JP3967049B2 - 平版印刷版用原版 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光重合性組成物を用いた平版印刷版用原版に関するものである。特に可視光領域の光線に対して高感度で、機械的強度、特にハイライト特性に優れたネガ型の平版印刷版用原版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ネガ型平版印刷版用原版は広く知られており、ジアゾ樹脂含有型、光重合型、光架橋型等種々の感光層を有するものがある。このような平版印刷版用原版から平版印刷版を作成するには、これらの原版の感光層上に透明のネガフィルム原稿(リスフィルム)をのせ、紫外線を用いて画像露光するのが一般的であり、そのため作業に非常に手間暇がかかっていた。
近年、画像形成技術の発展に伴い、例えば非接触型の投影露光製版や可視光レーザー製版等に適合したある種の高感度な光重合性感光層を用いる事で、細くビームを絞ったレーザー光をその版面上に走査させ、文字原稿、画像原稿などを直接版面上に形成させ、フイルム原稿を用いず直接製版が可能となる。
しかしながら、従来の高感度光重合性の印刷版は感光層と支持体の密着力が必ずしも強力ではないため、高速で大部数の印刷に使用すると、ベタ画像が抜けたり、細線やハイライト部が飛んだりする不具合を生じる。
【0003】
また、印刷時汚れが生じると印刷機上で版面をプレートクリーナーで拭き、インキを除去するが、感光層と支持体の密着力が弱いとハイライト部が飛ぶという問題があった。更に印刷枚数が多い場合、感光層と支持体の密着力が弱いと版面をプレートクリーナーで拭いた場合と同様に細線やハイライト部が除々に飛ぶという問題があった。
【0004】
ところが最近の市場動向として、生産性の向上のため露光時間の短縮化や、レーザーの長寿命化のためになるべく低出力で使用したいなどの要求が強く、直接製版可能な平版印刷版の更なる高感度化は永遠の課題である。しかしながら、感光層と支持体の密着力を十分に出し、印刷途中版面をプレートクリーナー等で拭いても、又数十万枚印刷しても、スタート時の印刷物と調子再現性が同じで、かつ汚れない更なる高感度な光重合性平版印刷版は非常に難しい状況にあった。
【0005】
特許登録第2712564号公報には、耐摩耗性等を向上させる目的で、バインダーとしてアリル基を有するポリウレタン樹脂を感光層に含有させることが記載されている。
しかしながら、この特許登録第2712564号公報に記載の技術を用いても、十分な特性を持つ平版印刷版用原版を得ることはできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、強固な感光層と支持体の密着力により、より高感度でかつ、耐刷性および汚れ性にも優れ、プレートクリーナーで版面のインキを除去しても又多量の印刷を行っても細線やハイライトが飛ばず、直接レーザー書き込みも可能なネガ型光重合性の平版印刷版用原版を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、光重合性感光層のバインダー成分として末端に少なくとも1個のエチレン性不飽和重合性基を有するアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂と光重合開始剤としてチタノセン化合物とを含有することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を成すに至ったものである。
即ち、本発明は、アルミニウム支持体上に、末端に少なくとも1個のエチレン性不飽和重合性基を有するアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂と付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物とチタノセン化合物とを含有する光重合性感光層を有する平版印刷版用原版である。
【0008】
本発明の平版印刷版用原版の作用機構は、明確ではないが、ポリウレタン樹脂が末端に有するエチレン性不飽和重合性基により、ポリウレタン樹脂自身も重合反応してより緻密な架橋構造を形成することができることに加え、光重合開始剤であるチタノセン化合物が2つのラジカルを発生することにより、このチタノセン化合物自身が架橋作用を生じ、さらに緻密な架橋構造を形成することができる、と考えられる。
特許登録第2712564号公報に記載の技術では、光重合開始剤として2つのラジカルを発生するチタノセン化合物を用いていないため、光重合開始剤自身が架橋作用を生じより緻密な架橋構造を形成するということはない。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の平版印刷版用原版について詳細に説明する。
〔末端に少なくとも1個のエチレン性不飽和重合性基を有するアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂
はじめに、本発明の平版印刷版用原版において最も重要な要素である、その光重合性感光層に含有される、末端に少なくとも1個のエチレン性不飽和重合性基を有するアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂について説明する。
本発明の平版印刷版用原版の光重合性感光層の必須成分で使用されるポリウレタン樹脂は、末端に少なくとも1個のエチレン性不飽和重合性基を有しかつアルカリ可溶性であれば、特に限定されないが、下記一般式(1)で表されるジイソシアネート化合物の少なくとも1種と一般式(2)で表されるジオール化合物の少なくとも1種との反応生成物で表される構造単位を基本骨格とし、重合末端となるジイソシアネート化合物由来のイソシアネート基を付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有するモノアルコール化合物、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有するモノアミン化合物で反応させたポリウレタン樹脂であることが好ましい。
【0010】
OCN−X0−NCO (1)
HO−Y0−OH (2)
(式中、X0、Y0は2価の有機残基を表す。)
【0011】
上記ポリウレタン樹脂で、好ましいものは、下記一般式(3)で表されるジイソシアネート化合物と、ポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、またはポリカーボネートジオール化合物の少なくとも1種との反応生成物で表される構造を有するポリウレタン樹脂である。
【0012】
OCN−L1−NCO (3)
【0013】
(式中、L1は置換基を有していてもよい2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示す。必要に応じ、L1中はイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエステル、ウレタン、アミド、ウレイド基を有していてもよい。)
【0014】
前記一般式(3)で示されるジイソシアネート化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のような脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(または2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のような脂環族ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等のようなジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0015】
ジオール化合物としては、広くは、ポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、ポリカーボネートジオール化合物等が挙げられる。
ポリエーテルジオール化合物としては、式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)で表される化合物、及び、末端に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム共重合体が挙げられる。
【0016】
【化1】
Figure 0003967049
【0017】
(式中、R1は水素原子またはメチル基、Xは、以下の基を表す。
【0018】
【化2】
Figure 0003967049
【0019】
a,b,c,d,e,f,gはそれぞれ2以上の整数を示し、好ましくは2〜100の整数である。)
【0020】
式(A)、(B)で表されるポリエーテルジオール化合物としては具体的には以下に示すものが挙げられる。
【0021】
すなわち、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ジ−1,2−プロピレングリコール、トリ−1,2−プロピレングリコール、テトラ−1,2−プロピレングリコール、ヘキサ−1,2−プロピレングリコール、ジ−1,3−プロピレングリコール、トリ−1,3−プロピレングリコール、テトラ−1,3−プロピレングリコール、ジ−1,3−ブチレングリコール、トリ−1,3−ブチレングリコール、ヘキサ−1,3−ブチレングリコール、重量平均分子量1000のポリエチレングリコール、重量平均分子量1500のポリエチレングリコール、重量平均分子量2000のポリエチレングリコール、重量平均分子量3000のポリエチレングリコール、重量平均分子量7500のポリエチレングリコール、重量平均分子量400のポリプロピレングリコール、重量平均分子量700のポリプロピレングリコール、重量平均分子量1000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量2000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量3000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量4000のポリプロピレングリコール等。
【0022】
式(C)で示されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
三洋化成工業(株)製PTMG650,PTMG1000,PTMG2000,PTMG3000等。
式(D)で示されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
三洋化成工業(株)製ニューポールPE−61,ニューポールPE−62,ニューポールPE−64,ニューポールPE−68,ニューポールPE−71,ニューポールPE−74,ニューポールPE−75,ニューポールPE−78,ニューポールPE−108,ニューポールPE−128,ニューポールPE−61等。
【0023】
式(E)で示されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
三洋化成工業(株)製ニューポールBPE−20、ニューポールBPE−20F、ニューポールBPE−20NK、ニューポールBPE−20T、ニューポールBPE−20G、ニューポールBPE−40、ニューポールBPE−60、ニューポールBPE−100、ニューポールBPE−180、ニューポールBPE−2P、ニューポールBPE−23P、ニューポールBPE−3P、ニューポールBPE−5P等。
【0024】
末端に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム共重合体としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
三洋化成工業(株)製ニューポール50HB−100、ニューポール50HB−260、ニューポール50HB−400、ニューポール50HB−660、ニューポール50HB−2000、ニューポール50HB−5100等。
【0025】
ポリエステルジオール化合物としては、式(F)、(G)で表される化合物が挙げられる。
【0026】
【化3】
Figure 0003967049
【0027】
(式中、L2、L3およびL4はそれぞれ同一でも相違してもよく2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示し、L5は2価の脂肪族炭化水素基を示す。好ましくは、L2、L3、L4はそれぞれアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基を示し、L5はアルキレン基を示す。またL2、L3、L4、L5中にはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエーテル、カルボニル、エステル、シアノ、オレフィン、ウレタン、アミド、ウレイド基またはハロゲン原子等が存在していてもよい。n1、n2はそれぞれ2以上の整数であり、好ましくは2〜100の整数を示す。)
