JP3962509B2 - 気相成長装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は気相成長装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
気相成長装置における成膜において、例えば化合物半導体の結晶、特にIII−Vナイトライド系結晶を基板上に気相成長させる際など、互いに反応性の高い複数種の原料ガスを気相成長装置の反応炉に供給しなければならない場合がある。このような場合、供給された原料ガス同士の気相中における反応が基板に達する前に生じ、その反応生成物が基板上の結晶の成長を妨げるパーティクルになるなどの現象が生じデバイス製造の歩留まりの低下の原因となる。
【0003】
そのため、従来反応性の高い複数種の原料ガスの気相中での反応をできるだけ低く抑える目的の気相成長装置が例えば特開平9−71866号公報等に提案されている。
【0004】
図10に反応性の高い複数種の原料ガスを供給するための従来の気相成長装置の該略図を示す。
【0005】
図10において反応炉101内には成膜室106が設けられており、成膜室106内部にはヒータ107で加熱できる構造を有する基板ホルダ108が設置されている。基板は基板ホルダ108の基板載置面上に配置される。反応炉101の上部から二重管となっているガス導入管102及びガス導入管103が導入されている。反応炉101内には2つのガス拡散室104及びガス拡散室105が基板ホルダ108の基板載置面に対して垂直方向に積層されて設けられている。また、反応炉101の両側にはガスの排気を行う排気孔109及び110が取り付けられている。
【0006】
外側の導入管102はガス拡散室104とつながっている。ガス拡散室104内部には拡散板111が設置されている。ガス拡散室104の下部にはガス流路112が設けられガス拡散室105を素通りして成膜室106に連絡している。
【0007】
内側のガス導入管103はガス拡散室104を素通りしてガス拡散室105につながっている。ガス拡散室105には拡散板113が設置されている。拡散室105の下部は多数の孔が開いた吹き出し板114が設置されている。吹き出し板114の下部は成膜室106となり、吹き出し板114は基板ホルダ108上の基板と対向するよう配置されている。
【0008】
ガス導入管102には、原料ガスの一種が供給され、ガス拡散室104に入ってくる。そして拡散板111にあたり拡散室104内に広がっていく。そしてガス流路112を通ってガス拡散室105を素通りして成膜室106へ導かれる。
【0009】
ガス導入管103には別の種類の原料ガスが供給され、拡散室104を素通りしてガス拡散室105に入ってくる。そこで拡散板113にあたり、拡散室104からのガス流路112の構成部材の間を抜けて拡散室105内に広がっていく。そして吹き出し板114に設けられた孔を通って成膜室106に導かれる。
【0010】
このようにガス拡散室104、105に導入された原料ガスは基板ホルダ108付近の成膜室106ではじめて均一に混合される。つまり原料ガスは成膜室106に入るまでに完全に分離しているために基板ホルダ108上の基板に達する前の反応を最小限に抑えることができる。
【0011】
一方、気相成長法においては得られた膜の特性は成膜時の基板温度に大きく依存するところがある。従って気相成長装置においては成膜時の基板の温度の管理が非常に重要であり温度管理が十分にできないとデバイス製造の歩留まりに影響する。従って反応炉内の基板の任意位置でかつ広い範囲で温度測定を行うことができることが必要である。
【0012】
一般に気相成長装置において、基板の温度を測定するには、反応炉内部のガス流れを阻害しないよう反応炉の外側に設置した非接触式の温度計、例えば放射温度計によって行われる。放射温度計は反応炉の外側に設置されているので温度測定波長の光が透過するよう反応炉の上部に透明な石英などからなる窓が形成されており、反応炉の窓を通して基板から反応炉外部に光を透過させ基板の温度測定を行っている。
【0013】
しかしながら、前述した従来の気相成長装置にこのような非接触式の温度計を適用しようとすると反応炉の構造上窓の形成位置が限られ基板の任意位置でかつ広範囲の測定が困難であるという問題点があった。
【0014】
