JP3966031B2 - 多機能給湯装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、異なる温度の温水を同時に供給可能な多機能給湯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開2000−111154号公報、特開2000−186856号公報には、温水の加熱源としてヒートポンプユニットと燃焼ユニットとを備え、ヒートポンプによる加熱能力の不足分を燃焼ユニットで補うものが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術は、ヒートポンプユニットで作られた温水と燃焼ユニットで作られた温水とを混合して、温度設定スイッチにより設定された温度の温水(湯)が最終の給湯栓で得られるようにしているので、例えば、床暖房に必要な60°Cの温水と、浴室乾燥機等で必要な80°Cの温水を同時に供給するというニーズを満足できない。
【0004】
本発明は上記点に鑑みて、異なる温度の温水を同時に供給することが可能な多機能給湯装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、給水配管(21)からの水が底部に給水される貯湯タンク(12)と、貯湯タンク(12)内に蓄えられる温水を加熱するとともに、その加熱した温水を前記貯湯タンク(12)内の上部に流入させるヒートポ
ンプユニット(11)と、ヒートポンプユニット(11)と貯湯タンク(12)との間で温水を循環させる第1ポンプ(16)と、貯湯タンク(12)の外部に設置されて、貯湯タンク(12)内上部に蓄えられる温水が供給され、この温水と熱交換するブライン加熱用熱交換器(40)と、貯湯タンク(12)とブライン加熱用熱交換器(40)との間で温水を循環させる第2ポンプ(58)と、貯湯タンク(12)内上部に蓄えられる温水を第1機器(37、39)に供給する温水供給経路(22)と、ブライン加熱用熱交換器(40)で加熱されたブラインを第2機器(49、52)に供給するブライン供給経路(41)とを備えることを特徴とする。
【0006】
これにより、第1機器(37、39)には貯湯タンク(12)内に蓄えられる温水に基づいて所望温度の温水を供給することができ、また、第2機器(49、52)に対しては、ブライン加熱用熱交換器(40)で加熱されたブライン、すなわち、貯湯タンク(12)内に蓄えられる温水よりも所定温度低いブラインを供給できる。
【0007】
しかも、第1機器(37、39)および第2機器(49、52)の両方に、1つの貯湯タンク(12)を熱源として温水またはブラインを供給できできるので、全体システム構成を簡素化できる。
さらに、ヒートポンプユニット(11)側とブライン加熱用熱交換器(40)側で、温水循環用のポンプ(16)(58)をそれぞれ独立に設けているから、ヒートポンプユニット(11)側とブライン加熱用熱交換器(40)側でそれぞれ専用の経路にて必要な量だけ温水を循環させることができる。
【0008】
なお、ブラインとは第2機器(49、52)で放熱を行う熱媒体であり、具体的には水道水や、不凍液を混合した水道水等を使用できる。
【0009】
請求項2に記載の発明のように、請求項1において、第2ポンプは、具体的には回転数が調整可能に構成された電動ポンプ(58)を用いればよい。
これによれば、電動ポンプ(58)の回転数調整によってブライン流量を調整できるので、第2機器(49、52)側の放熱量制御を独立に行うことができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、給水配管(21)からの水が底部に給水される貯湯タンク(12)と、貯湯タンク(12)内に蓄えられる温水を加熱するとともに、その加熱した温水を貯湯タンク(12)内の上部に流入させるヒートポンプユニット(11)と、温水加熱室(30)と、温水加熱室(30)を加熱する燃焼装置(25)と、温水加熱室(30)内に設けられ、温水加熱室(30)内の温水と熱交換するブライン加熱用熱交換器(40)と、貯湯タンク(12)内上部に蓄えられる温水を第1機器(37、39)に供給する温水供給経路(22)と、ブライン加熱用熱交換器(40)で加熱されたブラインを第2機器(49、52)に供給するブライン供給経路(41)とを備え、
温水加熱室(30)の上部は貯湯タンク(12)内の上部に連通し、温水加熱室(30)の下部は貯湯タンク(12)内上部との連通位置よりも下方位置にて貯湯タンク(12)内に連通することを特徴とする。
【0011】
このように、燃焼式加熱装置の温水加熱室(30)内にブライン加熱用熱交換器(40)を設けることにより、燃焼作動にて温度上昇した温水加熱室(30)内温水の熱をブライン加熱用熱交換器(40)内のブラインに直接伝熱できる。
また、請求項3に記載の発明では、水の加熱装置として、ヒートポンプユニット(11)と燃焼装置(25)とを具備しているから、ヒートポンプユニット(11)の加熱作用に対して燃焼装置(25)の加熱作用を補助的に組み合わせることにより、貯湯タンク(12)内に所定温度の温水を蓄えることができる。また、ヒートポンプユニット(11)と燃焼装置(25)の同時運転をすれば、貯湯時間を短縮できる。
また、温水加熱室(30)の上下2箇所を貯湯タンク(12)内に連通し、燃焼装置(30)の燃焼作動により加熱された温水加熱室(30)の高温水を自然対流にて貯湯タンク(12)内の上部に移行できるから、貯湯タンク(12)内の温水の温度分布を乱すことなく、貯湯タンク(12)内の上部に温水加熱室(30)の高温水を効果的に溜めることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、請求項3において、ブライン加熱用熱交換器(40)で加熱されたブラインの流量を調整するブライン流量調整手段(47、53)を有することを特徴とする
【0013】
これにより、ブライン流量調整手段(47、53)によってブライン流量を調整できるので、第2機器(49、52)側の放熱量制御を独立に行うことができる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つにおいて、ブライン供給経路はブラインが循環する閉回路(41)であり、第2機器(49、52)は複数であり、複数の第2機器(49、52)の1つ(49)は、ブライン加熱用熱交換器(40)で加熱されたブラインが循環するようになっており、また、複数の機器(49、52)の他の1つ(52)は、ブライン加熱用熱交換器(40)で加熱される前のブラインが循環するようになっていることを特徴とする。
【0015】
これにより、複数の第2機器(49、52)の1つ(49)にはブライン加熱用熱交換器(40)で加熱された高温のブラインを循環させて、高温のブラインに基づく放熱機能を発揮できる。
【0016】
また、複数の機器(49、52)の他の1つ(52)は、ブライン加熱用熱交換器(40)で加熱される前の低温ブラインが循環するようになっているので、低温ブライン基づく放熱機能を発揮できる。
【0017】
請求項6に記載の発明では、請求項5において、閉回路(41)内にブラインを溜めるブラインタンク(43)を設け、ブラインタンク(43)内に、ブラインと風呂(39)の温水との熱交換を行う風呂追い焚き用の熱交換器(44)を設けることを特徴とする。
【0018】
これにより、ブラインタンク(43)内のブラインの持つ余剰熱量を活用して、風呂の追い焚きを行うことができる。
【0019】
請求項7に記載の発明では、請求項において、ブライン流量調整手段は、ブライン流れの圧損を調整する調整手段(47、53)であることを特徴とする。
【0020】
これにより、調整手段(47、53)によて圧損を調整することにより、閉回路(41)の機器(49、52)へのブライン流量を調整して放熱能力を調整することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つにおいて、ブライン加熱用熱交換器(40)にて熱交換した後の温水の熱を回収する温水熱回収タンク(56)を備え、温水熱回収タンク(56)内の温水を温水供給経路(22)を通して第1機器(37、39)に供給することを特徴とする。
【0022】
これによると、温水熱回収タンク(56)内に、ブライン熱交換後の温水の熱を回収して比較的温度の高い中間温度の温水を蓄えることができる。そして、この中間温度の温水を有効利用して、第1機器(37、39)への温水供給を行うことができる。そのため、貯湯タンク(12)内の温水の利用量を減少でき、加熱装置(11、25、30)の稼働時間を減少できる。
【0023】
請求項9に記載の発明では、請求項8において、温水熱回収タンク(56)内の上部に、ブライン加熱用熱交換器(40)にて熱交換した後の温水が流入し、温水熱回収タンク(56)の底部に給水配管(21、21a、21c)からの水が流入し、温水熱回収タンク(56)内の底部側に溜まる低温の温水を貯湯タンク(12)の底部に戻し、温水熱回収タンク(56)内上部の中間温度の温水を温水供給経路(22)を通して第1機器(37、39)に供給することを特徴とする。
