JP3961937B2 - 基板用電気コネクタ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路基板の表面に取り付けられる基板用電気コネクタに関する。
【０００２】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータの普及はめざましいものがある。その中で、ボード・トゥ・ボード（基板対基板）接続用の一対の電気コネクタや、ワイヤ・トゥ・ボード（電線対基板）接続用の一対の電気コネクタが提供されている。
例えば電源を司るパワーボードの表面に固定された電気コネクタと、ＣＰＵを実装したマザーボードに固定された電気コネクタとが接続される。一方の電気コネクタは連結凸部を有するプラグ型であり、他方の電気コネクタは連結凹部を有するリセプタクル型である。
【０００３】
従来、この種のリセプタクル型の電気コネクタとして、連結凹部を区画するための一対の側壁のそれぞれにコネクタ連結方向に開放する端子保持孔を設けたコネクタが提供されている（例えば特許文献１）。
【０００４】
【特許文献１】
特開平１１−６７３６４号公報
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、パーソナルコンピュータ本体の小型化と高機能化の要請に伴って、この種の電気コネクタにおいても、小型化の要請と多極化の要請がある。
通例、この種の電気コネクタ間の端子保持孔の深さは１２〜１３ｍｍとしているのに対して、端子保持孔の横幅は例えば０．４ｍｍ程度であって、その配置間隔としては、例えば０．６ｍｍ程度にする要請がある。この場合、隣接する端子保持孔間の仕切り壁の厚みは例えば０．１ｍｍと非常に薄いものとなる。
【０００６】
したがって、上記特許文献１のコネクタにおいて上記の要請を満足しようとすると、下記の新たな問題の発生が懸念される。
すなわち、ハウジングを成形するための金型において、端子保持孔を形成するための端子保持孔形成用リブも薄くて（例えば０．４ｍｍ）、狭ピッチ（例えば０．６ｍｍ）のものとなるが、射出成形時の圧力で端子保持孔形成用リブが変形するおそれがある。射出成形時にリブが変形した場合、端子保持孔間の薄肉（例えば、厚み０．１ｍｍ）の仕切り壁も変形すると共に端子保持孔の位置精度が悪くなり、ひいては端子の位置精度が悪くなるため、電気的接続の信頼性が低下する。
【０００７】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、狭ピッチで配列される端子の位置精度を高くすることができ、小型で信頼性の高い基板用電気コネクタを提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、連結方向に開放する連結凹部を有する絶縁性の合成樹脂からなるハウジングと、このハウジングによって横並びに保持される多数の端子とを備え、上記ハウジングは、互いの間に連結凹部を区画するために横方向に延びる相対向する一対の側壁と、各側壁を上記連結方向に貫通する端子保持孔と、隣接する端子保持孔間を仕切る仕切り壁と、各仕切り壁の一部をそれぞれ切り欠いて形成され側壁の外側面に開放する多数の開口とを含み、各開口は、当該開口が形成された仕切り壁を挟んで対向する一対の端子保持孔を互いに連通させつつ外部に開放させることを特徴とするものである。
【０００９】
本発明では、金型内で、ハウジングを射出成形するときに、仕切り壁の外側面の各開口を形成するためのピンが、それぞれ、金型の隣接する端子保持孔形成用リブの間に介在することになる。したがって、射出成形時に端子保持孔形成用リブの変形を抑制できるので、狭ピッチで配列される端子保持孔（仕切り壁）の位置精度を高くすることができ、ひいては端子の位置精度を高くして小型で信頼性の高い電気コネクタを提供することができる。
【００１０】
上記側壁の外側面の開口は、側壁の高さ方向の概ね中央部に配置されることが、射出成形時に端子保持孔形成用リブの変形を確実に抑制するうえで好ましい。