例えば図10の気相成長装置において反応炉101の上方に窓を設置し反応炉01の上方から基板ホルダ108上の基板の表面にほぼ垂直に光を透過させて基板表面の温度を測定しようとすると、反応炉101内部には拡散室104及び拡散室105が基板ホルダ108の基板載置面に対して垂直方向に積層されて設けられている上、複数のガス流路112等が存在するために反応炉101上部の窓の形成位置がきわめて限られる。
【0015】
また、反応炉101の側面に窓を設置し、反応炉101の側面から基板表面に斜めに光を透過させて基板表面の温度を測定しようとすると、反応炉101内部には基板ホルダ108の基板載置面に対して垂直方向に積層されて設けられているため光が遮られるため反応炉101側面の窓の形成位置が限られてしまう。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたごとく反応性の高い複数種の原料ガスを供給するための従来の気相成長装置においては基板の任意位置でかつ広範囲の温度測定を行うことは困難であった。本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、反応性の高い複数種の原料ガスを供給するための気相成長装置において基板の任意位置でかつ広範囲の温度測定を精度良く行うことができる気相成長装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の気相成長装置は、基板上に薄膜を気相成長させるための成膜室と、前記成膜室に異なる組成の複数種の原料ガスをそれぞれ分離して供給するために設けられた複数のガス拡散室を有する反応炉と、前記反応炉に設けられ、温度測定用電磁波が透過可能な窓と、前記基板を載置するための基板ホルダと、前記反応炉外部に設けられ、前記窓を介して前記基板あるいは前記基板ホルダの温度を前記温度測定用電磁波により非接触で測定する温度測定手段とを備え、前記複数のガス拡散室は、前記基板ホルダの基板載置面に略平行な面上に配列されることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、それぞれ異なる組成の原料ガスを供給する複数のガス拡散室は、従来技術の如く基板ホルダの基板載置面に対して垂直方向に積層されているのではなく、前記基板ホルダの基板載置面に平行な面上に並列して配置されているため、基板温度を非接触で測定する温度測定手段を用いて温度を測定する際に反応炉内の基板ホルダの基板載置面に垂直方向の構造が簡素化され、温度測定用電磁波が透過するよう反応炉に設ける窓を広い範囲にわたって設けることができ、基板の任意位置でかつ広範囲の測定を複数の位置で精度良く行うことができる。そのため成膜時の基板の温度の管理を十分に行うことができ、成膜の再現性を向上させデバイス製造の歩留まりを向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下にさらに本発明を詳細に説明する。
(実施例1、比較例)
図1は実施例1に係る気相成長装置の縦断面図である。
【0020】
反応炉1の下部には、基板2を載置する基板ホルダ3と基板ホルダ3を支持する回転軸4と、基板2及び基板ホルダ3を加熱するヒータ5が配設されている成膜室6が位置している。反応炉1の外側下部には回転軸4を回転駆動する回転駆動装置7と、排気口8を介して反応炉1内の圧力調整及び未反応ガスなどを排気する排気装置9が接続されている。
【0021】
また、反応炉1の上部には前記成膜室6内の基板2の上部方向からそれぞれ異なる組成の原料ガスを供給する複数のガス拡散室10(10a、10b)が位置している。ガス拡散室10a、10bは前記基板ホルダ3の基板載置面に略平行な面上に並列して配置されている。また各々のガス拡散室10(10a、10b)に対しそれぞれ原料ガス、キャリアガス等のガスを導入するガス導入室11(11a、11b)が配置されている。ガス導入室11(11a、11b)には外部からガス導入管(図示せず)を通じて原料ガスが供給される。ガス導入室11(11a、11b)とガス拡散室10(10a、10b)との間には複数の孔を有する板状の壁で隔てられている。ガス拡散室10(10a、10b)と成膜室6の間はそれぞれ複数の孔を有する板状の開口率が例えば0.3以下、より好ましくは0.1以下の整流板12が配設されている。
【0022】
