JP3966919B2 - 木目柄画像データの生成方法および生成装置 - Google Patents

木目柄画像データの生成方法および生成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3966919B2
JP3966919B2 JP04404496A JP4404496A JP3966919B2 JP 3966919 B2 JP3966919 B2 JP 3966919B2 JP 04404496 A JP04404496 A JP 04404496A JP 4404496 A JP4404496 A JP 4404496A JP 3966919 B2 JP3966919 B2 JP 3966919B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pattern
bark
pixel
annual ring
value
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP04404496A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09207423A (ja
Inventor
直樹 河合
健 大嶋
俊雄 有吉
哲夫 神力
優 岡本
憲四郎 千原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP04404496A priority Critical patent/JP3966919B2/ja
Publication of JPH09207423A publication Critical patent/JPH09207423A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3966919B2 publication Critical patent/JP3966919B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Printing Methods (AREA)
  • Image Generation (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はディジタル計算機を利用して画像を生成する技術分野に属し、生成した画像は製版され印刷に用いられる。特に本発明は年輪パターンデータと木肌パターンデータに基づいて二次元カラーマップを参照し木目柄画像データを得て、印刷物上に形成する技術に関する。これにより、天然の木目に極めて近い木目柄の印刷物が得られる。
【0002】
【従来の技術】
壁紙などの建材製品や、種々の商品のパッケージなどの模様として、木目柄パターンは広く利用されている。このような木目柄パターンをもった印刷物を作成する場合、通常は、天然木の板目をカメラなどで撮影し、この天然木のもつ木目柄パターンをそのまま利用する方法が採られる。また、近年では、印刷分野においてもコンピュータを利用した画像処理技術が普及してきているため、天然木の木目柄パターンをCCDカメラなどで画像データとして取り込み、この画像データに対して、コンピュータを利用して必要な画像処理を施し、処理後の画像データに基づいて印刷を行うという手法も広く行われている。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、将来、天然木材の供給不足が予想されており、意匠性の高い木目柄をもった天然木を入手することが益々困難になることが予想される。また、天然木材を用いる限り、表現可能な木目柄パターンは限られてしまい、デザインの自由度が制限されることは否めない。
このような問題を解決するため、実際の天然木を全く用いることなしに、コンピュータを利用して完全に人為的に木目柄パターンを作成しようとする試みがなされている。このような試みの一般的な原理は、コンピュータ上で、三次元樹木モデルを構築し、この樹木モデルを所定面で切断したときに切断面に現れるパターンをシミュレーションによって求めるものである。しかしながら、天然の樹木の生態的な構造は非常に複雑であり、コンピュータシミュレーションによって天然木を完全に模擬した三次元モデルを構築することは、現在の技術では非常に困難である。
【0004】
また一般に、木目柄パターンは、年輪パターンと木肌パターンとを含んでいる。壁紙などの建材では、天然木の木目柄パターンの風合いをできるだけ忠実に再現するために、年輪パターンと木肌パターンとを重畳して木目柄パターンを表現するのが一般的である。しかし、コンピュータによって生成された年輪パターンと木肌パターンとを単純に重畳して、従来の手法により、人為的に木目柄パターンを作成しても、天然木の木目柄とはかなりかけ離れたものとなってしまい、壁紙などの商業ベースの印刷物に利用するには不適当であった。
【0005】
そこで本発明は、天然木の木目柄にできるだけ近似した人為的な木目柄パターンをもった印刷物を提供することを目的とする。特に本発明は年輪パターンデータと木肌パターンデータに基づいて二次元カラーマップを参照し木目柄画像データを得て、印刷物上に形成する技術に関する。これにより、天然の木目に極めて近い木目柄の印刷物が得られる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明は「木目柄画像データを人為的に作成する方法であって、所定の中心軸からの距離に基づいてポテンシャル値が周期的に変化し晩材部と早材部、およびそれらの移行部を表現する三次元樹木モデルを用意し、このモデルにおける所定の切断面上のポテンシャル値をもった画素の集合からなる年輪パターンを生成し、樹木の繊維質を表現するのに十分細長い形状をしており、長手方向に沿って多数の画素が配列され、各画素のポテンシャル値が前記長手方向に沿ってなだらかに変化しているような線状閉領域を多数用意し、前記線状閉領域を、前記長手方向に直交する方向に隣接させて多数並べることにより、二次元平面上の画素の集合からなる木肌パターンを生成し、前記年輪パターンの晩材部においては前記木肌パターンの濃淡変化が微小となりかつ前記年輪パターンの早材部においては前記木肌パターンの濃淡変化が顕著となるように前記年輪パターンのポテンシャル値と前記木肌パターンのポテンシャル値との任意の組み合わせに対してそれぞれ画素値を設定した二次元カラーマップを用意し、前記年輪パターン上の各画素と、前記木肌パターン上の各画素と、をそれぞれ画素の配列位置に基づいて対応させ、これら対応する2つの画素の持つ2つのポテンシャル値から、前記配列位置に対応する位置における画素の画素値を前記二次元カラーマップを用いて特定することにより木目柄画像データを得る、ことを特徴とする木目柄画像データの生成方法」である。本発明の木目柄画像データの生成方法によれば、年輪パターンの晩材部においては前記木肌パターンの濃淡変化が微小となるよう表現を控え、年輪パターンの早材部においては前記木肌パターンの濃淡変化が顕著となるよう表現を強調された木目柄画像データが得られる。この木目柄画像データに基づいて印刷が行われると、天然の木目に極めて近い木目柄の印刷物を得ることができる。なお、温帯産の針葉樹の年輪にみられるように、年輪の初めの部分、すなわち成長期の初めに形成され、密度が低く(淡色である)、細胞の大きい部分を早材(早材部)または春材といい、年輪の終わりの部分、すなわち成長期の後半に形成され、密度が高く(濃色となる)、細胞が小さい部分を晩材(晩材部)、夏材または秋材という。
