JP3963400B2 - オーバラン対応機能を備えた刺繍縫い装置 - Google Patents

オーバラン対応機能を備えた刺繍縫い装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明はオーバラン対応機能を備えた刺繍縫い装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年ミシンに刺繍枠を設けて、この刺繍枠をXY方向に移動させて刺繍を行えるように構成した刺繍可能なミシンが普及している。
またモータを備えたミシンの縫い機構を利用して刺繍縫いを行わせるための装置が、本願出願人により実公昭57ー24305号において提案されている。この刺繍縫い装置によれば、既存のミシンに連結することにより簡単に刺繍縫い可能なミシンを構成することができ、刺繍縫い機能を備えた新たなミシンを購入することなく、簡単に刺繍縫いを行える利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような刺繍可能なミシンや既存のミシンに連結して用いる刺繍縫い装置において、模様データが終了しているにも関わらず、縫い機構の駆動が停止せずに、最終データ位置で複数回の縫いが実行され、糸切れや縫い目の損傷を生ずる問題があり、これを従来よりオーバランと呼んでいる。
刺繍縫い可能なミシンにおいては、モータの特性に応じて停止信号の出力のタイミングを調整したり、モータにブレーキを設ける等により上記オーバランに対応可能であるが、既存のミシンに連結するタイプの刺繍縫い装置にあっては、連結されるミシンのモータの特性がまちまちであり、またブレーキ機能を備えていないミシンが殆どであるため、上記したオーバランの問題の解決が望まれていた。
本発明は上記した従来技術の問題点を解決することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明では、刺繍縫いを行える着脱可能な縫い機構を備えたミシンと、該縫い機構を備えたミシンを利用して刺繍縫いを行わせるために刺繍対象物を保持するための手段と、刺繍すべき模様に関して模様データを与えるための手段と、前記模様データによる縫い目形成の終了後にも前記縫い機構を備えたミシンの作動が停止するまでの縫いを行わせるために前記模様データの最終データに連続して所定回数の縫いを行わせるための終了縫いデータを与えるための手段と、前記縫い機構を備えたミシンの縫い動作の位相を検出するための手段と、前記検出する手段からの縫い動作の位相に対応して、該模様データに対応する移動量で、前記保持するための手段を移動させるための手段と、前記刺繍すべき模様の模様データの終了後にも前記縫い機構を備えたミシンの作動が停止しない場合、前記終了縫いデータに基づいて前記保持するための手段を移動させるための手段と、を備えたことを特徴とするミシンの縫い機構を利用する刺繍縫い装置とすることで課題を解決することができた。
さらに本発明は、前記終了縫いデータを与えるための手段が、終了縫いデータを記憶する手段であるオーバラン対応機能を備えた刺繍縫い装置とすることで課題を解決することができた。また、前記終了縫いデータを与えるための手段が、前記模様データを逆方向に順に与えるオーバラン対応機能を備えた刺繍縫い装置とすることで課題を解決することができた。そしてさらに、前記模様データによる刺繍縫いの終了の所定縫い目数手前で、前記縫い機構の速度を低減させる制御信号を出力し、その後に縫い機構を停止させるための制御信号を出力する手段を更に備えオーバラン対応機能を備えた刺繍縫い装置とすることで課題を解決することができた。
【0005】
【実施例】
以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1において、模様データ付与手段1からは刺繍すべき模様(図形、文字、記号等)に対応する模様データが付与されるようになっている。この模様データ付与手段1は通常はROMやRAM等の記憶装置である。同様に終了縫いデータ付与手段7から終了縫いデータが付与されるようになっている。この終了縫いデータはこの実施例では止め縫いデータになっており、所定の複数の異なる箇所を2〜5針程度縫わせるためのデータになっている。この終了縫いデータは模様データとは別個に用意したものでも良いし、模様データを例えば下から逆読みしたデータ等であっても良い。
