JP3969212B2 - 資金繰り管理装置およびプログラム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、資金繰り情報を記憶管理して資金繰り明細を出力する資金繰り管理装置およびプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、会社、商店等において、その経営対策としての資金繰り管理は、経営上発生する金銭の出入りを的確に掴んで資金調達等の善後策を講じる為の重要業務であり、資金繰り管理を行う情報処理装置においては、年月度毎の収入/支出の実績を記憶管理しておき、任意に指定された将来の年月度に対する資金繰り予測の算出が指示された場合に、指定された年月度に対する資金繰り予測金額を算出して案内表示する機能を有している。この場合、指定された将来の年月度に対する過去の同月における収入/支出の実績を読み出し、この収入/支出の実績に予測伸び率(例えば、10%)を乗じることによって、将来の年月度に対する資金繰り予測金額を算出して表示出力するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようにして求められた将来の年月度に対する収入/支出の資金繰り予測金額は、過去の収入/支出の実績(収入金額/支出金額)に予測伸び率(例えば、10%)を乗じただけの機械的な算出結果である為、例えば、営業努力によって一時的に過去の実績に比べて将来の売上予定が大きく伸びているような場合でも、このような営業努力に伴う売上予定を反映した値とはならず、将来における資金繰り状況を適切に把握することができないという問題が指摘されていた。
【0004】
そこで、現時点までに入力された収入/支出の実績情報と、現時点までに入力された掛取引による将来の収入/支出の予定情報とを資金繰り情報として記憶管理しておき、この予定情報と実績情報とを含む資金繰り明細を案内表示するようにすれば、過去の収入/支出の実績に将来の収入/支出の予定をも反映させた正確な資金繰り明細を出力することができるが、例えば、掛取引に対する回収方法や支払方法等が当初の予定とは異なる実績が発生した場合には、現金を回収/支払する時期の変動が発生する為に、この予定情報を手作業で修正したり、再入力する必要がある等の問題が残る。
【0005】
この発明の課題は、過去の収入/支出の実績に将来の収入/支出の予定をも反映させた正確な資金繰り明細を出力することができると共に、掛取引による将来の収入/支出の予定に対して異なった収入/支出の実績が発生した場合でも特別な操作を行うことなく、入力された実績金額に基づいて予定情報を自動修正できるようにようにすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、資金繰り情報を記憶管理して資金繰り明細を出力する資金繰り管理装置において、現時点までに入力された収入/支出の実績情報と、現時点までに入力された掛取引による将来の収入/支出の予定情報とを資金繰り情報として記憶管理する資金繰り情報記憶手段と、複数の取引先に対応する取引先レコードを記憶する取引先レコード記憶手段と、入力された掛取引に該当する取引先レコードを前記取引先レコード記憶手段から読み出す読出手段と、前記読出手段により読み出された取引先レコードから回収/支払区分を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された回収/支払区分を判別し、判別された回収/支払区分が現金であれば現金の予定レコードを作成し、判別された回収/支払区分が手形であれば手形の予定レコードを作成する作成手段と、前記作成手段により作成された予定レコードを前記資金繰り情報記憶手段に登録する予定レコード登録手段と、収入/支出の実績が入力された際に、入力された実績に対応する予定レコードを前記資金繰り情報記憶手段から読み出し、読み出された予定の回収/支払区分と、入力された実績の回収/支払区分とを比較し、前記掛取引による将来の収入/支出の予定に対して異なった収入/支出の実績が入力されたと判断された場合に、入力された実績情報を前記資金繰り情報記憶手段内に新規登録すると共に、当該予定情報に含まれている収入/支出の金額を入力された実績金額に基づいて修正する登録/修正手段と、前記資金繰り情報記憶手段に記憶された予定情報と実績情報とを含む資金繰り明細を出力する資金繰り明細出力手段と、を具備したことを特徴とする。
更に、コンピュータを、上述した請求項1記載の発明に示した手段として機能させるためのプログラムを提供する(請求項2記載の発明)。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図13を参照してこの発明の一実施形態を説明する。
図1は、この実施形態における資金繰り管理装置における入力処理の概要を示した処理ブロック図である。