【0008】
また本発明は「年輪パターン生成手段と、木肌パターン生成手段と、二次元カラーマップと、色調割当手段とを具備し、木目柄画像データを人為的に作成する装置であって、前記年輪パターン生成手段は、所定の中心軸からの距離に基づいてポテンシャル値が周期的に変化し晩材部と早材部およびその移行部を表現する三次元樹木モデルを用意し、このモデルにおける所定の切断面上のポテンシャル値をもった画素の集合からなる年輪パターンを生成し、前記木肌パターン生成手段は、樹木の繊維質を表現するのに十分細長い形状をしており、長手方向に沿って多数の画素が配列され、各画素のポテンシャル値が前記長手方向に沿ってなだらかに変化しているような線状閉領域を多数用意し、前記線状閉領域を、前記長手方向に直交する方向に隣接させて多数並べることにより、二次元平面上の画素の集合からなる木肌パターンを生成し、前記二次元カラーマップは、前記年輪パターン上の各画素と、前記木肌パターン上の各画素と、をそれぞれ画素の配列位置に基づいて対応させ、対応する2つの画素の持つポテンシャル値に基づいて、木目柄画像データの画素値を特定する二次元カラーマップであって、前記年輪パターンの晩材部においては前記木肌パターンの濃淡変化が微小となりかつ前記年輪パターンの早材部においては前記木肌パターンの濃淡変化が顕著となるように前記年輪パターンのポテンシャル値と前記木肌パターンのポテンシャル値との任意の組み合わせに対してそれぞれ画素値が設定されたものであり、前記色調割当手段は、前記年輪パターン上の各画素と、前記木肌パターン上の各画素と、をそれぞれ画素の配列位置に基づいて対応させ、これら対応する2つの画素の持つ2つのポテンシャル値から、前記配列位置に対応する位置における画素の画素値を前記二次元カラーマップを用いて特定することにより木目柄画像データを得る、ことを特徴とする木目柄画像データの生成装置」である。本発明の木目柄画像データの生成装置によれば、年輪パターンの晩材部においては木肌パターンの表現が控えられ、年輪パターンの早材部においては木肌パターンの表現が強調された木目柄画像データが得られる。この木目柄画像データに基づいて印刷が行われると、天然の木目に極めて近い木目柄の印刷物を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について実施の形態により説明する。はじめに、本発明に係る木目柄パターンの基本構成を図1を参照しながら説明する。本発明の木目柄パターンPtreeは、年輪パターンPringと、木肌パターンPfiber と、を合成することにより構成されている。
ここで、年輪パターンPringは、三次元樹木モデルMを、所定の切断面Jによって切断した断面として得られるパターンであり、樹木の年単位成長によって醸し出される特有の周期的なパターンを表現するものである。なお、この年輪パターンPringは、早材部と晩材部、およびそれらの移行部によって構成される。温帯産の針葉樹の年輪にみられるように、年輪の初めの部分、すなわち成長期の初めに形成され、密度が低く(淡色である)、細胞の大きい部分を早材(早材部)または春材といい、年輪の終わりの部分、すなわち成長期の後半に形成され、密度が高く(濃色となる)、細胞が小さい部分を晩材(晩材部)、夏材または秋材という。
三次元樹木モデルMは、図にその概略が示されているように、いわば同軸円筒状の幾何学モデルであり、このモデルでは、所定の中心軸からの距離に基づいてポテンシャル値が周期的に変化する多数の画素が定義され、いわば概念上の立体画像が形成されていることになる。このポテンシャル値は年輪を表現するためのポテンシャル値であるから年輪ポテンシャル値と呼ぶ。この図1では、大まかな概念を説明するために、三次元樹木モデルMとして同軸円筒をいくつか重ねた単純なモデルが描かれ、これを単純平面からなる切断面Jによって切断することにより、幾何学的な楕円状の年輪パターンPringが得られた状態が示されているが、実際には、もう少し複雑なモデルが用いられる。
【0010】
図7は、中心軸Cに対して垂直な面において、この三次元樹木モデルMの各位置に定義される年輪ポテンシャル値Urを示す図である。1年目の成長幅D1の区間内では、成長方向に向かって年輪ポテンシャル値Urは0〜255と単調増加するが、2年目の成長幅D2の区間内に入ると、年輪ポテンシャル値Urは再び0に戻り、やはり0〜255と単調増加する。このように、各年の成長幅の区間内において、年輪ポテンシャル値Urは0〜255と単調増加することになる。図8はこのような年輪ポテンシャル値Urの周期的変化をグラフで示したものである。この実施例では、年輪ポテンシャル値Urのの単調増加はいずれも線型増加になっているが、必ずしも線型に増加させる必要はない。このモデルの特徴である「中心軸C」からの距離に基づいて周期的に変化するような画素値が与えられる」という意味は、このように、各年の成長幅区間ごとに、周期的な(必ずしも一定周期ではない)年輪ポテンシャル値Urが与えられるという意味である。このような年輪ポテンシャル値Urの定義は、本実施例では、中心軸Cの周囲360°のいずれの成長方向に関しても同様であり、また、中心軸Cに対して垂直ないずれの面についても同様である。もちろん、360°の各成長方向ごとに、あるいは、中心軸Cに対して垂直な各面ごとに、異なる年輪ポテンシャル値を定義してもかまわない。
【0011】
一方、木肌パターンPfiber は、天然の樹木の繊維質を表現するためのパターンであり、図に示すような線状閉領域Lを、その長手方向に直行する方向に隣接させて多数並べることにより形成される。十分に大きな面積を必要とするため、長手方向にも多数並べることになる。繊維質を表現する必要があるため、個々の線状閉領域Lは、樹木の繊維質を表現するのに十分細長い形状(この実施例では、幅10〜30μm程度、長さ1〜4mm程度: 図では便宜上、幅を強調した長方形として示してあるが、実際に肉眼で観察した場合は線のように見える。)をしており、長手方向に沿って多数の画素が配列されており、かつ、各画素のポテンシャル値は長手方向に沿ってなだらかに変化している。このポテンシャル値は木肌を表現するためのポテンシャル値であるから木肌ポテンシャル値と呼ぶ。
【0012】
この木肌ポテンシャル値の変化態様は、個々の線状閉領域Lごとに全く独立したものにするのが好ましい。各線状閉領域Lは、その長手方向に沿った画素配列によって構成されており、その画素の濃淡は長手方向に沿ってなだらかに変化している。したがって、この木肌パターンPfiber を、画素の配列という観点からみれば、縦横に多数の画素を配置した単なる二次元画素配列にすぎないが、木肌ポテンシャル値の分布を考慮すると、天然の樹木の繊維質が自然に表現されているパターンになっていることが理解できよう。すなわち、各画素を縦方向(列方向)に観察してゆくと、濃淡がなだらかに変化してゆくため、画素を縦方向に連結した1つの線状閉領域Lが認識されるのに対し、各画素を横方向(行方向)に観察してゆくと、隣接する列同士の木肌ポテンシャル値は全く独立して定められているため、各列が独立分離して認識されるのである。こうして、縦方向に認識される細長い線状閉領域Lによって、天然の樹木の繊維質に近いイメージが生成されることになる。
