JP3966152B2 - オゾン殺菌方法とその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は工場排出ガスや無菌室や食品加工工場等に用いられる殺菌手段として、オゾンガスを利用する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
医薬品製造室、食品製造加工室などの製造加工室内は、夜間など作業員が存在しない時間帯に、オゾンガス、又は、紫外線照射などにより作業場と作業空間の殺菌・消毒を行ない、作業時間中は微量のオゾンガスによる作業場の衛生管理が行なわれている。
製造施設からの排出物の管理は、HEPA(高性能)フィルターなどを用い、病原微生物などの対象物を物理的に除去することで対処し、製造室外へのバイオハザードを防止している。特に、インフルエンザウイルス等のワクチン製造施設では、生ワクチン・不活化ワクチンなどの大量培養製造において、動物性生物有機物の処理過程で発生する排ガスについて、燃焼することにより感染力を失わせ、環境中に排出する方法が行なわれている。しかし、燃焼法は、対象病原微生物を確実に死滅させることが可能であるが、燃焼による排出物による環境への問題や燃料節約等の問題を有する。
【0003】
また、病院や医薬製造設備においてはホルマリンを用い、食品製造設備においては塩素系の殺菌剤を用いて、積極的な殺菌を実施している。しかし、いずれの殺菌材も人体への悪影響が問題視され、近年では、自然界に存在して殺菌能力の高いオゾンに注目を集めている。オゾンは、自然に消滅して残留しないため、従来の薬品殺菌材と異なり、人体に安全であり、衛生的に殺菌・洗浄を行なうことが可能であるがその反面、殺菌効力の持続性においての欠点があった。
オゾンを殺菌に利用する従来例として、ガスとして直接使用する場合と、オゾンを水に溶解してオゾン水として利用する場合とがある。オゾンガスの場合には、部屋等の三次元空間を効率良く殺菌が行なえる利点を有しているが、殺菌効果を向上させるためには、雰囲気の湿度を90%程度まで高くすることが望ましい(例えば、特許文献1参照)。また、オゾン水の場合は、オゾンガスのような高濃度を得ることは困難であり、数ppm程度の溶存オゾン濃度を有するオゾン水として使用することになるが、表面に対する殺菌効果と共に、洗浄効果が得られる利点を有している。
【0004】
殺菌を目的とした従来例として、pHを酸性に調整した次亜塩素酸ナトリウムからなる殺菌水にオゾンガスを溶解させた、オゾン含有殺菌水がある。pHが酸性になると、アルカリ性の時と比べて、オゾン溶液混合時のオゾン消費を少なくできるため、初期溶存オゾン濃度の高いオゾン水を生成でき、オゾン自己分解速度が遅くなるため、高い溶存オゾン濃度のオゾン水を長時間維持できる(例えば、特許文献2参照)。
また、水電解法で生成したオゾン水とpH9〜11のアルカリ水を混合してなる高酸化機能水を生成することで、オゾン水中のオゾンの分解を促進させフリーラジカル濃度を高めてオゾン水の酸化能を高める方法があり、オゾン水とアルカリ水を噴霧ノズルの直前で合流するか、被処理体表面へオゾン水噴霧後にアルカリ水を噴霧する殺菌、洗浄、脱臭、脱色、分解のいずれかに適用する方法がある(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
食品の殺菌処理及び鮮度保持を目的として、酸性水やオゾン水を冷蔵庫内に噴霧する方法がある(例えば、特許文献4参照)。
さらに、食品分野での例として、穀類をアルカリ水で洗浄後にアルカリ水を排出した後、オゾン水による洗浄を行なうため、アルカリ水洗浄で穀類の酸化劣化を抑えながら穀類に含まれる余分な有機物を除去できるため食味低下を低減でき、さらにオゾン水洗浄をアルカリ性下で行なうことでオゾンが分解し易く、活性種が発生し易い条件でオゾン洗浄を行い、殺菌効果も得られる方法がある(例えば、特許文献5参照)。
【0006】
