JP3963091B2 - 軸付きカップ部材の鍛造成形方法及び軸付きカップ部材 - Google Patents

軸付きカップ部材の鍛造成形方法及び軸付きカップ部材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、等速ジョイント用外輪部材のように、軸部と、その軸部の端部から拡径して一体的に設けられるカップ部とにより構成される軸付きカップ部材、及びその鍛造成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車の駆動力伝達装置には、駆動されるシャフトの角度に影響されることなく、円滑な回転力を得るために、等速ジョイントが採用されている。
【0003】
この種の等速ジョイントとして、ボールベアリングにより回転力を与えるバーフィールドタイプと、少なくとも3個のローラを介して回転力を与えるトリポードタイプとが知られている。この場合、バーフィールドタイプ及びトリポードタイプの等速ジョイントは、それぞれ軸部と、この軸部に一体的に設けられたカップ部で構成される外方継手部材(アウタ部材)を備えている。
【0004】
図10、図11(b)に示すように、この外方継手部材81は、車両のハブ82に対してカシメ部83aを有するカシメナット83によりネジ止め固定されるものである。即ち、外方継手部材81の軸部81aの外周面には図示しない雄ネジ部(図示省略)が形成されており、その雄ネジ部にカシメナット83がネジ止めされている。
【0005】
ところで、軸部81aの先端部外周には、軸線方向に沿ってカシメ溝84が形成されている(図11(a)参照)。そして、図12に示すように、カシメ部83aの一部を治具等により変形させてカシメ溝84にかしめ込む。この結果、カシメナット83は軸部81aに対して回転不能となり、外方継手部材81とハブ82とが強固に固定される。
【0006】
また、図10、図11(a)に示すように、軸部81aの先端部には、外方継手部材81を旋盤等の加工機械に支持させるための略円錐状の凹部を有するセンタ穴85が機械加工により形成されている。従って、外方継手部材81の外周面を旋盤等で加工する際には、外方継手部材81のカップ81b内に、旋盤のチャックに把持された支持治具を圧接させ、外方継手部材81のセンタ穴85に旋盤のセンタを圧接させて位置決めをする。そして、この位置で旋盤による切削加工により、上記雄ネジ部を形成する。
【0007】
上記カシメ溝84及びセンタ穴85を設ける際には、以下に示すような方法で行っていた。図13(a)に示すように、鍛造成形した外方継手部材81に対して、軸部81aの先端面にセンタドリルによりセンタ穴85を形成する加工(図13(b)参照)を行った後、横フライス盤のみぞフライスでカシメ溝84を切削形成(図13(c)参照)していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記外方継手部材81はカシメ溝84とセンタ穴85とを形成するためにそれぞれ別の切削機械により加工していたため、加工工程が多くなり加工コストが高くなっていた。
【0009】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は加工工数を減らし、加工コストを抑えることができる軸付きカップ部材の鍛造成形方法及び軸付きカップ部材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、軸部と、同軸部に一体的に設けられたカップ部とを備えた軸付きカップ部材の鍛造成形方法であって、温間鍛造によって前記軸部の先端部外周に対して軸線方向に沿って延びるカシメ溝を成形すると略同時に、後の工程においてセンタが当接されるセンタ穴を、温間鍛造によって前記軸部の先端面にその軸線に沿って略円錐状に凹み且つその底面を当該軸付きカップ部材が前記センタの軸線と一致しない状態で支持されたときのみに前記センタが当接されるように球面状に形成するとともに当該センタ穴および前記軸部の先端面のなす角部を丸みをおびた曲面となるように成形することを要旨とする。
【0011】
請求項1に記載の軸付きカップ部材の鍛造成形方法では、カシメ溝とセンタ穴が温間鍛造によって略同時に成形される
【0016】
