JP2001117229A - 平版印刷版用原版 - Google Patents

平版印刷版用原版

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JP2001117229A
JP2001117229A JP29714299A JP29714299A JP2001117229A JP 2001117229 A JP2001117229 A JP 2001117229A JP 29714299 A JP29714299 A JP 29714299A JP 29714299 A JP29714299 A JP 29714299A JP 2001117229 A JP2001117229 A JP 2001117229A
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JP
Japan
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group
compound
acid
photosensitive layer
compounds
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Application number
JP29714299A
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English (en)
Inventor
Tatsuji Azuma
達治 東
Kazuhiro Fujimaki
一広 藤牧
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 強固な感光層と支持体の密着力により、より
高感度でかつ、耐刷性および汚れ性にも優れ、プレート
クリーナーで版面のインキを除去しても又多量の印刷を
行っても細線やハイライトが飛ばず、直接レーザー書き
込みも可能なネガ型光重合性の平版印刷版用原版を提供
する。 【解決手段】 アルミニウム支持体上に、末端に少なく
とも1個のエチレン性不飽和重合性基を有する枝分かれ
したアルカリ可溶性ウレタンバインダーと付加重合可能
なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と光重合開
始剤とを含有する光重合性感光層を有し、好ましくは、
該ウレタンバインダーが、3つ以上のイソシアネート基
を有する化合物とジイソシアネート化合物とジオール化
合物とを少なくとも反応させて得られた高分子鎖の末端
に、少なくとも1個のエチレン性不飽和重合性基を導入
して得られるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光重合性組成物を用い
た平版印刷版用原版に関するものである。特に可視光領
域の光線に対して高感度で、機械的強度、特にハイライ
ト特性に優れたネガ型の平版印刷版用原版に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来より、ネガ型平版印刷版用原版は広
く知られており、ジアゾ樹脂含有型、光重合型、光架橋
型等種々の感光層を有するものがある。このような平版
印刷版用原版から平版印刷版を作成するには、これらの
原版の感光層上に透明のネガフィルム原稿(リスフィル
ム)をのせ、紫外線を用いて画像露光するのが一般的で
あり、そのため作業に非常に手間暇がかかっていた。近
年、画像形成技術の発展に伴い、例えば非接触型の投影
露光製版や可視光レーザー製版等に適合したある種の高
感度な光重合性感光層を用いる事で、細くビームを絞っ
たレーザー光をその版面上に走査させ、文字原稿、画像
原稿などを直接版面上に形成させ、フイルム原稿を用い
ず直接製版が可能となる。しかしながら、従来の高感度
光重合性の印刷版は感光層と支持体の密着力が必ずしも
強力ではないため、高速で大部数の印刷に使用すると、
ベタ画像が抜けたり、細線やハイライト部が飛んだりす
る不具合を生じる。
【0003】また、印刷時汚れが生じると印刷機上で版
面をプレートクリーナーで拭き、インキを除去するが、
感光層と支持体の密着力が弱いとハイライト部が飛ぶと
いう問題があった。更に印刷枚数が多い場合、感光層と
支持体の密着力が弱いと版面をプレートクリーナーで拭
いた場合と同様に細線やハイライト部が除々に飛ぶとい
う問題があった。
【0004】ところが最近の市場動向として、生産性の
向上のため露光時間の短縮化や、レーザーの長寿命化の
ためになるべく低出力で使用したいなどの要求が強く、
直接製版可能な平版印刷版の更なる高感度化は永遠の課
題である。しかしながら、感光層と支持体の密着力を十
分に出し、印刷途中版面をプレートクリーナー等で拭い
ても、又数十万枚印刷しても、スタート時の印刷物と調
子再現性が同じで、かつ汚れない更なる高感度な光重合
性平版印刷版は非常に難しい状況にあった。
【0005】特許登録第2712564号公報には、耐
摩耗性等を向上させる目的で、バインダーとしてアリル
基を有するポリウレタン樹脂を感光層に含有させること
が記載されている。しかしながら、この特許登録第27
12564号公報に記載の技術を用いても、十分な特性
を持つ平版印刷版用原版を得ることはできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、強固
な感光層と支持体の密着力により、より高感度でかつ、
耐刷性および汚れ性にも優れ、プレートクリーナーで版
面のインキを除去しても又多量の印刷を行っても細線や
ハイライトが飛ばず、直接レーザー書き込みも可能なネ
ガ型光重合性の平版印刷版用原版を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、光重合性感光層のバインダー成分として、末端
に少なくとも1個のエチレン性不飽和重合性基を有する
枝分かれしたアルカリ可溶性ウレタンバインダーを含有
することにより上記目的を達成できることを見出し、本
発明を成すに至ったものである。即ち、本発明は以下の
通りである。 (1)アルミニウム支持体上に、末端に少なくとも1個
のエチレン性不飽和重合性基を有する枝分かれしたアル
カリ可溶性ウレタンバインダーと付加重合可能なエチレ
ン性不飽和二重結合を有する化合物と光重合開始剤とを
含有する光重合性感光層を有する平版印刷版用原版。 (2)前記ウレタンバインダーが、3つ以上のイソシア
ネート基を有する化合物とジイソシアネート化合物とジ
オール化合物とを少なくとも反応させて得られた高分子
鎖の末端に、少なくとも1個のエチレン性不飽和重合性
基を導入して得られたことを特徴とする前記(1)の平
版印刷版用原版。
【0008】本発明の平版印刷版用原版の作用機構は、
明確ではないが、ウレタンバインダーが末端に有するエ
チレン性不飽和重合性基によりバインダー自身もラジカ
ル重合反応し、さらに該ウレタンバインダーが枝分かれ
構造を有することにより、光重合性感光層の画像部がよ
り緻密な架橋構造を形成することができる、と考えれれ
る。特許登録第2712564号公報に記載の技術で
は、ウレタンバインダーが側鎖に有する基はアリル基で
あるためラジカル重合反応が生じず、また直鎖状の構造
であるため、その感光層の画像部が十分に緻密な架橋構
造を形成するということはない。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の平版印刷版用原版
について詳細に説明する。 〔末端に少なくとも1個のエチレン性不飽和重合性基を
有する枝分かれしたアルカリ可溶性ウレタンバインダ
ー〕はじめに、本発明の平版印刷版用原版において最も
重要な要素である、その光重合性感光層に含有される、
末端に少なくとも1個のエチレン性不飽和重合性基を有
する枝分かれしたアルカリ可溶性ウレタンバインダー
(以下、本発明のウレタンバインダーともいう)につい
て説明する。
【0010】本発明のウレタンバインダーは、枝分かれ
したものであるが、その構造の詳細を図1および図2を
用いて説明する。例えば図1に示すように、1個の分岐
点1から直鎖状のポリマー鎖2が3本以上伸張しそのポ
リマー鎖2の末端にエチレン性不飽和重合性基3を有す
る、いわゆる星(スター)型のものがある。また、図2
に示すように、ポリマー鎖4上に分岐点5を有し、その
分岐点5から別のポリマー鎖6が伸張し、それらのポリ
マー鎖4、6の末端にエチレン性不飽和重合性基3を有
する構造を有する、ものもある。この場合、ウレタンバ
インダーポリマー1分子中に分岐点5を2つ以上有する
ものである。
【0011】本発明のウレタンバインダーの取得方法と
しては、特に限定されないが、例えば、3つ以上のイソ
シアネート基を有する化合物(以下、単に多価イソシア
ネート化合物ともいう)とジイソシアネート化合物とジ
オール化合物とを少なくとも反応させて得られた高分子
鎖の末端に、少なくとも1個のエチレン性不飽和重合性
基を導入する方法がある。
【0012】例えば、図1に示すようなスター型のもの
を得ようとする場合には、得られるウレタンバインダー
1当量に対し、前記多価イソシアネート化合物を1当量
用いるものである。また、図2に示すような構造のもの
を得ようとする場合には、、得られるウレタンバインダ
ー1当量に対し、該ウレタンバインダー1分子中に存在
する分岐点5の数の当量の多価イソシアネート化合物を
用いるものである。前記多価イソシアネート化合物とし
ては、特に限定されないが、市販されている等の入手容
易性から、トリイソシアネート化合物が好ましい。ま
た、トリイソシアネート化合物としては、特に限定され
ないが、例えば、下記一般式(1)で示されるものが挙
げられる。
【0013】
【化1】
【0014】(式中、X1は3価の有機残基を表す。) また、上記一般式(1)で示されるトリイソシアネート
化合物としては、特に限定されないが、例えば、下記の
ものが挙げられる。
【0015】
【化2】
【0016】
【化3】
【0017】次に、前記多価イソシアネート化合物と反
応させるためのジイソシアネート化合物およびジオール
化合物について説明する。本発明のウレタンバインダー
を得るために前記多価イソシアネート化合物およびジオ
ール化合物と反応させるジイソシアネート化合物として
は、特に限定されないが、下記一般式(2)で示される
ものが挙げられる。
【0018】OCN−X0−NCO (2)
【0019】(式中、X0は2価の有機残基を表す。) 上記一般式(2)中、X0は、好ましくは、置換基を有
していてもよい2価の脂肪族または芳香族炭化水素基で
ある。必要に応じ、X0はイソシアネート基と反応しな
い他の官能基、例えばエステル、ウレタン、アミド、ウ
レイド基を有していてもよい。また、上記一般式(2)
で示されるジイソシアネート化合物としては、特に限定
されないが、例えば、下記のものが挙げられる。
【0020】すなわち、2,4−トリレンジイソシアネ
ート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、
2,6−トリレンジレンジイソシアネート、p−キシリ
レンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネー
ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメ
チルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等のよう
な芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ
ート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシア
ネート等のような脂肪族ジイソシアネート化合物;イソ
ホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シ
クロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン
−2,4(または2,6)ジイソシアネート、1,3−
(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のような脂
環族ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコ
ール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加
体等のようなジオールとジイソシアネートとの反応物で
あるジイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0021】本発明のウレタンバインダーを得るために
前記多価イソシアネート化合物およびジイソシアネート
化合物と反応させるジオール化合物としては、特に限定
されないが、下記一般式(3)で示されるものが挙げら
れる。
【0022】HO−Y0−OH (3)
【0023】(式中、Y0は2価の有機残基を表す。) また、上記一般式(3)で示されるジオール化合物とし
ては、特に限定されないが、例えば、ポリエーテルジオ
ール化合物、ポリエステルジオール化合物、ポリカーボ
ネートジオール化合物等が挙げられる。ポリエーテルジ
オール化合物としては、一般式(4)、(5)、
(6)、(7)、(8)で表される化合物、及び、末端
に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシ
ドのランダム共重合体が挙げられる。
【0024】
【化4】
【0025】式中、R1は水素原子またはメチル基、X
は、以下の基を表す。
【0026】
【化5】
【0027】a,b,c,d,e,f,gはそれぞれ2
以上の整数を示す。好ましくは2〜100の整数であ
る。
【0028】一般式(4)、(5)で表されるポリエー
テルジオール化合物としては具体的には以下に示すもの
が挙げられる。すなわち、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペン
タエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘ
プタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、
ジ−1,2−プロピレングリコール、トリ−1,2−プ
ロピレングリコール、テトラ−1,2−プロピレングリ
コール、ヘキサ−1,2−プロピレングリコール、ジ−
1,3−プロピレングリコール、トリ−1,3−プロピ
レングリコール、テトラ−1,3−プロピレングリコー
ル、ジ−1,3−ブチレングリコール、トリ−1,3−
ブチレングリコール、ヘキサ−1,3−ブチレングリコ
ール、重量平均分子量1000のポリエチレングリコー
ル、重量平均分子量1500のポリエチレングリコー
ル、重量平均分子量2000のポリエチレングリコー
ル、重量平均分子量3000のポリエチレングリコー
ル、重量平均分子量7500のポリエチレングリコー
ル、重量平均分子量400のポリプロピレングリコー
ル、重量平均分子量700のポリプロピレングリコー
ル、重量平均分子量1000のポリプロピレングリコー
ル、重量平均分子量2000のポリプロピレングリコー
ル、重量平均分子量3000のポリプロピレングリコー
ル、重量平均分子量4000のポリプロピレングリコー
ル等。
【0029】一般式(6)で示されるポリエーテルジオ
ール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げ
られる。三洋化成工業(株)製PTMG650,PTM
G1000,PTMG2000,PTMG3000等。
一般式(7)で示されるポリエーテルジオール化合物と
しては、具体的には以下に示すものが挙げられる。三洋
化成工業(株)製ニューポールPE−61,ニューポー
ルPE−62,ニューポールPE−64,ニューポール
PE−68,ニューポールPE−71,ニューポールP
E−74,ニューポールPE−75,ニューポールPE
−78,ニューポールPE−108,ニューポールPE
−128,ニューポールPE−61等。
【0030】一般式(8)で示されるポリエーテルジオ
ール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げ
られる。三洋化成工業(株)製ニューポールBPE−2
0、ニューポールBPE−20F、ニューポールBPE
−20NK、ニューポールBPE−20T、ニューポー
ルBPE−20G、ニューポールBPE−40、ニュー
ポールBPE−60、ニューポールBPE−100、ニ
ューポールBPE−180、ニューポールBPE−2
P、ニューポールBPE−23P、ニューポールBPE
−3P、ニューポールBPE−5P等。
【0031】末端に水酸基を有するエチレンオキシドと
プロピレンオキシドのランダム共重合体としては、具体
的には以下に示すものが挙げられる。三洋化成工業
(株)製ニューポール50HB−100,ニューポール
50HB−260,ニューポール50HB−400,ニ
ューポール50HB−660,ニューポール50HB−
2000,ニューポール50HB−5100等。
【0032】ポリエステルジオール化合物としては、一
般式(9)、(10)で表される化合物が挙げられる。
【0033】
【化6】
【0034】式中、L1、L2およびL3はそれぞれ同一
でも相違してもよく2価の脂肪族または芳香族炭化水素
基を示し、L4は2価の脂肪族炭化水素基を示す。好ま
しくは、L1、L2、L3はそれぞれアルキレン基、アル
ケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基を示し、L
4はアルキレン基を示す。またL1、L2、L3、L4中に
はイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエ
ーテル、カルボニル、エステル、シアノ、オレフィン、
ウレタン、アミド、ウレイド基またはハロゲン原子等が
存在していてもよい。n1、n2はそれぞれ2以上の整
数であり、好ましくは2〜100の整数を示す。
【0035】ポリカーボネートジオール化合物として
は、一般式(11)で表される化合物がある。
【0036】
【化7】
【0037】式中、L5はそれぞれ同一でも相違しても
よく2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示す。好ま
しくは、L5はアルキレン基、アルケニレン基、アルキ
ニレン基、アリーレン基を示す。またL5中にはイソシ
アネート基と反応しない他の官能基、例えばエーテル、
カルボニル、エステル、シアノ、オレフィン、ウレタ
ン、アミド、ウレイド基またはハロゲン原子等が存在し
ていてもよい。n3は2以上の整数であり、好ましくは
2〜100の整数を示す。
【0038】一般式(9)、(10)または(11)で
示されるジオール化合物としては具体的には以下に示す
ものが含まれる。具体例中のnは2以上の整数である。
【0039】
【化8】
【0040】
【化9】
【0041】
【化10】
【0042】
【化11】
【0043】本発明に使用されるポリウレタン樹脂は、
より好ましくはさらに、カルボキシル基を有するポリウ
レタン樹脂である。好適に使用されるポリウレタン樹脂
は、一般式(12)、(13)、(14)のジオール化
合物の少なくとも1種で表される構造単位および/また
は、テトラカルボン酸2無水物をジオール化合物で開環
させた化合物から由来される構造単位を有するポリウレ
タン樹脂である。
【0044】
【化12】
【0045】R2は水素原子、置換基(例えば、シア
ノ、ニトロ、ハロゲン原子、(−F、−Cl、−Br、
−I)、−CONH2、−COOR3、−OR3、−NH
CONHR3、−NHCOOR3、−NHCOR3、−O
CONHR3(ここで、R3は炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数7〜15のアラルキル基を示す。)などの各
基が含まれる。)を有していてもよいアルキル、アラル
キル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ基を示し、
好ましくは水素原子、炭素数1〜8個のアルキル、炭素
数6〜15個のアリール基を示す。L6、L7、L8はそ
れぞれ同一でも相違していてもよく、単結合、置換基
(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキ
シ、ハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい
2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示す。好ましく
は炭素数1〜20個のアルキレン基、炭素数6〜15個
のアリーレン基、さらに好ましくは炭素数1〜8個のア
ルキレン基を示す。また必要に応じ、L6、L7、L8
にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカ
ルボニル、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド、エ
ーテル基を有していてもよい。なおR2、L6、L7、L8
のうちの2または3個で環を形成してもよい。
【0046】Arは置換基を有していてもよい三価の芳
香族炭化水素基を示し、好ましくは炭素数6〜15個の
芳香族基を示す。
【0047】ハ)カルボキシル基を含有するジオール化
合物 一般式(12)、(13)または(14)で示されるカ
ルボキシル基を有するジオール化合物としては具体的に
は以下に示すものが含まれる。すなわち、3,5−ジヒ
ドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)
プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)
プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピ
ル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(ヒ
ドロキシメチル)酪酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシ
エチルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド等が挙げられ
る。
【0048】本発明において、ポリウレタン樹脂の合成
に用いられる好ましいテトラカルボン酸2無水物として
は、一般式(15)、(16)、(17)で示されるも
のが挙げられる。
【0049】
【化13】
【0050】式中、L9は単結合、置換基(例えばアル
キル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノ、
エステル、アミドの各基が好ましい。)を有していても
よい二価の脂肪族または芳香族炭化水素基、−CO−、
−SO−、−SO2−、−O−または−S−を示す。好
ましくは単結合、炭素数1〜15個の二価の脂肪族炭化
水素基、−CO−、−SO2−、−O−または−S−を
示す。R4、R5は同一でも相違していてもよく、水素原
子、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ま
たはハロゲノ基を示す。好ましくは、水素原子、炭素数
1〜8個のアルキル、炭素数6〜15個のアリール、炭
素数1〜8個のアルコキシ、またはハロゲノ基を示す。
またL9、R4、R5のうちの2つが結合して環を形成し
てもよい。R6、R7は同一でも相違していてもよく、水
素原子、アルキル、アラルキル、アリールまたはハロゲ
ノ基をを示す。好ましくは水素原子、炭素数1〜8個の
アルキル、または炭素数6〜15個のアリール基を示
す。またL9、R6、R7のうちの2つが結合して環を形
成してもよい。L11、L12は同一でも相違していてもよ
く、単結合、二重結合、または二価の脂肪族炭化水素基
を示す。好ましくは単結合、二重結合、またはメチレン
基を示す。Aは単核または多核の芳香環を示す。好まし
くは炭素数6〜18個の芳香環を示す。
【0051】一般式(15)、(16)または(17)
で示される化合物としては、具体的には以下に示すもの
が含まれる。すなわち、ピロメリット酸二無水物、3,
3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン
酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボ
ン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカル
ボン酸二無水物、4,4’−スルホニルジフタル酸二無
水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)
プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)エーテル二無水物、4,4’−[3,3’−(アル
キルホスホリルジフェニレン)−ビス(イミノカルボニ
ル)]ジフタル酸二無水物、ヒドロキノンジアセテート
とトリメット酸無水物の付加体、ジアセチルジアミンと
トリメット酸無水物の付加体などの芳香族テトラカルボ
ン酸二無水物;5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフ
リル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジ
カルボン酸無水物(大日本インキ化学工業(株)製、エ
ピクロンB−4400)、1,2,3,4−シクロペン
タンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シク
ロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフ
ランテトラカルボン酸二無水物などの脂環族テトラカル
ボン酸二無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボ
ン酸二無水物、1,2,4,5−ペンタンテトラカルボ
ン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物が
挙げられる。
【0052】これらのテトラカルボン酸二無水物をジオ
ール化合物で開環された化合物から由来する構造単位を
ポリウレタン樹脂中に導入する方法としては、例えば以
下の方法がある。 a)テトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環
させて得られたアルコール末端の化合物と、ジイソシア
ネート化合物とを反応させる方法。 b)ジイソシアネート化合物をジオール化合物過剰の条
件下で反応させ得られたアルコール末端のウレタン化合
物と、テトラカルボン酸二無水物とを反応させる方法。
【0053】またこのとき使用されるジオール化合物と
しては、具体的には以下に示すものが含まれる。すなわ
ち、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペン
チルグリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6
−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、
1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサ
ン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジ
メタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノー
ルF、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ビス
フェノールFのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノ
ールFのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノ
ールAのエチレンオキサイド付加体、水添ビスフェノー
ルAのプロピレンオキサイド付加体、ヒドロキノンジヒ
ドロキシエチルエーテル、p−キシリレングリコール、
ジヒドロキシエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエ
チル)−2,4−トリレンジカルバメート、2,4−ト
リレン−ビス(2−ヒドロキシエチルカルバミド)、ビ
ス(2−ヒドロキシエチル)−m−キシリレンジカルバ
メート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート
等が挙げられる。
【0054】ニ)その他のジオール化合物 また更に、カルボキシル基を有せず、イソシアネートと
反応しない他の置換基を有してもよいジオール化合物を
併用することもできる。このようなジオール化合物とし
ては、以下に示すものが含まれる。
【0055】 HO−L13−O−CO−L14−CO−O−L13−OH 一般式(18) HO−L14−CO−O−L13−OH 一般式(19)
【0056】式中、L13、L14はそれぞれ同一でも相違
していてもよく、置換基(例えば、アルキル、アラルキ
ル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン原
子(−F、−Cl、−Br、−I)、などの各基が含ま
れる。)を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、
芳香族炭化水素基または複素環基を示す。必要に応じ、
13、L14中にイソシアネート基と反応しない他の官能
基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、
ウレイド基などを有していてもよい。なおL13、L14
環を形成してもよい。
【0057】また一般式(18)または(19)で示さ
れる化合物の具体例としては以下に示すものが含まれ
る。
【0058】
【化14】
【0059】
【化15】
【0060】
【化16】
【0061】
【化17】
【0062】下記に示すジオール化合物も好適に使用で
きる。
【0063】
【化18】
【0064】一般式中、R8、R9はそれぞれ同一でも異
なっていてもよく、置換基を有してもよいアルキル基c
は上記と同義であり、2以上の整数を示し好ましくは2
〜100の整数である。一般式(20)、(21)、で
示されるジオール化合物としては、具体的には以下に示
すものが挙げられる。すなわち、一般式(20)として
は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオー
ル、1,8−オクタンジオール等、一般式(21)とし
ては、下記に示す化合物等、
【0065】
【化19】
【0066】また、下記に示すジオール化合物も好適に
使用できる。
【0067】 HO−L15−NH−CO−L16−CO−NH−L15−OH 一般式(23) HO−L16−CO−NH−L15−OH 一般式(24)
【0068】式中、L15、L16はそれぞれ同一でも相違
していてもよく、置換基(例えば、アルキル、アラルキ
ル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン原
子(−F、−Cl、−Br、−I)、などの各基が含ま
れる。)を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、
芳香族炭化水素基または複素環基を示す。必要に応じ、
15、L16中にイソシアネート基と反応しない他の官能
基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、
ウレイド基などを有していてもよい。なおL15、L16
環を形成してもよい。
【0069】また一般式(22)または(23)で示さ
れる化合物の具体例としては以下に示すものが含まれ
る。
【0070】
【化20】
【0071】
【化21】
【0072】さらに、下記に示すジオール化合物も好適
に使用できる。 HO−Ar2−(L17−Ar3)n−OH 一般式(24) HO−Ar2−L17−OH 一般式(25)
【0073】式中、L17は置換基(例えば、アルキル、
アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ、ハ
ロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい2価の
脂肪族炭化水素基を示す。必要に応じ、L17中にイソシ
アネート基と反応しない他の官能基、例えばエステル、
ウレタン、アミド、ウレイド基を有していてもよい。A
2、Ar3は同一でも相違していてもよく、置換基を有
していてもよい2価の芳香族炭化水素基を示し、好まし
くは炭素数6〜15個の芳香族基を示す。nは0〜10
の整数を示す。
【0074】また一般式(24)または(25)で示さ
れるジオール化合物としては具体的には以下に示すもの
が含まれる。すなわち、カテコール、レゾルシン、ハイ
ドロキノン、4−メチルカテコール、4−t−ブチルカ
テコール、4−アセチルカテコール、3−メトキシカテ
コール、4−フェニルカテコール、4−メチルレゾルシ
ン、4−エチルレゾルシン、4−t−ブチルレゾルシ
ン、4−ヘキシルレゾルシン、4−クロロレゾルシン、
4−ベンジルレゾルシン、4−アセチルレゾルシン、4
−カルボメトキシレゾルシン、2−メチルレゾルシン、
5−メチルレゾルシン、t−ブチルハイドロキノン、
2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−
t−アミルハイドロキノン、テトラメチルハイドロキノ
ン、テトラクロロハイドロキノン、メチルカルボアミノ
ハイドロキノン、メチルウレイドハイドロキノン、メチ
ルチオハイドロキノン、ベンゾノルボルネン−3,6−
ジオール、ビスフェノールA、ブスフェノールS、3,
3’−ジクロロビスフェノールS、4,4’−ジヒドロ
キシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニ
ル、4,4’−チオジフェノール、2,2’−ジヒドロ
キシジフェニルメタン、3,4−ビス(p−ヒドロキシ
フェニル)ヘキサン、1,4−ビス(2−(p−ヒドロ
キシフェニル)プロピル)ベンゼン、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)メチルアミン、1,3−ジヒドロキシナ
フタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−
ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタ
レン、1,5−ジヒドロキシアントラキノン、2−ヒド
ロキシベンジルアルコール、4−ヒドロキシベンジルア
ルコール、2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベ
ンジルアルコール、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−
ブチルベンジルアルコール、4−ヒドロキシフェネチル
アルコール、2−ヒドロキシエチル−4−ヒドロキシベ
ンゾエート、2−ヒドロキシエチル−4−ヒドロキシフ
ェニルアセテート、レゾルシンモノ−2−ヒドロキシエ
チルエーテル等が挙げられる。下記に示すジオール化合
物も好適に使用できる。
【0075】
【化22】
【0076】式中、R10は水素原子、置換基(例えば、
シアノ、ニトロ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−B
r、−I)、−CONH2、−COOR11、−OR11
−NHCONHR11、−NHCOOR11、−NHCOR
11、−OCONHR11、−CONHR11(ここで、R11
は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜15のアラ
ルキル基を示す。)などの各基が含まれる。)を有して
いてもよいアルキル、アラルキル、アリール、アルコキ
シ、アリーロキシ基を示し、好ましくは水素原子、炭素
数1〜8個のアルキル基、炭素数6〜15個のアリール
基を示す。L18、L19、L20はそれぞれ同一でも相違し
ていてもよく、単結合、置換基(例えば、アルキル、ア
ラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲンの各基が好
ましい。)を有していてもよい2価の脂肪族または芳香
族炭化水素基を示す。好ましくは炭素数1〜20個のア
ルキレン基、炭素数6〜15個のアリーレン基、さらに
好ましくは炭素数1〜8個のアルキレン基を示す。必要
に応じて、L18、L19、L20中にイソシアネート基と反
応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウ
レタン、アミド、ウレイド、エーテル基を有していても
よい。なお、R10、L 18、L19、L20のうちの2または
3個で環を形成してもよい。
【0077】Arは置換基を有していてもよい三価の芳
香族炭化水素基を示し、好ましくは炭素数6〜15個の
芳香族基を示す。Z0は下記の基を示す。
【0078】
【化23】
【0079】ここで、R12、R13はそれぞれ同一でも相
違していてもよく、水素原子、ナトリウム、カリウム、
アルキル基、アリール基を示し、好ましくは水素原子、
炭素原子1〜8個のアルキル基、炭素数6〜15個のア
リール基を示す。
【0080】一般式(26)、(27)または(28)
で示されるホスホン酸、リン酸および/またはこれらの
エステル基を有するジオール化合物は、例えば以下に示
す方法により合成される。以下の一般式(29)、(3
0)、(31)で示されるハロゲン化合物のヒドロキシ
基を必要に応じて保護した後、式(32)で表されるMi
chaelis-Arbuzov反応によりホスホネートエステル化
し、さらに必要により臭化水素等により加水分解するこ
とにより合成が行われる。
【0081】
【化24】
【0082】式中、R10、L18、L19、L20およびAr
は式(26)、(27)、(28)の場合と同義であ
る。R14はアルキル基、アリール基を示し、好ましくは
炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数6〜15個のアリ
ール基を示す。R15は式(29)、(30)、(31)
のX1を除いた残基であり、X1はハロゲン原子、好まし
くはCl、Br、Iを示す。また、一般式(33)で表
されるオキシ塩化リンとの反応後、加水分解させる方法
により合成が行われる。
【0083】
【化25】
【0084】式中、R15は式(32)の場合と同義であ
り、Mは水素原子、ナトリウムまたはカリウムを示す。
本発明のポリウレタン樹脂がホスホン酸基を有する場
合、前記多価イソシアネート化合物と前記一般式(2)
で示されるジイソシアネート化合物と、一般式(2
6)、(27)または(28)で示されるホスホン酸エ
ステル基を有するジオール化合物を反応させ、ポリウレ
タン樹脂化した後、臭化水素等により加水分解すること
で合成してもよい。
【0085】また、本発明のウレタンバインダーは、ア
ルカリ可溶性である必要があるため、その生成中または
生成後に、アルカリ可溶性を付与する必要がある。該ア
ルカリ可溶性の付与は、本発明のウレタンバインダーの
生成後よりも生成中に行うことが、工程が簡略化できる
という製造の容易さ並びに感度等印刷性能に影響を及ぼ
す反応残骸を残すことが少ないという理由から、好まし
い。本発明のウレタンバインダーの生成中におけるアル
カリ可溶性付与の方法としては、特に限定されないが、
例えば、該ウレタンバインダーの側鎖にアルカリ可溶性
基を導入する方法が挙げられ、より詳細には、アルカリ
可溶性基を有するジイソシアネート化合物またはジオー
ル化合物を用いることが好ましく、特にアルカリ可溶性
基を有するジオール化合物を用いることが好ましい。
【0086】前記アルカリ可溶性基としては、特に限定
されないが、カルボキシル基、スルホンアミド基、フェ
ノール性水酸基等が挙げられるが、優れたアルカリ可溶
性という点で、カルボキシル基が特に好ましい。また、
前記カルボキシル基を有するジオール化合物としては、
前述のものが例示される。
【0087】さらに、下記に示すアミノ基含有化合物
も、前記トリイソシアネート化合物、ジイソシアネート
化合物およびジオール化合物と反応させ、ウレア構造を
形成してポリウレタン樹脂バインダーの構造に組み込ま
れてもよい。
【0088】
【化26】
【0089】(式中、R16、R17はそれぞれ同一でも相
違していてもよく、水素原子、置換基(例えばアルコキ
シ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、エ
ステル、カルボキシル基などの各基が含まれる。)を有
していてもよいアルキル、アラルキル、アリール基を示
し、好ましくは水素原子、置換基としてカルボキシル基
を有していてもよい炭素数1〜8個のアルキル、炭素数
6〜15個のアリール基を示す。L21は置換基(例え
ば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ア
リーロキシ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−
I)、カルボキシル基などの各基が含まれる。)を有し
ていてもよい2価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素
基または複素環基を示す。必要に応じ、L21中にイソシ
アネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニ
ル、エステル、ウレタン、アミド基などを有していても
