JP3961769B2 - 回転パーカッションドリル、特に表土ドリルのためのドリルロッド連結システム - Google Patents
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Description
本発明は、回転衝撃ドリルのドリル連結システム、特に表土ドリルのためのドリル連結システムであって、個々のドリルロッドが雄ねじを付けた端部と雌ねじを付けた端部とを有しており、両ねじ山が負荷を受ける大きい方のフランクと負荷を受けない小さい方のフランクとを1つずつ有しているものに関する。
【0002】
大型建造物は良好な基礎を必要とするが、地盤が安定した基礎を形成するのに十分固くないことはしばしば見られる。そのような場合には、地盤にあけた穴にアンカーを打ち込むことによって地盤を固めなければならない。このような穴をあける作業を表土ドリルと呼ぶ。
【0003】
種々の方法が存在するが、通常表土ドリルは回転衝撃式に形成されており、ヘッドハンマー(ドリルハンマー)とダブルドリルコラムを用いる。ドリルロッドは、ハンマーの衝撃(打撃)とトルクとをドリルビットに伝達できなければならない。また、ドリルロッドは、互いに押し入れることができなければならない。
【0004】
表土ドリル用に形成されたドリルロッドは、円筒状または円錐状のねじ山によって互いに結合される。これらのドリルロッドはこのような応用のために特別に開発されたが、多数の弱点を有している。以下に重要な弱点を挙げると、
a)連結中のねじ山の摩耗
b)ねじ径が比較的大きい場合のセルフロッキング
c)雌ねじの内側に位置する端部近傍の比較的小さいねじ径における材料破断
【0005】
それゆえ本発明の課題は、冒頭に記載した種類の連結システムを改善して、上記の欠点をほぼ取り除くことである。
【0006】
上記の課題を解決するために本発明では、ロッド端部がそれぞれ1つのねじ山のない導入部を有していて、これに雄ねじもしくは雌ねじが続いており、雄ねじの断面形状が扁平にされた山の頂と円弧状の谷底とを有していて、雌ねじの断面形状が円弧状の山の頂と扁平な谷底とを有しており、しかも雄ねじを有するロッド端部に環状肩部が形成されていて、この環状肩部を介して衝撃作用が後続のドリルロッドに伝達可能であるようにした。
【0007】
本発明による連結システムは、寿命が長く、特にドリルロッドを結合する際のねじ摩耗が最小であることを特徴とする。このようなねじ山の構成は、ねじ径が比較的大きい場合でもセルフロッキングを確実に防止する。
【0008】
本発明の好適な構成は、負荷を受けない小さい方のフランクがそれぞれ円弧状に形成されていて、雌ねじの円弧状の山の頂もしくは雄ねじの円弧状の谷底と同じ半径を有している。これは、フランクにおける応力ピークの低減に寄与する。
【0009】
別の有利な構成によると、雄ねじの前に配置されている導入部の長さが、それぞれのドリルロッドの外径の少なくとも0.3〜0.35倍であり、雄ねじの前に配置されている導入部の長さが、雌ねじの前に配置されている導入部の少なくとも2倍である。これらの比較的長い導入部は、ねじ山の外側フランクの摩耗を最小限にすることに寄与する。
【0010】
さらに、雄ねじを有するロッド端部に設けた環状肩部が他方のロッド端部に向かって円錐状に傾いており、他方のロッド端部が相補的に形成された端面を有していると有利である。こうすることによって肩部の接触面は拡大されて、ドリルハンマーからドリルビットへの良好な衝撃伝達が確保される。この場合、肩部の傾斜角度は、それぞれのドリルロッドの半径方向面に対して10°〜20°であることが好ましい。
【0011】
本発明による連結システムのドリルロッドは、雄ねじもしくは雌ねじのリード角がロッドの大きさの全範囲にわたって12°〜16°、好ましくは12.3°〜15.8°であると、セルフロッキングを生じることなく迅速かつ簡単に連結したり取り外したりできる。
【0012】
別の有利な構成は、ねじ山の負荷を受けるフランクがドリルロッド中軸に対して25°〜35°傾いているようにした。これは、負荷を受けるフランクに対して比較的大きい接触面積を提供するだけでなく、雄ねじを付けたドリルロッドの導入時にねじ山が、対応する雌ねじを付けた後続ドリルロッドの端部内に位置調節されるのを補助する。このようにすることによって摩耗はさらに最小化される。
【0013】
本発明の別の教理に従い、すべてのドリルロッドはねじ山の深さが等しくて、1.5mm〜2.5mmであり、好ましくは約2mmである。それによって工具コストが最小化される。
