JP3961247B2 - プラズマ処理方法、プラズマ処理装置及び半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマを用いて基板上に薄膜を形成するプラズマ処理方法、プラズマ処理装置及び、これらを用いた半導体装置の製造方法に係り、特に誘導結合型(ICP型)、ヘリコン波励起型(HWP型)、電子サイクロトロン共鳴型(ECR型)、マグネトロン放電型、表面波励起型等の種々の高密度プラズマによる反応を利用した技術分野に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置においては、素子配線を電気的に隔離するための絶縁膜が用いられている。従来、この絶縁膜としては、熱酸化法にてシリコン基板を酸化して形成されたシリコン酸化膜(SiO2膜)、又はモノシラン(SiH4)やテトラエトキシシラン(TEOS)等のガスを原料として化学気相成長法(CVD)にて形成されたSiO2膜が主に用いられている。しかし、これらの成膜方法では600℃以上の高温熱処理が必須であり、低融点のメタルを堆積した後の被処理基体への処理が困難であるという問題がある。この問題を解決する方法として、低温での処理が可能な、プラズマ反応を用いたシリコンの酸化法やプラズマCVD法が開発された。しかし、これらの処理法により得られた酸化膜は、熱酸化法により得られる酸化膜と比較して、密度が低く、電気的耐圧が低く、又誘電率が高い特性しか得られないという問題がある。
【0003】
又、近年の高速ロジックデバイス、メモリーデバイス等では、回路の複雑化に伴い、配線幅の微細化、配線の多層化等の要求が増大している。多層配線における層間絶縁膜の形成法に要求される特性の一つに埋め込み性能があげられる。素子の微細化に伴い狭くなった素子分離用のトレンチや配線間を絶縁膜で埋め込む必要があるからである。これらの要求を満たすものとして、高密度プラズマを用いたCVD法が注目されている。高密度プラズマCVD法は、1Pa程度の圧力においてプラズマ放電を行うことを特徴としており、プラズマ生成法により、ICP型、HWP型、ECR型、マグネトロン放電型、表面波励起プラズマ型等がある。高密度プラズマCVDでは、低圧力下で放電を行うことから、中性粒子に対してイオン種の密度が数%を占め、イオン種を用いた成膜が実現される。この為、サセプタにバイアス電圧を印加することでイオン種を基板へ引き込み、方向性をもった堆積を実現し、更にアルゴン(Ar)等の希ガスの添加により、電場の集中する溝の開口部のエッジ部分を選択的にスパッタ・エッチングすることで、高アスペクトの溝の埋め込みを可能にしている。
【0004】
従来例の一例として、ICP型高密度プラズマ処理装置を説明する。図8にICP型の高密度プラズマ処理装置の概略図を示す。この高密度プラズマ処理装置は、プラズマ生成のために用いられる容器基体1、誘電体容器2、プラズマ生成のためのRFコイル3とRF電源装置6、基板5、基板5を保持するための基板ホルダ(4a,4b,4c,4d)、バイアス電圧によるイオン引き込みをするためのRF電源7、図示を省略している真空排気系、複数の原料ガス供給システム(図略)に接続された複数の水平ノズル910,911、及び頂部ノズル921から構成されている。プラズマ容器1と誘電体容器2から構成されるプラズマチャンバー内に、複数の原料ガス供給システム(図略)に、それぞれ接続された複数の水平ノズル910,911及び頂部ノズル921から原料ガスを流し、真空排気系から排気することによりチャンバー内は1Pa程度に保つ。RF電源装置6によってRFコイル3に3kW程度の高周波電界を印加して、チャンバー内にプラズマを生成させる。更に、RF電源7によって、基板ホルダ上部4a上に保持された基板5(温度制御手段の図略)にバイアス電圧をかけ、プラズマから基板5へイオン種を引き込む。図8に示すように、水平ノズル910,911及び頂部ノズル921が、保持基板ホルダ(4a,4b,4c,4d)上方において、基板5と平行に配置され、これらの水平ノズル910,911及び頂部ノズル921からモノシラン(SiH4)/Arガス及びO2ガスが供給される。プラズマで生成される中性ラジカル種とイオン種によって、基板5上にSiO2膜が堆積される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、シリコン酸化膜(SiO2膜)の成膜を例に、プラズマCVDの問題点を検討する。SiO2膜のプラズマ装置、特に高密度プラズマ処理装置等のイオン種を積極的に用いたプラズマ処理装置における第1の問題にSi源イオン種密度の不足の問題がある。これは、SiO2膜の成膜においては、配線幅や素子分離用のトレンチの微細化が進むことによる埋め込み特性の悪化(埋め込み特性の限界)の問題となる。高密度プラズマCVDの例で説明すると、イオン照射によって表面に出来た成膜サイト(Si(s)-OH)にSi源(中性ラジカル種Si源(SiH3、SiH2、SiH、Si、SiO等)とイオン種Si源(SiH3 +、SiH2 +、SiH+、Si+等))が供給されてSiO2膜の成膜が進行するが、1Pa程度の高密度プラズマ条件でも、中性ラジカル種の表面へのフラックスがイオン種のフラックスと比較して5倍から10倍多い。そのために異方性成膜特性が損なわれ、溝部への埋め込み特性に限界が現れる。即ち、従来方法の高密度プラズマCVDによるSiO2成膜では、Si源イオン種密度不足による埋め込み特性限界が発生し、配線間に空間が残り、絶縁膜埋め込み後の工程(ウエット洗浄処理等)における歩留まりを著しく低下させるとともに、デバイスの信頼性を低下させる。