よい。なおR16、L21、R17のうちの2個で環を形成し
てもよい。
【0090】また一般式(34)、(35)で示される
化合物の具体例としては、以下に示すものが含まれる。
すなわち、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テ
トラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキ
サメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタ
メチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、プロパン
−1,2−ジアミン、ビス(3−アミノプロピル)メチ
ルアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラ
メチルシロキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペ
ラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、4−ア
ミノ−2,2−6,6−テトラメチルピペリジン、N,
N−ジメチルエチレンジアミン、リジン、L−シスチ
ン、イソホロンジアミン等のような脂肪族ジアミン化合
物;o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミ
ン、p−フェニレンジアミン、2,4−トリレンジアミ
ン、ベンジジン、o−ジトルイジン、o−ジアニシジ
ン、4−ニトロ−m−フェニレンジアミン、2,5−ジ
メトキシ−p−フェニレンジアミン、ビス−(4−アミ
ノフェニル)スルホン、4−カルボキシ−o−フェニレ
ンジアミン、3−カルボキシ−m−フェニレンジアミ
ン、4,4’−ジアミノフェニルエーテル、1,8−ナ
フタレンジアミン等のような芳香族ジアミン化合物;2
−アミノイミダゾール、3−アミノトリアゾール、5−
アミノ−1H−テトラゾール、4−アミノピラゾール、
2−アミノベンズイミダゾール、2−アミノ−5−カル
ボキシ−トリアゾール、2,4−ジアミノ−6−メチル
−S−トリアジン、2,6−ジアミノピリジン、L−ヒ
スチジン、DL−トリプトファン、アデニン等のような
複素環アミン化合物;エタノールアミン、N−メチルエ
タノールアミン、N−エチルエタノールアミン、1−ア
ミノ−2−プロパノール、1−アミノ−3−プロパノー
ル、2−アミノエトキシエタノール、2−アミノチオエ
トキシエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロ
パノール、p−アミノフェノール、m−アミノフェノー
ル、o−アミノフェノール、4−メチル−2−アミノフ
ェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−メ
トキシ−3−アミノフェノール、4−ヒドロキシベンジ
ルアミン、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノサ
リチル酸、4−ヒドロキシ−N−フェニルグリシン、2
−アミノベンジルアルコール、4−アミノフェネチルア
ルコール、2−カルボキシ−5−アミノ−1−ナフトー
ル、L−チロシン等のようなアミノアルコールまたはア
ミノフェノール化合物。
【0091】本発明のポリウレタンバインダーは、上記
多価トリイソシアネート化合物、イソシアネート化合物
およびジオール化合物を非プロトン性溶媒中、それぞれ
の反応性に応じた活性の公知の触媒を添加し、加熱する
ことにより合成される。使用する多価イソシアネート、
ジイソシアネートおよびジオール化合物のモル比は好ま
しくは0.01:0.8:1〜0.05:1.2:1で
ある。多価イソシアネート化合物のモル比が0.01を
下回ると、効率よく3次元架橋反応が起こらず好ましく
ない。また0.05を越えると、例えば光重合性組成物
を溶剤に溶解し塗布する際、その溶剤に溶け難くなるな
ど弊害があり好ましくない。不飽和基を有するアルコー
ル類またはアミン類等で処理することにより、最終的に
ポリウレタン末端に不飽和基が導入される。その様な化
合物としては、具体的には以下のものを挙げることでき
る。
【0092】
【化27】
【0093】
【化28】
【0094】
【化29】
【0095】本発明のポリウレタン樹脂は、ポリエーテ
ルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、また
はポリカーボネートジオール化合物の少なくとも1種と
の反応生成物で表される構造を有するポリウレタン樹脂
であることが好ましく、それらのポリウレタン樹脂中の
含有量として、好ましくは、1〜80重量パーセントで
あり、より好ましくは、5〜60重量パーセントであ
る。本発明のポリウレタン樹脂は、好ましくは、主鎖及
び/又は側鎖に芳香族基を含有したものである。より好
ましくは、芳香族基の含有量がポリウレタン樹脂中、1
0〜80重量%の範囲である。
【0096】本発明のポリウレタン樹脂は、カルボキシ
ル基を有するポリウレタン樹脂であることが好ましく、
その含有量は、カルボキシル基が0.4meq/g以上
含まれていることが好ましく、より好ましくは、0.4
〜3.5meq/gの範囲である。本発明のポリウレタ
ン樹脂の分子量は、好ましくは重量平均で1000以上
であり、より好ましくは、10000〜30万の範囲で
ある。
【0097】〔付加重合性化合物〕次に、本発明の平版
印刷版用原版の光重合性感光層に含有される、付加重合
可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物(以下
単に、付加重合性化合物ともいう)について説明する。
本発明に使用される付加重合性化合物は、付加重合可能
なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物であれば特
に限定されないが、好ましくはエチレン性不飽和結合が
末端少なくとも1個、さらに好ましくは2個以上有する
化合物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野
において広く知られるものであり、本発明においてはこ
れらを特に限定無く用いる事ができる。これらは、例え
ばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体お
よびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれら
の共重合体などの化学的形態をもつ。モノマーおよびそ
の共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、
イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル
類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン
酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和
カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用
いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカ
プト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エス
テル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート
類、エポキシ類との付加反応物、単官能もしくは、多官
能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用され
る。また、イソシアナト基や、エポキシ基等の親電子性
置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類
と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チ
オール類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ
基等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステ
ル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、
アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。ま
た、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わり
に、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に
置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
【0098】特に好ましい付加重合性化合物は、イソシ
アネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタ
ン系付加重合性化合物である。そのような具体例として
は、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載さ
れている1分子に2個以上のイソシアネート基を有する
ポリイソシアネート化合物に、下記一般式(36)で示
される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1
分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウ
レタン化合物等が挙げられる。
【0099】 CH2=C(R)COOCH2CH(R′)OH 一般式(36) (ただし、RおよびR′はHあるいはCH3を示す。)
【0100】また、特開昭51−37193号、特公平
2−32293号、特公平2−16765号に記載され
ているようなウレタン(メタ)アクリレート類や、特公
昭58−49860号、特公昭56−17654号、特
公昭62−39417、特公昭62−39418号記載
のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類
を挙げることでき、特に好ましい具体例としては次のよ
うな化合物を挙げることできる。下記(1)群のポリイ
ソシアネート化合物と(2)群のアルコール化合物との
反応生成物である。
【0101】
【化30】
【0102】
【化31】
【0103】
【化32】
【0104】
【化33】
【0105】
【化34】
【0106】更に具体的には、次の化合物がそれらに相
当する。東亜合成(株)社製ウレタンアクリレートM−
1100、M−1200、M−1210、M−130
0、ダイセル・ユーシービー(株)社製ウレタンアクリ
レートEB210、EB4827、EB6700、EB
220、MORTON THIOKOL Inc.製U
VITHANE−782、UVITHANE−783、
UVITHANE−788、UVITHANE−89
3、根上工業(株)社製アートレジンUN−9000E
P、アートレジンUN−9200A、アートレジンUN
−9000H、アートレジンUN−1255、アートレ
ジンUN−5000、アートレジンUN−2111A、
アートレジンUN−2500、アートレジンUN−33
20HA、アートレジンUN−3320HB、アートレ
ジンUN−3320HC、アートレジンUN−3320
HS、アートレジンUN−6060P、アートレジンU
N−6060PTM、アートレジンSH−380G、ア
ートレジンSH−500、アートレジンSH−983
2、新中村化学(株)社製NKオリゴU−4H、NKオ
リゴU−4HA、NKオリゴU−4P、NKオリゴU−
4PA、NKオリゴU−4TX、NKオリゴU−4TX
A、NKオリゴU−6LHA、NKオリゴU−6LPA
−N、NKオリゴU−6LTXA、NKオリゴUA−6
ELP、NKオリゴUA−6ELH、NKオリゴUA−
6ELTX、NKオリゴUA−6PLP、NKオリゴU
−6ELP、NKオリゴU−6ELH、NKオリゴU−
8MDA、NKオリゴU−8MD、NKオリゴU−12
LMA、NKオリゴU−12LM、NKオリゴU−6H
A、NKオリゴU−108A、NKオリゴU−1084
A、NKオリゴU−200AX、NKオリゴU−122
A、NKオリゴU−340A、NKオリゴU−324
A、NKオリゴUA−100、共栄社化学(株)社製A
H−600、AT−600、UA−306H、AI−6
00、UA−101T、UA−101I、UA−101
H、UA−306T、UA−306I、UF−800
1、UF−8003等。
【0107】脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カル
ボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アク
リル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレ
ート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3
−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリ
コールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリ
レート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリ
メチロールプロパントリアクリレート、トリメチロール
プロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテ
ル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサン
ジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオ
ールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアク
リレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペン
タエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジア
クリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレー
ト、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテト
ラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソ
ルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオ
キシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレ
ートオリゴマー等がある。
【0108】メタクリル酸エステルとしては、テトラメ
チレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリ
コールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオ
ールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタ
エリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジ
メタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタク
リレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビト
ールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリ
ルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメ
チルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキ
シ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0109】イタコン酸エステルとしては、エチレング
リコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタ
コネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、
1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレ
ングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジ
イタコネート、ソルビトールテトライタコネート等があ
る。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコール
ジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネ
ート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビト
ールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エ
ステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネー
ト、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビ
トールテトライソクロトネート等がある。
【0110】マレイン酸エステルとしては、エチレング
リコールジマレート、トリエチレングリコールジマレー
ト、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテ
トラマレート等がある。その他のエステルの例として、
例えば、特公昭46−27926、特公昭51−473
34、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコー
ル系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59
−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨
格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ
基を含有するもの等も好適に用いられる。さらに、前述
のエステルモノマーは混合物としても使用することがで
きる。
【0111】また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カ
ルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチ
レンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリル
アミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミ
ド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、
ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレ
ンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミ
ド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例と
しては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレ
ン構造を有すものを挙げることができる。さらに、特開
昭63−277653,特開昭63−260909号、
特開平1−105238号に記載される、分子内にアミ
ノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を
用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光
重合性組成物を得ることができる。
【0112】その他の例としては、特開昭48−641
83号、特公昭49−43191号、特公昭52−30
490号、各公報に記載されているようなポリエステル
アクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を
反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリ
レートやメタクリレートを挙げることができる。また、
特公昭46−43946号、特公平1−40337号、
特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、
特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合
物等もあげることができる。また、ある場合には、特開
昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を
含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会
誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ(198
4年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介
されているものも使用することができる。
【0113】これらの、付加重合性化合物について、ど
の様な構造を用いるか、単独で使用するか併用するか、
添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終的な
平版印刷版用原版の性能設計にあわせて、任意に設定で
きる。例えば次のような観点から選択される。感光スピ
ードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が
好ましく、多くの場合、2官能以上がこのましい。ま
た、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、
3官能以上のものが良く、さらに、異なる官能数・異な
る重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸
エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合
物)のものを併用することで、感光性と、強度を両方を
調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や、
疎水性の高い化合物は感光スピードや、膜強度に優れる
反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好
ましく無い場合がある。また、感光層中の他の成分(例
えばバインダー、チタノセン化合物(光重合開始剤)、
着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合性
化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低
純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向
上させ得ることがある。また、後述の支持体、オーバー
コート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を
選択することもあり得る。感光層中の付加重合性化合物
の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、
多すぎる場合には、好ましく無い相分離が生じたり、感
光層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、感光層
成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液から
の析出が生じる等の問題を生じ得る。これらの観点か
ら、好ましい配合比は、多くの場合、感光層全成分に対
して5〜80重量%、好ましくは25〜75重量%であ
る。また、これらは単独で用いても2種以上併用しても
よい。そのほか、付加重合性化合物の使用法は、酸素に
対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変
化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量
を任意に選択でき、さらに場合によっては下塗り、上塗
りといった層構成・塗布方法も実施し得る。
【0114】〔光重合開始剤〕次に、本発明の平版印刷
版用原版の光重合性感光層に含有される、光重合開始剤
について説明する。本発明の平版印刷版用原版の光重合
性感光層に含有される光重合開始剤としては、すでに公
知のラジカル発生剤を用いることができる。好ましいラ
ジカル発生剤の例としては(a)芳香族ケトン類、
(b)芳香族オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、
(d)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(e)ケ
トオキシムエステル化合物、(f)ボレート化合物、
(g)アジニウム化合物、(h)活性エステル化合物、
(i)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(j)メタロ
セン化合物等が挙げられる。
【0115】(a)芳香族ケトン類の例としては、特公
昭47−3981号記載のベンゾインエーテル化合物、
例えば以下のものが挙げられる。
【0116】
【化35】
【0117】特公昭47−22326号記載のα−置換
ベンゾイン化合物、例えば以下のものがある。
【0118】
【化36】
【0119】特公昭60−26483号記載のジアルコ
キシベンゾフェノン化合物、例えば以下のものがある。
【0120】
【化37】
【0121】特公昭60−26403号、特開昭62−
81345号記載のベンゾインエーテル化合物、例えば
以下のものがある。
【0122】
【化38】
【0123】特公平1−34242号、米国特許第43
18791号、ヨーロッパ特許第0234561A1号
記載のα−アミノベンゾフェノン化合物、例えば以下の
ものがある。
【0124】
【化39】
【0125】特開平2−211452号記載のp−ジ
(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン化合物、例えば
以下のものがある。
【0126】
【化40】
【0127】特開昭61−194062号記載のチオ置
換芳香族ケトン化合物、例えば以下のものがある。
【0128】
【化41】
【0129】特公平2−9597号記載のアシルホスフ
ィンスルフィド化合物、例えば以下のものがある。
【0130】
【化42】
【0131】特公平2−9596号記載のアシルホスフ
ィン化合物、例えば以下のものがある。
【0132】
【化43】
【0133】また、特公昭63−61950号記載のチ
オキサントン化合物、特公昭59−42864号記載の
クマリン化合物を挙げることできる。
【0134】ラジカル発生剤の別の例である(b)芳香
族オニウム塩としては、周期律表の第V、VIおよびVII
族の元素、具体的にはN、P、As、Sb、Bi、O、
S、Se、TeまたはIの芳香族オニウム塩が含まれ
る。このような芳香族オニウム塩の例としては、特公昭
52−14277号、特公昭52−14278号、特公
昭52−14279号に示されている化合物を挙げるこ
とができる。具体的には、以下のものを挙げることがで
きる。
【0135】
【化44】
【0136】
【化45】
【0137】
【化46】
【0138】ラジカル発生剤の別の例である(c)有機
過酸化物としては分子中に酸素−酸素結合を1個以上有
する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、3,3′
4,4′−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニ
ル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ−(t
−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,
3′4,4′−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカル
ボニル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ−
(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノ
ン、3,3′4,4′−テトラ−(クミルパーオキシカ
ルボニル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ
−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベ
ンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレ
ートなどの過酸化エステル系が好ましい。
【0139】ラジカル発生剤の別の例である(d)ヘキ
サアリールビイミダゾール化合物としては、特公昭45
−37377号、特公昭44−86516号記載のロフ
ィンダイマー類、例えば2,2′−ビス(o−クロロフ
ェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミ
ダゾール、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−
4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,
4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,
2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,
5′−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾー
ル、2,2′−ビス(o,o′−ジクロロフェニル)−
4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,
5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−
ビス(o−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テ
トラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ト
リフルオロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフ
ェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0140】ラジカル発生剤の別の例である(e)ケト
オキシムエステル化合物としては、3−ベンゾイロキシ
イミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン
−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2
−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2
−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オ
ン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン
−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノ
ブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミ
ノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0141】ラジカル発生剤の別の例である(f)ボレ
ート化合物としては、下記一般式(37)で表わされる
化合物を挙げることができる。
【0142】
【化47】
【0143】(式中、R12、R13、R14およびR15は互
いに同一でも異なっていてもよく、各々置換もしくは非
置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、
置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置
換のアルキニル基、又は置換もしくは非置換の複素環基
を示し、R12、R13、R14およびR15はその2個以上の
基が結合して環状構造を形成してもよい。ただし、
12、R13、R14およびR15のうち、少なくとも1つは
置換もしくは非置換のアルキル基である。Z+はアルカ
リ金属オチオンまたは第4段アンモニウムカチオンを示
す)。
【0144】一般式(37)で示される化合物例として
は具体的には米国特許3,567,453号、同4,3
43,891号、ヨーロッパ特許109,772号、同
109,773号に記載されている化合物、例えば以下
に示すものがある。
【0145】
【化48】
【0146】ラジカル発生剤の別の例である(g)アジ
ニウム塩化合物の例としては、特開昭63−13834
5号、特開昭63−142345号、特開昭63−14
2346号、特開昭63−143537号ならびに特公
昭46−42363号記載のN−O結合を有する化合物
群を挙げることができる ラジカル発生剤の別の例である(h)活性エステル化合
物の例としては、特公昭62−6223記載のイミドス
ルホネート化合物、特公昭63−14340号、特開昭
59−174831号記載の活性スルホネート類を挙げ
ることができる。
【0147】ラジカル発生剤の別の例である(i)炭素
ハロゲン結合を有する化合物の例としては、若林ら著、
Bull. Chem. Soc. Japan,42、2924(1969)
記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の
化合物、特開昭53−133428号記載の化合物、独
国特許3337024号明細書記載の化合物、、F. C.
Schaefer等によるJ. Org.Chem.29、1527(196
4)記載の化合物、特開昭62−58241号記載の化
合物、特開平5−281728号記載の化合物等があ
り、例えば、以下に示すものがある。
【0148】
【化49】
【0149】
【化50】
【0150】あるいはさらに(i)炭素ハロゲン結合を
有する化合物の例としては、M. P.Hutt、E. F. Elslage
rおよびL. M. Herbel著「Journalof Heterocyclic chem
istry」第7巻(No.3)、第511頁以降(197
0年)に記載されている合成方法に準じて、当業者が容
易に合成することができる化合物群、ドイツ特許第26
41100号に記載されているような化合物、ドイツ特
許第3333450号に記載されている化合物、ドイツ
特許第3021590号に記載の化合物群、ドイツ特許
第3021599号に記載の化合物群等があり、例え
ば、以下に示すものがある。
【0151】
【化51】
【0152】
【化52】
【0153】
【化53】
【0154】ラジカル発生剤の別の例である(j)メタ
ロセン化合物の例としては、特開昭59−152396
号、特開昭61−151197号、特開昭63−414
83号、特開昭63−41484号、特開平2−249
号、特開平2−291号、特開平3−27393号、特
開平3−12403号、特開平6−41170号に記載
されているチタノセン化合物、特開平1−304453
号、特開平1−152109号記載の鉄−アレン錯体化
合物を挙げることができる。上記のチタノセン化合物の
例としては、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−ク
ロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フ
ェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,
3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル(以
下「T−1」ともいう。)、ジ−シクロペンタジエニル
−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ
−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−
2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シク
ロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフ
エニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビ
ス−2,4−ジフルオロフエニ−1−イル、ジ−メチル
シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,
6−ペンタフルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシク
ロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テト
ラフルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタ
ジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフエニ−1
−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6
−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)フェニル)チタ
ニウム等を挙げることができる。
【0155】本発明の平版印刷版用原版の光重合性感光
層に含有されるラジカル発生剤のさらに好ましい例とし
ては、上述の(i)炭素ハロゲン結合を有する化合物、
(j)メタロセン化合物を挙げることできる。
【0156】本発明の平版印刷版用原版の光重合性感光
層に含有されるラジカル発生剤は単独もしくは2種以上
の併用によって好適に用いられる。また、該ラジカル発
生剤に関しては、さらに、本発明の平版印刷版用原版の
感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うこ
とも可能である。例えば、後述の増感色素や、前述の付
加重合性不飽和化合物その他のラジカル発生パートとの
結合、親水性部位の導入、相溶性向上、結晶析出抑制の
ための置換基導入、密着性を向上させる置換基導入、ポ
リマー化等の方法が利用できる。
【0157】これらのラジカル発生剤の使用法に関し
て、平版印刷版用原版の性能設計により適宜、任意に設
定できる。例えば、2種以上併用することで、本発明の
平版印刷版用原版の感光層への相溶性を高める事ができ
る。ラジカル発生剤の使用量は通常多い方が感光性の点
で有利であり、感光層成分100重量部に対し、0. 5
〜80重量部、好ましくは1〜50重量部、範囲で用い
ることで十分な感光性が得られる
【0158】さらに本発明の平版印刷版用原版の光重合
性感光層には、光重合開始剤と併用して、増感色素を添
加する事ができる。そして、特に製版用の走査露光光源
として、現状では、波長400〜700nmの可視光レ
ーザが優れるため可視光増感色素を添加することが好ま
しい。好ましい可視光増感色素としては、a)シアニン
系色素、b)メロシアニン系色素、c)キサンテン色
素、d)ケトクマリン系色素、e)ベンゾピラン系色素
がある。
【0159】a)シアニン系色素の好ましい例として
は、特開平8−234428号記載の下記の構造を有す
るものが挙げられるが、これに限定されるものではな
い。
【0160】
【化54】
【0161】(式中、Z1およびZ2は同一でも異なって
もよく、ベンゾイミダゾールまたはナフトイミダゾール
環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。R1
2、R3およびR4はそれぞれ置換されてもよいアルキ
ル基を表す。X-は対アニオンを表し、nは0または1
である。)
【0162】下の第1表にシアニン系色素の具体例を示
す。
【0163】
【表1】
【0164】可視光増感色素の別の例であるb)メロシ
アニン系色素の好ましい例としては、特開平8−234
429号、特開平8−220758号、特開平8−22
0757号記載の下記の構造を有するものが挙げられる
が、これに限定されるものではない。
【0165】
【化55】
【0166】(式中、Z1、Z2はそれぞれシアニン色素
で通常用いられる5員環及び/又は6員環の含窒素複素
環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。R1、R2
はそれぞれアルキル基を表す。Q1とQ2は組み合わせる
ことにより、4−チアゾリジノン環、5−チアゾリジノ