【0028】
ポリカーボネートジオール化合物としては、式(H)で表される化合物がある。
【0029】
【化4】
Figure 0003967049
【0030】
(式中、L6はそれぞれ同一でも相違してもよく2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示す。好ましくは、L6はアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基を示す。またL6中にはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエーテル、カルボニル、エステル、シアノ、オレフィン、ウレタン、アミド、ウレイド基またはハロゲン原子等が存在していてもよい。n3は2以上の整数であり、好ましくは2〜100の整数を示す。
【0031】
式(F)、(G)または(H)で示されるジオール化合物としては具体的には以下に示すものが含まれる。具体例中のnは2以上の整数である。
【0032】
【化5】
Figure 0003967049
【0033】
【化6】
Figure 0003967049
【0034】
【化7】
Figure 0003967049
【0035】
【化8】
Figure 0003967049
【0036】
本発明の平版印刷版用原版の光重合性感光層に含有されるウレタンバインダー(ポリウレタン樹脂ともいう)は、より好ましくは、さらにカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂である。好適に使用されるポリウレタン樹脂は、式(I)、(J)、(K)のジオール化合物の少なくとも1種で表される構造単位および/または、テトラカルボン酸2無水物をジオール化合物で開環させた化合物から由来される構造単位を有するポリウレタン樹脂である。
【0037】
【化9】
Figure 0003967049
【0038】
2は水素原子、置換基(例えば、シアノ、ニトロ、ハロゲン原子、(−F、−Cl、−Br、−I)、−CONH2、−COOR3、−OR3、−NHCONHR3、−NHCOOR3、−NHCOR3、−OCONHR3(ここで、R3は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜15のアラルキル基を示す。)などの各基が含まれる。)を有していてもよいアルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ基を示し、好ましくは水素原子、炭素数1〜8個のアルキル、炭素数6〜15個のアリール基を示す。L7、L8、L9はそれぞれ同一でも相違していてもよく、単結合、置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1〜20個のアルキレン基、炭素数6〜15個のアリーレン基、さらに好ましくは炭素数1〜8個のアルキレン基を示す。また必要に応じ、L7、L8、L9中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド、エーテル基を有していてもよい。なおR2、L7、L8、L9のうちの2または3個で環を形成してもよい。
【0039】
Arは置換基を有していてもよい三価の芳香族炭化水素基を示し、好ましくは炭素数6〜15個の芳香族基を示す。
式(I)、(J)または(K)で示されるカルボキシル基を有するジオール化合物としては具体的には以下に示すものが含まれる。
【0040】
すなわち、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド等が挙げられる。
【0041】
本発明において、ポリウレタン樹脂の合成に用いられる好ましいテトラカルボン酸2無水物としては、式(L)、(M)、(N)で示されるものが挙げられる。
【0042】
【化10】
Figure 0003967049
【0043】
式中、L10は単結合、置換基(例えばアルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノ、エステル、アミドの各基が好ましい。)を有していてもよい二価の脂肪族または芳香族炭化水素基、−CO−、−SO−、−SO2−、−O−または−S−を示し、好ましくは単結合、炭素数1〜15個の二価の脂肪族炭化水素基、−CO−、−SO2−、−O−または−S−を示す。R4、R5は同一でも相違していてもよく、水素原子、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、またはハロゲノ基を示し、好ましくは、水素原子、炭素数1〜8個のアルキル、炭素数6〜15個のアリール、炭素数1〜8個のアルコキシまたはハロゲノ基を示す。またL10、R4、R5のうちの2つが結合して環を形成してもよい。R6、R7は同一でも相違していてもよく、水素原子、アルキル、アラルキル、アリールまたはハロゲノ基をを示し、好ましくは水素原子、炭素数1〜8個のアルキル、または炭素数6〜15個のアリール基を示す。またL10、R6、R7のうちの2つが結合して環を形成してもよい。L11、L12は同一でも相違していてもよく、単結合、二重結合、または二価の脂肪族炭化水素基を示し、好ましくは単結合、二重結合、またはメチレン基を示す。Aは単核または多核の芳香環を示す。好ましくは炭素数6〜18個の芳香環を示す。
【0044】
式(L)、(M)または(N)で示される化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−スルホニルジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−[3,3’−(アルキルホスホリルジフェニレン)−ビス(イミノカルボニル)]ジフタル酸二無水物、ヒドロキノンジアセテートとトリメット酸無水物の付加体、ジアセチルジアミンとトリメット酸無水物の付加体などの芳香族テトラカルボン酸二無水物;5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンB−4400)、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物などの脂環族テトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0045】
これらのテトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環された化合物から由来する構造単位をポリウレタン樹脂中に導入する方法としては、例えば以下の方法がある。
a)テトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環させて得られたアルコール末端の化合物と、ジイソシアネート化合物とを反応させる方法。
b)ジイソシアネート化合物をジオール化合物過剰の条件下で反応させ得られたアルコール末端のウレタン化合物と、テトラカルボン酸二無水物とを反応させる方法。
【0046】
またこのとき使用されるジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、p−キシリレングリコール、ジヒドロキシエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4−トリレンジカルバメート、2,4−トリレン−ビス(2−ヒドロキシエチルカルバミド)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−m−キシリレンジカルバメート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート等が挙げられる。
【0047】
また更に、カルボキシル基を有せず、イソシアネートと反応しない他の置換基を有してもよい、その他のジオール化合物を併用することもできる。
このようなジオール化合物としては、以下に示すものが含まれる。
【0048】
HO−L13−O−CO−L14−CO−O−L13−OH (O)
HO−L14−CO−O−L13−OH (P)
【0049】
(式中、L13、L14はそれぞれ同一でも相違していてもよく、置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、などの各基が含まれる。)を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を示す。必要に応じ、L13、L14中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド基などを有していてもよい。なおL13、L14で環を形成してもよい。)
【0050】
また上記式(O)または(P)で示される化合物の具体例としては以下に示すものが含まれる。
【0051】
【化11】
Figure 0003967049
【0052】
【化12】
Figure 0003967049
【0053】
【化13】
Figure 0003967049
【0054】
【化14】
Figure 0003967049
【0055】
また、下記に示すジオール化合物も好適に使用できる。
【0056】
【化15】
Figure 0003967049
【0057】
(式中、R8、R9はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、置換基を有してもよいアルキル基であり、cは2以上の整数を示し、好ましくは2〜100の整数である。)
【0058】
式(Q)、(R)、で示されるジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
すなわち、式(Q)としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール等、式(R)としては、下記に示す化合物等、
【0059】
【化16】
Figure 0003967049
【0060】
また、下記に示すジオール化合物も好適に使用できる。
【0061】
HO−L15−NH−CO−L16−CO−NH−L15−OH (S)
HO−L16−CO−NH−L15−OH (T)
【0062】
(式中、L15、L16はそれぞれ同一でも相違していてもよく、置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、などの各基が含まれる。)を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を示す。必要に応じ、L15、L16中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド基などを有していてもよい。なおL15、L16で環を形成してもよい。)
【0063】
また式(S)または(T)で示される化合物の具体例としては以下に示すものが含まれる。
【0064】
【化17】
Figure 0003967049
【0065】
【化18】
Figure 0003967049
【0066】
さらに、下記に示すジオール化合物も好適に使用できる。
【0067】
HO−Ar2−(L17−Ar3)n−OH (U)
HO−Ar2−L17−OH (V)
【0068】
(式中、L17は置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を示す。必要に応じ、L17中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエステル、ウレタン、アミド、ウレイド基を有していてもよい。Ar2、Ar3は同一でも相違していてもよく、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を示し、好ましくは炭素数6〜15個の芳香族基を示す。nは0〜10の整数を示す。)
【0069】