この資金繰り管理装置は、会社、商店等において、その経営対策としての資金繰り管理を行うパーソナルコンピュータ、オフィスコンピュータ等の情報処理装置であり、資金繰り情報を記憶管理して資金繰り明細を表示出力するものである。この資金繰り管理装置は、資金繰り管理に関する入力処理として、図1に示す掛取引入力処理1、手形受取/振出入力処理2、収入/支出の取引実績入力処理3を実行する。
【0013】
掛取引入力処理1は、掛取引による将来の収入/支出の予定情報を入力する為の入力処理であり、予めこの取引先に対して決められている「回収/支払サイト」にしたがって決定された収入/支出の予定年月と、収入/支出の予定金額を含む予定情報は、資金繰り情報(DB)データベース4内に登録される。
手形受取/振出入力処理2は、手形での回収/支払を行う場合に、掛取引先の回収/支払サイトで定められている期間の経過後に、手形の受取/振出の実績情報およびその「手形サイト」によって決められている取立/決済の予定情報を入力する為の入力処理であり、入力された受取/振出の実績情報および取立/決済の予定情報は、資金繰り情報データベース4内に登録される。
収入/支出の取引実績入力処理3は、実際に入金/出金を行った収入/支出の実績情報(現金/振込分あるいは取立/決済分)を入力する為の入力処理であり、この取引実績入力処理1によって入力された収入/支出の実績情報は、資金繰り情報データベース4内に登録される。
【0014】
図2(A)は、回収/支払方法が「現金/振込」の場合における入力処理の実行順を示し、(B)は、回収/支払方法が「手形」の場合における入力処理の実行順を示した図である。
ここで、回収/支払方法が「現金/振込」の場合、掛取引先の回収/支払サイトで定められている期間の経過後において、その入金/出金(現金の増減)が発生する為に、「掛取引入力処理1」、「収入/支出の取引実績入力処理3」の順に入力処理を実行するようにしている。
【0015】
また、回収/支払方法が「手形」の場合には、掛取引先の回収/支払サイトで定められている期間の経過後に、先ず、手形の受取/振出が発生する。なお、この時点では手形の増減は発生するが、現金の未回収/未支払である為に、現金の増減は発生しない。そして、手形の受取/振出発生後において、その手形に記載されている手形サイトの期間が経過した場合には、現金の回収/支払(入金/出金)が発生し、現金が増減する。したがって、回収/支払方法が「手形」の場合には、「掛取引入力処理1」、「手形受取/振出入力処理2」、「収入/支出の取引実績入力処理3」の順に入力処理を実行するようにしている。
【0016】
図3は、取引先テーブル5の内容を示した図である。
この取引先テーブル5は、取引先別に、請求/支払い締日に関する情報および回収/支払方法等を含む取引先別レコードを記憶管理するもので、各取引先レコードは、「取引先コード」、「取引先名」、‥‥「回収/支払サイト」、‥‥、「回収/支払区分」、「手形サイト」の各項目を有している。ここで、「回収/支払区分」は、回収/支払方法が“現金/振込”であるか“手形”であるかを示すもので、「回収/支払区分」が“現金/振込”の場合において、「回収/支払サイト」は、掛取引が発生した時点から何ヶ月後に現金の収入/支出が発生するかの期間を示し、“手形”の場合には、掛取引が発生した時点から何ヶ月後に手形受取/振出が発生するかの期間を示す。
【0017】
図4は、資金繰り情報データベース4の内容を示した図である。
この資金繰り情報データベース4は、上述した掛取引入力処理1、手形受取/振出入力処理2、収入/支出の取引実績入力処理3によって入力作成された収入/支出の実績レコード、予定レコードを資金繰り情報として一元管理するもので、この実績レコードおよび予定レコードは、「区分」、「年月」、「回収/支払区分」、「手形年月」、「消込対象年月」、「消込対象回収/支払区分」、「消込対象手形年月」、「収入金額」、「収入実績金額」、「支出金額」、「支出実績金額」の各項目を有する構成となっている。
【0018】
ここで、「区分」は、そのレコードが予定か実績かを示すもので、「区分=“1”」は、収入/支出の実績レコード、「区分=“2”」は、収入/支出の予定レコードを示している。「年月」は、予定/実績の日付を示し、実績日付は、「回収/支払区分」が“現金/振込”の場合に、実績が発生した時の日付であるが、予定日付は、「回収/支払区分」が“手形”の場合に、取引先テーブル5を参照することによって算出された予定日付である。なお、「区分」、「年月」、「回収/支払区分」、「手形年月」、「消込対象年月」、「消込対象回収/支払区分」、「消込対象手形年月」は、そのレコードのキーフィールドとなっている。
【0019】
「回収/支払区分」は、取引先テーブル5から取得したもので、掛取引入力処理1の実行時に、「回収/支払区分」が“現金/振込”の場合には、1レコード分の予定レコードが作成されて資金繰り情報データベース4に登録されるが、「回収/支払区分」が“手形”の場合には、2レコード分の予定レコード、つまり、“手形受取/振出”の予定レコードおよび“手形取立/決済”の予定レコードが作成されて資金繰り情報データベース4に登録される。つまり、「回収/支払区分によって資金繰り情報データベース4に登録される予定レコード数は相違する。