ン環、4−イミダゾリジノン環、4−オキサゾリジノン
環、5−オキサゾリジノン環、5−イミダゾリジノン環
又は4−ジチオラノン環を形成するのに必要な原子群を
表す。mは1又は2を表す。i、hはそれぞれ0又は1
を表す。lは1又は2を表す。j、kはそれぞれ0,
1,2又は3を表す。X-は対アニオンを表す。)
【0167】
【化56】
【0168】(式中、R1およびR2は各々独立して水素
原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有し
てもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニ
ル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよい
アリール基またはアラルキル基を表す。Aは酸素原子、
硫黄原子、セレン原子、テルル原子、アルキルないしは
アリール置換された窒素原子又はジアルキル置換された
炭素原子を表す。Xは含窒素ヘテロ5員環を形成するの
に必要な非金属原子群を表す。Yは置換フェニル基、置
換基を有してもよい多核芳香環、または置換基を有して
もよいヘテロ芳香環を表す。Zは水素原子、置換基を有
してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール
基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ア
リールチオ基、置換アミノ基、アシル基、またはアルコ
キシカルボニル基を表し、Yと互いに結合して環を形成
してもよい。)
【0169】
【化57】
【0170】(式中、A=は置換されてもよい2(3
H)−チアゾリリデン基もしくは2−チアゾリジニリデ
ン基を表し、−X−は−O−、−S−、−NR2−もし
くは−CONR3−を表し、R1、R2、R3はそれぞれ独
立して、水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換
されてもよいアリール基、置換されてもよいアルケニル
基、置換されてもよいアルキニル基を表し、=Eは置換
されてもよい1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−イ
ンデン−2−イリデン基を表す。) 以下にメロシアニン系色素の具体例を示す。
【0171】
【化58】
【0172】
【化59】
【0173】可視光増感色素の別の例であるc)キサン
テン色素の好ましい例としては、ローダミンB、ローダ
ミン6G、エチルエオシン、アルコール可溶性エオシ
ン、ピニロンY、ピニロンB等を挙げることができる。
可視光増感色素の別の例であるd)ケトクマリン系色素
の好ましい例としては、特開昭63−221110号記
載の下記構造を有するものが挙げられるが、これに限定
されるものではない。
【0174】
【化60】
【0175】(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ水素
原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を
表し、R3およびR4はそれぞれアルキル基を表すが、少
なくとも一方が炭素数4〜16個のアルキル基を表し、
6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル
基、シアノ基、カルボキシル基、もしくはそれのエステ
ル誘導体またはアミド誘導体の基を表し、R7は炭素原
子の総数が3〜17個の複素環残基−CO−R8を表
し、R2とR3、R4とR5は互いに結合して環を形成して
もよい。ここでR8は下に示す基である。
【0176】
【化61】
【0177】以下にケトクマリン系色素の具体例を示
す。
【0178】
【化62】
【0179】可視光増感色素の別の例であるe)ベンゾ
ピラン系色素の好ましい例としては、特開平8−334
897号記載の下記構造を有するものが挙げられるが、
これに限定されるものではない。
【0180】
【化63】
【0181】(式中、R1〜R4は互いに独立して、水素
原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、水酸
基、アルコキシ基またはアミノ基を表す。また、R1
4はそれらが各々結合できる炭素原子と共に非金属原
子から成る環を形成していても良い。R5は、水素原
子、アルキル基、アリール基、ヘテロ芳香族基、シアノ
基、アルコキシ基、カルボキシ基またはアルケニル基を
表す。R6は、R5で表される基または−Z−R5であ
り、Zはカルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基
またはアリーレンジカルボニル基を表す。またR5およ
びR6は共に非金属原子から成る環を形成しても良い。
AはO、S、NHまたは置換基を有する窒素原子を表
す。Bは、酸素原子または以下の基
【0182】
【化64】
【0183】であり、G1、G2は同一でも異なっていて
も良く、水素原子、シアノ基、アルコキシカルボニル
基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アリール
カルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アル
キルスルホニル基、アリールスルホニル基またはフルオ
ロスルホニル基を表す。但しG1とG2は同時に水素原子
となることはない。またG1およびG2は炭素原子と共に
非金属原子から成る環を形成していても良い。) 以下にベンゾピラン系色素の例を示す。
【0184】
【化65】
【0185】
【化66】
【0186】前記増感色素のより好ましい例としては、
上述のb)メロシアニン系色素、e)ベンゾピラン系色
素が好ましい。前記増感色素も単独もしくは2種以上の
併用によって好適に用いられる。増感色素に関しては、
さらに、本発明の平版印刷版用原版の感光層の特性を改
良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。
例えば、増感色素と、前述の付加重合性化合物構造(例
えば、アクリロイル基やメタクリロイル基)とを、共有
結合、イオン結合、水素結合等の方法により結合させる
事で、露光膜の高強度化や、露光後の膜からの色素の不
要な析出抑制を行う事ができる。また、増感色素と先述
のラジカル発生剤やその他のラジカル発生パート(例え
ば、ハロゲン化アルキル、オニウム、過酸化物、ビイミ
ダゾール、オニウム、ビイミダゾール等の還元分解性部
位や、ボレート、アミン、トリメチルシリルメチル、カ
ルボキシメチル、カルボニル、イミン等の酸化解裂性部
位)との結合により、特に光重合開始系の濃度の低い状
態での感光性を著しく高める事ができる。さらに、本発
明の平版印刷版用原版の感光層の好ましい使用様態であ
る、(アルカリ)水系現像液への処理適性を高める目的
に対しては、親水性部位(カルボキシル基並びにそのエ
ステル、スルホン酸基並びにそのエステル、エチレンオ
キサイド基等の酸基もしくは極性基)の導入が有効であ
る。特にエステル型の親水性基は、感光層中では比較的
疎水的構造を有するため相溶性に優れ、かつ、現像液中
では、加水分解により酸基を生成し、親水性が増大する
という特徴を有する。その他、例えば、感光層中での相
溶性向上、結晶析出抑制のために適宜置換基を導入する
事ができる。例えば、ある種の感光系では、アリール基
やアリル基等の不飽和結合が相溶性向上に非常に有効で
ある場合があり、また、分岐アルキル構造導入等の方法
により、色素π平面間の立体障害を導入する事で、結晶
析出が著しく抑制できる。また、ホスホン酸基やエポキ
シ基、トリアルコキシシリル基等の導入により、金属や
金属酸化物等の無機物への密着性を向上させる事ができ
る。そのほか、目的に応じ、増感色素のポリマー化等の
方法も利用できる。
【0187】これらの増感色素の使用法に関しても、先
述のラジカル発生剤同様、平版印刷版用原版の性能設計
により任意に設定できる。例えば、増感色素を2種以上
併用することで、感光層への相溶性を高める事ができ
る。増感色素の選択は、感光性の他、使用する光源の発
光波長でのモル吸光係数が重要な因子である。モル吸光
係数の大きな色素を使用する事により、色素の添加量は
比較的少なくできるので、経済的であり、かつ感光層の
膜物性の点からも有利である。感光層の感光性、解像度
や、露光膜の物性は光源波長での吸光度に大きな影響を
受けるので、これらを考慮して増感色素の添加量を適宜
選択する。例えば、吸光度が0.1以下の低い領域では
感度が低下する。また、ハレーションの影響により低解
像度となる。但し、例えば5μm以上の厚い膜を硬化せ
しめる目的に対しては、この様な低い吸光度の方がかえ
って硬化度を上げられる場合もある。また、吸光度が3
以上の様な高い領域では、感光層表面で大部分の光が吸
収され、より内部での硬化が阻害され、例えば印刷版と
して使用した場合には膜強度、基板密着性の不十分なも
のとなる。比較的薄い膜厚で使用する平版印刷版用原版
としての使用に際しては、増感色素の添加量は、感光層
の吸光度が0.1から1.5の範囲、好ましくは0.2
5から1の範囲となるように設定するのが好ましい。平
版印刷版用原版として利用する場合には、これは、通
常、感光層成分100重量部に対し、0.05〜30重
量部、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましく
は0.2〜10重量部の範囲である。
【0188】さらに本発明の平版印刷版用原版の光重合
性感光層には、感度向上の目的で、共開始剤を添加する
事ができる。例えば、アミン化合物、チオール化合物、
オキシムエーテル化合物等を挙げることできる。この
内、オキシムエーテル化合物の好ましい例として、特開
平10−237118号記載の下記構造を有する化合物
が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0189】
【化67】
【0190】(式中、R1〜R4はアルキル基又はアリー
ル基を表し、Arはアリール基を表す。またR1とR2
はR3とR4が互いに結合して環を形成していてもよい。
Zは2価の置換基を有していてもよい炭化水素含有連結
基を表す。Yは下記で表される基を少なくとも1つ以上
含む2価の連結基または単結合を表す。
【0191】
【化68】
【0192】ここで、R5は水素原子、置換基を有して
いても良く不飽和結合を含んでいても良い炭化水素基、
カルボニル基或いはスルホニル基を表す。また、R5
8は互いに同一または異なり、置換基を有していても
良く不飽和結合を含んでいても良い炭化水素基を表す。
-はロゲン原子からなる1価のアニオン又は1価のス
ルホン酸アニオンを表す。Xは、次の式〔I−a〕で表
される付加重合性の基を有する基である。
【0193】
【化69】
【0194】を示し、r1〜r3は互いに同一または異な
り、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、ハロ
ゲン原子、シアノ基又は−C(=O)−OR9を表す。
nは0又は1を表す。但し、nが0時r1〜r3全てが水
素原子となることはない。r4、r5は互いに同一または
異なり、水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基
を表す。R9はアルキル基又はアリール基を表す。) 以下の第2表に、オキシムエーテル化合物の例を示す。
【0195】
【表2】
【0196】共開始剤として特に好ましいものは、上述
のオキシムエーテル化合物である。これらの共増感剤に
関しても、先の増感色素と同様、さらに、感光層の特性
を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能であ
る。例えば、増感色素やラジカル発生剤、付加重合性不
飽和化合物その他のラジカル発生パートとの結合、親水
性部位の導入、相溶性向上、結晶析出抑制のための置換
基導入、密着性を向上させる置換基導入、ポリマー化等
の方法が利用できる。これらの共開始剤は、単独でまた
は2種以上併用して用いることができる。使用量はエチ
レン性不飽和二重結合を有する化合物100重量部に対
し0.05〜100重量部、好ましくは1〜80重量
部、さらに好ましくは3〜50重量部の範囲が適当であ
る。
【0197】本発明の平版印刷版用原版の光重合性感光
層には、前記ウレタンバインダー、付加重合性化合物、
光重合開始剤の基本成分の他に、該感光層成分組成物の
製造中あるいは保存中において、該付加重合性化合物の
不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添
加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としてはハ
ロイドキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチ
ル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコ
ール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル
−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビ
ス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニ
トロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、N
−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
等が挙げられる。熱重合禁止剤の添加量は、全組成物の
重量に対して約0.01%〜約5%が好ましい。また必
要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘ
ン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添
加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させ
てもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約
0.5%〜約10%が好ましい。
【0198】更に本発明の平版印刷版用原版の光重合性
感光層の着色を目的として、着色剤を添加してもよい。
着色剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料(C.I.
Pigment Blue15:3,15:4,15:6など)、アゾ系顔料、カー
ボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレ
ット、クリスタルバイオレット、アゾ染料、アントラキ
ノン系染料、シアニン系染料がある。染料および顔料の
添加量は全組成物の約0.5%〜約20%が好ましい。
加えて、硬化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤
やジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、トリク
レジルホスフェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよ
い。これらの添加量は感光層成分の全組成物の10%以
下が好ましい。
【0199】本発明の平版印刷版用原版において、その
光重合性感光層を後述の支持体上に塗布する際には、該
感光層成分組成物を種々の有機溶剤に溶かして使用に供
される。ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチ
ルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレ
ンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチ
レングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコー
ルモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセ
トン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチ
レングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレ
ングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリ
コールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコール
モノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノ
ール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエ
チルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレ
ングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メト
キシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸
メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独
あるいは混合して使用することができる。そして、塗布
溶液中の固形分の濃度は、1〜50重量%が適当であ
る。
【0200】本発明の平版印刷版用原版における光重合
性感光層には、塗布面質を向上するために界面活性剤を
添加することができる。光重合性感光層の塗布量は、乾
燥後の重量で約0.1g/m2〜約10g/m2の範囲が
適当である。より好ましくは0.3〜5g/m2であ
る。更に好ましくは0.5〜3g/m2である。
【0201】〔アルミニウム支持体〕本発明の平版印刷
版用原版に用いられるアルミニウム支持体としては、寸
度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属であり、
アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。純アル
ミニウム板の他、アルミニウムを主成分とし、微量の異
元素を含む合金板、又はアルミニウム(合金)がラミネ
ートもしくは蒸着されたプラスチックフィルム又は紙の
中から選ばれる。更に、特公昭48−18327号に記
載されているようなポリエチレンテレフタレートフィル
ム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートで
もかまわない。
【0202】以下の説明において、上記に挙げたアルミ
ニウムまたはアルミニウム合金からなる基板をアルミニ
ウム基板と総称して用いる。前記アルミニウム合金に含
まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネ
シウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンな
どがあり、合金中の異元素の含有量は10重量%以下で
ある。本発明では純アルミニウム板が好適であるが、完
全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難である
ので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このよう
に本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特
定されるものではなく、従来より公知公用の素材のも
の、例えばJIS A 1050、JISA 110
0、JIS A 3103、JIS A 3005など
を適宜利用することができる。
【0203】また、本発明に用いられるアルミニウム基
板の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度であ
る。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさ及びユ
ーザーの希望により適宜変更することができる。
【0204】なお、本発明に用いられるアルミニウム基
板として特に好もしいのは、以下の物性値を有するもの
である。東京精密(株)製surfcom575を用い
て、cut off0.8、走査速度0.3mm/se
c.、触針先端計2μmRの条件下で、測定長さ3mmで
測定した場合の支持体表面のJISに準拠した粗さパラ
メータを測定すると、中心線平均粗さRaが0.20〜
0.70μm、10点平均粗さRtmが1.0〜5.0
μm、自乗平方根粗さRMSまたはRqが0.2〜2.0μ
m、平均山間隔Smが20〜80μm、基準レベル±0.