【0013】
木目柄パターンPtreeは、こうして生成された年輪パターンPringと木肌パターンPfiber とを合成することにより得られるパターンである。従来は、できるだけ精密な三次元樹木モデルMを構築し、これを切断して断面上に、天然木にできるだけ近い木目柄パターンを得ようというアプローチを採ることが多かったが、本発明による手法では、木目柄パターンPtreeを、年輪パターンPringと木肌パターンPfiber とに分けて取り扱い、最後にこれを、二次元カラーマップを参照して合成するというアプローチを採る。
【0014】
この二次元カラーマップは、年輪パターンPring上の各画素と、木肌パターンPfiber 上の各画素とをそれぞれ画素の配列位置に基づいて対応させ、対応する2つの画素の持つポテンシャル値(年輪ポテンシャル値と木肌ポテンシャル値)に基づいて、木目柄画像データの画素値を同定する場合に参照されるマップである。
すなわち、入力値Aと入力値Bが与えられた場合に、出力値Cを同定するもので、通常のカラーマップが1つの入力値に対して1つの出力値が与えられるのに対して、2つの入力値に対して1つの出力値が与えられるため、二次元カラーマップと呼ばれる。二次元カラーマップの場合も、通常のカラーマップと同様で2つの入力値はそれぞれスカラー値、出力値はベクトル値の色(R,G,B)である。
【0015】
この二次元カラーマップには、年輪パターンの晩材部においては木肌パターンの濃淡変化が微小となるよう表現を控え、年輪パターンの早材部においては木肌パターンの濃淡変化が顕著となるよう表現を強調するようにデータが設定されている。二次元カラーマップに設定する典型的なデータとしては、年輪パターンの変化に対しては、一般的にクリーム色から濃褐色のように狭い色相・彩度範囲内で明度変化するようにデータを設定し、かつ、木肌パターンの濃度変化に対しては色相・彩度は一定で明度変化するようにデータ設定する。
この二次元カラーマップにより、早材部において木肌質感が顕著に現れ、晩材部においては目立たない木目柄パターンを生成することができる。色相や彩度の変化ではなく主に明度変化による木肌質感が表現できる。
【0016】
このように行われるため、三次元樹木モデルMとしては、年輪パターンを得るための単純なモデルを用意するだけでよい。また、木肌パターンPfiber も比較的単純な演算によって用意することができるので、全体的な演算負担は非常に軽くなる。しかも、二次元カラーマップには、年輪パターンの晩材部においては木肌パターンを控え、年輪パターンの早材部においては木肌パターンを強調するようにデータが設定されているため、壁紙などの商業ベースでの印刷物に利用可能な、天然木に非常に近い印象を与える木目柄パターンを得ることができる。
【0017】
以上、本発明に係る木目柄パターンの基本構成を述べたが、実用上は、各パターンに自然のゆらぎ成分を付加するため、フラクタル格子に基づくスカラー場を利用して各パターンを生成するのが好ましい。後述する実施例では、このフラクタル格子を利用して、年輪パターンPringおよび木肌パターンPfiber を生成している。そこで、ここでは、まずフラクタル格子について、ランダム中点変位法によるその生成方法を簡単に説明しておくことにする。
【0018】
フラクタル格子は、二次元平面上に配列された多数の格子点について、スカラー値が定義されたものであり、当然、フラクタル格子はフラクタルの性質を有する。
まず、第0段階において、外形矩形のそれぞれ4隅位置に4つの格子点を定義し、各格子点にそれぞれ所定のスカラー値を定義する。そして、以下、第i段階の処理として、次のような処理を順次実行すればよい。すなわち、まず、第(i−1)段階までに定義された格子点を内部に含まない現段階での最小矩形を認識する。たとえば、i=1の第1段階の場合は、図2に示す矩形ABCDが最小矩形(第0段階までに定義された格子点A,B,C,Dを内部に含まない矩形)であり、i=2の第2段階の場合は、図3に示す4つの矩形AEIH,EBFI,HIGD,IFCGがそれぞれ最小矩形(第1段階までに定義された格子点A〜Iをいずれも内部に含まない矩形)である。
【0019】
そして、この最小矩形の各辺の中点およびこの最小矩形の中心点に、第i段階に定義すべき格子点を生成する(たとえば、i=1の第1段階の場合は、図3に示すように、最小矩形ABCDの各辺の中点E,F,G,Hおよび中心点Iに、定義すべき格子点が生成されている)。更に、これらの格子点のうち、中点に生成した格子点については、その辺の端点に存在する第(i−1)段階までに定義された2つの格子点のもつスカラー値に乱数を作用させることによって得られるスカラー値を与える。たとえば、図3に示す格子点Eについては、2つの格子点A,Bのもつスカラー値a,bに乱数RNDを作用させることによって得られたスカラー値eが与えられている。
【0020】
一般に、第n段階において隣接する格子点の中点として定義される格子点についてのスカラー値s1の計算方法を下記の数1に示す。
【数1】
s1=(α+β)/2+(1/2(n-1) )・T・RND
ここで、αおよびβは、その格子点の両隣の格子点のスカラー値(第(n−1)段階で計算されている)、Tはゆらぎの最大半振幅値である。
【0021】
一方、最小矩形の中心点に生成した格子点については、その最小矩形の4隅位置に存在する第(i─1)段階まで定義された4つの格子点をもつスカラー値に乱数を作用させることによって得られるスカラー値を与える。たとえば、図3に示す格子点Iについては、4つの格子点A,B,C,Dのもつスカラー値a,b,c,dに乱数RNDを作用させることによって得られたスカラー値iが与えられている。一般に、第n段階において最小矩形の中心点として定義される格子点についてのスカラー値s2の計算方法を下記の数2に示す。
【数2】
s2=(α+β+γ+δ)/4+(1/2(n-1) )・T・RND
ここで、α,β,γおよびδは、その格子点の両隣の格子点のスカラー値(第(n−1)段階で計算されている)である。
【0022】
このような方法によって生成された二次元フラクタル格子は、結局、二次元平面に広がったスカラー場を与えるものになる。そこで、この二次元フラクタル格子の面を水平面上にとり、各スカラー値を垂直方向の高さ(標高)としてグラフにプロットすれば山岳の隆起構造のような凹凸パターンが表現できる。このような隆起構造は、自然界に存在する実際の山岳の隆起構造の凹凸パターンと似た性質をもつことが知られている。すなわち、凹凸構造の複雑さは、ミクロ的に見ても、マクロ的に見ても同じになり、この凹凸構造の一部を虫めがねで拡大して見た場合も、やはり同じ複雑さをもっている。別言すれば、二次元平面上に分布した個々のスカラー値は自己相似的に配置されており、自然なゆらぎをもって空間的に増減変化していることになる。
