JP3966701B2 - アカシア材パルプを使用した紙およびその製造方法 - Google Patents

アカシア材パルプを使用した紙およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、混合南洋材パルプを主原料とする紙に関し、特に混合南洋材パルプに配合されてきた針葉樹晒クラフトパルプに代えてアカシア材パルプを使用した紙およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
紙の強度は、種々の要素によって影響を受けることが知られている。まず、紙は、繊維から構成されているので、この繊維の強度が主要な要素となる。そして、この繊維強度は主に繊維の細胞膜厚に左右されており、繊維が壊れるとき、そのウエブも壊れることになる。
【0003】
次に第二の要素は、繊維表面間の水素結合といえる。繊維の表面は、水酸基で覆われており、これらは水素結合に大きく影響している。そして、この水素結合は、結合力は弱いが高密度効果を有すると強い結合になる。以下の観点を考慮することによりこれを強めることができる。
すなわち、二つの繊維表面間の総合水素結合は、接触面積の大きさに影響される。そして、この接触面積は、繊維の特性、調成工程、繊維長さ、フィブリル化、柔軟性及び直径比率等に依存している。
【0004】
これらのうち繊維長は、絡みやフロックを起こす傾向があるものの繊維の結合により強固なウエブを形成させることができる。
また、調成工程における叩解は、繊維のフィブリル化を進め接触表面積を拡大する作用がある。このようにして総合水素結合強度を上げることができる。
さらに、繊維の細胞膜厚が薄い場合、叩解工程で容易に繊維を壊し、柔軟性を増すこともできるが、これも表面の接触面積を増すことになる。
【0005】
混合南洋材(MTH:Mixed Tropical Hardwood)パルプは、安価であるために紙の原料として広く用いられているが、近年の抄紙機の高速化に伴い混合南洋材パルプのみでは抄紙時に強度不足となるため、通常、特別な繊維特性を持ったパルプを原料パルプに混入し、紙の強度を上げている。最も一般的な方法は、混合南洋材の原料パルプに、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP:Needle Bleached Kraft Pulp)を配合することである。
この配合により、針葉樹晒クラフトパルプの長い繊維が混合南洋材のパルプ繊維と絡みあって、水素結合により強い繊維結合を生じ、紙の強度が上がることになる。そして、紙の強度が上がることは、紙品質の向上ばかりでなく、抄紙機の運転効率にとっても重要なファクタとなっている。
【0006】
しかしながら、針葉樹晒クラフトパルプは、混合南洋材パルプと比すると非常に高価であるため、針葉樹晒クラフトパルプの混入量を増大させて紙の強度を大きくしようとすると、その針葉樹晒クラフトパルプの混入量に比例して高価となってしまうという課題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
紙の強度は、上述のような要素に影響されるので、紙の強度を向上させるためには同様な特性を持った他のパルプも適用できるはずである。
発明者等は、製品開発及び最適コストの面から、代替の繊維が適用できないかを鋭意研究した結果、繊維ウエブの水素結合強度を向上する為の一つの繊維として、アカシア材パルプに注目した。
アカシア材パルプは、針葉樹晒クラフトパルプと異なり、繊維の長さによってウエブ強度を上げることができない。アカシア材パルプの繊維長は、針葉樹晒クラフトパルプはもちろん混合南洋材よりも短いが、壊れ易く、後述の実施例で示すように薄い繊維状に分割される。
【0008】
発明者等は、これらの薄い繊維状物は、混合南洋材からなるパルプの繊維間の空隙を塞ぎ、より大きい接触面積をもたらし、その結果ウェブの中の水素結合強度を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、混合南洋材を主原料とする紙であって、針葉樹晒クラフトパルプと混合南洋材パルプから作られた紙に匹敵する特性を有しながらもさらに安価である紙を提供すること及びその紙の製造方法を提供することを目的とする。