5μmにおけるピークカウントPcが10〜70、平均傾
斜勾配Δaが5〜12deg、初期摩耗負荷率Mr1が1
0〜15%の範囲であり、また支持体表面を研磨してア
ルミニウム支持体の表面近傍の結晶組織を光学顕微鏡で
観察し結晶粒100個の平均値として表面再結晶粒巾を
求めると3〜60μmの範囲に含まれ、更に支持体表面
の濃度に関しては、色差計による明度L*が40〜8
0、マクベス濃度計による支持体表面濃度が0.15〜
0.35の範囲であるもの。
【0205】(シリケート処理)アルミニウム基板には
後述する砂目立て等の処理が適宜施された後、基板表面
にシリケートによる親水化処理が施される。本発明にお
けるシリケートによる親水化処理はシリケート皮膜の形
成であり、シリケート皮膜はSi元素量として0.5〜
40mg/m2、より好ましくは1〜30mg/m2形成さ
れる。塗布量はケイ光X線分析法により測定でき、Si
元素量を測定することができる。上記の親水化処理は、
例えば特公昭47−5125号公報に記載されているよ
うにアルミニウム板を陽極酸化処理したのちに、アルカ
リ金属珪酸塩の水溶液に浸漬処理したものが好適に使用
される。また米国特許第2,714,066号、第3,
181,461号、第3,280,734号および第
3,902,734号に開示されているようなアルカリ
金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法を
適用することができる。この方法に従い、アルカリ金属
ケイ酸塩が1〜30重量%、好ましくは2〜15重量%
であり、25℃のpHが10〜13である水溶液に、陽
極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基板を、例えば1
5〜80℃で0.5〜120秒浸漬する。
【0206】本発明に用いられるアルカリ金属珪酸塩と
しては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム
などが使用される。アルカリ金属珪酸塩水溶液のpHを
高くするために使用される水酸化物としては水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。
なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩もしくは第IV
B族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩とし
ては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグ
ネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩
酸塩、燐酸塩、酢酸塩、蓚酸塩、ホウ酸塩などの水溶性
の塩が挙げられる。
【0207】第IVB族金属塩として、四塩化チタン、三
塩化チタン、フッ化チタンカリウム、蓚酸チタンカリウ
ム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウ
ム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四
塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。アルカリ
土類金属塩もしくは、第IVB族金属塩は単独又は2以上
組み合わせて使用することができる。これらの金属塩の
好ましい範囲は0.01〜10重量%であり、更に好ま
しい範囲は0.05〜5.0重量%である。
【0208】また、米国特許第3,658,662号に
記載されているようなシリケート電着も有効である。更
に、特公昭46−27481号、特開昭52−5860
2号、特開昭52−30503号に開示されているよう
な電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理お
よび珪酸ソーダ処理を組合せた表面処理も有用である。
【0209】(酸処理)このようにしてシリケート処理
を施したアルミニウム基板に、更に酸性溶液による処理
をおこなう。このとき用いる酸としては、塩酸、硫酸、
硝酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸、スルファミン酸、
ベンゼンスルフォン酸等が挙げられるが、これらの二種
以上を組み合わせて用いても構わない。本発明で用いら
れる酸処理液としては、pH0〜6の酸性水溶液が望ま
しい。酸処理液のpHが0より低いと取り扱いが危険で
製造適性がなく、pHが6より高いと充分な密着力向上
の効果が得られない。このときの酸処理条件として、例
えば温度10〜80℃で1〜300秒浸漬することによ
り行うことが適当である。
【0210】酸処理により支持体と光重合性感光層との
密着力が向上する理由については明確ではないが、下記
のように考えられる。酸処理により5〜30%シリケー
ト吸着量が減少する事と、シリケート皮膜に少量存在す
るNa、Ca等の金属イオンが減少することが蛍光X線
分析やESCA分析の結果により判明している。更に1
規定のNa2CO3で25℃10秒処理後蒸留水で洗浄乾
燥後ESCAにてNa量を測定した。この処理によりシ
リケート皮膜のSiOHがSiONaになり、シリケー
ト皮膜のSiOH量を見積もることができる。この測定
により、酸処理することでNa量が増加した。つまり酸
処理によりシリケート表面のSiOH基が増加したと考
えられる。
【0211】更にカチオン性染料であるクリスタルバイ
オレットの0.5%水溶液にアルミ支持体を12時間放
置すると、酸処理までした支持体は、酸処理してない支
持体に比べ染色濃度が著しく低下することがわかった。
これは、酸処理することにより支持体表面の負電荷性が
低下したためにカチオン性染料であるクリスタルバイオ
レットが吸着できにくくなったと考えられる。つまり、
酸処理によりシリケート表面に少量存在するNa、Ca
等に金属イオンが減少しSiOH基が増加するため、後
述の接着層を塗設した際、シリケート層と接着層との化
学結合サイトが増加しその結果、アルミニウム支持体と
光重合性感光層との密着力が向上したものと考えられ
る。
【0212】(接着層)このようにして前記シリケート
処理及び酸処理されたアルミニウム基板は、更にその表
面にラジカルによって付加反応を起こし得る官能基(以
下、付加反応性官能基と呼ぶ)を有するシリコーン化合
物を含む接着層が塗設される。この付加反応性官能基を
有するシリコーン化合物を含む層の塗設は、有機シリコ
ーン化合物を原料として用いる方法によるのが好まし
い。具体的には、付加反応性官能基をR18と表わした
時、下記一般式(38):
【0213】 R18Si(OR19)3 一般式(38)
【0214】(式中、−OR19は加水分解可能なアルコ
キシ基又は−OCOCH3基である。)で表わされる有
機シリコーン化合物を用いてアルミニウム基板を処理す
ることにより、基板表面の金属、金属酸化物、水酸化
物、−OH基、又は基板の化成処理によって形成された
シラノール基などと反応させて基板表面と共有結合を形
成させ、下記一般式(39):
【0215】 (R20O)2(R18)Si− 一般式(39)
【0216】で示される官能基を基板表面に結合(又は
植え付け)させればよい。式中、R20はR19と同種もし
くは異種のアルキル基又は水素原子、もしくは隣接する
別のSi原子との結合を表わす。上記において、付加反
応性官能基(R18)が中央のSi原子に2個以上結合し
た下記一般式(40)又は(41):
【0217】 (R182Si(OR192 一般式(40) (R183SiOR19 一般式(41)
【0218】で表わされる有機シリコ−ン化合物を用い
ることもできる。また、付加反応性官能基(R18)が−
O−を介して中央のSi原子に結合する官能基である場
合は、
【0219】 (R184Si 一般式(42)
【0220】で表わされる有機シリコーン化合物を用い
ることもできる。有機シリコーン化合物(38)は、中
央のSi原子に結合する4個のR18のうち少なくとも1
個が加水分解されずに残っている状態の時にアルミニウ
ム基板に塗布される。有機シリコーン化合物(38)を
アルミニウム基板上に塗設する際、このものを単独で用
いてもよく、又は適当な溶媒で希釈して用いてもよい。
アルミニウム基板上で有機シリコーン化合物(38)を
より強固に結合させるために、水及び/又は触媒を加え
ることができる。溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコ
ール、ヘキシレングリコール等のアルコール類が好まし
く、触媒としては塩酸、酢酸、リン酸、硫酸などの酸、
又はアンモニア、テトラメチルアンモニウムヒドロキシ
ドなどの塩基が使用できる。
【0221】アルミニウム基板上の付加反応性官能基の
量は、結合させる付加反応性官能基の種類によって異な
るが、10nm2当り一般に0.01〜1000個、好
ましくは0.05〜200個、更に好ましくは0.1〜
50個とすることが適当である。付加反応性官能基量が
10nm2当り0.01個より少ないと十分な光接着強
度が得られ難い。有機シリコーン化合物(9)を厚く塗
り重ねることによって、10nm2当りの付加反応性官
能基量を実質的に幾らでも多くすることが可能である
が、最表面に顔を出す付加反応性官能基量は10nm2
当り高々10個であるので、厚く塗り過ぎても無駄にな
る。付加反応性官能基量が多過て、PS版として使用し
た時の非画像部の親水性が不足しないためには、10n
2当りの付加反応性官能基の量は1000個以内とす
るのが好ましい。
【0222】従って、有機シリコーン化合物を用いてア
ルミニウム基板表面に付加反応性官能基を結合する(植
え付ける)際は、有機シリコーン化合物を希釈する溶媒
の種類と量、基板表面上での加水分解用に加える水の量
(加える場合)、基板表面上での加水分解を促進するた
めの触媒の種類と量(加える場合)、有機シリコーン化
合物の溶液を基板上に施用する方法、基板に施用した後
の乾燥雰囲気、乾燥温度、乾燥時間等のプロセスパラメ
ータを種々変更し、基板表面に保持される付加反応性官
能基量が上記の量の範囲内となるように制御することが
必要である。アルミニウム基板表面に保持される付加反
応性官能基の量は、処理後の基板表面を適当な方法、例
えばケイ光X線分析法、赤外線吸収法等の方法で測定
し、表面にあるSi原子量の定量、炭素−炭素の多重結
合量の定量等を行なうことによって決定することができ
る。
【0223】上記の如くアルミニウム基板上に陽極酸化
皮膜及びシリケート皮膜を形成し、更にその表面に付加
反応性官能基を結合して、本発明の支持体が完成する。
但し、この支持体(付加反応性支持体)を用いてPS版
を構成する場合、一般式(38)の有機シリコーン化合
物のみを用いてアルミニウム基板の処理をしただけでは
印刷汚れを生じる場合がある。即ち、付加反応性官能基
を結合してなる支持体上に光重合性の感光性組成物を塗
布して感光層を設け、これに像様露光して画像通りの界
面光接着を起させ、現像液で未露光部を取り去ることに
より、支持体上には光のパターン通りの光重合密着膜が
残る。そして、これにインクと水を塗ると、インクは光
重合接着した像様露光部へ、水は未露光部へそれぞれ付
着して印刷版となるが、上記有機シリコーン化合物を単
独で使用した場合には、水が付着するべき未露光部に過
剰の有機官能基が存在することがあり、水の他にインク
も付着して印刷物上に汚れとなって観察されることがあ
る。
【0224】そこで、この印刷汚れを防ぐために、アル
ミニウム基板表面上に付加反応性官能基(R18)の他に
OH基を多く固定して親水性を強くすることが好まし
い。好ましくは、アルミニウム基板表面への付加反応性
官能基の結合において、一般式(38):R18Si(O
19)3で表わされる有機シリコーン化合物の他に、一般
式(43):Si(OR21)4(式中、−OR21は加水分
解可能なアルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリ
ールオキシ基又は−OCOCH3基であり、R21はR19
と同じであっても異なってもよい。)で表わされる有機
シリコーン化合物を併用し、基板表面に前述の一般式
(39)で示される反応サイトを結合すると同時に、一
般式(44):
【0225】 (R22O)2(OH)Si− 一般式(44)
【0226】で示される親水性サイトを結合することが
好ましい。ここで、式中、R22はアルキル基、水素原子
又は隣接する別のSi原子との結合を表わすが、R22
水素原子であることが親水性の面からは最も好ましい。
なお、R22が水素原子以外のもののときは、必要に応じ
て、表面をアルカリ溶液で洗うことによって、親水性を
高めることができる。
【0227】一般式(38)の有機シリコーン化合物と
一般式(43)の有機シリコーン化合物との混合比は、
支持体の性状によってそれぞれのものの支持体表面への
結合(植えつけ)効率が変動するため、一概に好適な範
囲を決めることができない。しかし、具体的には、両者
の比を種々に変えて支持体処理を行ない、付加反応性官
能基R18に基づく光接着性と、一般式(44)で示され
る部分構造に由来する親水性とが両立する条件を実験的
に確定して使用することになる。いずれにしても、付加
反応性官能基の密度が前記範囲内になるようにすればよ
い。具体的には、有機シリコーン化合物(38)に対す
る有機シリコーン化合物(43)の混合モル比は0.0
5〜500が適当であるが、好ましくは0.2〜20
0、更に好ましくは1〜100である。またこの範囲内
で、式(43)の有機シリコーン化合物に由来する親水
性基の量を多くすればするほど非画像部の親水性が増
す。ただし、親水性基の密度が低い場合でも、付加反応
性官能基を親水化処理することによって親水性基の密度
を向上させることができる。
【0228】アルミニウム基板表面への付加反応性官能
基の結合には、大別すると、有機シリコーン化合物をそ
のまま用いることからなる上述の方法(以下、SC法と
呼ぶ)の他に、有機シリコーン化合物を加水分解すると
ともに重縮合させて得られた−Si−O−Si−結合を
含む無機高分子に付加反応性官能基が固定された形の有
機無機複合体を用いることからなる方法(以下、SG法
と呼ぶ)がある。この有機無機複合体をアルミニウム基
板に塗布して乾燥させると、無機高分子部分が基板と密
着し、付加反応性官能基はそのまま基板表面上に残る。
【0229】SC法の場合、アルミニウム基板表面にお
ける付加反応性官能基の結合位置は基板表面上の特定の
性質をもった位置となりやすく、基板表面上に一様に分
布させるのが困難な場合がある。つまり、特定の酸点や
塩基点においてのみSi原子との間の共有結合が形成さ
れ、付加反応性官能基の分布がアルミニウム基板表面の
酸点や塩基点の分布に支配されやすい。従って、光接着
強度や非画像部親水性にムラを生じる場合がある。こう
した状況の時はSG法に従うのが有利である。
【0230】細かく見れば、SC法、SG法の他に、中
間の態様、例えば一般式(38)の有機シリコーン化合
物:R18Si(OR19)3中のOR19の一部もしくは全部
が加水分解して2分子又は3分子が結合した形の有機シ
リコーン化合物を出発原料として用いる処理も可能であ
る。SG法による付加反応性官能基の結合法に従えば、
一般式(38)の有機シリコーン化合物を、場合により
一般式(43)の有機シリコーン化合物と所望の混合比
に混合し、液中で、必要により触媒の存在下で、付加反
応性官能基R18では反応を起さずに−OR19及び−OR
21で加水分解させるとともに重縮合反応を行なわせて、
中心のSi原子が−Si−O−Si−結合でつながった
無機高分子を含む液状組成物として、これをアルミニウ
ム基板表面に塗布し、場合により乾燥させることによっ
て、基板上に付加反応性官能基を結合する。
【0231】SG法を用いると、アルミニウム基板表面
上に結合固定される付加反応性官能基の分布が基板表面
の酸点や塩基点などの化学的な性質の分布に左右される
ことが少ない。また、出発原料として有機シリコーン化
合物(38)の他に有機シリコーン化合物(43)を併
用する場合、上記一般式(39)で示される付加反応性
官能基サイトと上記式(44)で示される親水性サイト
との相対比が有機シリコーン化合物(38)及び化合物
(43)の仕込み比でほぼ決められるため、最適表面を
得るための処方決定の道筋がSC法よりも整然とする利
点がある。
【0232】本発明で使用する上記一般式(38)で示
される有機シリコーン化合物の具体例として、以下のも
のを挙げることができる。
【0233】CH2=CH−Si(OCOCH3)3、 CH2=CH−Si(OC25)3、 CH2=CH−Si(OCH3)3、 CH2=CHCH2−Si(OC25) 3、 CH2=CHCH2NH(CH2)3−Si(OCH3)3、 CH2=CHCOO−(CH2)3−Si(OCH3)3、 CH2=CHCOO−(CH2)3−Si(OC25)3、 CH2=C(CH3)COO−(CH2)3−Si(OCH3)3、 CH2=C(CH3)COO−(CH2)3−Si(OC
25)3、 CH2=C(CH3)COO−(CH2)4−Si(OCH3)3、 CH2=C(CH3)COO−(CH2)5−Si(OCH3)3、 CH2=CHCOO−(CH2)4−Si(OCH3)3、 (CH2=C(CH3)COO−(CH2)32−Si(OCH
3)2、 CH2=C(CH=CH2)−Si(OCH3)3、 CH2=CH−SO2NH−(CH2)3−Si(OCH3)3、 CH2=CH−ph−O−Si(OCH3)3、 CH2=CH−ph−CONH−(CH2)3−Si(OCH
3)3、 CH2=CH−ph−CH2NH−(CH2)3−Si(OC
3)3、 ph:ベンゼン環を示す HC≡C−Si(OC25)3、 CH3C≡C−Si(OC25)3
【0234】
【化70】
【0235】CH2=CHCH2O−Si(OCH3)3、 (CH2=CHCH2O)4Si、 HO−CH2−C≡C−Si(OC25)3、 CH3CH2CO−C≡C−Si(OC25)3、 CH2=CHS−(CH2)3−Si(OCH3)3、 CH2=CHCH2O−(CH2)2−SCH2−Si(OCH
3)3、 CH2=CHCH2S−(CH2)3−S−Si(OCH3)3、 (CH3)3CCO−C≡C−Si(OC25)3、 (CH2=CH)2N−(CH2)2−SCH2−Si(OC
3)3、 CH3COCH=C(CH3)−O−Si(OCH3)3
【0236】また、一般式(43)で示される有機シリ
コーン化合物の具体例としてはテトラメトキシシラン、
テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、
テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキ
シ)シラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラ
ン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、
テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラフ
ェノキシシラン、テトラアセトキシシランなどを挙げる
ことができ、中でもテトラエトキシシランが好ましい。
【0237】アルミニウム基板表面へ付加反応性官能基
を結合するのにSC法を用いる場合もSG法を用いる場
合も、溶媒の種類、基板への施用方法、乾燥方法等は共
通であるが、SG法の場合、付加反応性官能基が保持さ
れた無機高分子組成物を予かじめ調液しておく必要があ
る。以下にその好ましい具体例を示す。一般式(38)
及び(43)で表わされる有機シリコーン化合物(3
8)及び(43)を加水分解とともに重縮合させてSG
法に好適な組成物とするのに使用できる溶媒は、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、
エチレングリコール、ヘキシレングリコール等のアルコ
ール類である。
【0238】溶媒の使用量は、使用する有機シリコーン
化合物(38)及び(43)の総重量に基づいて、一般
に0.2〜500倍、好ましくは0.5〜100倍、更
に好ましくは1〜20倍である。使用量が0.2倍より
少ないと反応液が経時でゲル化しやすく不安定となり好
ましくない。また、500倍より多いと、反応が数日を
要するようになり好ましくない。有機シリコーン化合物
を加水分解するために加える水の量は、一般に有機シリ
コーン化合物1モル当り0.1〜1000モル、好まし
くは0.5〜200モル、更に好ましくは1.5〜10
0モルである。水の量が有機シリコーン化合物1モル当
り、0.1モルより少ない時は、加水分解とそれに続く
重縮合反応の進行が非常に遅くなり、安定な表面処理が
可能となるまでに数日を要し好ましくない。一方、水の
量が有機シリコーン化合物1モル当り1000モルより
多くなると、生成した組成物を金属表面に塗設した場合
密着不良を起す他、組成物の経時安定性が悪く、すぐに
ゲル化してしまうことが多いため、塗布作業を安定して
行い難くなる。
【0239】SG法に好適な組成物を調液するための反
応温度は室温〜100℃程度が常用されるが、以下に述
べる触媒の種類によっては室温以下あるいは100℃以
上の温度を用いることもできる。溶媒の沸点よりも高い
温度で反応させることも可能であり、必要に応じて反応
器に還流冷却器を付設するのがよい。必要に応じて使用
される触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢
酸、リンゴ酸、シュウ酸などの酸、又はアンモニア、テ
トラメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化カリウ
ム、水酸化ナトリウムなどの塩基が使用できる。触媒の
添加量は、有機シリコーン化合物(38)及び場合によ
り追加される有機シリコーン化合物(43)の合計量を
基準として、有機シリコーン化合物1モル当り0.00
1〜1モル、好ましくは0.002〜0.7モル、更に
好ましくは0.003〜0.4モルである。触媒添加量
を1モルより多くしても、その添加効果に比べて経済的
に特に利益があるわけではない。
【0240】酢酸、リンゴ酸等の弱酸を触媒として使用
する時は、反応温度を40℃〜100℃の範囲とするの
が有利であるが、硫酸、硝酸等の強酸を触媒として使用
する時は10℃〜60℃の範囲がよい。リン酸を触媒と
して用いる場合は10℃〜90℃で反応を行なわせるこ
とができる。SG法に用いる組成物の調液工程、及びこ
れをアルミニウム基板に塗布し乾燥する工程で、多くの
場合熱が加えられるが、揮発性の酸を触媒として使用す
ると、周囲の装置に揮発して付着し、これを腐食させる
場合がある。主として鉄を素材として用いる工程で本方
法を使用する場合は、不揮発性の硫酸及び/又はリン酸
を触媒として用いるのが好ましい。
【0241】以上述べたように、一般式(38)及び
(43)で表わされる有機シリコーン化合物と、有機溶
媒、水及び場合により触媒からなる組成物を、適当な反
応温度、反応時間、及び場合により適当な撹拌条件を選
んで反応させると、加水分解とともに重縮合反応が起り
Si−O−Si結合を含む高分子又はコロイド状高分子
が生成し、液状組成物の粘度が上昇し、ゾル化する。一
般式(38)及び(43)で表わされる有機シリコーン
化合物を両方使用してゾル液を調製する場合、両方の有
機シリコーン化合物を反応の最初から反応容器内に装荷
してもよく、あるいは一方のみで加水分解と重縮合反応
をある程度進めた後に他方の有機シリコーン化合物を加
え、反応を終了させてもよい。SG法で用いる上記ゾル
液は、室温で放置すると重縮合反応が引き続き進行しゲ
ル化することがある。従って、一度上記の方法で調液し
たゾル液を、アルミニウム基板への塗布時に希釈のため
に使用する予定の溶媒で予じめ希釈して、ゾル液のゲル
化を防止ないし遅延させることができる。
【0242】SC法及びSG法のいずれにおいても、支
持体上に目的量の有機シリコーン化合物もしくは付加反
応性官能基を結合するために、また支持体上での有機シ
リコーン化合物もしくは付加反応性官能基の分布ムラが
無いようにするために、これらの処理液を支持体に塗布
する前に溶媒を加えて濃度調整を行なうことが好まし
い。この目的に使用する溶媒としてはアルコール類、殊
にメタノールが好適であるが、他の溶剤、有機化合物、
無機添加剤、界面活性剤などを加えることもできる。
【0243】他の溶剤の例としては、メチルエチルケト
ン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルア
セテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジ
メトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、アセチルア
セトン、エチレングリコール等を挙げることができる。
添加することのできる有機化合物の例としては、エポキ
シ樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹
脂、ノボラック樹脂、ピロガロール−アセトン樹脂、ポ
リビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニ
ルメチルエーテル、ポリプロピレングリコール等が挙げ
られる。無機添加剤の例としては、コロイダルシリカ、
コロイダルアルミナなどを挙げることができる。
【0244】エチレングリコール、エチレングリコール
モノメチルエーテル等の高沸点溶剤は、支持体に塗布す
る濃度にまで希釈された液の安定性を高め、支持体に結
合された付加反応性官能基の反応再現性を保証する働き
がある。ノボラック樹脂、ピロガロール−アセトン樹脂
等の有機化合物も同様の効果を有するが、得られる支持
体の表面の親水性を低下させる副作用があり、添加量を
細かく調整する必要がある。
【0245】SG法に好適なゾル液もしくは液状組成物
は、アルミニウム基板表面に塗設後、風乾ないし加熱乾
燥させると、Si−O−Si結合からなる無機高分子が
ゲル化すると同時に基板表面と共有結合する。乾燥は溶
媒、残留水及び場合により触媒を揮散させるために行な
うものであるが、処理後の基板の使用目的によっては工
程を省くこともできる。SC法においても、この乾燥工
程は溶媒、残留水等の揮散という意味の他に、有機シリ
コーン化合物とアルミニウム基板との密着を確実にする
という意味を有する。従って、目的によっては、乾燥終
了後にも更に温度をかけ、加熱を継続してもよい。
【0246】乾燥及び場合により継続されるその後の加
熱における最高温度は付加反応性官能基R18が分解しな
い範囲にあることが好ましい。従って、使用できる乾燥
温度条件は室温〜200℃、好ましくは室温〜150
℃、更に好ましくは室温〜120℃である。乾燥時間は
一般に1秒〜30分間、好ましくは5秒〜10分間、更
に好ましくは10秒〜3分間である。本発明において用
いられる液状組成物(有機シリコーン化合物もしくはそ
の溶液又はゾル液)の施工方法は、ハケ塗り、浸漬塗
布、アトマイジング、スピンコーティング、ドクターブ
レード塗布等、各種のものも使用することができ、アル
ミニウム基板表面の形状や必要とする処理膜厚等を勘案
して決められる。アルミニウム基板には前述したシリケ
ートによる親水化処理の前に、適宜後述の基板表面処理
が施される
【0247】(砂目立て処理)砂目立て処理方法は、特
開昭56−28893号に開示されているような機械的
砂目立て、化学的エッチング、電解グレインなどがあ
る。さらに塩酸または硝酸電解液中で電気化学的に砂目
立てする電気化学的砂目立て方法、及びアルミニウム表
面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン
法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立でする
ボールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を砂
目立てするブラシグレイン法のような機械的砂目立て法
を用いることができ、上記砂目立て方法を単独あるいは
組み合わせて用いることもできる。
【0248】その中でも本発明に有用に使用される表面
粗さを作る方法は、塩酸または硝酸電解液中で化学的に
砂目たてする電気化学的方法であり、適する電流密度は
100C/dm2〜400C/dm2の範囲である。さら
に具体的には、0.1〜50%の塩酸または硝酸を含む
電解液中、温度20〜100℃、時間1秒〜30分、電
流密度100C/dm2〜400C/dm2の条件で電解
を行うことが好ましい。
【0249】このように砂目立て処理したアルミニウム
基板は、酸またはアルカリにより化学的にエッチングさ
れる。酸をエッチング剤として用いる場合は、微細構造
を破壊するのに時間がかかり、工業的に本発明を適用す
るに際しては不利であるが、アルカリをエッチング剤と
して用いることにより改善できる。本発明において好適
に用いられるアルカリ剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、
アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、
水酸化カリウム、水酸化リチウム等を用い、濃度と温度
の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃
であり、Alの溶解量が5〜20g/m3となるような
条件が好ましい。
【0250】エッチングのあと表面に残留する汚れ(ス
マット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられ
る酸は硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフ
ッ化水素酸等が用いられる。特に電気化学的粗面化処理
後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭
53−12739号公報に記載されているような50〜
90℃の温度の15〜65重量%の硫酸と接触させる方
法及び特公昭48−28123号公報に記載されている
アルカリエッチングずる方法が挙げられる。
【0251】(陽極酸化処理)以上のようにして処理さ
れたアルミニウム基板は、さらに陽極酸化処理が施され
ると好ましい。陽極酸化処理はこの分野で従来より行わ
れている方法で行うことができる。具体的には、硫酸、
リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼ
ンスルフォン酸等あるいはこれらの二種以上を組み合わ
せて水溶液または非水溶液中でアルミニウムに直流また
は交流を流すとアルミニウム支持体表面に陽極酸化皮膜
を形成することができる。
【0252】陽極酸化処理の条件は使用される電解液に
よって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般
的には電解液の濃度が1〜80%、液温5〜70℃、電
流密度0.5〜60アンペア/dm2、電圧1〜100V、
電解時間10〜100秒の範囲が適当である。これらの
陽極酸化処理のうちでも特に英国特許第1,412,7
68号明細書に記載されている、硫酸中で高電流密度で
陽極酸化する方法及び米国特許第3,511,661号
明細書に記載されているリン酸を電解浴として陽極酸化
する方法が好ましい。本発明においては、陽極酸化皮膜
は1〜10g/m2であることが好ましく、1g/m2以下
であると版に傷が入りやすく、10g/m2以上は製造に
多大な電力が必要となり、経済的に不利である。好まし
くは、1.5〜7g/m2である。更に好ましくは、2〜
5g/m2である。
【0253】更に、本発明においては、砂目立て処理及
び陽極酸化後、アルミニウム基板に封孔処理を施しても
かまわない。かかる封孔処理は、熱水及び無機塩または
有機塩を含む熱水溶液への基板の浸漬ならびに水蒸気浴
などによって行われる。
【0254】上記の如くアルミニウム基板上に、砂目立
て処理、陽極酸化処理、シリケート処理、酸処理を施
し、更に接着層を塗設してなる支持体上に、前述の光重
合性感光層を形成することで、本発明の平版印刷版用原
版が製造されるが、感光層を塗設する前に必要に応じて
有機下塗層が設けてもかまわない。水溶性の樹脂、たと
えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有す
る重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属
塩(例えば硼酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等
を下塗りしたものも好適である。
【0255】この有機下塗層に用いられる有機化合物と
しては、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキス
トリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸な
どのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有しても
よいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキ
ルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホ
ン酸およびエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン
酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリ
ン酸、アルキルリン酸およびグリセロリン酸などの有機
リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、
ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およびグ
リセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシン
やβ−アラニンなどのアミノ酸類、およびトリエタノー
ルアミンの塩酸塩などのヒドロキシル基を有するアミン
の塩酸塩などから選ばれるが、二種以上混合して用いて
もよい。
【0256】この有機下塗層は次のような方法で設ける
ことが出来る。即ち、水またはメタノール、エタノー
ル、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれら
の混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアル
ミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水または
メタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有
機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を
溶解させた溶液に、アルミニウム基板を浸漬して上記有
機化合物を吸着させ、しかる後、水などによって洗浄、
乾燥して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法で
は、上記の有機化合物の0.005〜10重量%の濃度
の溶液を種々の方法で塗布できる。例えば、バーコータ
ー塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布などい
ずれの方法を用いてもよい。また、後者の方法では、溶
液の濃度は0.01〜20重量%、好ましくは0.05
〜5重量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましく
は25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、
好ましくは2秒〜1分である。
【0257】これに用いる溶液は、アンモニア、トリエ
チルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩
酸、リン酸などの酸性物質によりpHを調節し、pH1
〜12の範囲で使用することもできる。また、平版印刷
版用原版の調子再現性改良のために、黄色染料を添加す
ることもできる。有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜
200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/
m2である。上記の被覆量が2mg/m2より少ないと十分な
耐刷性が得られない。また、200mg/m2より大きくて
も同様である。またアルミニウム支持体は、途中更に弗
化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬
処理などの表面処理がなされてもかまわない。
【0258】〔酸素遮断性保護層〕本発明の平版印刷版
用原版は、通常、露光を大気中で行うため、その光重合
性感光層上に、さらに、酸素遮断性保護層を設ける事が
好ましい。酸素遮断性保護層は、感光層中で露光により
生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や
塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止
し、大気中での露光を可能とする。従って、この様な保
護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性
が低いことであり、さらに、露光に用いる光の透過は実
質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の
現像工程で容易に除去できる事が望ましい。
【0259】この酸素遮断性保護層に含まれる水溶性ビ
ニル重合体としては、ポリビニルアルコール、およびそ
の部分エステル、エーテル、およびアセタール、または