制御手段2は該模様データに応じて駆動手段3を制御するようになっており、この駆動手段3には刺繍を施す対象である布等を保持するための刺繍枠等の保持手段4が連結され、制御手段2からの制御信号に応じて、この保持手段4がXY方向に移動するように構成されている。この保持手段4はミシン針機構51により縫い目形成が行われるように設置されるようになっている。該ミシンモータ装置50及びミシン針機構51はこの刺繍縫い装置Xに装着されているものでも良いし、或いは既存のミシンに付属しているものであっても良い。ミシンモータ装置50は、モータ及び該モータを駆動制御する装置等から構成されている。
模様データ付与手段1から与えられた模様データに対応する模様は表示手段6に表示されるようになっている。
ミシンの適所、例えば押え機構には位相検出手段5として反射型のホトカプラー等が装着されるようになっており、ミシン針機構51、即ちミシン針の上下方向の位置を検出するように構成されている。
制御手段2はミシンモータ装置50を制御するように構成されており、ミシンモータ装置50の停止、スタート、速度の制御を行うようになっている。
【0006】
制御手段2は刺繍縫いの開始に伴い、模様データ付与手段1から与えられた模様データに基づいて駆動手段3を制御して保持手段4をXY方向に移動させて刺繍縫いを行わせるようになっている。保持手段4の移動に際しては位相検出手段5からミシン針機構51の位相を検出し、針が上方に上がっているときに移動させるようになっている。
模様データ付与手段1からの模様データが終了した後に位相検出手段5からの信号によりミシン針機構51の停止がない場合には、模様データ付与手段1は終了縫いデータ付与手段7から終了データを読み出して保持手段4をXY方向に移動させて止め縫いを行わせるようになっている。
【0007】
模様データ付与手段1から供給される模様データと終了縫いデータ付与手段7から与えられる終了縫いデータの構造の一例を図2に示す。模様データは保持手段4をXY方向に移動させるためのXY制御データと、表示手段6に表示させるための表示データを備えている。そして、最終のデータの後ろには終了データが設けられている。
制御手段2は模様データ付与手段1からのXY制御データに基づいて保持手段4を駆動するようになっている。この際、前記したように位相検出手段5からの信号により、ミシン針機構51の針が上昇しているときに、保持手段4を移動させるようにタイミングをとるように構成されている。
制御手段2は同時に、模様データの先読みを行っており、終了データの所定縫い目数手前でミシン速度の減速信号をミシンモータ装置50に出力し、更に所定縫い目数手間でミシンの停止信号をミシンモータ装置50に出力するようになっている。該停止信号が出力された後、モータの慣性により所定数の縫いを行った後に、ミシン針機構51は停止する。
ミシン針機構51の停止と模様データの終了の時期が合わず、模様データが終了してもミシン針機構51が停止していない場合には、前記したように制御手段2は終了縫いデータを読みだして、これに基づいて保持手段4をXY移動させる。これにより、同一箇所を複数回縫う等の不具合を解消できる。
【0008】
制御手段2はまたXY制御データに対応したミシンモータ装置50の速度制御も行うようになっており、XYの移動量の小さな部分と大きな部分ではミシンモータ装置50の速度を変えるように制御するように構成されている。
【0009】
図3はこの刺繍縫い装置Xの具体的なブロック図、図4はミシンAに装着した状態の外観斜視図、図5は取外した状態の外観斜視図である。この実施例では刺繍縫い装置Xは既存のミシンAを利用して刺繍縫いを行う構成になっている。
刺繍枠19は図4に示すようにX−Y駆動機構24に支持され、XY方向に移動するようになっている。刺繍枠19は既存のミシンAのミシン針機構51の下側にセットされるように構成されており、ここに布を挟んでXY移動することにより刺繍縫いを実行するようになっている。
押え機構53には位相検出センサ18が設けられており、ミシン針機構51の位置、即ちミシン針の位置を検出して、ミシン針が上方に上がっているときに刺繍枠19を移動させるように構成されている。位相検出センサ18としてはホトセンサ等が使用可能であり、この信号は中央演算処理装置10に送られ、中央演算処理装置10はステッピングモータ駆動装置20を介してXモータ21とYモータ22を制御して、刺繍枠19をXY方向に移動させるように構成されている。
刺繍縫い装置XのミシンAへの装着の態様は種々のものが可能であるが、この実施例ではミシンAのフリーアームを狭持する狭持部25を設け、狭持ツマミ26により固定するようになっている。
【0010】