反応炉1外部には前記基板ホルダ3に載置された基板2あるいは前記基板ホルダ3の温度を非接触で測定する温度測定手段13が設けられている。前記温度測定手段としては放射温度計は、例えば2色温度計などの色温度計等が挙げられ、またその他の非接触で測定する温度測定手段を用いてもよい。
【0023】
前記温度測定手段13で基板2あるいは前記基板ホルダ3の温度を測定するために、反応炉1の構成部材と前記基板への温度測定用電磁波路とが交差する部分である反応炉1上部に石英からなる窓14が設けられている。前記窓14の材料としては測定用の光を透過する材料であれは何であってもよく石英の他KBr等が挙げられる。成膜室6側の窓14には孔を設けガスの流れを改善してもよい。前記成膜室6側の窓14に設ける孔は整流板12と同じ密度及び口径であるものが望ましい。
【0024】
反応炉1を上部から見た(図1の矢印の方向から見た)横断面図を図2に示す。図2に示すように複数のガス拡散室10(10a、10b)は扇形に分割、例えば8分割するように配置されている。複数のガス拡散室10のうち10aと10bはそれぞれ異なる種類の2種類のガスを供給するために設けられており、2種類のガスが偏りなく均等に成膜室6内に供給されるよう交互に配置されている。また、前記窓14は反応炉1の半径方向に配置されている。
【0025】
ガス拡散室10(10a、10b)は前記基板ホルダ3の基板載置面に略平行な面上に並列して配置されているため、窓14は図1に示す如く反応炉1の外表面側と成膜室6側の2箇所にのみ設ければよく、基板2あるいは基板ホルダ3温度を非接触で測定する温度測定手段を用いて温度を測定する際に反応炉1内の基板ホルダ3の基板載置面に垂直方向の構造が簡素化される。また温度測定用電磁波が透過する窓14を広く設けることができ、基板2及び基板ホルダ3のほぼ全ての位置を基板上方より望むことができる。
【0026】
実施例1に係る気相成長装置を用いて基板2上にGaN及びInGaNを成膜した。サファイアからなる基板2を基板ホルダ3上に載置し、排気装置9で反応炉1内を排気口8から排気して反応炉1内の圧力を100Torrに調整した。次にヒータ6の加熱によって基板ホルダ3に載置した基板2を水素雰囲気中において1100℃にに加熱するとともに、回転駆動装置7で回転軸4を回転駆動して基板ホルダ3に載置した基板2を1000rpmで回転させた。続いて基板2温度を500℃に下げた。原料ガスあるいはキャリアガスの成膜室6への導入はガス導入室11、ガス拡散室10、ガス拡散室10の整流板12の孔を通じて介して行われる。ガス導入室11a、ガス拡散室10a、ガス拡散室10aの整流板12の孔はV族ガスの流路として用い、それらを通じてアンモニアを0.5mol/minで供給した。一方、ガス導入室11b、ガス拡散室10b、ガス拡散室10bの整流板12の孔はIII族ガスの流路として用い、それらを通じてTMG(トリメチルガリウム)を40μmol/min供給し、2分間GaNを成長させた。TMGの供給を停止しGaNの成長を停止した後、基板2温度を800℃に調節し、再びガス導入室11b、ガス拡散室10b、ガス拡散室10bの整流板12の孔を通じてTMG20μmol/min及びTMI(トリメチルインジウム)80μmol/minの混合ガスを供給してInGaNを成長させた。その際基板2の表面温度を放射温度計からなる非接触で測定する温度測定手段13を用いて複数箇所の位置で測定しその測定結果をヒータ5の制御に反映させ基板2の温度が一定に保たれるように行った。
【0027】
得られたGaNの膜厚の基板面内分布は±2%以下となっており、InGaN相のIn組成の膜厚の基板面内分布も±2%以下となっていた。
【0028】
このような成膜を50回繰り返して行った。成膜回数とGaNの面内膜厚分布及びInGaNの組成分布のばらつきを示す特性図を図3に示す。図3に示すように成膜回数を経てもばらつきはほとんど変化しなかった。
【0029】
一方比較例として基板2の温度を測定しないで実施例1と同様に50回繰り返して成膜した場合の成膜回数とGaNの面内膜厚分布及びInGaNの組成分布のばらつきを図4に示す。図4に示すようにInGaNの組成のばらつきは2回目から変化し10回目には20%と拡大していた。またGaN膜は30回目を超えるあたりから部分的に白濁するようになり40回目を過ぎるところで全面が白濁するようになってしまった。
【0030】