【0023】
【実施例】
続いて、図4に示すブロック図を参照しながら、本発明の一実施例に係る木目柄パターンの作成装置の構成を説明する。この図4に示す装置は、大きく分けて、年輪パターン生成部100、木肌パターン生成部200、パターン合成印刷部300、の各部から構成されている。なお、各ブロックで示した個々の構成要素のうちいくつかは、上記各部で共通して利用されている。
【0024】
図1を参照しながらすでに述べたように、本発明の基本思想は、三次元樹木モデルMに基づいて年輪パターンPringを生成し、線状閉領域Lを配列することにより木肌パターンPfiber を生成し、年輪パターンPringの晩材部においては木肌パターンPfiber の濃淡変化が微小となるよう表現を控え、年輪パターンPringの早材部においては木肌パターンPfiber の濃淡変化が顕著となるよう表現を強調するようにデータが設定されている二次元カラーマップを参照して、これら2つのパターンを合成することにより木目柄パターンPtreeを作成することにある。図4に示す装置は、正に、この基本思想に基づく処理を行う装置であり、年輪パターン生成部100によって年輪パターンPringが生成され、木肌パターン生成部200によって木肌パターンPfiber が生成され、パターン合成印刷部300によって、これら2つのパターンが二次元カラーマップを参照して合成され、印刷されることになる。
【0025】
以下、この図4に示す装置の各ブロック構成要素の機能について簡単に説明するが、図1に示した基本思想に基づく各処理と対比させると理解が容易になろう。まず、年輪パターン生成部100内の各構成要素についての説明から行う。
【0026】
乱数発生装置110は、所定の数値範囲内の乱数を発生する装置である。すでに述べたように、フラクタル格子を生成する処理には、乱数RNDが用いられている。乱数発生装置110は、主として、このフラクタル格子の生成処理に用いる乱数RNDを発生するための装置であり、この実施例では、−1≦RND≦+1という数値範囲内の乱数RNDを発生する機能を有する。
【0027】
二次元フラクタル格子発生装置120は、すでに述べた「ランダム中点変位法」によって二次元フラクタル格子を発生する装置である。すなわち、予め定められた最大半振幅値Tと、乱数発生装置110で発生した乱数RNDと、に基づいて、すでに述べた演算を行い、所定のスカラー値を自己相似的に二次元平面上の各格子点に定義した二次元フラクタル格子を発生する機能を有する。
【0028】
年輪パラメータ設定装置130は、年輪パターンPringを発生させるための諸条件となるパラメータを設定する装置である。設定される年輪パラメータとしては、三次元樹木モデルMについての条件設定を行うパラメータと、切断面Jについての条件設定を行うパラメータと、がある。具体的なパラメータの内容については、後に詳述する。
【0029】
三次元樹木モデル発生装置140は、年輪パラメータ設定装置130に設定されたパラメータに基づいて三次元樹木モデルMを発生する装置である。すでに述べたように、この三次元樹木モデルMは、所定の中心軸からの距離に基づいて年輪ポテンシャル値が周期的に変化する立体画像モデルである。後述するように、この三次元樹木モデルMの発生には、乱数発生装置110で発生した乱数RNDが用いられる。RNDは上記周期性を不均一なものにするために用いられる。
【0030】
切断面発生装置150は、上述した三次元樹木モデル発生装置140が発生した三次元樹木モデルMの立体画像を切断する切断面Jを発生させる装置である。切断面Jは、基本的な原理の上からは、単純な平面でもかまわない。しかしながら、自然なゆらぎ成分をもった年輪パターンPringを得るために、この実施例では、二次元フラクタル格子発生装置120が発生した二次元フラクタル格子F2を利用し、この二次元フラクタル格子F2の各格子点のもつスカラー値に応じて、平面上の各点を所定方向に変位させることにより有皺切断面JJを発生させ、この有皺切断面JJによって三次元樹木モデルMを切断するようにしている。
【0031】
年輪パターン発生装置160は、三次元樹木モデル発生装置140が発生した三次元樹木モデルMの立体画像を、切断面発生装置150が発生した有皺切断面JJによって切断することにより、年輪パターンPringを発生する装置である。この年輪パターンPringは、二次元平面上の縦横に配列された画素の集合から構成される。
【0032】
続いて、木肌パターン生成部200内の各構成要素について説明する。ここで、乱数発生装置110および二次元フラクタル格子発生装置120は、前述した年輪パターン生成部100と共用される構成要素であり、すでに説明したとおりである。
【0033】
一次元フラクタル格子発生装置210は、二次元フラクタル格子発生装置120の説明において述べた「ランダム中点変位法」の特殊な場合として、一次元フラクタル格子を発生する装置である。特殊な場合とはすなわち、縦方向(列方向)または横方向(行方向)のいずれかを一列または一行とし、かつ、横方向(行方向)または縦方向(列方向)のいずれかを多数行または多数列とし、数1を適用する場合である。これによって、所定のスカラー値を自己相似的に一次元線分上の各格子点に定義した一次元フラクタル格子を発生することができる。
【0034】
木肌パターン発生装置220は、この一次元フラクタル格子発生装置210が発生した一次元フラクタル格子F1に基づいて、木肌パターンPfiber を発生する装置である。図1に示したように、木肌パターンPfiber は、多数の線状閉領域Lを隣接して配列することにより構成されるパターンである。ここで、線状閉領域Lは、一次元フラクタル格子F1に基づいて生成することが可能である。すなわち、一次元フラクタル格子F1の各格子点を各画素として取り扱い、各格子点のもつスカラー値を木肌ポテンシャル値として取り扱えば、一次元フラクタル格子F1をそのまま線状閉領域Lとして利用することができる。
こうして、一次元フラクタル格子発生装置210が発生した多数の一次元フラクタル格子F1によって、多数の線状閉領域Lを形成し、これをその長手方向に直交する方向に隣接させて多数並べることにより、木肌パターンPfiber を生成することができる。こうして生成された木肌パターンPfiber は、二次元平面上の縦横に配列された画素の集合から構成されることになる。
【0035】
なお、この木肌パターン発生装置220によって発生した木肌パターンPfiber は、後述する各構成要素によって修正を受けることになる。この実施例では、以下に述べるように、3段階の修正が行われる。そこで、本明細書では、木肌パターン発生装置220が発生したもともとの木肌パターンを、木肌パターンPfiber (0)と呼び、これに第1段階の修正を加えることにより得られる木肌パターンを、木肌パターンPfiber (1)と呼び、これに第2段階の修正を加えることにより得られる木肌パターンを、木肌パターンPfiber (2)と呼び、さらに、第3段階の修正を加えることにより得られる木肌パターンを、木肌パターンPfiber (3)と呼んで区別することにする。
【0036】
