JP3965662B2 - メタルバンドソー用刃材およびメタルバンドソー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
刃材となる高速度鋼と胴材が並行に接合されて構成されるメタルバンドソー用刃材およびメタルバンドソーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
メタルバンドソーは高速度鋼でなる刃材と廉価な低合金鋼の胴材を電子ビーム溶接などにより平行に溶接することで、高速度鋼の節約がなされている。刃材の代表的な組成は(1)1C−4Cr−9Mo−1.5W−1.3V−8Co(SKH59)、(2)0.9C−4Cr−5Mo−6W−2V(SKH51)である。(1)の鋼は主に難削材(SKD11、ステンレス鋼など)の切削、(2)の鋼は一般の切削(構造用鋼など)に使用されている。(1)の鋼は(2)の鋼に対しW当量(W+2Mo)がやや多くとCoが多く添加され、耐熱性、耐摩耗性を高めていることを特徴としており、これにより、難削材の切削に利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した難削材切削用途にメタルバンドソーを適用する場合、最も問題となるのは寿命である。従来、メタルバンドソー用の刃材として、寿命を飛躍的に改善する提案はされておらず、高寿命の材料が望まれている。本発明の目的は、上記問題に鑑み、メタルバンドソーの寿命を飛躍的に改善する刃材およびこれを用いたメタルバンドソーを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、メタルバンドソーの分野において問題となる高速度鋼の刃材の組成を見直し、組成を適切に変更することで切削寿命を大幅に改善できることを見出した。具体的には、高速度鋼の組成の中で、Weq(=W+2Mo)+Co量を従来材よりも高め、かつWを規定し、さらに望ましくはCoを適切な組成の範囲に規定することにより、刃材の硬度を安定して1000HV得ることが可能となり、切削寿命を大幅に改善することを見出したものである。
【0005】
すなわち、重量%でWeq+Co 29%以上、33%以下で、Wが5%以上、9%以下、残部がFeを主体とする高速度鋼であることを特徴とするメタルバンドソー用刃材である。
望ましくは、Coが5%以上12%以下とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明における重要な特徴はメタルバンドソー用刃材として、従来材と比較してWeq+Coを高めたことにある。以下にこの値を限定した理由を述べる。
WeqはWと等価な効果をもつようにMo量を規格化し、WとMoを既定したものである。Mo量を2倍にすることでWと等価な効果得られる。WeqはW+2Moと表現できる。以下の実施の形態の表現に「Weq+Co」の項を用いる。
【0007】
メタルバンドソーの切削寿命を高める因子の中で刃材の硬さがすべてに優先する。Weq、Coはそれぞれ刃材の高硬度化に不可欠な因子であるが、本発明ではそれぞれの効果をWeq+Coの項で刃材の硬度、切削寿命を整理できることを見出したので、以下の記述ではWeq+Coの項で実施の根拠を記述する。
【0008】
Weq+Coが29%未満であると、焼き入れ後の基地に固溶しない基地より硬い炭化物(以下、未固溶炭化物)が少なくなり、耐摩耗性が得られなくなる。さらに、基地の硬度を硬くするためにできるだけ焼き入れ温度を高めに設定するのが望ましいが、高めにするとCが過剰に基地に固溶し、刃材の硬度が得られにくくなり、靭性が低下するので、Weq+Coは29%以上必要である。
Weq+Coが33%を越えると、未固溶炭化物量が多くなるが、基地に固溶するCが少なくなり硬さが得られにくくなり、刃材の耐摩耗性が低下する。また、製造性が著しく劣化する。したがって、33%以下が必要である。