実施例1によれば基板の任意位置でかつ広範囲の温度測定を精度良く行うことができる。そのため成膜時の基板の温度の管理を十分に行うことができ、成膜の再現性を向上させデバイス製造の歩留まりを低下させることができる。
る。
(実施例2)
実施例2の気相成長装置は、図1、図2に示す実施例1の反応炉1の上部にかえて、図5及び図6に示す構成の反応炉上部を使用した。反応炉下部の構成は実施例1の図1と同様である。
【0031】
図5は実施例2に係る気相成長装置の一部を示す縦断面図である。
【0032】
反応炉21の上部には成膜室内の基板の上部方向からそれぞれ異なる組成の原料ガスを供給する複数のガス拡散室22(22a、22b)が位置している。ガス拡散室22a、22bは基板ホルダの基板載置面に略平行な面上に並列して配置されている。また各々のガス拡散室22(22a、22b)に対しそれぞれ原料ガス、キャリアガス等のガスを導入するガス導入室23(23a、23b)が配置されている。ガス導入室23(23a、23b)には外部からガス導入管(図示せず)を通じて原料ガスが供給される。ガス拡散室22(22a、22b)と成膜室の間はそれぞれ複数の孔を有する板状の整流板24が配設されている。ガス導入室23(23a、23b)とガス拡散室22(22a、22b)との間にはそれぞれ複数の孔を有する板状の壁で隔てられている。
【0033】
反応炉21外部には基板ホルダに載置された基板あるいは前記基板ホルダの温度を非接触で測定する放射温度計からなる温度測定手段25が設けられている。
【0034】
前記温度測定手段25で基板あるいは前記基板ホルダの温度を測定するために、反応炉21の構成部材と前記基板への温度測定用電磁波路とが交差する部分である反応炉21上部に石英からなる窓26が設けられている。本実施例では反応炉21の外表面側と成膜室側の窓26で挟まれた部分にはガスが流れないように構成されているが、反応炉21の外表面側と成膜室側の窓26で挟まれた部分にガスが流れるように構成し、前記成膜室側の窓26には孔を設けガスの流れを改善してもよい。前記成膜室側の窓26に設ける孔は整流板24と同じ密度及び口径であるものが望ましい。
【0035】
反応炉21を上部から見た(図5の矢印の方向から見た)横断面図を図6に示す。図6に示すように複数のガス拡散室22(22a、22b)は短冊状の形状で並列して配置されている。複数のガス拡散室22の22aと22bはそれぞれ異なる種類の2種類のガスを供給するために設けられており、2種類のガスが偏りなく均等に成膜室内に供給されるよう交互に配置されている。また、前記窓26は反応炉21の直径方向に配置されている。
【0036】
ガス拡散室22(22a、22b)は前記基板ホルダ3の基板載置面に略平行な面上に並列して配置されているため、窓26は反応炉21の外表面側と成膜室側の2箇所にのみ設ければよく、基板あるいは基板ホルダ温度を非接触で測定する温度測定手段を用いて温度を測定する際に反応炉21内の基板ホルダの基板載置面に垂直方向の構造が簡素化される。また温度測定用電磁波が透過する窓26を広く設けることができ、基板及び基板ホルダのほぼ全ての位置を基板上方より望むことができる。
【0037】
実施例2に係る気相成長装置を用いて実施例1と同様にして基板上にGaN及びInGaNを成膜した。
【0038】
得られたGaNの膜厚の基板面内分布は±2%以下となっており、InGaN相のIn組成の膜厚の基板面内分布も±2%以下となっていた。
【0039】
本実施例によれば基板の任意位置でかつ広範囲の温度測定を精度良く行うことができる。そのため成膜時の基板の温度の管理を十分に行うことができる。
(実施例3)
実施例3の気相成長装置は、図1、図2に示す実施例1の反応炉1の上部にかえて、図7及び図8に示す構成の反応炉上部を使用した。反応炉下部の構成は実施例1の図1と同様である。
【0040】
図7は実施例3に係る気相成長装置の一部を示す縦断面図である。
【0041】
反応炉31の上部には成膜室内の基板の上部方向からそれぞれ異なる組成の原料ガスを供給する複数のガス拡散室32(32a、32b)が位置している。ガス拡散室32a、32bは基板ホルダの基板載置面に略平行な面上に並列して配置されている。また各々のガス拡散室32(32a、32b)に対しそれぞれ原料ガス、キャリアガス等のガスを導入するガス導入室33(33a、23b)が配置されている。ガス導入室33(33a、33b)には外部からガス導入管(図示せず)を通じて原料ガスが供給される。ガス拡散室32(32a、32b)と成膜室の間はそれぞれ複数の孔を有する板状の整流板34が配設されている。ガス導入室33(33a、33b)とガス拡散室32(32a、32b)との間にはそれぞれ複数の孔を有する板状の壁で隔てられている。
