JP3963359B2 - ポリエステル系樹脂発泡成形体の製造方法及びポリエステル系樹脂発泡粒子の保存方法 - Google Patents
ポリエステル系樹脂発泡成形体の製造方法及びポリエステル系樹脂発泡粒子の保存方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステル系樹脂発泡粒子成形体の製造方法及びポリエステル系樹脂発泡粒子の保存方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、軽量性、緩衝性、断熱性、成形性等に優れるプラスチック発泡体が、包装材、緩衝材等として多量に使用されてきた。一方、環境保護の観点から自然環境中で分解処理される生分解性プラスチックについて発泡分野における研究がなされ、生分解性を有する脂肪族ポリエステル系樹脂の発泡粒子成形体についての特許出願が数多くなされている。
【0003】
例えば、脂肪族ポリエステル樹脂粒子にプロパンとペンタンを発泡剤として含浸させて発泡性樹脂粒子とし、該発泡性樹脂粒子を水蒸気により加熱して発泡粒子とした後、該発泡粒子を金型内で加熱成形し、発泡粒子成形体を得る方法が特開平6-248106号公報(特許第2609795号)に記載されている。
該方法によれば、発泡粒子成形体を得ることができるものの、成形後の収縮が大きいという課題を残すものであった。
【0004】
また、少なくとも5重量%のゲル分率を有する脂肪族ポリエステル発泡粒子成形体が、特開平10−324766号公報に記載されている。
該発泡粒子成形体においては、成形後の収縮の問題は解決されたが、発泡粒子製造後の経過日数の違いにより、得られる発泡粒子の物性がばらつく等安定生産性において改良の余地を残すものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明方法は、生分解性を有し実用性に優れたポリエステル系樹脂発泡粒子成形体を、安定して得ることができる製造方法、また、特定の範囲内で保持することにより良好な発泡粒子成形体を安定して成形可能なポリエステル系樹脂発泡粒子の保存方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、発泡粒子のゲル分率、発泡粒子の発泡倍率、発泡粒子の平均気泡数が、成形後の収縮と安定生産性に大きな影響を与える要因であることをつきとめ、これらの要因を適正範囲内とすることにより上記課題を解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、下記に示すポリエステル系樹脂発泡粒子成形体の製造方法及びポリエステル系樹脂発泡粒子の保存方法が提供される。
[1]ポリエステル系樹脂を主成分とするゲル分率が35重量%以上の発泡粒子であり、そのゲル分率(Y:重量%)と発泡倍率(X)と平均気泡数(Z:個/mm2)が下記(1)式を満足する発泡粒子を、型内に充填して加熱成形することを特徴とするポリエステル系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
【数4】
Y≧0.8X+0.07Z+21 (1)
[2]前記発泡粒子が、ポリエステル系樹脂を主成分とする基材樹脂を、メルトフローレイト(MFR)が1〜20g/10分となるように造粒して樹脂粒子とし、該樹脂粒子をゲル化処理及び発泡せしめたものであって、該基材樹脂のMFRと樹脂粒子のMFRとが下記(2)式を満足することを特徴とする前記(1)記載のポリエステル系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
【数5】
[3]前記樹脂粒子が二軸押出機にて造粒して得られたものであることを特徴とする前記[2]記載のポリエステル系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
[4]前記発泡粒子の見掛け密度が0.03g/cm3以上であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリエステル系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
[5]ポリエステル系樹脂を主成分とするゲル分率が35重量%以上の発泡粒子を、そのゲル分率(Y:重量%)と発泡倍率(X)と平均気泡数(Z:個/mm2)が下記(3)式を満足するように保持することを特徴とするポリエステル系樹脂発泡粒子の保存方法。
【数6】
Y≧0.8X+0.07Z+21 (3)
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明方法においては、ポリエステル系樹脂を主成分とする発泡粒子を、型内に充填して加熱成形することによりポリエステル系樹脂発泡粒子成形体(以下、発泡粒子成形体という)を製造する。
【0008】
該ポリエステル系樹脂としては、主鎖に少なくとも35モル%の脂肪族エステル成分を含むものが好ましく、該ポリエステル系樹脂からなる発泡粒子を成形して得られた発泡粒子成形体は、好ましい生分解性を示す。
生分解性に優れているという観点からは、脂肪族エステル成分を、45モル%以上含むことがより好ましく、60モル%以上含むことが更に好ましい。また、該ポリエステル系樹脂中の主鎖中の脂肪族エステル成分の上限は100モル%である。
【0009】
該ポリエステル系樹脂としては、脂肪族ポリオール成分と脂肪族多価カルボン酸成分との重縮合体で、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等の脂肪族ポリエステル、特表平10−505620号公報に示されるような芳香族多価カルボン酸と脂肪族多価カルボン酸と脂肪族ポリオールとの重縮合により得られるポリ(ブチレンサクシネート/テレフタレート)等の脂肪族芳香族ポリエステル、ポリカプロラクトン等のラクトンの開環重合物、乳酸やヒドロキシ酪酸の重縮合物等のヒドロキシ酸重縮合物等が挙げられる。
【0010】
また、該ポリエステル系樹脂には、該ポリエステル系樹脂を連結剤を介して高分子量化したものや、分岐化剤を介して分岐化したもの、複数のポリマーをブレンドしたもの、炭酸ジエステル共重合物等も包含される。
【0011】
上記連結剤としては、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート等のアリールカーボネート等が挙げられる。
また、上記分岐化剤としては、ペンタエリトリット等の3価以上の脂肪族アルコール等が挙げられる。
【0012】
