JP4846944B2 - 医用機器の支払い請求方法、医用機器の使用実績取得方法、医用機器の販売システム、医用機器の使用実績取得装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機器の販売方法及び使用実績調査方法並びに機器の販売システム及び使用実績調査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子技術や情報技術の発達とともに、電子機器や情報機器は社会の様々な場面で重要性を増している。
【0003】
医療の分野においても検査・診断・治療技術の発達・高度化により、医用電子機器(ME機器)の役割が高まっている。一般的な規模の医院においても内視鏡やX線撮影機器や超音波診断器等は装備されている場合が多く、大規模な病院ではX線コンピュータ断層撮影機器(CT)や核磁気共鳴イメージング機器(MRI)などの大型医用電子機器も普及している。しかし、これら医用機器は概ね高価であり、医用機器の導入は病院にとって大きな財政的負担となっている。
【0004】
特開2001−160106公報においては、これらの医用機器を医療機関がリースで導入する場合において、各医用機器に使用状況をモニタして記録する機能を具備させ、この使用状況を院内の回線を介して通信端末に一旦集めた後にインターネット経由でリース業者に送り、リース業者では受信した利用状況に応じてリース代金を請求する技術が開示されている。
【0005】
この技術によれば、医療機関やリース業者は医用機器の使用実績を簡単に知ることができる。また、この使用実績に応じてリース代金の支払い義務が発生するので、機器を稼動させて得る収入をリース代金に引き当てることができる。これによって、機器の稼動状況の如何に関わらず固定的にリース代金の支払い義務が発生する場合に比較して、医療機関側は機器の稼働率や資金のショートを心配することなく導入を決断できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平2001−160106号公報に開示された技術は、各医用機器に使用状況をモニタする機能を具備させることを前提としているが、既存の医用機器全てにこのような機能が備わっているわけではない。
【0007】
また、医用機器にモニタ機能を付加することも、リースならば、医用機器の所有権はリース業者にあるので問題は少ない。しかし、販売(買取)の場合は機器の所有権は医療機関側にあるので、業者側で勝手にモニタ機能を付加できず、モニタ機能を付加した機器は医療機関が自己の所有物にも関わらず勝手に処分できない、使用状況データに関する権利の帰属が不明確である等の問題があった。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてされたものであり、医用機器の使用状況をモニタする機構を必要とせずに、各医用機器の使用状況を知る技術を提供することを目的とする。さらに、機器、特に医用機器の販売において、機器のもたらす収益に応じた条件で機器を販売する技術を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、医用機器の支払い請求方法であって、販売会社のサーバが、医療機関の情報処理装置によって作成された診療報酬明細書に係る診療行為の実績データを受信し、前記サーバに設けられた顧客データベースに記録する実績データ記録工程と、前記サーバが、医用機器と、当該医用機器が用いられる診療行為との対応を規定したテーブルを参照して、前記顧客データベースに記録された前記実績データから、前記医用機器が用いられる診療行為の実績データを抽出する実績データ抽出工程と、前記サーバが、総支払額と、当該医用機器の支払い予定期間と見込使用頻度にもとづいて予め決められた当該医用機器の単位使用実績当たりの支払額を、前記抽出した前記診療行為の実績データに適用して、当該医用機器に関する支払い請求額を決定する支払い請求額決定工程と、前記サーバが、前記決定した支払い請求額を用いて支払い義務者に請求するための請求額データを作成し、該請求額データを前記通信回線を介して前記支払い義務者に送信する支払請求工程と、を備え、前記サーバは、前記医用機器の支払いが完了するまで、前記実績データ記録工程、前記実績データ抽出工程、前記支払い請求額決定工程、前記支払請求工程を定期的に繰り返す。