【0020】
この場合、“手形受取/振出”の予定日付は、その取引先に対応する取引先テーブル5内の「回収/支払サイト」より求められた日付であり、また、“手形取立/決済”の予定日付は、その取引先に対応する取引先テーブル5内の「手形サイト」より求められた日付で、これらをキーとして、互いに自己の予定日付と取引相手先の予定日付として相互に索引可能となっている。
なお、図示の例は、“2002年04月”に掛取引が発生し、「回収/支払サイト」が“1ヶ月”、「手形サイト」が“2ヶ月”の場合を示している。
【0021】
その他、「消込対象年月」、「消込対象回収/支払区分」、「消込対象手形年月」は、予定レコードに対して実績が発生した場合に、その予定レコード内の「年月」、「回収/支払区分」、「手形年月」が新規レコード内の「消込対象年月」、「消込対象回収/支払区分」、「消込対象手形年月」にセットされたもので、「回収/支払区分」が“現金/振込”の場合には、「消込対象年月」、「消込対象回収/支払区分」がセットされ、「回収/支払区分」が“手形”の場合には、「消込対象年月」、「消込対象回収/支払区分」の他に、「消込対象手形年月」がセットされる。
【0022】
また、「収入金額」、「支出金額」は、予定/実績に関する収入/支出の金額であるが、「収入実績金額」、「支出実績金額」は、「区分=2」の予定レコードに対して収入/支出の実績が発生した場合における実績金額である。
なお、この実施形態においては、資金繰り情報表示処理の実行が指示されると、資金繰り情報データベース4の内容に基づいて予定レコードと実績レコードとを含む資金繰り明細を表示出力するようにしている。
【0023】
図5は、資金繰り管理装置の基本的構成要素を示したブロック図である。
CPU11は、記憶装置12内のオペレーティングシステムや各種アプリケーションソフトにしたがってこの資金繰り管理装置の全体動作を制御する中央演算処理装置である。記憶装置12は、プログラム記憶領域とデータ記憶領域とを有し、このプログラム記憶領域内には、オペレーティングシステムの他に、上述した掛取引入力処理1、手形受取/振出入力処理2、収入/支出の取引実績入力処理3等を実行する為の各種アプリケーションプログラム等が格納され、また、データ記憶領域には、上述した資金繰り情報データベース4、取引先テーブル5等が格納され、磁気的、光学的、半導体メモリ等やその駆動系によって構成されている。
【0024】
この記録装置12はハードディスク等の固定的なメモリの他、CD−ROM、DVD等の着脱自在な記憶媒体を装着可能な構成であってもよい。この記憶装置12内のプログラムやデータは、必要に応じてRAM(例えば、スタティックRAM)13にロードされたり、RAM13内のデータが記憶装置12にセーブされる。なお、RAM13内には、プログラム実行領域と作業領域とを有している。
更に、CPU11は通信装置14を介して他の電子機器側のプログラム/データを直接アクセスして使用したり、通信装置14を介してダウンロード受信することもできる。通信装置14は、例えば、通信モデムや赤外線モジュールあるいはアンテナ等を含む有線/無線の通信インターフェイスである。一方、CPU11にはその入出力周辺デバイスである入力装置15、表示装置16がバスラインを介して接続されており、入出力プログラムにしたがってCPU11はそれらの動作を制御する。
【0025】
次に、この実施形態における資金繰り管理装置の動作アルゴリズムを図6〜図8に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作を逐次実行する。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードにしたがった動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体の他、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0026】
以下、図6〜図8のフローチャートを図9〜図12に示す具体例にしたがって説明する。
図6は、掛取引入力処理1を示したフローチャート、図7は、収入/支出の取引実績入力処理3を示したフローチャート、図8は、手形受取/振出入力処理2を示したフローチャートである。
図9〜図12は、掛取引による将来の収入/支出の予定に対して異なった収入/支出の実績が発生した場合における資金繰り情報データベース4の内容を例示したもので、図示の例は、“2002年04月”に掛取引が発生し、「回収/支払サイト」が“1ヶ月”、「手形サイト」が“2ヶ月”の場合を示している。また、図9〜図12の▲1▼は、掛取引入力後における資金繰り情報データベース4の内容を例示し、図9〜図12の▲2▼は、予定に対して異なった収入/支出の実績が発生した場合における資金繰り情報データベース4の内容を例示している。