さらに詳しくは、本発明は、混合南洋材とアカシア材の混合パルプから作られた紙であって、10%針葉樹晒クラフトパルプと90%混合南洋材パルプから作られた紙に匹敵する特性を有しながらもさらに安価である紙を提供すること及びその紙の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
なお、本発明における混合南洋材パルプとは、実施例では入手の容易性からメランチ類(Meranti Group、俗称メランチ材)のパルプを主成分とし、他にリンバキャンプラン類(Rimba Campuran Group、現地名プナ(Punak)、ケンパス(Kempas)、バラン(Balan)、ビンタングル(Bintangur)、ピサンピサン(Pisang pisang)等が含まれる)のパルプを含むものを用いたが、特にこれに限られるものではなく、必要に応じて紙の製造に普通に使用されている南洋材パルプを適宜混合して使用し得ることは明らかである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、混合南洋材パルプを主原料とし、これにアカシア材パルプを所定量配合したことを特徴とする紙が提供される。
本発明の紙は、前記混合南洋材パルプとして、メランチ類(Meranti Group、俗称メランチ材)のパルプを主成分とし、他にリンバキャンプラン類(Rimba Campuran Group、現地名プナ(Punak)、ケンパス(Kempas)、バラン(Balan)、ビンタングル(Bintangur)、ピサンピサン(Pisang pisang)等)のパルプのいくつかを組合わせ混合したものであり、アカシア材パルプの配合量は、20〜30重量%、好ましくは25〜30重量%であることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明によれば、混合南洋材パルプを主原料とし、これにアカシア材パルプを所定量配合した紙の製造に際し、両パルプをそれぞれ異なる叩解ラインで叩解を行うことを特徴とする紙の製造方法が提供される。
本発明の紙の製造方法は、前記混合南洋材パルプとして、メランチ類(Meranti Group、俗称メランチ材)のパルプを主原料とし、他にリンバキャンプラン類(Rimba Campuran Group、現地名プナ(Punak)、ケンパス(Kempas)、バラン(Balan)、ビンタングル(Bintangur)、ピサンピサン(Pisang pisang)等が含まれる)のパルプのいくつかを組合わせ混合したものを用いたものであり、アカシア材パルプは、配合量が20〜30重量%であり、叩解度を400CSF〜500CSF(Canadian Standard Freeness)の範囲で叩解すること、好ましくは配合量が25〜30重量%であり、叩解度を400CSF〜500CSFの範囲で叩解することを特徴とする。
【0013】
以下、本発明の具体例を参考例及び実施例でもって詳細に説明する。
【0014】
【参考例】
ここでは、繊維長さ及びSEM写真分析(SEM: Scanning Electron Microscope、走査電子顕微鏡)を含む、アカシア材パルプ繊維の特性を考察することから始め、特に繊維長さ及び繊維径に対する叩解工程の影響を調べた。
各パルプの叩解前及び所定の叩解度における繊維長および粗度(繊維径の度合い)を調べた結果をまとめて表1に示す。ただし、この表1において、L=長さ加重平均繊維長、L=重さ加重平均繊維長を示し(JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.52−89による)、また、混合南洋材としては、LPP社製のもの(メランチ類:約70重量%、リンバキャンプラン類:約30重量%)を用い、針葉樹晒クラフトパルプとしては市販のLeaf River(商品名)を用いた。