【0024】
これにより、温水熱回収タンク(56)内に、その底部から上部側へと順次温度が上昇する温水の温度勾配が形成され、そして、温水熱回収タンク(56)内上部の中間温度の温水を第1機器(37、39)側へ供給するから、温水熱回収タンク(56)内の中間温度の温水を第1機器(37、39)側へ効率よく供給できる。
【0025】
また、温水熱回収タンク(56)内の低温の温水を貯湯タンク(12)の底部に戻すことにより、貯湯タンク(12)とブライン加熱用熱交換器(40)と温水熱回収タンク(56)とを含む回路で温水を循環させ、ブラインを加熱することができる。
【0026】
請求項10に記載の発明では、請求項9において、温水熱回収タンク(56)の底部を貯湯タンク(12)の底部に連通させる第1戻し経路(57,57a)と、温水熱回収タンク(56)の底部を貯湯タンク(12)の上下方向の中間部位に連通させる第2戻し経路(57,57b)と、第1戻し経路(57,57a)と第2戻し経路(57,57b)を切り替える切替手段(64)とを備え、
ブライン加熱用熱交換器(40)にて熱交換した後の温水が温水熱回収タンク(56)内に充満するまでは、切替手段(64)により第1戻し経路(57,57a)を開いて第2戻し経路(57,57b)を閉じることにより、温水熱回収タンク(56)内の底部側に溜まる低温の温水を貯湯タンク(12)の底部に戻し、
ブライン加熱用熱交換器(40)にて熱交換した後の温水が温水熱回収タンク(56)内に充満すると、切替手段(64)により第2戻し経路(57,57b)を開いて第1戻し経路(57,57a)を閉じることにより、温水熱回収タンク(56)内の温水を貯湯タンク(12)の上下方向の中間部位に戻すことを特徴とする。
【0027】
これにより、ブライン加熱用熱交換器通過後の中間温度の温水が温水熱回収タンク(56)内に充満すると、温水熱回収タンク(56)内の中間温度の温水を第2戻し経路(57,57b)から貯湯タンク(12)の上下方向の中間部位に戻すことができる。
【0028】
ここで、温水熱回収タンク(56)内の中間温度の温水をもし貯湯タンク(12)の底部に戻すと、貯湯タンク(12)内底部の低温水と中間温度の温水とが撹拌され、貯湯タンク(12)内の温水の温度勾配が崩れて、貯湯タンク(12)内の温水の有効利用が阻害されるが、請求項10によると、温水熱回収タンク(56)内の中間温度の温水を貯湯タンク(12)の上下方向の中間部位に戻すから、貯湯タンク(12)内底部の低温水と中間温度の温水との撹拌を抑制して、貯湯タンク(12)内の温水を有効利用できる。
【0029】
請求項11に記載の発明では、請求項10において、貯湯タンク(12)の上下方向の中間部位は、貯湯タンク(12)において温水熱回収タンク(56)の容量に相当する高さ近傍の位置であることを特徴とする。
【0030】
ところで、温水熱回収タンク(56)内がブライン用熱交換器(40)通過後の中間温度の温水で充満するということは、貯湯タンク(12)から温水熱回収タンク(56)の容量相当分の高温温水が流出し、その代わりに貯湯タンク(12)の下部に温水熱回収タンク(56)の容量相当分の低温水が新たに流入することになる。
【0031】
従って、請求項11のように、温水熱回収タンク(56)内が中間温度の温水で充満した時点で貯湯タンク(12)への温水戻り位置を、温水熱回収タンク(56)の容量相当分の中間部位に切り替えることにより、貯湯タンク(12)内の高温温水と低温水との境界付近に温水熱回収タンク(56)からの中間温度の温水を流入させることができる。このため、中間温度の温水と低温水との撹拌をより確実に防止できる。
【0032】
請求項12に記載の発明では、請求項9ないし11のいずれか1つにおいて、温水熱回収タンク(56)からの温水と、給水配管(21、21a、21c)からの水とを混合して温度調整された温水を作る温度調整手段(70)を備え、温度調整手段(70)通過後の温水を、温水供給経路(22)を通して第1機器(37、39)に供給することを特徴とする。
【0033】
これにより、使用者の設定する給湯目標温度が温水熱回収タンク(56)内の中間温度の温水より低い場合でも、温度調整手段(70)にて中間温度の温水と給水配管(21、21a、21c)からの低温の水とを混合して、所望の給湯温度の温水を作り出すことができる。
【0034】
請求項13に記載の発明のように、請求項8において、具体的には、ブライン加熱用熱交換器(40)にて熱交換した後の温水と、給水配管(21、21a、21c)からの水との間で熱交換をするように温水熱回収タンク(56)を構成してもよい。
【0035】
請求項14に記載の発明では、請求項において温水熱回収タンク(56)内の底部側に溜まる低温の温水をヒートポンプユニット(11)の低圧側回路部に導き、ヒートポンプユニット(11)の低圧側冷媒が低温の温水から吸熱するようにし、低圧側冷媒により吸熱された後の低温の温水を貯湯タンク(12)の底部に戻し、貯湯タンク(12)の底部の水を電気式ヒートポンプユニット(11)の高圧側熱交換器(13)にて加熱することを特徴とする。
【0036】
これによると、温水熱回収タンク(56)底部の低温の温水を貯湯タンク(12)に直接、戻さずに、ヒートポンプユニット(11)の低圧側冷媒の吸熱作用によって温水温度を更に低下させてから、温水を貯湯タンク(12)の底部に戻すことができる。
【0037】
この結果、貯湯タンク(12)の底部から高圧側熱交換器(13)に循環する温水温度も低くなるので、高圧側熱交換器(13)における高圧冷媒と水との温度差を拡大できる。そのため、サイクル高圧を上昇させることなく、高圧側熱交換器(13)での熱交換量を増大できる。これにより、ヒートポンプユニット(11)のCOPを向上できる。
【0038】
請求項15に記載の発明では、請求項12において、第1機器(37、39)への温水供給開始時における温度調整手段(70)の調整位置を、温水熱回収タンク(56)からの温水よりも給水配管(21、21a、21c)からの水の量が多くなる位置に設定し、その後に、温度調整手段(70)の出口温水温度が目標温度となるように温度調整手段(70)を調整するフィードバック制御を開始することを特徴とする。
【0039】
これによると、温度調整手段(70)のフィードバック制御において、その制御開始時点(すなわち、温水供給開始時点)では、温度調整手段(70)が温水熱回収タンク(56)からの温水よりも給水配管からの水の量を多くした状態にて待機しているので、温度調整手段(70)のフィードバック制御は必ず、この給水配管からの水の量を多くした状態から開始することになる。従って、温度調整手段(70)の出口温水温度は必ず、給水温度に近い低温状態から始まり、そして、フィードバック制御により上記目標温度に向かって徐々に上昇する。
【0040】
このため、温水供給開始時に温度調整手段(70)の出口温水温度が上記目標温度より高温側にオーバーシュートするといった不具合は発生しない。
【0041】
請求項16に記載の発明では、請求項15において、温水供給経路(22)に、温度調整手段(70)により温度調整された温水と貯湯タンク(12)からの温水とを混合して第1機器(37、39)への温水温度を調整する主温度調整手段(23)を設け、温度調整手段(70)の目標温度を、主温度調整手段(23)の目標温度以下の温度とすることを特徴とする。
【0042】
これにより、主温度調整手段(23)の目標温度、すなわち、使用者の設定する給湯目標温度が温水熱回収タンク(56)内の中間温度の温水より低い場合でも、温度調整手段(70)にて中間温度の温水と給水配管からの低温の給水とを混合して、給湯目標温度の温水を作り出すことができる。
【0043】
請求項17に記載の発明のように、請求項15または16において、第1機器(37、39)への温水供給開始時における温度調整手段(70)の調整位置を、給水配管(21、21a、21c)からの水の量を100%とする位置に設定すれば、温度調整手段(70)の出口温水温度は必ず、給水温度から始まるので、この出口温水温度の高温側へのオーバーシュートをより確実に防止できる。
【0044】
請求項18に記載の発明のように、請求項8ないし17のいずれか1つにおいて、第2機器として床暖房装置(52)を使用すれば、ブラインを熱源として床暖房の機能を発揮できるとともに、ブライン熱交換後の温水を有効利用して、第1機器(37、39)への温水供給を行うことができる。
【0045】
請求項19に記載の発明のように、請求項8ないし17のいずれか1つにおいて、第1機器として風呂(39)を備え、風呂(39)の温水をブライン加熱用熱交換器(40)に循環することにより、前記風呂(39)を第2機器としても使用できるようにしてもよい。
【0046】
これにより、ブライン加熱用熱交換器(40)を風呂(39)の追い焚きに使用できる。