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記支払い請求額決定工程は、前記サーバが、当該医用機器の支払い予定期間と見込使用頻度にもとづいて予め決められた当該医用機器の単位使用実績当たりの支払額に、前記抽出した前記医療行為の実績データに含まれる使用回数を乗じることにより請求額を算出し、前記医療機器の総支払額と過去の実績に基づき支払われた支払い額の累計との差額を算出し、該差額よりも該請求額が小さければ該請求額を支払い請求額とし、該差額よりも該請求額が大きければ該差額を支払い請求額として決定する。
【0011】
また、第3の発明は、医療機関内の医用機器の使用実績取得方法であって、販売会社のサーバが、前記医療機関の情報処理装置によって作成された診療報酬明細書に係る診療行為の実績データを通信回線を介して受信して顧客データベースに記録する実績データ記録工程と、前記サーバが、医用機器と、当該医用機器が用いられる診療行為との対応を規定したテーブルを参照して、前記顧客データベースに記録された診療行為の実績データから前記医用機器が使用される診療行為の実績データを抽出する実績データ抽出工程と、前記サーバが、前記抽出した実績データをカウントすることによって、当該医用機器の使用実績に関するデータを算出する使用実績算出工程と、を備える。
【0012】
また、第4の発明は、医用機器の販売システムであって、医療機関の情報処理装置によって作成された診療報酬明細書に係る診療行為の実績データを通信回線を介して受信して顧客データベースに記録する実績データ記録手段と、医用機器と、当該医用機器が用いられる診療行為との対応を規定したテーブルを参照して、前記顧客データベースに記録された前記実績データから、前記医用機器が用いられる診療行為の実績データを抽出する実績データ抽出手段と、総支払額と、当該医用機器の支払い予定期間と見込使用頻度にもとづいて予め決められた当該医用機器の単位使用実績当たりの支払額を、前記抽出した前記診療行為の実績データに適用して、当該医用機器に関する支払い請求額を決定する支払い請求額決定工程と、前記決定した支払い請求額を用いて支払い義務者に請求するための請求額データを作成し、該請求額データを前記通信回線を介して前記支払い義務者に送信する支払請求工程と、を備え、前記サーバは、前記医用機器の支払いが完了するまで、前記実績データの記録、前記実績データの抽出、前記支払い請求額の決定、前記支払の請求を定期的に繰り返す。
【0013】
また、第5の発明は、医療機関内の医用機器の使用実績取得装置であって、前記医療機関の情報処理装置によって作成された診療報酬明細書に係る診療行為の実績データを受信して顧客データベースに記録する実績データ記録手段と、医用機器と、当該医用機器が用いられる診療行為との対応を規定したテーブルを参照して、前記顧客データベースに記録された診療行為の実績データから前記医用機器が使用される診療行為の実績データを抽出する実績データ抽出手段と、前記抽出した実績データをカウントすることによって、当該医用機器の使用実績に関するデータを算出する使用実績算出手段と、を備える。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1実施の形態)
以下、図面を参照して本発明の第1実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明に係る機器販売方法の概略を説明するための図である。ここで販売とは、所有権の移転がされる有償の譲渡のことを意味する。従って、レンタルやリースは販売に含まれないものとする。また本実施形態では、医療機関100が販売会社200から機器を購入して支払いを行うが、医療機関100が機器を購入した場合であってもカード会社等が支払い義務者になる場合もある。
【0016】
A.契約(A1)
まず医療機関100は、販売会社200からの医用機器の購入に際し、当該販売会社200との間で購入及び支払いに関する契約を結ぶ。この契約においては、以下の事項が見積もり、算定のうえ規定される。
【0017】
1.支払い完了までの予定期間(支払予定期間)。
【0018】
2.当該医用機器を利用した診療行為(契約診療行為)。これは複数指定することが可能である。
【0019】
3.上記支払予定期間の上記各契約診療行為の件数見積り。
【0020】
4.医用機器の購入代金を基に、上記支払予定期間の金利負担等を勘案して決められる支払総額。
【0021】
5.上記支払総額を上記見積診療行為全件数で除して求めた金額をベースに求められる一回当たりの費用。
【0022】
6.医療機関100は一定期間毎、上記契約診療行為を行った回数に上記1回当たりの費用を乗じて求められた金額を支払う。
【0023】
7.上記支払いは、支払い額の累計が上記支払総額に達するまで行う。
【0024】
