JP3961282B2 - 箱体切開装置のカッター部構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダンボール等の箱体のコーナー部をカッターで切断する箱体切開装置のカッター部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、野菜や果物並びに食品等各種物品を収容する立方体のダンボール箱は、箱本体の上面(上蓋)と下面(底蓋)に相対向して折り畳み両開き可能な中蓋と外蓋を備えていると共に、両中蓋に重ねた両外蓋を接着テープ類や止め金具等の適宜な止め具で蓋部を閉止することによって荷姿に梱包される。
従来、このような箱体を搬送部上に載置した状態で、そのコーナー部の全周をカッターで切断し蓋部を切開する切開装置は、例えば特開昭63−11297号公報に示されるように既に公知であり、この切開装置のカッター部はカッターの切断方向側に離間させた位置に、コーナー部の上面に沿って転接するローラと、コーナー部の側面に沿って転接するローラとを設け、両ローラでコーナー部を摘み出して突出させ、次いで突出したコーナー部をカッターで切断する構成にしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
然し、上記公報のような構成による切開装置は、搬送部で搬送される箱体を左右のカッターで両側コーナー部を切断したのち、別の搬送部に箱体を移替えて向きを変えたのち、別の左右一対のカッターで他方の両側コーナー部を切断することにより蓋部を切開するようにしているので、装置の構成が複雑になったり大型化する欠点がある。
またカッター部の構成を、コーナー部の突出用のローラをカッターより切断方向側に離間させた位置に設けているので、多数の箱体が積み重ねられたりして、箱体のコーナー部に変形をきたしているような場合に、上記ローラによる突出が適切に行われないものであると共に、カッターがコーナー部に沿って所定の位置を確実に切断することができない等の問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記従来の問題点を解消するために本発明による箱体切断用のカッター部構造は、第1に、位置決め部5に位置決め固定された箱体Wの上端のコーナー部に沿ってカッター部6を移動させ、該カッター部6のブラケット61に支持したカッターKで箱体W上面の蓋部Fを切断する切開装置1において、前記カッター部6のブラケット61にカッター部6の移動方向に沿った支持軸62を設け、該支持軸62には、支持部材62aを介してカッター支持枠63をスプリング65により下向きに付勢して回動可能に支持させ、さらに該カッター支持枠63には、箱体Wのコーナー部に向かい且つ支持軸62と交差する方向にスライド作動可能にスプリング65aにより付勢してカッターKを支持させ、上記カッター支持枠63にコーナー部の上面に沿って接触移動するガイド部材80と、コーナー部の側面に沿って接触移動するガイド部材81を所定のガイド間隔を有して一体的に設けると共に、該ガイド間隔内に刃先部を位置せしめてカッターKを設けたことを特徴としている。
【0005】
第2に、カッター支持枠63に、ガイド部材80とガイド部材81で形成されるガイド間隔内で、上記ガイド部材80,81より先行して箱体Wのコーナー部の頂部と接触して移動する位置に補助ガイド部材82を設けことを特徴としている。
【0006】
第3に、カッター支持枠63に、固定ガイド90と可動ガイド91とによってカッター支持枠63のスライド方向に沿ったアリ溝状の取付溝92を形成すると共に、該取付溝92内にカッターKの取付位置調節及び着脱可能に取付固定する取付片93をスライド可能に取付支持することを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。先ず図1〜図10を参照し本発明に係わる切開装置(箱体切開装置)1について説明する。
この切開装置1は、前後の中蓋Nに左右の外蓋Mを重ねて荷姿にしたダンボール等からなる箱体W(図11)を、後述する搬送部4の位置決め部5に位置決め固定した状態において、先ず中蓋Nを有する前後の側壁を切断したのち、外蓋Mを有する左右の側壁を切断することにより、箱体Wの側壁全周を切断し中蓋Nと外蓋Mを有する蓋部Fを箱本体に対し切離し可能とする切開作業を、能率よく簡単に行うことができるようにしている。
【0008】
上記切開装置1は、前後左右に立設した4本の支柱21を、左右方向の横枠22と前後方向の横枠23で連結して箱枠状の機体2を構成し、該機体2の各支柱21はその内側に沿ってガイド軸20を平行状に垂設し、このガイド軸20に後述する切開部3を略水平状に支持した状態で、後述する昇降機構7aを介し箱体高さに適応させて昇降可能に設けていると共に、切開部3の下方に箱体Wを移送するローラ方式のコンベア等からなる搬送部4を設置し、箱体Wを後側の機外に形成した供給部から、前側の機外に形成した排出部に向けて搬送することができるようにしている。
【0009】
また搬送部4の中途部で切開部3の下方位置には、箱体Wを切開待機姿勢に位置決め固定する位置決め部5を設けており、該位置決め部5に固定した箱体Wに対し、該箱体Wの各側壁に個別に対応させた複数のカッター部6を有する切開部3を、昇降機構7aを介して所定の切開位置に下降停止させた状態において、上記各カッター部6を各側壁に沿わせて作動し、箱体Wの蓋部Fを箱本体と切離し可能とするように切開作業を行うように構成している。
【0010】