本発明方法では、特に、炭素数が4以下の1種又は2種以上の脂肪族ポリオール成分と炭素数が4以下の1種又は2種以上の脂肪族多価カルボン酸成分との重縮合物からなる脂肪族エステル成分を35モル%以上含むポリエステル系樹脂を用いるのが好ましい。尚、本明細書においてポリエステル系樹脂を主成分とする発泡粒子とは、ポリエステル系樹脂のみを基材樹脂とする発泡粒子及びポリエステル系樹脂に、本発明の目的、効果を阻害しない範囲でポリエステル系樹脂以外の重合体を基材樹脂の全重量に対して40重量%以下、好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下の割合で混合したものを基材樹脂とする発泡粒子を意味する。上記重合体としては、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体水添物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体水添物、エチレンプロピレンラバー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、でんぷん、セルロース等が挙げられる。
【0013】
本発明方法の発泡粒子を構成する基材樹脂は、例えば、黒、灰色、茶色、青色、緑色等の着色顔料又は染料を添加して着色したものであってもよい。着色した基材樹脂を用いれば、着色された発泡粒子成形体を得ることができる。
着色剤としては、有機系、無機系の顔料、染料などが挙げられる。このような、顔料及び染料としては、従来公知の各種のものを用いることができる。
【0014】
また、該基材樹脂には、気泡調整剤等として、例えば、タルク、炭酸カルシウム、ホウ砂、ほう酸亜鉛、水酸化アルミニウム等の無機物を添加することができる。
【0015】
該基材樹脂に着色顔料、染料又は無機物等の添加剤を添加する場合は、添加剤をそのまま基材樹脂に練り込むこともできるが、通常は分散性等を考慮して添加剤のマスターバッチを作り、それと基材樹脂とを混練することが好ましい。無機物、顔料又は染料の添加量は、通常、基材樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部とするのが好ましい。また、上記の無機物を基材樹脂に添加することにより、得られる発泡粒子の発泡倍率の向上効果を得ることができる。
【0016】
また、本発明では、基材樹脂へ難燃剤、帯電防止剤、耐候剤、増粘剤等の添加剤も混合することができる。
【0017】
本発明方法において用いる発泡粒子は、従来公知の方法を採用して、樹脂粒子を作製し、次いで該樹脂粒子を発泡することにより得られる。該樹脂粒子は、押出機により基材樹脂を溶融混練し、これをストランド状に押出して冷却後適宜の長さに切断するか、又はストランドを適宜の長さに切断後または切断と同時に冷却する方法等により得ることができる。使用できる押出機の種類としては、単軸押出機、二軸押出機でも使用できるが、低いせん断速度であっても混練性に優れることにより、基材樹脂、特にその主成分であるポリエステル系樹脂の分解を抑制し、後述するゲル化処理の際に効率良くゲル分率を高めることが可能となる理由から二軸押出機が好ましい。
【0018】
尚、基材樹脂から得られた樹脂粒子は加水分解が進行しないような環境下で保存することが好ましい。
【0019】
本発明方法において用いる樹脂粒子の1個当りの平均重量は、概ね0.5〜10mgであり、下限値が1mg以上が好ましく、2mg以上がより好ましい。一方、該平均重量の上限値は6mg以下が好ましく、4mg以下がより好ましい。該平均重量が重すぎると加熱成形時に発泡粒子の膨張性の加熱媒体温度による制御が行い難くなる虞があり、又、発泡粒子の加熱成形後の冷却時間が長くなり、得られる発泡粒子成形体の表面平滑性が損なわれる等の虞もある。特に発泡粒子の見掛け密度が小さいものにおいては発泡粒子の粒子径が大きくなり、金型に充填して加熱成形する場合の金型への充填性が低下する。一方、該平均重量が軽すぎると樹脂粒子自体の安定した製造が困難となり、樹脂粒子、更には該樹脂粒子から得られる発泡粒子の耐加水分解性が不十分なものとなる虞れがある。
【0020】
本明細書において樹脂粒子1個当りの平均重量は、樹脂粒子群(少なくとも樹脂粒子1000個以上を80℃のオーブン中で30〜40トールの減圧条件下にて8時間放置したもの)の重量を測定し、次に該粒子群を構成している樹脂粒子の個数を数え、該重量を該個数にて割り算することにより求まる値とする。
【0021】
また、樹脂粒子の形状については、樹脂粒子を発泡させて得られた発泡粒子を型内に充填し、加熱融着させて様々な形状の発泡成形体とすることができさえすれば、いかなる形状であってもよいが、特に球状、円柱状、円筒状、それらと略同様の形状であることが好ましい。
【0022】
該樹脂粒子は前記基材樹脂により構成されており、該基材樹脂は造粒工程において、必要以上に混練するとせん断応力がかかりすぎて基材樹脂が分解し、また、押出機の温度条件が高すぎても加熱しすぎで基材樹脂が分解する。いずれにしても基材樹脂の分解が進むことにより、後述するゲル化を効果的に行うことができない虞がある。
【0023】
基材樹脂の分解が進むとメルトフローレイト(MFR)の値が大きくなるので、MFRの値の変化が基材樹脂の分解の進み度合いの指標となる。従って、該MFRが造粒前に比べて造粒後、極端に大きくならないように造粒条件を設定する必要がある。
【0024】
また、樹脂粒子を構成する基材樹脂が吸湿性を有する場合、該基材樹脂を使用して押出成形により造粒するにあたり基材樹脂を予め乾燥させておくことが好ましい。また、水分による樹脂の劣化を抑制するために、ベント口付き押出し機を使用して、押出中に真空吸引して基材樹脂から水分を除去することも好ましい。これらの処理により、樹脂粒子の水分量を1000ppm以下にすることが好ましい。これらの処理が不十分な状態で樹脂粒子を造粒すると、該樹脂粒子より得られる発泡粒子に粗大な気泡が発生して気泡の均一性が損なわれたり、押出機で溶融混練する際に基材樹脂が分解し、メルトフローレイト(MFR)が極端に大きくなり、後述するゲル化処理を効果的に行うことができなくなる虞がある。
【0025】
このような観点から、本発明方法において樹脂粒子を安定して製造するためには、二軸押出機を使用し、基材樹脂の乾燥を予め行い、押出機中にて水分を真空脱揮することが好ましい。かかる方法によれば、製造環境(温度、湿度等)が変化しても樹脂粒子を安定的に製造することができ、延いては広範囲の見掛け密度にわたり耐加水分解性に優れた良好な発泡粒子が得られることに繋がる。
【0026】
本発明方法においては、前述したように二軸押出機を使用する等の手段により、基材樹脂の分解をできる限り防ぎながら樹脂粒子を製造することが好ましい。具体的には、基材樹脂のMFRと得られる樹脂粒子のMFRとが下記(2)式を満足するように樹脂粒子を造粒することが好ましい。
【0027】
【数7】
【0028】
上式(2)が満たされない場合は、基材樹脂の分解が進んでいることを意味し、後述するゲル化処理を行ってもゲル分率を十分に高い値とすることが難しくなる虞がある。
