JP3968562B2 - プリント配線板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板およびその製造方法に関し、さらに詳しく言えば、導通スルーホール上にもスルーホール接続配線と異なる配線パターンを形成し得るようにしたプリント配線板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
両面プリント配線板や多層プリント配線板において、多くの場合、導通スルーホールは、基板の異なる面に形成されている配線間を電気的に接続する目的で設けられている。
【0003】
導通スルーホールは、基板にプレスやドリルなどで孔を開け、その孔内に無電解めっきと電気めっきとを併用して、もしくは無電解めっきのみにより導体層を形成してなり、この導体層を介して基板の異なる面に存在する配線間の電気的な接続が行われる。
【0004】
したがって、導通スルーホール上には配線を通すことができないため、やむなく導通スルーホールを迂回して配線しなければならない。なお、導体層を形成した後、導通スルーホール内に孔埋め材を充填する場合もあるが、この場合においても、導通スルーホールの周縁には銅メッキが存在しているため、導通スルーホール上にはスルーホール接続配線と異なる配線を通すことができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、導通スルーホールは配線密度を上げることに対しての支障となっている。したがって、本発明の課題は、導通スルーホール上にもスルーホール接続配線と異なる配線パターンを形成し得るようにして、配線密度および設計の自由度を高めることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のプリント配線板は、導通スルーホールを有する絶縁性基板を備え、上記導通スルーホール内には、その内周面のうちの一部周面の全周にわたって上記導通スルーホールの軸長よりも短い線幅の中継めっき層が一連の環状に形成されており、上記絶縁性基板の表裏両面には、各端部が上記導通スルーホール内に入り込んで上記中継めっき層に接続され、上記中継めっき層を介して互いに導通する所定の配線パターンがそれぞれ形成されているとともに、上記導通スルーホール内には、絶縁性の永久孔埋め材が充填されていることを特徴としている。
【0007】
このように、導通スルーホール内の一部分に中継めっき層を形成したことにより、導通スルーホールの周縁には、部分的にスルーホール接続配線の各端部のみが存在し、しかも導通スルーホールが永久孔埋め材によって塞がれているため、スルーホール上にもスルーホール接続配線と異なる配線を通すことができる。
【0008】
導通スルーホール上にスルーホール接続配線と異なる配線を通すにあたって、永久孔埋め材は、配線パターンの形成面と実質的に同一面となるように導通スルーホール内に充填されることが好ましい。
【0009】
また、本発明は、プリント配線板の製造方法にも特徴を有している。すなわち、本発明の製造方法は、導通用のスルーホールを有する電気絶縁性基板の表裏両面および上記スルーホール内に第1めっき層を形成する第1工程と、上記スルーホール内にエッチングレジストインク材を充填して上記スルーホール内の第1めっき層の一部分を被覆する第2工程と、上記電気絶縁性基板の表裏両面から上記スルーホール内の上記エッチングレジストインク材にかけての上記第1めっき層上に所定のパターンでエッチングレジスト膜を形成する第3工程と、露出している上記第1めっき層をエッチングにより除去して、上記スルーホール内に表裏両面の上記第1めっき層に連なる環状の中継めっき層を形成した後、上記エッチングレジストインク材および上記エッチングレジスト膜を除去する第4工程と、上記スルーホール内に電気絶縁性の永久孔埋め材を充填し、その両面を上記第1めっき層と実質的に同一面となるように研磨する第5工程と、上記電気絶縁性基板の表裏両面の上記第1めっき層および上記永久孔埋め材上に第2めっき層を形成する第6工程と、上記第2めっき層上に、所定のパターンをもってエッチングレジスト膜を成膜し、上記第2めっき層および上記第1めっき層をエッチングして、上記スルーホール内の上記中継めっき層を介して互いに導通する表裏両面のスルーホール接続配線パターンおよび上記永久孔埋め材上に上記スルーホール接続配線パターンとは異なる配線パターンを形成する第7工程とを含み、上記各工程をこの順序で実施することを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面(図1〜図17)を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図1ないし図9は各製造工程における基板の斜視図で、図10ないし図17は図2ないし図9に対応する基板の断面図である。