そして、上記各作動部は搬送体4の下方に設置した制御盤10によって、機体2に配置したエアーシリンダ及びモータ等の各アクチェータ類を、設定されたモード及びタイミング並びに後述するセンサ類の位置検出等に基づいて作動させることにより、搬送部4に載置され位置決めし切開姿勢にある箱体Wを、その上側の前後側辺と左右側辺を、図11で示すように、切開部3に備えた各カッター部6(前カッター部6a,後カッター部6b,左カッター部6c,右カッター部6d)が有するカッターKで切断し、箱体Wの全周を能率よく適切に切断するようにしている。
【0011】
尚、図示例の切開装置1で切開処理する箱体Wは、野菜や食品等の各種の物品が収容された状態の直方体形状のダンボール箱を示しており、上側部と底側部の中蓋Nと外蓋Mとからなる蓋部Fを、一般的な蓋閉止手段としてのガムテープ等の止め具Tを用いて貼着封鎖したものを示しているが、これに限ることなく他の立方体形状の箱体にも対応できること勿論である。
また上記のようなダンボール箱(箱体W)は、外蓋Mと中蓋Nが内側に折り込まれるとき、その基部の内面に凹溝状の折り込み部Sが形成される傾向にあるが、図示例のカッターKによる切断形態は、箱体Wの側壁上部を外側から所定の後退角を有する刃先を斜め上向きの切断傾斜角を有するナイフ状のカッターKによって、該刃先を上記折り込み部S内に臨む位置に突入させて切断するようにしている。
尚、長い刃先のKを付け替えると折り込み部Sを含むコーナ部全体を切り取ることができる。
【0012】
これにより、箱体Wの側壁の全周を切断し蓋部Fを切開したとき、側壁の切開面は内側を高くした綺麗な斜面で切り残しなく確実に切開すると共に、閉止部材Tによって一体的に閉止した状態の蓋部Fを、箱本体から簡単に取り外すことができ、この際、箱体Wの上部内のコーナー部に位置する物品や物品を包装している袋等を刃先で切損することがないようにしている。
そして切開装置1は、上記箱体Wを搬送部4上に縦長又は横長の何れの姿勢でも供給可能にしているが、外蓋Mと中蓋Nとが共に重合している側、即ち中蓋Nを有する側壁を搬送方向と一致させるように前後に位置させて搬送体4上に載置供給するとよく、この場合には、切開作業時に各カッターKが横方向に切断移動する際の切断抵抗に伴う箱体Wの変形を具合よく防止すると共に、装置全体の構成を簡潔なものにしながら、精度のよい切断を能率よく良好に行うことができるようになるものである。
【0013】
次に上記各部の詳細な構成について説明する。先ず切開部3は図1〜図6に示すように、各ガイド軸20にスライドメタル部20aを介し略水平姿勢に枢支されて(図4)、昇降機構7aの作動によって昇降する昇降フレーム30を、平面視で前後方向に長い方形状とし、その内部の左右に支持杆31を横設し、両支持杆31の前後側に前カッター部6aを有する支持台32と、左カッター部6c及び右カッター部6d並びに後カッター部6bを有する支持台32aを、軸方向(切断方向)にスライド可能に軸装している。尚、切断方向に移動可能に架装する手段は、上記のものに限ることなくスライドレール支持構造等によってもよいものである。
上記支持台32は、その前後移動を機体2の前側の両側に設けたエアシリンダ33で安定よく行うと共に、支持台32aの前後移動は、該支持台32aに設置したスライドモータ35のピニオンギヤ35aを、支持杆31,31の間で略平行状に沿設しているラックギヤ35bに噛合させ、上記スライドモータ35の正逆回転によって行うようにしている。
【0014】
また前カッター部6aは、支持台32の下側で搬送方向と直交する方向に一体的に横設した横支持杆31aに、往復移動可能に支持していると共に、これに沿設したロッドレスシリンダ等からなる作動杆36の作動ブロック36aと連結し、該作動ブロック36aの作動によって、図7,図11に示す切開作業の待機姿勢から矢印方向に切り移動させることにより切断姿勢にするようにしている。
また後カッター部6bは、上記のものと同様に支持台32aの下側に一体的に横設した横支持杆31aに往復移動可能に支持していると共に、これに沿設したロッドレスシリンダ等による作動杆36の作動ブロック36aと連結し、この作動によって図9,図11に示す待機姿勢から矢印方向に切り移動することができるようにしている。
【0015】
また図5,図6,図8で示すように左カッター部6c及び右カッター部6dは、支持台32aの下側に横設した横支持杆31aの両側で各別に往復移動可能に支持していると共に、支持台32aの上部に相対向する方向に設置した巾決めモータ37の作動ブロック37aと連結し、この作動によって同図で示す待機姿勢から各矢印方向に同時移動させて、両者のカッターKを箱体Wの後方から所定の切断深さに差し込んだのち、一時停止させてその後再び切り移動させるようにしている。
【0016】
即ちこの実施形態において、支持台32aに支持した後カッター部6bに対し、左カッター部6cと右カッター部6dとを前方側に所定量だけ偏位させた前切り距離Lを有して支持すると共に、支持台32aの移動により、箱体Wの左右の側辺を前切りした状態で後側辺を切断させるように構成している。
尚、支持台32aの下面には左右のカッター部6c,6dの略中央部において、箱体Wの上面に押接しながら転動するローラ32Rを複数設けており、これにより切断時の抵抗に伴う箱脹らみ等の変形を規制するようにしている。
【0017】
そして、上記のような支持構造で各アクチェータによって作動される各カッター部6は、この実施形態においては以下のような順序及びタイミングによって作動させることにより、箱体Wに無理な力を与えたりこれに伴う変形を生じさせることなく、蓋部Fを能率よく的確に切開することができるようにしている。