オゾンは、殺菌のみならず、洗浄への応用例もある。図4に、酸性オゾン水及びアルカリオゾン水による電子材料基板洗浄工程を示した。本従来例においては、オゾンガス製造器5から発生するオゾン含有ガスと純水をガス溶解器40に供給し、オゾン水が製造されてオゾン水供給配管41に送られる。オゾン水供給配管41には、酸性水注入部42とアルカリ水注入部43が設けられていて、酸性水注入部42には、酸性水生成部8から送水ポンプ9により酸性水が供給され、アルカリ水注入部43には、アルカリ水生成部12から送水ポンプ9によりアルカリ水が供給される構成となっている。酸性水またはアルカリ水が注入されたオゾン水は、酸性オゾン水またはアルカリオゾン水となって洗浄ノズル44に送られ、洗浄ノズル44から噴射された洗浄液により被洗浄物45の洗浄を行なう(例えば、特許文献6参照)。
【0007】
図4に示す従来例によれば、被洗浄物45がシリコンウエハーである場合等に利用でき、酸性オゾン水洗浄工程、アルカリオゾン水洗浄工程および無薬液注入オゾン水洗浄工程により、有機物、微粒子とともに金属汚染物の中で特に除去し難いとされる貴金属を効率良くすることができる。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−80052号公報 (第2−3頁、第1図)
【特許文献2】
特開平11−285524号公報 (第2−3頁、第1、4図)
【特許文献3】
特開2000−288546号公報 (第2−4頁、第2図)
【特許文献4】
特開2000−220949号公報 (第2−4頁、第1、3図)
【特許文献5】
特開2000−189076号公報 (第2−4頁、第1−2図)
【特許文献6】
特開2002−1243号公報 (第2−3頁、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来における製造施設からの排出ガスの殺菌手段としては、燃焼法により対象病原微生物を確実に死滅させることが可能ではあるが、燃焼による排出物による環境への問題や燃料節約等の問題を有する。
また、病院や医薬製造設備、食品加工製造設備等の衛生管理としての行なわれているオゾンガス殺菌・消毒は、殺菌効果を上げるために殺菌空間内を、加湿手段等を用いて湿度90%程度の高湿度環境としていたが、空間内の加湿は、空間内の壁や隅などに、比較的オゾンに強く高湿度を好むカビなどの真菌類の発生を認めることがあり、衛生管理上問題となる。
【0010】
さらに、酸性水やアルカリ水にオゾンを加え、酸性オゾン水やアルカリオゾン水を生成して、殺菌洗浄用途に利用する場合、オゾンの自己分解による殺菌効果の消失が問題となる。特にアルカリオゾン水は、オゾンの自己分解速度が非常に早く、短時間でオゾンの殺菌効果を失うこととなる。また、酸性オゾン水は、オゾンの自己分解速度を遅くする効果があるが、オゾンの自己分解が起こることには変わりは無いため、酸性オゾン水やアルカリオゾン水を生成してから、被殺菌対象に到達するまでの経過時間により、殺菌効果が低下することになる。
オゾン水と、酸性水またはアルカリ水を、噴霧ノズルで被殺菌対象に接触させる直前で混合する方法もあるが、中性付近で生成されたオゾン水では、酸性オゾン水よりオゾンの自己分解速度は速いことになるため、上記と同様の課題を有しており、さらに、酸性水またはアルカリ水の持つpHが、混合後にはオゾン水のpHの影響により、中性に近い側へシフトすることになるため、酸性オゾン水やアルカリオゾン水を用いる特別な効果を失わせる方向での生成工程となる。
【0011】
この発明の目的は、被殺菌対象に応じ、オゾンの殺菌効力を十分に得るためのオゾン殺菌方法とその装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、被殺菌対象空間または被殺菌対象物をオゾンガスにより殺菌するオゾン殺菌方法において、 前記被殺菌対象空間または前記被殺菌対象物に接触するように、オゾンガスを充満あるいは流通させ、オゾンガスが存在する時に酸性水とアルカリ水のうちいずれか一方または両方を交互に噴霧し、オゾンガスを加湿してオゾン含有酸性水あるいはオゾン含有アルカリ水として、前記被殺菌対象空間または前記被殺菌対象物に接触させることにする。