【0047】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0048】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本実施形態は、本発明による多機能ハイブリッド給湯装置を一般家庭用の給湯装置に適用したものであって、図1は多機能ハイブリッド給湯装置の全体構成図であり、給湯装置の構成は、貯湯タンクユニット10とヒートポンプユニット11とに大別される。
【0049】
貯湯タンクユニット10は縦長の貯湯タンク12を有し、ヒートポンプユニット11の高圧側熱交換器(放熱器)13で加熱された高温の温水が貯湯タンク12の最上部の給湯口14から貯湯タンク12内に流入する。そして、貯湯タンク12の底部の出口15から温水が電動ポンプ16によりヒートポンプユニット11の高圧側熱交換器13に流入する。
【0050】
なお、ヒートポンプユニット11は電動圧縮機17にて圧縮された高圧冷媒を高圧側熱交換器13に流入させ、ここで、高圧冷媒と温水とを熱交換して温水を加熱し、高圧側熱交換器13を通過した放熱後の高圧冷媒はその後、減圧装置18で低圧状態に減圧される。この低圧冷媒は蒸発器19で大気等から吸熱して蒸発し、その後、電動圧縮機17に吸入され、再度圧縮される。ヒートポンプユニット11は料金の安い夜間電力を利用して主に夜間に稼働される電気式温水器を構成する。
【0051】
貯湯タンク12の底部には、水道水等を給水するための給水入口20が設けてある。この給水入口20に接続される給水配管21の途中から給水配管21aを分岐している。また、貯湯タンク12最上部の給湯口14から高温の温水が流れる給湯配管22と、給水配管21aとを合流させ、その合流部に温度調整弁23を配置している。
【0052】
この温度調整弁23は、貯湯タンク12内に貯湯された高温(60℃〜90℃程度)の温水と、給水配管21aからの低温の水道水との混合比率を調整して給湯温水の温度を調整するものである。本例の温度調整弁23は上記混合比率を調整する弁体をモータ等のアクチュエータにより駆動するようになっており、給湯温水の温度を検出する温度センサ(サーミスタ)24の検出温度と給湯使用者の指示する目標温度とに基づいて弁体位置を自動調整して、給湯温水の温度が給湯使用者の指示する目標温度に維持されようになっている。
【0053】
一方、貯湯タンクユニット10にはガス式の燃焼装置25が備えられている。この燃焼装置25は、ガス供給管26から燃焼室27内にガスを供給し、このガスを点火装置28により点火させ、そして、電動送風機29により燃焼室27内に送風される燃焼空気を供給ガスに混合して強制燃焼を行わせる。
【0054】
ガス式の燃焼装置25の上部に温水加熱室30が隣接して設置してある。この温水加熱室30は、その内部の温水とガス式燃焼装置25の燃焼ガスとを熱交換させて、内部の温水を加熱する熱交換室である。このため、ガス式燃焼装置25の燃焼ガスが温水加熱室30の下側の外表面に沿って流れて温水と十分熱交換した後に、燃焼ガスが燃焼装置25の外部へ排出されるようになっている。
【0055】
なお、ガス供給管26には、ガス供給の遮断作用の安全性を高めるために、第1電磁弁(元ガス電磁弁)31と第2電磁弁32とを直列に設けている。
【0056】
温水加熱室30は温水の温度差による密度差(高温温水の密度<低温温水の密度)を利用した自然対流によって、温水加熱室30と貯湯タンク12との間の温水循環を行うために、貯湯タンク12の下方部と連通する温水入口34を温水加熱室30の下方部に設け、貯湯タンク12の上方部と連通する温水出口35を温水加熱室30の上方部に設けている。
【0057】
また、縦長形状の貯湯タンク12には、その内部の温水温度を検出する温度センサ(サーミスタ)36をタンク上下方向の異なる高さに複数(図示の例では5個)設けてある。このタンク上下方向の複数の温度センサ36の検出信号により、上下方向の温水温度の勾配を判定することができる。そして、この上下方向の温水温度の勾配から、貯湯タンク12内上部に所定温度(例えば60℃)以上の高温温水が必要量あるかどうか、つまり、湯切れ状態の有無を判定できる。
【0058】
そして、貯湯タンク12内に所定温度(例えば60℃)以上の高温温水が必要量ないときは湯切れ状態であると判定して、ガス式燃焼装置25の燃焼作動を始動し、温水加熱室30にて温水を加熱して、湯切れを解消するようになっている。
【0059】
前記した給湯配管22において、温度調整弁23の下流部は2つの配管22a、22bに分岐され、第1配管22aは、台所、洗面台等のように湯使用量が比較的少量の機器37に接続される。第2配管22bは、逆止弁38を介して風呂39に接続される。
【0060】
一方、温水加熱室30内にはブライン加熱用熱交換器40が配置してある。このブライン加熱用熱交換器40は、温水加熱室30内にて上下方向に蛇行する縦長の金属製熱交換チューブを有し、この蛇行状の熱交換チューブ内を流れるブラインと温水加熱室30内の温水との間で熱交換を行って、ブラインを加熱するものである。なお、ブラインは、温水加熱室30内で吸熱し、後述の種々な機器にて放熱する熱媒体であり、具体的には、水道水や、不凍液を混合した水道水等を使用できる。
【0061】
また、ブラインはブライン加熱用熱交換器40を含む閉回路からなるブライン循環回路41を電動ブラインポンプ42により循環するようになっており、このブライン循環回路41に、ブラインの温度上昇に伴う膨張分を吸収可能な容積を持つブラインタンク43が設置されている。
【0062】
ブラインタンク43内には、風呂39の追い焚き用の熱交換器44が配置してある。この追い焚き用の熱交換器44も、ブライン加熱用熱交換器40と同様に蛇行状の金属製熱交換チューブを用いて構成され、風呂39内の温水を追い焚き用熱交換器44にてブラインと熱交換して加熱し、その加熱された温水を電動ポンプ45により風呂39内に再循環するようになっている。
【0063】
なお、追い焚き用熱交換器44の出口側流路には逆止弁46を設けて、第2配管22bからの温水が追い焚き用熱交換器44側へ流入するのを防止する。また、第2配管22bの逆止弁38により追い焚き用熱交換器44の出口側の温水が機器37への供給温水に混入することを防止する。
【0064】
ブライン循環回路41において、ブライン加熱用熱交換器40の出口側流路は2つに分岐され、その一方はブライン流量調整弁47を介してブラインタンク43の第1入口48に接続されている。ブライン流量調整弁47はモータ等のアクチュエータ機構により弁体が駆動されて弁開度(圧損)を調整するものである。
【0065】
また、ブライン加熱用熱交換器40の出口側の他方の分岐流路は温水暖房機(ファンコンベクタ)49a、浴室乾燥機49b等の温水放熱機器49の入口に接続され、この温水放熱機器49の出口はブラインタンク43の第2入口50に接続されている。
【0066】
また、ブライン循環回路41において、ブライン加熱用熱交換器40の入口側流路、換言すると、ブラインタンク43から流出した温度上昇前のブライン(温水)が流れる流路から流路51を分岐して床暖房装置52の入口に接続している。床暖房装置52の出口は温水放熱機器49の出口側流路に合流して、ブラインタンク43の第2入口50に接続されている。
【0067】
なお、温水暖房機49a、浴室乾燥機49bおよび床暖房装置52にはそれぞれ専用の流量調整弁49c、49d、52aが内蔵されており、この流量調整弁49c、49d、52aにより、温水暖房機49a、浴室乾燥機49bおよび床暖房装置52のブライン流量をそれぞれ個別に調整できるようになっている。また、各流量調整弁49c、49d、52aは各機器へのブラインの流れをシャットする止水機能も果たすことができるようになっている。
【0068】
次に、上記構成において作動を説明する。給水配管21により水道水が貯湯タンク12の下部に供給され、貯水される。そして、貯湯タンク12の下部の温水がポンプ16によりヒートポンプユニット11の高圧側熱交換器13に送られ、ここで、サイクル内の高圧側冷媒からの放熱により温水が60〜90°Cに加熱され、貯湯タンク12の上部に還流して貯湯される。
【0069】
貯湯タンク12の上部に貯湯された高温の温水は、給湯配管22の温度調整弁23において、給水配管21aからの低温の水道水と混合されて目標温度の温水となり、その後、台所、洗面台等の機器37あるいは風呂39に供給される。
【0070】
ここで、機器37あるいは風呂39にて温水を一度に多量に使用すると、貯湯タンク12内の所定温度以上の高温水の貯湯量が低下して湯切れをおこすことがある。
【0071】
しかし、本実施形態によると、縦長形状の貯湯タンク12の内部の温水温度を検出する複数の温度センサ36の検出信号により、タンク上下方向の温水温度の勾配を判定し、この上下方向の温水温度の勾配から、貯湯タンク12内上部に所定温度以上の高温温水が必要量あるかどうか判定できる。そして、貯湯タンク12内に所定温度以上の高温温水が必要量だけないときは湯切れ状態であると判定して、ガス式燃焼装置25の燃焼作動を始動して、温水加熱室30内の温水を燃焼作動により加熱し、湯切れを解消する。