即ち、搬送部4上で位置決め部5に位置決めされた箱体Wの大きさ(図5の点線)に対し切開部3は、先ず左カッター部6aを支持台32を介して後方移動させ、そのカッターKを箱体Wの側方において所定の切断深さとなる位置(図11(B)の点線)に待機姿勢にさせると共に、これと略同時に左カッター部6c及び右カッター部6dを、巾決めモータ37の作動によって、箱体Wの巾に対応させた所定の切断深さに両カッターKを位置決めした状態で、図11(B)の実線で示すように、支持台32aを前方移動させながら両カッターKを箱体Wに差し込み突入させ、且つ後カッター部6bを前カッター部6aと同様に箱体Wの側方に所定の切断深さに位置させる切開待機姿勢にする。
【0018】
このようにして図11(C)で示すように、前カッター部6aを切開方向に移動させて箱体Wの前側の中蓋N基部の前辺或いは側壁等の前側辺を切断し、また同図で示すように、後カッター部6bを移動させて後側の中蓋N基部の後側辺を切断したのち、左カッター部6c及び右カッター部6dを前方移動させて箱体Wの両側辺を切断することにより、箱体Wの蓋部Fの切開を円滑に完了することができるようにしている。
【0019】
次に、上記構成からなる切開部3を昇降動作させる昇降機構7aについて、図1〜図4,図19〜図23を参照し説明する。この昇降機構7は図2,図4,図10で示すように、4本の支柱21に沿って昇降可能に設けた各ウエィト7と、前記昇降フレーム30の4隅とをチェン70で各連結し、該チェン70の中途部を機体2の左右上方に沿設した支持軸71が有する両端の昇降駆動輪としてのスプロケット72に迂回状に巻き掛けることにより、切開部3の重量と各ウエィト7との総重量をバランスさせた重量バランス構造としている。
【0020】
そして、後側の横枠23の中途部に取付支持した昇降モータ73から、ギヤ及びチェン,スプロケット等からなる伝動機構74を介して、左右の支持軸71の後端に設けた入力スプロケット71aを正逆回転可能に駆動することにより、図10の実線矢印で示す支持軸71の正回転によって、昇降フレーム30を介し切開部3を下降させると共に、点線矢印で示す支持軸71の逆回転によって切開部3を上昇させるようにしており、このとき切開部3の自重を各ウェイト7の総重量で相殺せしめ、上記昇降軸71を昇降モータ73で簡単に正逆回転可能に駆動可能にし、これにより切開部3の昇降移動を小型の昇降モータ73によって円滑に行うことができるようにしている。
【0021】
また切開部3は図1の実線で示す待機姿勢から下降すると、搬送部4の位置決め部5で位置決め固定され切開待機姿勢にある箱体Wを、図8で示す箱体検出センサ7Sが高さ検出をして昇降モータ73を停止させることにより、各カッター部6を所定の切断高さ位置に停止する。
上記昇降機構7aの詳細な構成について説明すると、この実施形態で機体2は、切開部3の昇降スロトークと略等しい長さの丸棒状の補助支柱25を各支柱21の外側面に略平行状に沿わせ、その上下端を着脱可能に取付支持していると共に、支柱21及び横枠22は補強リブ条によって凹溝条に形成された支柱溝26を複数条備えたアルミ支柱加工等によって製作したものを採用している。
【0022】
そして図4,図20で示すように、ウエィト7は支柱21の外側三方面を囲繞する断面コ字状の重量ブロック体とし、その内部に設けたメタル部75を補助支柱25にスライド可能に嵌挿し、且つ両側端の内面に前記支柱21の支柱溝26内で転接するガイドローラ76,76を軸支した構成にし、ウエィト7と昇降フレーム30との対向部位をチェン70の両端で止着すると共に、該チェン70の中途部を前後の支柱21から突出させて軸支している支持軸71のスプロケット72に巻き掛けている。
【0023】
この構成により切開部3と各ウエィト7は、支持軸71の正逆回転により互いに逆方向に昇降するが、ウエィト7は支柱21の近傍で補助支柱25によって重量を分担支持しながら、該支柱21にガイドローラ76を係合させて回り止めをした状態で、切開部3の昇降を円滑に行う。
また、これによればウエィト7の自重及びチェン70を介して生ずる負荷反動を補助支柱25が主として分担するので、当該支柱21が軽小で弱い支柱である場合でも重量構造の昇降作業部としての切開部3を、簡潔で廉価な構成を以て昇降させることができるところの、重量バランス構造による昇降機構を提供することができる等の利点がある。
【0024】
次に、搬送部4及びその中途部に設置される位置決め部5等について説明すると、図1〜図4で示すように搬送部4は、機体2の長さとその前後に突出する長さの搬送フレーム40を略水平状に連接していると共に、各搬送フレーム40にコンベアモータで駆動される搬送ローラ41を複数列設し、搬送部4の中途部の切開位置に供給搬送される箱体Wを、位置決め固定する位置決め部5を設置している。
上記位置決め部5は、搬送方向下手側で箱体Wの停止位置の位置決めを行う停止ガイド50と、停止された箱体Wの下部側を両側から挟持することにより左右方向の位置決めを行う挟持ガイド51とからなる。
尚、この挟持ガイド51の搬送方向上手側には、次位に供給搬送される箱体Wを待機状態に搬送停止させる停止ガイド52を設けている。
【0025】
図示例の停止ガイド50,52は、いずれも搬送フレーム40に取付固定された停止シリンダ53によって、図示しない箱体通過位置検出センサの指令に基づき、搬送部4の搬送経路に出没作動可能に支持している。
また挟持ガイド51,51は、搬送フレーム40に直交する方向に横架した、前後の支持杆55にスライド可能に支持した状態で、その中途部にラックギヤを内向きに形成した作動杆56を設け、両作動杆56のラックギヤを対向させた状態で巾決めシリンダ57が有するピニオンギヤ58に各噛合させている。
これにより、巾検出指令に伴い巾決めシリンダ57が伸縮駆動すると、挟持ガイド51,51は同時作動し、図2の待機姿勢から図10に示すように、挟持ガイド51,51よって箱体Wを搬送部4の中央部において両側から挟持固定することにより、箱体Wの位置決めを簡単且つ的確に行う。尚、上記のような巾決め手段はこれに限定されるものではない。