スムージング処理装置230およびスムージングパラメータ設定装置240は、木肌パターンPfiber (0)に対して、第1段階の修正を加えるための装置である。この第1段階の修正は、木肌パターンPfiber (0)の隣接する各列ごとの木肌ポテンシャル値の極端な相違を緩和するスムージング処理であり、スムージング処理装置230は、スムージングパラメータ設定装置240内に設定されたパラメータに基づいて、このスムージング処理を実行することになる。この処理は、「二次元平面上に配列された木肌パターンを構成する各画素に対して、その画素の左側に隣接して配された画素および右側に隣接して配された画素のもつポテンシャル値に基づいてポテンシャル値を修正する処理」ということができる。このスムージング処理の結果、木肌パターンPfiber (1)が得られる。
【0037】
画像合成装置250およびホワイトノイズ発生装置260は、木肌パターンPfiber (1)に対して、第2段階の修正を加えるための装置である。ホワイトノイズ発生装置260は、乱数発生装置110が発生した乱数RNDを用いて、ホワイトノイズパターンWを発生する。このホワイトノイズパターンWは、木肌パターンPfiber (1)を構成する各画素の配列に応じた画素配列をもち、しかも、各画素の木肌ポテンシャル値がそれぞれ独立した乱数値によって構成されているパターンである。画像合成装置250は、木肌パターンPfiber (1)と、ホワイトノイズパターンWとを合成する処理を行い、合成結果を木肌パターンPfiber (2)として出力する。この合成処理は、木肌パターンPfiber (1)上の各画素の木肌ポテンシャル値と、これに対応するホワイトノイズパターンW上の各画素の木肌ポテンシャル値を、もとの画素の配列位置に応じて所定の比率で混合することにより新たな木肌パターンPfiber (2)を生成する処理である。
【0038】
画像変形装置270および変形パラメータ設定装置280は、木肌パターンPfiber (2)に対して、第3段階の修正を加えるための装置である。この第3段階の修正は、二次元フラクタル格子発生装置120が発生した二次元フラクタル格子F2を用いて行われる。すなわち、画像変形装置270は、この二次元フラクタル格子F2の各格子点のもつスカラー値に応じて、木肌パターンPfiber (2)を構成する各画素の位置を、変形パラメータ設定装置280内に設定されたパラメータに基づいて所定方向に所定距離だけ変位させる処理を行う。この処理により、木肌パターンPfiber (2)に対する画像変形が行われ、変形後の画像は木肌パターンPfiber (3)として出力されることになる。
【0039】
最後に、パターン合成印刷部300内の各構成要素について説明する。色調割当装置310および二次元カラーマップ設定装置320は、年輪パターン生成部が生成した年輪パターンPringと、木肌パターン生西部200が生成した木肌パターンPfiber (3)とを合成するとともに色調を施す処理を行い、木目柄パターンPtreeを得る装置である。この装置の最終的な目的は、発生した木目柄パターンPtreeを壁紙などの印刷物上に印刷することにある。このように、最終的に印刷を行う場合には、木目柄パターンPtreeを構成する各画素には、たとえば、RGBまたはCMYなどの3原色の濃度値(または色調値、輝度値)を示す値が画素値として用意されていなければならない。
【0040】
ただ、年輪パターンPringを生成する段階や木肌パターンPfiber を生成する段階において、このようなカラー印刷を前提とした各原色の濃度値を取り扱うと、演算処理が複雑化するために好ましくない。そこで、本実施例では、色調割当装置310および二次元カラーマップ設定装置320によって木目柄パターンPtreeが得られる段階までは、各パターンを構成する画素のポテンシャル値(年輪ポテンシャル値と木肌ポテンシャル値)として、カラー印刷を考慮しない単なる階調値(たとえば、0〜255までの256段階の階調値)を用い、この色調割当装置330によって、各原色の濃度値と対応づけることにしている。すなわち、二次元カラーマップ設定装置320に、木目柄パターンPtreeを構成する各画素のもつポテンシャル値を、印刷に必要な複数の原色成分に1対1に対応させるための二次元カラーマップを用意しておく。そして、色調割当装置310は、この二次元カラーマップを用いて、木目柄パターンPtreeの各画素に原色の濃度値成分の割り当てを行うのである。
【0041】
刷版装置330は、こうして色割当が行われた木目柄パターンPtreeに基づいて、印刷に必要な各原色ごとの版を作成する機能を有し、印刷装置340は、この版を用いて、壁紙などの木目柄パターンPtreeをもった印刷物を作成する機能を有する。
【0042】
なお、この図4に示した各ブロック構成要素のうち、刷版装置330および印刷装置340は、従来から印刷工程で一般的に用いられている刷版装置や印刷装置を用いて構成されているが、それ以外の各ブロック構成要素は、実際にはコンピュータあるいはその周辺機器によって構成されている。たとえば、各パラメータの設定装置は、実際には、キーボードやマウスなどのコンピュータの入力装置と、このコンピュータ用の記憶装置によって構成されることになる。また、種々の発生装置や種々の処理を行う装置は、専用のソフトウェアによってこのコンピュータを動作させることによって実現できる。
【0043】
次に、前述の色調割当装置310および二次元カラーマップ設定装置320により行われる色調割当処理について詳細を説明する。これまでの処理によって得られた年輪パターンPringと木肌パターンPfiber は、0〜255までのポテンシャル値Ut(x,y)とVt(x,y)をもった画素から構成される。これまでの説明で、各画素に定義されたこれらの値を、「画素値」と呼ぶ代わりに「ポテンシャル値」と呼んだのは、このポテンシャル値が実際の印刷物上における濃度値に直接対応していないからである。いわば、このポテンシャル値は、二次元カラーマップ設定装置320内に用意されたカラーマップ上の256×256通りの色についての参照番号といった意味をもつ値である。
【0044】
図5は、このような二次元カラーマップの一例を示す図である。このカラーマップは表の形で用意されており、最上欄には、年輪パターンPringの年輪ポテンシャル値Ut(x,y)の値(0〜255)が横方向に示されており、最左欄には、木肌パターンPfiber の木肌ポテンシャル値Vt(x,y)の値(0〜255)が縦方向に示されている。これは上述したように、各色についての参照番号としての意味をもつ。そして、各参照番号で特定される各色には、3原色R,G,Bの各成分ごとの色調値(この例では、おのおの8ビット、すなわち0〜255の値)が定義されている。
このカラーマップの色調値の定義の態様により、天然木の木肌質感を忠実に再現することができる。さらに、天然木の再現からは離れて様々な意匠性を強調することもできる。
【0045】