【0072】
なお、温水加熱室30内で加熱され、温度上昇した温水は自然対流にて上部の温水出口35から貯湯タンク12の上部に流入する。また、貯湯タンク12の下部の低温の温水が温水入口34から温水加熱室30の下部に流入して、加熱される。ガス式燃焼装置25の作動停止時においても、温水加熱室30内は貯湯タンク12との連通により貯湯タンク12の連通部と同一温度の温水が蓄えられている。
【0073】
従って、ブライン循環回路41においては、ブラインポンプ42によりブラインを温水加熱室30内のブライン加熱用熱交換器40に循環させることにより、温水加熱室30内の温水との熱交換によりブラインを加熱できる。具体的には、温水加熱室30内の温水温度が90°C程度であるときは、ブラインが80°C程度まで加熱される。
【0074】
このとき、温水暖房機49a、浴室乾燥機49b等の温水放熱機器49を使用するために、温水放熱機器49の内蔵の流量調整弁49c、49dが開弁していると、80°C程度の高温のブラインが温水暖房機49a、浴室乾燥機49b等の温水放熱機器49に流入し、ここで、放熱して各機器49a、49bの暖房・乾燥作用を果たす。そして、ブラインは40°C〜70°C程度の温度に低下した後にブラインタンク43に戻る。
【0075】
また、このとき、温水加熱室30内で加熱された高温のブラインの一部は、分岐され、流量調整弁47により調整された流量でもって、ブラインタンク43に直接戻る。さらに、床暖房装置52を同時運転するときは床暖房装置52の内蔵の流量調整弁52aも開弁するため、温水加熱室30上流(ブラインタンク43直後)の低温(例えば、60°C程度)のブラインが床暖房装置52に流入して床暖房の作用を果たす。
【0076】
ここで、温水放熱機器49に流入する高温のブライン流量とブラインタンク43に直接戻る高温のブライン流量との割合を流量調整弁47により調整することができ、この流量割合の調整により温水放熱機器49の能力と床暖房装置52の能力を調整できる。
【0077】
また、床暖房装置52を単独運転するときは、温水暖房機49a、浴室乾燥機49b内蔵の流量調整弁49c、49dを閉弁して、温水放熱機器49へのブライン流入を遮断するとともに、流量調整弁47および床暖房装置52内蔵の流量調整弁52aを開き、温水加熱室30内のブライン加熱用熱交換器40で加熱されたブラインを流量調整弁47→ブラインタンク43→ポンプ42→ブライン加熱用熱交換器40の回路で循環させるとともに、ブラインタンク43→ポンプ42→床暖房装置52→ブラインタンク43の回路で循環させ、床暖房作用を果たす。
【0078】
また、風呂39の追い焚きを行うときはポンプ45を作動させて、風呂39の温水をブラインタンク43内の追い焚き用熱交換器44に循環して、ブラインタンク43内の60°C程度のブラインと風呂39の温水とを熱交換して、風呂39の温水を加熱する。
【0079】
以上の作動説明から理解されるように、貯湯タンク12の内部の高温(例えば、90°C)の温水を熱源として、次のように各種温度の温水(ブライン)を同時に供給できる。
(1)台所、洗面台等の給湯対象機器37および風呂39には、温度調整弁23により温度調整された所望温度の温水を供給できる。
(2)温水暖房機49a、浴室乾燥機49b等の温水放熱機器49には、温水加熱室30内のブライン加熱用熱交換器40で加熱された最も高温(例えば、80°C程度)のブラインを供給できる。
(3)床暖房装置52には、ブライン加熱用熱交換器40上流の中間温度(例えば、60°C程度)のブラインを供給できる。
(4)ブラインタンク43内の中間温度(例えば、60°C程度)のブラインを熱源として風呂39の温水を追い焚きすることができる。
【0080】
更に、本実施形態によると、上記に加えて、次の作用効果が得られる。
【0081】
▲1▼台所、洗面台等の給湯対象機器37への給湯通路22は、温水暖房機49a、浴室乾燥機49b等の温水放熱機器49および床暖房装置52を有するブライン循環回路41とは全く別回路となっているから、上記給湯対象機器37への給湯水は飲料水として使用できる。
【0082】
▲2▼燃焼装置25の燃焼作動により貯湯タンク12の湯切れを未然に防止できるので、貯湯タンク12の小型化を図ることができる。また、夜間電力による電気式ヒートポンプユニット11の運転により貯湯機能を発揮し、これに燃焼装置25の補助加熱作用を組み合わせる構成であるから、昼間の湯切れ時に貯湯タンク12内の温水を電気ヒータにより加熱する電気式給湯器に比較してランニングコストを大幅に低減できる。
【0083】
▲3▼貯湯タンク12の高温温水を熱源として、台所、洗面台等の給湯対象機器37への給湯と、温水暖房等の機器49、52への温水(ブライン)供給を全て行っているから、これらの給湯対象機器37と、機器49、52に対応して温水器を別々に設置する場合に比較して、部品点数低減による低コスト化、省スペース化を実現できる。
【0084】
▲4▼浴室乾燥・温水暖房と床暖房を同時運転するときには、この両者の必要温水温度の違いから浴室乾燥・温水暖房側の余剰熱を利用して床暖房を行うことができ、効率的な給湯運転を行うことができる。
【0085】
▲5▼風呂39の追い焚きも、温水暖房、床暖房等の余剰熱で行うから、追い焚き専用の電気ヒータを用いる場合に比較して省エネルギーとなる。
【0086】
▲6▼ヒートポンプユニット11においては、その給水温度(高圧側熱交換器13への入口側水温度)が高くなると、サイクル高圧が上昇して圧縮機動力が増大し、その結果、COP(成績係数)が低下するが、本実施形態によると、ヒートポンプユニット11による温水加熱作用にガス燃焼による温水加熱作用を組み合わせることにより湯切れを防止できるから、ヒートポンプユニット11への給水温度を湯切れ防止のために高くする必要がなく、そのため、ヒートポンプユニット11のCOPを向上できる。
【0087】
なお、冷媒として例えば二酸化炭素等を使用し、高圧側の冷媒圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界ヒートポンプサイクルにより、ヒートポンプユニット11を構成する場合には、高圧圧力が特に高いので、ヒートポンプユニット11の給水温度低下によるCOPの改善効果が大きい。
(第2実施形態)
図2は第2実施形態であり、第1実施形態に対してブライン循環回路41のブライン加熱用熱交換器40の上流部に第2のブライン流量調整弁53を追加した点が異なる。
【0088】
第2実施形態によると、第2のブライン流量調整弁53の開度を減少すると、ポンプ42から吐出されるブラインのうち、床暖房装置52へのブライン流量を増加できる。従って、床暖房装置52への配管長さが温水暖房機、浴室乾燥機等の温水放熱機器49に比して長い場合とか、あるいは、床暖房装置52が2階等のブラインタンク43より高い位置に設置されて、床暖房装置52へのブライン循環回路の圧損が特に大きい場合でも、床暖房装置52へのブライン流量を確保して、床暖房性能を確保できる。
(第3実施形態)
図3は第3実施形態であり、第1、第2実施形態に対して以下の点が相違している。先ず、第1、第2実施形態では、貯湯タンク12内に蓄えられる温水を加熱するための加熱装置として、電気式加熱装置を構成するヒートポンプユニット11の他に、燃焼式加熱装置を構成する燃焼装置25を備えており、そのため、加熱装置がハイブリッド式になっているが、第3実施形態では燃焼式加熱装置を廃止して電気式加熱装置を構成するヒートポンプユニット11のみを温水加熱装置として備えている。
【0089】
また、第1、第2実施形態では、燃焼式加熱装置における温水加熱室30内にブライン加熱用熱交換器40を配置しているが、第3実施形態では、給湯配管54にブライン加熱用熱交換器40を電気式開閉弁55を介して接続している。ここで、給湯配管54には貯湯タンク12内上部に溜まっている高温(例えば90℃)の温水またはヒートポンプユニット11の高圧側熱交換器(水冷媒熱交換器)13で加熱された高温の温水が供給される。
【0090】
上記のブライン加熱用熱交換器40は例えば2重管式熱交換器構造で構成され、ブライン循環回路41のブラインと給湯配管54の高温温水との間で熱交換を行ってブラインを例えば60℃程度に加熱する。電気式開閉弁55は電磁弁、電動弁等からなり、給湯配管54を開閉する。
【0091】
ブライン循環回路41には、熱交換器40の他にモータ駆動の電動ポンプ42、床暖房装置52が設けられ、電動ポンプ42の作動によりブラインが床暖房装置52を循環するようになっている。
【0092】
一方、ブライン加熱用熱交換器40のうち、給湯配管54からの高温温水が流れる通路の出口側に温水熱回収タンク56が設けてある。この温水熱回収タンク56は、熱交換器40にて熱交換後の温水を溜めて温水熱を回収するタンクであって、貯湯タンク12の容量(例えば、300リットル程度)の1/2程度の容量(例えば、150リットル程度)に設定してある。