また、請求項に記載の軸付きカップ部材の鍛造成形方法では、旋盤等のセンタをセンタ穴に差し込んだ際に、センタの軸線とセンタ穴の軸線とがずれていても、センタとセンタ穴との接触が良好になるという作用がある。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の軸付きカップ部材の鍛造成形方法において、冷間鍛造によって、カップ部の支持部を基準に前記センタ穴に対して成形ポンチを所定位置で圧接させることで、最終しごき成形を行うことを要旨とする。
【0018】
請求項に記載の軸付きカップ部材の鍛造成形方法では、請求項1に記載の軸付きカップ部材の鍛造成形方法の作用に加え、成形ポンチによってセンタ穴を仕上げることにより、センタ穴の寸法精度をより一層上げることができるという作用がある。通常、鍛造成形は切削加工より寸法精度が劣ってしまうことがあるが、このように冷間鍛造により成形ポンチにてセンタ穴を仕上げ加工すると、切削加工の寸法精度に近い寸法精度が得られる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、軸部と、同軸部に一体的に設けられたカップ部とを備えた軸付きカップ部材であって、前記軸部の先端面には、その軸線に沿って略円錐状に凹み且つその底面が後の工程において当該軸付きカップ部材がセンタの軸線と一致しない状態で支持されたときのみに前記センタ当接されるように球面状に成形されるとともに当該センタ穴および前記軸部の先端面のなす角部が丸みをおびた曲面となるように成形されたセンタ穴が設けられていることを要旨とする。
請求項3に記載の軸付きカップ部材では、旋盤等のセンタをセンタ穴に差し込んだ際に、センタの軸線とセンタ穴の軸線とがずれていても、センタとセンタ穴との接触が良好になるという作用がある。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図8に従って説明する。
等速ジョイントを構成する外方継手部材11を製造する際には、まず、図1(a)に示すように、棒状素材12が用意され、所定の金型でこの棒状素材12に温間鍛造による押し出し成形が施される。そして、軸部13と中実本体部14を有する第1中間成形体15が得られる(図1(b)参照)。次に、所定の金型で第1中間成形体15に温間鍛造による押し出し成形が施され、中実本体部14が押し出されて据え込み部16が成形され、軸部13と据え込み部16とを有する第2中間成形体17が得られる(図1(c)参照)。
【0021】
さらに、所定の金型で第2中間成形体17に温間鍛造による押し出し成形が施され、据え込み部16が押し出されてカップ部18が成形され、軸部13とカップ部18とを有する第3中間成形体19が得られる(図1(d)参照)。次に、図4に示す温間加工金型20で第3中間成形体19に対して温間鍛造により、カップ部18内の仕上げ成形を行うとともに、カシメ溝25及びセンタ穴26が成形され、第4中間成形体27が得られる(図5参照)。そして、図5に示す冷間加工金型28でカップ部18の外周及び第4中間成形体27のセンタ穴26に対して冷間鍛造により仕上げ加工を行う。
【0022】
最後に、第4中間成形体27の軸部13外周面に旋盤等でネジ部(図示省略)が切削加工され、軸付きカップ部材としての外方継手部材11が成形される(図2参照)。
【0023】
次に、温間加工金型20について詳しく説明する。
図4に示すように、温間加工金型20は上金型35、下金型36を備えている。上金型35は図示しない昇降装置に固定されることで上下動可能に設けられ、下金型36は図示しない基台の上面に固定されることで移動不能とされている。上金型35と下金型36は互いに対向配置されている。
【0024】
下金型36には、上方へ向け開口するキャビティ38が形成されており、そのキャビティ38は第3中間成形体19の外形形状と略同じ形状に形成されている。そして、下金型36におけるキャビティ38の底部近傍の内面には、軸部13にカシメ溝25を成形するための突出部36aが形成されている。前記突出部36aの上面Uは第3中間成形体19の軸線Oに対して80度の勾配面を有するように形成されている。
【0025】
下金型36における軸部13と対応する内面と、上面Uとにより形成される角部は丸みを帯びるように形成されている。加えて、図3(b)に示すように、下金型36における軸部13と対応する内面と、突出部36aの両側面Sとにより形成される角部も、丸みを帯びるように形成されている。
【0026】