ここでは、1回の契約診療行為によって医療機関100にもたらされるキャッシュフローにより、対応する支払いが余裕をもってできるように調整して、支払予定期間を設定する。
【0025】
一例をあげると、支払い総額をMとし、契約医療行為見積り件数を(n1,n2,n3,・・・)とすると、1回当たりの費用Cは、C=M/(n1+n2+n3+・・・)とする。
【0026】
B.機器納入(A2)
上記契約の締結後、販売会社200から医療機関100に当該医用機器が納入される。
【0027】
C.実績データ送信〜支払い処理
各医療機関100は診療報酬の支払いを健康保険組合に依頼するため、診療報酬明細書(レセプト)を作成しているが、この作業には大部分の医療機関100でコンピュータが利用されている。このレセプト作成に利用されるコンピュータは、通常レセプトコンピュータ又はレセコンと呼ばれており、パソコンに専用ソフトをインストールしたもの、専用機、病院情報システム(HIS)の1機能として実現しているものなど、様々な規模のものがある。以下、診療報酬明細書作成に供されるコンピュータのことをレセコンと略称する。
【0028】
レセコンには当該医療機関100で実施された医療措置の実績データが集められ、処理加工されて診療報酬明細書が作成される。また、診療報酬請求の内容は審査機関で審査され、違反にはペナルティもあるので、データの信頼性は高いといえる。
【0029】
本実施の形態では、このレセコンのもつ診療措置の実績データを医療機関100から販売会社200に送信している(A3)。実績データはレセコンで加工した診療報酬明細データそのものならば、統一的なデータ形式で好ましい。しかし、加工前や中間段階のデータを送っても良い。また、医療機関100がデータの開示に積極的でない場合には、必要なデータのみを抽出したり加工したものでもよい。
【0030】
送信のタイミングは各医療機関100のレセプト処理のタイミングに同期させており、多くの場合月末・月初である。
【0031】
各医療機関100からの実績データは、通信回線(インターネットや専用回線、または一般公衆回線)を介して販売会社200により受信される(A4)。
【0032】
販売会社200の顧客DBには顧客に関する情報が格納されている。その情報には医療機関名等の属性情報、納入した医用機器の情報(契約内容、支払状況含む)、受信した実績データ等が含まれる。上記受信した実績データは顧客DBに記録される(A5)。
【0033】
販売会社200では、所定のタイミング(例えば月末)毎に、請求額計算処理が実行される。即ち、顧客DBより実績データを読み出し、実績データより各医用機器の契約診療措置を抽出し、当該機器の使用度数を求めて請求額を計算する(A6)。
【0034】
請求データは、通信回線を介して医療機関100に送信される(A7)。医療機関100では請求データを受信し(A8)、支払い処理を実行する(A9)。販売会社200は、支払処理に基づいて支払実績管理を行う(A10)。
【0035】
さらに、販売会社200では、顧客DBに集められた実績データに基づいて実績データ解析処理を行い(A11)、解析結果を利用して医療機関100に対して機器メンテナンス情報やコンサルテーションサービスを提供する(A12)。
【0036】
図2は、上記した機器の販売方法が適用されるシステム環境を示す図であり、複数の医療機関1〜3(100−1〜100−3)がインターネット等の通信回線網300を介して販売会社200と接続されている。
【0037】
図3は、医療機関100に設けられているレセコンの処理フローである。まず、処理すべき入力カルテがあるかどうかを判断し(ステップS1)、ある場合には診療行為の実績を入力する(ステップS2)。次に、集計時期かどうかを判断し(ステップS3)、NOの場合にはステップS7に移行するが、YESの場合には入力した実績を集計する(ステップS4)。次にこの集計した実績に基づいて診療報酬請求データを作成する(ステップS5)とともに、実績データを販売会社200に送信する。
【0038】
次に、請求データがあるかどうかを判断し(ステップS7)、ある場合には請求データを販売会社200から受信し(ステップS8)、支払い処理を行う(ステップS9)。
【0039】
次に処理を終了すべきかどうかを判断し(ステップS10)、YESの場合は処理を終了し、NOの場合にはステップS1に戻る。
【0040】
また、ステップS7で請求データがないと判断された場合にはただちにステップS10に進んで処理を終了すべきかどうかを判断し、YESの場合は処理を終了し、NOの場合にはステップS1に戻る。
【0041】