【0027】
先ず、掛取引入力処理1において、その処理の実行が指示された後に、掛取引の実績が入力されると(図6のステップA1)、取引先テーブル5をアクセスして該当する取引先レコードを読み出すと共に(ステップA2)、その中から「回収/支払区分」を取得する(ステップA3)。そして、この取引先の「回収/支払区分」が“現金/振込”であるか、“手形”であるかをチェックする(ステップA4)。ここで、“現金/振込”である場合には、入力された実績に基づいて1レコード分の“現金/振込”の予定レコードを作成する(ステップA5)。これによって、例えば、図10の▲1▼で示したように、「区分=2」、「年月=2002−05」、「回収/支払区分=現金/振込」、「収入金額=14320000」、「支出金額=10400000」の予定レコードが作成されて、資金繰り情報データベース4に新規登録される(ステップA6)。
【0028】
一方、取引先の「回収/支払区分」が“手形”である場合には(ステップA4)、“手形受取/振出”の予定レコードおよび“手形取立/決済”の予定レコードを作成する(ステップA7)。これによって例えば、図9の▲1▼、図11の▲1▼、図12の▲1▼で示したように、「区分=2」、「年月=2002−05」、「回収/支払区分=手形受取/振出」、「手形年月=2002−07」、「収入金額=11500000」、「支出金額=8560000」の予定レコードと、「区分=2」、「年月=2002−07」、「回収/支払区分=手形取立/決済」、「手形年月=2002−05」、「収入金額=11500000」、「支出金額=8560000」の予定レコードとが作成されて、資金繰り情報データベース4に新規登録される(ステップA8)。
【0029】
この状態において、収入/支出の取引実績入力処理3の実行が指示された後に収入/支出の取引の実績が入力されると(図7のステップB1)、資金繰り情報データベース4を検索し、入力された実績に対応する予定レコードを読み出す(ステップB2)。そして、この予定レコードから「回収/支払区分」を取得し、“現金/振込”であるか、“手形”であるかをチェックし(ステップB3)、“現金/振込”であれば、入力された現金の収入/支出金額を予定レコード内の「収入実績金額」/「支出実績金額」に加算集計して資金繰り情報データベース4に更新登録すると共に(ステップB4)、入力された実績に基づいて実績レコードを作成し(ステップB5)、この実績レコードを資金繰り情報データベース4に新規登録する(ステップB6)。
【0030】
ここで、図9の▲2▼は、掛取引による予定が手形での回収/支払であったが、その後、全額現金での収入/支出の実績が発生した場合、言換えれば、手形での回収/支払予定が実際には全額現金での回収/支払に変更された場合における資金繰り情報データベース4の内容を例示したものである。
いま、手形での掛取引入力後においては、図9の▲1▼に示すように“手形受取/振出”の予定レコードおよび“手形取立/決済”の予定レコードが資金繰り情報データベース4に登録されている。この状態において、回収/支払方法が “手形”から“現金”に変更された場合には、現金での収入/支出の取引実績入力処理3が実行開始される。
【0031】
この場合、図7のステップB3では、予定レコードの「回収/支払区分」が“手形”であることが検出される為に、次のステップB7に移り、入力された現金での収入/支出の金額を“手形受取/振出”の予定レコード内の「収入実績金額」/「支出実績金額」に加算集計して資金繰り情報データベース4に更新登録する。これによって、“手形受取/振出”の予定レコード内の「収入実績金額」は、「11500000」となり、「支出実績金額」は、「8560000」となる。
次に、入力された現金での収入/支出の金額を“手形取立/決済”の予定レコード内の「収入金額」/「支出金額」に減算集計して資金繰り情報データベース4に更新登録する(ステップB8)。この場合、現金での収入/支出は、全額分であるから、“手形取立/決済”の予定レコード内の「収入金額」/「支出金額」は、「0」となる。
【0032】
そして、今回の取引実績入力処理3によって入力された実績に基づいて現金での収入/支出の実績レコードを作成し(ステップB9)、資金繰り情報データベース4に新規登録する(ステップB10)。このように予定レコードに対して実績が発生した場合には、“手形受取/振出”の予定レコード内の「年月」、「回収/支払区分」、「手形年月」が実績レコード内の「消込対象年月」、「消込対象回収/支払区分」、「消込対象手形年月」としてセットされる。
この場合、現金での収入/支出の実績入力後において資金繰り情報データベース4の内容は、図9の▲2▼に示す状態となる。
【0033】