【0093】
温水熱回収タンク56はその内部の上下方向に自然対流に沿った温度勾配(上部側が高温で、底部側が低温)を持つように、温水熱回収タンク56の上部に、熱交換器40にて熱交換後の温水が流入する第1入口56aを設け、そして、温水熱回収タンク56の底部にタンク内の低温の水を排出する第1出口56bを設けている。
【0094】
この第1出口56bは接続配管57、モータ駆動の電動ポンプ58を介して貯湯タンク12の底部の第2入口59に接続されている。そして、貯湯タンク12の上部を接続配管60により給湯配管54に接続している。これにより、給湯配管54→電気式開閉弁55→熱交換器40→温水熱回収タンク56→接続配管57→電動ポンプ58→貯湯タンク12→接続配管60→給湯配管54に戻る閉回路が構成され、電動ポンプ58を作動させると、この閉回路を温水が循環するようになっている。
【0095】
また、温水熱回収タンク56の底部には第2入口56cが設けてあり、この第2入口56cには、給水配管21から分岐された給水配管21aから逆止弁61を介して水道水が導入されるようになっている。温水熱回収タンク56の上部には第2出口56dを設け、この第2出口56dを給水配管21bを介して温度調整弁23の入口側に接続している。従って、第3実施形態の温度調整弁23では、温水熱回収タンク56内の上部に溜まる温水と給湯配管22からの高温温水とを混合して所望温度の温水を作り出すことができる。
【0096】
なお、給湯配管22は、温度調整弁23の下流側で2つの配管22a、22bに分岐され、その一方の第1配管22aには台所、洗面台等の給湯対象機器37が接続される。また、他方の第2配管22bには風呂39が接続される。
【0097】
次に、第3実施形態の作動を説明すると、床暖房装置52を使用する際には、図示しない制御装置により電気式開閉弁55を開弁させるとともに、電動ポンプ42、58を作動させる。電気式開閉弁55の開弁により貯湯タンク12から高温(例えば、90℃)の温水がブライン加熱用熱交換器40に流入する。また、電動ポンプ42の作動によりブライン循環回路41のブラインがブライン加熱用熱交換器40に流入するので、熱交換器40にて高温温水がブラインを60℃程度の温度に加熱する。この加熱されたブラインが床暖房装置52を循環して床面に放熱して床暖房を行う。この放熱後のブラインは40℃程度の温度に低下して熱交換器40に戻る。
【0098】
電動ポンプ42の回転数制御によりブラインの循環流量(床暖房の放熱量)を制御できる。本第3実施形態では、床暖房放熱後のブライン温度が所定温度(例えば40℃程度)に維持されるように電動ポンプ42の回転数を自動制御している。
【0099】
一方、給湯配管54から熱交換器40に流入する高温温水の流量は、電動ポンプ58の回転数制御により制御できる。そこで、本第3実施形態では、熱交換器40で熱交換後のブライン温度が所定温度(例えば60℃程度)に維持されるように電動ポンプ58の回転数を自動制御している。
【0100】
もちろん、床暖房の目標温度が使用者により変更されれば、その目標温度の変更量に応じてブライン温度の上記所定温度を変更し、電動ポンプ42、58の回転数制御にフィードバックする。
【0101】
第3実施形態によると、ブライン加熱用熱交換器40から流出した中間温度の温水を温水熱回収タンク56内に蓄えている。この中間温度の温水は第1入口56aから温水熱回収タンク56内の上部に流入し、また、給水配管21aからの低温水道水は第2入口56cから温水熱回収タンク56内の底部に流入するので、温水熱回収タンク56内の上下方向に温水の温度勾配が発生する。
【0102】
そして、温水熱回収タンク56の上部に設けた第2出口56dからタンク56内上部の温水(タンク内の最も高温の温水)を給水配管21bを通して温度調整弁23の入口側に供給するから、温水熱回収タンク56内の中間温度(例えば、20〜40℃程度)の温水を、温度調整弁23を介して給湯対象機器37あるいは風呂39に供給できる。
【0103】
従って、給湯対象機器37あるいは風呂39にて必要な温水の温度域が温水熱回収タンク56内に蓄えられる中間温度の温水でまかなうことができる場合は、温水熱回収タンク56内からの給湯のみでよく、貯湯タンク12内の高温温水を使用しなですむ。そのため、ヒートポンプユニット11の稼働時間を低減でき、ヒートポンプユニット11の消費電力を低減できる。
【0104】
また、電動ポンプ58の作動によって温水熱回収タンク56内の底部の低温(例えば、20℃程度)の水が貯湯タンク12内の底部に戻るので、電動ポンプ16の作動によって貯湯タンク12内の底部の低温の水がヒートポンプユニット11の高圧側熱交換器13に送られる。
【0105】
このため、高圧側熱交換器13では圧縮機17の吐出冷媒(高圧冷媒)の温度と水との温度差が拡大するので、サイクル高圧圧力を上昇させることなく、水−冷媒間の熱交換量を増大できる。これにより、ヒートポンプユニット11のCOPを向上できる。
(第4実施形態)
上記第3実施形態では、温水熱回収タンク56内底部の低温の水を、接続配管57、電動ポンプ58を介して貯湯タンク12内の底部に直接戻すようにしているが、第4実施形態では図4に示すように、温水熱回収タンク56内底部の低温の水を先ず、ヒートポンプユニット11の蒸発器19に流入させ、ここで、水から吸熱して冷媒が蒸発するようにしている。
【0106】
すなわち、第4実施形態では蒸発器19を高圧側熱交換器13と同様に水冷媒熱交換器として構成し、温水熱回収タンク56内底部の低温(例えば、20℃程度)の水から冷媒が吸熱して蒸発するので、低温の水は更に温度低下して例えば、10℃程度の温度になって、貯湯タンク12内の底部に戻る。
【0107】
その結果、ヒートポンプユニット11の高圧側熱交換器13に送られる水の温度が第3実施形態より更に低下して高圧側熱交換器13での熱交換量を増大でき、より一層COPを向上できる。
(第5実施形態)
図5は第5実施形態であり、ヒートポンプユニット11において蒸発器19の出口側と圧縮機17の吸入側との間にアキュムレータ62を設け、蒸発器19の出口冷媒の気液をアキュムレータ62内で分離し、アキュムレータ62内の上部のガス冷媒をアキュムレータ62から圧縮機17の吸入側に流出させるようになっている。
【0108】
そして、このアキュムレータ62をその内部の冷媒と、温水熱回収タンク56内底部の低温の水との間で熱交換を行う構造として、アキュムレータ62内部の冷媒に温水熱回収タンク56内底部の低温の水から吸熱させる。これによっても、温水熱回収タンク56内底部の低温の水の温度、ひいては高圧側熱交換器13に送られる水の温度を更に低下して高圧側熱交換器13での熱交換量を増大できる。
【0109】
第4、第5実施形態から理解されるように、要は、ヒートポンプユニット11の低圧側冷媒が温水熱回収タンク56内底部の低温の水から吸熱するようにすればよい。
(第6実施形態)
第3〜第5実施形態では温水熱回収タンク56を単純なタンク構造として、ブライン加熱用熱交換器40から流出した中間温度の温水を温水熱回収タンク56内の上部に直接流入させ、また、給水配管21aからの低温の水道水は温水熱回収タンク56内の底部に直接流入させているが、第6実施形態では図6に示すように、ブライン加熱用熱交換器40から流出した中間温度の温水が流れる温水配管63を温水熱回収タンク56内に蛇行状に配置している。
【0110】
これにより、温水熱回収タンク56内において、給水配管21aからの低温の水道水と、温水配管63の温水との間で熱交換を行って、低温の水道水を加熱し、温水熱の回収を行うことができる。すなわち、第6実施形態では温水熱回収タンク56を熱交換器構造として、温水熱の回収を行うものである。
【0111】
なお、図6の具体例とは逆に、給水配管21aからの低温の水道水が流れる配管(図示せず)を温水熱回収タンク56内に蛇行状に配置し、一方、ブライン加熱用熱交換器40から流出した中間温度の温水は図3、4と同様に温水熱回収タンク56内に直接流入させ、これにより、配管内を流れる低温の水道水と中間温度の温水との間で熱交換を行うようにしてもよい。
(第7実施形態)
第3、第4実施形態ではブライン循環回路41の温水放熱機器として、床暖房装置52を使用する例について説明したが、図7に示す第7実施形態では、床暖房装置52を廃止し、その代わりに、風呂39の温水をブライン循環回路41の熱交換器40に循環して、ブライン循環回路41の熱交換器40を風呂39の追い焚き用に使用できるようにしている。
(第8実施形態)
図8は第8実施形態であり、第3実施形態による温水熱回収タンク56を備える多機能給湯装置に関するものであり、以下第3実施形態との相違点を主体として第8実施形態を説明する。
【0112】
第3実施形態では温水熱回収タンク56の底部に設けた第1出口56bを接続配管57、モータ駆動の電動ポンプ58を介して貯湯タンク12の底部の第2入口59に接続しているが、第8実施形態では温水熱回収タンク56の底部の第1出口56bに接続された接続配管57に電気的に制御される三方切替弁64を設け、この三方切替弁64により接続配管57を2つの配管57a、57bに分岐している。