【0014】
さらに別の好適な構成は、ドリルロッドがその外径および内径に関して段階付けられていて、所定の大きさのドリルロッドがこれより2段階大きいドリルロッドの内部に導入可能であることを特徴とする。このように構成することによって、互いに入れ子式に押し入れた2個または3個のドリルロッドを有する本発明の連結システムにより穴をあけることができる。
【0015】
外径が75mm〜180mmのドリルロッドについては、最大外径が最小内径の1.15〜1.55倍、好ましくは1.25〜1.45倍であることが好都合である。この場合、雄ねじもしくは雌ねじのフランク径は、1/1.25×AD〜1/1.05×ADの範囲にあり、ここでADはドリルロッドの外径である。このようにすることによって、ドリルロッドを次の大きいドリルロッドに導入でき、それにもかかわらず十分な強度を有することが確保されている。なぜならば、ドリルロッドの断面は、雌ねじの内側に位置する端部でドリルロッドの外径が増すに連れて大きくなるからである。
【0016】
雌ねじの内側に位置する端部における断面が、雄ねじの内側に位置する端部における断面よりも大きいと有利である。なぜならば、衝撃作用が外側肩部を介して伝達されるドリルロッドでは、雌ねじを有する端部は雄ねじを有する端部よりも大きい曲げ応力を受けるからである。
【0017】
ねじの自浄作用を達成するために別の構成では、負荷を受けないフランクがそれぞれ円弧状に形成されており、円弧の半径が3.2mm〜4.5mmの範囲にあり、好ましくは約3.8mmである。円弧の半径は、ドリルロッドの大きさの全範囲にわたって維持される。この構成は、不変なフランク角度と可変なねじ山の深さと共に、ドリルロッドの大きさの全範囲に対して同一のねじ切り工具を使用できることを保証する。
【0018】
別の好適な構成は、ねじ山の数がドリルロッドの外径が増すに連れて増加することを特徴とする。この場合、外径が75mm未満のドリルロッドは1条のねじ山を有し、外径が75mm以上で105mm未満のドリルロッドは2条のねじ山を有し、外径が105mm以上で140mm未満のドリルロッドは3条のねじ山を有し、さらに外径が140mmより大きいドリルロッドは4条のねじ山を有することが好ましい。このようにしても、ドリルロッドの外径が増すとフランクの負荷を受ける面の拡大が達成される。これによって、ドリルロッドの大きさの全範囲に同じねじ山の断面形状を使用する場合に、外径(AD)が増すに連れてリード角が過度に変化しないことが保証される。
【0019】
さらに、応力集中に基づく材料破断の危険を最小化するために、雄ねじも雌ねじもすべての移行部において約1mmの移行半径を有することが提案される。
【0020】
本発明の別の有利な構成および特徴が、従属請求項に記載されている。
以下に、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1aおよび図1bは、円筒状の雄ねじ1とこれに対応する雌ねじ2を付けたドリルロッドの端部の縦断面図を示している。ドリルロッド端部はそれぞれ1つの、ねじ山のない導入部3もしくは4を有していて、これに各々のねじが接続している。雄ねじ1の前に配置されている導入部3の長さは、ドリルロッドの外径ADの約0.3〜0.35倍であり、雌ねじ2の前に配置されている導入部4の約2倍である。
【0022】
さらに、図1aに示した、回転衝撃ドリル用に作られたドリルロッドの端部には、衝撃作用を後続のドリルロッドもしくはドリルビットに伝達するように働く環状肩部5が形成されているのが見える。肩部5は円錐状に形成されていて、半径方向面に対して約15°の傾斜角度を有しており、他方のドリルビット端部は相補的に面取りされた端面6を有している。
【0023】
入れ子式に配置された2個以上のドリルビットで穴あけできるように、ドリルロッドは大きさが段階付けられていて、所定の大きさのドリルロッドがこれより2段階大きいドリルロッドの内部に導入できるようになっている。外径ADが75mm〜180mmのドリルロッドでは、ドリルロッドの最大外径ADは最小内径IDの約1.15〜1.55倍である。雄ねじもしくは雌ねじのフランク径FDは、1/1.25×AD〜1/1.05×ADである。したがって雌ねじ2の内側に位置する端部における断面は、ドリルビット外径ADが増すに連れて大きくなる。また、雌ねじ2の内側に位置する端部における断面が、雄ねじ1の内側に位置する端部における断面よりも大きいことも分かる。この場合、雌ねじ2の内側に位置する端部に接する部分8と、雄ねじ1の対応する部分7とは、ほぼ等しい肉厚WAもしくはWIを有しており、ドリルロッドの内径IDは雌ねじ2に向かって円錐状に拡張している。