図4は、販売会社200のサーバにおける実績データ受信処理のフローである。まず実績データがあるかどうかを判断し(ステップS21)、実績データがある場合には医療機関100から実績データを受信して(ステップS22)、顧客DBに記録する(ステップS23)。次に処理を終了すべきかどうかを判断し(ステップS24)、YESの場合には処理を終了し、NOの場合にはステップS21に戻る。
【0042】
また、ステップS21で実績データがないと判断された場合にはただちにステップS24に進んで処理を終了すべきかどうかを判断し、YESの場合は処理を終了し、NOの場合にはステップS21に戻る。
【0043】
図5は、販売会社200のサーバ内に記録された診療行為マスタである。国の指定に基づいて、各診療行為について区分番号、名称、点数、施行日、請求コードが記録されている。また、図6は、販売会社200のサーバの顧客DB内に記録された納入機器マスタである。
【0044】
図7は、販売会社200のサーバにおける請求額計算処理の処理フローである。まず、各顧客毎に顧客DB内の納入機器マスタ(図6)を読み出す(ステップS31)。当該マスタ内に存在する医用機器について、医用機器毎に変数を定義し、その変数を初期化(値をゼロに)する(ステップS32)。次に、当該顧客の実績データを顧客DB内からアクセスし、1レコードづつ読み出す(ステップS33)。
【0045】
次に、納入機器関連の請求コードかどうかを判断する(ステップS34)。より詳細には、各レコードの「請求コード」の内容が、納入機器マスタの各医用機器の「契約請求コード」のいずれかに一致するかどうかを判断し、いずれかに一致すれば、このレコードの診療行為は当該医用機器の契約診療行為であるので、当該医用機器の変数に1を加算する(ステップS35)。次に未読の実績データがあるかどうかを判断し(ステップS36)、ある場合にはステップS33に戻って上記の処理を行う。このようにして、実績データの中に契約診療行為がいくつあるかを、各医用機器毎にカウントしてゆく。
【0046】
実績データの読み込みが完了(ステップS36の判断がNO)すれば、各医用機器毎の変数には当該実績データに含まれる契約診療行為数の合計が各々入っていることになる。契約診療行為とは当該医用機器を利用した診療行為であるので、この処理により各医用機器の使用状況についてのデータが収集できたことになる。
【0047】
さて、上記納入機器マスタにある医用機器であり、「支払総額」よりも「受領済代金」が小さい医用機器は、まだ支払いが完了していない医用機器(未完済医用機器)である。
【0048】
未完済医用機器に対して、上述のようにして得た使用状況のデータ(使用回数)に、契約で規定した当該医用機器の1回当たりの費用を乗ずれば各未完済医用機器の請求額が求まる(ステップS37)。
【0049】
求めた請求額は、各未完済医用機器について納入機器マスタの「支払総額」と「受領済代金」の差額と比較される。そして、上記差額より請求額が小さければそのまま請求額とされ、上記差額より請求額が大きければ上記差額が請求額とされる。
【0050】
このように求められた各未完済医用機器の請求額データは、送信用フォーマットに加工され(ステップS38)、各医療機関100に送信される(ステップS39)。また、請求実績は顧客DBにも記録される(ステップS40)。そして次の顧客があるかどうかを判断し(ステップS41)、ある場合にはステップS31に戻って上記した処理を行うが、ない場合には処理を終了する。
【0051】
図8は、販売会社200のサーバにおける支払実績管理処理の処理フローである。まず、支払いの連絡を医療機関100から受信する(ステップS51)。次にこの当該支払いの確認処理(ステップS52)を行なった後、納入機器マスタの受領済代金に受領金額を加算する(ステップS53)。最後に納入機器マスタの最終受領日を更新して(ステップS54)、処理を終了する。
【0052】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、各医用機器毎に、実績データ中の契約診療行為の回数をカウントし、この回数に契約した1回あたりの費用を乗じて請求金額を計算していた。しかし、同一医療機関において、同一又は類似の医用機器が複数台導入されることはめずらしくない。この場合、実績データ中に当該医用機器に契約診療行為があったとしても、当該医用機器がこの契約診療行為に使われたか否かは不明である。このため、抽出された契約診療行為における当該医用機器の寄与分は、同一又は類似の医用機器の台数で割った値として評価するのが相当である。
【0053】