【0013】
この際に、前記噴霧した前記酸性水または前記アルカリ水を貯留し、前記貯留した前記酸性水または前記アルカリ水にオゾンガスを曝気することにする。
【0014】
また、衛生環境維持を有する対象物の製造を伴う空間であって、床や壁や製造装置の表面を、オゾンを用いて殺菌するオゾン殺菌方法において、前記床、壁、製造装置の表面に、前記酸性水または前記アルカリ水のいずれか一方または両方を交互に噴霧して湿潤状態とし、次いで前記空間を前記オゾンガスを充満または流通させることにする。
また、オゾンガス発生手段と、前記オゾンガス発生手段からオゾンガスを噴出するオゾンガス噴出手段と、酸性水とアルカリ水のうちいずれか一方または両方であるpH調整水を生成させるpH調整水生成器と、前記pH調整水を噴霧する噴霧ノズルとを有し、空間内の対象物の殺菌と洗浄を行なうオゾン殺菌装置において、前記オゾンガスが充満するかあるいは流通する空間内に、殺菌洗浄対象物を位置させ、前記酸性水と前記アルカリ水のうちいずれか一方または両方を交互に、噴霧する前記噴霧ノズルを、前記オゾンガスが流通しかつ殺菌洗浄対象物が位置する部位に前記酸性水または前記アルカリ水で構成される霧が到達するように位置させ、前記オゾンガスが存在する時に前記酸性水または前記アルカリ水で構成される前記霧を噴霧する構成であることとする。
この際に、前記酸性水または前記アルカリ水の前記噴霧した後に集水して貯留する貯留槽と、前記貯留槽内をオゾンガスで曝気するオゾン散気管とを有する構成とする。
【0015】
また、衛生環境維持を有する対象物の製造を伴う空間であって、天井に前記噴霧ノズルを配置し、前記酸性水と前記アルカリ水のいずれか一方または両方を順番に切り替えて噴霧する構成で、前記オゾンガス噴出手段で前記オゾンガスを充満あるいは流通して、前記噴霧した前記酸性水または前記アルカリ水と、前記オゾンガスとが接触する構成とする。さらに、搬送用コンベアと、前記コンベアが内部を通過し前記コンベアを通過させるための搬入口と搬出口とを有する容器と、前記容器への前記オゾンガス注入手段と、前記酸性水と前記アルカリ水とを噴霧する前記噴霧ノズルを有し、被殺菌洗浄物が前記コンベアで前記容器内に搬入され、前記容器内は前記オゾンガスで充満され、同時に前記酸性水と前記アルカリ水とを順次に噴霧する構成とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る製造施設排出物処理装置構成である。本構成は、オゾンガスに酸性水またはアルカリ水を噴霧して接触させる殺菌方法を、微生物や細菌を扱う製造施設からの排出物処理へ応用した例である。すなわち、排出ガスの殺菌・消毒は、例えば医療用廃棄物処理装置1から発生する病原体含有の被処理ガス2を、殺菌・消毒処理筒3に接続し、殺菌・消毒処理塔3の下部に設けられた被処理ガス入り口4より、殺菌処理を有する被処理ガス2を送り込む。被処理ガス2は、殺菌・消毒処理塔3の上昇気流に乗って上方へ移動する。
【0017】
この間、オゾンガス製造器5より生成されたオゾンガス6は、殺菌・消毒処理塔3底部に流入してオゾンガス噴出口7より噴射され、被処理ガス2と混合しながらオゾンガス6による殺菌が進行されつつ殺菌・消毒処理塔3内を上昇する。さらにその過程において、酸性水生成器8より生成された酸性水が、送水ポンプ9aにより酸性水噴出口10から霧状酸性水11として噴出し、オゾンガス6と混合された被処理ガス2と接触する。このため、オゾンガス6は、霧状酸性水11により加湿状態となり殺菌効果が向上すると同時に、オゾンガス6が酸性水の水滴に取り込まれ、オゾンの自己分解速度を遅くするため、長時間オゾンに接触することで死滅する細菌類への殺菌が行なわれる。