【００１１】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図１（ａ）および（ｂ）は本発明の一実施の形態の基板用電気コネクタの平面図および側面図である。図２は図１（ｂ）のII−II線に沿う断面図であり、図３は図１（ｂ）のIII −III 線に沿う断面図である。
本電気コネクタ１は、リセプタクル型の電気コネクタであり、本実施の形態では、図４に示すように、ボード・トゥ・ボード（基板対基板）接続用の一対の電気コネクタの一方として用いられる場合に則して説明する。ただし、本電気コネクタ１をワイヤ・トゥ・ボード（電線対基板）接続用の一対の電気コネクタのうちの一方として用いることも可能である。
【００１２】
図２を参照して、電気コネクタ１は、回路基板２の表面２ａに取り付けられる絶縁性の合成樹脂からなるハウジング３と、このハウジング３を貫通する状態で横並びの２列に配置された多数の信号用の端子４，５を備える。また、図３を参照して、電気コネクタ１は、ハウジング３を貫通する状態で横並びの２列に配置された電源用の端子６を備える。
図１（ａ）および（ｂ）を参照して、ハウジング３は左右方向Ｘに長い。図１（ｂ）を参照して、ハウジング３は、回路基板２への取付時に回路基板２の表面２ａに対向する対向面３ａを有しており、この対向面３ａの左右方向Ｘの対向端部を、回路基板２の表面２ａに取り付けるための一対の取付部７，７としてある。
【００１３】
また、対向面３ａにおいて、一対の取付部７，７間の中間部８は、取付部７から凹んだ位置にあり、中間部８と回路基板２の表面２ａとの間には、所定の隙間が設けられる。図１（ａ）および（ｂ）並びに図２を参照して、中間部８からは各端子４，５のリード４ａ，５ａが突出し側方へ延びて、回路基板２の表面２ａの導電部に半田付けされる（図示せず）。
一方、図３に示すように、端子６は対応する端子保持孔５０に保持され、図１（ａ）および（ｂ）並びに図３に示すように、端子６のリード６ａは各取付部７，７の横孔から両側方へ延び出して、回路基板２の表面２ａの導電部に半田付けされる。
【００１４】
また、図１（ｂ）に示すように、一対の取付部７，７からは、ハウジング３と一体の合成樹脂により形成される一対の係止具９，１０がそれぞれボス状をなして突出しており、図２又は図３に示すように、各係止具９，１０は回路基板２の対応する係止孔２ｂ，２ｃに挿通されて係止される。係止具９，１０は例えばその径を相異ならせることにより、回路基板２に対して逆向きに取り付けられることを防止している。
【００１５】
図１（ａ）および（ｂ）を参照して、電気コネクタ１は、いわゆるトップタイプであり、そのハウジング３は、図４に示すような対となるプラグ型電気コネクタ１１の連結凸部１２を挿入させて連結するための連結凹部１３を有し、連結凹部１３は本電気ネクタ１の連結方向Ｙに開放している。プラグ型電気コネクタ１１は、対応する回路基板６０に固定され、連結凸部１２が回路基板６０に平行の延びる、いわゆるサイドタイプである。ただし、プラグ型電気コネクタ１１は、いわゆるトップタイプであっても良い。図４において、連結状態において、端子５に、プラグ型電気コネクタ１１の対応する端子７０が接続されている。
【００１６】
図１（ａ）を参照して、連結凹部１２は、ハウジング３に設けられる相対向する一対の側壁１４，１５と相対向する一対の端壁１６，１７とにより区画され、矩形状をなす。
図２を参照して、各側壁１４，１５のそれぞれには、多数の端子保持孔１８が横並びで（図１の左右方向Ｘに沿って並んで）配列され、各側壁１４，１５を連結方向Ｙに沿って貫通している。
【００１７】
端子保持孔１８は側壁１４，１５の連結側端面１４ａ，１５ａに開放すると共に、連結方向Ｙの反対方向Ｚに延びることでハウジング３の上記対向面３ａにも開放している。
図２を参照して、端子４は、端子保持孔１８に圧入係止される長尺の主体部１９と、主体部１９の上端からＳ字状の弾性屈曲部２０を介して連接され連結方向Ｙに延びる突出部２１と、突出部２１に設けられる山型突起からなる接点部２２と、接点部２２から傾斜状をなして延びる当接端部２３と、主体部１９の下端から屈曲されて外側方へ延びるリード２４とを備える。
【００１８】