また上記式(U)または(V)で示されるジオール化合物としては具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、4−メチルカテコール、4−t−ブチルカテコール、4−アセチルカテコール、3−メトキシカテコール、4−フェニルカテコール、4−メチルレゾルシン、4−エチルレゾルシン、4−t−ブチルレゾルシン、4−ヘキシルレゾルシン、4−クロロレゾルシン、4−ベンジルレゾルシン、4−アセチルレゾルシン、4−カルボメトキシレゾルシン、2−メチルレゾルシン、5−メチルレゾルシン、t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、テトラメチルハイドロキノン、テトラクロロハイドロキノン、メチルカルボアミノハイドロキノン、メチルウレイドハイドロキノン、メチルチオハイドロキノン、ベンゾノルボルネン−3,6−ジオール、ビスフェノールA、ブスフェノールS、3,3’−ジクロロビスフェノールS、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−チオジフェノール、2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,4−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,4−ビス(2−(p−ヒドロキシフェニル)プロピル)ベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチルアミン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシアントラキノン、2−ヒドロキシベンジルアルコール、4−ヒドロキシベンジルアルコール、2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルアルコール、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルアルコール、4−ヒドロキシフェネチルアルコール、2−ヒドロキシエチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−ヒドロキシエチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、レゾルシンモノ−2−ヒドロキシエチルエーテル等が挙げられる。
下記に示すジオール化合物も好適に使用できる。
【0070】
【化19】
Figure 0003967049
【0071】
(式中、R10は水素原子、置換基(例えば、シアノ、ニトロ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、−CONH2、−COOR11、−OR11、−NHCONHR11、−NHCOOR11、−NHCOR11、−OCONHR11、−CONHR11(ここで、R11は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜15のアラルキル基を示す。)などの各基が含まれる。)を有していてもよいアルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ基を示し、好ましくは水素原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数6〜15個のアリール基を示す。L20、L21、L23はそれぞれ同一でも相違していてもよく、単結合、置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲンの各基が好ましい。)を有していてもよい2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1〜20個のアルキレン基、炭素数6〜15個のアリーレン基、さらに好ましくは炭素数1〜8個のアルキレン基を示す。必要に応じて、L20、L21、L23中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド、エーテル基を有していてもよい。なお、R10、L20、L21、L23のうちの2または3個で環を形成してもよい。Arは置換基を有していてもよい三価の芳香族炭化水素基を示し、好ましくは炭素数6〜15個の芳香族基を示す。Z0は下記の基を示す。
【0072】
【化20】
Figure 0003967049
【0073】
(ここで、R12、R13はそれぞれ同一でも相違していてもよく、水素原子、ナトリウム、カリウム、アルキル基、アリール基を示し、好ましくは水素原子、炭素原子1〜8個のアルキル基、炭素数6〜15個のアリール基を示す。))
【0074】
前記式(W)、(X)または(Y)で示されるホスホン酸、リン酸および/またはこれらのエステル基を有するジオール化合物は、例えば以下に示す方法により合成される。
以下の一般式(W´)、(X´)、(Y´)で示されるハロゲン化合物のヒドロキシ基を必要に応じて保護した後、式(4)で表されるMichaelis-Arbuzov反応によりホスホネートエステル化し、さらに必要により臭化水素等により加水分解することにより合成が行われる。
【0075】
【化21】
Figure 0003967049
【0076】
(式中、R10、L20、L21、L22およびArは式(W)、(X)、(Y)の場合と同義である。R14はアルキル基、アリール基を示し、好ましくは炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数6〜15個のアリール基を示す。R15は式(W´)、(X´)、(Y´)のX1を除いた残基であり、X1はハロゲン原子、好ましくはCl、Br、Iを示す。)
【0077】
また、式(5)で表されるオキシ塩化リンとの反応後、加水分解させる方法により合成が行われる。
【0078】
【化22】
Figure 0003967049
【0079】
式中、R15は式(4)の場合と同義であり、Mは水素原子、ナトリウムまたはカリウムを示す。
【0080】
本発明のポリウレタン樹脂がホスホン酸基を有する場合、前記一般式(3)で示されるジイソシアネート化合物と、前記式(W)、(X)または(Y)で示されるホスホン酸エステル基を有するジオール化合物を反応させ、ポリウレタン樹脂化した後、臭化水素等により加水分解することで合成してもよい。
【0081】
さらに、下記に示すアミノ基含有化合物も、ジオール化合物と同様、一般式(3)で表されるジイソシアネート化合物と反応させ、ウレア構造を形成してポリウレタン樹脂の構造に組み込まれてもよい。
【0082】
【化23】
Figure 0003967049
【0083】
(式中、R16、R17はそれぞれ同一でも相違していてもよく、水素原子、置換基(例えばアルコキシ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、エステル、カルボキシル基などの各基が含まれる。)を有していてもよいアルキル、アラルキル、アリール基を示し、好ましくは水素原子、置換基としてカルボキシル基を有していてもよい炭素数1〜8個のアルキル、炭素数6〜15個のアリール基を示す。L23は置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、カルボキシル基などの各基が含まれる。)を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を示す。必要に応じ、L23中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド基などを有していてもよい。なおR16、L23、R17のうちの2個で環を形成してもよい。
【0084】
また一般式(6)、(7)で示される化合物の具体例としては、以下に示すものが含まれる。
すなわち、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、プロパン−1,2−ジアミン、ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルシロキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、4−アミノ−2,2−6,6−テトラメチルピペリジン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、リジン、L−シスチン、イソホロンジアミン等のような脂肪族ジアミン化合物;o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、ベンジジン、o−ジトルイジン、o−ジアニシジン、4−ニトロ−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメトキシ−p−フェニレンジアミン、ビス−(4−アミノフェニル)スルホン、4−カルボキシ−o−フェニレンジアミン、3−カルボキシ−m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノフェニルエーテル、1,8−ナフタレンジアミン等のような芳香族ジアミン化合物;2−アミノイミダゾール、3−アミノトリアゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、4−アミノピラゾール、2−アミノベンズイミダゾール、2−アミノ−5−カルボキシ−トリアゾール、2,4−ジアミノ−6−メチル−S−トリアジン、2,6−ジアミノピリジン、L−ヒスチジン、DL−トリプトファン、アデニン等のような複素環アミン化合物;エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−3−プロパノール、2−アミノエトキシエタノール、2−アミノチオエトキシエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、o−アミノフェノール、4−メチル−2−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−メトキシ−3−アミノフェノール、4−ヒドロキシベンジルアミン、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノサリチル酸、4−ヒドロキシ−N−フェニルグリシン、2−アミノベンジルアルコール、4−アミノフェネチルアルコール、2−カルボキシ−5−アミノ−1−ナフトール、L−チロシン等のようなアミノアルコールまたはアミノフェノール化合物。
【0085】
本発明のポリウレタン樹脂は上記イソシアネート化合物およびジオール化合物を非プロトン性溶媒中、それぞれの反応性に応じた活性の公知の触媒を添加し、加熱することにより合成される。使用するジイソシアネートおよびジオール化合物のモル比は好ましくは0.8:1〜1.2:1であり、ポリマー末端にイソシアネート基が残存する条件である。不飽和基を有するアルコール類またはアミン類等で処理することにより、最終的にポリウレタン末端に不飽和基が導入される。その様な化合物としては、具体的には以下のものを挙げることできる。
【0086】
【化24】
Figure 0003967049
【0087】
【化25】
Figure 0003967049
【0088】
【化26】
Figure 0003967049
【0089】
本発明のポリウレタン樹脂は、ポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、またはポリカーボネートジオール化合物の少なくとも1種との反応生成物で表される構造を有するポリウレタン樹脂であることが好ましく、それらのポリウレタン樹脂中の含有量として、好ましくは、1〜80重量パーセントであり、より好ましくは、5〜60重量パーセントである。
【0090】
本発明のポリウレタン樹脂は、好ましくは、主鎖及び/又は側鎖に芳香族基を含有したものである。より好ましくは、芳香族基の含有量がポリウレタン樹脂中、10〜80重量%の範囲である。
本発明のポリウレタン樹脂は、カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂であることが好ましく、その含有量は、カルボキシル基が0.4meq/g以上含まれていることが好ましく、より好ましくは、0.4〜3.5meq/gの範囲である。
本発明のポリウレタン樹脂の分子量は、好ましくは重量平均で1000以上であり、より好ましくは、10000〜30万の範囲である。
【0091】
〔チタノセン化合物〕
次に、本発明の平版印刷版用原版において2番目に重要な要素である、その光重合性感光層に含有される、チタノセン化合物について説明する。
本発明の平版印刷版用原版の光重合性感光層に含有されるチタノセン化合物は、光照射により2つの活性ラジカルを発生し得るものであればいずれであってもよく、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41483号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−291号、特開平3−27393号、特開平3−12403号、特開平6−41170号公報に記載されている公知の化合物を適宜に選択して用いることができる。
【0092】
さらに具体的には、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル(以下「T−1」ともいう。)、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフエニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフエニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)フェニル)チタニウム(以下「T−2」ともいう。)等を挙げることができる。