【0029】
また、本発明方法においては、上記式(2)を満足し、且つ、得られる樹脂粒子のメルトフローレイト(MFR)が1〜20g/10分となるように造粒することが好ましい。該MFRが1g/10分未満の場合は、該樹脂粒子から得られる発泡粒子の二次発泡性が不十分なものとなり易く、該発泡粒子から得られる発泡粒子成形体の表面平滑性等の外観が不十分となる虞れがある。
一方、樹脂粒子のMFRが20g/10分を超える場合は、該樹脂粒子から得られる発泡粒子の独立気泡率が低下する場合があり、該発泡粒子から得られる発泡粒子成形体の圧縮物性等の機械物性が不十分となる虞がある。
【0030】
本明細書において、基材樹脂及び樹脂粒子のMFRの測定方法は、JIS K7210:1999のA法に基づき、試験温度190℃、荷重21.18Nの条件にて求められる値である。
尚、基材樹脂が複数の樹脂の混合物である場合は、上記の通り求められる各樹脂のMFRと重量比から基材樹脂のMFRを算出する。例えばMFR=5g/10分の樹脂A30重量%とMFR=10g/10分の樹脂B70重量%との混合物のMFRは、5×0.3+10×0.7=8.5g/10分となる。
【0031】
本発明方法においては、前記基材樹脂を造粒して樹脂粒子とし、該樹脂粒子をゲル化処理してから発泡させて発泡粒子とし、又は、樹脂粒子を発泡させてからゲル化処理し、その後該発泡粒子を型内にて加熱成形する。該ゲル化処理とは、加熱クロロホルム不溶分として現れるゲルを発現させる(以下、ゲル化という。)処理を行うことをいい、樹脂粒子をゲル化するには、該樹脂粒子を構成しているポリエステル系樹脂又はこれを主成分とする樹脂をゲル化すればよい。
【0032】
本発明で用いるゲル化処理された発泡粒子のゲル分率、即ち、ゲル化処理された基材樹脂のゲル分率は35重量%以上であり、好ましくは40重量%以上、より好ましくは50〜95重量%、特に好ましくは70〜95重量%である。該ゲル分率が低すぎる場合は、該発泡粒子を加熱成形すると得られる発泡粒子成形体の収縮が大きなものとなり金型形状再現性の不十分なものとなる。また発泡粒子の耐加水分解性も不十分なものとなる。
【0033】
本明細書において発泡粒子のゲル分率は、以下のようにして測定する。
まず、試料として約1gの発泡粒子(樹脂粒子を測定する場合は樹脂粒子を、発泡粒子成形体を測定する場合は発泡粒子成形体を発泡粒子程度の大きさに切断したものを試料とする)を精秤して重量W3を求める。次に、150mlのフラスコに重量W3を精秤した該試料と100mlのクロロホルムを入れ、大気圧下で5時間、62℃で加熱還流した後、得られた加熱処理物が充分に熱い状態のうちに(50℃以上の状態)クロロホルム溶媒を100メッシュの金網を通過させて捨てる。慎重にクロロホルム溶媒を捨てる操作を行なえばフラスコの中に膨潤した試料が残存するが、膨潤した試料がフラスコから排出されてしまい100メッシュの金網上に存在する場合はその膨潤した試料をフラスコ中に戻す。次に膨潤した試料が残存するフラスコ中に新たな100mlのクロロホルムを加えて、再度、大気圧下で5時間、62℃で加熱還流した後、得られた加熱処理物が充分に熱い状態のうちに(50℃以上の状態)100メッシュの金網をろ材として吸引濾過する。最終的に得られた金網上のろ過処理物を80℃のオーブン中で30〜40トールの減圧条件下にて8時間放置することにより完全に乾燥させる。得られた乾燥物の重量W4を測定する。そして、この重量W4の重量W3に対する重量%((W4/W3)×100)をゲル分率とする。
【0034】
本発明方法におけるゲル化処理は、密閉容器内で樹脂粒子を分散媒とともに分散させ、架橋剤、必要に応じて架橋助剤を添加して加熱することにより実施することができる。分散媒としては、樹脂粒子を溶解させず、且つ分散媒に添加される添加剤と反応しないようなものであればどのようなものでもよい。このようなものとしては、例えば、水、エチレングリコール、メタノール、エタノール等が挙げられるが、通常は水が使用される。
【0035】
樹脂粒子を分散媒に分散せしめて加熱するに際し、その樹脂粒子相互の融着を防止するために融着防止剤を用いることが好ましい。この融着防止剤としては、分散媒に溶解せず、加熱によって溶融しないものであれば無機系、有機系を問わずに使用可能であるが、一般には無機系のものが好ましい。無機系の融着防止剤としては、リン酸三カルシウム、カオリン、タルク、マイカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、等の粉体或いは粒体が好適である。また、分散助剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤を好適に使用することができる。
【0036】
上記融着防止剤としては、平均粒径0.001〜100μmのものが好ましく、0.001〜30μmのものがより好ましい。融着防止剤の分散媒中への添加量は樹脂粒子100重量部に対し、通常は0.01〜10重量部が好ましい。また、分散助剤は、樹脂粒子100重量部に対し通常0.001〜5重量部の割合で分散媒中に添加することが好ましい。
【0037】
本発明で用いる架橋剤としては、従来公知の有機過酸化物を用いることができる。その炭素数は好ましくは2〜50、さらに好ましくは4〜30である。このようなものとしては、例えば、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等のパーオキシエステル等が挙げられる。
【0038】
本発明方法で用いる有機過酸化物は、特に、1時間の半減期を与える温度が基材樹脂の〔ビカット軟化温度−25℃〕〜〔ビカット軟化温度+10℃〕であるものが好ましい。具体的にはベンゾイルパーオキサイドが好ましく、水希釈のベンゾイルパーオキサイドが更に好ましい。分解温度が余りにも高い有機過酸化物を用いると、水中で樹脂粒子を加熱する場合に、その加熱温度が高くなるか加熱時間が長くなるため、基材樹脂が加水分解する虞があるので好ましくない。
【0039】
特に、有機過酸化物として水希釈のベンゾイルパーオキサイドを使用することより、得られる発泡粒子のゲル分率を容易に高くすることができ(容易にゲル分率50重量%以上、更には70重量%以上のものが得られる)、また、ゲル化処理での有機過酸化物の添加量を低減することができ、更に、有機過酸化物の含浸保持を行わなくても均一、且つ、十分にゲル化された発泡粒子を得ることができる。
【0040】
また、分散媒に有機化酸化物を添加して該ゲル化処理を行う場合、炭素数12〜25の脂肪酸の金属塩とN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミンなどのアミン系界面活性剤との混合物からなる添加剤を樹脂粒子中に0.15〜3重量%含有しているものを水希釈のベンゾイルパーオキサイド等からなる有機過酸化物にてゲル化処理をすることが、得られる発泡粒子のゲル分率向上やゲル化処理での有機過酸化物の添加量低減において極めて優れた効果を発揮するため好ましい。