図10の▲2▼は、掛取引による予定が現金での回収/支払であったが、その後、全額分が手形での回収/支払に変更された場合における資金繰り情報データベース4の内容を例示したものである。
いま、現金での掛取引入力後においては、図10の▲1▼に示すように“現金/振込”の予定レコードが資金繰り情報データベース4に登録されている。この状態において、回収/支払方法が“現金”から“手形”に変更された場合には、手形受取/振出入力処理2が実行開始される。
【0034】
先ず、手形受取/振出入力処理2において、手形受取/振出取引の実績が入力されると(図8のステップC1)、資金繰り情報データベース4を検索し、入力された実績に対応する予定レコードを読み出す(ステップC2)。そして、この予定レコードから「回収/支払区分」を取得し、“現金/振込”であるか、“手形”であるかをチェックし(ステップC3)、“現金/振込”であれば、入力された手形の「収入金額」/「支出金額」を“現金/振込”の予定レコード内の「収入実績金額」、「支出実績金額」加算集計して資金繰り情報データベース4に更新登録する(ステップC4)。そして、今回の手形受取/振出入力処理2によって入力された手形金額、取立/決済の予定日付に基づいて “手形取立/決済”の予定レコードを作成し(ステップC5)、この予定レコードを資金繰り情報データベース4に新規登録する(ステップC6)。この場合、“現金/振込”の予定レコード内の「年月」、「回収/支払区分」が“手形取立/決済”の予定レコード内の「消込対象年月」、「消込対象回収/支払区分」としてセットされる。
【0035】
図11の▲2▼は、掛取引による予定が手形での回収/支払であるが、当初と異なる手形サイトが発生した場合、例えば、手形サイトが2ヶ月の予定であったが、3ヶ月に変更された場合における資金繰り情報データベース4の内容を例示したものである。
いま、手形での掛取引入力後においては、図11の▲1▼に示すように“手形受取/振出”の予定レコードおよび“手形取立/決済”の予定レコードが資金繰り情報データベース4に登録されている。この状態において、手形サイトが変更された場合には、手形受取/振出入力処理2が実行開始される。
【0036】
この場合、図8のステップC3では、予定レコードの「回収/支払区分」が“手形”であることが検出される為に、ステップC7に移り、入力された収入/支出の手形金額を“手形受取/振出”の予定レコード内の「収入実績金額」/「支出実績金額」に加算集計して資金繰り情報データベース4に更新登録する。
次に、入力された収入/支出の手形金額を“手形取立/決済”の予定レコード内の「収入金額」/「支出金額」に減算集計して資金繰り情報データベース4に更新登録する(ステップC8)。この場合、現金での収入/支出は、全額分であるから、“手形取立/決済”の予定レコード内の「収入金額」/「支出金額」は、「0」となる。
【0037】
そして、今回の手形受取/振出入力処理2によって入力された手形金額、取立/決済の予定日付に基づいて“手形取立/決済”の予定レコードを作成し(ステップC9)、この予定レコードを資金繰り情報データベース4に新規登録する(ステップC10)。この場合、“手形受取/振出”の予定レコード内の「年月」、「回収/支払区分」、「手形年月」が“手形取立/決済”の予定レコード内の「消込対象年月」、「消込対象回収/支払区分」、「消込対象手形年月」としてセットされる。
【0038】
図12の▲2▼は、掛取引による予定が手形での回収/支払であったが、その後、現金での収入/支出および手形での受取/振出の両方が発生し、かつ、金額が不足して全額分を回収/支払とならなかった場合における資金繰り情報データベース4の内容を例示したものである。
この場合、現金での収入/支出の取引実績入力処理3の開始されると、上述した図7のステップB7〜B10が実行される。すなわち、入力された現金での収入/支出の金額を“手形受取/振出”の予定レコード内の「収入実績金額」/「支出実績金額」に加算集計して資金繰り情報データベース4に更新登録した後、入力された現金での収入/支出の金額を“手形取立/決済”の予定レコード内の「収入金額」/「支出金額」に減算集計して資金繰り情報データベース4に更新登録する。そして、現金での収入/支出の実績レコードを作成し(ステップB9)、資金繰り情報データベース4に新規登録する。
【0039】
次に、手形受取/振出入力処理2が開始されると、上述した図8のステップC7〜C10が実行される。すなわち、入力された収入/支出の手形金額を“手形受取/振出”の予定レコード内の「収入実績金額」/「支出実績金額」に加算集計して資金繰り情報データベース4に更新登録した後、入力された収入/支出の手形金額を“手形取立/決済”の予定レコード内の「収入金額」/「支出金額」に減算集計して資金繰り情報データベース4に更新登録する。そして、“手形取立/決済”の予定レコードを作成し、資金繰り情報データベース4に新規登録する。
【0040】