【0093】
本発明の平版印刷版用原版の光重合性感光層に含まれるチタノセン化合物は、該感光層の特性を改良するため、さらに様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、後述の付加重合性化合物やその他のラジカル発生パートとの結合、親水性部位の導入、相溶性向上、結晶析出抑制のための置換基導入、密着性を向上させる置換基導入、ポリマー化等の方法が利用できる。
これらのチタノセン化合物の使用法に関しては、後述の付加重合性化合物同様、平版印刷版用原版の性能設計により適宜、任意に設定できる。例えば、2種以上併用することで、平版印刷版用原版の感光層への相溶性を高める事ができる。チタノセン化合物の使用量は通常多い方が感光性の点で有利であり、感光層成分100重量部に対し、0.5〜80重量部、好ましくは1〜50重量部の範囲で用いることで十分な感光性が得られる。
【0094】
〔付加重合性化合物〕
次に、本発明の平版印刷版用原版の光重合性感光層に含有される、付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物(以下単に、付加重合性化合物ともいう)について説明する。
本発明に使用される付加重合性化合物は、付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物であれば特に限定されないが、好ましくはエチレン性不飽和結合が末端少なくとも1個、さらに好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いる事ができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナト基や、エポキシ基、等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基、等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
【0095】
特に好ましい付加重合性化合物は、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物である。
そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(8)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0096】
CH2=C(R)COOCH2CH(R′)OH (8)
(ただし、RおよびR′はHあるいはCH3を示す。)
【0097】
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタン(メタ)アクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類を挙げることでき、特に好ましい具体例としては次のような化合物を挙げることできる。(1)群のポリイソシアネート化合物と(2)群のアルコール化合物との反応生成物である。
【0098】
更に具体的には、次の化合物がそれらに相当する。東亜合成(株)社製ウレタンアクリレートM−1100、M−1200、M−1210、M−1300、ダイセル・ユーシービー(株)社製ウレタンアクリレートEB210、EB4827、EB6700、EB220、MORTON THIOKOL Inc.製UVITHANE−782、UVITHANE−783、UVITHANE−788、UVITHANE−893、根上工業(株)社製アートレジンUN−9000EP、アートレジンUN−9200A、アートレジンUN−9000H、アートレジンUN−1255、アートレジンUN−5000、アートレジンUN−2111A、アートレジンUN−2500、アートレジンUN−3320HA、アートレジンUN−3320HB、アートレジンUN−3320HC、アートレジンUN−3320HS、アートレジンUN−6060P、アートレジンUN−6060PTM、アートレジンSH−380G、アートレジンSH−500、アートレジンSH−9832、新中村化学(株)社製NKオリゴU−4H、NKオリゴU−4HA、NKオリゴU−4P、NKオリゴU−4PA、NKオリゴU−4TX、NKオリゴU−4TXA、NKオリゴU−6LHA、NKオリゴU−6LPA−N、NKオリゴU−6LTXA、NKオリゴUA−6ELP、NKオリゴUA−6ELH、NKオリゴUA−6ELTX、NKオリゴUA−6PLP、NKオリゴU−6ELP、NKオリゴU−6ELH、NKオリゴU−8MDA、NKオリゴU−8MD、NKオリゴU−12LMA、NKオリゴU−12LM、NKオリゴU−6HA、NKオリゴU−108A、NKオリゴU−1084A、NKオリゴU−200AX、NKオリゴU−122A、NKオリゴU−340A、NKオリゴU−324A、NKオリゴUA−100、共栄社化学(株)社製AH−600、AT−600、UA−306H、AI−600、UA−101T、UA−101I、UA−101H、UA−306T、UA−306I、UF−8001、UF−8003等。
【0099】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
【0100】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0101】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
【0102】
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
さらに、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0103】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものをあげる事ができる。
さらに、特開昭63−277653,特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
【0104】
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等もあげることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0105】
これらの、付加重合性化合物について、どの様な構造を用いるか、単独で使用するか併用するか、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終的な平版印刷版用原版の性能設計にあわせて、任意に設定できる。例えば次のような観点から選択される。感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上がこのましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものが良く、さらに、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と、強度を両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や、疎水性の高い化合物は感光スピードや、膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。また、感光層中の他の成分(例えばバインダー、チタノセン化合物(光重合開始剤)、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させ得ることがある。また、後述の支持体、オーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。感光層中の付加重合性化合物の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合には、好ましく無い相分離が生じたり、感光層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、感光層成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出が生じる等の問題を生じ得る。これらの観点から、好ましい配合比は、多くの場合、感光層全成分に対して5〜80重量%、好ましくは25〜75重量%である。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施し得る。
【0106】
本発明の平版印刷版用原版の光重合性感光層には、前記ウレタンバインダー、チタノセン化合物、付加重合性化合物の基本成分の他に、該感光層成分組成物の製造中あるいは保存中において、該付加重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としてはハロイドキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合禁止剤の添加量は、全組成物の重量に対して約0.01%〜約5%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5%〜約10%が好ましい。
【0107】
更に本発明の平版印刷版用原版の光重合性感光層の着色を目的として、着色剤を添加してもよい。着色剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料(C.I.Pigment Blue15:3,15:4,15:6など)、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料がある。染料および顔料の添加量は全組成物の約0.5%〜約20%が好ましい。
加えて、硬化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤やジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。
これらの添加量は感光層成分の全組成物の10%以下が好ましい。
【0108】
本発明の平版印刷版用原版において、その光重合性感光層を後述の支持体上に塗布する際には、該感光層成分組成物を種々の有機溶剤に溶かして使用に供される。ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、1〜50重量%が適当である。
【0109】
本発明の平版印刷版用原版における光重合性感光層には、塗布面質を向上するために界面活性剤を添加することができる。
光重合性感光層の塗布量は、乾燥後の重量で約0.1g/m2〜約10g/m2の範囲が適当である。より好ましくは0.3〜5g/m2である。更に好ましくは0.5〜3g/m2である。
【0110】
〔アルミニウム支持体〕
本発明の平版印刷版用原版に用いられるアルミニウム支持体としては、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属であり、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。純アルミニウム板の他、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又はアルミニウム(合金)がラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルム又は紙の中から選ばれる。更に、特公昭48−18327号に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートでもかまわない。
【0111】
以下の説明において、上記に挙げたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基板をアルミニウム基板と総称して用いる。前記アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがあり、合金中の異元素の含有量は10重量%以下である。本発明では純アルミニウム板が好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のもの、例えばJIS A 1050、JISA 1100、JIS A 3103、JIS A 3005などを適宜利用することができる。
【0112】
また、本発明に用いられるアルミニウム基板の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度である。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさ及びユーザーの希望により適宜変更することができる。
【0113】
なお、本発明に用いられるアルミニウム基板として特に好もしいのは、以下の物性値を有するものである。