【0113】
そして、その一方の分岐配管57aを逆止弁65を介して貯湯タンク12の底部の第2入口59に接続している。他方の分岐配管57bは逆止弁66を介して貯湯タンク12の上下方向の中間高さの部位に設けられた第3入口67に接続している。より具体的には、第3入口67の高さ位置は温水熱回収タンク56の容量に相当する位置に設定してある。すなわち、貯湯タンク12の容量は第3実施形態と同様に例えば、300リットル程度であり、また、温水熱回収タンク56の容量も第3実施形態と同様に例えば、150リットル程度であり、このように温水熱回収タンク56の容量を設定する場合は、第3入口67の高さ位置は貯湯タンク12の全高さの1/2付近に設定する。
【0114】
また、第3実施形態ではモータ駆動の電動ポンプ58を接続配管57の途中に配置しているが、第8実施形態では、ブライン用熱交換器40にてブラインと熱交換した後の温水を接続配管68を通して温水熱回収タンク56上部の第1入口56aに流入させ、この接続配管68に電動ポンプ58を配置し、この電動ポンプ58の吐出側に逆止弁69aを配置している。
【0115】
また、第3実施形態では、温水熱回収タンク56上部の第2出口56dを給水配管21bにより温度調整弁23の入口側に直接接続しているが、第8実施形態では、給水配管21bの途中に補助温度調整弁70を設けている。この補助温度調整弁70には給水配管21から逆止弁69bを介して分岐された給水配管21cが接続されている。
【0116】
このため、補助温度調整弁70は、温水熱回収タンク56上部から供給される中間温度(40℃)付近の温水と、給水配管21cからの低温の水道水との混合比率を調整して、主温度調整弁23への供給温水の温度を調整できる。なお、補助温度調整弁70は主温度調整弁23と同様に上記混合比率を調整する弁体をモータ等のアクチュエータにより駆動するようになっており、その弁体位置を自動調整して補助温度調整弁70の出口側(主温度調整弁23の入口側)の温水温度を調整できるようになっている。
【0117】
また、第8実施形態では、縦長形状の温水熱回収タンク56内の上下方向の温水温度の勾配を検出するために、温水熱回収タンク56の上下方向に所定間隔にて複数(例えば、5個)の温度センサ71を設けている。この温度センサ71は、第1、第2実施形態の図1、2に示す貯湯タンク12の温度センサ36と同様のものである。なお、図8では図示の簡略化のために、温度センサ36、71をともに1個のみ図示している。
【0118】
更に、本例では、補助温度調整弁70の出口側および給水配管21に温度センサ72、73を設け、温度センサ73により検出される水道水の温度と、温水熱回収タンク56の温度センサ71のうち最上部の温度センサにより検出される第2出口56dからの温水温度と、温度センサ72により検出される補助温度調整弁70の出口側温度と、使用者により設定される給湯目標温度とに基づいて補助温度調整弁70の弁体位置を自動調整するようになっている。ここで、補助温度調整弁70の弁体位置を、使用者により設定される給湯目標温度と補助温度調整弁70の出口側温水温度のみに基づいて自動調整するようにしてもよい。
【0119】
また、三方切替弁64の作動は、温水熱回収タンク56の温度センサ71のうち最下部の温度センサにより検出される第1出口56bからの温水温度に基づいて切替制御される。具体的には、温水熱回収タンク56内に第1入口56aから流入する40℃程度の中間温度の温水が充満して、温度センサ71のうち最下部の温度センサの検出温度が第1入口56aからの流入温水と同等の所定温度(例えば、40℃程度)まで上昇すると、三方切替弁64が接続配管57a側の流路を閉じて、接続配管57b側の流路を開くようになっている。
【0120】
なお、第8実施形態では、床暖房装置52にブラインを循環させるブライン循環回路41に、ブラインの温度上昇による体積膨張を吸収する専用の膨張タンク74を設けている。
【0121】
図9は第8実施形態の電気制御ブロック図であり、上記センサ群24、36、71、72、73等の検出信号、および給湯装置操作パネル75の操作信号が電子制御装置76に入力され、この電子制御装置76で入力信号に基づく所定の演算処理を行って、図8のヒートポンプユニット11の各機器および貯湯ユニット10の各機器(ポンプ42、58、弁23、64、70)の作動を制御するようになっている。
【0122】
次に、第8実施形態の作動を説明すると、ヒートポンプユニット11は主に夜間(深夜)電力を利用して運転され、貯湯タンク12内の水をポンプ16により高圧側熱交換器13に循環して、貯湯タンク12内の水を90℃程度の高温温水に加熱する(沸き上げる)。このとき、ポンプ58は停止しており、温水熱回収タンク56には貯湯タンク12内の高温温水が循環しないので、給水配管21aから低温の水道水が給水されたままである。
【0123】
そして、床暖房装置52を使用する時はポンプ42およびポンプ58を作動させる。一方のポンプ42の作動により、床暖房装置52のブライン循環回路41にブラインが循環すると同時に、他方のポンプ58の作動により、貯湯タンク12内上部の高温温水が給湯配管54からブライン用熱交換器40および温水熱回収タンク56を通過して貯湯タンク12に戻る経路にて循環する。
【0124】
ここで、温水熱回収タンク56底部の第1出口56bと貯湯タンク12との間の流路は三方切替弁64により次のように設定される。すなわち、ポンプ58の起動当初は温水熱回収タンク56内に低温の水が溜まっているので、温水熱回収タンク56の温度センサ71のうち最下部の温度センサの検出温度が所定温度(例えば、40℃程度)より低い。
【0125】
このことを電子制御装置76により判定して、三方切替弁64を接続配管57b側の流路を閉じて接続配管57a側の流路を開く状態に維持する。このため、温水熱回収タンク56底部の第1出口56bから低温の水は接続配管57、57aを通過して貯湯タンク12の底部へ流入する。
【0126】
ブライン循環回路41のブラインは、ブライン用熱交換器40にて給湯配管54からの高温温水と熱交換して60℃程度に加熱され、床暖房装置52にて住宅の床面に放熱してブライン用熱交換器40に戻る。一方、給湯配管54からの高温温水はブラインとの熱交換で40℃程度の中間温度に低下して第1入口56aから温水熱回収タンク56内の上部に流入する。
【0127】
ここで、温水熱回収タンク56内に給水配管21aから低温水道水が流入しないときは温水熱回収タンク56内に徐々に40℃程度の中間温度の温水が溜まっていく。そして、温水熱回収タンク56内がこの中間温度の温水で充満すると、温度センサ71のうち最下部の温度センサの検出温度が所定温度(例えば、40℃程度)まで上昇する。
【0128】
この温水熱回収タンク56内最下部の温水温度の上昇を電子制御装置76により判定して、三方切替弁64を接続配管57a側の流路を閉じて接続配管57b側の流路を開く状態に切り替える。これにより、温水熱回収タンク56底部の第1出口56bから中間温度の温水が接続配管57、57bを通過して貯湯タンク12の上下方向の中間部位に流入する。
【0129】
ここで、もし、温水熱回収タンク56底部からの中間温度の温水が貯湯タンク12の底部に流入し続けると、貯湯タンク12の底部にて中間温度の温水と低温水との撹拌が生じて、貯湯タンク12の上下方向に形成されている温水の温度勾配(境界層)が崩れるという不具合が生じる。
【0130】
これに対して、第8実施形態によると、温水熱回収タンク56底部からの中間温度の温水が貯湯タンク12の上下方向の中間部位に流入するため、貯湯タンク12の底部における中間温度の温水と低温水との撹拌を防止できる。
【0131】
ここで、温水熱回収タンク56内がブライン用熱交換器40通過後の中間温度の温水で充満するということは、貯湯タンク12から温水熱回収タンク56の容量相当分の高温温水が流出し、その代わりに貯湯タンク12の下部に温水熱回収タンク56の容量相当分の低温水道水が流入することになる。
【0132】
従って、温水熱回収タンク56内が中間温度の温水で充満した時点で貯湯タンク12への温水戻り位置を貯湯タンク底部から貯湯タンク中間部位、具体的には、温水熱回収タンク56の容量相当分の中間部位に切り替えることにより、貯湯タンク12内の高温温水と低温水道水との境界付近に温水熱回収タンク56からの中間温度の温水を流入させることができ、中間温度の温水と低温水との撹拌を防止できる。これにより、貯湯タンク12の上下方向の温水温度勾配(境界層)を維持できるので、貯湯タンク12内の温水を有効利用できる。
【0133】
一方、温水熱回収タンク56において回収された中間温度の温水は、給水配管21bにより主温度調整弁23の水側に供給されるから、第3実施形態と同様に、貯湯タンク12内の高温温水の使用量を減らすことができる。
【0134】