【0026】
次に、上記のように構成した切開装置1に用いるカッター部6について説明する。このカッター部6は図12〜図16に示す構成によって、前カッター部6aと後カッター部6b及び左カッター部6cと右カッター部6dとを略同様な構成で所定部に設置していると共に、いずれもナイフ状のカッターKを既述の切断姿勢で切開移動方向に向けて取付固定しており、これにより各カッターKを箱体Wの各対応する側壁上辺に沿わせ倣い移動させて、適切に切断することができるようにしている。
【0027】
即ち、同図においてカッター部6は、そのスライド本体60を支持杆31a(31)にスライド移動可能に嵌挿支持し、各スライド本体60を前記作動杆36の作動ブロック36aに係脱可能に係合させるもの、また作動ブロック37aに連結するものにより各軸方向に往復移動させるようにしている。
またスライド本体60は、その両側にブラケット61を下向きに取付固定し、正面視で下向きコ字状のカッター部本体を形成しており、後カッター部6bでは両側のブラケット61に支持杆31aと同方向の支持軸62を設け、該支持軸62に後述する2本のスライド軸66をスライド可能に嵌挿支持するブロック状の支持部材62aを回動可能に軸支せしめ、これにより上記支持軸62に対しガイド部材8及びカッターホルダ部9等を有するカッター支持枠63を、回動及びスライド可能に取付支持している。
【0028】
そして、カッター支持枠63とブラケット61に引っ張りスプリング65を設け、スプリング65によってカッター支持枠63及びガイド部材8側を支持軸62を中心に下向きに回動付勢し、またカッター支持枠63と支持部材62aに設けた引っ張りスプリング65aによって、カッター支持枠63及びガイド部材8側をスライド軸66を介して上方にスライド付勢している。
従って、上記のような支持及びスプリング65とスプリング65aをバランスさせた付勢構造により、ガイド部材8の上部ガイドローラ80及び側部ガイドローラ81を箱体Wのコーナー部の上面並びに側面に沿って倣い移動させると共にカッタKを追動させて、カッターKによる切断位置を上面及び側面から所定の位置を連続的に切断することができるコーナー面倣い切断構造にしている。
【0029】
即ち、カッター支持枠63は、筺枠状に形成しその前面にガイド部材8としての上部ガイドローラ80と側部ガイドローラ81を軸支していると共に、筺枠の内部に前記支持軸62と略直交する方向の2本のスライド軸66を軸支し、該スライド軸66の支持部材62aに対し、カッタKの進退切断方向と略平行状にスライド移動可能に嵌挿支持し、且つカッターホルダ部9及びガイド部材8を、カッター支持枠63に設けたスプリング65aによって前側(深切り方向)に引っ張り付勢することにより、ガイド部材8の側部ガイドローラ81を箱体Wのコーナー部の側面に接触させて移動させ、カッターKによる切断位置を側面から所定の位置を連続的に切断することができる側面倣い切断構造にしている。
【0030】
尚、図示例のガイド部材8は、箱体Wのコーナー部の上面(外蓋M)に沿って転接させる上部ガイドローラ80と、該上部ガイドローラ80にほぼ略直交状に所定のガイド間隔を有して近接せしめ、コーナー部の側面(側壁)に転接させる側部ガイドローラ81とから構成しているが、ローラに限ることなく板状のものであってもよい。
【0031】
またガイド部材8は、上部ガイドローラ80と側部ガイドローラ81間に位置し、切断方向の前側に離間させてカッター支持枠63に設けた橇板状の倣いガイド(補助ガイド部材)82を設置しており、倣いガイド82はカッター部6が待機姿勢から切断移動して上部ガイドローラ80が上面(外蓋M)に乗り上げる前に、予め該上面に乗り上げさせるようにすることにより、カッター支持枠63をいち早く適正切断姿勢に準備動作させ、次いで上部ガイドローラ80と側部ガイドローラ81がコーナー部の上面及び側面に急激な変動や抵抗を伴うことなく、緩やか且つ円滑に乗り上げて転接することにより、カッターKによる初期の切断位置設定動作を、上部ガイドローラ80のみによって行わせることによる倣い遅れを伴うことなく、これに先立って適正位置からの切断を良好に開始することを可能にする。
【0032】
即ち、この実施形態の倣いガイド82は、図13で示すように正面視において上部ガイドローラ80と側部ガイドローラ81で形成されるガイド間隔内で、両者の箱体Wの転接面より内側において平坦面を位置させ、該平坦面を箱体Wのコーナー部の対角線と略直交する関係に対面傾斜させ、コーナー部と線接触をさせることで移動時の接触抵抗を低減せしめるようにしている。
従って、この倣いガイド82は、腰の強いコーナー部に対し直接的に接当せしめ、箱体Wの上面並びに側面にへこみ(歪み)による凹凸があった場合でも、これらの歪みの一方に大きく影響されることなく、その平均なコーナー部の実質的な歪み形状に対しガイド部材8を適切に追動せしめることができる等の利点があり、またカッターKを腰の強いコーナー部の切断位置に対し適正案内し位置決めしながら、例えば、上部ガイドローラ80のみの倣い動作で、カッターKが切断初期に湾曲軌跡で切断したり、これに伴うカッターKに捩じれを生じたりする等の不具合いを防止した切断を、適切且つ円滑に行わせることができる。
【0033】
またカッターホルダ部9は、図15,図16で示すようにブロック状のカッター支持枠63の裏側平坦面の両側に、固定ガイド90と可動ガイド91を設けてカッタ取付用のアリ溝状の取付溝92を形成し、該取付溝92内にカッタ取付用の取付片93を溝方向にスライド及び着脱可能に嵌挿し、また上記可動ガイド91は、その側面からカッター支持枠63に対しハンドル付の取付ネジ95で緊緩可能に締付けることにより、取付溝92を拡縮し取付溝92内部の取付片93を着脱及び進退調節可能に取付固定するように構成している。
