JP3968962B2 - 切除片回収具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、体腔内等において、ポリープ等を切除して体外に回収するための切除片回収具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡検査により食道、直腸、大腸等の体腔管や、胃等の臓器、その他の体腔内壁に生じたポリープ等を検出した時には、それを切除する処置が行われる。このような処置を施すために、内視鏡には処置具挿通チャンネルが設けられ、この処置具挿通チャンネルには処置具を挿通できるようになっている。ここで、ポリープ等の体内組織を切除するには2種類の処置具が必要となる。即ち、切除すべき体内組織を把持して持ち上げるための把持鉗子と、この把持鉗子により持ち上げられた体内組織を所定の位置から切除するための高周波スネア,高周波ナイフ等の高周波処置具とである。これらの処置具は、通常、内視鏡に設けた処置具挿通チャンネルを介して体腔内に導かれるようになっている。しかも、これら2種類の処置具は同時に体腔内に挿入できるようになっていなければならない。
【0003】
従って、前述した体内組織の切除等の処置を施せるようにした内視鏡の挿入部は、概略図10に示したように構成される。この図から明らかなように、挿入部1を構成する先端部本体1aの先端面に内視鏡観察機構として、体腔内に照明光を照射する照明部2と、この照明部2からの照明下で体腔内を観察する観察部3とを設けると共に、処置具を挿通させる第1,第2の処置具挿通チャンネル4,5を設けた、所謂2チャンネルタイプの内視鏡として構成される。この挿入部1を体腔内の所定の位置にまで導いて、照明窓2から照射される照明の下で、観察窓3から得られる体腔内の像を観察することにより体腔内を検査する。そして、この検査の結果、体腔内に切除が必要な体内組織、例えば図11に示したようなポリープPが存在することが検出された時には、それを切除して回収する処置が施される。
【0004】
この処置は、図11に示したように、まず第1の処置具挿通チャンネル4から高周波処置具として、例えば高周波スネア6を挿入し、この高周波スネア6を挿入部1の先端から所定長さ導出させて、そのスネアワイヤ6aのループ内にポリープPを囲繞させる。次に、第2の処置具挿通チャンネル5に把持鉗子7を挿入して、この把持鉗子7の先端に設けた把持爪7aによりポリープPを持ち上げることによって、スネアワイヤ6aを切除すべき位置に配置する。この状態で、高周波スネア6のスリーブ6b内にスネアワイヤ6aのループを引き込んで、切除すべき位置を絞扼し、その後にこのスネアワイヤ6aに高周波電流を流すことによって、その時に発生するジュール熱によりポリープPが根元から切除される。このようにして切除されたポリープPの切除片は体外に取り出されることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述したように、ポリープ等の切除片を体外に取り出す操作は、把持鉗子7でポリープPを把持させたままで、あるいは高周波スネア6に代えて回収具を第1の処置具挿通チャンネル4から導出させて、この回収具に保持させるようにして、挿入部1を体腔内から引き出すようにするのが一般的である。しかしながら、このような切除片の回収方式は、以下に示すような問題点が生じることになる。
【0006】
まず、切除したポリープPが回収される間に、体腔内壁と接触しないようにする必要があり、このために挿入部1を体腔内から引き出す操作が非常に面倒になる。また、把持鉗子Pはポリープを1個しか把持できないことから、体腔内壁に複数のポリープPが存在する場合には、挿入部1を切除の都度体腔内に挿脱しなければならず、例えば大腸内等のように、体腔内の深部におけるポリープPの切除処理を行う場合等においては、長時間の処置が必要であり、患者にかかる負担も大きくなる等の不都合が生じる。