天然木の木肌質感を忠実に再現する場合は、年輪パターンPringの早材部から晩材部への変化に対しては、一般的にクリーム色から濃褐色のように狭い色相範囲内で明度変化するように定義し、かつ木肌パターンPfiber の濃度変化に対しては色相・彩度はほぼ一定で年輪ポテンシャル値にほぼ比例して明度変化するように定義する。たとえば図5において、年輪ポテンシャル値Ut(x,y)の値が小さい(“0”に近い値)場合には木肌ポテンシャル値Vt(x,y)の値の変化による色調値(前述のように主として明度値)の変化幅を大きくする。すなわち、木肌パターンPfiber のコントラストを大きくする。別言すれば、木肌(の繊維質)に起因する濃淡変化を顕著とする。
また、年輪ポテンシャル値Ut(x,y)の値が大きい(“255”に近い値)場合には木肌ポテンシャル値Vt(x,y)の値の変化による色調値(前述のように主として明度値)の変化幅を小さくする。すなわち、木肌パターンPfiber のコントラストを小さくする。別言すれば、木肌(の繊維質)に起因する濃淡変化を微小とする。
このようなカラーマップは、印刷物として製造される壁紙などに要求される色合いを考慮して、オペレータが用意することになる。実際には、試し刷りなどの結果を見ながら、適宜修正するのが好ましい。
【0046】
結局、刷版装置330に対しては、各画素について3原色R,G,Bの色調値が定義された状態の木目柄パターンPtreeの画像データが与えられる。刷版装置330においては、この画像データに基づいて、印刷版に使用されるインキ色に変換した値が演算され、各インキ色ごとの版が作成されることになる。そして、印刷装置360では、この各版に基づいて、壁紙などの材料に木目柄パターンPtreeがカラー印刷されることになる。
【0047】
なお、図5には、3原色R,G,Bの色調値を定義したカラーマップを示したが、この他に3原色C,M,Yとすることも黒(K)の濃度値を含めた4色のカラーマップを用意してもよい。また、プロセスインキ色であるC,M,Y,K以外の特色インキと呼ばれるインキ色(たとえば、褐色、クリーム色等)の濃度値を定義したカラーマップを用意してもよい。
【0048】
図6は、前述の図5に示すような、二次元カラーマップにおけるデータの設定方法の説明図である。すでに十分に説明したように、二次元カラーマップは2つのスカラー値によって、1つのベクトル値である色を決定するために参照する表である。図6(A)に示すように、スカラー値の一つは年輪ポテンシャル値であり、もう一つのスカラー値は木肌ポテンシャル値である。
ところで、木目柄画像データは、それの要素である画素データの集合である。そして画素データは、その画素に対応する2つのスカラー値、すなわち、年輪ポテンシャル値と木肌ポテンシャル値に基づいて、二次元カラーマップが参照され求められた階調と色相を有する“色”のデータである。
【0049】
ここで、年輪ポテンシャル値と木肌ポテンシャル値が、どのようなものであるか、説明補足する。年輪パターンの画像データ(ポテンシャル画像データ)を構成する画素データには、各画素が1年のどの時期に出現したものかが数値で記録されている。各画素には、たとえば、0〜255の正規化された数値が記録されていて、ある年の値pの領域は別の年の値pの領域同月同日に発生した部分であると考えればよい。このデータが年輪模様の濃淡を表すような画像データではなく、木目柄における年輪模様を特定するための画像データであることから、“年輪ポテンシャル値”のようにポテンシャル値と呼び表す。
また、木肌パターンは木肌の様相を表したもので、形式的には、上記の年輪パターンの画像データ(ポテンシャル画像データ)と同様であり、正規化された画像データとなっている。木肌の様相とは、設定された光源によって木肌がつくる陰影情報と考えてよく、すなわち、切断面の木部繊維の凹凸面が単色(白色)であった場合の、光線による陰影である。このデータが木肌模様の色調を表すような画像データではなく、木目柄における木肌模様を特定するための画像データであることから、“木肌ポテンシャル値”のようにポテンシャル値と呼び表す。
【0050】
さて、図6(A)に示す二次元カラーマップの縦軸は“年輪ポテンシャル値”の0〜255の値を示す軸であり、横軸は“木肌ポテンシャル値”の0〜255の値を示す軸である。図6(A)においてa−a’“年輪ポテンシャル値”の軸に平行な切片上の値は、図6(B)に示すパターンを有する。図6(B)に示すように、早材部においては木目柄パターンの画素データの成分のRの値は大きく、晩材部への移行部においてはRの値が単調減少し、晩材部においてはRの値は小さく、早材部への移行部(255に至る値)においてはRの値が単調増加する。木目柄パターンの他の画素データの成分のG,Bの値についても同様である。
また、図6(A)においてb−b’“木肌ポテンシャル値”の軸に平行な切片上の値は、図6(C)に示すパターンを有する。図6(C)に示すように、木肌ポテンシャル値が増加するにしたがって、木目柄パターンの画素データの成分のRの値は単調減少してゆく。木目柄パターンの他の画素データの成分のG,Bの値についても同様である。
図6(C)に示す例とは反対に、木肌ポテンシャル値が増加するにしたがって、木目柄パターンの画素データの成分のR(同様にG,B)の値を単調増加するようにしてもよい。
【0051】
【発明の効果】
本発明の木目柄の印刷物によれば、年輪パターンの晩材部においては木肌パターンの濃淡変化が微小となるよう表現を控え、年輪パターンの早材部においては木肌パターンの濃淡変化が顕著となるよう表現を強調され、天然の木目に極めて近い木目柄が得られる。
【0052】
また本発明の木目柄画像データの生成方法および生成装置によれば、年輪パターンの晩材部においては木肌パターンの濃淡変化が微小となるよう表現を控え、年輪パターンの早材部においては木肌パターンの濃淡変化が顕著となるよう表現を強調した木目柄画像データが得られる。この木目柄画像データに基づいて印刷が行われると、天然の木目に極めて近い木目柄の印刷物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る木目柄パターンの基本構成の説明図である。
【図2】第0段階までに定義された二次元フラクタル格子の説明図である。
【図3】第1段階までに定義された二次元フラクタル格子の説明図である。
【図4】本発明の一実施例に係る木目柄パターンの作成装置の構成を説明するブロック図である。
【図5】二次元カラーマップの一例を示す図である。
【図6】二次元カラーマップにおけるデータの設定方法の説明図である。
【図7】中心軸Cに対して垂直な面において、この三次元樹木モデルMの各位置に定義される年輪ポテンシャル値Urを示す図である。
【図8】年輪ポテンシャル値Urの周期的変化をグラフで示したものである。
【符号の説明】
100 年輪パターン生成部
110 乱数発生装置
120 二次元フラクタル格子発生装置
130 年輪パラメータ設定装置
140 三次元樹木モデル発生装置
150 切断面発生装置
160 年輪パターン発生装置
200 木肌パターン生成部
210 一次元フラクタル格子発生装置
220 木肌パターン発生装置
230 スムージング処理装置
240 スムージングパラメータ設定装置
250 画像合成装置
260 ホワイトノイズ発生装置
270 画像変形装置
280 変形パラメータ設定装置
300 パターン合成印刷部
310 色調割当装置
320 二次元カラーマップ設定装置
330 刷版装置
340 印刷装置