また、図4に示すように、下金型36におけるキャビティ38内の底部には軸部13の先端に対してセンタ穴26を成形するための略円錐状の突出部37が形成されている。突出部37の円錐面はその軸線へ向け凹むように湾曲している。一方、上金型35の下面には、カップ部18の内面形状に合った圧入ポンチ39が固定されている。
【0027】
なお、カップ部18の内面は「カップ部の支持部」に相当する。
従って、第3中間成形体19に対してカシメ溝25及びセンタ穴26を成形する際には以下のようにする。温間鍛造温度の第3中間成形体19をキャビティ38内に挿入した状態で上金型35を下方に移動させる。すると、圧入ポンチ39によってカップ部18の内面がしごかれ、カップ部18内面が仕上げされ、それとともに軸部13の先端部外周は突出部36aによってしごかれ、カシメ溝25が成形される。さらに、軸部13の先端は突出部37によってしごかれ、センタ穴26が成形される。この結果、第4中間成形体27が成形される。
【0028】
次に、冷間加工金型28について詳しく説明する。
図5に示すように、冷間加工金型28は図示しない上下動可能な上金型に固定された仕上ポンチ45、及びしごきリング47と、図示しない移動不能な下金型に固定された支持治具46とを備えている。仕上ポンチ45は成形ポンチに相当する。そして、冷間鍛造温度の第4中間成形体27のカップ部18内に支持治具46を拘束させた状態で、上金型(仕上ポンチ45及びしごきリング47)を下方に移動させる。
【0029】
すると、カップ部18の外周は、しごきリング47によりしごかれることで仕上げされ、さらに上金型を下げると、軸部13のセンタ穴26は仕上ポンチ45の先端によってしごかれ(最終しごき成形)、センタ穴26は心だし仕上げ及び寸法仕上げ成形される。その後、第4中間成形体27の軸部13外周面に図示しない雄ネジ部が切削加工されることで外方継手部材11が成形される。
【0030】
次に、上記に示す工程で成形された外方継手部材11の形状について説明する。
外方継手部材11は軸部13とカップ部18とを備えている。
【0031】
図2に示すように、軸部13の先端部外周には軸線O方向に沿って延びるカシメ溝25が成形されている。その底面は軸線Oに対して略平行となるように成形されている。カシメ溝25の3つの側面のうちカップ部18側の側面Mは、軸線Oに対して80度の勾配面を有するように成形されている。その側面Mと、軸部13の外周面とにより形成される角部は、丸みを帯びた丸角部50が成形されている。
【0032】
さらに、図3(a)に示すように、カシメ溝25の残りの2つの側面と、軸部13の外周面とにより形成される角部は、丸みを帯びた丸角部51,52が成形されている。また、軸部13の先端部には略円錐状の凹部を有するセンタ穴26が成形され、そのセンタ穴26の円錐面は軸線Oへ向け突出する曲面55とされている(図2参照)。また、軸部13の外周面には図示しない雄ネジ部が切削形成されている。
【0033】
次に、外方継手部材11の作用について説明する。
上記外方継手部材11の製造工程では、その軸部13の外周面に対して旋盤により雄ネジ部を形成する工程を行っている。その際には、外方継手部材11(第4中間成形体27)のカップ部18内に、旋盤のチャックに把持された支持治具を圧接させ、外方継手部材11のセンタ穴26に旋盤のセンタ60を圧接させる。このように、外方継手部材11を旋盤に回転可能に支持させて、軸部13の外周面を切削加工する。
【0034】
ここで、図6(a)は従来技術の外方継手部材81を旋盤に対して支持した際の図であるが、外方継手部材81の軸線と旋盤の回転軸線とが一致しないことがある。すると、センタ60はセンタ穴85と軸部81aの先端面とのなす角部Kに当接してしまう部分がある。従来の外方継手部材81では、その角部Kは丸みがなく角張っているため、外方継手部材81を旋盤に支持した際に、角部Kがつぶれてしまったり、センタ穴85にセンタ60が十分入りきらなかったりしてしまう。そして、角部Kのつぶれ、センタ60の挿入不良により、旋盤に支持した外方継手部材81ががたついてしまい、軸部81aの外周面を良好に切削することができないばかりか、外方継手部材11が加工途中に飛び出してしまうおそれがある。
【0035】
図6(b)は、外方継手部材11を旋盤に対して支持した際の図であるが、センタ60と二点鎖線で描かれたセンタ穴26とで、上記と同様に両軸線が一致しない状態を示している。しかし、このように両軸線が一致しない状態であっても、二点鎖線で示すセンタ穴26の曲面55が、センタ60に対して当接しているため、外方継手部材11を旋盤に対して良好な状態で支持できる。