更に、給水配管21bに補助温度調整弁70を配置して、温水熱回収タンク56からの中間温度の温水と給水配管21cからの低温水とを混合して、40℃以下の中間温度の温水を作ることができるから、給湯温度として40℃以下の任意の中間温度、例えば、35℃が設定された場合でも、補助温度調整弁70によりこの35℃の中間温度の温水を作って主温度調整弁23を介して、台所等の給湯対象機器39、風呂39等に供給できる。
【0135】
なお、第8実施形態において、温水熱回収タンク56の底部を貯湯タンク12の底部に連通させる第1戻し経路を接続配管57と分岐配管57aにより構成し、また、温水熱回収タンク56の底部を貯湯タンク12の上下方向の中間部位に連通させる第2戻し経路を接続配管57と分岐配管57bにより構成している。
【0136】
また、第8実施形態において上記第1戻し経路と第2戻し経路を切り替える切替手段を三方切替弁64により構成し、更に、温水熱回収タンク56内の中間温度の温水と給水配管21cからの低温水とを混合して温度調整された温水を作る温度調整手段を補助温度調整弁70により構成している。
(第9実施形態)
第9実施形態は上記第8実施形態における補助温度調整弁70の温水温度調整の自動制御に関する。
【0137】
図10は上記第8実施形態の図8に対応する全体システム図であり、給湯配管22において主温度調整弁23の出口側部位に給湯温水の流量を検出する流量センサ77を設けている。なお、図10では、図8における三方切替弁64、分岐配管57b等を廃止した温水通路構成としているが、第9実施形態でも三方切替弁64、分岐配管57b等を設けてもよい。
【0138】
第9実施形態において電気制御の構成は基本的に第8実施形態の図9と同じでよく、図9において、電子制御装置76の入力側に流量センサ77を追加するだけでよい。
【0139】
本発明者らは補助温度調整弁70の温水温度調整の自動制御に際して、まず最初に、機器37、39への温水供給(以下給湯という)開始時における初期弁体位置を前回の給湯終了時における弁体位置に設定するものについて検討してみた。
【0140】
この検討案は、前回の給湯終了時における弁体位置を記憶保持しておき、この記憶した弁体位置を次回の給湯開始時における初期弁体位置に設定するものであって、前回の給湯終了後次回の給湯開始時までの間に、温水熱回収タンク56内の温水温度が上昇しないときは問題が生じないが、前回の給湯終了後に床暖房装置52を使用すると、貯湯タンク12、ブライン加熱用熱交換器40および温水熱回収タンク56を通る循環回路により温水の循環が行われ、温水熱回収タンク56の上部に溜まる温水温度が上昇する。
【0141】
ところが、補助温度調整弁70の初期弁体位置は前回の給湯終了時における弁体位置に設定されているので、この初期弁体位置の想定する温水温度よりも高温の温水が温水熱回収タンク56の上部から補助温度調整弁70に供給され、補助温度調整弁70の出口温水温度が目標温度に対して高温側に大きくオーバーシュートするという不具合が生じる。図11の破線Aはこの検討案による給湯開始直後のオーバーシュートを示す。
【0142】
なお、図11は、機器37、39への給湯開始後における経過時間を横軸にとり、縦軸に補助温度調整弁70の出口温水温度をとったものであり、1点鎖線Bは補助温度調整弁70の目標温度であり、35℃の場合を例示している。
【0143】
次に、第9実施形態による補助温度調整弁70の制御を図12により説明すると、図12は図9の電子制御装置76により実行される制御ルーチンであり、先ず、ステップS10にて給湯流量の有無を流量センサ77の検出信号に基づいて判定する。給湯流量のないときはステップS20に進み、補助温度調整弁70の弁体位置を給水配管21cからの水の量を100%とする位置に移動し、この弁体位置にて補助温度調整弁70を待機させる。
【0144】
これに反し、ステップS10にて給湯流量有りを判定すると、ステップS30にて補助温度調整弁70の弁体位置のフィードバック制御のための目標温度T1を読み込む。ここで、この目標温度T1は、主温度調整弁70の目標温度T0以下の温度であり、本例では主温度調整弁70の目標温度T0の設定範囲の下限値、例えば35℃を補助温度調整弁70の目標温度T1として用いている。なお、主温度調整弁70の目標温度T0は既述したように図9の操作パネル75に装備されている給湯目標温度設定スイッチを給湯使用者が操作して設定される温度である。
【0145】
次のステップ40では、補助温度調整弁70の弁体位置をフィードバック制御する。このフィードバック制御は、具体的には、温度センサ72により検出される補助温度調整弁70の出口温水温度と上記目標温度T1との偏差を算出し、この偏差に基づいて弁体位置の移動量を決定し、これにより、補助温度調整弁70の出口温水温度を上記目標温度T1と一致するように制御する。このフィードバック制御はより具体的には周知の比例積分微分制御(PID制御)、ファジィ制御等の制御手法を使用できる。
【0146】
補助温度調整弁70の弁体位置のフィードバック制御において、その制御開始時点(すなわち、給湯開始時点)では、補助温度調整弁70が給水配管21cからの水の量を100%とする弁体位置にて待機しているので、弁体位置のフィードバック制御は必ず、この水の量=100%の弁体位置から開始することになる。従って、補助温度調整弁70の出口温水温度は図11の実線Cに示すように、必ず、給水温度(図示例は5℃)から始まり、そして、フィードバック制御により上記目標温度T1に向かって徐々に上昇する。
【0147】
このため、補助温度調整弁70の出口温水温度が上記目標温度T1より高温側にオーバーシュートするといった不具合は発生しない。
【0148】
なお、図11において、給湯開始後、補助温度調整弁70の出口温水温度が給水温度から目標温度T1に上昇するまでの時間は例えば、10秒程度である。
【0149】
第9実施形態では、補助温度調整弁70の弁体位置を給湯停止時の間に、水の量=100%の弁体位置にて待機させ、給湯開始時には補助温度調整弁70の弁体位置フィードバック制御を必ず水の量=100%の弁体位置から開始しているが、第9実施形態の趣旨は、給湯開始時における出口温水温度の高温側へのオーバーシュートを防止することにあるから、上記水の量=100%の弁体位置に限定するものではない。
【0150】
本発明者の検討によると、上記高温側へのオーバーシュートを防止するためには、給湯開始時における補助温度調整弁70の弁体位置を温水熱回収タンク56からの温水よりも給水配管21cからの水の量が多くなる位置に設定すればよいことが分かっている。
(他の実施形態)
なお、第3、第4実施形態では床暖房装置52の使用時に、電気式開閉弁55を開弁し、そして、電動ポンプ42、58の回転数制御により床暖房装置52の放熱量を制御するようにしているが、例えば、電動ポンプ58の回転数を一定回転数に固定し、その代わりに、電気式開閉弁55の開度を連続的に制御し、これにより、温水熱回収タンク40に流入する高温温水の流量を制御して、熱交換器40の加熱後のブライン温度を制御するようにしてもよい。
【0151】
また、第3、第4実施形態ではブライン循環回路41の温水放熱機器として、床暖房装置52を使用する例について説明したが、床暖房装置52の代わりに、第1、第2実施形態で説明した温水暖房機(ファンコンベクタ)49aや浴室乾燥機49b等の温水放熱機器49をブライン循環回路41の温水放熱機器として使用してもよい。
【0152】
また、上記各実施形態では、電気式温水器としてヒートポンプユニット11を使用する場合について説明したが、貯湯タンク12内に電気ヒータを配置して貯湯タンク12内の温水を電気ヒータにより直接加熱する電気式温水器に対して本発明を適用してもよい。
【0153】
また、第1、第2実施形態では、ガス式の燃焼装置25を用いて温水を加熱する例について説明したが、灯油等の液体燃料を用いる燃焼装置を用いて温水を加熱してもよいことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す全体システム図である。
【図2】第2実施形態を示す全体システム図である。
【図3】第3実施形態を示す全体システム図である。
【図4】第4実施形態を示す全体システム図である。
【図5】第5実施形態を示すヒートポンプユニット部の構成図である。
【図6】第6実施形態を示す温水熱回収タンク部の構成図である。
【図7】第7実施形態を示す全体システム図である。
【図8】第8実施形態を示す全体システム図である。
【図9】第8実施形態の電気制御ブロック図である。
【図10】第9実施形態を示す全体システム図である。
【図11】第9実施形態の作用効果の説明に供するグラフである。
【図12】第9実施形態による補助温度調整弁の制御フローチャートである。
【符号の説明】
11…ヒートポンプユニット(電気式加熱装置)、12…貯湯タンク、
22…給湯配管(温水供給経路)、25…燃焼装置、30…温水加熱室、
37…台所等の給湯対象機器、39…風呂、40…ブライン加熱用熱交換器、