Wが5%未満であると、焼き入れ温度では基地の結晶粒が粗くなり、靭性が低下し刃が欠けやすくなる。また、基地にCが過剰に固溶しやすくなり、靭性が低下する。したがってWは5%以上が必要である。より好ましくは6%以上である。
Wが9%を越えると、焼き入れ温度での基地は結晶粒は細かくなるが、基地に固溶するCが不足し硬度が得られなくなるので、Wは9%以下が必要である。
【0009】
Coが5%未満であると、刃材の硬度が低くなるので、5%以上が望ましい。15%以上を越えると刃材の圧延性が著しく低下するので15%以下が望ましい。
硬度を1000HV以上得るには上述したWeq+Coの範囲を既定するのがもっとも適切な指標である。C,Cr、V、Si,Mnのそれぞれの組成は、さらに安定した刃材の硬さを得るために必要である。
典型的には、Crは3%以上6%以下、Vは1%以上2%以下、Siは2%以下、Mnは2%以下が望ましい。CはWまたはMoとCr、Vの組み合わせで炭化物量に応じて適切な範囲が選択される。本発明では1%以上1.4%以下が望ましい。
【0010】
上述した組成の刃材と胴材を溶接接合後、刃材の硬さが1000HV以上得られるように焼き入れ焼き戻しを行うことにより、本発明のメタルバンドソーを得ることができる。
上述した刃材に対して、接合する胴材は従来提案された素材を適用することが可能である。
胴材は、刃材を保持し、メタルバンドソーとして使用される場合にかかる曲げ応力および引張応力に耐えることができ、かつ安価であることが望ましい。
このため、本発明においては、熱処理硬さを53HRC以下の鋼とすることが好ましい。
これ以上の硬さを発揮できる素材を選択する場合、合金元素を増加する必要があり、安価な胴材を使用するというメタルバンドソーの目的からはずれることになるためである。
【0011】
なお具体的な胴材の組成としては、たとえば重量%でC0.6以下、Cr7%以下、Cr以外の4A,5A,6A属の炭化物形成元素、例えばW,Mo,V,Nb,Tiの1種または2種以上が総量で3%以下、残部実質的に鉄よりなる鋼を使用することができる。
ここで、Cを0.6%以下としたのは、Cは鋼の基本的な硬さと靭性を確保するために必要な元素であるが、0.6%を超えると靭性は低下していくため、0.6%を上限とすることが好ましい。
【0012】
またCrは、胴材の焼入れ性を高めるとともに、Cと結合してCr炭化物を形成し、焼きもどし軟化抵抗を高める元素である。
しかし、過剰な添加は逆に焼きもどし軟化抵抗を低下させるため、7%以下と規制することが望ましい。
また、Cr以外の4A,5A,6A属の炭化物形成元素であるWおよびMoは、胴材の耐摩耗性を高める元素であり、胴材として必要な硬さおよび靭性の向上に対して有効な元素である。
添加量が多すぎると胴材としてもっとも重要な靭性を低下してしまうため、3%以下とすることが望ましい。
【0013】
たとえば、またV、Nb、Ti等は胴材の耐摩耗性を向上させるという点でWおよびMoと同様の効果があり有効である。
しかし、これらの元素は高価であり、安価な胴材を用いるという目的に反するとため総量で3%以下とする。
また、鋼の製造過程において脱酸剤として添加されるSi,Mnが含有されていても良いが、2%を超えると靭性を低下するためそれぞれ2%以下とすることが望ましい。
もちろん胴材の組成としては、従来のS50CやAISI6150の使用もできる。
【0014】
【実施例】
(実施例1)
表1に示す化学組成の鋼塊を造塊した。得られた鋼塊を1000〜1200℃の範囲で15mm直径の棒材に鍛造後、断面形状1×2mmの素材まで温間および冷間加工により製造した。本発明鋼はNo.AからNo.E、比較鋼はC1からC4である。比較鋼No.C1はSKH59、No.C2はSKH51に対応する。
なお、比較鋼のNo.C4は鍛造の段階で大きな鍛造割れが生じたので、鋳造材で評価した。
実施例1では焼き入れ焼き戻し硬さが刃材にとって重要な測定値であるので、硬さの評価を行った。
【0015】