また、医用機器の契約診療行為が複数ある場合に、各診療行為毎に点数が異なるのが通常である。つまり、ある診療行為は大きな収益をもたらし、他の診療行為は小さな収益しかもたらさない。このため、契約診療行為を一律にカウントしたのでは、当該医用機器が医療機関にもたらす収益を正確に反映することはできない。
【0054】
本第2の実施の形態は、第1の実施の形態において上記の点を改良したものであり、その他の点は同様である。
【0055】
以下に異なる点のみを説明する。
【0056】
A.契約 医療機関は、販売会社からの医用機器の購入に際し、当該販売会社との間で購入及び支払いに関する契約を結ぶ。この契約においては、以下の事項が見積もり、算定のうえ規定される。
【0057】
1.支払い完了までの予定期間(支払予定期間)。
【0058】
2.当該医用機器を利用した診療行為(契約診療行為)。これは複数指定することが可能である。
【0059】
3.上記支払予定期間の上記各契約診療行為の件数見積り。
【0060】
4.医用機器の購入代金を基に、上記支払予定期間の金利負担等を勘案して決められる支払総額
5.各契約医療行為1回により得られる収入に当該契約診療行為の見積件数を乗じて得られた金額を、全契約医療行為について合計した見積総収入を計算し、上記支払総額を上記見積総収入で除して求めた値をベースに求められる、契約診療行為に関する報酬額から当該医用機器の支払いに当てる比率(請求係数)。
【0061】
6.医療機関の使用する、当該医用機器と同一又は同様の医用機器の数(分配数)。
【0062】
7.医療機関は一定期間毎、上記契約診療行為に基づく収入に請求係数を乗じ、さらに分配数で割って求められた金額をベースに定められた金額を支払う。
【0063】
8.上記支払いは、支払い額の累計が上記支払総額に達するまで行う。
【0064】
ここでは、1回の契約診療行為によって医療機関にもたらされるキャッシュフローにより、対応する支払いが余裕をもってできるように調整して、支払予定期間を設定する。
【0065】
一例をあげると、支払い総額をM円とし、支払い予定期間の契約医療行為見積り件数を(n1,n2,n3,・・・)とし、各契約医療行為の点数を(p1,p2,p3,・・・)とすると、請求係数sは、s=M/(10・(n1・p1+n2・p2+n3・p3+・・・))となる。ここで1点=10円とした。また、分配数をmとし、ある回の当該医用機器の契約医療行為に関する収入がI円とすると、この回の当該医用機器に関する支払い額は、I・s/m円になる。
【0066】
図9は、販売会社のサーバの顧客DB内に記録された、納入機器マスタである。また、図10は、販売会社のサーバにおける請求額計算処理の処理フローである。 まず、各顧客毎に顧客DB内の納入機器マスタ(図9)を読み出す(ステップS61)。当該マスタ内に存在する医用機器について、医用機器毎に変数を定義し、その変数を初期化(値をゼロに)する(ステップS62)。次に、1顧客の実績データを顧客DB内からアクセスし、1レコードづつ読み出す(ステップS63)。
【0067】
次に、納入機器関連の請求コードかどうかを判断する(ステップS64)。より詳細には、各レコードの「請求コード」の内容が、納入機器マスタの各医用機器の「契約請求コード」のいずれかに一致するか否かを判断し、いずれかに一致すれば、このレコードの診療行為は当該医用機器の契約診療行為であるので、この「請求コード」の点数を、診療行為マスタ(図5)を参照して求め、当該医用機器の変数に加える(ステップS65)。次に未読の実績データがあるかどうかを判断し(ステップS66)、ある場合にはステップS63に戻って上記の処理を行う。このようにして、実績データの中に含まれる契約診療行為の点数を各医用機器毎にカウントしてゆく。
【0068】
実績データの読み込みが完了(ステップS66の判断がNO)すれば、各医用機器毎の変数には当該実績データに含まれる契約診療行為の点数の合計が各々入っていることになる。
【0069】
次に、各機器の変数に合計された点数に、機器毎のルールを適用して請求額を計算する(ステップS67)。以下にこれについて詳細に説明する。
【0070】
上述の方法で求めた各医用機器毎の契約医療行為の点数合計に、1点=10円のレートを乗算すると、各医用機器毎に契約医療行為により得られる収入を求めることができる。納入機器マスタを参照して各医用機器の請求係数と分配数を求め、上記収入に請求係数を乗じて分配数で割れば、各医用機器毎の請求金額を求めることができる。
【0071】
契約診療行為とは当該医用機器を利用した診療行為であるので、この処理により各医用機器の使用に関わる予定収入のデータが収集できたことになる。