【0011】
まず、図1に示すように、絶縁性基板10に導通用のスルーホール11を穿設したのち、絶縁性基板10の表裏両面およびスルーホール11内に第1めっき層12を形成する。第1めっき層12は銅めっき層であることが好ましい。孔明けは、プレスやドリルなどによる。口径は任意に選択されてよい。
【0012】
絶縁性基板10は、ガラス・エポキシ基板やガラス・ポリイミド基板などの樹脂基板もしくはこれらの樹脂基板の表面に銅箔を貼り付けた銅張り積層板、またはアルミナ・セラミック基板などの公知の基板であってよいが、特に好ましいのは両面銅張り積層板である。また、第1めっき層12は、無電解めっきと電気めっきとの併用もしくは無電解めっきのみで形成することができる。なお、絶縁性基板10に両面銅張り積層板を用いる場合には、第1めっき層12は図示省略の銅箔上に形成する。
【0013】
次に、図2および図10に示すように、スルーホール11内に孔埋め材13を充填する。孔埋め材13には、例えばエッチングレジストインク材を用いる。充填方法は、スクリーン印刷法,スキージやローラによる圧入法,ピンによる充填法,基板を孔埋め材内に浸漬する浸漬法などが適用可能であるが、生産性および信頼性の観点からすればスクリーン印刷法が好ましい。
【0014】
次に、図3および図11を参照して、スルーホール11内の中央部分に円盤状の孔埋め材13aを残すように、孔埋め材13の表裏両面側の各一部分を剥離する。この剥離は、例えばアルカリ剥離法によって行うことができる。なお、剥離する深さは片側につき25〜100μmが好ましい。
【0015】
しかる後、図4および図12に示すように、絶縁性基板10の表裏両面にある第1めっき層12上にエッチングレジスト14を形成する。この場合、エッチングレジスト14の一部14aをスルーホール11内の孔埋め材13aにまで形成し、スルーホール11の周辺および内面の残余の部分の第1めっき層12を露出させる。エッチングレジスト14は印刷による塗膜であってもよいし、感光性ドライフィルムを貼り付けてもよい。
【0016】
エッチングした後、エッチングレジスト14を剥離する。この状態を図5および図13に示す。エッチングにより、それまで孔埋め材13aにて覆われていた部分に、スルーホール11の内周面に沿って中継めっき層12aが環状に形成されるとともに、表裏両面の第1めっき層12の各々が、エッチングレジスト14の一部14aにて覆われていた部分のリードめっき層12bを介して中継めっき層12aに接続される。
【0017】
次に、図6および図14に示すように、スルーホール11内に永久孔埋め材15を充填し、この永久孔埋め材15の両面を第1めっき層12と実質的に同一面となるように研磨する。永久孔埋め材15には、例えばエポキシ系の熱硬化型樹脂を用いることができる。なお、永久孔埋め材とは、以後絶縁性基板10から除去されることのない孔埋め材のことを言う。
【0018】
そして、図7および図15に示すように、絶縁性基板10の表裏両面の第1めっき層12および永久孔埋め材15上に蓋めっきとしての第2めっき層16を形成した後、図8および図16に示すように、第2めっき層16上にエッチングレジスト17a,17bを形成する。第2めっき層16は、無電解めっきと電気めっきを順次行って形成することが好ましい。また、第2めっき層16は、第1めっき層12と同じ材質の金属めっきが好ましく、双方ともに銅めっきであることがより好ましい。
【0019】
この例において、一方のエッチングレジスト17aは、スルーホール11内の中継めっき層12aを介して互いに導通するスルーホール接続配線形成用のレジストであり、他方のエッチングレジスト17bは、スルーホール接続配線と異なる配線で、スルーホール11上を通る別の配線を形成するためのレジストである。エッチングレジスト17a,17bは印刷法によって形成されてもよいが、この例では感光性ドライフィルムを用いている。
【0020】
最後に、エッチングを行い、露出している第2めっき層16およびその下に存在する第1めっき層12をともに除去して、図9および図17に示すように、スルーホール接続配線18aと、スルーホール接続配線18aとは異なるスルーホール11上を通る配線18bとを形成する。
【0021】
なお、スルーホール接続配線18aは、その一部分がリードめっき層12b(図5参照)上を通るように形成され、これにより絶縁性基板10の表裏両面に形成されているスルーホール接続配線18a同士がスルーホール11内の中継めっき層12aを介して互いに導通することになる。
【0022】
また、リードめっき層12bがある部分はスルーホール11の周縁の一部分であり、スルーホール11の周縁の他の部分にはスルーホール11のめっきがないため、リードめっき層12bの部分を避けることにより、スルーホール11上にも別の配線18bを形成することができる。
