JP3968629B2 - 蛍光画像計測装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、DNAやRNA、蛋白等のバイオチップを計測する蛍光画像計測装置に関し、特にサンプルの位置決めに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば落射型共焦点レーザ顕微鏡を利用して蛍光画像を計測するいわゆる蛍光画像計測装置はよく知られている。その落射型共焦点レーザ顕微鏡としては例えば本願出願人が出願した特開平5−60980号に記載の「共焦点用光スキャナ」がある。
【0003】
このような装置でサンプルの位置決めを行なうには専用の位置決め手段が必要である。上記の共焦点用光スキャナにはそのような位置決め手段は示されていないが、例えば学際企画(株)発行の「共焦点レーザ顕微鏡の医学・生物学への応用」(平成7年3月28日発行)の第10〜11頁に記載されたような透過照明による位置決め方式を適用すれば実現することができる。
【0004】
はその一具体例である。レーザ光(励起光)は、集光ディスク1に形成された複数個のマイクロレンズ2によりそれぞれ絞られ、ピンホールディスク4のピンホール上に集光する。この集光ディスク1とピンホールディスク4とは、複数のマイクロレンズの焦点位置にピンホールがそれぞれ配置されるようにドラム5を介して連結され、一体に回転する。
【0005】
ピンホールから出射した励起光はレンズ6で平行光となり、その後対物レンズ8によりサンプル9上に集光する。サンプル9に付着された蛍光物質が励起光で照射されると蛍光が発生する。その蛍光は対物レンズ8およびレンズ6を通ってピンホールディスク4のピンホール上に集光し、ここにサンプル面の蛍光像が結像される。
【0006】
ピンホールを通過した蛍光は集光ディスク1とピンホールディスク4の間に配置されたダイクロイックミラー3で反射し、レンズ11およびバリアフィルタ12を通ってカメラ13の受光面に結像する。バリアフィルタ12は、蛍光は通すがそれ以外の波長の背景光は除去するフィルタである。なお、ビームスプリッタ7は、蛍光測定の際には光路から外される。
【0007】
このような構成によれば、レーザ光(マルチビーム)で光走査し、サンプル9面の蛍光像をカメラ13で撮影することができる。このとき、観察に先立って行なうサンプル9の水平方向(光軸に直角な方向:以下XY方向という)および垂直方向(光軸方向:以下Z方向という)の位置合わせ(位置決め)は次のように行われる。
【0008】
ビームスプリッタ7を光路に挿入した状態で、サンプル9の下面側に配置された照明系からサンプル9に光スポットを当て、サンプル9上面のスポット像を観察系を通して目視で確認する。照明系としては、図示のように照明光源14からの光をレンズ15で平行光にした後、ケーラー照明としてサンプル9を照明する。
【0009】
サンプル9の試料により吸収や散乱された光はサンプル面から上側に出て対物レンズ8に入り、ビームスプリッタ7で反射した後レンズ10に導かれる。これにより、レンズ10を通してサンプル上の像を目視により観察することができる。
【0010】
サンプル9のXY方向の位置合わせ時は、移動機構によりサンプル9をXY方向に移動させて、サンプルの観測部分を位置決めする。なお、移動機構は周知のものが利用できるためその構成についての説明および図示は省略してある。細胞内の特定の蛋白の移動などを蛍光で観測する用途が多いが、この場合、蛍光だけでは細胞全体を観察できない。本方式では透過像で細胞全体を観察できるため、細胞を画面中央に移動させることも容易である。
【0011】
また、サンプル9のZ方向の位置合わせを行なう場合は、サンプル9をZ方向に移動させて(移動機構は図示せず)、観測される像がもっとも鮮明となる位置に合わせる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような位置決め機構は、操作性が悪いばかりでなく、構成が大型化し高価にもなり、加えてビームスプリッタの光路からの除去や挿入という手間もかかるという課題があった。
【0013】
本発明の目的は、上記の課題を解決するもので、簡単で安価な構成であって、サンプルの位置決めを容易に行なうことのできる蛍光画像計測装置を実現することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、請求項1の発明では、
2次元状に広がるサンプルに励起光を照射しサンプルに付着した蛍光物質から発生する蛍光を計測することによりサンプルを検出するようにした蛍光画像計測装置において、
前記サンプルにはマイクロレンズによりマルチビーム化された励起光が照射されて共焦点光スキャナで光走査されるように構成され、前記サンプル表面で反射した励起光を受光する2次元状の受光素子を備えるとともに、前記サンプルの後段に配置されサンプルを透過した励起光を受光するカメラを備え、このカメラによる観察像に基づいてXY方向の位置合わせに関しては前記サンプル若しくは前記サンプルの前段に配置された対物レンズの位置を移動させ、Z方向の位置合わせに関しては前記サンプルの前段に配置された対物レンズ若しくはオートフォーカス機構によりサンプルを光軸方向に移動させるように構成されたことを特徴とする
【0015】
このような構成によれば、従来利用していなかった、サンプルを通過した励起光を巧みに利用してサンプルの位置決めを行なうことができる。
【0016】
この場合のサンプルの光軸方向への移動は、オートフォーカス機構を用いて行えるようにすれば、サンプルの光軸方向への位置決めが自動化され操作性が良くなる。
【0017】
また、サンプルを照射する励起光は、マイクロレンズによるマルチビーム化された励起光である。そして、マルチビームでの照射は、共焦点光スキャナでの光走査、あるいは請求項のようにマルチビームにより同時にサンプルを照射する非走査型のいずれでも良い。マルチビームで走査する場合は、光源としてレーザ光を用いてもカメラの観察像にスペックルが生じないという利点もある。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下図面を用いて本発明を詳しく説明する。図1は本発明に係る蛍光画像計測装置の一実施例を示す構成図である。図において図と同等部分には同一符号を付し、その部分の説明は省略する。図1において、図と異なるところは、照明光源14、レンズ15からなる照明系部分と、ビームスプリッタ7およびレンズ10からなる光スポット観察系部分を除去し、それに代わって、レンズ21と、2次元の受光素子を持つカメラ22を用いた点である。