【0034】
上記取付片93は、その表面側に形成した取付溝内にナイフ状のカッタKを貼着姿勢で嵌挿し、該カッターKに穿設している取付孔内に固定ネジ96を挿通し、着脱可能に締め付け固定するようにしており、またカッターホルダ部9を介しカッターKを安定よく固定すると共に、カッターKの取付位置調節及び交換を取付ネジ95,固定ネジ96の操作によって簡単且つ迅速に行うことができるようにしている。
これにより、カッター部6はナイフ状のカッターKを、取付ネジ95を操作し取付片93を進退調節するだけで、適切な切断位置に簡単に位置決め固定することができると共に、また取付片93と共にカッターKの着脱を簡単に行うことができるから、研ぎなおし作業及び図16で示すように長さの異なるカッターKの交換等も簡単に行うことができる等の特徴がある。
【0035】
また上記のように構成してなるカッター部6は、カッターKと上部ガイドローラ80及び側部ガイドローラ81との関係を以下のようにしている。
即ち、ナイフ状のカッターKは、既述の適正切断角に傾斜させた刃先を、前記ガイド間隔内で箱体Wの折り込み部Sに臨むように位置させており(図13,図16)、上部ガイドローラ80と側部ガイドローラ81の中心周面を、図13で示すように、箱体Wの外蓋M(コーナー部の上面)と側壁(コーナー部の側面)とに転接可能に略直交状に設け、カッターKの刃先をガイドローラ80と側部ガイドローラ81との直交面の略中間部に位置させながら、その高さ位置を支持軸62と略同高さにし、上部ガイドローラ80と側部ガイドローラ81の回転中心を刃先と略同一線上に揃えていると共に、刃先が切断移動する方向と略直交する線上に一致させている。
【0036】
これにより、カッター部6が切断方向へ移動するとき、前記上面及び側面倣い切断構造によって上部ガイドローラ80は、支持軸62を中心にスプリング65の付勢力によって外蓋Mを押接しながら倣い転動するので、カッター支持枠63を上部ガイドローラ80が外蓋Mを追動する動作に伴わせ、支持軸62を中心に移動方向左右に自由に揺動回動させることができ、カッターKの高さ方向の切断位置を一定にすることができる。
またカッターKは、その刃先が前記上部ガイドローラ80と側部ガイドローラ81のガイド間隔内で、倣いガイド82より下位に位置させているので、支持軸62の略水平な軸線の近傍で上下揺動するから、上向き切断角を大きく変動することなく所定の切断を精度よく行うことができる等の特徴がある。
【0037】
また側部ガイドローラ81は既述の側面倣い切断構造によって、上向き傾斜でスプリング65aによってスライド可能に支持されたカッターホルダ部9を介し、箱体Wの側壁を押接しながら倣い転動するので、カッターホルダ9を側部ガイドローラ81が、側壁の凹凸等の状況に倣ってスライド軸66に進退スライドさせることができ、カッターKの深さ方向の切断位置を一定にすると共に、カッターKの刃先位置を大きく変動させることなく良好に切断することができる等の特徴がある。
【0038】
従って、上記配置構成によって三者はカッター支持枠63に一体的に設けているので、上部ガイドローラ80と側部ガイドローラ81が箱体Wのコーナー部の上面及び側面の形状に沿って接触移動するとき、カッターKも相対位置を不変として倣い作動するから、切断方向へのカッターKの移動を大きな抵抗を伴うことなく円滑に行わせることができると共に、カッターKの刃先をコーナー部の形状に沿わせて合成方向に的確に倣い移動させることができるので、蓋部Fを所定の切断位置で適正な切断深さに切断することができる等の利点がある。
【0039】
また上記構成によるカッター部6は、ガイド部材8とカッターKを一体的に設けたカッター支持枠63を、支軸62側にスライド軸66を斜め上向き方向に上下作動(進退作動)させるので、支持杆31a,(30)からカッターKの支持距離を短くすることができると共に、カッター部6の構成をコンパクトにすることができる等の利点があるが、スライド軸66は図17,図18で示す別実施形態のように構成してもよいものである。
尚、前記実施形態のカッター部6と同様な構成については説明を省略する。
【0040】
即ち、同図で示すカッター部6は、支軸62側にスライド軸66を斜め下向き方向に上下作動可能に支持し、該スライド軸66の上下端にカッター支持枠63を取付固定し、該カッター支持枠63をスプリング65,65aによって倣い作動可能に付勢し、この付勢作動範囲をストッパ69,69aによって規制している。
そして、上記カッター支持枠63のスライド軸66の略延長端に、ガイド部材8とカッターKを既述と同様な構成を以て設置することにより、カッター支持枠63の左右回動及び上下の進退作動を円滑に行うと共に、カッターKによる切断精度を向上させることができるようにしている。
【0041】
次に以上のように構成した切開装置1による箱体の切開方法及び使用態様等について説明する。
先ず、切開部3が上昇し停止ガイド52が搬送ローラ41から没入した退避状態で、且つ各カッター部6等が待機状態にある切開装置1の搬送部4に、箱体Wを供給載置し装置を作動させると、箱体Wは搬送部4の搬送ローラ41の作動によって位置決め部5に搬送され、ここで停止ガイド50及び挟持ガイド51によって位置決め停止し固定される。
【0042】
次いで、上記のように位置決め固定された箱体Wに対し、切開部3が昇降モータ73の作動及び箱体検出センサ7Sの指令によって、蓋部Fの所定切断位置にまで下降して停止し、既述の支持構造と各アクチェータによって作動されるカッター部6が、本発明の切開方法及び手段によって蓋部Fを簡単且つ的確に切開する。