【0023】
中継めっき層12aから絶縁性基板10の表面側に引き出されているリードめっき層12bと、裏面側に引き出されているリードめっき層12bとの相対的な位置関係および個数などは、スルーホール接続配線18aの引き回しパターンに応じて任意に決められてよい。別の見方をすれば、中継めっき層12aが環状であるため、リードめっき層12bをどこからでも引き出すことができる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、スルーホール上にもスルーホール接続配線と異なる配線を形成することができるため、配線密度をより高めることができ、また、配線設計の自由度が広げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造工程中の第1めっき層形成工程における基板の斜視図。
【図2】本発明の製造工程中のスルーホール孔埋め工程における基板の斜視図。
【図3】本発明の製造工程中の孔埋め材剥離工程における基板の斜視図。
【図4】本発明の製造工程中の第1回目のエッチングレジスト形成工程における基板の斜視図。
【図5】本発明の製造工程中の第1回目のエッチング処理工程における基板の斜視図。
【図6】本発明の製造工程中の永久孔埋め工程における基板の斜視図。
【図7】本発明の製造工程中の第2めっき層形成工程における基板の斜視図。
【図8】本発明の製造工程中の第2回目のエッチングレジスト形成工程における基板の斜視図。
【図9】最終製品形態を示す斜視図。
【図10】図2の断面図。
【図11】図3の断面図。
【図12】図4の断面図。
【図13】図5の断面図。
【図14】図6の断面図。
【図15】図7の断面図。
【図16】図8の断面図。
【図17】図9の断面図。
【符号の説明】
10 絶縁性基板
11 スルーホール
12 第1めっき層
12a 中継めっき層
12b リードめっき層
13,13a 孔埋め材
14,14a エッチングレジスト
15 永久孔埋め材
16 第2めっき層
17a,17b エッチングレジスト
18a スルーホール接続配線
18b 別の配線

Claims (3)

  1. 導通スルーホールを有する絶縁性基板を備え、上記導通スルーホール内には、その内周面のうちの一部周面の全周にわたって上記導通スルーホールの軸長よりも短い線幅の中継めっき層が一連の環状に形成されており、上記絶縁性基板の表裏両面には、各端部が上記導通スルーホール内に入り込んで上記中継めっき層に接続され、上記中継めっき層を介して互いに導通する所定の配線パターンがそれぞれ形成されているとともに、上記導通スルーホール内には、絶縁性の永久孔埋め材が充填されていることを特徴とするプリント配線板。
  2. 上記永久孔埋め材は、上記配線パターンの形成面と実質的に同一面となるように上記導通スルーホール内に充填されており、上記永久孔埋め材上には、上記中継めっき層を介して互いに導通するスルーホール接続配線とは異なる配線パターンが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板。
  3. 導通用のスルーホールを有する電気絶縁性基板の表裏両面および上記スルーホール内に第1めっき層を形成する第1工程と、
    上記スルーホール内にエッチングレジストインク材を充填して上記スルーホール内の第1めっき層の一部分を被覆する第2工程と、
    上記電気絶縁性基板の表裏両面から上記スルーホール内の上記エッチングレジストインク材にかけての上記第1めっき層上に所定のパターンでエッチングレジスト膜を形成する第3工程と、
    露出している上記第1めっき層をエッチングにより除去して、上記スルーホール内に表裏両面の上記第1めっき層に連なる環状の中継めっき層を形成した後、上記エッチングレジストインク材および上記エッチングレジスト膜を除去する第4工程と、
    上記スルーホール内に電気絶縁性の永久孔埋め材を充填し、その両面を上記第1めっき層と実質的に同一面となるように研磨する第5工程と、
    上記電気絶縁性基板の表裏両面の上記第1めっき層および上記永久孔埋め材上に第2めっき層を形成する第6工程と、
    上記第2めっき層上に、所定のパターンをもってエッチングレジスト膜を成膜し、上記第2めっき層および上記第1めっき層をエッチングして、上記スルーホール内の上記中継めっき層を介して互いに導通する表裏両面のスルーホール接続配線パターンおよび上記永久孔埋め材上に上記スルーホール接続配線パターンとは異なる配線パターンを形成する第7工程とを含み、上記各工程をこの順序で実施することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
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