【0015】
【表1】
Figure 0003966701
【0016】
この表1の結果から、アカシア材パルプの繊維長さは、同一叩解度では針葉樹晒クラフトパルプはもちろん、混合南洋材より短いことがわかる。したがって、アカシア材パルプは、繊維長さの面からウエブ強さを向上させることはできない。
【0017】
しかし、アカシア材パルプは、混合南洋材パルプや針葉樹晒クラフトパルプに比較し非常に薄い繊維で、特に400CSFに叩解された時に著しい。表1に示すように、叩解工程は、繊維長さの低下より、粗度の低下に大きく影響している。アカシア材パルプを550CSFから400CSFに叩解したとき、繊維長さはわずか95%(重さ加重平均繊維長)に低下するだけであるが、粗度は60%に低下する。
【0018】
粗度のデータから、400CSFにおけるアカシア繊維の径は、500CSFにおける混合南洋材繊維の径の約40%である。したがって、この粗度データから導き出される両繊維の直径比は、500CSF針葉樹晒クラフトパルプと500CSF混合南洋材の直径比と非常に近い値となる。この直径比の達成により、ウエブ形成時に混合南洋材繊維の空隙を特に叩解されたアカシア繊維で埋めることができる。
【0019】
図1に、各繊維の接触状態を模式化した図面を示す。(a)は混合南洋材(MTH)とアカシア(Acacia)材パルプの場合を示し、(b)は針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と混合南洋材(MTH)の場合を示す。
この図から、アカシア繊維の太さは混合南洋材或いは針葉樹晒クラフトパルプに比べて小さいことから、アカシア繊維が混合南洋材繊維の隙間を塞ぎ込んでいることが容易に理解されるはずである。
【0020】
次に、SEM写真により各パルプの叩解度合いによるパルプ繊維の状態の違いを調べた。
図2は、アカシア材パルプの叩解度を種々変えた場合の走査電子顕微鏡写真であり、(a)は叩解前、(b)は叩解度550CSF、(c)は叩解度500CSF、(d)は叩解度450CSF、(e)は叩解度400CSFの場合を示す。図3は、針葉樹晒クラフトパルプの叩解度を変えた場合の走査電子顕微鏡写真であり、(a)は叩解前、(b)は叩解度500CSFの場合を示す。また、図4は、混合南洋材パルプの叩解度を変えた場合の走査電子顕微鏡写真であり、(a)は叩解前、(b)は叩解度500CSFの場合を示す。
【0021】
図3及び図4から明らかなように、針葉樹晒クラフトパルプ及び混合南洋材パルプは、叩解工程でフィブリル化の傾向が表れるが、アカシア材パルプでは、叩解工程で繊維が壊れ、更に叩解が進むと薄い繊維層に分割される(図2参照)。
アカシア繊維は、竹に似た挙動を示し、短い断片にカットされにくいが、つぶされた時薄い断片に分割されやすい(図5参照)。この特性は、アカシア材パルプの繊維が、混合南洋材パルプ及び針葉樹晒クラフトパルプより薄い壁を持っていることを示しているが、同時にこの繊維は丈夫である。この特性が、混合南洋材パルプの繊維間の空間を満たすことにより柔軟性を高めると共に接触面積を増大することができる。
【0022】
【実施例】
次に、実験室での試行テストにより、各種叩解度のアカシア材パルプを用いて製紙し、こわさ(剛度)、引張強さ、破裂強さ及び引裂き強さを調べた。
紙シートは、74〜76g/mの範囲で、自動手漉きマシンで作られた。原料は、混合南洋材パルプ(ex.IKPP社製)500ccにアカシア材パルプを20〜35%(重量%、以下同じ)の範囲で混入したもので、アカシア材パルプの叩解度は、400CSF〜550CSFの範囲において単独で叩解した。
その理由は、アカシア材パルプは混合南洋材に比較し叩解が容易であるためであり、そのためアカシア材パルプの叩解は、単独のラインで行う必要がある。もしアカシア材と混合南洋材との叩解を同時に行うと、アカシア材パルプの繊維が切断されるため、最適な条件が得られない。さらに、アカシア材パルプの叩解度は、正確に調整する必要がある。アカシア材パルプの叩解は、針葉樹晒クラフトパルプの叩解ラインで行うこともできる。