またこの実施形態では、各カッター部6を次のような順序及びタイミングによって作動させることにより、大きさ等の異なる箱体Wの蓋部Fを該箱体Wに無理な力を与えたり、これに伴う変形を生じさせることなく良好に切断する。
【0043】
即ち、箱体Wの切開は、図1,図5,図6で示すカッター部6の待機状態から、図11(A)に示すように、先ず前カッター部6aを支持台32を介して後方移動させて、そのカッターKを箱体Wの前側側方で所定の切断深さ位置に停止させた前側辺の切断待機姿勢にする。このとき当該カッタKは箱体Wの左方に位置する。
次いで、これと略同時に箱体Wの左右外側に待機している左カッター部6cと右カッター部6dを、巾決めモータ37,37の作動によって、同図(B)に示すように、内側に向けて所定の切断深さ位置に移動停止させた両側辺の切断待機姿勢にした状態にすると共に、この姿勢を維持しながら支持台32aを前方移動させて、両者のカッターK,Kで既述の前切り距離L分の切断を行いながら、後カッター部6bのカッターKを所定の切断深さ位置に移動停止させた後側辺の切断待機姿勢にする。このとき当該カッタKは箱体Wの右方向に位置する。
【0044】
こののち同図(C)で示すように、前カッター部6aを支持杆31aに沿わせて切断方向に右移動させ、カッターKによる箱体Wの前側辺の切断を行うことで、中蓋Nと外蓋Mが重合している前側辺切断工程(重合蓋側切断)を完了し、前カッター部6aは箱体Wから離間した右外側方に停止し、後述する右カッター部6bの切断完了姿勢を支障しないように位置する。
またこのとき同時に、後カッター部6bをその支持杆31aに沿って左方に向けて切断移動させることにより、箱体Wの中蓋Nと外蓋Mが重合している後側辺切断工程を完了させて、後カッター部6bを箱体Wの左外側方に停止させる。
【0045】
このとき、箱体Wの蓋部Fは前カッター部6aによって前側辺が既に切断されているので、その分箱体剛性は失われて弱くなり変形を伴い易い状態になっていたり、中蓋Nの前側基部が切断されたことに伴い、両側の外蓋Mが蓋開き方向に持ち上がり変形をしようとしているが、左カッター部6c及び右カッター部6dの前切り距離Lを切断していることにより、箱体Wの後部上方両側は両者のカッターK,Kの切断中途停止によって両側支持した状態(以下両側前切り支持と言う)になっているので、カッターKの切り込みでこの部の変形や浮き上がりを防止しながら安定支持されることになる。
【0046】
従って、前カッター部6a及び後カッター部6bのカッターKが一側から他側に向けて切断移動をするとき、この切断抵抗によって箱体Wのズレや変形浮き上り等を防止した状態で、前後側辺の切断を的確且つ円滑に行うと共に、箱体Wは下方を挟持ガイド51,51で片持ち支持された状態であっても、その上部の切開は互いに逆向きで対向方向に同時移動して切断する(以下対向切断と言う)前カッター部6aと後カッター部6bによって行われるので、切断時の抵抗による押し倒し方向の力が相殺されることになり、箱体Wの安定支持を図りながら変形を防止して、精度の高い切断を速やかに行うことができる等の特徴がある。
【0047】
そして、上記のように前カッター部6aと後カッター部6bとによる、前側辺切断工程と後側辺切断工程との重合蓋側切断を行ったのちは、スライドモータ35の駆動によって支持台32aが前方へ移動することにより、左カッター部6c及び右カッター部6dのカッターK,Kが、同図(C)で示すように、予め切り始めている切断中途位置から、左右の外蓋Mの基部側壁を全長にわたって切断して側辺切断工程(非重合蓋側切断)を円滑に行うことができる。
【0048】
従って、この両側辺の切断工程においては、箱体Wの蓋部Fは前カッター部6a及び後カッター部6bによって前側辺及び後側辺が既に切断されているので、その分箱体剛性は失われて弱くなり変形を伴い易い状態になっているが、予め前切り距離L分だけの初期切断を行って、同切断姿勢で次期連続切断待機状態になっていることにより、再び切り始める際に切断抵抗を大きく衝撃的に発生させたり、切り始め位置に狂いを生じさせることを的確に防止することができて、そのまま箱体W両側辺の非重合蓋側切断を全長にわたって円滑に行うことができる等の特徴がある。
【0049】
またこのとき、蓋部Fの中央部はローラ32Rで押接しているので、蓋部Fが上方に変形しようとしても、これが的確に防止されるのでカッターK,Kが側壁を浅く切ったり波型の湾曲状に切ることなく、精度よく綺麗に切断することができるものである。
以上のような切開手段によれば、箱体Wを前カッター部6aによる前側辺切断工程で前側の重合蓋側切断と、後カッター部6bによる後側辺切断工程で後側の重合蓋側切断を行なう際に、前カッター部6aと後カッター部6bの両カッターKで箱体Wを両側前切り支持し、この状態で前カッター部6aと後カッター部6bのカッターKで箱体Wの前後を略同時に対向切断をさせたのち、前記左カッター部6c及び右カッター部6dによる側辺の非重合蓋側切断を行う切開工程及び方法にしたことにより、中蓋Nと外蓋Mが重合するような荷姿のダンボール箱等の周囲を、その前後並びに外蓋M側の側壁を共に適切に切断することができ、箱体Wは箱本体の変形を防止されながら、蓋部F全周コーナー部の切断を良好に行われて簡単に切開させることができる。
【0050】
次いで、上記のような箱体Wの蓋部Fの切開工程が完了すると、切開部3は各カッター部6を切断完了姿勢で上昇し、且つ各カッター部6を元の切断待機姿勢に復帰動作させ、これと略同時に位置決め部5は停止ガイド50,52が搬送面から退動し、搬送部4の駆動によって、切開済の箱体Wを前方に排出搬送しながら、次位の箱体Wを位置決め部5に搬送し、停止ガイド50の突出及び挟持ガイド51の挟持作動によって再び次位の箱体Wを位置決め固定し、上述の切開工程を繰り返すので、大量の箱体切開作業を能率よく連続的に行うことができる。