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、体腔内において、ポリープ等の体内組織を切除するに当って、内視鏡の挿入部を体内に挿入したままで、複数の切除片をそれぞれ分離した状態で回収でき、かつ体外に取り出す際に、この体内組織及びそれに含まれる血液等が体腔内の他の箇所に付着しないようにして有効に回収できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明の切除片回収具の構成としては、一側に導入部が形成され、切除片を個別的に回収するための複数の収容区画部を複数連設した袋本体と、この袋本体の開口縁部に設けた挿通部と、前記挿通部に装着され、前記切除片を挿入するために、前記各収容区画部の導入部をそれぞれ開放することができ、また全ての収容区画部の導入部を閉鎖する状態に保持可能な開閉操作部材とを備える構成としたことをその特徴とするものである。
【0009】
ここで、袋本体は、例えば軟性の合成樹脂のシートから構成することができ、挿通部はその導入部近傍を折り返して、端部を止着することにより形成できる。この挿通部に挿通される開閉操作部材としては、操作紐、ワイヤ、弾性帯片等で構成される。この開閉操作部材による各収容区画部の開閉は、鉗子等を用いて行うこともできるが、開放する状態または閉鎖する状態に保持しておき、外力を作用することによって、開放状態から閉鎖状態に、また閉鎖状態から開放状態に変位させるようにすることができる。
【0010】
開閉操作部材の一例としては、挿通部内に挿通させた操作紐を有する構成とすることができる。この操作紐の一端は複数の収容区画部のうちの基端側に位置する収容区画部に固定して固定端とする。そして、この固定端から一側の挿通部を通って一度先端の収容区画部から導出させるようになし、ループ状の余長を設けた状態で折り返して、各収容区画部の他側の挿通部に挿通させ、基端位置の収容区画部から導出させて、他端を自由端とする。余長はいずれかの収容部を開く際に手繰り寄せられる長さとする。また、操作紐の固定端位置にクリップを設けることができる。そして、操作紐の折り返した部位をクリップに挿通させるようになし、このクリップは操作紐を摺動可能なものとする。さらに、開閉操作部材は、各収容区画部を開放する操作と、操作紐の自由端を把持する操作とを行う開放用操作部材を備え、この開放用操作部材は内視鏡の処置具挿通チャンネル内に挿通されるものとすることもできる。さらにまた、前述した操作紐に代えて、挿通部のうち、一側の挿通部には、各収容区画部の位置にそれぞれ湾曲形状のばね板と開閉用操作部材としての開閉操作用杆部材とを装着し、他側の挿通部には各収容区画部内の位置に湾曲部を形成した固定側杆部材を挿通させる構成となし、開閉操作用杆部材は、ばね板の曲げ方向を変化させるものとして構成しても良い。
【0011】
また、本発明の切除片回収方法は、内視鏡の処置具挿通チャンネルから導出された鉗子で把持した切除片を切除片回収具により回収するための方法であって、前記切除片回収具には、複数の切除片をそれぞれ個別的に収容させる複数の収容区画部を形成して、これら各収容区画部に設けた開口部を開いた状態で、前記把持鉗子により把持されている切除片を各々異なる収容区画部に挿入し、前記切除片を前記各収容区画部に収容させた後に前記開口部を閉鎖して、前記内視鏡と共に取り出すことをその特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、体内組織の切除を行うために用いられる内視鏡の挿入部は図10に示したように2チャンネルタイプの挿入部1を有する内視鏡が用いられ、また体内組織を切除する処置は、図11に示した高周波スネア6と、把持鉗子7とが用いられ、かつ切除を行う操作についても前述した従来技術の方式と同じである。そして、本発明においては、切除された体内組織、つまり切除片の回収を行うのに、図1に示した切除片回収具を用いるようにしている。
【0013】
而して、図1において、切除片回収具10は軟性の合成樹脂シート等で構成した袋本体11を有し、この袋本体11は複数の区画収容部12に区画形成されている。各区画収容部12間には仕切り部が形成されて、それぞれ完全に独立している。そして、袋本体11の一側はその全長に及ぶように導入部11aが開口しており、各区画収容部12にはこの導入部11aから切除片を導入できるようになっている。導入部11aは開閉可能なものであり、この導入部11aを閉鎖状態にできるようにするために、袋本体11の端部を折り返した上で、その端部を袋本体11の側面に固着することによりトンネル状の挿通部13a,13bが形成されている。そして、これら挿通部13a,13b内には開閉操作部材としての操作紐14が挿通されている。
【0014】
ここで、挿通部13a,13bは袋本体11の開口縁部の左右両側に形成されており、少なくともこの袋本体11の長手方向における基端側ではそれぞれ開口している。また、両側の挿通部13a,13bの先端側を連通させて、往復する一連の通路を形成するようにしても良いが、本実施の形態においては、先端側も開口させている。さらに、図1には、挿通部13a,13bは各区画収容部12毎に分割されているように示したが、これら挿通部13a,13bは一連の通路として構成することもできる。従って、操作紐14は一側の挿通部13aに挿通させて、一度外部に導出させた後に、他側の挿通部13bに挿通されてループ状となるように装着される。そして、挿通部13a,13bの基端側において、操作紐14の一端は挿通部13aの基端部に固定された固定端となっており、また他端側は自由状態となって、挿通部13bから所定の長さ導出されている。また、操作紐14における挿通部13a,13bの先端側からの導出部分は所定の長さだけ導出させた上で折り返されており、この導出長さ分は区画収容部12の開口部を開くための余長となる。
【0015】
以上の構成を有する切除片回収具10は、図2に示したように、操作紐14の挿通部を芯として、処置具挿通チャンネルより細い巻き径となるように巻き込むことができる。そして、このようにして巻き込んだ切除片回収具10は、図10に示した内視鏡の挿入部1において、例えば第2の処置具挿通チャンネル5の内部に押し込むように装着される。このように切除片回収具10を組み込んだ挿入部1を体腔内における所定の位置にまで挿入して、体腔内の内視鏡検査が行われる。その結果、ポリープPその他、切除すべき体内組織の存在が検出されると、この体内組織を切除して回収する操作を行う。
【0016】
このためには、第2の処置具挿通チャンネル5内に挿入されている切除片回収具10を押し出すようにして、この第2の処置具挿通チャンネル5から体腔の内部に取り出す。この操作は、例えばこの第2の処置具挿通チャンネル5内に先端部分が膨出した処置具等、好ましくは図11に示した把持鉗子7を挿入することにより行うことができる。また、この鉗子を第2の処置具挿通チャンネル5から導出させることにより、巻き込まれた状態となっている切除片回収具10を押し広げる。
【0017】
図11と同様の操作によって、ポリープ等、切除すべき体内組織に対する切除が行われ、把持鉗子7により体内組織を把持して高周波スネア6の作用で切除した体内組織の切除片は把持鉗子7に把持された状態に保たれる。この状態で、図3に示したように、高周波スネア6を一度回収して、第1の処置具挿通チャンネル4から切除片回収具10を構成する区画収容部12に設けた導入部11aを開くための開放用操作部材として、例えば把持爪がほぼ180°にまで開くようになった鉗子8を挿入して、それを第1の処置具挿通チャンネル4から導出させる。そして、この鉗子8により切除片回収具10の袋本体11に形成したいずれかの区画収容部12の内部を開放して、把持鉗子7に把持されている切除片Sをこの区画収容部12の内部に挿入する。ここで、最初に収容させる区画収容部12は、最先端に位置するものであるのが望ましい。つまり、区画収容部12の導入部11aを開く際には、挿通部13に挿通させた操作紐14に引っ張り力が作用することになるが、この操作紐14には、この最先端の区画収容部12より前方にループ状の余長が設けられているので、導入部11aを開く際に、この余長分が円滑かつ確実に手繰り寄せられる。
【0018】
以上のようにして1回の体内組織の切除が完了した後に、鉗子8により最先端の区画収容部12から2番目の収容区画部12を開くように操作する。これによって、最先端の区画収容部12から操作紐14が手繰り寄せられて、最先端の区画収容部12がほぼ閉鎖状態になると共に、この2番目の収容区画部12が開かれる。そこで、鉗子8を第1の処置具挿通チャンネル4から取り出して、再び高周波スネア6を第1の処置具挿通チャンネル4から導出させれば、そのままで新たな体内組織の切除を行うことができ、かつ前述と同様の操作を行うことによって、他の区画収容部12に切除した体内組織を収容させることができる。このようにして、切除片回収具10において、複数設けた区画収容部12には、先端から順次切除片Sが挿入され、全ての区画収容部12内に切除片Sが収容されるまで、内視鏡の挿入部1を体腔内に配置したままで繰り返し体内組織の切除及びその切除片Sの各区画収容部12への収容を行うことができる。
【0019】
切除片回収具10を構成する全ての区画収容部12内に切除片Sが収容されると、この切除片回収具10を体内から取り出す。このためには、まず各区画収容部12の導入部11aを完全に閉鎖しなければならない。導入部11aが開放された状態または操作紐14が緩んだ状態で切除片回収具10を取り出すと、区画収容部12の内容物が導入部11aから溢出するおそれがあるからである。このために、鉗子8を用いて、操作紐14の自由端を第2の処置具挿通チャンネル4内に引き込むように操作する。その結果、切除片回収具10は第2の処置具挿通チャンネル4内に引き込まれようとする。ただし、この切除片回収具10は第2の処置具挿通チャンネル4の内径より十分大きいものであり、従ってこの第2の処置具挿通チャンネル4の開口端部分に引っ掛かって、内部に引き込まれない。従って、操作紐14が引き絞られて、図4に示したように、袋本体11における導入部11aが縮小することになり、導入部11aが閉鎖されて、例えば止血クリップ15等により袋本体11の導入部11a全体が閉鎖された状態に保持できることになる。
【0020】
そこで、鉗子8により操作紐14を把持させて、挿入部1を体腔内から引き抜くように操作することによって、切除片回収具10の各区画収容部12に収容された複数の切除片Sを同時に回収することができる。而して、各区画収容部12は閉鎖された状態になっているので、これら各区画収容部12の内容物である切除片S及びその血液等が漏れ出すのを確実に防止でき、健康な組織等に病変した組織等が付着するおそれはない。しかも、複数の切除片Sはそれぞれ独立した区画収容部12に収容されて、分離した状態で回収できることから、回収後に確実に切除箇所毎に分けて種々の検査等を行うことができる。また、1回の切除毎に挿入部1を体内に挿脱する必要がないので、円滑かつ迅速な体内組織の切除を行うことができ、患者の苦痛を大幅に軽減できる等、処置の効率化が図られる。
【0021】
ところで、前述した実施の形態においては、切除片回収具10における各区画収容部12の導入部11aを開く操作を鉗子等の開放用操作部材を用いて行うことから、1回の切除毎に高周波切除具と開閉操作用の鉗子とを交換して挿入しなければならないが、切除回収具10の開閉を遠隔操作により行うようにすれば、高周波切除具としての高周波スネア6の処置具挿通チャンネルへの抜き差しを行う必要がなくなる。このためには、切除片回収具を図5乃至図9に示したように構成することができる。
【0022】
まず、図5及び図6において、20は切除片回収具であり、この切除片回収具20を構成する袋本体21は、前述した第1の実施の形態における袋本体11と同様、複数の区画収容部22に区画形成されており、またこの袋本体21の一側は開口しており、これが切除片Sの導入部21aとなる。そして、袋本体21における導入部21aを形成した上端縁には左右両側に挿通部23a,23bが設けられている。そして、一方の挿通部23aには、それぞれ区画収容部22毎に分割したばね板24が固着して設けられている。このばね板24は、図7に示したように、湾曲形状となるように癖付けされており、常時においては、同図に実線で示した方向に湾曲するか、または仮想線で示した方向に湾曲するかの状態を保持するものである。そして、実線で示した状態に湾曲しているばね板24に対して矢印方向に外力を作用させると、一点鎖線で示した真直ぐな状態が死点位置となり、この死点位置を越えると、二点鎖線で示した状態になって安定する。挿通部23a,23bに挿通される開閉操作部材としては、挿通部23a側では各区画収容部22毎に相手方の挿通部23bから離間する方向に湾曲する湾曲部25aを有する固定側杆部材25となっている。これに対して、各区画収容部22毎にばね板24を装着されている側の挿通部23b内には、開閉操作用杆部材26が挿通されている。そして、この開閉操作用杆部材26には、その先端部分に1箇所湾曲部26aが形成されている。そして、固定側杆部材25は支持筒27に固定状態にして挿通されており、また開閉操作用杆部材26は、この支持筒27に対して押し引き及び軸回りに回動可能に挿通されている。
【0023】
切除片回収具20を用いると、開閉操作用杆部材26を支持筒27に対して押し引き及び軸回りへの回動操作を行うことによって、この切除片回収具20を構成する各区画収容部22の導入部21aを開閉操作することができ、しかも開閉操作用杆部材26の基端部を操作することにより遠隔操作で各区画収容部22を開閉することができる。即ち、開閉操作用杆部材26の先端における湾曲部26aを挿通部23a側に挿通されている固定側杆部材25のいずれかの湾曲部25aと対面させて、湾曲部26aを湾曲部25aとは反対方向に湾曲させると、当該の区画収容部22の導入部21aが開いて、内部に切除片Sを挿入することができる。そして、切除片Sが収容された後に、開閉操作用杆部材26を180°回転させると、ばね板24が反対方向に湾曲することになる。そして、開閉操作用杆部材26を引き戻すように操作して、ばね板24を自由状態にすると、ばね板24は固定側杆部材25の湾曲部25aにほぼ接触する状態で安定する。さらに、図6において、27は固定側杆部材25及び開閉操作用杆部材26を挿通させる支持筒であり、固定側杆部材25はこの支持筒27に対して固定されており、また開閉操作用杆部材26は支持筒27に対して軸回りに回転でき、かつ軸線方向に移動可能となっている。
【0024】
従って、図8に示したように、開閉操作用杆部材26を袋本体21における最先端位置の区画収容部22に相当する位置でその湾曲部26aを固定側杆部材25のこの位置における湾曲部25aの湾曲方向とは反対方向に湾曲する状態に配置する。これによって、最先端位置の区画収容部22は大きく開口し、切除片Sを容易に挿入することができることになる。切除片Sが収容された後に、開閉操作用杆部材26を180°回転させた後に、区画収容部22の1箇所の長さ分だけ引き戻して、さらに180°回転させることによって、図9に示したように、最先端の区画収容部22に設けたばね板24が固定側杆部材25における凹状に湾曲している湾曲部25a内に向けて凸状に突出するように湾曲して、この最先端の区画収容部22が閉鎖され、かつ先端から2番目の区画収容部22のばね板24は固定側杆部材25の湾曲部25aに対して反対方向に湾曲することにより、この2番目の区画収容部22が開かれることになる。さらに、開閉操作用杆部材26をもう一度180°回転させ、この2番目の区画収容部22を閉じた後に、それを1ピッチ分だけ引き戻すように操作することによって、袋本体21に設けた複数の区画収容部22の導入部21aを順次開閉させることができる。なお、これら図8及び図9においては、袋本体21の図示は省略され、区画収容部22を開閉操作するための手段のみが示されている。
【0025】
ここで、導入部21aを閉鎖した時に、当該の区画収容部22をほぼ密閉状態にするには、ばね板24の曲率と、固定側杆部材25の湾曲部25aの曲率とをほぼ同じにすれば良い。また、開閉操作用杆部材26を1つの挿通部23bから引き戻す際に、ばね板24が大きく変形しないように安定させるために、その湾曲形状の最外側への膨出部から先端側における長さを短くする。
【0026】
この切除片回収具20を用いることによって、区画収容部22の導入部21aを開放する手段を処置具挿通チャンネルに挿通させる必要がなくなる。従って、切除すべき体内組織を把持するための把持鉗子7を第2の処置具挿通チャンネル5から、またこの体内組織を切除する高周波スネア6を第1の処置具挿通チャンネル4からそれぞれ導出させたままで、次々に体内組織の切除を行い、その切除片Sを各区画収容部22内に挿入して回収することができる。その結果、体腔内に散在するポリープ等を迅速かつ効率的に切除する処置を行うことができ、術者及び患者の苦痛なり負担なりを著しく軽減できる。