東京精密(株)製surfcom575を用いて、cut off0.8、走査速度0.3mm/sec.、触針先端計2μmRの条件下で、測定長さ3mmで測定した場合の支持体表面のJISに準拠した粗さパラメータを測定すると、中心線平均粗さRaが0.20〜0.70μm、10点平均粗さRtmが1.0〜5.0μm、自乗平方根粗さRMSまたはRqが0.2〜2.0μm、平均山間隔Smが20〜80μm、基準レベル±0.5μmにおけるピークカウントPcが10〜70、平均傾斜勾配Δaが5〜12deg、初期摩耗負荷率Mr1が10〜15%の範囲であり、また支持体表面を研磨してアルミニウム支持体の表面近傍の結晶組織を光学顕微鏡で観察し結晶粒100個の平均値として表面再結晶粒巾を求めると3〜60μmの範囲に含まれ、更に支持体表面の濃度に関しては、色差計による明度L*が40〜80、マクベス濃度計による支持体表面濃度が0.15〜0.35の範囲であるもの。
【0114】
(シリケート処理)
アルミニウム基板には後述する砂目立て等の処理が適宜施された後、基板表面にシリケートによる親水化処理が施される。本発明におけるシリケートによる親水化処理はシリケート皮膜の形成であり、シリケート皮膜はSi元素量として0.5〜40mg/m2、より好ましくは1〜30mg/m2形成される。
塗布量はケイ光X線分析法により測定でき、Si元素量を測定することができる。
上記の親水化処理は、例えば特公昭47−5125号公報に記載されているようにアルミニウム板を陽極酸化処理したのちに、アルカリ金属珪酸塩の水溶液に浸漬処理したものが好適に使用される。また米国特許第2,714,066号、第3,181,461号、第3,280,734号および第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法を適用することができる。この方法に従い、アルカリ金属ケイ酸塩が1〜30重量%、好ましくは2〜15重量%であり、25℃のpHが10〜13である水溶液に、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基板を、例えば15〜80℃で0.5〜120秒浸漬する。
【0115】
本発明に用いられるアルカリ金属珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウムなどが使用される。アルカリ金属珪酸塩水溶液のpHを高くするために使用される水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。
なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩もしくは第IVB族金属塩を配合してもよい。
アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、燐酸塩、酢酸塩、蓚酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。
【0116】
第IVB族金属塩として、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、蓚酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。
アルカリ土類金属塩もしくは、第IVB族金属塩は単独又は2以上組み合わせて使用することができる。これらの金属塩の好ましい範囲は0.01〜10重量%であり、更に好ましい範囲は0.05〜5.0重量%である。
【0117】
また、米国特許第3,658,662号に記載されているようなシリケート電着も有効である。更に、特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理および珪酸ソーダ処理を組合せた表面処理も有用である。
【0118】
(酸処理)
このようにしてシリケート処理を施したアルミニウム基板に、更に酸性溶液による処理をおこなう。このとき用いる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸、スルファミン酸、ベンゼンスルフォン酸等が挙げられるが、これらの二種以上を組み合わせて用いても構わない。本発明で用いられる酸処理液としては、pH0〜6の酸性水溶液が望ましい。酸処理液のpHが0より低いと取り扱いが危険で製造適性がなく、pHが6より高いと充分な密着力向上の効果が得られない。このときの酸処理条件として、例えば温度10〜80℃で1〜300秒浸漬することにより行うことが適当である。
【0119】
酸処理により支持体と光重合性感光層との密着力が向上する理由については明確ではないが、下記のように考えられる。酸処理により5〜30%シリケート吸着量が減少する事と、シリケート皮膜に少量存在するNa、Ca等の金属イオンが減少することが蛍光X線分析やESCA分析の結果により判明している。更に1規定のNa2CO3で25℃10秒処理後蒸留水で洗浄乾燥後ESCAにてNa量を測定した。この処理によりシリケート皮膜のSiOHがSiONaになり、シリケート皮膜のSiOH量を見積もることができる。この測定により、酸処理することでNa量が増加した。つまり酸処理によりシリケート表面のSiOH基が増加したと考えられる。
【0120】
更にカチオン性染料であるクリスタルバイオレットの0.5%水溶液にアルミ支持体を12時間放置すると、酸処理までした支持体は、酸処理してない支持体に比べ染色濃度が著しく低下することがわかった。これは、酸処理することにより支持体表面の負電荷性が低下したためにカチオン性染料であるクリスタルバイオレットが吸着できにくくなったと考えられる。
つまり、酸処理によりシリケート表面に少量存在するNa、Ca等に金属イオンが減少しSiOH基が増加するため、後述の接着層を塗設した際、シリケート層と接着層との化学結合サイトが増加しその結果、アルミニウム支持体と光重合性感光層との密着力が向上したものと考えられる。
【0121】
(接着層)
このようにして前記シリケート処理及び酸処理されたアルミニウム基板は、更にその表面にラジカルによって付加反応を起こし得る官能基(以下、付加反応性官能基と呼ぶ)を有するシリコーン化合物を含む接着層が塗設される。
この付加反応性官能基を有するシリコーン化合物を含む層の塗設は、有機シリコーン化合物を原料として用いる方法によるのが好ましい。具体的には、付加反応性官能基をR18と表わした時、下記式(9):
【0122】
18Si(OR19)3 (9)
【0123】
(式中、−OR19は加水分解可能なアルコキシ基又は−OCOCH3基である。)で表わされる有機シリコーン化合物を用いてアルミニウム基板を処理することにより、基板表面の金属、金属酸化物、水酸化物、−OH基、又は基板の化成処理によって形成されたシラノール基などと反応させて基板表面と共有結合を形成させ、下記式(10):
【0124】
(R20O)2(R18)Si− (10)
【0125】
で示される官能基を基板表面に結合(又は植え付け)させればよい。式中、R20はR19と同種もしくは異種のアルキル基又は水素原子、もしくは隣接する別のSi原子との結合を表わす。
上記において、付加反応性官能基(R18)が中央のSi原子に2個以上結合した下記式(11)又は(12):
【0126】
(R182Si(OR192 (11)
(R183SiOR19 (12)
【0127】
で表わされる有機シリコ−ン化合物を用いることもできる。
また、付加反応性官能基(R18)が−O−を介して中央のSi原子に結合する官能基である場合は、
【0128】
(R184Si (13)
【0129】
で表わされる有機シリコーン化合物を用いることもできる。
有機シリコーン化合物(9)は、中央のSi原子に結合する4個のR18のうち少なくとも1個が加水分解されずに残っている状態の時にアルミニウム基板に塗布される。
有機シリコーン化合物(9)をアルミニウム基板上に塗設する際、このものを単独で用いてもよく、又は適当な溶媒で希釈して用いてもよい。アルミニウム基板上で有機シリコーン化合物(9)をより強固に結合させるために、水及び/又は触媒を加えることができる。溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール等のアルコール類が好ましく、触媒としては塩酸、酢酸、リン酸、硫酸などの酸、又はアンモニア、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの塩基が使用できる。
【0130】
アルミニウム基板上の付加反応性官能基の量は、結合させる付加反応性官能基の種類によって異なるが、10nm2当り一般に0.01〜1000個、好ましくは0.05〜200個、更に好ましくは0.1〜50個とすることが適当である。付加反応性官能基量が10nm2当り0.01個より少ないと十分な光接着強度が得られ難い。有機シリコーン化合物(9)を厚く塗り重ねることによって、10nm2当りの付加反応性官能基量を実質的に幾らでも多くすることが可能であるが、最表面に顔を出す付加反応性官能基量は10nm2当り高々10個であるので、厚く塗り過ぎても無駄になる。付加反応性官能基量が多過て、PS版として使用した時の非画像部の親水性が不足しないためには、10nm2当りの付加反応性官能基の量は1000個以内とするのが好ましい。
【0131】
従って、有機シリコーン化合物を用いてアルミニウム基板表面に付加反応性官能基を結合する(植え付ける)際は、有機シリコーン化合物を希釈する溶媒の種類と量、基板表面上での加水分解用に加える水の量(加える場合)、基板表面上での加水分解を促進するための触媒の種類と量(加える場合)、有機シリコーン化合物の溶液を基板上に施用する方法、基板に施用した後の乾燥雰囲気、乾燥温度、乾燥時間等のプロセスパラメータを種々変更し、基板表面に保持される付加反応性官能基量が上記の量の範囲内となるように制御することが必要である。
アルミニウム基板表面に保持される付加反応性官能基の量は、処理後の基板表面を適当な方法、例えばケイ光X線分析法、赤外線吸収法等の方法で測定し、表面にあるSi原子量の定量、炭素−炭素の多重結合量の定量等を行なうことによって決定することができる。
【0132】
上記の如くアルミニウム基板上に陽極酸化皮膜及びシリケート皮膜を形成し、更にその表面に付加反応性官能基を結合して、本発明の支持体が完成する。
但し、この支持体(付加反応性支持体)を用いてPS版を構成する場合、式(9)の有機シリコーン化合物のみを用いてアルミニウム基板の処理をしただけでは印刷汚れを生じる場合がある。即ち、付加反応性官能基を結合してなる支持体上に光重合性の感光性組成物を塗布して感光層を設け、これに像様露光して画像通りの界面光接着を起させ、現像液で未露光部を取り去ることにより、支持体上には光のパターン通りの光重合密着膜が残る。そして、これにインクと水を塗ると、インクは光重合接着した像様露光部へ、水は未露光部へそれぞれ付着して印刷版となるが、上記有機シリコーン化合物を単独で使用した場合には、水が付着するべき未露光部に過剰の有機官能基が存在することがあり、水の他にインクも付着して印刷物上に汚れとなって観察されることがある。
【0133】
そこで、この印刷汚れを防ぐために、アルミニウム基板表面上に付加反応性官能基(R18)の他にOH基を多く固定して親水性を強くすることが好ましい。
好ましくは、アルミニウム基板表面への付加反応性官能基の結合において、式(9):R18Si(OR19)3で表わされる有機シリコーン化合物の他に、式(14):Si(OR21)4(式中、−OR21は加水分解可能なアルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリールオキシ基又は−OCOCH3基であり、R21はR19と同じであっても異なってもよい。)で表わされる有機シリコーン化合物を併用し、基板表面に前述の式(10)で示される反応サイトを結合すると同時に、式(15):
【0134】
(R22O)2(OH)Si− (15)
【0135】
で示される親水性サイトを結合することが好ましい。ここで、式中、R22はアルキル基、水素原子又は隣接する別のSi原子との結合を表わすが、R22が水素原子であることが親水性の面からは最も好ましい。なお、R22が水素原子以外のもののときは、必要に応じて、表面をアルカリ溶液で洗うことによって、親水性を高めることができる。
【0136】
式(9)の有機シリコーン化合物と式(14)の有機シリコーン化合物との混合比は、支持体の性状によってそれぞれのものの支持体表面への結合(植えつけ)効率が変動するため、一概に好適な範囲を決めることができない。しかし、具体的には、両者の比を種々に変えて支持体処理を行ない、付加反応性官能基R18に基づく光接着性と、式(15)で示される部分構造に由来する親水性とが両立する条件を実験的に確定して使用することになる。いずれにしても、付加反応性官能基の密度が前記範囲内になるようにすればよい。具体的には、有機シリコーン化合物(9)に対する有機シリコーン化合物(14)の混合モル比は0.05〜500が適当であるが、好ましくは0.2〜200、更に好ましくは1〜100である。