Claims (2)

  1. 木目柄画像データを人為的に作成する方法であって、
    所定の中心軸からの距離に基づいてポテンシャル値が周期的に変化し晩材部と早材部、およびそれらの移行部を表現する三次元樹木モデルを用意し、
    このモデルにおける所定の切断面上のポテンシャル値をもった画素の集合からなる年輪パターンを生成し、
    樹木の繊維質を表現するのに十分細長い形状をしており、長手方向に沿って多数の画素が配列され、各画素のポテンシャル値が前記長手方向に沿ってなだらかに変化しているような線状閉領域を多数用意し、
    前記線状閉領域を、前記長手方向に直交する方向に隣接させて多数並べることにより、二次元平面上の画素の集合からなる木肌パターンを生成し、
    前記年輪パターンの晩材部においては前記木肌パターンの濃淡変化が微小となりかつ前記年輪パターンの早材部においては前記木肌パターンの濃淡変化が顕著となるように前記年輪パターンのポテンシャル値と前記木肌パターンのポテンシャル値との任意の組み合わせに対してそれぞれ画素値を設定した二次元カラーマップを用意し、
    前記年輪パターン上の各画素と、前記木肌パターン上の各画素と、をそれぞれ画素の配列位置に基づいて対応させ、これら対応する2つの画素の持つ2つのポテンシャル値から、前記配列位置に対応する位置における画素の画素値を前記二次元カラーマップを用いて特定することにより木目柄画像データを得る、
    ことを特徴とする木目柄画像データの生成方法。
  2. 年輪パターン生成手段と、木肌パターン生成手段と、二次元カラーマップと、色調割当手段とを具備し、木目柄画像データを人為的に作成する装置であって、
    前記年輪パターン生成手段は、所定の中心軸からの距離に基づいてポテンシャル値が周期的に変化し晩材部と早材部およびその移行部を表現する三次元樹木モデルを用意し、このモデルにおける所定の切断面上のポテンシャル値をもった画素の集合からなる年輪パターンを生成し、
    前記木肌パターン生成手段は、樹木の繊維質を表現するのに十分細長い形状をしており、長手方向に沿って多数の画素が配列され、各画素のポテンシャル値が前記長手方向に沿ってなだらかに変化しているような線状閉領域を多数用意し、前記線状閉領域を、前記長手方向に直交する方向に隣接させて多数並べることにより、二次元平面上の画素の集合からなる木肌パターンを生成し、
    前記二次元カラーマップは、前記年輪パターン上の各画素と、前記木肌パターン上の各画素と、をそれぞれ画素の配列位置に基づいて対応させ、対応する2つの画素の持つポテンシャル値に基づいて、木目柄画像データの画素値を特定する二次元カラーマップであって、前記年輪パターンの晩材部においては前記木肌パターンの濃淡変化が微小となりかつ前記年輪パターンの早材部においては前記木肌パターンの濃淡変化が顕著となるように前記年輪パターンのポテンシャル値と前記木肌パターンのポテンシャル値との任意の組み合わせに対してそれぞれ画素値が設定されたものであり、
    前記色調割当手段は、前記年輪パターン上の各画素と、前記木肌パターン上の各画素と、をそれぞれ画素の配列位置に基づいて対応させ、これら対応する2つの画素の持つ2つのポテンシャル値から、前記配列位置に対応する位置における画素の画素値を前記二次元カラーマップを用いて特定することにより木目柄画像データを得る、
    ことを特徴とする木目柄画像データの生成装置。
JP04404496A 1996-02-07 1996-02-07 木目柄画像データの生成方法および生成装置 Expired - Fee Related JP3966919B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04404496A JP3966919B2 (ja) 1996-02-07 1996-02-07 木目柄画像データの生成方法および生成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04404496A JP3966919B2 (ja) 1996-02-07 1996-02-07 木目柄画像データの生成方法および生成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09207423A JPH09207423A (ja) 1997-08-12
JP3966919B2 true JP3966919B2 (ja) 2007-08-29