【0042】
反応炉31外部には基板ホルダに載置された基板あるいは前記基板ホルダの温度を非接触で測定する放射温度計からなる温度測定手段35が設けられている。
【0043】
前記温度測定手段35で基板あるいは前記基板ホルダの温度を測定するために、反応炉31の構成部材と前記基板への温度測定用電磁波路とが交差する部分である反応炉31上部に石英からなる窓36が設けられている。成膜室側の窓36には孔を設けガスの流れを改善してもよい。前記成膜室側の窓36に設ける孔は整流板34と同じ密度及び口径であるものが望ましい。
【0044】
反応炉31を上部から見た(図7の矢印の方向から見た)横断面図を図8に示す。図8に示すように複数のガス拡散室32(32a、32b)は中央部で2分割し、さらに短冊状の形状に5分割されたものが並列して配置されている。複数のガス拡散室32の32aと32bはそれぞれ異なる種類の2種類のガスを供給するために設けられており、2種類のガスが偏りなく均等に成膜室内に供給されるようそれぞれ互い違いに配置されている。また、前記窓36は反応炉31の直径方向に配置されている。
【0045】
ガス拡散室32(32a、32b)は前記基板ホルダ3の基板載置面に略平行な面上に並列して配置されているため、窓36は反応炉31の外表面側と成膜室側の2箇所にのみ設ければよく、基板あるいは基板ホルダ温度を非接触で測定する温度測定手段を用いて温度を測定する際に反応炉31内の基板ホルダの基板載置面に垂直方向の構造が簡素化される。また温度測定用電磁波が透過する窓36を広く設けることができ、基板及び基板ホルダのほぼ全ての位置を基板上方より望むことができる。
【0046】
実施例3に係る気相成長装置を用いて実施例1と同様にして基板上にGaN及びInGaNを成膜した。
【0047】
得られたGaNの膜厚の基板面内分布は±2%以下となっており、InGaN相のIn組成の膜厚の基板面内分布も±2%以下となっていた。
【0048】
本実施例によれば基板の任意位置でかつ広範囲の温度測定を精度良く行うことができる。そのため成膜時の基板の温度の管理を十分に行うことができる。
(実施例4)
本発明において、複数のガス拡散室の少なくとも2つが前記基板ホルダの基板載置面に略平行な面上に並列して配置されていれば良く、一部のガス拡散室が、前記基板ホルダの基板載置面に垂直方向に積層されて配列されているものがあってもよい。
【0049】
実施例4の気相成長装置は、図1に示す実施例1の反応炉1の上部にかえて、図9に示す構成の反応炉上部を使用した。反応炉下部の構成は実施例1の図1と同様である。
【0050】
図9は実施例4に係る気相成長装置の一部を示す縦断面図である。図9に示すように反応炉41の上部には成膜室内の基板の上部方向からそれぞれ異なる組成の原料ガスを供給する複数のガス拡散室42(42a、42b)が位置している。ガス拡散室42aの一部と42bは基板ホルダの基板載置面に略平行な面上に並列して配置されている。また、ガス拡散室42aの一部はガス拡散室42bの上部に積層された構造となっている。
【0051】
また各々のガス拡散室42(42a、42b)に対しそれぞれ原料ガス、キャリアガス等のガスを導入するガス導入室43(43a、43b)が配置されている。ガス導入室43(43a、43b)には外部からガス導入管(図示せず)を通じて原料ガスが供給される。複数のガス拡散室42の42aと42bはそれぞれ異なる種類の2種類のガスを供給するために設けられている。ガス拡散室42(42a、42b)と成膜室の間はそれぞれ複数の孔を有する板状の整流板44が配設されている。ガス導入室43(43a、43b)とガス拡散室42(42a、42b)との間にはそれぞれ複数の孔を有する板状の壁で隔てられている。
【0052】
反応炉41外部には基板ホルダに載置された基板あるいは前記基板ホルダの温度を非接触で測定する温度測定手段45が設けられている。
【0053】