またこの範囲内で、式(14)の有機シリコーン化合物に由来する親水性基の量を多くすればするほど非画像部の親水性が増す。
ただし、親水性基の密度が低い場合でも、付加反応性官能基を親水化処理することによって親水性基の密度を向上させることができる。
【0137】
アルミニウム基板表面への付加反応性官能基の結合には、大別すると、有機シリコーン化合物をそのまま用いることからなる上述の方法(以下、SC法と呼ぶ)の他に、有機シリコーン化合物を加水分解するとともに重縮合させて得られた−Si−O−Si−結合を含む無機高分子に付加反応性官能基が固定された形の有機無機複合体を用いることからなる方法(以下、SG法と呼ぶ)がある。
この有機無機複合体をアルミニウム基板に塗布して乾燥させると、無機高分子部分が基板と密着し、付加反応性官能基はそのまま基板表面上に残る。
【0138】
SC法の場合、アルミニウム基板表面における付加反応性官能基の結合位置は基板表面上の特定の性質をもった位置となりやすく、基板表面上に一様に分布させるのが困難な場合がある。つまり、特定の酸点や塩基点においてのみSi原子との間の共有結合が形成され、付加反応性官能基の分布がアルミニウム基板表面の酸点や塩基点の分布に支配されやすい。従って、光接着強度や非画像部親水性にムラを生じる場合がある。こうした状況の時はSG法に従うのが有利である。
【0139】
細かく見れば、SC法、SG法の他に、中間の態様、例えば式(9)の有機シリコーン化合物:R18Si(OR19)3中のOR19の一部もしくは全部が加水分解して2分子又は3分子が結合した形の有機シリコーン化合物を出発原料として用いる処理も可能である。
SG法による付加反応性官能基の結合法に従えば、式(9)の有機シリコーン化合物を、場合により式(14)の有機シリコーン化合物と所望の混合比に混合し、液中で、必要により触媒の存在下で、付加反応性官能基R18では反応を起さずに−OR19及び−OR21で加水分解させるとともに重縮合反応を行なわせて、中心のSi原子が−Si−O−Si−結合でつながった無機高分子を含む液状組成物として、これをアルミニウム基板表面に塗布し、場合により乾燥させることによって、基板上に付加反応性官能基を結合する。
【0140】
SG法を用いると、アルミニウム基板表面上に結合固定される付加反応性官能基の分布が基板表面の酸点や塩基点などの化学的な性質の分布に左右されることが少ない。また、出発原料として有機シリコーン化合物(9)の他に有機シリコーン化合物(14)を併用する場合、上記式(10)で示される付加反応性官能基サイトと上記式(15)で示される親水性サイトとの相対比が有機シリコーン化合物(9)及び化合物(14)の仕込み比でほぼ決められるため、最適表面を得るための処方決定の道筋がSC法よりも整然とする利点がある。
【0141】
本発明で使用する上記式(9)で示される有機シリコーン化合物の具体例として、以下のものを挙げることができる。
【0142】
CH2=CH−Si(OCOCH3)3
CH2=CH−Si(OC25)3
CH2=CH−Si(OCH3)3
CH2=CHCH2−Si(OC25) 3
CH2=CHCH2NH(CH2)3−Si(OCH3)3
CH2=CHCOO−(CH2)3−Si(OCH3)3
CH2=CHCOO−(CH2)3−Si(OC25)3
CH2=C(CH3)COO−(CH2)3−Si(OCH3)3
CH2=C(CH3)COO−(CH2)3−Si(OC25)3
CH2=C(CH3)COO−(CH2)4−Si(OCH3)3
CH2=C(CH3)COO−(CH2)5−Si(OCH3)3
CH2=CHCOO−(CH2)4−Si(OCH3)3
(CH2=C(CH3)COO−(CH2)32−Si(OCH3)2
CH2=C(CH=CH2)−Si(OCH3)3
CH2=CH−SO2NH−(CH2)3−Si(OCH3)3
CH2=CH−ph−O−Si(OCH3)3
CH2=CH−ph−CONH−(CH2)3−Si(OCH3)3
CH2=CH−ph−CH2NH−(CH2)3−Si(OCH3)3
ph:ベンゼン環を示す
HC≡C−Si(OC25)3
CH3C≡C−Si(OC25)3
【0143】
【化27】
Figure 0003967049
【0144】
CH2=CHCH2O−Si(OCH3)3
(CH2=CHCH2O)4Si、
HO−CH2−C≡C−Si(OC25)3
CH3CH2CO−C≡C−Si(OC25)3
CH2=CHS−(CH2)3−Si(OCH3)3
CH2=CHCH2O−(CH2)2−SCH2−Si(OCH3)3
CH2=CHCH2S−(CH2)3−S−Si(OCH3)3
(CH3)3CCO−C≡C−Si(OC25)3
(CH2=CH)2N−(CH2)2−SCH2−Si(OCH3)3
CH3COCH=C(CH3)−O−Si(OCH3)3
【0145】
また、式(14)で示される有機シリコーン化合物の具体例としてはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラフェノキシシラン、テトラアセトキシシランなどを挙げることができ、中でもテトラエトキシシランが好ましい。
【0146】
アルミニウム基板表面へ付加反応性官能基を結合するのにSC法を用いる場合もSG法を用いる場合も、溶媒の種類、基板への施用方法、乾燥方法等は共通であるが、SG法の場合、付加反応性官能基が保持された無機高分子組成物を予かじめ調液しておく必要がある。以下にその好ましい具体例を示す。
式(9)及び(14)で表わされる有機シリコーン化合物(9)及び(14)を加水分解とともに重縮合させてSG法に好適な組成物とするのに使用できる溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール等のアルコール類である。
【0147】
溶媒の使用量は、使用する有機シリコーン化合物(9)及び(14)の総重量に基づいて、一般に0.2〜500倍、好ましくは0.5〜100倍、更に好ましくは1〜20倍である。使用量が0.2倍より少ないと反応液が経時でゲル化しやすく不安定となり好ましくない。また、500倍より多いと、反応が数日を要するようになり好ましくない。
有機シリコーン化合物を加水分解するために加える水の量は、一般に有機シリコーン化合物1モル当り0.1〜1000モル、好ましくは0.5〜200モル、更に好ましくは1.5〜100モルである。水の量が有機シリコーン化合物1モル当り、0.1モルより少ない時は、加水分解とそれに続く重縮合反応の進行が非常に遅くなり、安定な表面処理が可能となるまでに数日を要し好ましくない。一方、水の量が有機シリコーン化合物1モル当り1000モルより多くなると、生成した組成物を金属表面に塗設した場合密着不良を起す他、組成物の経時安定性が悪く、すぐにゲル化してしまうことが多いため、塗布作業を安定して行い難くなる。
【0148】
SG法に好適な組成物を調液するための反応温度は室温〜100℃程度が常用されるが、以下に述べる触媒の種類によっては室温以下あるいは100℃以上の温度を用いることもできる。溶媒の沸点よりも高い温度で反応させることも可能であり、必要に応じて反応器に還流冷却器を付設するのがよい。
必要に応じて使用される触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、リンゴ酸、シュウ酸などの酸、又はアンモニア、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの塩基が使用できる。
触媒の添加量は、有機シリコーン化合物(9)及び場合により追加される有機シリコーン化合物(14)の合計量を基準として、有機シリコーン化合物1モル当り0.001〜1モル、好ましくは0.002〜0.7モル、更に好ましくは0.003〜0.4モルである。触媒添加量を1モルより多くしても、その添加効果に比べて経済的に特に利益があるわけではない。
【0149】
酢酸、リンゴ酸等の弱酸を触媒として使用する時は、反応温度を40℃〜100℃の範囲とするのが有利であるが、硫酸、硝酸等の強酸を触媒として使用する時は10℃〜60℃の範囲がよい。リン酸を触媒として用いる場合は10℃〜90℃で反応を行なわせることができる。
SG法に用いる組成物の調液工程、及びこれをアルミニウム基板に塗布し乾燥する工程で、多くの場合熱が加えられるが、揮発性の酸を触媒として使用すると、周囲の装置に揮発して付着し、これを腐食させる場合がある。主として鉄を素材として用いる工程で本方法を使用する場合は、不揮発性の硫酸及び/又はリン酸を触媒として用いるのが好ましい。
【0150】
以上述べたように、式(9)及び(14)で表わされる有機シリコーン化合物と、有機溶媒、水及び場合により触媒からなる組成物を、適当な反応温度、反応時間、及び場合により適当な撹拌条件を選んで反応させると、加水分解とともに重縮合反応が起りSi−O−Si結合を含む高分子又はコロイド状高分子が生成し、液状組成物の粘度が上昇し、ゾル化する。
式(9)及び(14)で表わされる有機シリコーン化合物を両方使用してゾル液を調製する場合、両方の有機シリコーン化合物を反応の最初から反応容器内に装荷してもよく、あるいは一方のみで加水分解と重縮合反応をある程度進めた後に他方の有機シリコーン化合物を加え、反応を終了させてもよい。
SG法で用いる上記ゾル液は、室温で放置すると重縮合反応が引き続き進行しゲル化することがある。従って、一度上記の方法で調液したゾル液を、アルミニウム基板への塗布時に希釈のために使用する予定の溶媒で予じめ希釈して、ゾル液のゲル化を防止ないし遅延させることができる。
【0151】
SC法及びSG法のいずれにおいても、支持体上に目的量の有機シリコーン化合物もしくは付加反応性官能基を結合するために、また支持体上での有機シリコーン化合物もしくは付加反応性官能基の分布ムラが無いようにするために、これらの処理液を支持体に塗布する前に溶媒を加えて濃度調整を行なうことが好ましい。この目的に使用する溶媒としてはアルコール類、殊にメタノールが好適であるが、他の溶剤、有機化合物、無機添加剤、界面活性剤などを加えることもできる。
【0152】
他の溶剤の例としては、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、アセチルアセトン、エチレングリコール等を挙げることができる。
添加することのできる有機化合物の例としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、ノボラック樹脂、ピロガロール−アセトン樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
無機添加剤の例としては、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナなどを挙げることができる。
【0153】
エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル等の高沸点溶剤は、支持体に塗布する濃度にまで希釈された液の安定性を高め、支持体に結合された付加反応性官能基の反応再現性を保証する働きがある。ノボラック樹脂、ピロガロール−アセトン樹脂等の有機化合物も同様の効果を有するが、得られる支持体の表面の親水性を低下させる副作用があり、添加量を細かく調整する必要がある。
【0154】
SG法に好適なゾル液もしくは液状組成物は、アルミニウム基板表面に塗設後、風乾ないし加熱乾燥させると、Si−O−Si結合からなる無機高分子がゲル化すると同時に基板表面と共有結合する。乾燥は溶媒、残留水及び場合により触媒を揮散させるために行なうものであるが、処理後の基板の使用目的によっては工程を省くこともできる。SC法においても、この乾燥工程は溶媒、残留水等の揮散という意味の他に、有機シリコーン化合物とアルミニウム基板との密着を確実にするという意味を有する。
従って、目的によっては、乾燥終了後にも更に温度をかけ、加熱を継続してもよい。
【0155】
乾燥及び場合により継続されるその後の加熱における最高温度は付加反応性官能基R18が分解しない範囲にあることが好ましい。従って、使用できる乾燥温度条件は室温〜200℃、好ましくは室温〜150℃、更に好ましくは室温〜120℃である。
乾燥時間は一般に1秒〜30分間、好ましくは5秒〜10分間、更に好ましくは10秒〜3分間である。
本発明において用いられる液状組成物(有機シリコーン化合物もしくはその溶液又はゾル液)の施工方法は、ハケ塗り、浸漬塗布、アトマイジング、スピンコーティング、ドクターブレード塗布等、各種のものも使用することができ、アルミニウム基板表面の形状や必要とする処理膜厚等を勘案して決められる。
アルミニウム基板には前述したシリケートによる親水化処理の前に、適宜後述の基板表面処理が施される
【0156】
(砂目立て処理)