【0041】
尚、本明細書において基材樹脂のビカット軟化温度は、JIS K7206(1999)に基づいて、A 50法にて伝熱媒体としてシリコーン油を用いて加熱浴槽を使用して測定される。
【0042】
また、本明細書において有機過酸化物のN時間の半減期を与える温度とは、一定温度で有機過酸化物を分解させた際、理論活性酸素量がN時間で当初の半分になるときの、その一定温度のことである。尚、有機過酸化物のN時間の半減期を与える温度は、ラジカルに対して比較的不活性な溶液(例えば、ベンゼンやミネラルスピリット等)を使用して、0.1mol/L濃度の有機過酸化物溶液を調整し、窒素置換を行なったガラス管内に密封し、所定温度にセットした恒温槽に浸し、熱分解させて測定される。
【0043】
本発明では、前記有機過酸化物の使用と関連して、架橋助剤として、分子内に少なくとも1個の不飽和結合を有する化合物を用いるのが好ましい。この場合の不飽和結合には、2重結合の他、3重結合も包含される。その炭素数は好ましくは2〜500、さらに好ましくは3〜50である。このような架橋助剤としては、アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル;スチレン等の不飽和結合を1個有するもの、ジビニルベンゼン等のジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等のアクリレート系又はメタクリレート系の化合物;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のシアヌール酸又はイソシアヌール酸のアリルエステル;トリメリット酸トリアリルエステル、トリメシン酸トリアリルエステル、ピロメリット酸トリアリルエステル、ベンゾフェノンテトラカルボン酸トリアリルエステル、シュウ酸ジアリル、コハク酸ジアリル、アジピン酸ジアリル等のカルボン酸のアリルエステル;N−フェニルマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド等のマレイミド系化合物;1,2−ポリブタジエン等の2重結合を有するポリマー;フタル酸ジプロバギル、イソフタル酸ジプロバギル、トリメシン酸トリプロバギル、イタコン酸ジプロバギル、マレイン酸ジプロバギル等の2個以上の3重結合を有する化合物等が挙げられる。
【0044】
本発明方法においては、有機過酸化物と、ジビニル化合物、アクリル酸、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルとの組合わせ、殊にベンゾイルパーオキサイドと、ジビニルベンゼンまたはメタクリル酸メチルとの組合わせを用いてゲル化処理をすることが好ましい。
【0045】
ゲル化処理に用いる有機過酸化物の使用割合は、樹脂粒子100重量部当り、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合である。また、架橋助剤として用いる不飽和化合物の使用割合は、樹脂粒子100重量部当り、0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜2重量部である。
【0046】
分散媒中において架橋剤の存在下で樹脂粒子を加熱しゲル化処理を行う場合、その加熱温度は、樹脂粒子の基材樹脂の種類により異なり一義的に決めることは困難であるが、一般的には、その基材樹脂のビカット軟化温度よりも60℃程度低い温度を基準として、その温度以上の温度である。例えば、基材樹脂が1,4−ブタンジオール成分とコハク酸成分とからなるポリエステル樹脂(ビカット軟化温度:109℃)の場合、その加熱温度は、50〜140℃、好ましくは90〜120℃である。
【0047】
前記樹脂粒子は、前記分散媒中における有機過酸化物の存在下での加熱により、ゲル化される。但し、加熱条件下での長時間保持は基材樹脂の加水分解を進行させ、またゲルの発現性、樹脂物性を悪くすることから、ゲル化処理時間としては3時間未満にすることが好ましい。
【0048】
また、本発明においては、樹脂粒子をゲル化させるための加熱温度未満の温度にて有機過酸化物等を樹脂粒子に含浸させることが好ましい。その含浸温度は、基材樹脂の種類により異なり一義的に決めることは困難であるが、有機過酸化物の20時間の半減期を与える温度から5時間の半減期を与える温度までの範囲から選択されることが好ましい。含浸時間は、樹脂粒子の粒子重量によっても異なってくるが、好ましくは10〜120分、更に好ましくは10〜60分である。有機過酸化物を樹脂粒子に含浸させる際においても、上記温度に長時間保持することは含浸性が向上する反面、基材樹脂の加水分解が進行する虞があるため好ましくない。また、含浸時間が短い場合、得られる発泡粒子内部のゲル分率が低くなる。尚、前述の通り有機過酸化物の種類によっては含浸時間を設けず、すなわち含浸保持せずに十分にゲル化された発泡粒子を得ることができるものもある。
【0049】
ゲル化樹脂粒子は、例えば、樹脂粒子が1,4−ブタンジオール成分とコハク酸成分とからなるポリエステル樹脂(ビカット軟化温度:109℃)、有機過酸化物が過酸化ベンゾイルの場合、その含浸温度は65〜85℃、好ましくは70〜80℃、また含浸時間は10〜120分、好ましくは10〜60分とすることにより得ることができる。
【0050】
また、樹脂粒子を密閉容器内で、有機過酸化物、必要に応じて更に架橋助剤を添加して反応させる場合、密閉容器内の酸素濃度を低くすることが好ましい。好ましい酸素濃度としては5体積%以下、さらに好ましくは1体積%以下である。酸素濃度を低くする方法としては、無機ガス、例えば窒素ガス、アルゴンガス、水蒸気等でパージする方法等が挙げられるが、その他どのような方法でも採用できる。また、使用する分散媒として、溶存酸素濃度が9.5mg/L以下、更に8.5mg/L以下のものが好ましい。
【0051】
以上、樹脂粒子を有機過酸化物を用いてゲル化する方法について示したが、本発明方法におけるゲル化処理は、有機過酸化物を用いるものに限らず、他の公知の方法、例えば、電子線架橋法、シラン架橋法、ポリイソシアネート架橋法等を用いて樹脂粒子製造後又は発泡粒子製造後等、適当なタイミングでゲル化処理を組み込み行うことにより最終的にゲル化発泡粒子とすることができる。
【0052】
本発明方法においては、樹脂粒子を発泡させる。この場合の樹脂粒子の発泡方法としては、その樹脂粒子を密閉容器内において発泡剤の存在下で前記したものと同様の分散媒に分散させるとともに、その内容物を加熱して樹脂粒子を軟化させてその粒子内に発泡剤を含浸させ、次いで容器の一端を開放し、容器内圧力を発泡剤の蒸気圧以上の圧力に保持しながら樹脂粒子と分散媒とを同時に容器内よりも低圧の雰囲気(通常は大気圧の雰囲気)に放出して発泡させる発泡方法を好ましく採用することができる。