端子保持孔１８は連結凹部１３に開放部分４０を通して開放している。突出部２１が連結凹部１３側に向けて弾性屈曲部２０により弾性付勢されることにより、接点部２２が上記開放部分４０を通して連結凹部１３内に進出している。また、当接端部２３が対応する側壁１４の端部に設けられるストッパ２４に当接することで、接点部２２の連結凹部１３側への突出量が規制されている。
図４に示すように端子５に関しても、端子４と同様の構成である。
【００１９】
図１（ｂ）および図２を参照して、各側壁１４，１５の外側面１４ｂ，１５ｂには、横並びで（左右方向Ｘに沿って並んで）多数の縦長の開口２５が形成されている。開口２５は、各側壁１４，１５の高さ方向（すなわち連結方向Ｙ）の概ね中央部に配置されている。
側壁１４，１５は同様の構成である。図５を参照して、側壁１４は、相隣接する端子保持孔１８，１８間を仕切る仕切り壁２６を有しており、上記の開口２５は各仕切り壁２６に対応して側壁１４の外側面１４ｂに形成されている。開口２５は、対応する仕切り壁２６の一部を切り欠いて形成されており、一対の連通部２５ａ（図５では一方の連通部２５ａのみを示す）を介して両側の端子保持孔１８に通ずる。これにより、各開口２５は当該開口２５に対応する仕切り壁２６を挟んで対向する一対の端子保持孔１８，１８をそれぞれハウジング３の外部に開放させる。
【００２０】
図６は金型によりハウジング３の図５に示す部分を射出成形するときの模式図である。金型３０において、上記の開口２５を形成するための開口形成用ピン３１が、それぞれ、金型３０の相隣接する端子保持孔形成用リブ３２の間に介在することになる。したがって、射出成形時に端子保持孔形成用リブ３２の変形を抑制できるので、狭ピッチで配列される端子保持孔１８や仕切り壁２６の位置精度を高くすることができ、ひいては端子４，５の位置精度を高くして小型で信頼性の高い電気コネクタ１を提供することができる。
【００２１】
特に、開口２５が各側壁１４，１５の高さ方向（すなわち連結方向Ｙ）の概ね中央部に配置されるので、射出成形時の端子保持孔形成用リブ３２の変形を確実に防止することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】（ａ）および（ｂ）は本発明の一実施の形態の電気コネクタの平面図および側面図である。
【図２】図１（ｂ）のII−II線に沿う断面図である。
【図３】図１（ｂ）のIII −III 線に沿う断面図である。
【図４】電気コネクタを対応するプラグ型電気コネクタに接続した状態の概略断面図である。
【図５】電気コネクタの側壁の一部破断拡大斜視図ある。
【図６】金型の構成を示す模式的斜視図である。
【符号の説明】
１ （リセプタクル型）電気コネクタ（基板用電気コネクタ）
２ 回路基板
２ａ 表面
３ ハウジング
３ａ 対向面
４，５ （信号用）端子
６ （電源用）端子
１１ （プラグ型）電気コネクタ
１２ 連結凸部
１３ 連結凹部
１４，１５ 側壁
１４ａ，１５ａ 連結側端面
１４ｂ，１５ｂ 外側面
１８ 端子保持孔
１９ 主体部
２０ 弾性屈曲部
２１ 突出部
２２ 接点部
２３ 当接端部
２５ 開口
２６ 仕切り壁
３０ 金型
３１ 開口形成用ピン
３２ 端子保持孔形成用リブ
４０ 開放部分
Ｘ 左右方向
Ｙ 連結方向（高さ方向）
Ｚ （連結方向）の反対方向

Claims (2)

1. 連結方向に開放する連結凹部を有する絶縁性の合成樹脂からなるハウジングと、このハウジングによって横並びに保持される多数の端子とを備え、
   上記ハウジングは、互いの間に連結凹部を区画するために横方向に延びる相対向する一対の側壁と、各側壁を上記連結方向に貫通する端子保持孔と、隣接する端子保持孔間を仕切る仕切り壁と、各仕切り壁の一部をそれぞれ切り欠いて形成され側壁の外側面に開放する多数の開口とを含み、
   各開口は、当該開口が形成された仕切り壁を挟んで対向する一対の端子保持孔を互いに連通させつつ外部に開放させることを特徴とする基板用電気コネクタ。
2. 請求項１において、上記側壁の外側面の開口は側壁の高さ方向の概ね中央部に配置されることを特徴とする基板用電気コネクタ。

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