【0018】
また、アルカリ水生成器12で生成したアルカリ水は、送水ポンプ9bによりアルカリ水噴出口13から霧状アルカリ水14を殺菌・消毒処理塔3内に噴出する。この場合、オゾンガス6は、霧状アルカリ水14により加湿状態となり殺菌効果が向上すると同時に、アルカリ性の水滴に取り込まれオゾンガスは、急速に自己分解が促進され、多量のOHラジカルが生成されることで、瞬時に高い殺菌効果を発揮する。
以上の工程により、被処理ガス2は、殺菌された安全性を有する殺菌済排出ガス15となり、殺菌・消毒処理塔3上部から排気される。
【0019】
本発明の別の実施例に係る製造施設排出物処理装置構成を図2に示す。図1との相違点は、殺菌・消毒処理塔3を、オゾンガス殺菌処理塔3aと酸性霧添加塔3bとアルカリ霧添加塔3cに分離し、被処理ガス2を移行経路16、17により、順次殺菌処理工程へ流し出している。
また、酸性霧添加塔3bの下部には、酸性水貯留槽18が設けられ、酸性霧添加塔3b内部で噴霧された霧状酸性水11を回収し、酸性水循環配管19を通して、酸性水生成器8に戻し、再利用する構成としている。この時、酸性水貯留槽18内には、オゾンガスを曝気するための散気管20aが設けられており、被処理ガス2に含まれる細菌含有の塵や細菌自身が霧状酸性水11の洗い流し効果で落下し、酸性水貯留槽18内の酸性水に含まれた死滅していない細菌を、オゾンガスまたは酸性水がオゾン水となることで、完全に死滅させる構成とした。さらに、酸性水貯留槽18内の酸性水でオゾン水として吸収されなかったオゾンガス6aは、酸性霧添加塔3b内での追加供給されるオゾンガス6になり、被処理ガス2の殺菌に有効に使用される。
【0020】
また、アルカリ霧添加塔3cの下部にも同様に、アルカリ水貯留槽21が設けられ、アルカリ霧添加塔3c内部で噴霧された霧状アルカリ水14を回収し、アルカリ水循環配管22を通して、アルカリ水生成器12に戻し、再利用する構成としている。この時、アルカリ水貯留槽21内にも、オゾンガスを曝気するための散気管20bが設けられており、上記の酸性霧添加塔3bで説明した内容と同様のアルカリ水中に殺菌とオゾンガス6bの追加供給による処理効果が得られる。以上述べた本実施例においては、殺菌・消毒処理塔3を上方に向けて配置したが、配置方法は限定されるものでは無いことは言うまでもない。
【0021】
また、殺菌・消毒処理塔3内で噴出するpH調整水は、酸性水のみでもアルカリ水のみでも両方でも良い。さらに、酸性水とアルカリ水とは、同時に噴出位置を変えて噴霧しても良く、切り替えて完結的に交互に噴出しても良い。
好ましくは、図2の通り、殺菌時間を要する菌に対応するオゾンガス6含有霧状酸性水11と被処理ガス2との接触を行い、次いでアルカリ水を噴霧する工程に移行することで、オゾンガス6含有霧状酸性水11との接触で弱った菌が、次工程まで死滅しなかったとしても、OHラジカルを多量に瞬時に発生し、高い殺菌効果が得られるオゾンガス6含有霧状アルカリ水14との接触で、オゾンとの長時間接触を要するカビ等の真菌類も完全に死滅させることが可能となる。
【0022】
オゾンガス6の途中補充については、各所より別途噴出口を設ける構成としても良い。
本発明に係る別の一実施例としての食関連物製造設備構成斜視図を図3に示す。本図においては、調理・加工室25と食材が保管されている保管棚26を有する食材の保管室27により構成されている。調理・加工室25及保管室27で構成される空間には、オゾンガス製造装置5で生成されたオゾンガス含有気体を、オゾンガス配管28aを通して、オゾンガス送風装置29から吐出して、オゾンガス含有気体を充満させる。オゾンガス含有気体は、殺菌効果を保つため、定期的に新鮮はオゾンガスを補充注入する必要があるため、オゾンガス含有気体注入口であるオゾンガス送風装置29配置された壁の対向側に排気口30を配置して、空間内を流通したオゾン含有空気を室外へ排気する。この排気されたオゾン含有空気は、廃オゾンガス分解装置31によってオゾンを分解または吸収して、毒性の無い空気を排出する。