【0053】
また、他の方法として、樹脂粒子に密閉容器内で発泡剤を含浸させて発泡性樹脂粒子を得た後、これを密閉容器から取出し、その樹脂粒子を加熱軟化させて発泡させる方法、あらかじめ分解型発泡剤を樹脂粒子中に練り込んでおきその樹脂粒子を発泡剤の分解温度以上に加熱して加熱軟化させて発泡させる方法等を用いることもできる。
【0054】
本発明方法においては、上記過酸化物による樹脂粒子のゲル化処理を行なう場合、ゲル化と発泡を連続的に一連の工程で行ない、製造サイクルを短縮することが好ましい。製造サイクルが短縮されると、生産性が向上し、樹脂粒子の加水分解が抑制されるといった効果がある。この場合、有機過酸化物、必要に応じて前記架橋助剤を添加し、前記ゲル化処理を終了させた後、発泡剤を添加して発泡剤を樹脂粒子に含浸させて発泡させる方法、又は、架橋剤等を添加すると同時に発泡剤も添加し、それらを樹脂粒子に含浸させてゲル化処理を終了させた後に発泡させる方法等の方法が採用できる。
【0055】
上記樹脂粒子を発泡させるに際して用いられる発泡剤としては、従来公知のもの、例えば、プロパン、ブタン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、トリフロロメタン、1,1,1,2−テトラフロロエタン、1−クロロ−1,1−ジフロロエタン、1,1−ジフロロエタン、1−クロロ−1,2,2,2−テトラフロロエタン等の有機系の物理発泡剤や、窒素、二酸化炭素、アルゴン、空気、水等の無機系の物理発泡剤が用いられるが、なかでもオゾン層の破壊がなく且つ安価な無機系の物理発泡剤が好ましく、特に窒素、二酸化炭素、空気が好ましい。
【0056】
前記発泡方法における発泡剤の使用量としては、5〜100kgf/cm2Gの圧力範囲になるように密閉容器内に圧入すればよい。これらの発泡剤の使用量は、所望する発泡粒子の見掛け密度と発泡温度との関係から適宜選定される。尚、発泡剤としての水は分散媒を水として使用するだけでよい。また、その際の樹脂粒子の加熱温度は、発泡剤をその粒子内に含浸させるのに適した温度であればよく、その樹脂粒子の〔ビカット軟化温度−25℃〕〜〔ビカット軟化温度+30℃〕の温度が採用される。
【0057】
上記発泡剤が含浸している樹脂粒子を密閉容器から低圧域に放出する際の温度、すなわち発泡温度は、通常、基材樹脂のビカット軟化温度±30℃、好ましくは〔ビカット軟化温度−30℃〕〜〔ビカット軟化温度+20℃〕である。特に発泡温度を基材樹脂の〔ビカット軟化温度−10℃〕以下とすることにより、発泡粒子のブロッキング防止、独立気泡率の低下防止等の効果を得ることができる。
【0058】
本発明方法における発泡粒子は、通常、見掛け密度が0.015〜0.15g/cm3のものであり、見掛け密度が0.03g/cm3以上であることが好ましく、0.03〜0.09g/cm3がより好ましく、0.04〜0.09g/cm3が更に好ましい。密度が0.03g/cm3以上の場合は、発泡粒子の耐加水分解性が特に向上したものとなる。なお、ポリエステル系樹脂発泡粒子において、その加水分解が進むと該発泡粒子の型内加熱成形性が低下してしまい、外観及び物性の面において良好な発泡粒子成形体が得られなくなってしまう。
【0059】
なお、密度が0.03g/cm3未満の発泡粒子は、後述する二段発泡等の多段発泡を行うことにより、独立気泡率が高く高品質のより見掛け密度の小さな発泡粒子を得ることができる。
よって、発泡粒子の加水分解を抑制するために見掛け密度0.03g/cm3以上の状態にて保存して、見掛け密度の小さい発泡粒子が必要な場合は、保存している該発泡粒子を多段発泡させて小さな見掛け密度の発泡粒子とすることにより、不必要な発泡粒子の加水分解の進行を遅らせて発泡粒子の良好な成形性を維持させることができる。
【0060】
本明細書における発泡粒子の見掛け密度は、23℃の水の入ったメスシリンダーを用意し、該メスシリンダーに相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日放置した500個以上の発泡粒子(発泡粒子群の重量W1)を金網などを使用して沈めて、水の水位上昇分から読み取ることができる発泡粒子群の容積V1(cm3)にてメスシリンダーに入れた発泡粒子群の重量W1(g)を割り算することにより求める(W1/V1)。
【0061】
なお、本明細書における発泡粒子の発泡倍率(X)は、基材樹脂の密度(g/cm3)を上記発泡粒子の見掛け密度で割り算することにより求める。
【0062】
また、本発明方法における発泡粒子の平均気泡数(Z)は、5〜2000個/mm2、更に5〜1500個/mm2、特に5〜1000個/mm2であることが好ましい。該気泡数がこれらの範囲ならば、得られる発泡粒子成形体の表面平滑性、寸法安定性において優れたものとなる。
【0063】
本明細書において発泡粒子の平均気泡数(Z)の測定は、以下のようにして行う。即ち、発泡粒子を略2分割し、その一方の断面を観察して、全気泡数を数え、全気泡数を数えた該発泡粒子の断面積にて割る(全気泡数/発泡粒子断面積)ことにより単位面積当りの気泡数を算出し、同様の操作を任意に選んだ30個の発泡粒子について行いその算術平均値を発泡粒子の平均気泡数(Z)とする。
【0064】
本発明方法における発泡粒子の平均気泡数(Z)の調整は、基材樹脂への気泡調整剤の添加、発泡時の雰囲気温度、発泡時の密閉容器からの放出速度などを調整することによりできる。例えば、平均気泡数を大きく調整する場合は、発泡時の雰囲気温度を常温よりも高めに設定すること、発泡時の密閉容器からの放出速度を速くすること等によりコントロールする。
【0065】
本発明方法において用いる発泡粒子は、そのゲル分率(Y:重量%)と発泡倍率(X)と平均気泡数(Z:個/mm2)が下記(1)式を満足する。係る発泡粒子は、加熱成形時の膨張性や融着性に優れ、良好な発泡粒子成形体を安定して製造することができ、得られた発泡粒子成形体は成形後ほとんど収縮することがなく、良好な機械的物性を示すものとなる。
【0066】
【数8】
Y≧0.8X+0.07Z+21 (1)
【0067】
上記(1)式は、実験結果を積み重ねて得られた経験式である。該(1)式から、発泡粒子のゲル分率(Y)は、発泡粒子の発泡倍率(X)と強い相関性があり、発泡粒子の平均気泡数(Z)とは弱い相関性があることがわかる。即ち、ある平均気泡数(Z)の発泡粒子に対して目的とする発泡倍率(X)の成形性に優れた発泡粒子であるためには、ゲル分率が(1)式で定まるYでなければならないことがわかる。また、ある平均気泡数(Z)の発泡粒子のゲル分率がYである場合、(1)式で定まる発泡倍率(X)以下の発泡粒子でなければ成形性に優れたものではないこともわかる。
【0068】