模様データ記憶装置11には模様データが記憶されており、この実施例では複数の模様の模様データが格納され、模様選択装置14により任意の模様をユーザが選択できるようになっている。模様データ記憶装置11は、この実施例では図4に示すようにROMカードになっており、スロットルに挿脱可能になっている。ユーザが選択した模様の模様データは選択模様記憶装置13に記憶され、この記憶された模様データに基づいて、中央演算処理装置10はステッピングモータ駆動装置20を制御して刺繍枠19をXY方向に制御するように構成されている。
この刺繍縫い装置Xには、表示装置17が設けられており、模様データ記憶装置11に格納された模様及び選択した模様の模様データの表示データに基づいて、模様を表示して、ユーザに具体的な模様の形状を示すように構成されている。該表示装置17の脇には前記した模様選択装置14が設けられ、ユーザは表示装置17を見ながら所望の模様を選択出来るように構成されている。
【0011】
終了縫いデータ記憶装置12には終了縫いデータが記憶されており、選択した模様の模様データが終了した後にミシン針機構51が稼働している場合に、この終了縫いデータ記憶装置12からの終了データに基づいて刺繍枠19をXY方向に移動させるようになっている。
なお、模様選択装置14の模様データを逆読みすることにより、これを終了縫いデータとすること等も可能である。
【0012】
中央演算処理装置10はケーブル等の駆動信号伝達装置23を介してミシンAのコントローラ接続端子52と接続しており、ミシン側のミシンモータ装置50の始動停止及び速度を刺繍縫い装置X側から制御するようになっている。
前記した表示装置17の側部には始動/停止/速度指令装置16が設けられており、ユーザの指令によりミシンモータ装置50を始動、停止、及びその速度を調整出来るようになっている。このミシンモータ装置50の駆動によるミシン針機構51の上下方向の位相は前記したように位相検出センサ18により検出され、ミシンモータ装置50の駆動のタイミングに応じてステッピングモータ駆動装置20を制御して刺繍枠19を移動させるようになっている。従って、ミシンモータ装置50が停止している時は、刺繍枠19も停止するように構成されている。
【0013】
中央演算処理装置10は選択模様記憶装置13に格納された模様データを先読みするようになっており、図2に示すように終了データを先読みして、ミシン駆動停止/速度制御プログラム記憶装置15に格納されたプログラムに基づいて、その所定縫い目手前からミシンモータ装置50を減速させ、更に所定縫い目手間において停止信号を出力して、ミシンモータ装置50を停止させるように構成されている。模様データが終了してもミシンモータ装置50及びミシン針機構51が停止しない場合には、中央演算処理装置10は終了縫いデータ記憶装置12から終了縫いデータを読みだして、このデータに基づいてステッピングモータ駆動装置20を制御し、刺繍枠19をXY方向に移動させるようなっている。
更に、模様の縫い目に対応するXY方向の移動量に応じて、ミシンモータ装置50の速度を自動的に調整するようになっており、同様にミシン駆動停止/速度制御プログラム記憶装置15に格納されたプログラムに基づいて自動的に速度調整を行うようになっている。
【0014】
次に図6により動作を説明する。
最初に刺繍縫い装置Xを図4に示すようにミシンA本体に装着し、駆動信号伝達装置23をコントローラ接続端子52に接続する。また、刺繍枠19をミシン針機構51の下方にセットする。そしてミシンA側の模様選択ダイヤル54を直線縫いに設定し、ドロップレバー55により送り歯をダウンさせておく。
刺繍縫い装置Xの装着が終了し、刺繍縫い装置Xの電源をオンとすると(ステップS1)、模様データ記憶装置11に記憶された模様を全て表示装置17に表示し(ステップS2)、ユーザが該表示装置17に基づいて模様選択を行う(ステップS3)。そしてユーザが始動/停止/速度指令装置16を押して始動すると(ステップS4)、中央演算処理装置10は駆動信号伝達装置23を介してミシンモータ装置50を制御してミシンをスタートさせ(ステップS5)、位相検出センサ18の信号をチェックし(ステップS6)、針が上方に上がっているときに、模様データのXY制御データを読みだして(ステップS7)、該制御データに基づいてステッピングモータ駆動装置20を介してXモータ21、Yモータ22を駆動制御し、刺繍枠19をXY方向に移動させる(ステップS8)。