【0023】
本設備には、酸性水とアルカリ水を製造するための、酸性水生成器8とアルカリ水生成器12が設置されており、酸性水やアルカリ水であるpH調整水を流す配管を室内に巡らせる。調理・加工室25内には、酸性水やアルカリ水を殺菌洗浄したい箇所に自在に噴霧することが可能な、ホース付きpH調整水噴霧器32があり、pH調整水切り替え器33により、酸性水とアルカリ水を自由に選択できる構成としている。
特に、天井に張巡らされたpH調整水ルーム噴霧ライン34に接続されたpH調整水天井噴霧部35を配置し、天井から酸性水やアルカリ水を霧状に噴霧する。pH調整水天井噴霧部35は、酸性水が流れるpH調整水ルーム噴霧ライン34に接続されて酸性水を噴霧するものと、アルカリ水が流れるpH調整水ルーム噴霧ライン34に接続されてアルカリ水を噴霧するものとがあり、いずれか一方の噴霧で部屋全体に霧が掛かるように、pH調整水天井噴霧部35を酸性水用とアルカリ水用を並べるか交互配置する構成とすることが望ましい。または、pH調整水ルーム噴霧ライン34とpH調整水天井噴霧部35は、酸性水用とアルカリ水用に区別せずに共有し、pH調整水切り替え器33を用いて切り替えても良い。
【0024】
調理・加工室25の床は、排水口36があり、排水口36が一番低くなるような緩やかな傾斜になっている。室内で噴霧された酸性水やアルカリ水の廃液は、床から排水口36に流れ込み、図示しない中和槽を通じて排水される。
以上の部屋全体の殺菌洗浄については、スポット的にホース付きpH調整水噴霧器32を用いて酸性水やアルカリ水を噴霧する作業以外は、完全防備をする必要となるため、無人状態で行なうことが望ましい。すなわち、自動化設備や作業者の存在しない時間帯に行なうこととなる。
また、加工食材等の直接殺菌には、ベルトコンベア等の商品搬送装置37の途中に商品殺菌容器38を配置して、商品殺菌容器38内に、別のオゾンガス配管28bを接続してオゾンガス含有気体を注入し、pH調整水噴霧ノズル39を配置して酸性水やアルカリ水を噴霧する。酸性水とアルカリ水を噴霧する場所は、商品殺菌容器38内を2部屋とし、別々に噴霧すると良い。商品殺菌容器38を使用し、容器外にオゾン含有空気が人体に影響を及ぼすオゾン濃度0.1ppm以下の漏れ出し量に抑えることで、作業者が調理・加工室25内で食材の加工を行なう前に商品を直前で殺菌処理でき、衛生的である。
【0025】
【発明の効果】
本発明の殺菌剤は、オゾン水では無く、オゾンガスとすることで、散布空間の全体を殺菌することが可能である。また、オゾン水は、通常容易に得られる溶存オゾン濃度が数ppmと低いのに対し、オゾンガスは数百ppmを容易に得ることができ、その用途に応じて濃度を自由に選択することが可能である。
また、オゾンガスに合わせて、酸性水を霧状に噴霧することで、オゾンの自己分解速度を遅くし、殺菌対象物に対するオゾンの接触時間を延ばすことで、カビ等の真菌類の殺菌に効果を発揮する。さらにオゾン殺菌の欠点である殺菌効力の持続性を補うことも可能である。
【0026】
さらに、オゾンガスに合わせて、アルカリ水を霧状に噴霧することで、殺菌のための酸化反応起こすOHラジカルを多量に発生させ、瞬時に高い殺菌効果が得られる。
オゾン水とpH調整液とを混合すると、オゾン水中の溶存オゾン濃度が薄まることで低下を起こし、pH調整液にオゾンガスを曝気して酸性オゾン水かアルカリオゾン水を生成すると、殺菌対象物に接触するまでの溶液移動間でオゾン濃度が減少してしまい、殺菌に寄与するオゾンが僅かとなることに対して、ガス状オゾンと、用途により選択したpHの液体を用いることで、両者の混合により殺菌に寄与しないオゾン濃度減少抑え、殺菌への寄与度を最大限に上げることが可能となる。
【0027】