本発明方法においては、前記発泡粒子を多段発泡方法により発泡倍率を高めること(見掛け密度を減少させること)ができる。但し、発泡粒子のゲル分率(Y)と平均気泡数(Z)によって定まる発泡倍率(X)以上に発泡倍率(X)を高めると得られる発泡粒子の成形性が悪化するので注意を要する。
【0069】
前記(1)式はこのような意味を有するので、(1)式を満足する発泡粒子は加熱成形時の膨張性や融着性に優れ、該発泡粒子を用いて加熱成形を行えば、生分解性を有すると共に優れた物性の発泡粒子成形体を安定して得ることができる。
【0070】
なお、前記多段発泡方法は、次のように行う。
まず、見掛け密度が0.03g/cm3以上、好ましくは見掛け密度が0.06〜0.14g/cm3、特に見掛け密度が0.06〜0.10g/cm3の発泡粒子を、前述したいずれかの方法でひとまず製造する。次に、該発泡粒子の内部に空気、窒素、二酸化炭素等の無機ガスあるいはブタン、プロパン、ペンタン等の脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等の物理発泡剤として使用されるガスを圧入し、発泡粒子の気泡内の内圧を高める(発泡粒子の内圧は0.2〜7kgf/cm2とすることが好ましい。)。次に、内圧が高められている発泡粒子を水蒸気等の加熱媒体を使用して加熱軟化させることにより、更に該発泡粒子を膨張発泡させる。
尚、発泡粒子の内部にガスを圧入する方法としては、密閉容器内に発泡粒子を入れてガスを圧入して加圧保持する方法が好ましく採用される。
【0071】
この多段発泡においては、上記物理発泡剤の中でも安価な空気、二酸化炭素等の無機ガスが内圧付与用ガスとして好適に用いられる。この多段発泡方法により発泡粒子は、上記(1)式で定まるゲル分率(Y)を有することを前提として、好ましくは見掛け密度が0.01〜0.07g/cm3となるように更に発泡され、より好ましくは見掛け密度が0.02〜0.06g/cm3となるように更に発泡される。
【0072】
多段発泡方法において、内圧を付与せしめた発泡粒子を加熱するために用いる加熱媒体としては、通常水蒸気が使用されるが、圧縮空気と水蒸気を混合し温度を調整した加熱媒体により加熱することもできる。このような混合媒体を使用することにより、発泡粒子の気泡膜の溶融を防ぐことができ、多段発泡による独立気泡率の低下を防止できる効果がある。
【0073】
また、該多段発泡方法において内圧を付与せしめた発泡粒子を加熱用容器内に導入した後、加熱媒体を導入することなどにより、発泡粒子の発泡倍率は向上するが、特に該容器内を減圧した後、次いで加熱媒体を導入することにより、より優れた発泡倍率向上効果が得られる。
【0074】
該多段発泡を行う場合の加熱媒体の温度は、基材樹脂の〔ビカット軟化温度−30℃〕〜〔ビカット軟化温度−5℃〕、好ましくは〔ビカット軟化温度−25℃〕〜〔ビカット軟化温度−10℃〕である。この値よりも高い温度では、発泡粒子同士が融着する虞や、発泡粒子の独立気泡率が低下する虞がある。上記温度の加熱媒体を得るためには、水蒸気と空気との混合加熱媒体を用いて両者の混合比を調節することが最も有利な方法である。
【0075】
本発明の保存方法においては、前記本発明方法によって得られた発泡粒子を、加熱成形に供して発泡粒子成形体を製造するまで、該発泡粒子のゲル分率(Y:重量%)と、発泡粒子の発泡倍率(X)と、発泡粒子の平均気泡数(Z:個/mm2)が下記(3)式を満足するように保持する。
【0076】
【数9】
Y≧0.8X+0.07Z+21 (3)
【0077】
このように保存された発泡粒子は上記(3)式と同様の前記(1)式を満足するので、製造後長期間が経過した後であっても該発泡粒子を用いて加熱成形することにより、生分解性を有すると共に優れた物性の発泡粒子成形体を安定して得ることができる。
【0078】
上記発泡粒子の保存は、温度と湿度がポリエステル系樹脂の加水分解反応が進行しずらい条件になってさえいればよい。そのような条件を維持するための積極的な方法としては、(1)保存環境を空調設備、除湿剤等にてコントロールする方法、(2)発泡粒子を防湿袋中にて保存する方法等が好適である。
【0079】
発泡粒子保存時の温度及び湿度条件としては、使用されるポリエステル系樹脂の種類と発泡粒子型内成形までの保持期間の設定により左右されるが、発泡粒子の保存期間が1ヶ月以内の場合は、相対湿度80%の条件下では温度25℃以下、温度30℃の条件下では相対温度40%以下の条件にて保存することが好ましい。
【0080】
更に、以下の通り、各温度および湿度における発泡粒子の良好な発泡粒子成形体を安定して成形することができる保存日数の限界(以下、使用可能日数と言う。)を割り出すこともできる。
例えば、基材樹脂が1,4−ブタンジオールとコハク酸とを主成分とする脂肪族ポリエステル樹脂である発泡粒子において、粒子重量2.5〜3.5mg、ゲル分率60〜70重量%、発泡倍率37〜50倍のものの場合、その発泡粒子の温度40℃、相対湿度80%の条件下での使用可能日数は10日、温度40℃、相対湿度40%の条件下での使用可能日数は28日、温度30℃、相対湿度80%の条件下での使用可能日数は25日、温度23℃、相対湿度50%の条件下での使用可能日数は60日である。これらの実験データを基にグラフを作成することにより、温度、湿度、使用可能日数(日)との関係をあらわす下記経験式(8)が導かれる。
【0081】
具体的には、各温度における絶対湿度h(相対湿度(%)を絶対湿度h(g/m3)に変換)と使用可能日数の対数値との関係をあらわすグラフは下記経験式(6)の通りとなる。
【0082】
【数10】
使用可能日数=10α
α=−2.244h+β (6)
【0083】
式(6)の通り、各温度における絶対湿度hと使用可能日数の対数値との関係は傾きがほぼ同じで切片が異なる式となる。
【0084】
次に、各温度と各温度における式(6)の切片βの値をグラフ上にプロットし温度t(℃)と切片βとの関係を求めると式(7)の通りとなる。
【0085】
【数11】
β=−0.014t+2.431 (7)
【0086】
ゆえに、式(6)及び式(7)より、下記(8)式が得られる。
【0087】
【数12】
使用可能日数=10α
α=−2.244h−0.014t+2.431 (8)
【0088】
尚、式(8)において温度tの範囲は概ね60℃以下、好ましくは20〜40℃である。
上記式(8)を導くことは、良好な発泡粒子成形体を製造する上での発泡粒子の管理において非常に有効である。
【0089】
本発明の発泡粒子成形体の製造方法においては、前記発泡粒子を型内に充填して加熱成形することにより発泡粒子成形体が得られる。該加熱成形の方法としては、該発泡粒子を金型に充填して加熱する方法や該発泡粒子を上下の無端ベルト間に形成される型内に充填して加熱する方法などが挙げられる。この加熱により発泡粒子は相互に融着し一体となった発泡粒子成形体となる。