41…ブライン循環回路(ブライン供給経路)、49…温水放熱機器、
52…床暖房装置、56…温水熱回収タンク。

Claims (19)

  1. 給水配管(21)からの水が底部に給水される貯湯タンク(12)と、
    前記貯湯タンク(12)内に蓄えられる温水を加熱するとともに、その加熱した温水を前記貯湯タンク(12)内の上部に流入させるヒートポンプユニット(11)と、
    前記ヒートポンプユニット(11)と前記貯湯タンク(12)との間で温水を循環させる第1ポンプ(16)と、
    前記貯湯タンク(12)の外部に設置されて、前記貯湯タンク(12)内上部に蓄えられる温水が供給され、この温水と熱交換するブライン加熱用熱交換器(40)と、
    前記貯湯タンク(12)と前記ブライン加熱用熱交換器(40)との間で温水を循環させる第2ポンプ(58)と、
    前記貯湯タンク(12)内上部に蓄えられる温水を第1機器(37、39)に供給する温水供給経路(22)と、
    前記ブライン加熱用熱交換器(40)で加熱されたブラインを第2機器(49、52)に供給するブライン供給経路(41)とを備えることを特徴とする多機能給湯装置。
  2. 前記第2ポンプは、回転数が調整可能に構成された電動ポンプ(58)であることを特徴とする請求項1に記載の多機能給湯装置。
  3. 給水配管(21)からの水が底部に給水される貯湯タンク(12)と、
    前記貯湯タンク(12)内に蓄えられる温水を加熱するとともに、その加熱した温水を前記貯湯タンク(12)内の上部に流入させるヒートポンプユニット(11)と、
    温水加熱室(30)と、
    前記温水加熱室(30)を加熱する燃焼装置(25)と、
    前記温水加熱室(30)内に設けられ、前記温水加熱室(30)内の温水と熱交換するブライン加熱用熱交換器(40)と、
    前記貯湯タンク(12)内上部に蓄えられる温水を第1機器(37、39)に供給する温水供給経路(22)と、
    前記ブライン加熱用熱交換器(40)で加熱されたブラインを第2機器(49、52)に供給するブライン供給経路(41)とを備え、
    前記温水加熱室(30)の上部は前記貯湯タンク(12)内の上部に連通し、前記温水加熱室(30)の下部は前記貯湯タンク(12)内上部との連通位置よりも下方位置にて前記貯湯タンク(12)内に連通することを特徴とする多機能給湯装置。
  4. 前記ブライン加熱用熱交換器(40)で加熱されたブラインの流量を調整するブライン流量調整手段(47、53)を有することを特徴とする請求項3に記載の多機能給湯装置。
  5. 前記ブライン供給経路は前記ブラインが循環する閉回路(41)であり、
    前記第2機器(49、52)は複数であり、前記複数の第2機器(49、52)の1つ(49)は、前記ブライン加熱用熱交換器(40)で加熱されたブラインが循環するようになっており、また、前記複数の機器(49、52)の他の1つ(52)は、前記ブライン加熱用熱交換器(40)で加熱される前のブラインが循環するようになっていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の多機能給湯装置。
  6. 前記閉回路(41)内にブラインを溜めるブラインタンク(43)を設け、前記ブラインタンク(43)内に、ブラインと風呂(39)の温水との熱交換を行う風呂追い焚き用の熱交換器(44)を設けることを特徴とする請求項5に記載の多機能給湯装置。
  7. 前記ブライン流量調整手段は、ブライン流れの圧損を調整する調整手段(47、53)であることを特徴とする請求項に記載の多機能給湯装置。
  8. 前記ブライン加熱用熱交換器(40)にて熱交換した後の温水の熱を回収する温水熱回収タンク(56)を備え、
    前記温水熱回収タンク(56)内の温水を前記温水供給経路(22)を通して前記第1機器(37、39)に供給することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の多機能給湯装置。
  9. 前記温水熱回収タンク(56)内の上部に、前記ブライン加熱用熱交換器(40)にて熱交換した後の温水が流入し、
    前記温水熱回収タンク(56)の底部に前記給水配管(21、21a、21c)からの水が流入し、
    前記温水熱回収タンク(56)内の底部側に溜まる低温の温水を前記貯湯タンク(12)の底部に戻し、
    前記温水熱回収タンク(56)内上部の中間温度の温水を前記温水供給経路(22)を通して前記第1機器(37、39)に供給することを特徴とする請求項8に記載の多機能給湯装置。
  10. 前記温水熱回収タンク(56)の底部を前記貯湯タンク(12)の底部に連通させる第1戻し経路(57,57a)と、
    前記温水熱回収タンク(56)の底部を前記貯湯タンク(12)の上下方向の中間部位に連通させる第2戻し経路(57,57b)と、
    前記第1戻し経路(57,57a)と前記第2戻し経路(57,57b)を切り替える切替手段(64)とを備え、
    前記ブライン加熱用熱交換器(40)にて熱交換した後の温水が前記温水熱回収タンク(56)内に充満するまでは、前記切替手段(64)により前記第1戻し経路(57,57a)を開いて前記第2戻し経路(57,57b)を閉じることにより、前記温水熱回収タンク(56)内の底部側に溜まる低温の温水を前記貯湯タンク(12)の底部に戻し、
    前記ブライン加熱用熱交換器(40)にて熱交換した後の温水が前記温水熱回収タンク(56)内に充満すると、前記切替手段(64)により前記第2戻し経路(57,57b)を開いて前記第1戻し経路(57,57a)を閉じることにより、前記温水熱回収タンク(56)内の温水を前記貯湯タンク(12)の上下方向の中間部位に戻すことを特徴とする請求項9に記載の多機能給湯装置。
  11. 前記貯湯タンク(12)の上下方向の中間部位は、前記貯湯タンク(12)において前記温水熱回収タンク(56)の容量に相当する高さ近傍の位置であることを特徴とする請求項10に記載の多機能給湯装置。
  12. 前記温水熱回収タンク(56)からの温水と、前記給水配管(21、21a、21c)からの水とを混合して温度調整された温水を作る温度調整手段(70)を備え、
    前記温度調整手段(70)通過後の温水を、前記温水供給経路(22)を通して前記第1機器(37、39)に供給することを特徴とする請求項9ないし11のいずれか1つに記載の多機能給湯装置。
  13. 前記ブライン加熱用熱交換器(40)にて熱交換した後の温水と、前記給水配管(21、21a、21c)からの水との間で熱交換をするように前記温水熱回収タンク(56)を構成したことを特徴とする請求項8に記載の多機能給湯装置。
  14. 前記温水熱回収タンク(56)内の底部側に溜まる低温の温水を前記ヒートポンプユニット(11)の低圧側回路部に導き、前記ヒートポンプユニット(11)の低圧側冷媒が前記低温の温水から吸熱するようにし、
    前記低圧側冷媒により吸熱された後の前記低温の温水を前記貯湯タンク(12)の底部に戻し、
    前記貯湯タンク(12)の底部の水を前記ヒートポンプユニット(11)の高圧側熱交換器(13)にて加熱することを特徴とする請求項に記載の多機能給湯装置。
  15. 前記第1機器(37、39)への温水供給開始時における前記温度調整手段(70)の調整位置を、前記温水熱回収タンク(56)からの温水よりも前記給水配管(21、21a、21c)からの水の量が多くなる位置に設定し、その後に、前記温度調整手段(70)の出口温水温度が目標温度となるように前記温度調整手段(70)を調整するフィードバック制御を開始することを特徴とする請求項12に記載の多機能給湯装置。
  16. 前記温水供給経路(22)に、前記温度調整手段(70)により温度調整された温水と前記貯湯タンク(12)からの温水とを混合して前記第1機器(37、39)への温水温度を調整する主温度調整手段(23)を設け、
    前記温度調整手段(70)の目標温度を、前記主温度調整手段(23)の目標温度以下の温度とすることを特徴とする請求項15に記載の多機能給湯装置。
  17. 前記第1機器(37、39)への温水供給開始時における前記温度調整手段(70)の調整位置を、前記前記給水配管(21、21a、21c)からの水の量を100%とする位置に設定することを特徴とする請求項15または16に記載の多機能給湯装置。
  18. 前記第2機器は床暖房装置(52)であることを特徴とする請求項8ないし17のいずれか1つに記載の多機能給湯装置。
  19. 前記第1機器として風呂(39)が備えられ、
    前記風呂(39)の温水を前記ブライン加熱用熱交換器(40)に循環することにより、前記風呂(39)を前記第2機器としても使用できるようにしたことを特徴とする請求項8ないし17のいずれか1つに記載の多機能給湯装置。
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