砂目立て処理方法は、特開昭56−28893号に開示されているような機械的砂目立て、化学的エッチング、電解グレインなどがある。さらに塩酸または硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化学的砂目立て方法、及びアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立でするボールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法のような機械的砂目立て法を用いることができ、上記砂目立て方法を単独あるいは組み合わせて用いることもできる。
【0157】
その中でも本発明に有用に使用される表面粗さを作る方法は、塩酸または硝酸電解液中で化学的に砂目たてする電気化学的方法であり、適する電流密度は100C/dm2〜400C/dm2の範囲である。さらに具体的には、0.1〜50%の塩酸または硝酸を含む電解液中、温度20〜100℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm2〜400C/dm2の条件で電解を行うことが好ましい。
【0158】
このように砂目立て処理したアルミニウム基板は、酸またはアルカリにより化学的にエッチングされる。酸をエッチング剤として用いる場合は、微細構造を破壊するのに時間がかかり、工業的に本発明を適用するに際しては不利であるが、アルカリをエッチング剤として用いることにより改善できる。
本発明において好適に用いられるアルカリ剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を用い、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃であり、Alの溶解量が5〜20g/m3となるような条件が好ましい。
【0159】
エッチングのあと表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸は硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が用いられる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65重量%の硫酸と接触させる方法及び特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングずる方法が挙げられる。
【0160】
(陽極酸化処理)
以上のようにして処理されたアルミニウム基板は、さらに陽極酸化処理が施されると好ましい。
陽極酸化処理はこの分野で従来より行われている方法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルフォン酸等あるいはこれらの二種以上を組み合わせて水溶液または非水溶液中でアルミニウムに直流または交流を流すとアルミニウム支持体表面に陽極酸化皮膜を形成することができる。
【0161】
陽極酸化処理の条件は使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液の濃度が1〜80%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60アンペア/dm2、電圧1〜100V、電解時間10〜100秒の範囲が適当である。
これらの陽極酸化処理のうちでも特に英国特許第1,412,768号明細書に記載されている、硫酸中で高電流密度で陽極酸化する方法及び米国特許第3,511,661号明細書に記載されているリン酸を電解浴として陽極酸化する方法が好ましい。
本発明においては、陽極酸化皮膜は1〜10g/m2であることが好ましく、1g/m2以下であると版に傷が入りやすく、10g/m2以上は製造に多大な電力が必要となり、経済的に不利である。好ましくは、1.5〜7g/m2である。更に好ましくは、2〜5g/m2である。
【0162】
更に、本発明においては、砂目立て処理及び陽極酸化後、アルミニウム基板に封孔処理を施してもかまわない。かかる封孔処理は、熱水及び無機塩または有機塩を含む熱水溶液への基板の浸漬ならびに水蒸気浴などによって行われる。
【0163】
上記の如くアルミニウム基板上に、砂目立て処理、陽極酸化処理、シリケート処理、酸処理を施し、更に接着層を塗設してなる支持体上に、前述の光重合性感光層を形成することで、本発明の平版印刷版用原版が製造されるが、感光層を塗設する前に必要に応じて有機下塗層が設けてもかまわない。水溶性の樹脂、たとえばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えば硼酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。
【0164】
この有機下塗層に用いられる有機化合物としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸およびエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸およびグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およびグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、およびトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシル基を有するアミンの塩酸塩などから選ばれるが、二種以上混合して用いてもよい。
【0165】
この有機下塗層は次のような方法で設けることが出来る。即ち、水またはメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水またはメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム基板を浸漬して上記有機化合物を吸着させ、しかる後、水などによって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10重量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布などいずれの方法を用いてもよい。また、後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜5重量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。
【0166】
これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpHを調節し、pH1〜12の範囲で使用することもできる。また、平版印刷版用原版の調子再現性改良のために、黄色染料を添加することもできる。
有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。上記の被覆量が2mg/m2より少ないと十分な耐刷性が得られない。また、200mg/m2より大きくても同様である。
またアルミニウム支持体は、途中更に弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理などの表面処理がなされてもかまわない。
【0167】
〔酸素遮断性保護層〕
本発明の平版印刷版用原版は、通常、露光を大気中で行うため、その光重合性感光層上に、さらに、酸素遮断性保護層を設ける事が好ましい。酸素遮断性保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。従って、この様な保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できる事が望ましい。
【0168】
この酸素遮断性保護層に含まれる水溶性ビニル重合体としては、ポリビニルアルコール、およびその部分エステル、エーテル、およびアセタール、またはそれらに必要な水溶性を有せしめるような実質的量の未置換ビニルアルコール単位を含有するその共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコールとしては、71〜100%加水分解され、重合度が300〜2400の範囲のものが挙げられる。具体的には株式会社クラレ製PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられる。上記の共重合体としては、88〜100%加水分解されたポリビニルアセテートクロロアセテートまたはプロピオネート、ポリビニルホルマールおよびポリビニルアセタールおよびそれらの共重合体があげられる。その他有用な重合体としてはポリビニルピロリドン、ゼラチンおよびアラビアゴム、があげられ、これらは単独または、併用して用いても良い。
【0169】
本発明の酸素遮断性保護層を塗布する際用いる溶媒としては、純水が好ましいが、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類を純水と混合しても良い。そして塗布溶液中の固形分の濃度は1〜20重量%が適当である。
本発明の酸素遮断性保護層にはさらに塗布性を向上させるための界面活性剤、皮膜の物性を改良するための水溶性の可塑剤等の公知の添加剤を加えても良い。
水溶性の可塑剤としては、たとえばプロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等がある。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーなどを添加しても良い。
その被服量は乾燥後の重量で約0.1/m2〜約15/m2の範囲が適当である。より好ましくは約1.0/m2〜約5.0/m2である。
【0170】
かくして得られた平版印刷版用原版は、Arレーザー、半導体レーザーの第2高調波(SHG−LD、350〜600nm)、YAG−SHGレーザー、He−Neレーザー(633,543,364nm)、Arレーザー(515,488nm)、FD−YAGレーザー(532nm)、InGaN半導体レーザー(360〜450nm、特に405nm)により直接露光された後、現像処理される。
かかる現像処理に使用される現像液としては、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第二リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムなどの無機アルカリ剤が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。
【0171】
これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以上を組み合わせて用いられる。
上記のアルカリ水溶液の内、本発明による効果が一段と発揮される現像液はアルカリ金属ケイ酸塩を含有するpH12以上の水溶液である。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液はケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiO2とアルカリ金属酸化物M2Oの比率(一般に〔SiO2〕/〔M2O〕のモル比で表す)と濃度によって現像性の調節が可能であり、例えば、特開昭54−62004号公報に開示されているような、SiO2/Na2Oのモル比が1.0〜1.5(即ち〔SiO2〕/〔Na2O〕が1.0〜1.5であって、SiO2の含有量が1〜4重量%のケイ酸ナトリウムの水溶液や、特公昭57−7427号公報に記載されているような、〔SiO2〕/〔M〕が0.5〜0.75(即ち〔SiO2〕/〔M2O〕が1.0〜1.5)であって、SiO2の濃度が1〜4重量%であり、かつ該現像液がその中に存在する全アルカリ金属のグラム原子を基準にして少なくとも20%のカリウムを含有していることとからなるアルカリ金属ケイ酸塩が好適に用いられる。
【0172】
更に、自動現像機を用いて、該平版印刷版用原版を現像する場合に、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換する事なく、多量の平版印刷版用原版を処理することができることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。例えば、特開昭54−62004号公報に開示されているような現像液の〔SiO2〕/〔Na2O〕のモル比が1.0〜1.5(即ち〔SiO2〕/〔Na2O〕が1.0〜1.5)であって、SiO2の含有量が1〜4重量%のケイ酸ナトリウムの水溶液を使用し、しかもポジ型感光性平版印刷版の処理量に応じて連続的または断続的にSiO2/Na2Oのモル比が0.5〜1.5(即ち〔SiO2〕/〔Na2O〕が0.5〜1.5)のケイ酸ナトリウム水溶液(補充液)を現像液に加える方法、更には、特公昭57−7427号公報に開示されている、〔SiO2〕/〔M〕が0.5〜0.75(即ち、〔SiO2〕/〔M2O〕が1.0〜1.5)であって、SiO2の濃度が1〜4重量%であるアルカリ金属ケイ酸塩の現像液を用い、補充液として用いるアルカリ金属ケイ酸塩の〔SiO2〕/〔M〕が0.25〜0.75(即ち〔SiO2〕/〔M2O〕が0.5〜1.5)であり、かつ該現像液および該補充液のいずれもがその中に存在する全アルカリ金属のグラム原子を基準にして少なくとも20%のカリウムを含有していることとからなる現像方法が好適に用いられる。