【0090】
上記発泡粒子成形時の加熱手段としては、通常、スチーム加熱が用いられ、その加熱温度は、発泡粒子表面が溶融する温度であればよい。また、型内に充填する発泡粒子に多段発泡を行う際の発泡粒子の前処理と同様にして予め空気等の無機ガス等により、内圧を付与しておくと発泡粒子の成形性、発泡粒子成形体の成形後の形状回復性が向上する。該内圧は通常0.2〜2.5kgf/cm2の範囲内で付与する。
【0091】
尚、本明細書において発泡粒子の内圧は下記(4)式により求められる。
【0092】
【数13】
【0093】
前記(4)式中の増加気体量(g)は次のように求める。
内圧を付与した発泡粒子を500個以上取り出して60秒以内に相対湿度50%、23℃の大気圧下の恒温室に移動し、その恒温室内の秤に乗せ、該発泡粒子を取り出して120秒後の重量を読み取る。このときの重量をQ(g)とする。次に、該発泡粒子を相対湿度50%、23℃の大気圧下の同恒温室内にて240時間放置する。発泡粒子内の高い圧力の気体は時間の経過とともに気泡膜を透過して外部に抜け出すため発泡粒子の重量はそれに伴って減少し、240時間後では平衡に達しているため実質的にその重量は安定している。上記240時間後の該発泡粒子の重量を同恒温室内にて測定し、このときの重量をS(g)とする。上記のいずれの重量も0.0001gの位まで読み取るものとする。この測定で得られたQ(g)とS(g)の差を(4)式中の増加気体量(g)とする。
【0094】
また前記(4)式において、Tは絶対温度を意味し、23℃の雰囲気が採用されているので、ここでは296(°K)の定数である。Rは気体定数であり、ここでは0.082(atm・L/(°K・モル))の定数である。Fは、圧力をatm単位からkgf/cm2単位に換算するための係数であり、ここでは1.0332(kgf/(cm2・atm))が採用される。発泡粒子の内圧付与に使用した気体の分子量は、気体として空気を用いた場合、空気の分子量28.9(g/モル)が採用される。尚、発泡粒子内の気体体積は下記(5)式より求められる値である。
【0095】
【数14】
【0096】
尚、前記(5)式中の発泡粒子の重量(g)は上記したS(g)であり、また発泡粒子の見掛け密度は、前記の方法にて求められる発泡粒子の見掛け密度が採用される。
【0097】
本発明の発泡粒子成形体の製造方法により得られる発泡粒子成形体の形状は特に制約されず、その形状は、例えば、容器状、板状、筒体状、柱状、シート状、ブロック状等の各種の形状にすることができる。また、該発泡粒子成形体の密度は、好ましくは0.012〜0.06g/cm3のものであり、寸法安定性、表面平滑性において優れたものである。
【0098】
本明細書において発泡粒子成形体の密度(g/cm3)は、23℃、1atm、相対湿度50%の条件にて2日間放置した成形体の体積VM(cm3)にて成形体重量WM(g)を割り算する(WM/VM)ことにより求められる値である。
【0099】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0100】
実施例1
基材樹脂(1,4−ブタンジオールとコハク酸を主成分とする脂肪族ポリエステル樹脂:ビオノーレ#1001)(昭和高分子(株)製、融点112℃、ビカット軟化温度109℃、MFR(190℃、荷重21.18N)1.2g/10min、密度1.26g/cm3)と、気泡調整剤としてのタルク(松村産業(株):ハイフィラー♯12)、着色剤としてのフタロシアニングリーン系顔料とを二軸押出機にて溶融混練した後、ストランド状に押出し、次いでこのストランドを切断して、直径約1.0mm、長さ約2.5mm、1個当り平均重量が2.5mgの樹脂粒子を得た。なお、フタロシアニングリーン系顔料は、基材樹脂中の含有量が20ppmとなり、且つ、均一に分散するようにマスターバッチで添加した。
【0101】
得られた樹脂粒子のMFR、及び基材樹脂のMFRに対する樹脂粒子のMFRの比を表1に示す。
【0102】
次に、この樹脂粒子100重量部、水300重量部、酸化アルミニウム0.5重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.004重量部、ナイパーFF(フタル酸ジシクロヘキシル希釈過酸化ベンゾイル、過酸化ベンゾイル純度50%品:日本油脂(株)製)1.5重量部、表1に示す量のメタクリル酸メチル(MMA)(試薬:関東化学(株)製)を5リットルのオートクレーブに仕込み、窒素ガスを5分間導入しオートクレーブ内の酸素を除去した。そして、撹拌しながら75℃まで昇温し同温度で20分間保持した後、次いで105℃まで加熱し、発泡剤としての炭酸ガスをオートクレーブ圧力が40kgf/cm2Gとなるまで注入し、同温度で45分間保持した後、その後、表1に示す発泡温度まで内容物を冷却し、同温度で5分間保持した後、オートクレーブの一端を開放すると共に、オートクレーブに窒素ガスを導入してオートクレーブ内圧力を維持しながら内容物を大気圧下に放出してゲル化した樹脂粒子を発泡させて発泡粒子を得た。得られた発泡粒子の見掛け密度を表1に併せて示す。
【0103】
次いで、得られた発泡粒子を密閉容器内に充填して空気により加圧し、表2に示す内圧(1)を発泡粒子に付与した。その後、該発泡粒子を加熱のためのスチーム供給装置と連結した他の容器内に充填した後、容器内を表2に示す圧力まで減圧してから、水蒸気と圧縮空気とを混合した表2に示す加熱媒体温度の加熱媒体(スチームと空気の混合物)により加熱し二段発泡させることにより、さらに膨張した発泡粒子を得た。得られた発泡粒子を、気温23℃、相対湿度50%の条件下で1日間保持し、又は、気温40℃、相対湿度80%の条件下で14日間保持し各々成形用の発泡粒子A又は成形用の発泡粒子Bを得た。これらの成形用の発泡粒子の発泡倍率(X)、平均気泡数(Z)、ゲル分率(Y)、「0.8X+0.07Z+21」の値を表2に併せて示す。
【0104】
次いで、得られた成形用の発泡粒子A及びBを、密閉容器内に充填し、空気により加圧し0.6kg/cm2の内圧を付与した後、250×300×60mmの金型に充填し、表2に示す成形温度のスチームで加熱し成形し、該成形体を大気圧下40℃で24時間養生し発泡粒子成形体を得た。成形用の発泡粒子Bについて成形性の評価を行ない、結果を表2に示す。また、成形用の発泡粒子Aから得られた発泡粒子成形体の物性変化度合いを評価した結果及び密度の測定結果を表2に併せて示す。
【0105】
実施例2〜5
実施例2〜4においては、実施例1と同様に樹脂粒子を得た。実施例5においては、単軸押出機を用いたこと以外は、実施例1と同様に樹脂粒子を得た。得られた樹脂粒子のMFR、及び基材樹脂のMFRに対する樹脂粒子のMFRの比を表1に示す。
【0106】