それらに必要な水溶性を有せしめるような実質的量の未
置換ビニルアルコール単位を含有するその共重合体が挙
げられる。ポリビニルアルコールとしては、71〜10
0%加水分解され、重合度が300〜2400の範囲の
ものが挙げられる。具体的には株式会社クラレ製PVA
−105、PVA−110、PVA−117、PVA−
117H、PVA−120、PVA−124、PVA−
124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−H
C、PVA−203、PVA−204、PVA−20
5、PVA−210、PVA−217、PVA−22
0、PVA−224、PVA−217EE、PVA−2
20、PVA−224、PVA−217EE、PVA−
217E、PVA−220E、PVA−224E、PV
A−405、PVA−420、PVA−613、L−8
等が挙げられる。上記の共重合体としては、88〜10
0%加水分解されたポリビニルアセテートクロロアセテ
ートまたはプロピオネート、ポリビニルホルマールおよ
びポリビニルアセタールおよびそれらの共重合体があげ
られる。その他有用な重合体としてはポリビニルピロリ
ドン、ゼラチンおよびアラビアゴム、があげられ、これ
らは単独または、併用して用いても良い。
【0260】本発明の酸素遮断性保護層を塗布する際用
いる溶媒としては、純水が好ましいが、メタノール、エ
タノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチル
ケトンなどのケトン類を純水と混合しても良い。そして
塗布溶液中の固形分の濃度は1〜20重量%が適当であ
る。本発明の酸素遮断性保護層にはさらに塗布性を向上
させるための界面活性剤、皮膜の物性を改良するための
水溶性の可塑剤等の公知の添加剤を加えても良い。水溶
性の可塑剤としては、たとえばプロピオンアミド、シク
ロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等があ
る。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーなどを
添加しても良い。その被服量は乾燥後の重量で約0.1
/m2〜約15/m2の範囲が適当である。より好ましく
は約1.0/m2〜約5.0/m2である。
【0261】かくして得られた平版印刷版用原版は、A
rレーザー、半導体レーザーの第2高調波(SHG−L
D、350〜600nm)、YAG−SHGレーザー、
He−Neレーザー(633,543,364nm)、
Arレーザー(515,488nm)、FD−YAGレ
ーザー(532nm)、InGaN半導体レーザー(3
60〜450nm、特に405nm)により直接露光さ
れた後、現像処理される。かかる現像処理に使用される
現像液としては、従来より知られているアルカリ水溶液
が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウ
ム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウ
ム、第二リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウ
ム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭
酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ホウ
酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナ
トリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウ
ムなどの無機アルカリ剤が挙げられる。また、モノメチ
ルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエ
チルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ
イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソ
プロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールア
ミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モ
ノイソプロパノールアン、ジイソプロパノールアミン、
エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有
機アルカリ剤も用いられる。
【0262】これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以
上を組み合わせて用いられる。上記のアルカリ水溶液の
内、本発明による効果が一段と発揮される現像液はアル
カリ金属ケイ酸塩を含有するpH12以上の水溶液であ
る。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液はケイ酸塩の成分で
ある酸化ケイ素SiO2とアルカリ金属酸化物M2Oの比
率(一般に〔SiO2〕/〔M2O〕のモル比で表す)と
濃度によって現像性の調節が可能であり、例えば、特開
昭54−62004号公報に開示されているような、S
iO2/Na2Oのモル比が1.0〜1.5(即ち〔Si
2〕/〔Na2O〕が1.0〜1.5であって、SiO2
含有量が1〜4重量%のケイ酸ナトリウムの水溶液や、
特公昭57−7427号公報に記載されているような、
〔SiO 2〕/〔M〕が0.5〜0.75(即ち〔SiO2
/〔M2O〕が1.0〜1.5)であって、SiO2の濃度が
1〜4重量%であり、かつ該現像液がその中に存在する
全アルカリ金属のグラム原子を基準にして少なくとも2
0%のカリウムを含有していることとからなるアルカリ
金属ケイ酸塩が好適に用いられる。
【0263】更に、自動現像機を用いて、該平版印刷版
用原版を現像する場合に、現像液よりもアルカリ強度の
高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、
長時間現像タンク中の現像液を交換する事なく、多量の
平版印刷版用原版を処理することができることが知られ
ている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用
される。例えば、特開昭54−62004号公報に開示
されているような現像液の〔SiO2〕/〔Na2O〕の
モル比が1.0〜1.5(即ち〔SiO2〕/〔Na2O〕
が1.0〜1.5)であって、SiO2の含有量が1〜
4重量%のケイ酸ナトリウムの水溶液を使用し、しかも
ポジ型感光性平版印刷版の処理量に応じて連続的または
断続的にSiO2/Na2Oのモル比が0.5〜1.5
(即ち〔SiO2〕/〔Na2O〕が0.5〜1.5)の
ケイ酸ナトリウム水溶液(補充液)を現像液に加える方
法、更には、特公昭57−7427号公報に開示されて
いる、〔SiO2〕/〔M〕が0.5〜0.75(即
ち、〔SiO2〕/〔M2O〕が1.0〜1.5)であっ
て、SiO2の濃度が1〜4重量%であるアルカリ金属
ケイ酸塩の現像液を用い、補充液として用いるアルカリ
金属ケイ酸塩の〔SiO 2〕/〔M〕が0.25〜0.
75(即ち〔SiO2〕/〔M2O〕が0.5〜1.5)
であり、かつ該現像液および該補充液のいずれもがその
中に存在する全アルカリ金属のグラム原子を基準にして
少なくとも20%のカリウムを含有していることとから
なる現像方法が好適に用いられる。
【0264】このようにして現像処理された平版印刷版
は特開昭54−8002号、同55−115045号、
同59−58431号等の各公報に記載されているよう
に、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビ
アガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理され
る。本発明の平版印刷版用原版の後処理にはこれらの処
理を種々組み合わせて用いることができる。このような
処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に
掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。印刷時、版上の
汚れ除去のため使用するプレートクリーナーとしては、
従来より知られているPS版用プレートクリーナーが使
用され、例えば、CL−1、CL−2、CP、CN−
4、CN、CG−1、PC−1、SR、IC(富士写真
フイルム(株)製)等が挙げられる。
【0265】
【実施例】以下、本発明を合成例、実施例および比較例
により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれによ
り限定されるものではない。 合成例1;ポリウレタン樹脂1 コンデンサー、攪拌基を備えた500mlの3つ口丸底
フラスコに2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸
11.4g(0.077モル)、ポリプロピレングリコ
ール(平均分子量1000)23.0g(0.023モ
ル)をN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解
した。これに4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート20.5g(0.082モル)、ヘキサメチエレン
ジイソシアネート3.5g(0.021モル)を添加
し、100℃にて3時間加熱攪拌後、トリイソシアネー
ト化合物(2)0.801g(0.003モル)加え、
更に1時間撹拌した。その後、60℃まで冷却した後、
残存イソシアネート基キャップ剤として2−ヒドロキシ
エチルメタクリレートを3.9g(0.03モル)加
え、60℃で加熱撹拌した。IRにて反応液を測定、イ
ソシアネート基の消失を確認後、撹拌N,N−ジメチル
ホルムアミド200ml及びメチルアルコール400m
lにて希釈した。反応溶液を水4リットル中に攪拌しな
がら投入し、白色のポリマーを析出させた。このポリマ
ーを濾別し、水で洗浄後、真空下乾燥させることにより
50gのポリマーを得た。ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー(GPC)にて分子量を測定したところ、
重量平均(ポリスチレン標準)で98,000であっ
た。更に滴定により、カルボキシル基含有量(酸価)を
測定したところ1.37meq/gであった。
【0266】以下合成例1と同様にして、第3表に示し
たイソシアネート化合物、ジオール化合物、キャップ剤
を用い、本発明のポリウレタン樹脂を合成した。更にG
PCにより分子量を測定し、滴定により酸価を測定し
た。測定した結果を第3表に示す。
【0267】
【表3】
【0268】
【表4】
【0269】
【表5】
【0270】
【表6】
【0271】
【表7】
【0272】
【表8】
【0273】
【表9】
【0274】〔実施例1〜7、比較例1〜3〕厚さ0.
30mmの材質1Sのアルミニウム板を8号ナイロンブ
ラシと800メッシュのパミストンの水懸濁液を用い、
その表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。10%
水酸化ナトリウムに70℃で60秒間浸漬してエッチン
グした後、流水で水洗後、20%HNO3で中和洗浄、
水洗した。これをVA=12.7Vの条件下で正弦波の
交番波形電流を用いて1%硝酸水溶液中で300クーロ
ン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。
その表面粗さを測定したところ0.45μm(Ra表
示)であった。ひきつづいて30%のH2SO4水溶液中
に浸漬し、55℃で2分間デスマットした後、33℃、
20%H2SO4水溶液中で、砂目立てした面に陰極を配
置して、電流密度5A/dm2において50秒間陽極酸化し
たところ厚さが2.7g/m2であった。
【0275】次に下記の手順により下塗り液を調整し
た。ビーカーに下記組成物を秤量し、25℃で20分間
撹拌した。
【0276】 Si(OC25)4 38 g 3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 13 g 85%リン酸水溶液 12 g イオン交換水 15 g メタノール 100 g
【0277】その溶液を三口フラスコに移し、還流冷却
器を取り付け、その三口フラスコを室温のオイルバスに
浸した。三口フラスコの内容物をマグネティックスター
ラーで撹拌しながら、30分間で50℃まで上昇させ
た。浴温を50℃に保ったまま、更に1時間反応させ液
組成物を得た。この液をメタノール/エチレングリコー
ル=20/1(重量比)で0.5重量%になるように希
釈してアルミ基板にホイラー塗布し、100℃1分乾燥
させた。その時の塗布量は3.0mg/m2であった。
この塗布量はケイ光X線分析法によりSi元素量を求
め、それを塗布量とした。このように処理されたアルミ
ニウム板上に、下記組成の光重合性組成物を乾燥塗布重
量が1.5g/m2となるように塗布し、120℃で1分
間乾燥させ、感光層を形成した。
【0278】 〔光重合性組成物〕 NKオリゴ U‐4H 2.0g [(4官能ウレタンアクリレート) (新中村化学(株))] 第4表のポリウレタン樹脂バインダー(B1) 2.0 g CGI−784 [ビス(シクロペンタジエニル) 0.4 g ‐ビス(2,6-ジフルオロ‐3-(ピル‐1‐イル)) チタニウム) (チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))] 1,3‐ジブチル‐5‐[7‐(N,N‐ジエチルアミノ) 0.1 g ‐4‐メチル‐2H‐クロメン‐2‐イリデン] ‐2‐チオキソ‐4,6‐(1H,3H,5H)ピリミジンジオン 2‐メチル‐4‘‐(メチルチオ)‐2‐モルホリノ 0.4 g プロピオフェノン‐O‐(P‐ビニルベンジルオキシ) カルボニルメチルオキシム ε−フタロシアニン/(B1)分散物 0.2 g フッ素系ノニオン界面活性剤メガファックF176 0.03g (大日本インキ化学工業(株)製) クペロンAL/TCP(可塑剤) 0.05g [1/9(ニトロソ化合物、和光純薬製)] メチルエチルケトン 30.0 g プロピレングリコール 30.0 g モノメチルエーテルアセテート
【0279】この感光層上に下記の組成物からなる5重
量%の水溶液を乾燥塗布重量が2.5g/m2となるよう
に塗布し、120℃で2分間乾燥させ、酸素遮断層を有
するレーザー露光用平版印刷版用原版を得た。
【0280】 〔酸素遮断層用組成物〕 クラレポバール PVA‐105 95重量% ポリビニルアルコール (ケン化度98モル%、重合度500) ポリビニルピロリドン K30 5重量% (和光純薬(株))
【0281】これらの版を富士写真フイルム(株)製プ
レートセッターCELIC8200CTP(Arレーザ
ー(488nm))を用い、版面上でピントを合わせて
0.2mJ/cm2エネルギーで、175線/インチ、
2540dpiの条件で1〜99%までの網点画像も同
時に露光した。その後富士写真フイルム(株)製自動現
像機LP850P−IIを用い下記の現像液とフィニッ
シャー液を用い現像処理した。 現像液:富士写真フイルム(株)製LP−Dを水で9倍
に希釈し液温度25℃pH=12.8としたもの。 フィニッシャー:富士写真フイルム(株)製FP−2W
ガム液を水で3倍に希釈としたもの。
【0282】この様にして製版した印刷版を、印刷機と
してマンローランド社製単色機R201を使用し、イン
キとしては、大日本インキ(株)製クラフG(N)を使
用し12万枚印刷した。175線/インチの2%部がど
こまで印刷物に再現するかを耐刷性として評価しその結
果を第4表に示した。
【0283】
【表10】
【0284】第4表より末端に重合性基を導入した枝分
かれ構造を有するポリウレタン樹脂バインダーを用いる
とハイライト部の耐刷性が高く、一方、重合性基がない
ポリウレタン樹脂バインダーまたはポリウレタン樹脂で
ないバインダーを用いるとハイライト部の耐刷性が弱い
ことが分かった。
【0285】
【発明の効果】本発明の平版印刷版用原版は、その光重
合性感光層に、バインダー成分として末端に少なくとも
1個のエチレン性不飽和重合性基を有する枝分かれした
ポリウレタンを含有することにより、高感度でかつ、耐
刷性および汚れ性、特にハイライト特性に優れたものと
することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いるウレタンバインダーの1例の構
造概念図である。
【図2】本発明で用いるウレタンバインダーの別の1例
の構造概念図である。
【符号の説明】
1,5 分岐点 2,4,6 ポリマー鎖 3 エチレン性不飽和重合性基
フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA01 AA12 AA13 AA14 AB03 AC01 AC08 AD01 BC12 BC14 BC43 BC66 BC82 BJ01 CB22 2H096 AA07 BA05 BA06 EA02 EA04 EA23 GA08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム支持体上に、末端に少なく
    とも1個のエチレン性不飽和重合性基を有する枝分かれ
    したアルカリ可溶性ウレタンバインダーと付加重合可能
    なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と光重合開
    始剤とを含有する光重合性感光層を有する平版印刷版用
    原版。
  2. 【請求項2】 前記ウレタンバインダーが、3つ以上の
    イソシアネート基を有する化合物とジイソシアネート化
    合物とジオール化合物とを少なくとも反応させて得られ
    た高分子鎖の末端に、少なくとも1個のエチレン性不飽
    和重合性基を導入して得られたことを特徴とする請求項
    1記載の平版印刷版用原版。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001290267A (ja) * 2000-02-01 2001-10-19 Mitsubishi Chemicals Corp 光重合性組成物、感光性平版印刷版及び印刷版の製版方法
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EP2295247A1 (en) 2003-07-07 2011-03-16 Fujifilm Corporation Lithographic printing plate precursor and lithographic printing method

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