この実施例では、パルプの特性により焦点を当てるため、ケミカルは使用していない。
【0023】
比較例として、10%針葉樹晒クラフトパルプ500CSF(90%混合南洋材パルプ)から作成されたシート(以下「10%NBKP」という)及び100%混合南洋材パルプで作られたシート(以下「100%MTH」という)の場合も例示する。
原料配合及び叩解度に対する紙の単独特性値との関係を、図6から図13に示した。合成特性値との関係は、図14及び図15に示す。こわさ(剛度)の測定値には坪量が含まれているため、こわさ以外のすべての特性値は、インデックス値、すなわち各特性値を坪量で割ったもので表している。
【0024】
アカシア材パルプの混合割合を変えた場合のこわさの関係を図6に、アカシア材パルプの叩解度を変えた場合のこわさの関係を図7に、それぞれ示す。
【0025】
図6を参照すると、400CSF以外はアカシア材パルプの混合比に対しある一定の傾向が見られないが、400CSFの点で最も高い値となっており、アカシア材パルプの含有量が20%以上で10%NBKPと同等ないしはそれ以上のこわさが得られていることがわかる。この理由は、繊維の径によるものすなわち混合南洋材の繊維間の空隙をアカシア材パルプの繊維が充分満たしているものと考えられる。
【0026】
一方、図7を参照すると、アカシア材パルプ含有量が20%以上では、アカシア材パルプの叩解度が450CSFから400CSFと進むに従って、こわさが大きくなっており、アカシア材パルプ含有量が25%以上ではアカシア材パルプの叩解度が約420CSF以下で10%NBKPと同等ないしはそれ以上のこわさが得られていることがわかる。
【0027】
図6及び図7の両者の傾向を合わせ見ると、少なくともアカシア材パルプの叩解度が約420CSFより進めば、アカシア材パルプ含有量約22%以上で10%NBKPと同等ないしはそれ以上のこわさが得られることが期待できよう。
【0028】
次に、アカシア材パルプの混合割合を変えた場合の引っ張り強さインデックスの変化を図8に、アカシア材パルプの叩解度を変えた場合の引っ張り強さインデックスを図9に、それぞれ示す。
【0029】
図8を参照すると、引張強さインデックスの最適値は、アカシア材パルプの混合量が24%から30%、叩解度が400CSFから500CSFの範囲の時に得られる。アカシア材パルプの混合量が20%から30%の範囲でも、550CSFの場合を除き、ほとんどのシートは10%NBKPとほぼ同等とないしはそれ以上の引張強さインデックス有している。550CSFでは、アカシア材パルプの繊維は、壊されておらず、薄い繊維状に分割されていない為、引張強さの向上に寄与しないからである。しかし、100%MTHのものよりは、高い数値が得られている。なお、各図のLPPAEは100%MTHを示す。
【0030】
図9を参照すると、アカシア材パルプの含有量が25%から30%で、叩解度が400CSFから520CSFの範囲で引張強さインデックスが10%NBKPとほぼ同等とないしはそれ以上となっている。
【0031】
図8及び図9の両者の傾向を合わせ見ると、少なくともアカシア材パルプの叩解度が約400CSF〜520CSFであれば、アカシア材パルプの含有量が24%〜30%の範囲で10%NBKPと同等ないしはそれ以上の引張強さインデックスが得られることが期待できよう。
【0032】
また、アカシア材パルプの混合割合を変えた場合の破裂抵抗インデックスの変化を図10に、アカシア材パルプの叩解度を変えた場合の破裂抵抗インデックスの変化を図11に、それぞれ示す。
【0033】
破裂強さは、こわさ(剛度)及び引張強さインデックスとは異なる傾向を示す。図10及び図11に示すように、アカシア材パルプの混合割合が増加するにつれ、破裂強さインデックスの数値は増加している。この実施例で測定した数値範囲では、アカシア材パルプの含有量に対しピークは現れなかった、一方、叩解度の作用に対しては、450CSFの時に最適な破裂強さインデックスが得られた。550CSFの時以外、アカシア材パルプの含有量が20%以上で、10%NBKPと同等ないしはそれ以上の破裂強さインデックスが得られた。