模様データの終了が近づいたら(ステップS9)、ミシンモータ装置50を低速運転するように設定した上で、ミシンモータ装置50の停止信号を出力する(ステップS10)。そして、模様データの終了を確認し(ステップS11)、ミシンモータ装置50及びミシン針機構51の停止を確認する(ステップS12)。ミシンモータ装置50およびミシン針機構51が停止してたら、これで動作を終了し、停止していない場合には位相検出センサ18の信号をチェックし(ステップS13)、針が上方に上がっている時に、終了縫いデータ記憶装置12から終了縫いデータを読み出して(ステップS14)、該終了縫いデータに基づいて刺繍枠19を移動させる(ステップS15)。ステップS13〜S15の動作をミシンモータ装置50及びミシン針機構51が停止するまで繰り返し、これらが停止したら動作を終了する。
【0015】
以上説明した実施例においては、模様データが終了しても縫い機構が稼働している場合には、終了縫いデータに基づいて刺繍枠19をXY方向に移動させるため、同一箇所を多重に縫うことを防止でき、刺繍縫い目を損傷したりすることを未然に防ぐことが可能になる。
また上記実施例では刺繍縫い装置X側からミシンAを制御するようにしているため、模様データの終了に応答して、ミシンを自動的に停止することができ、そのため、操作者が常に刺繍の終了を監視して、ミシンモータを停止する等の手間が省ける。また縫い目の移動量に対応してミシンモータの速度を調整でき、効率的な刺繍縫いが可能になり、既存のミシンを利用した刺繍縫いを円滑に且つ効率よく行える等の効果がある。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のオーバラン対応機能を備えた刺繍縫い装置は、模様データが終了した後に縫い機構が稼働しても、終了縫いデータにより保持するための手段のXY方向への移動がなされるから、同一箇所を複数回縫う等の動作を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の一実施例における模様データの構造の説明図。
【図3】本発明の一実施例の具体的な構成を示すブロック図。
【図4】本発明の一実施例の外観斜視図であってミシンに装着した状態を示す。
【図5】本発明の一実施例の外観斜視図であってミシンから取外した状態を示す。
【図6】本発明の一実施例の動作を示すフローチャート図。
【符号の説明】
1:模様データ付与手段、2:制御手段、3:駆動手段、4:保持手段、5:位相検出手段、6:表示手段、7:終了縫いデータ付与手段、10:中央演算処理装置、11:模様データ記憶装置、12:終了縫いデータ記憶装置、13:選択模様記憶装置、14:模様選択装置、15:ミシン駆動停止/速度制御プログラム記憶装置、16:始動/停止/速度指令装置、17:表示装置、18:位相検出センサ、19:刺繍枠、20:ステッピングモータ駆動装置、21:Xモータ、22:Yモータ、23:駆動信号伝達装置、24:X−Y駆動機構、25:狭持部、26:狭持ツマミ、50:ミシンモータ装置、51:ミシン針機構、52:コントローラ接続端子、53:押え機構、54:模様選択ダイヤル、55:ドロップレバー。

Claims (4)

  1. 刺繍縫いを行える着脱可能な縫い機構を備えたミシンと、
    該縫い機構を備えたミシンを利用して刺繍縫いを行わせるために刺繍対象物を保持するための手段と、
    刺繍すべき模様に関して模様データを与えるための手段と、
    前記模様データによる縫い目形成の終了後にも前記縫い機構を備えたミシンの作動が停止するまでの縫いを行わせるために前記模様データの最終データに連続して所定回数の縫いを行わせるための終了縫いデータを与えるための手段と、
    前記縫い機構を備えたミシンの縫い動作の位相を検出するための手段と、
    前記検出する手段からの縫い動作の位相に対応して、該模様データに対応する移動量で、前記保持するための手段を移動させるための手段と、
    前記刺繍すべき模様の模様データの終了後にも前記縫い機構を備えたミシンの作動が停止しない場合、前記終了縫いデータに基づいて前記保持するための手段を移動させるための手段と、
    を備えたことを特徴とするミシンの縫い機構を利用する刺繍縫い装置。
  2. 前記終了縫いデータを与えるための手段が、終了縫いデータを記憶する手段である、
    請求項1に記載のオーバラン対応機能を備えた刺繍縫い装置。
  3. 前記終了縫いデータを与えるための手段が、前記模様データを逆方向に順に与える、
    請求項1に記載のオーバラン対応機能を備えた刺繍縫い装置。
  4. 前記模様データによる刺繍縫いの終了の所定縫い目数手前で、前記縫い機構の速度を低減させる制御信号を出力し、その後に縫い機構を停止させるための制御信号を出力する手段を更に備えた、
    請求項1ないし3の何れか一つに記載のオーバラン対応機能を備えた刺繍縫い装置。
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