【0051】
このようにして切開作業を行う切開装置1は、箱体Wの各側辺に対応させて各別に切断作動するカッター部6を備えて切断するようにしたことにより、切開作業時の切断抵抗を可及的に低減しながら、的確に切断することができると共に、各切断時に箱体Wに大きな変形を生じさせることがないから、内部の物品に損傷を与えることなく箱体Wの全周を精度よく切開することができると共に、作動杆36,巾決めシリンダ37等のアクチェータ類を同時的に一挙に作動させることなく各切断工程を行うので、コンプレッサや油圧機器或いはモーター類を大型化させないで可及的に小型化を図ることが可能になり、装置全体の構成を簡潔にして廉価にすることができる等の特徴がある。
【0052】
また、上記のように切開作業が完了される箱体Wは、既述のカッター部6の構成によって、カッターKの刃先が折り込み部Sに向けて切断するので、内部の物品やその包装等に損傷を与えることを確実に防止することができる等の利点がある。
また切開作業を完了した箱体Wは、箱本体に全周を切断された蓋部Fが載置された状態にあるので、該蓋部Fを簡単に除去することができるから、内部の物品の取り出しを容易に行うことができるものである。
【0053】
そして、本発明に係わるカッター部構造を備えた切開装置1は、箱体Wのコーナー部をカッターKで切断するにあたり、前記カッター部6を、コーナー部の上面に沿って押接付勢作動をするガイド部材80と、コーナー部の側面に沿って押接付勢作動をするガイド部材81を設け、両ガイド部材80,81の押接付勢作動によって倣い作動をするカッター支持枠63にカッターKを設け、該カッターKにより箱体Wのコーナー部を倣い切断するように構成したので、箱体Wが積み重ねられたりして、そのコーナー部に変形をきたしているような場合でも、カッターKはカッターホルダ9を介し、コーナー部の形状に沿って上下及び左右側方並びにその合成方向に自由に倣い作動し、コーナー部の所定の位置を確実に切断することができる。
【0054】
またカッター部6は、ブラケット61にカッター支持枠63をカッター部移動方向(切断方向)に対し左右回動及び上下作動可能に付勢支持すると共に、上記カッター支持枠63にコーナー部の上面に沿って接触移動する上部ガイドローラ80と、コーナー部の側面に沿って接触移動する側部ガイドローラ81を所定のガイド間隔を有して一体的に設け、該ガイド間隔内に刃先部を位置せしめてカッターKを設けるようにしたので、上部ガイドローラ80と側部ガイドローラ81が箱体Wのコーナー部の上面及び側面の形状に沿って接触移動するとき、上部ガイドローラ80と側部ガイドローラ81とカッターKの三者は、既述の配置構成によってカッター支持枠63に一体的に設けられているとにより、カッターKも相対位置を不変として倣い作動する。
【0055】
従って、カッター部6の切断方向移動に際し、在来のカッターKを支持軸62を中心に回動付勢する倣い構造と、カッターホルダ9をスライド付勢する倣い構造を組み合わせて、カッターを単独作動させるもののように、カッターKに無理な抵抗を伴うことなく、カッターKの刃先をコーナー部の形状に沿わせて合成方向に円滑に倣い移動させて、蓋部Fを所定の切断位置で適正な切断深さに精度よく切断することができる。
またこれにより、ガイド部材8と倣いガイド82及びカッターKを組み合わせた倣い構造を、簡潔で廉価な構成にすることができると共に、作動トラブルのない円滑な切断を良好に行うことができる等の特徴がある。
【0056】
また上記カッターKは、側面視において上部ガイドローラ80と側部ガイドローラ81で形成されるガイド間隔内で切断方向下手側に、箱体Wのコーナー部の頂部と接触して移動する倣いガイド(補助ガイド部材)82をカッター支持枠63に設けているので、倣いガイド82はガイド間隔内でガイド部材8に先行して、箱体Wのコーナー部に倣い接触しカッター支持枠63を対角線方向に倣い作動するので、倣いガイド82は箱体Wの上面並びに側面の歪みの一方に大きく影響されることのない状態で、ガイド部材8を箱体Wとの接触初期抵抗を緩和しながら円滑に案内し、カッターKに捩じれ等の不具合いを防止した切断を適切に行うことができる。
【0057】
尚、ガイド部材8を箱体Wに転接するローラにすると共に、該ガイド部材8に倣いガイド82を切断方向側に隣設することにより、初期切断をカッターKの刃先に無理な負荷をかけたり湾曲状に切断することを防止すると共に、コーナー部の変形に円滑且つ速やかに追動させることができるものであるが、ガイド部材8はローラに限ることなく、広巾な滑動面を有する橇状の板体部材で形成してもよいものである。
【0058】
さらに図示例では、箱体Wは、その上面側の蓋部Fを切開する例について説明したが、これに限ることなく本発明による箱体の切開方法及び装置によれば、物品が収容された箱体Wを反転させた状態で搬送部4に載置すると共に、該箱体Wの底部となる蓋部Fを上向きの上面側にしてこれを切開するようにしてもよいものであり、この場合には、例えば箱体Wの内部にお菓子類や他の物品を収容した袋がぎっしりと入っているような場合に、該袋の底部の耳部は一般的には屈折したり押しつぶされた状態にあることから、これが箱体Wが反転されると、袋底部の耳部を蓋部Fの内面から確実に離間させることができるので、この耳部が折り込み部S内に入り込んだり、このコーナー部直近に位置して接触することを防止することができるから、折り込み部S或いはその直近等を移動するカッターKの刃先が、切断時にこれらに接触することを確実に防止し、袋や物品を切損することがないものである。