【0034】
また、アカシア材パルプの混合割合を変えた場合の引裂強さインデックスの変化を図12に、アカシア材パルプの叩解度を変えた場合の引裂強さインデックスの変化を図13に示す。
【0035】
図12及び図13から明らかなように、引裂強さも、破裂強さの場合と同様、特定の傾向を示さなかった。このアイテムに対し、正確なデータを得ることは、膨大なサンプルの量を必要とするため、困難であった。
しかし、アカシア材パルプの叩解度が400CSF時点のサンプルでは、アカシア材パルプの含有量が20%から30%の範囲で、やはり10%NBKPのものと匹敵する値となっている。400CSFサンプル(良く叩解された繊維)では, 混合南洋材パルプの繊維の空隙が満たされ、高密度の紙となり、引裂強さ値が上がっている。一方、550CSFのサンプルでは、繊維そのものの強度により、それなりの引裂強さを得ている。他の配合のサンプルでは、混合南洋材パルプとアカシア材パルプの複雑なウエブ構造により、込み入った傾向を示す。
【0036】
合成特性値(破裂強さ、引張強さ及び引裂強さ)を図14及び図15に示す。この図では、こわさ(剛度)は他の3つの特性に較べ、それほど重要でないので、省いている。
すべての数値は、アカシア材パルプと混合南洋材パルプとの混合物から得られたものと、10%NBKPとの差を、10%NBKPの値で割ったもので表している。
【0037】
図14は、各物性の合成総合値で、正の値を持ったサンプルが見られる。図15は、各物性値ごとに区別して記載したものであり、25%−400CSF、20%−500CSF及び30%−500CSFのアカシア材パルプを持ったサンプルではすべて正の値を有している。
これは、すべての項目で10%NBKPより優れていることを表している。
【0038】
25%−400CSFアカシア材パルプを含むサンプルは、最も高い合成値を示した。一方、30%−500CSFのアカシア材パルプを持ったサンプルでは、より均等な配分の値を示している。
【0039】
以上の結果を総合すると、アカシア材パルプの混合量を25%から30%、叩解度を450CSF前後の条件とした混合南洋材−アカシア材混合パルプを使用することによりにより、10%NBKPよりも優れた特性を有する紙が得られるが、重視する特性値に応じてアカシア材パルプの含有量を20〜35%、アカシア材パルプの叩解度が400CSF〜500CSFの間で適宜選択することにより、10%NBKPとほぼ同じかより優れた性質の紙を製造することができることができる。
【0040】
また、アカシア材パルプは針葉樹晒クラフトパルプよりも安価であるため、ケミカルコスト(填料、ウエットエンドスターチ、歩留剤、サイズ剤、等)や叩解コスト(アカシア材パルプは叩解が容易である)は同一であるとして、混合南洋材−アカシアの混合パルプを用いた場合の紙の生産コストを10%針葉樹晒クラフトパルプ−90%南洋材の混合パルプを用いた場合と比較すると、概ね針葉樹晒クラフトパルプとアカシア材パルプとの価格差の分だけ安価にできる。
【0041】
【発明の効果】
本発明による混合南洋材−アカシア材パルプから得られた紙は、上述したように、90%混合南洋材−10%針葉樹晒クラフトパルプを用いた紙とほぼ同等ないしはそれ以上の特性値を有するものが得られるため、混合南洋材−アカシア材パルプは混合南洋材−針葉樹晒クラフトパルプに十分代替できることが確認された。
また、アカシア材パルプは針葉樹晒クラフトパルプよりも安価であるため、同等の特性を有しながらも生産コストが概ね両パルプの価格差の分だけ安価に出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 各繊維の接触状態を模式化した図面であり、(a)は混合南洋材(MTH)とアカシア(Acacia)材パルプ場合を示し、(b)は針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と混合南洋材(MTH)の場合を示す。