【0072】
さて、上記納入機器マスタにある医用機器であり、「支払総額」よりも「受領済代金」が小さい医用機器は、まだ支払いが完了していない医用機器(未完済医用機器)である。未完済医用機器に対して、上述のようにして得た使用状況のデータ(使用回数)に、契約で規定した当該医用機器の1回当たりの費用を乗ずれば各未完済医用機器の請求額が求まる。
【0073】
求めた請求額は、各未完済医用機器について納入機器マスタの「支払総額」と「受領済代金」の差額と比較される。そして、上記差額より請求額が小さければそのまま請求額とされ、上記差額より請求額が大きければ上記差額が請求額とされる。
【0074】
このように求められた各未完済医用機器の請求額データは、送信用フォーマットに加工され(ステップS68)、各医療機関に送信される(ステップS69)。また、請求実績は顧客DBにも記録される(ステップS70)。そして次の顧客があるかどうかを判断し(ステップS71)、ある場合にはステップS61に戻って上記した処理を行うが、ない場合には処理を終了する。
【0075】
上記した実施の形態によれば、販売した医用機器の使用実績をレセコンの診療措置実績データから抽出し、この抽出した使用実績に基づいて、支払い請求額を決定している。しかし、レセコンで扱う使用実績以外にも、試薬品等の消耗品の使用実績データから、販売した医用機器の使用実績を求めることも可能である。
【0076】
例えば、分析機を業者が医療機関に販売した場合、その分析機で使用する試薬は全て上記業者から購入する契約にしておけば、業者は上記医療機関への試薬の販売実績に基づいて、上記分析器の使用実績を計算できる。この計算した使用実績に基づいて、支払い請求額を決定してもよい。試薬の使用実績は、医療機関からの試薬の注文データで確度よく推定できる。
【0077】
つまり、試薬を使う医用機器の販売方法として、販売契約時に販売者の指定する者から当該医用機器で使用する試薬を購入する旨と、当該医用機器の支払い予定期間と見込み使用頻度に基づいて決められた当該医用機器の単位使用実績あたりの支払い額を規定しておき、上記指定者に対する上記試薬の注文データをコンピュータに取り込み、コンピュータに上記取り込んだ試薬の注文データから当該医用機器に関する使用実績を抽出させ、コンピュータに上記単位使用実績当たりの支払い額を上記抽出した当該医用機器に関する使用実績に適用した結果に基づいて当該医用機器に関する支払請求額を決定させ、コンピュータに上記決定した支払い請求額を用いて支払い義務者に請求するための請求情報を作成させ、上記作成した請求情報を用いて、上記支払い義務者に支払い請求をし、当該医用機器の支払いが完了するまで、上記注文データのコンピュータへの取り込みから上記支払い請求に至るまでの全工程を定期的に繰り返すことをしてもよい。
【0078】
上記した第1及び第2実施の形態によれば、機器の販売において、支払い者が、機器の使用実績(即ち、その機器を使って稼いだ収入)に応じた支払いが可能となり、投資リスクの回避が可能である。また、診療毎の原価管理が可能となり、適正な投資の決定、経営管理ができる。また、健全なキャッシュフローの確保に貢献できる。
【0079】
また、機器の使用の状態をモニタする格別の装置や機構を必要とせず、既に実施されている作業を殆ど変更せずに、機器の使用実績が調査できる。
【0080】
【発明の効果】
請求項1及び2に記載の発明によれば、支払い者が、機器の使用実績(即ち、その機器を使って稼いだ収入)に応じた支払いが可能となる。
【0081】
また、請求項3記載の発明によれば、機器の使用の状態をモニタする格別の装置や機構を必要とせず、既に実施されている作業を殆ど変更せずに、機器の使用実績が調査できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る機器販売方法の概略を説明するための図である。
【図2】本実施形態の機器の販売方法が適用されるシステム環境を示す図である。
【図3】医療機関100に設けられているレセコンの処理フローである。
【図4】販売会社200のサーバにおける実績データ受信処理のフローである。
【図5】販売会社200のサーバ内に記録された診療行為マスタである。
【図6】販売会社200のサーバの顧客DB内に記録された納入機器マスタである。
【図7】販売会社200のサーバにおける請求額計算処理の処理フローである。
【図8】販売会社200のサーバにおける支払実績管理処理の処理フローである。
【図9】販売会社のサーバの顧客DB内に記録された、納入機器マスタである。
【図10】販売会社のサーバにおける請求額計算処理の処理フローである。