【0059】
【発明の効果】
本発明は以上のような箱体切開装置のカッター部構造にしたことにより、次のような効果を奏することができる。
(1)箱体Wのコーナー部に沿ってカッター部を移動させ、ブラケットに支持したカッターで箱体Wを切断させる切開装置において、前記カッター部のブラケットに、カッター支持枠をカッター部移動方向に左右回動及び上下作動可能に付勢支持すると共に、上記カッター支持枠にコーナー部の上面に沿って接触移動するガイド部材と、コーナー部の側面に沿って接触移動するガイド部材を所定のガイド間隔を有して一体的に設けると共に、該ガイド間隔内に刃先部を位置せしめカッターを設けることにより、カッター部の切断方向への移動に伴い、両ガイド部材が箱体のコーナー部の上面及び側面の形状に沿って接触移動するとき、カッターも相対位置を不変として倣い作動し、カッターの刃先をコーナー部の形状に沿って倣い移動し、蓋部を所定の切断位置で精度よく切断することができる。
またガイド部材とカッターを組み合わせた倣い構造を、簡潔で廉価な構成にすることができる等の特徴がある。
【0060】
(2)カッター支持枠に、ガイド部材とガイド部材で形成されるガイド間隔内で、箱体のコーナー部の頂部と接触して移動する補助ガイド部材を設けることにより、補助ガイド部材はガイド間隔内で、箱体のコーナー部に倣い接触をしてガイド部材及びカッターを案内し、カッターに捩じれ等の不具合いを防止した切断を適切に行わせる。
【0061】
(3)カッター支持枠に、固定ガイドと可動ガイドとによってアリ溝状の取付溝を形成すると共に、該取付溝内にカッターを着脱可能に取付固定する取付片をスライド可能に取付支持することにより、カッター部はカッターを取付片を進退調節するだけで、適切な切断位置に簡単に位置決め固定することができると共に、カッターの着脱を簡単に行うことができるので、カッターの研ぎなおしや交換等も簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の切開装置の構成を示す側面図。
【図2】図1の機体の構成を示す平面図。
【図3】図1の機体のカバー構成を示す平面図。
【図4】図1の側面図。
【図5】切開部の構成を示す平面図。
【図6】図5の側面図。
【図7】前カッター部の構成を示す背面図。
【図8】左カッター部と右カッター部の構成を示す正面図。
【図9】後カッター部の構成を示す正面図。
【図10】切開装置の構成及び切開作業を示す斜視図。
【図11】箱体切開作業の工程を示し、(A)は前カッター部による切断工程図。(B)は後カッター部及び左カッター部と右カッター部の切断開始工程図。(C)は後カッター部及び前カッター部並びに左カッター部と右カッター部による切断工程図。
【図12】カッター部(後カッター部及び右カッター部)の構成を示す平面図。
【図13】図12の側面図。
【図14】図12のカッター部(後カッター部)の背面図。
【図15】図13のA−A線断面図。
【図16】図14の正面図。
【図17】カッター部の別実施形態の構成を示す側面図。
【図18】図17の背面図。
【図19】図1のA−A線断面図。
【図20】図1のB−B線断面図とウエィトの構成を示す断面図。
【符号の説明】
1 切開装置(箱体切開装置)
2 機体
3 切開部
5 位置決め部
6 カッター部
6a 前カッター部
6b 後カッター部
6c 左カッター部
6d 右カッター部
7 昇降機構
8 ガイド部材
9 カッターホルダ部
30 昇降フレーム
31,31a 支持杆
61 ブラケット
62 支持軸
63 カッター支持枠
80 上部ガイドローラ(ガイド部材)
81 側部ガイドローラ(ガイド部材)
82 倣いガイド(補助ガイド部材)
90 固定ガイド
91 可動ガイド
92 取付溝
93 取付片
95 取付ネジ
96 固定ネジ
K カッター
L 前切り距離
W 箱体

Claims (3)

  1. 位置決め部(5)に位置決め固定された箱体(W)の上端のコーナー部に沿ってカッター部(6)を移動させ、該カッター部(6)のブラケット(61)に支持したカッター(K)で箱体(W)上面の蓋部(F)を切断する切開装置(1)において、前記カッター部(6)のブラケット(61)にカッター部(6)の移動方向に沿った支持軸(62)を設け、該支持軸(62)には、支持部材(62a)を介してカッター支持枠(63)をスプリング(65)により下向きに付勢して回動可能に支持させ、さらに該カッター支持枠(63)には、箱体(W)のコーナー部に向かい且つ支持軸(62)と交差する方向にスライド作動可能にスプリング(65a)により付勢してカッター(K)を支持させ、上記カッター支持枠(63)にコーナー部の上面に沿って接触移動するガイド部材(80)と、コーナー部の側面に沿って接触移動するガイド部材(81)を所定のガイド間隔を有して一体的に設けると共に、該ガイド間隔内に刃先部を位置せしめてカッター(K)を設けた箱体切開装置のカッター部構造。
  2. カッター支持枠(63)に、ガイド部材(80)とガイド部材(81)で形成されるガイド間隔内で、上記ガイド部材(80),(81)より先行して箱体(W)のコーナー部の頂部と接触して移動する位置に補助ガイド部材(82)を設け請求項1の箱体切開装置のカッター部構造。
  3. カッター支持枠(63)に、固定ガイド(90)と可動ガイド(91)とによってカッター支持枠(63)のスライド方向に沿ったアリ溝状の取付溝(92)を形成すると共に、該取付溝(92)内にカッター(K)の取付位置調節及び着脱可能に取付固定する取付片(93)をスライド可能に取付支持する請求項1又は2の箱体切開装置のカッター部構造。
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