オゾンガスをドライな空間で使用すると、高い殺菌効果が期待できないため、高い殺菌効果を得るための条件である高湿度化作用も合わせて持ち合わせている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る製造施設排出物処理装置構成図
【図2】本発明の別の実施例に係る製造施設排出物処理装置構成図
【図3】本発明に係る別の一実施例としての食関連物製造設備構成斜視図
【図4】従来のオゾン水に酸性水やアルカリ水を添加した洗浄装置構成図
【符号の説明】
3: 殺菌・消毒処理塔
5: オゾンガス製造器
6: オゾンガス
8: 酸性水生成器
11: 霧状酸性水
12: アルカリ水生成器
14: 霧状アルカリ水
25: 調理・加工室
28a、b:オゾンガス配管
32: pH調整水噴霧器
34: pH調整水ルーム噴霧ライン
35: pH調整水天井噴霧部
38: 商品殺菌容器
39: pH調整水噴霧ノズル
Claims (7)
- 被殺菌対象空間または被殺菌対象物をオゾンガスにより殺菌するオゾン殺菌方法において、
前記被殺菌対象空間または前記被殺菌対象物に接触するように、オゾンガスを充満あるいは流通させ、オゾンガスが存在する時に酸性水とアルカリ水のうちいずれか一方または両方を交互に噴霧し、オゾンガスを加湿してオゾン含有酸性水あるいはオゾン含有アルカリ水として、前記被殺菌対象空間または前記被殺菌対象物に接触させることを特徴とするオゾン殺菌方法。 - 前記噴霧した前記酸性水または前記アルカリ水を貯留し、前記貯留した前記酸性水または前記アルカリ水にオゾンガスを曝気することを特徴とする請求項1に記載のオゾン殺菌方法。
- 衛生環境維持を有する対象物の製造を伴う空間であって、床や壁や製造装置の表面を、オゾンを用いて殺菌するオゾン殺菌方法において、
前記床、壁、製造装置の表面に、前記酸性水または前記アルカリ水のいずれか一方または両方を交互に噴霧して湿潤状態とし、次いで前記空間を前記オゾンガスを充満または流通させることを特徴とするオゾン殺菌方法。 - オゾンガス発生手段と、前記オゾンガス発生手段からオゾンガスを噴出するオゾンガス噴出手段と、酸性水とアルカリ水のうちいずれか一方または両方であるp H 調整水を生成させるpH調整水生成器と、前記pH調整水を噴霧する噴霧ノズルとを有し、空間内の対象物の殺菌と洗浄を行なうオゾン殺菌装置において、
前記オゾンガスが充満するかあるいは流通する空間内に、殺菌洗浄対象物を位置させ、前記酸性水と前記アルカリ水のうちいずれか一方または両方を交互に、噴霧する前記噴霧ノズルを、前記オゾンガスが流通しかつ殺菌洗浄対象物が位置する部位に前記酸性水または前記アルカリ水で構成される霧が到達するように位置させ、前記オゾンガスが存在する時に前記酸性水または前記アルカリ水で構成される前記霧を噴霧する構成であることを特徴とするオゾン殺菌装置。 - 前記酸性水または前記アルカリ水の前記噴霧した後に集水して貯留する貯留槽と、前記貯留槽内をオゾンガスで曝気するオゾン散気管とを有することを特徴とする請求項4に記載のオゾン殺菌装置。
- 衛生環境維持を有する対象物の製造を伴う空間であって、天井に前記噴霧ノズルを配置し、前記酸性水と前記アルカリ水のいずれか一方または両方を順番に切り替えて噴霧する構成で、前記オゾンガス噴出手段で前記オゾンガスを充満あるいは流通して、前記噴霧した前記酸性水または前記アルカリ水と、前記オゾンガスとが接触する構成とすることを特徴とする請求項4に記載オゾン殺菌装置。
- 搬送用コンベアと、前記コンベアが内部を通過し前記コンベアを通過させるための搬入口と搬出口とを有する容器と、前記容器への前記オゾンガス注入手段と、前記酸性水と前記アルカリ水とを噴霧する前記噴霧ノズルを有し、被殺菌洗浄物が前記コンベアで前記容器内に搬入され、前記容器内は前記オゾンガスで充満され、同時に前記酸性水と前記アルカリ水とを順次に噴霧する構成としたことを特徴とする請求項6に記載のオゾン殺菌装置。
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