【0173】
このようにして現像処理された平版印刷版は特開昭54−8002号、同55−115045号、同59−58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理される。本発明の平版印刷版用原版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
印刷時、版上の汚れ除去のため使用するプレートクリーナーとしては、従来より知られているPS版用プレートクリーナーが使用され、例えば、CL−1、CL−2、CP、CN−4、CN、CG−1、PC−1、SR、IC(富士写真フイルム(株)製)等が挙げられる。
【0174】
【実施例】
以下、本発明を合成例、実施例および比較例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
合成例1;ポリウレタン樹脂2
コンデンサー、攪拌基を備えた500mlの3つ口丸底フラスコに2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸12.1g(0.09モル)、ポリエステルジオール化合物(サンエスター24620;三洋化成(株)社製)20.0g(0.01モル)をN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解した。これに4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート20.5g(0.082モル)、ヘキサメチレンジイソシアネート3.5g(0.021モル)を添加し、100℃にて5時間加熱攪拌した。その後、60℃まで冷却した後、残存イソシアネート基キャップ剤として2−ヒドロキシエチルメタクリレートを3.9g(0.03モル)加え、60℃で加熱撹拌した。IRにて反応液を測定、イソシアネート基の消失を確認後、撹拌N,N−ジメチルホルムアミド200ml及びメチルアルコール400mlにて希釈した。反応溶液を水4リットル中に攪拌しながら投入し、白色のポリマーを析出させた。このポリマーを濾別し、水で洗浄後、真空下乾燥させることにより50gのポリマーを得た。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分子量を測定したところ、重量平均(ポリスチレン標準)で78,000であった。更に滴定により、カルボキシル基含有量(酸価)を測定したところ1.47meq/gであった。
【0175】
合成例2;ポリウレタン樹脂23
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸11.4g(0.077モル)、ポリプロピレングリコール(重量平均分子量1000)23.0g(0.023モル)をN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解した。これに4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート20.5g(0.082モル)、ヘキサメチエレンジイソシアネート3.5g(0.021モル)、キャップ剤として、グリセロールジメタクリレート6.8g(0.03モル)を用い、合成例1と同様にして反応、後処理を行った。白色のポリマー80gを得た。GPCにより分子量を測定したところ重量平均(ポリスチレン標準)で93,000であった。また滴定により、カルボキシル基含有量(酸価)を測定したところ1.35meq/gであった。
【0176】
以下合成例1又は2と同様にして、下記第1表に示したジイソシアネート化合物、ジオール化合物、キャップ剤を用い、本発明のポリウレタン樹脂を合成した。更にGPCにより分子量を測定し、滴定により酸価を測定した。測定した結果を第1表に示す。
【0177】
【表1】
Figure 0003967049
【0178】
【表2】
Figure 0003967049
【0179】
【表3】
Figure 0003967049
【0180】
【表4】
Figure 0003967049
【0181】
【表5】
Figure 0003967049
【0182】
【表6】
Figure 0003967049
【0183】
【表7】
Figure 0003967049
【0184】
【表8】
Figure 0003967049
【0185】
【表9】
Figure 0003967049
【0186】
【表10】
Figure 0003967049
【0187】
【表11】
Figure 0003967049
【0188】
【表12】
Figure 0003967049
【0189】
【表13】
Figure 0003967049
【0190】
【表14】
Figure 0003967049
【0191】
【表15】
Figure 0003967049
【0192】
【表16】
Figure 0003967049
【0193】
【表17】
Figure 0003967049
【0194】
【表18】
Figure 0003967049
【0195】
【表19】
Figure 0003967049
【0196】
【表20】
Figure 0003967049
【0197】
【表21】
Figure 0003967049
【0198】
〔実施例1〜16、比較例1〜3〕
厚さ0.30mmの材質1Sのアルミニウム板を8号ナイロンブラシと800メッシュのパミストンの水懸濁液を用い、その表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。10%水酸化ナトリウムに70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後、20%HNO3で中和洗浄、水洗した。これをVA=12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて1%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ0.45μm(Ra表示)であった。ひきつづいて30%のH2SO4水溶液中に浸漬し、55℃で2分間デスマットした後、33℃、20%H2SO4水溶液中で、砂目立てした面に陰極を配置して、電流密度5A/dm2において50秒間陽極酸化したところ厚さが2.7g/m2であった。
【0199】
次に下記の手順により下塗り液を調整した。
ビーカーに下記組成物を秤量し、25℃で20分間撹拌した。
【0200】
Si(OC25)4 38 g
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 13 g
85%リン酸水溶液 12 g
イオン交換水 15 g
メタノール 100 g
【0201】
その溶液を三口フラスコに移し、還流冷却器を取り付け、その三口フラスコを室温のオイルバスに浸した。三口フラスコの内容物をマグネティックスターラーで撹拌しながら、30分間で50℃まで上昇させた。浴温を50℃に保ったまま、更に1時間反応させ液組成物を得た。
この液をメタノール/エチレングリコール=20/1(重量比)で0.5重量%になるように希釈してアルミ基板にホイラー塗布し、100℃1分乾燥させた。その時の塗布量は3.0mg/m2であった。この塗布量はケイ光X線分析法によりSi元素量を求め、それを塗布量とした。
このように処理されたアルミニウム板上に、下記組成の光重合性組成物を乾燥塗布重量が1.5g/m2となるように塗布し、120℃で1分間乾燥させ、感光層を形成した。
【0202】
〔光重合性組成物〕
NKオリゴ U‐4H 2.0g
[(4官能ウレタンアクリレート)
(新中村化学(株))]
第2表のポリウレタン樹脂バインダー(B1) 2.0 g
CGI−784 [ビス(シクロペンタジエニル) 0.4 g
‐ビス(2,6-ジフルオロ‐3-(ピル‐1‐イル))
チタニウム)
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))]
1,3‐ジブチル‐5‐[7‐(N,N‐ジエチルアミノ) 0.1 g
‐4‐メチル‐2H‐クロメン‐2‐イリデン]
‐2‐チオキソ‐4,6‐(1H,3H,5H)ピリミジンジオン
2‐メチル‐4‘‐(メチルチオ)‐2‐モルホリノ 0.4 g
プロピオフェノン‐O‐(P‐ビニルベンジルオキシ)
カルボニルメチルオキシム
ε−フタロシアニン/(B1)分散物 0.2 g
フッ素系ノニオン界面活性剤メガファックF176 0.03g
(大日本インキ化学工業(株)製)
クペロンAL/TCP(可塑剤) 0.05g
[1/9(ニトロソ化合物、和光純薬製)]
メチルエチルケトン 30.0 g
プロピレングリコール 30.0 g
モノメチルエーテルアセテート
【0203】
この感光層上に下記の組成物からなる5重量%の水溶液を乾燥塗布重量が2.5g/m2となるように塗布し、120℃で2分間乾燥させ、酸素遮断層を有するレーザー露光用平版印刷版用原版を得た。
【0204】
〔酸素遮断層用組成物〕
クラレポバール PVA‐105 95重量%
ポリビニルアルコール
(ケン化度98モル%、重合度500)
ポリビニルピロリドン K30 5重量%
(和光純薬(株))
【0205】
これらの版を富士写真フイルム(株)製プレートセッターCELIC8200CTP(Arレーザー(488nm))を用い、版面上でピントを合わせて0.2mJ/cm2エネルギーで、175線/インチ、2540dpiの条件で1〜99%までの網点画像も同時に露光した。
その後富士写真フイルム(株)製自動現像機LP850P−IIを用い下記の現像液とフィニッシャー液を用い現像処理した。
現像液:富士写真フイルム(株)製LP−Dを水で9倍に希釈し液温度25℃pH=12.8としたもの。
フィニッシャー:富士写真フイルム(株)製FP−2Wガム液を水で3倍に希釈としたもの。
【0206】
この様にして製版した印刷版を、印刷機として三菱重工(株)製ダイヤIF−2を使用し、インキとしては、大日本インキ(株)製クラフG(N)を使用し12万枚印刷した。
175線/インチの2%部がどこまで印刷物に再現するかを耐刷性として評価しその結果を第2表に示した。
【0207】
【表22】
Figure 0003967049
【0208】
第2表より末端に重合性基を導入したポリウレタン樹脂バインダーを用いるとハイライト部の耐刷性が高く、一方重合性基がないポリウレタン樹脂バインダーまたはポリウレタン樹脂でないバインダーを用いるとハイライト部の耐刷性が弱いことが分かった。
【0209】
〔比較例4〕
実施例1の光重合性感光層に含まれる光重合開始剤CGI−784(チタノセン化合物)をエチルミヒラーズケトンに変えた以外は、実施例1と同様に平版印刷版用原版を得、次いで同様に画像露光、現像を行って平版印刷版としてから印刷を行い、同様に印刷性の評価を行った。
その結果、2%の耐刷性は5千枚とハイライト特性は劣っていた。
【0210】
【発明の効果】
本発明の平版印刷版用原版は、その光重合性感光層に、バインダー成分として末端に少なくとも1個のエチレン性不飽和重合性基を有するポリウレタンと光重合開始剤としてチタノセン化合物とを含有することにより、高感度でかつ、耐刷性および汚れ性、特にハイライト特性に優れたものとすることができた。

Claims (3)

  1. アルミニウム支持体上に、末端に少なくとも1個のエチレン性不飽和重合性基を有するアルカリ可溶性ポリウレタン樹脂と付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物とチタノセン化合物とを含有する光重合性感光層を有する平版印刷版用原版。
  2. 前記ポリウレタン樹脂の重量平均分子量が1万〜30万であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版用原版。
  3. 前記ポリウレタン樹脂が、下記一般式(3)で表されるジイソシアネート化合物と、ポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、またはポリカーボネートジオール化合物の少なくとも1種との反応生成物で表される構造を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の平版印刷版用原版。
    OCN−L 1 −NCO (3)
    (式中、L 1 は2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示す。)
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