【0019】
レンズ21はサンプル9を透過した励起光をカメラ22の受光面に集光する。これにより、2次元状に広がるサンプルが励起光のマルチビームでそれぞれ照射され、そのサンプル像をカメラ22で観察することができる。この場合、サンプル9のスライスではない全体像を観察することもできる。
【0020】
なお、マルチビームでサンプル9を走査するため、光源にレーザを用いてもカメラ22の観察像にはスペックルは生じない。従来の共焦点蛍光顕微鏡ではサンプル9を透過した励起光は利用しないが、本発明ではこれを活用してサンプル9の位置合わせを行なっており、その点が本発明の特徴である。
【0021】
サンプル9のXY方向の位置合わせはカメラ22による観察像を確認して行なう。また、Z方向の位置合わせはオートフォーカス機構(図示せず)により行なうことができる。なお、XYZ方向の移動はサンプルばかりでなく、対物レンズ8をXYZ方向に動かすことで励起光側を移動するようにしてもよい。
【0022】
オートフォーカス機構としては、例えば最大コントラスト法による場合は、カメラ22の観察像において像の明暗の振幅が最大となるようにサンプルのZ方向の移動を自動制御する機構が適用できる。
【0023】
図2は本発明の他の実施例図である。図1が光走査型(スキャン型)の共焦点顕微鏡であるのに対し、図2は非光走査型(スキャンレス型)の顕微鏡の場合である。図2において図1と同等部分には同一符号を付し、その部分の説明は省略する。
【0024】
図2において、21は透明な基板に複数のマイクロレンズ22が配置された集光基板である。23はサンプルであり、例えば2次元状に試料が配列されたDNAチップあるいはDNAマイクロアレイ等が適用可能である。この場合、マイクロレンズ22とサンプル23のサイトとは一対一に対応した位置関係で配置されている。
【0025】
このような構成においては、集光基板21の上方から入射されるレーザ光(励起光)は各マイクロレンズ22によりそれぞれ集光され、この集光ビームでサンプル23の各サイトがそれぞれ照射される。その後は図1の場合と同様であって、サンプル23から発生する蛍光はダイクロイックミラー3で反射され、レンズ11に入射して集光され、バリアフィルタ12を通過してカメラ13の受光素子上に結像する。
【0026】
他方、サンプル23を透過した励起光はレンズ24によりカメラ25の受光素子面に集光する。この受光素子面の観察像をもとにサンプル23の位置合わせが行われる。サンプルの位置合わせは図1の場合と同様であって、XY方向についてはカメラ25の観察像を確認しながら行ない、Z方向については観察像に基づいて作動するオートフォーカス機構により自動的に位置が決定される。
【0027】
このようなスキャンレス型の蛍光顕微鏡では、ビームとサイトの位置関係が一致している必要があり、図2のこのような構成による位置合わせは極めて有用である。なお、サンプル23側にXYZ位置決め用マーカを用意して、このマーカを基準にしてXYZ方向の位置合わせを行なうようにしてもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば次のような効果がある。
(1)従来利用されなかったサンプルを透過した励起光を利用してサンプルの位置合わせを容易に行なうことができる。
(2)サンプルの位置合わせ用の構成が従来よりも簡単でしかも安価であり、また操作性に優れた蛍光画像計測装置を容易に実現でき、実用に供してその効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る蛍光画像計測装置の一実施例を示す構成図である。
【図2】 本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図3】 従来装置の組み合わせで実現できる蛍光画像計測装置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 集光ディスク
2,22 マイクロレンズ
3 ダイクロイックミラー
4 ピンホールディスク
5 ドラム
6,11,24,31,32 レンズ
7 ビームスプリッタ
8 対物レンズ
9,23 サンプル
12 バリアフィルタ
13,22,25 カメラ
21 集光基板

Claims (3)

  1. 2次元状に広がるサンプルに励起光を照射しサンプルに付着した蛍光物質から発生する蛍光を計測することによりサンプルを検出するようにした蛍光画像計測装置において、
    前記サンプルにはマイクロレンズによりマルチビーム化された励起光が照射されて共焦点光スキャナで光走査されるように構成され、前記サンプル表面で反射した励起光を受光する2次元状の受光素子を備えるとともに、前記サンプルの後段に配置されサンプルを透過した励起光を受光するカメラを備え、このカメラによる観察像に基づいてXY方向の位置合わせに関しては前記サンプル若しくは前記サンプルの前段に配置された対物レンズの位置を移動させ、Z方向の位置合わせに関しては前記サンプルの前段に配置された対物レンズ若しくはオートフォーカス機構によりサンプルを光軸方向に移動させるように構成されたことを特徴とする蛍光画像計測装置。
  2. 前記サンプルがマルチビームにより同時に照射されるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の蛍光画像計測装置。
  3. 前記サンプルにはXYZ方向の位置決め用のマーカが設けられ、このマーカを基準にしてXYZ方向の位置合わせを行なうようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光画像計測装置。
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