【0036】
従って、本実施形態の外方継手部材11は、外方継手部材81のように角部Kに対してセンタ60が圧接することが無いため、旋盤に対してがたついてしまうことなく良好に旋盤加工が行える。
【0037】
ところで、上記のように外方継手部材11や外方継手部材81の軸線Oと、旋盤の回転軸線とがずれてしまうことで、軸部13や軸部81aは旋盤に対して偏心状態で回転してしまう。そして、この偏心状態で軸部13,81aの外周面を旋盤で切削すると、軸部13,81aの周方向においては、それぞれの位置で切削加工が行われる厚さが異なってくる。即ち、製品(外方継手部材11)毎によって、カシメ溝25近傍の外周面を削る厚さが変わってくる(以下このことを「深さバラツキ」という)。
【0038】
ここで、従来技術の外方継手部材81と、本実施形態の外方継手部材11とにおける、深さバラツキによる影響の違いを説明する。
図7(a)は、従来の外方継手部材81を示したものであるが、そのカシメ溝84は、みぞフライスにより切削形成されているため、カップ81bに近接する側の底面は、軸部81aの軸線に対して略30度となるような円弧状に形成されている。一方、図7(b)は、本実施形態の外方継手部材11を示したものであるが、外方継手部材11のカシメ溝25のカップ部18側の側面Mは軸線Oに対して80度の勾配面を有するように成形されている。従って、外方継手部材11と外方継手部材81で同じ深さバラツキであっても、外方継手部材11の方がカシメ溝25の軸線O方向長さのバラツキ(以下、長さバラツキという。)が小さくなる。
【0039】
ところで、図12に示すように、従来技術の外方継手部材81の場合、かしめた軸部81aに対して、カシメ溝84の側面と軸部81aの外周面とにより形成される尖鋭状の角部が当接する。そのため、カシメ部83aをかしめる際に、カシメ部83aがその尖鋭状の角部に当接し破れてしまうことがあった。しかしながら、図8に示すように、外方継手部材11の軸部13は、かしめたカシメ部83aと丸みのある丸角部50〜52(図2、図3(a)参照)とが当接するため、カシメ部83aが破れてしまうことがない。
【0040】
また、丸角部50〜52があることにより、軸部13外周面に対するカシメ溝25の開口面積が従来技術のカシメ溝84と比べて広くなるため、カシメ部83aをより深くかしめられる。
【0041】
加えて、従来の外方継手部材81はセンタ穴85及びカシメ溝84を切削加工により形成したため、部材の繊維組織が分断されるが、本実施形態の外方継手部材11はセンタ穴26及びカシメ溝25を鍛造により成形したため、部材の繊維組織が分断されることがない。この結果、外方継手部材11は外方継手部材81より粘り強い製品となる。
【0042】
従って、外方継手部材11によれば以下に示す効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、カシメ溝25とセンタ穴26を温間鍛造によって略同時に成形した。従って、カシメ溝25とセンタ穴26とをそれぞれ別の切削機械により加工する場合と比べて、加工工程が少なくなり、加工コストを抑えることができる。
【0043】
特に、本実施形態では、外方継手部材11の全体形状を成形する過程で、カシメ溝25とセンタ穴26を一緒に成形しているため、従来の外方継手部材81と比較すると、事実上、カシメ溝25とセンタ穴26の切削工程が削除されたものに相当する。従って、外方継手部材11は外方継手部材81に比してより一層加工コストを抑えることができる。
【0044】
ところで、カシメ溝25を先に所定の鍛造金型で成形した後、センタ穴26を別の鍛造金型で鍛造する方法も考えられるが、このようにすると、センタ穴26を成形する際に、軸部13の先端近傍の肉部が軸線Oを中心に放射方向へ押しやられ、カシメ溝25の底部を変形してしまうことがある。すると、底部が変形したカシメ溝25の場合、カシメナット83のカシメ部83aを十分にかしめられないことが起こる。しかし、本実施形態では、カシメ溝25とセンタ穴26とを一つの温間加工金型20にて略同時に成形しているため、カシメ溝25とセンタ穴26の両者の形状のひずみが起こらない。
【0045】