Family

ID=12680626

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04404496A Expired - Fee Related JP3966919B2 (ja) 1996-02-07 1996-02-07 木目柄画像データの生成方法および生成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3966919B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20090262376A1 (en) * 2006-09-15 2009-10-22 Hideki Aoyama Grain pattern for grain pattern printing, method and program for creating grain pattern, and housing building material product, automotive interior part, electric home appliance, and information equipment with grain pattern printed thereon
CN107884412B (zh) * 2017-12-21 2023-11-14 华南农业大学 一种针叶树木芯的年轮信息检测装置及方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09207423A (ja) 1997-08-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
DE102007011162B4 (de) Verfahren und Vorrichtung zum Herstellen eines Hologrammaufzeichnungsträgers
DE69836360T2 (de) System zur Anzeige von computergesteuerten holographischen Bildern
DE69532016T2 (de) Bildverarbeitungsgerät und -verfahren
DE602005005525T2 (de) Reliefplatten, Originalplatten dieser Reliefplatten und Verfahren zur Herstellung dieser Originalplatten und Reliefplatten
DE2931098A1 (de) Verfahren und vorrichtung zur autotypischen tonwertzerlegung
JP2023085383A (ja) 金属発色材料及び金属発色材料製造方法
JP3966919B2 (ja) 木目柄画像データの生成方法および生成装置
JP4085097B2 (ja) フルカラーパイル織物の織り方_
CN1867033B (zh) 多配置网板色调系统
JPH0822538A (ja) 木目柄パターンをもった印刷物ならびに木目柄パターンの作成方法および作成装置
CN105988794B (zh) 滤镜代码生成器、生成方法及图像编辑器
JPH09277691A (ja) 木目導管断面パターンをもった印刷物、エンボス製品、印刷版、およびエンボス版、ならびに木目導管断面パターンの形成方法および形成装置
JP3547828B2 (ja) 回折格子記録媒体の作成方法および作成装置
JP3529505B2 (ja) 単色光を用いたカラー画像の表示方法
JP3776144B2 (ja) 導管断面を有する木目柄パタ−ンの作成方法および作成装置
JPH1016375A (ja) ヘアラインパターンの生成方法および生成装置
JP3889097B2 (ja) ちりめん模様の作成方法および作成装置
JP3447379B2 (ja) 繰り返し模様をもった画像の作成装置
JP4325017B2 (ja) 回折格子パターンの作製方法
JPH10326302A (ja) ちりめん模様の作成方法および作成装置
JP4018760B2 (ja) 木目柄パターンの作成方法および作成装置
JP3761998B2 (ja) 木目導管断面パターンの作成方法
JPH08258393A (ja) 柾目柄を有する印刷物およびその作成方法
JPH07249114A (ja) 地図の作製方法および装置
JP3461918B2 (ja) フラクタル格子を用いた画像情報変換方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050912

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060331

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060502

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060703

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060801

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060929

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070516

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070530

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110608

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110608

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120608

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120608

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130608

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140608

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees