JP3968769B2 - 渦流量計 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、小口径の管路に流れる流体の流量を測定する小型プラスチック渦流量計に関し、特に、渦検出器の構造を改善することによって耐圧特性を向上させることが可能な渦流量計に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来の小型プラスチック渦流量計の構成について、図２を用いて説明する。
【０００３】
同図において、小型プラスチック渦流量計の管路１内には、渦発生体３が備えられており、この後方には、圧電素子４がボディ５と同材質のさや６内部に接着された渦検出器７が備えられている。
【０００４】
ボディ５とさや６の材質は、測定流体２が一般工業用水の場合は、例えばＰＰＳ樹脂が用いられ、測定流体２が純水や薬液の場合は、例えばＰＦＡ樹脂が用いられる。
【０００５】
渦検出器７は、図３に示すようなフランジ部７ａを備えたＴ字型の断面形状を成しており、ボディ５の上部に設けられた貫通孔８から管路１に挿入され、タッピングネジ９によってボディ５に固定されている。また、ボディ５と渦検出器７は、オーリング１０によってシールされ、測定流体２が、ボディ５の外部に漏出することを防止している。
【０００６】
以上のような構成において、小型プラスチック渦流量計の管路１に測定流体２が流れると、渦発生体３によりカルマン渦が発生し、このカルマン渦により圧電素子４に作用する交番力を信号処理回路１１によって検出し、測定流体２の流量を測定することができる。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プラスチック樹脂は高温時に軟化する性質があるため、従来の小型プラスチック渦流量計では、測定流体２が高温または過大圧であった場合、図４に示すように、渦検出器７に上方に向けて応力Ｆが加わり、図５に示すように渦検出器７の固定端が持ち上がるかたちで破損する場合があるという問題点があった。この場合、オーリングによるシールが破れ、測定流体２がボディ５の外部に漏出してしまう場合がある。
【０００８】
本発明は、上記課題を解決するもので、渦検出器の形状を改善することにより、管路内の内圧に対する小型プラスチック渦流量計の剛性を高め、測定流体の漏れ破壊を防止することが可能な小型プラスチック渦流量計を提供することを目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために請求項１に記載の発明では、
測定管路に直交して設けられた柱状の渦発生体と、圧電素子が埋設され前記渦発生体の下流に設けられた渦検出器とを具備し、カルマン渦により前記圧電素子に作用する交番力を検出して流量を測定する渦流量計において、
前記渦検出器は、一端にフランジ部を有するとともに、外周に段差形状の凸部が形成され、前記渦流量計は、ボディに段差を有する貫通穴が形成されており、前記渦検出器の他端を前記段差を有する貫通孔に挿入したときに、前記渦検出器に形成された凸部が前記貫通孔の段差部分で密着固定されるとともに、前記フランジ部が複数のねじにより前記渦流量計のボディにねじ止めされる構成とされ、前記ねじのねじ頭あるいはワッシャの外周部が前記渦検出器に形成された段差形状の凸部の外周より内周側に位置するように形成したことを特徴とするものである。
【００１０】
請求項２に記載の発明では、請求項１に記載の発明において、前記貫通孔の底部に設けられ前記測定管路と前記渦検出器とをシールするシール体を具備したことを特徴とするものである。
【００１１】
請求項３に記載の発明では、請求項１に記載の発明において、前記シール体は、オーリングよりなるシール体であることを特徴とするものである。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下図面を用いて本発明を詳しく説明する。図１は本発明に係る小型プラスチック渦流量計の要部構成説明図である。尚、同図において、従来例と同様の構成要素は同一の符号を付し説明を省略する。
【００１３】
同図に示す図は、本発明の小型プラスチック渦流量計に備えられた渦検出器２０の断面図であるが、同図における渦検出器２０は、段差形状部２１を備えており、このような形状の渦検出器２０がオーリング１０を挿んでボティ５に挿入されている。
【００１４】