(2)本実施形態では、外方継手部材11のカシメ溝25の側面Mを軸線Oに対して80度の勾配面を有するように成形した。一方、外方継手部材81のカシメ溝84におけるカップ81bに近接する側の底面は、軸部81aの軸線に対して略30度となるように形成していた。従って、外方継手部材11の軸部13外周面を旋盤等で切削加工した際のカシメ溝25の軸線O方向長さのバラツキは、外方継手部材81の軸部81a外周面を切削加工した際のカシメ溝84の軸線方向長さのバラツキと比べ小さくできる。
【0046】
(3)本実施形態では、カシメ溝25の側面(側面Mを含む)と軸部13の外周面とにより形成される角部を丸みを帯びた丸角部50〜52とした。従って、治具などによって、かしめたカシメ部83aと丸みのある丸角部50〜52とが当接するため、カシメ部83aが破れてしまうことがなく、カシメ部83aをカシメ溝25になじみやすくすることができる。また、丸角部50〜52があることにより、軸部13外周面に対するカシメ溝25の開口面積が従来技術のカシメ溝84と比べて広くなるため、カシメ部83aをより深くかしめることができる。
【0047】
また、外方継手部材11の丸角部50〜52は、切削加工によっても形成できるが、外方継手部材11を大量生産する場合には温間加工金型20を用いた方が外方継手部材11を低コストで製造できる。
【0048】
(4)本実施形態では、軸部13の先端部に略円錐状の凹部を有するセンタ穴26を成形した。そして、センタ穴26の円錐面はその軸線へ向け突出する曲面55とした。従って、外方継手部材11を旋盤に支持した際に、旋盤の回転軸線と外方継手部材11の軸線Oとが一致していなくても、センタ穴26の曲面55に対してセンタ60を良好な状態で圧接させることができる。
【0049】
(5)本実施形態では、外方継手部材11のカップ部18を支持治具46に拘束させた状態で、冷間鍛造温度の軸部13のセンタ穴26に対して仕上ポンチ45を圧接させることで、センタ穴26の心だし仕上げ及び寸法仕上げ成形するようにした。このため、通常、鍛造成形は切削加工より寸法精度が劣ってしまうことがあるが、このように冷間鍛造により仕上ポンチ45にてセンタ穴26を仕上げ加工すると、切削加工の寸法精度に近い寸法精度が得られる。また、予めカシメ溝25とセンタ穴26を成形した軸部13に対して仕上ポンチ45にて冷間鍛造を行うため、カシメ溝25にひずみをほとんど生じることがない。従って、カシメ溝25に対してカシメナット83のカシメ部83aを十分にかしめ固定できる。
【0050】
(6)本実施形態では、温間加工金型20によって、第3中間成形体19にカシメ溝25及びセンタ穴26を成形するようにした。従って、カシメ溝25及びセンタ穴26を両者共に寸法精度よく成形することができる。
(別例)
なお、上記実施形態は以下のように変更して具体化してもよい。
【0051】
・前記実施形態では、冷間加工金型28によって外方継手部材11のセンタ穴26に対して仕上げ加工をするようにしていたが、この仕上げ加工を省略してもよい。
【0052】
・前記実施形態では、センタ穴26の円錐面をその軸線へ向け突出する曲面55としていた。これに限らず、図9(a)に示すように、センタ穴65を単なる円錐状の形状としてもよい。
【0053】
・前記実施形態では、カシメ溝25の側面(側面Mを含む)と軸部13の外周面とにより形成される角部を丸みを帯びた丸角部50〜52としていた。これに限らず、カシメ溝25の側面(側面Mを含む)と軸部13の外周面とにより形成される角部に丸みを帯びさせなくてもよい。
【0054】
・前記実施形態では、側面Mを軸線Oに対して80度の勾配面を有するように成形していた。これに限らず、側面Mが有する勾配面は、軸線Oに対して60度から85度までの角度に設定してもよい。側面Mが有する勾配面の角度を軸線Oに対して60度にした際には、その角度を80度にした場合と比べ、しごき加工が容易に行える。一方、側面Mが有する勾配面の角度を軸線Oに対して85度にした際には、その角度を80度にした場合と比べ、しごき加工が難しくなるが、軸部13の外周面を切削加工した際のカシメ溝25の長さバラツキが小さくなる。
【0055】
・前記実施形態では、カシメ溝25の形状は底面が軸線Oに対して略平行となるように、かつ側面Mが軸線Oに対して80度の勾配面を有するようにしていた。これに限らず、図9(b)に示すように、カシメ溝66の形状を従来技術の外方継手部材81のカシメ溝84と同様の形状に成形してもよい。
【0056】
・前記実施形態では、カシメ溝25は底面が軸線Oに対して略平行となるように、かつ側面Mが軸線Oに対して80度の勾配面を有するようにしていた。これに限らず、カシメ溝25は温間鍛造で成形するのであればどのような形状に成形してもよい。