次いで、表1に示す量のメタクリル酸メチル(MMA)(試薬:関東化学(株)製)を仕込んだこと以外は、実施例1と同様に発泡粒子を得た。得られた発泡粒子の見掛け密度を表1に併せて示す。
【0107】
次いで、得られた発泡粒子を密閉容器内に充填して空気により加圧し、表2に示す内圧(1)を発泡粒子に付与したこと以外は、実施例1と同様に成形用の発泡粒子A及びBを得た。これらの成形用の発泡粒子の発泡倍率(X)、平均気泡数(Z)、ゲル分率(Y)、「0.8X+0.07Z+21」の値を表2に併せて示す。
【0108】
次いで、得られた成形用の発泡粒子A及びBを、実施例1と同様に金型にて加熱成形し、養生して発泡粒子成形体を得た。実施例1と同様にして得た、発泡粒子の成形性、発泡粒子成形体の物性変化度合い等の結果を表2に併せて示す。
【0109】
比較例1、2
単軸押出機を用いたこと以外は、実施例1と同様に樹脂粒子を得た。得られた樹脂粒子のMFR、及び基材樹脂のMFRに対する樹脂粒子のMFRの比を表1に示す。
尚、樹脂粒子を得る造粒条件において、比較例1は比較例2よりも樹脂の吐出量を上げて大きな剪断力が溶融樹脂に加わる条件にて造粒した。
【0110】
次いで、表1に示す量のメタクリル酸メチル(MMA)(試薬:関東化学(株)製)を仕込んだこと以外は、実施例1と同様に発泡粒子を得た。得られた発泡粒子の見掛け密度を表1に併せて示す。
【0111】
次いで、得られた発泡粒子を密閉容器内に充填して空気により加圧し、表2に示す内圧(1)を発泡粒子に付与したこと以外は、実施例1と同様に成形用の発泡粒子A及びBを得た。これらの成形用の発泡粒子の発泡倍率(X)、平均気泡数(Z)、ゲル分率(Y)、「0.8X+0.07Z+21」の値を表2に併せて示す。
【0112】
次いで、得られた成形用の発泡粒子A及びBを、実施例1と同様に金型にて加熱成形し、養生して発泡粒子成形体を得た。実施例1と同様にして得た、発泡粒子の成形性、発泡粒子成形体の物性変化度合い等の結果を表2に併せて示す。
【0113】
【表1】
【0114】
【表2】
【0115】
表2における成形性及び物性変化の度合の評価方法は次の通りである。
[成形性]
発泡粒子製造後、気温40℃、相対湿度80%の条件下で14日間保持した発泡粒子を使用して発泡粒子成形体を成形して成形性の評価を行った。発泡粒子の成形は、上記条件にて14日間保持した発泡粒子を、密閉容器内に充填し、空気により加圧し0.6kg/cm2の内圧を付与した後、250×300×60mmの金型に充填し、表2に示す成形温度のスチームで加熱する方法で成形し、得られた成形体を大気圧下40℃で24時間養生して発泡粒子成形体とした。得られた発泡粒子成形体の表面および内部を目視により観察して以下の基準にて評価した。
○:発泡粒子成形体表面に皺や凹凸が殆ど無く良好な外観を示し、発泡粒子成形体の内部にも空隙が見られない。
△:発泡粒子成形体表面の皺、凹凸、発泡粒子成形体内部の空隙のいずれかが少なくとも見られる。
【0116】
[物性変化の度合]
発泡粒子製造後、気温23℃、相対湿度50%の条件下で1日間保持した発泡粒子を使用して発泡粒子成形体を成形し、得られた発泡粒子成形体について物性変化の度合の評価を行った。発泡粒子の成形は、上記条件にて1日間保持した発泡粒子を、密閉容器内に充填し、空気により加圧し0.6kg/cm2の内圧を付与した後、250×300×60mmの金型に充填し、表2に示す成形温度のスチームで加熱する方法で成形し、得られた成形体を大気圧下40℃で24時間養生して発泡粒子成形体とした。得られた発泡粒子成形体において、養生完了直後のものの圧縮硬さと、気温40℃、相対湿度80%の条件下で100日間保持したものの圧縮硬さを測定し、圧縮硬さ変化率[圧縮硬さ変化率=(養生完了直後の発泡粒子成形体の圧縮硬さ−100日間保持した発泡粒子成形体の圧縮硬さ)×100/養生完了直後の発泡粒子成形体の圧縮硬さ]を求め以下の基準にて評価した。尚、発泡粒子成形体の圧縮硬さはJIS K6767−1976にて求められる25%圧縮硬さ(kgf/cm2)の値である。
○:圧縮硬さ変化率が10%以下
△:圧縮硬さ変化率が10%を超える
【0117】
実施例1〜5で得られた成形用の発泡粒子A及びBにおいては、ゲル分率(Y)と、発泡倍率(X)と、平均気泡数(Z)が前記(1)式を満足しているのに対し、比較例1,2で得られた成形用の発泡粒子A及びBにおいては、前記(1)式を満足していない。その結果、実施例1〜5で得られた発泡粒子は成形性に優れ、成形後の物性変化度合いも小さいのに対し、比較例1,2で得られた発泡粒子は成形性に劣り、成形後の物性変化度合いも大きいものであった。
【0118】
【発明の効果】
本発明製造方法において用いるポリエステル系樹脂を主成分とする発泡粒子は、ゲル分率が35重量%以上であり、且つ前記特定の(1)式を満足する。かかる発泡粒子は、加熱成形時の膨張性や融着性に優れるので、該発泡粒子を用いて行なう加熱成形によって、生分解性を有すると共に圧縮硬さ等優れた物性を有する発泡粒子成形体を成形後の大きな収縮もなく安定して得ることができる。
【0119】
また、得られる発泡粒子成形体の物性が、型内成形に使用する発泡粒子の発泡粒子製造後の経時日数によりばらつくという課題も解決できる。更に、得られる発泡粒子成形体の物性ばらつきが発生するか否かが、型内成形に使用する発泡粒子が特定の(1)式を満足する発泡粒子であるか否かで判別することができ、発泡粒子成形体製造の工程管理において多大な意義を有する。
【0120】
本発明製造方法においては、基材樹脂のMFRに対する樹脂粒子のMFRの比が2.0以下となるように樹脂粒子を製造すると、発泡粒子製造後における発泡粒子のゲル分率低下が抑制され、保存条件に大きく作用されずに前記特定の(1)式を長期に亘り満足し続けることができる発泡粒子を容易に製造することができる。
【0121】
本発明製造方法においては、樹脂粒子を二軸押出機を用いて造粒すると、基材樹脂のMFRに対する樹脂粒子のMFRの比が2.0以下の樹脂粒子を容易に製造することができる。
【0122】
本発明保存方法においては、前記特定の(3)式を満足するように発泡粒子が保存されることにより、該発泡粒子製造後の保存期間にかかわらず、生分解性を有すると共に優れた物性を有する発泡粒子成形体を、成形後の大きな収縮もなく安定して該発泡粒子の加熱成形にて得ることができる。
Claims (5)
- 該樹脂粒子が二軸押出機にて造粒して得られたものであることを特徴とする請求項2記載のポリエステル系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
- 該発泡粒子の見掛け密度が0.03g/cm3以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル系樹脂発泡粒子成形体の製造方法。
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