【符号の説明】
100 医療機関
200 販売会社
300 通信回線網
Claims (5)
- 医用機器の支払い請求方法であって、
販売会社のサーバが、医療機関の情報処理装置によって作成された診療報酬明細書に係る診療行為の実績データを受信し、前記サーバに設けられた顧客データベースに記録する実績データ記録工程と、
前記サーバが、医用機器と、当該医用機器が用いられる診療行為との対応を規定したテーブルを参照して、前記顧客データベースに記録された前記実績データから、前記医用機器が用いられる診療行為の実績データを抽出する実績データ抽出工程と、
前記サーバが、総支払額と、当該医用機器の支払い予定期間と見込使用頻度にもとづいて予め決められた当該医用機器の単位使用実績当たりの支払額を、前記抽出した前記診療行為の実績データに適用して、当該医用機器に関する支払い請求額を決定する支払い請求額決定工程と、
前記サーバが、前記決定した支払い請求額を用いて支払い義務者に請求するための請求額データを作成し、該請求額データを前記通信回線を介して前記支払い義務者に送信する支払請求工程と、
を備え、
前記サーバは、前記医用機器の支払いが完了するまで、前記実績データ記録工程、前記実績データ抽出工程、前記支払い請求額決定工程、前記支払請求工程を定期的に繰り返すことを特徴とする医用機器の支払い請求方法。 - 前記支払い請求額決定工程は、前記サーバが、当該医用機器の支払い予定期間と見込使用頻度にもとづいて予め決められた当該医用機器の単位使用実績当たりの支払額に、前記抽出した前記医療行為の実績データに含まれる使用回数を乗じることにより請求額を算出し、前記医療機器の総支払額と過去の実績に基づき支払われた支払い額の累計との差額を算出し、該差額よりも該請求額が小さければ該請求額を支払い請求額とし、該差額よりも該請求額が大きければ該差額を支払い請求額として決定する請求項1に記載の医用機器の支払い請求方法。
- 医療機関内の医用機器の使用実績取得方法であって、
販売会社のサーバが、前記医療機関の情報処理装置によって作成された診療報酬明細書に係る診療行為の実績データを通信回線を介して受信して顧客データベースに記録する実績データ記録工程と、
前記サーバが、医用機器と、当該医用機器が用いられる診療行為との対応を規定したテーブルを参照して、前記顧客データベースに記録された診療行為の実績データから前記医用機器が使用される診療行為の実績データを抽出する実績データ抽出工程と、
前記サーバが、前記抽出した実績データをカウントすることによって、当該医用機器の使用実績に関するデータを算出する使用実績算出工程と、
を備えることを特徴とする医用機器の使用実績取得方法。 - 医用機器の販売システムであって、
医療機関の情報処理装置によって作成された診療報酬明細書に係る診療行為の実績データを通信回線を介して受信して顧客データベースに記録する実績データ記録手段と、
医用機器と、当該医用機器が用いられる診療行為との対応を規定したテーブルを参照して、前記顧客データベースに記録された前記実績データから、前記医用機器が用いられる診療行為の実績データを抽出する実績データ抽出手段と、
総支払額と、当該医用機器の支払い予定期間と見込使用頻度にもとづいて予め決められた当該医用機器の単位使用実績当たりの支払額を、前記抽出した前記診療行為の実績データに適用して、当該医用機器に関する支払い請求額を決定する支払い請求額決定工程と、
前記決定した支払い請求額を用いて支払い義務者に請求するための請求額データを作成し、該請求額データを前記通信回線を介して前記支払い義務者に送信する支払請求工程と、を備え、
前記サーバは、前記医用機器の支払いが完了するまで、前記実績データの記録、前記実績データの抽出、前記支払い請求額の決定、前記支払の請求を定期的に繰り返すことを特徴とする医用機器の販売システム。 - 医療機関内の医用機器の使用実績取得装置であって、
前記医療機関の情報処理装置によって作成された診療報酬明細書に係る診療行為の実績データを受信して顧客データベースに記録する実績データ記録手段と、
医用機器と、当該医用機器が用いられる診療行為との対応を規定したテーブルを参照して、前記顧客データベースに記録された診療行為の実績データから前記医用機器が使用される診療行為の実績データを抽出する実績データ抽出手段と、
前記抽出した実績データをカウントすることによって、当該医用機器の使用実績に関するデータを算出する使用実績算出手段と、
を備えることを特徴とする医用機器の使用実績取得装置。
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