【図2】 アカシア材パルプの叩解度を種々変えた場合の走査電子顕微鏡写真であり、(a)は叩解前、(b)は叩解度550CSF、(c)は叩解度500CSF、(d)は叩解度450CSF、(e)は叩解度400CSFの場合を示す。
【図3】 針葉樹晒クラフトパルプの叩解度を変えた場合の走査電子顕微鏡写真であり、(a)は叩解前、(b)は叩解度500CSFの場合を示す。
【図4】 混合南洋材パルプの叩解度を変えた場合の走査電子顕微鏡写真であり、(a)は叩解前、(b)は叩解度500CSFの場合を示す。
【図5】 原料の差異による叩解効果の差異を示す模式図であり、(a)は叩解された針葉樹晒クラフトパルプの繊維、(b)は叩解された混合南洋樹パルプの繊維、(c)は叩解されたアカシア材パルプの繊維の場合を示す。
【図6】 アカシア材パルプの混合割合を変えた場合のこわさ(剛度)の関係を示す図である。
【図7】 アカシア材パルプの叩解度を変えた場合のこわさの関係を示す図である。
【図8】 アカシア材パルプの混合割合を変えた場合の引っ張り強さインデックスの変化を示す図である。
【図9】 アカシア材パルプの叩解度を変えた場合の引っ張り強さインデックスの変化を示す図である。
【図10】 アカシア材パルプの混合割合を変えた場合の破裂抵抗インデックスの変化を示す図である。
【図11】 アカシア材パルプの叩解度を変えた場合の破裂抵抗インデックスの変化を示す図である。
【図12】 アカシア材パルプの混合割合を変えた場合の引き裂き抵抗インデックスの変化を示す図である。
【図13】 アカシア材パルプの叩解度を変えた場合の引き裂き抵抗インデックスの変化を示す図である。
【図14】 10%NBKPの紙に対するアカシア材パルプ含有紙の総合特性値差比を示す図である。
【図15】 10%NBKPの紙に対するアカシア材パルプ含有紙の合成特性値差比を示す図である。

Claims (8)

  1. 混合南洋材パルプを主原料とし、これにアカシア材パルプを所定量配合したことを特徴とする紙。
  2. 前記混合南洋材パルプは、メランチ類(Meranti Group、俗称メランチ材)のパルプを主原料とし、他にリンバキャンプラン類(Rimba Campuran Group、現地名プナ(Punak)、ケンパス(Kempas)、バラン(Balan)、ビンタングル(Bintangur)、ピサンピサン(Pisang pisang)等)のパルプのいくつかを組合わせ混合したことを特徴とする請求項1記載の紙。
  3. 前記アカシア材パルプの配合量が20〜30重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の紙。
  4. 前記アカシア材パルプの配合量が25〜30重量%であることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の紙。
  5. 混合南洋材パルプを主原料とし、これにアカシア材パルプを所定量配合し、常法により紙を製造するに際し、それぞれのパルプは異なる叩解ラインで叩解を行うことを特徴とする紙の製造方法。
  6. 前記混合南洋材パルプは、メランチ類(Meranti Group、俗称メランチ材)のパルプを主原料とし、他にリンバキャンプラン類(Rimba Campuran Group、現地名プナ(Punak)、ケンパス(Kempas)、バラン(Balan)、ビンタングル(Bintangur)、ピサンピサン(Pisang pisang)等が含まれる)のパルプのいくつかを組合わせ混合したものであることを特徴とする請求項5記載の紙の製造方法。
  7. 前記アカシア材パルプは、配合量が20〜30重量%であり、叩解度を400CSF〜500CSFの範囲で叩解することを特徴とする請求項5又は6記載の紙の製造方法。
  8. 前記アカシア材パルプは、配合量が25〜30重量%であり、叩解度を400CSF〜500CSFの範囲で叩解することを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の紙の製造方法。
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