この結果、図12の▲2▼に示すように、“手形受取/振出”の予定レコード内の「収入実績金額」は、現金での収入金額「4500000」に手形での収入金額「5320000」を加算した金額「9820000」となり、同様に、「支出実績金額」は、現金での収入金額に手形での収入金額を加算した金額「6100000」となる。
また、“手形取立/決済”の予定レコード内の「収入金額」は、当初の金額「11500000」から現金での収入金額に手形での収入金額を合わせた金額「9820000」を減算した金額「1680000」が未取立分となり、同様に、「支出金額」は、当初の金額「8560000」から現金での支出金額に手形での支出金額を合わせた金額「610000」を減算した金額「2460000」が未決済分となる。
【0041】
ここで、資金繰り情報表示処理の実行が指示されると、資金繰り情報データベース4の内容に基づいて予定レコードと実績レコードとを含む資金繰り明細を表示出力する。この資金繰り情報表示処理は、予定に対して実績が発生していない場合には、予定レコードを表示対象として選択し、予定に対して実績が発生し、かつ、収入/支出の予定金額と実績金額との間に差額が無ければ実績レコードを表示対象として選択し、予定金額と実績金額との間に差額が有れば、予定レコードおよび実績レコードを表示対象として選択するようにしている。
【0042】
この場合、予約レコードの表示/非表示は、次の条件にしたがって決定する。すなわち、予約レコード内の「収入金額」が“収入金額≦0”の場合あるいは“収入金額≦収入実績金額”の場合は、予約レコード内の「収入金額」を非表示とする。予約レコード内の「収入実績金額」が収入実績金額>0の場合には、“収入金額と収入実績金額との差額”を資金繰り収入情報として表示する。なお、支出に対しても同様に、予約レコード内の「支出金額」が“支出金額≦0”の場合あるいは“支出金額≦支出実績金額”の場合は、予約レコード内の「収入金額」を非表示とする。予約レコード内の「支出実績金額」が支出実績金額>0の場合には、“支出金額と支出実績金額との差額”を資金繰り支出情報として表示する。
【0043】
図13は、図9〜図12の▲1▼および▲2▼で示した資金繰り情報データベース4の状態と、資金繰り表示処理における表示内容(資金繰り明細として表示出力される表示対象の予定/実績金額)との対応を示した図である。
すなわち、上述した条件にしたがって表示対象を選択すると、図9〜図12の▲1▼および▲2▼で示した状態では、図13に示すような表示内容となり、掛取引入力時の予定に対して異なった実績が発生した場合でも資金繰りとして有効な情報のみを的確に表示することができるようになる。例えば、図9の▲1▼の場合には、予定に対する実績が発生していないので、“手形受取/振出”の予定レコードの収入/支出金額が受取手形額/支払手形額として表示されると共に、“手形取立/決済”の予定レコードの収入/支出金額が表示される。図9の▲2▼の場合、“手形受取/振出”の予定レコードおよび“手形取立/決済”の予定レコードは非表示となるが、“現金/振込”の実績レコードの収入/支出金額は表示対象となる。
【0044】
図10の▲1▼〜図12の▲1▼の場合にも、予定に対する実績が発生していないので、その予定レコードの収入/支出金額が表示される。図10の▲2▼の場合には、“現金/振込”の予定レコードは非表示となるが、“手形取立/決済”の予定レコードの収入/支出金額は表示対象となる。図11の▲2▼の場合には、1レコード目、2レコード目の“手形受取/振出”、“手形取立/決済”の予定レコードは非表示となるが、3レコード目の“手形取立/決済”の予定レコードは表示対象となる。図12の▲2▼の場合には全レコードが表示対象となる。
【0045】
以上のように、この実施形態においては、現時点までに入力作成された収入/支出の実績レコードと、現時点までに入力作成された掛取引による将来の収入/支出の予定レコードとが資金繰り情報データベース4内に記憶管理されている状態において、掛取引による将来の収入/支出の予定に対して異なった収入/支出の実績が発生した場合に、入力された実績レコードを新規登録すると共に、この予定レコード内に含まれている収入/支出の金額を入力された実績金額に基づいて修正するようにしたから、掛取引による将来の収入/支出の予定に対して異なった収入/支出の実績が発生した場合、例えば、手形での回収/支払予定が実際には現金での回収/支払となった場合、現金での回収/支払予定が実際には手形での回収/支払となった場合、手形サイトが当初、例えば、2ヶ月の予定であったが、3ヶ月に変更された場合でも、特別な操作を行う必要はなく、予定レコードを自動修正することができる。また、過去の収入/支出の実績に収入/支出の予定をも反映させた正確な資金繰り明細を表示出力することができ、営業努力によって過去の実績金額に比べて将来の予定金額が大きく伸びているような場合でも、将来の予定金額を含めた的確な資金調達が可能となる。
【0046】
資金繰り明細を表示出力する場合に、予定に対して実績が発生していない場合には、予定レコードを表示対象として選択し、予定に対して実績が発生し、かつ、収入/支出の予定金額と実績金額との間に差額が無ければ実績レコードを表示対象として選択し、予定金額と実績金額との間に差額が有れば、予定レコードおよび実績レコードを表示対象として選択するようにしたから、資金繰りとして有効な情報のみを的確に出力することができる。
【0047】
なお、上述した実施形態において資金繰り明細を表示出力する場合、任意に指定された予測表示月度の資金繰り明細を表示するようにしてもよい。また、その期間は下半期等のように任意であり、また、資金繰り明細として、その一覧を表示出力する他に、グラフ表示したり、印刷出力するようにしてもよい。この場合、資金繰り明細のフォームとして、収入一覧/支出一覧に区分して表示出力するようにしてもよい。
【0048】
また、上述した各実施形態における資金繰り管理装置は、スタンド・アローン・タイプに限らず、各構成要素が2以上の筐体に物理的に分離され、通信回線やケーブル等の有線伝送路あるいは電波、マイクロウエーブ、赤外線等の無線伝送路を介してデータを送受信する分散型のコンピュータシステムを構成するものであってもよい。
また、例えば、クライアント・サーバシステムにおいて、サーバ装置は、複数のクライアント端末からネットワークを介して送信されて来た収入/支出の実績情報と、掛取引による将来の収入/支出の予定情報とを収集して記憶管理し、各クライアント端末から収集した収入/支出の実績情報と、掛取引による将来の収入/支出の予定情報に基づいて資金繰り明細を表示出力するようにしてもよい。
【0049】
一方、コンピュータに対して、上述した各手段を実行させるためのプログラムコードをそれぞれ記録した記録媒体(例えば、CD−ROM、フロッピィデスク、RAMカード等)を提供するようにしてもよい。
すなわち、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードを有する記録媒体であって、現時点までに入力された収入/支出の実績情報と、現時点までに入力された掛取引による将来の収入/支出の予定情報とを資金繰り情報として記憶管理する機能と、掛取引による将来の収入/支出の予定に対して異なった収入/支出の実績が発生した場合に、入力された実績情報を新規登録すると共に、当該予定情報に含まれている収入/支出の金額を入力された実績金額に基づいて修正する機能と、前記予定情報と実績情報とを含む資金繰り明細を出力する機能とを実現させるためのプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体を提供するようにしてもよい。
【0050】
【発明の効果】
この発明(請求項1記載の発明)によれば、現時点までに入力された収入/支出の実績情報と、現時点までに入力された掛取引による将来の収入/支出の予定情報とを資金繰り情報として記憶管理している状態において、掛取引による将来の収入/支出の予定に対して異なった収入/支出の実績が発生した場合に、入力された実績情報を新規登録すると共に、この予定情報に含まれている収入/支出の金額を入力された実績金額に基づいて修正するようにしたから、掛取引に対する当初の予定と異なった実績が発生した場合でも、特別な操作を行う必要はなく、予定情報を自動修正することができ、また、過去の収入/支出の実績に収入/支出の予定をも反映させた正確な資金繰り明細を出力することができ、営業努力によって過去の実績金額に比べて将来の予定金額が大きく伸びているような場合でも、将来の予定金額を含めた的確な資金調達が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】資金繰り管理装置における入力処理の概要を示した処理ブロック図。
【図2】(A)は、回収/支払方法が「現金/振込」の場合における入力処理の実行順を示し、(B)は、回収/支払方法が「手形」の場合における入力処理の実行順を示した図。
【図3】取引先テーブル5の内容を示した図。
【図4】資金繰り情報データベース4の内容を示した図。
【図5】資金繰り管理装置の基本的構成要素を示したブロック図。
【図6】掛取引入力処理1を示したフローチャート。
【図7】収入/支出の取引実績入力処理3を示したフローチャート。
【図8】手形受取/振出入力処理2を示したフローチャート。
【図9】掛取引による予定が手形での回収/支払であったが、その後、全額現金での収入/支出の実績が発生した場合において、▲1▼は、掛取引入力後における資金繰り情報データベース4の内容を例示した図、▲2▼は、現金の実績入力後における資金繰り情報データベース4の内容を例示した図。
【図10】掛取引による予定が現金での回収/支払であったが、その後、全額分が手形での回収/支払に変更された場合において、▲1▼は、掛取引入力後における資金繰り情報データベース4の内容を例示した図、▲2▼は、手形の受取/振出実績入力後における資金繰り情報データベース4の内容を例示した図。
【図11】▲2▼は、掛取引による予定が手形での回収/支払であるが、当初と異なる手形サイトが発生した場合、例えば、手形サイトが2ヶ月の予定であったが、3ヶ月に変更された場合において、▲1▼は、掛取引入力後における資金繰り情報データベース4の内容を例示した図、▲2▼は、手形の受取/振出実績入力後における資金繰り情報データベース4の内容を例示した図。
【図12】掛取引による予定が手形での回収/支払であったが、その後、現金での収入/支出および手形での受取/振出の両方が発生し、かつ、金額が不足して全額分を回収/支払とならなかった場合において、▲1▼は、掛取引入力後における資金繰り情報データベース4の内容を例示した図、▲2▼は、現金の実績入力後および手形の受取/振出実績入力後における資金繰り情報データベース4の内容を例示した図。
【図13】図9〜図12の▲1▼および▲2▼で示した資金繰り情報データベース4の状態と、資金繰り表示処理における表示内容との対応を示した図。
【符号の説明】
1 掛取引入力処理
2 手形受取/振出入力処理
3 収入/支出の取引実績入力処理
4 資金繰り情報データベース
5 取引先テーブル
11 CPU
12 記憶装置
14 通信装置
15 入力装置
16 表示装置

Claims (2)

  1. 資金繰り情報を記憶管理して資金繰り明細を出力する資金繰り管理装置において、
    現時点までに入力された収入/支出の実績情報と、現時点までに入力された掛取引による将来の収入/支出の予定情報とを資金繰り情報として記憶管理する資金繰り情報記憶手段と、
    複数の取引先に対応する取引先レコードを記憶する取引先レコード記憶手段と、
    入力された掛取引に該当する取引先レコードを前記取引先レコード記憶手段から読み出す読出手段と、
    前記読出手段により読み出された取引先レコードから回収/支払区分を取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された回収/支払区分を判別し、判別された回収/支払区分が現金であれば現金の予定レコードを作成し、判別された回収/支払区分が手形であれば手形の予定レコードを作成する作成手段と、
    前記作成手段により作成された予定レコードを前記資金繰り情報記憶手段に登録する予定レコード登録手段と、
    収入/支出の実績が入力された際に、入力された実績に対応する予定レコードを前記資金繰り情報記憶手段から読み出し、読み出された予定の回収/支払区分と、入力された実績の回収/支払区分とを比較し、前記掛取引による将来の収入/支出の予定に対して異なった収入/支出の実績が入力されたと判断された場合に、入力された実績情報を前記資金繰り情報記憶手段内に新規登録すると共に、当該予定情報に含まれている収入/支出の金額を入力された実績金額に基づいて修正する登録/修正手段と、
    前記資金繰り情報記憶手段に記憶された予定情報と実績情報とを含む資金繰り明細を出力する資金繰り明細出力手段と、
    を具備したことを特徴とする資金繰り管理装置。
  2. コンピュータを、
    現時点までに入力された収入/支出の実績情報と、現時点までに入力された掛取引による将来の収入/支出の予定情報とを資金繰り情報として記憶管理する資金繰り情報記憶手段、
    複数の取引先に対応する取引先レコードを記憶する取引先レコード記憶手段、
    入力された掛取引に該当する取引先レコードを前記取引先レコード記憶手段から読み出す読出手段、
    前記読出手段により読み出された取引先レコードから回収/支払区分を取得する取得手段、
    前記取得手段により取得された回収/支払区分を判別し、判別された回収/支払区分が現金であれば現金の予定レコードを作成し、判別された回収/支払区分が手形であれば手形の予定レコードを作成する作成手段、
    前記作成手段により作成された予定レコードを前記資金繰り情報記憶手段に登録する予定レコード登録手段、
    収入/支出の実績が入力された際に、入力された実績に対応する予定レコードを前記資金繰り情報記憶手段から読み出し、読み出された予定の回収/支払区分と、入力された実績の回収/支払区分とを比較し、前記掛取引による将来の収入/支出の予定に対して異なった収入/支出の実績が入力されたと判断された場合に、入力された実績情報を前記資金繰り情報記憶手段内に新規登録すると共に、当該予定情報に含まれている収入/支出の金額を入力された実績金額に基づいて修正する登録/修正手段、
    前記資金繰り情報記憶手段に記憶された予定情報と実績情報とを含む資金繰り明細を出力する資金繰り明細出力手段、
    として機能させるためのプログラム。
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