表1に焼き入れ温度(Q)の1180、1200℃から焼き入れ、540℃と560℃で焼き戻し(T)したときのビッカース硬さHVの測定値を併記した。本発明鋼は上記の熱処理条件のいずれかで1000HV以上の硬さが得られている。
特にNo.Aは上記の熱処理条件のいずれでも1000HV以上の硬さが得られている。No.Bは2条件で1000HV以上の硬さが得られている。No.C〜No.Eは、No.A、No.Bに比べると1000HV得られる熱処理条件は少なくなっているが、No.A,Bに次いで安定して1000HV得られる。
【0016】
【表1】
Figure 0003965662
【0017】
【表2】
Figure 0003965662
【0018】
比較例No.C1からNo.C3まではいずれの熱処理条件でも1000HV得られていない。No.C4は本発明と同じく安定して1000HV得られているが、この測定値は鋳造材で評価した値である。メタルバンドソーの刃材を提供するには、鋳造材では刃材に要求される靭性が著しく劣り、かつ、鍛造も困難であるので刃材として不適切である。
焼き入れ焼き戻し硬さとWeqおよびWeq+Coの関係を図1ないし図2に図示した。焼戻し硬さは、1200℃で焼き入れ、540℃で焼戻した時の硬さである。Weqと(Weq+Co)の変数による硬さの関係はWeqよりWeq+Coで整理すると一義的な関係が明確になる。したがって、本発明で定義するWeq+Coで特性を整理する重要性はきわめて高い。
【0019】
(実施例2)
表1に示した発明鋼と比較鋼を用いて、胴材と溶接接合させ、焼き入れ焼き戻しを行い、メタルバンドソーを製造した。サイズは1×45×4500mmである。ただし、比較鋼No.4は刃材を製造できなかったので、評価対象から外した。胴材の組成は、重量%で0.53C−0.40Si−1.12Mn−0.68Ni−5.18Cr−0.89W−0.56Mo−0.09V−0.0073Al−0.033N−残Feの化学組成となり、胴材の硬さは52.1HRCであった。
バンドソーの切削条件は、湿式、切削速度20/min、切削率20cm2/min、ワークは100mmφの硬さが180HBのSKD11とした。
【0020】
図3にWeq+Coで整理した切削寿命を示した。切削寿命は切削面にうねりを生じ始めた段階の切削面積で表した。切削面積が大きいほど切削寿命が長いことを意味する。
本発明鋼のNo.AからNo.Eまでは比較鋼No.C1に対し最低1.2倍、最高1.7倍の切削寿命の改善効果が現れた。一方、比較鋼No.C2とNo.C3は比較鋼No.C1に対し、最高でも約0.8倍程度であった。
実施例2の評価結果から、本発明鋼は従来鋼に対し優れた切削寿命を得ることがわかった。
【0021】
【発明の効果】
上述したように、本発明はメタルバンドソーの刃材をWeq+Coを29%以上、33%以下とし、Wを5%以上、9%以下とすることで従来鋼の難削材切削用途に適するとされる代表的なSKH59に対し優れた切削性能を得ることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(Weq+Co)を用いたときの焼き入れ焼き戻し硬さに対する関係を示した図である。
【図2】Weqを用いたときの焼き入れ焼き戻し硬さに対する関係を示した図である。
【図3】(Weq+Co)で切削性能に対する関係を示した図である。

Claims (3)

  1. 重量%でWeq+Co 29%以上、33%以下、但し、Weq=W+2Moで、Wを5%以上、9%以下、残部がFeを主体とする高速度鋼であることを特徴とするメタルバンドソー用刃材。
  2. Coを5%以上12%以下含むことを特徴とする請求項1に記載のメタルバンドソー用刃材。
  3. 請求項1または2からなる帯状のメタルバンドソー用刃材が帯状の胴材と溶接されてなるメタルバンドソー。
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