【0027】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成したので、体腔内において、ポリープ等の体内組織を切除するに当って、内視鏡の挿入部を体内に挿入したままで、複数の切除片をそれぞれ分離した状態で回収でき、かつ体外に取り出す際に、この体内組織及びそれに含まれる血液等が体腔内の他の箇所に付着しないようにして有効に回収できる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す切除片回収具の正面図である。
【図2】図1の切除片回収具を、その操作紐装着部を芯として巻き込んだ状態を示す外観図である。
【図3】第1の実施の形態で使用する切除片回収具に切除片を挿入している状態を示す作動説明図である。
【図4】切除片回収具の導入部を閉鎖した状態を示す作動説明図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す切除片回収具の正面図である。
【図6】図5の切除片回収具を構成する各部を分解して示す平面図である。
【図7】ばね板の作動状態を示す説明図である。
【図8】第2の実施の形態による切除片回収具の最先端の区画収容部における開口を開いた状態を示す作用説明図である。
【図9】図8の状態から最先端の区画収容部を閉鎖し、2番目の区画収容部の開口を開くように操作した状態を示す作用説明図である。
【図10】内視鏡の挿入部の先端部分を示す外観図である。
【図11】体内組織におけるポリープを切除している状態を示す作用説明図である。
【符号の説明】
1 挿入部 4 第1の処置具挿通チャンネル
5 第2の処置具挿通チャンネル 6 高周波スネア
7 把持鉗子 8 鉗子
10,20 切除片回収具 11,21 袋本体
11a,21a 開口 12,22 区画収容部
13a,13b,23a,23b 挿通部 14 操作紐
15 クリップ 24 ばね板
25 固定側杆部材 26 開閉操作用杆部材
25a,26a 湾曲部

Claims (5)

  1. 一側に導入部が形成され、切除片を個別的に回収するための導入部をそれぞれ形成した複数の収容区画部を複数連設した袋本体と、
    この袋本体の開口縁部に設けた挿通部と、
    前記挿通部に装着され、前記切除片を挿入するために、前記各収容区画部の導入部をそれぞれ開放することができ、また全ての収容区画部の導入部を閉鎖する状態に保持可能な開閉操作部材と
    を備える構成としたことを特徴とする切除片回収具。
  2. 前記開閉操作部材は、前記挿通部内に挿通させた操作紐を有し、この操作紐の一端は、前記複数の収容区画部のうちの基端側に位置する収容区画部に固定した固定端となし、この固定端から一側の挿通部を通って先端の収容区画部から導出させてループ状の余長を設けた状態で折り返して、前記各収容区画部の他側の挿通部に挿通されて、基端位置の収容区画部から導出させて、他端を自由端としたもので構成し、前記余長は前記いずれかの収容部を開く際に手繰り寄せられる長さとしたことを特徴とする請求項1記載の切除片回収具。
  3. 前記操作紐の前記固定端位置にクリップを設け、この操作紐の折り返した部位を前記クリップに挿通させ、このクリップは前記操作紐を摺動可能に係止する構成としたことを特徴とする請求項2記載の切除片回収具。
  4. 前記開閉操作部材は、前記各収容区画部を開放する操作と、前記操作紐の自由端を把持する操作とを行う開放用操作部材を備え、この開放用操作部材は内視鏡の処置具挿通チャンネル内に挿通されるものであることを特徴とする請求項2または請求項3記載の切除片回収具。
  5. 前記挿通部のうち、一側の挿通部には各収容区画部にそれぞれ湾曲形状のばね板と開閉操作用杆部材とを装着し、他側の挿通部には各収容区画部内の位置に湾曲部を形成した固定側杆部材を挿通させ、前記開閉操作用杆部材は、前記ばね板の曲げ方向を変化させるもので構成したことを特徴とする請求項1記載の切除片回収具。
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