【0024】
図2aおよび図2bは、本発明による連結システムのねじ山断面形状を示している。雄ねじ1と雌ねじ2とは、それぞれ負荷を受ける外側フランク9と、負荷を受けない内側フランク10とを有している。
【0025】
雄ねじ1(テーパねじ)は、扁平にされた山の頂11と円弧状の谷底12とを有しており、雌ねじ2(ナットねじ)は円弧状の山の頂13と扁平な谷底14を有している。
【0026】
負荷を受ける外側フランク9は、ドリルロッド中軸Mに対してそれぞれ約30°の角度(αF)で傾いている。これに対して負荷を受けない内側フランク10はそれぞれ円弧状に形成されていて、雌ねじ2の円弧状の山の頂13もしくは雄ねじ1の円弧状の谷底12と等しい半径Rを有している。円弧の半径Rは3.2mm〜4.5mm、好ましくは約3.8mmである。
【0027】
雌ねじ2において、扁平な谷底14からフランク9、10への移行部が丸凹部15として形成されている。丸凹部15の半径は約1mmである。これに応じて雄ねじ1では、扁平にされた山の頂11からフランク9、10への移行部16が円弧状に丸みを付けて形成されており、円弧の半径が丸凹部の半径に等しい。
【0028】
工具コストを最小化するために、すべてのドリルロッドは同じねじ山を有している。1条のねじ山の深さは8.5mm〜10.5mm、好ましくは約9.5mmである。
【0029】
図3aに雄ねじの側面図が示されており、1条のねじ山に対するリード角(α1)が記入されている。図3bでは雄ねじが概略的に示されており、2条のねじ山に対するリード角(α2)が記入されている。
【0030】
ねじ山の数は、ドリルロッドの外径に依存している。たとえば、外径が75mm未満のドリルロッドは1条のねじ山を有し、外径が75mm以上で105mm未満のドリルロッドは2条のねじ山を有し、外径が105mm以上で140mm未満のドリルロッドは3条のねじ山を有し、さらに外径が140mmより大きいドリルロッドは4条のねじ山を有する。
【0031】
本発明の構成は、上記の好適な実施例に限られるものではない。特にドリルロッドのねじ断面形は円筒状のみならず、円錐状に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1a】 雄ねじを有する本発明のドリルロッド端部の縦断面図である。
【図1b】 雌ねじを有する本発明のドリルロッド端部の縦断面図である。
【図2a】 雄ねじの断面形状の拡大図である。
【図2b】 雌ねじの断面形状の拡大図である。
【図3a】 図2aとは直径が異なる1条のねじ山を有する本発明によるドリルロッドの雄ねじの部分の側面図である。
【図3b】 図2aとは直径が異なる2条のねじ山を有する本発明によるドリルロッドの雄ねじの部分の側面図である。
Claims (22)
- 回転衝撃ドリル、特に表土ドリルのためのドリルロッドの連結システムであって、
連結システムは雄ねじ(1)と雌ねじ(2)を含み、
雄ねじ(1)の断面形状が扁平にされた山の頂(11)と円弧状の谷底(12)とを有していて、
雌ねじ(2)の断面形状が円弧状の山の頂(13)と扁平な谷底(14)とを有しており、
雄ねじ(1)と雌ねじ(2)の各端部に、それぞれ、ねじ山のない導入部(3、4)が設けられており、
雄ねじ(1)の領域には環状肩部(5)が形成されていて、
雄ねじ(1)と雌ねじ(2)がそれぞれ負荷を受ける大きい方のフランク(9)と負荷を受けない小さい方のフランク(10)とを有しており、
負荷を受けない小さい方のフランク(10)が円弧状に形成されていて、雌ねじ(2)の円弧状の山の頂(13)もしくは雄ねじ(1)の円弧状の谷底(12)と同じ半径(R)を有している、
ことを特徴とする連結システム。 - 雄ねじ(1)の前に配置されている導入部(3)の長さが、それぞれのドリルロッドの外径(AD)の少なくとも0.3〜0.35倍であることを特徴とする、請求項1記載の連結システム。
- 雄ねじ(1)の前に配置されている導入部(3)の長さが、雌ねじ(2)の前に配置されている導入部(4)の少なくとも2倍であることを特徴とする、請求項1から2のいずれか1項記載の連結システム。
- 雄ねじ(1)を有するロッド端部に設けた環状肩部(5)が他方のロッド端部に向かって円錐状に傾いており、他方のロッド端部が相補的に形成された端面(6)を有していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項記載の連結システム。