前記温度測定手段45で基板あるいは前記基板ホルダの温度を測定するために、反応炉41の構成部材と前記基板への温度測定用電磁波路とが交差する部分である反応炉41上部に石英からなる窓46が設けられている。成膜室側の窓46には孔を設けガスの流れを改善してもよい。前記成膜室側の窓46に設ける孔は整流板44と同じ密度及び口径であるものが望ましい。
【0054】
ガス拡散室42(42a、42b)は前記基板ホルダの基板載置面に略平行な面上に並列して配置されているため、窓46は反応炉41の外表面側と成膜室側の2箇所にのみ設ければよく、基板あるいは基板ホルダ温度を非接触で測定する放射温度計からなる温度測定手段45を用いて温度を測定する際に反応炉41内の基板ホルダの基板載置面に垂直方向の構造が簡素化される。また温度測定用電磁波が透過する窓46を広く設けることができ、基板及び基板ホルダのほぼ全ての位置を基板上方より望むことができる。
【0055】
実施例4に係る気相成長装置を用いて実施例1と同様にして基板上にGaN及びInGaNを成膜した。
【0056】
得られたGaNの膜厚の基板面内分布は±2%以下となっており、InGaN相のIn組成の膜厚の基板面内分布も±2%以下となっていた。
【0057】
本実施例によれば基板の任意位置でかつ広範囲の温度測定を精度良く行うことができる。そのため成膜時の基板の温度の管理を十分に行うことができる。
【0058】
なお、本発明の気相成長装置にて形成する膜は実施例の如くGaN、InGaNに限定されるものではなくAlGaN他、他の化合物半導体をはじめとする半導体装置製造に用いるものであっても構わない。
【0059】
また、膜の形成条件も実施例に記載したものに限定されるものではなく成膜が良好に行える条件であればよい。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、反応性の高い複数種の原料ガスを分離供給して基板上に薄膜を気相成長させるための気相成長装置において、基板の任意位置でかつ広範囲の温度測定を精度良く行うことができる。そのため、成膜時の基板の温度管理を十分行うことができ、成膜の再現性を向上させデバイス製造の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1に係る気相成長装置の縦断面図。
【図2】 実施例1に係る気相成長装置の反応炉の横断面図。
【図3】 実施例1の気相成長装置を用いて成膜した際の成膜回数とGaNの面内膜厚分布及びInGaNの組成分布のばらつきを示す特性図。
【図4】 比較例の成膜回数とGaNの面内膜厚分布及びInGaNの組成分布のばらつきを示す特性図。
【図5】 実施例2に係る気相成長装置の一部を示す縦断面図。
【図6】 実施例2に係る気相成長装置の反応炉の横断面図。
【図7】 実施例3に係る気相成長装置の一部を示す縦断面図。
【図8】 実施例3に係る気相成長装置の反応炉の横断面図。
【図9】 実施例4に係る気相成長装置の一部を示す縦断面図。
【図10】 従来の気相成長装置の該略図。
【符号の説明】
1、21、31、41…反応炉
2…基板
3…基板ホルダ
4…回転軸
5…ヒータ
6…成膜室
7…回転駆動装置
8…排気口
9…排気装置
10(10a、10b)、22(22a,22b)、32(32a,32b)、42(42a,42b)…ガス拡散室
11(11a、11b)、23(23a、23b)、33(33a、33b)、43(43a、43b)…ガス導入室
12、24、34、44…整流板
13、25、35、45…非接触で測定する温度測定手段
14、26、36、46…窓
Claims (2)
- 基板上に薄膜を気相成長させるための成膜室と、前記成膜室に異なる組成の複数種の原料ガスをそれぞれ分離して供給するために設けられた複数のガス拡散室を有する反応炉と、
前記反応炉に設けられ、温度測定用電磁波が透過可能な窓と、
前記基板を載置するための基板ホルダと、
前記反応炉外部に設けられ、前記窓を介して前記基板あるいは前記基板ホルダの温度を前記温度測定用電磁波により非接触で測定する温度測定手段とを備え、
前記複数のガス拡散室は、前記基板ホルダの基板載置面に略平行な面上に配列されることを特徴とする気相成長装置。 - 前記複数種の原料ガスのうち、1種は III 族ガスを含み、他の1種はV族ガスを含むことを特徴とする請求項1に記載の気相成長装置。
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