本発明の小型プラスチック渦流量計では、渦検出器２０を上記のような形状にすることにより、定性的には、渦検出器２０の上面に加わる応力Ｆの位置は、図４に示した従来例においてＬ１の位置から、図１におけるＬ２の位置に移動する。
【００１５】
この結果、渦検出器２０の上面に加わる応力Ｆの曲げモーメントが従来のＬ１から本発明のＬ２となり、半分程度に短縮される。
【００１６】
従って、本発明の小型プラスチック渦流量計では、従来のＴ字型の渦検出器２０に比べ、樹脂厚を増すことなく渦検出器２０の上面に加わる応力Ｆに対する剛性を高めることが可能になる。
【００１７】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。したがって本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形をも含むものである。
【００１８】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば次のような効果がある。請求項１に記載の発明では、測定管路に直交して設けられた柱状の渦発生体と、圧電素子が埋設され前記渦発生体の下流に設けられた渦検出器とを具備し、カルマン渦により前記圧電素子に作用する交番力を検出して流量を測定する渦流量計において、
前記渦検出器は、一端にフランジ部を有するとともに、外周に段差形状の凸部が形成され、前記渦流量計は、ボディに段差を有する貫通穴が形成されており、前記渦検出器の他端を前記段差を有する貫通孔に挿入したときに、前記渦検出器に形成された凸部が前記貫通孔の段差部分で密着固定されるとともに、前記フランジ部が複数のねじにより前記渦流量計のボディにねじ止めされる構成とされ、前記ねじのねじ頭あるいはワッシャの外周部が前記渦検出器に形成された段差形状の凸部の外周より内周側に位置するように形成したので、従来のＴ字形状のものに比べ、測定流体の過大圧に対する剛性を高めることが可能になる。
【００１９】
また、プラスチック樹脂は、高温時に軟化する性質があるため、従来の小型プラスチック渦流量計では測定流体が高温の場合、対応できない場合があったが、本発明の構成では、剛性を高めることが可能となるため、より高い流体温度、環境温度に対応することが可能な小型プラスチック渦流量計を実現することが可能となる。
【００２０】
更に、本発明の構成では、、耐圧剛性を高めることができるため、従来の小型プラスチック渦流量計に比べ、測定流体の圧力が同一であれば樹脂厚を薄くすることができる。従って、小型プラスチック渦流量計の樹脂ボティの成形コストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る小型プラスチック渦流量計の一実施例を示す構成図である。
【図２】従来の小型プラスチック渦流量計の一例を示す図である。
【図３】従来の渦検出器の構成を示す図である。
【図４】従来の小型プラスチック渦流量計の問題点を説明する図である。
【図５】従来の小型プラスチック渦流量計の問題点を説明する図である。
【符号の説明】
１ 管路
２ 測定流体
３ 渦発生体
４ 圧電素子
５ ボディ
６ さや
７、２０ 渦検出器
７ａ フランジ部
８ 貫通孔
９ タッピングネジ
１０ オーリング
１１ 信号処理回路
２１ 段差形状部

Claims (3)

1. 測定管路に直交して設けられた柱状の渦発生体と、圧電素子が埋設され前記渦発生体の下流に設けられた渦検出器とを具備し、カルマン渦により前記圧電素子に作用する交番力を検出して流量を測定する渦流量計において、
   前記渦検出器は、一端にフランジ部を有するとともに、外周に段差形状の凸部が形成され、前記渦流量計は、ボディに段差を有する貫通穴が形成されており、前記渦検出器の他端を前記段差を有する貫通孔に挿入したときに、前記渦検出器に形成された凸部が前記貫通孔の段差部分で密着固定されるとともに、前記フランジ部が複数のねじにより前記渦流量計のボディにねじ止めされる構成とされ、前記ねじのねじ頭あるいはワッシャの外周部が前記渦検出器に形成された段差形状の凸部の外周より内周側に位置するように形成したことを特徴とする渦流量計。
2. 前記貫通孔の底部に設けられ前記測定管路と前記渦検出器とをシールするシール体を具備したことを特徴とする請求項１記載の渦流量計。
3. 前記シール体は、オーリングよりなるシール体であることを特徴とする請求項２記載の渦流量計。

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