- 雄ねじ(1)を有するロッド端部に設けた環状肩部(5)が、半径方向面に対して10°〜20°の傾斜角度で他方のロッド端部に向かって円錐状に傾いていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項記載の連結システム。
- 雄ねじもしくは雌ねじ(1、2)のリード角が12°〜16°であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項記載の連結システム。
- 雄ねじもしくは雌ねじ(1、2)のリード角が12.3°〜15.8°であることを特徴とする、請求項6記載の連結システム。
- 負荷を受けるフランク(9)が、ねじ山(1、2)の、それぞれドリルロッド端部に向いている外側フランクであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項記載の連結システム。
- ねじ山(1、2)の負荷を受ける各々のフランク(9)が、ドリルロッド中軸(M)に対して25°〜35°傾いていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項記載の連結システム。
- ドリルロッドのねじ山の深さ(GT)が1.5mm〜2.5mmの範囲にあり、好ましくは約2mmであることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項記載の連結システム。
- ドリルロッドは大きさに関して外径および内径が段階付けられていて、所定の大きさのドリルロッドがこれより2段階大きいドリルロッドの内部に導入可能であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項記載の連結システム。
- 外径(AD)が75mm〜180mmのドリルロッドにおいて、外径がその最小内径の1.15〜1.55倍、好ましくは1.25〜1.45倍であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項記載の連結システム。
- 雄ねじもしくは雌ねじのフランク径(FD)が1/1.25×AD〜1/1.05×ADの範囲にあり、ここでADはドリルロッドの外径であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項記載の連結システム。
- 雌ねじ(2)の内側に位置する端部における断面が、雄ねじ(1)の内側に位置する端部における断面よりも大きいことを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項記載の連結システム。
- 負荷を受けないフランク(10)がそれぞれ円弧状に形成されており、円弧の半径(R1)が3.2mm〜4.5mmの範囲にあり、好ましくは約3.8mmであることを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項記載の連結システム。
- 雄ねじ(1)と雌ねじ(2)が多条ねじとして形成されていることを特徴とする、請求項1から15のいずれか1項記載の連結システム。
- ねじ山の数がドリルロッドの外径が増すに連れて増加することを特徴とする、請求項16記載の連結システム。
- 外径が75mm未満のドリルロッドは1条のねじ山を有し、外径が75mm以上で105mm未満のドリルロッドは2条のねじ山を有し、外径が105mm以上で140mm未満のドリルロッドは3条のねじ山を有し、さらに外径が140mmより大きいドリルロッドは4条のねじ山を有することを特徴とする、請求項17記載の連結システム。
- 雌ねじ(2)に谷底(14)からフランク(9、10)への移行部が丸凹部(15)として形成されており、これらの丸凹部の半径が約1mmであることを特徴とする、請求項1から18のいずれか1項記載の連結システム。
- 雄ねじ(1)で扁平にされた山の頂(11)からフランク(9、10)への移行部が円弧状に丸みを付けられており、円弧の半径が約1mmであることを特徴とする、請求項1から19のいずれか1項記載の連結システム。
- ねじ山(1、2)が円筒状に形成されていることを特徴とする、請求項1から20のいずれか1項記載の連結システム。
- ねじ山(1、2)が円錐状に形成されていることを特徴とする、請求項1から21のいずれか1項記載の連結システム。
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