置スペースだけで、乾留炉1に投入される廃棄物の熱分解処理と、燃焼炉2での乾留ガスの燃焼処理と、排ガスボイラ3での蒸気発生処理とが実現でき、限られたスペースにも配置可能となる。
【0025】
一方、乾留炉1ではプラスチック材等の廃棄物が熱分解され、水素やメタンなどの乾留ガスが生成される。乾留炉1で生成された乾留ガスは、燃焼炉2に導入されて、別に導入されるガス燃料と混合されて燃焼される。先に説明した通り、燃焼炉2に供給される二次燃料は、燃焼炉2の出口温度に基づいて制御されており、具体的には、燃焼炉2の出口温度が800℃以上に維持されている。
【0026】
なお、図4は、乾留炉1の運転開始からの乾留ガスの生成量の時間的推移を図示したものであり、運転開始直後は、乾留ガスの生成が少なく、その後、乾留ガスの生成量が増加し、ピーク値に達した後に減少する様子を図示している。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、特別なスペースがなくても設置できると共に、有害物質の排出を防ぐことができ、更に、耐久年数が劣ることもない熱回収装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る熱回収装置の設置状態を説明する図面である。
【図2】熱回収装置と乾留炉を組み合わせた実施例を図示したものである。
【図3】ガスバーナの構成を示す概略図である。
【図4】乾留炉から発生する乾留ガスの推移を図示したものである。
【図5】排ガスボイラの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
HR 熱回収装置
2 燃焼炉
3 熱交換器(排ガスボイラ)

Claims (4)

  1. 必要に応じて二次燃料を供給して、上流側で生成された一次燃料を燃焼させる燃焼炉と、前記燃焼炉の出力を受ける熱交換器とを備え、
    前記熱交換器は、前記燃焼炉から出力される燃焼排ガスを受けて蒸気を出力する排ガスボイラであって、その軸方向を垂直に立設して構成されており、
    前記燃焼炉に、前記排ガスボイラに向かう燃焼排ガス温度を検出する排ガス温度計測手段を備え、
    前記燃焼炉には、水平方向の一側に前記一次燃料の導入口を設ける一方、水平方向の他側上部に燃焼排ガスの導出口を設けており、
    前記排ガス温度計測手段による燃焼排ガス温度に基づき、前記二次燃料の供給が制御されることで、一次燃料は、前記燃焼炉の軸方向に流通する過程で完全に燃焼され、その燃焼排ガスを、前記燃焼炉の上部に配置された前記排ガスボイラに導入して排出するまでのガス流路を全体として略コ字状に形成され、
    燃焼排ガスの温度が800〜900℃程度になるように制御されると共に、前記燃焼炉とは別に前記熱交換器だけを取り替えることが可能に構成された
    ことを特徴とする熱回収装置。
  2. 前記ボイラは、上部管寄せと下部管寄せとの間に、円環状に配置された多数の垂直水管を内外二重に配列している請求項1に記載の熱回収装置。
  3. 前記燃焼炉の上部にはエコノマイザが配置され、前記エコノマイザで熱交換した後に燃焼排ガスが排出されるようになっている請求項1または請求項2に記載の熱回収装置。
  4. 前記燃焼炉の上部には誘引ファンが配置され、前記誘引ファンに誘引されて燃焼排ガスが排出されるようになっている請求項1〜3の何れかに記載の熱回収装置。
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