【0057】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果と共に以下に記載する。
(イ)軸部と、同軸部に一体的に設けられたカップ部とを備えた軸付きカップ部材の鍛造成形方法であって、温間鍛造によって前記軸部の先端部外周に対して軸線方向に沿って延びるカシメ溝を成形する工程と、温間鍛造によって前記軸部の先端に略円錐状の凹部を有したセンタ穴を成形する工程とを一つの金型で行うことを特徴とする軸付きカップ部材の鍛造成形方法。このようにすると、加工工数を減らし、加工コストを抑えることができる。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜に記載の発明によれば、加工工数を減らし、加工コストを抑えることができる。
【0059】
請求項に記載の発明によれば、旋盤等のセンタをセンタ穴に差し込んだ際に、センタの軸線とセンタ穴の軸線とがずれていても、センタとセンタ穴との接触が良好になる
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(d)は、本実施形態における棒状素材から第3中間成形体までの形状変化を示す概略説明図。
【図2】 本実施形態における外方継手部材の側断面図。
【図3】 (a)は、外方継手部材の軸部における正面図。(b)は、図4におけるA−A矢視断面図。
【図4】 本実施形態における温間加工金型と第3中間成形体との関係を示す部分断面説明図。
【図5】 本実施形態における冷間加工金型と第4中間成形体との関係を示す部分断面概略説明図。
【図6】 (a)は、従来技術の外方継手部材に旋盤のセンタを支持した際の説明図。(b)は、本実施形態の外方継手部材に旋盤のセンタを支持した際の説明図。
【図7】 (a)は、従来技術の軸部の外周面を切削した際の概略説明図。(b)は、本実施形態の軸部の外周面を切削した際の概略説明図。
【図8】 本実施形態の軸部にカシメナットのカシメ部をカシメた状態を示す説明図。
【図9】 (a),(b)は本実施形態の外方継手部材の別例を示す断面図。
【図10】 従来技術の外方継手部材をハブに対してカシメナットで固定(カシメは行っていない)した状態を示す説明図。
【図11】 (a)は、従来技術の外方継手部材の軸部を示す部分斜視図。(b)は、カシメナットの斜視図。
【図12】 従来技術の外方継手部材の軸部にカシメナットのカシメ部をカシメた状態を示す説明図。
【図13】 (a)〜(c)は、従来技術の外方継手部材にカシメ溝とセンタ穴を設ける過程を示す説明図。
【符号の説明】
11…軸付きカップ部材としての外方継手部材、13…軸部、18…カップ部、25…カシメ溝、26…センタ穴、45…成形ポンチとしての仕上ポンチ、M…カップ部側の側面としての側面、O…軸線。

Claims (3)

  1. 軸部と、同軸部に一体的に設けられたカップ部とを備えた軸付きカップ部材の鍛造成形方法であって、
    温間鍛造によって前記軸部の先端部外周に対して軸線方向に沿って延びるカシメ溝を成形すると略同時に、後の工程においてセンタが当接されるセンタ穴を、温間鍛造によって前記軸部の先端面にその軸線に沿って略円錐状に凹み且つその底面を当該軸付きカップ部材が前記センタの軸線と一致しない状態で支持されたときのみに前記センタが当接されるように球面状に成形するとともに当該センタ穴および前記軸部の先端面のなす角部を丸みをおびた曲面となるように成形することを特徴とする軸付きカップ部材の鍛造成形方法。
  2. 冷間鍛造によって、カップ部の支持部を基準に前記センタ穴に対して成形ポンチを所定位置で圧接させることで、最終しごき成形を行うことを特徴とする請求項1に記載の軸付きカップ部材の鍛造成形方法。
  3. 軸部と、同軸部に一体的に設けられたカップ部とを備えた軸付きカップ部材であって、
    前記軸部の先端面には、その軸線に沿って略円錐状に凹み且つその底面が後の工程において当該軸付きカップ部材がセンタの軸線と一致しない状態で支持されたときのみに前記センタ当接されるように球面状に成形されるとともに当該センタ穴および前記軸部の先端面のなす角部が丸みをおびた曲面となるように成形されたセンタ穴が設けられていることを特徴とする軸付きカップ部材。
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