【0006】
第2の問題として、成膜される物質(SiO2膜)に対する非Si源イオン種によるスパッタが原因の埋め込み形状の悪化がある。前述したArガスから生成されたイオン種(Ar+)や、O2ガスから生成されたイオン種(O+、O2 +)は、Si源イオン種と比較して成膜される物質(SiO2膜)に対する「スパッタ効率」が大きい。イオン種の基板5へのエネルギーやフラックスが大きすぎると、図3(b)に示すように、隣の配線上のSiO2膜59の傾斜部からたたき出されたスパッタ種によって成膜61が起こる。特に開口部の幅l2が幅l1より狭い場合(l1≫l2)、即ち、トレンチ幅l2の微細化が進んだ場合は、オーバーハング62が埋め込み成膜中に発生し、その後更に堆積を続けても溝部の内部に空洞や巣が形成される(図3(a)は、イオン種の基板5へのエネルギーやフラックスが小さい場合を示す模式図である。)。その結果、イオン種の種類やエネルギーに依存して、狭いトレンチ幅l2のトレンチでの埋め込み特性が悪化する。
【0007】
第3の問題として、プラズマ密度の分布及び供給されるガス密度の分布に起因する膜厚均一性の悪化がある。これは、ガスノズル911,912,921等のガス供給管を用いて原料ガスを導入する、ICP型等の高密度プラズマ処理装置で特に顕著となる。プラズマによる部材消耗を防ぐためにノズル等を用いて、プラズマ外、或いはプラズマ密度の低い部分から原料ガスは導入され、必然的に、プラズマ部において原料ガス密度分布が生成され、プラズマ密度分布、膜厚分布均一性の悪化につながる。
【0008】
上記に置いて、SiO2膜の埋め込みをする場合で説明したが、反応性イオンエッチング(RIE)等のプラズマエッチングやドーピングを含む場合においても、同様である。或いは、タングステン(W)、モリブデン(Mo)等の金属を100nmレベルの微細なコンタクトホールやバイアホールに埋め込む場合も同様である。この様に、イオン種を積極的に用いて行うプロセスで、イオン種の密度不足やイオン種の面内分布改善の問題が発生している。
【0009】
上記問題点を鑑み、本発明は基板の表面反応に必要なイオン種の密度(イオン種密度)を中性ラジカル種に比して増大させることが出来るプラズマ処理方法及びプラズマ処理装置を提供することである。具体的には、基板表面の成膜サイト若しくはエッチングサイトにおいて、中性ラジカル種のフラックスに比して、イオン種のフラックスが増大出来、これにより異方性成膜特性や異方性エッチング特性が改善されたプラズマ処理方法及びプラズマ処理装置を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、配線幅や素子分離用のトレンチの微細化が100nmレベルまで進んだ場合でも、埋め込みやエッチング等のプラズマ反応の特性が良好なプラズマ処理方法及びプラズマ処理装置を提供することである。
【0011】
本発明の更に他の目的は、過剰な存在が表面反応を阻害する第2イオン種によるスパッタを抑制し、これにより異方性成膜特性や異方性エッチング特性を向させたプラズマ処理方法及びプラズマ処理装置を提供することである。
【0012】
本発明の更に他の目的は、プラズマ密度の面内分布、イオン種密度の面内分布が均一化し、膜厚均一性やエッチング深さの均一性が向上したプラズマ処理方法及びプラズマ処理装置を提供することである。
【0013】
本発明の更に他の目的は、配線間や素子分離用のトレンチに空間を残すことなく、良好な薄膜の埋め込みが出来、その後の工程における製造歩留まりが著しく向上出来る半導体装置の製造方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の第1の特徴は、反応室内に基板を配置し、反応室の頂部と基板の間に、基板に隣接したイオン走行領域、このイオン走行領域に隣接した第1低密度プラズマ形成領域、この第1低密度プラズマ形成領域に隣接した高密度プラズマ形成領域、及びこの高密度プラズマ形成領域と反応室の頂部に挟まれた第2低密度プラズマ形成領域を位置させ、高密度プラズマ形成領域のプラズマを用いた基板の表面反応により、基板上に成膜若しくは基板をエッチングする方法に関する。即ち、本発明の第1の特徴に係るプラズマ処理方法は、(イ)反応室内に基板を配置するステップと、(ロ)反応室内を減圧にするステップと、(ハ)反応室の側壁部に設けられ、第1低密度プラズマ形成領域に根本部を有し、先端部が高密度プラズマ形成領域方向に向かうノズルを用い、基板表面の仰角方向に、表面反応に必要な第1イオン種を生成する化合物ガスのみから実質的になる第1のガスを噴射するステップと、(ニ)第1のガスを噴射するステップと同時に、第1低密度プラズマ形成領域において、基板の表面に対して平行方向に、成膜若しくはエッチングされる物質に対するスパッタ効率が、第1イオン種より高い第2イオン種を生成する第2のガスを噴射するステップと、(ホ)高密度プラズマ形成領域、第1及び第2の低密度プラズマ形成領域に高周波電界を印加することにより、高密度プラズマ形成領域に第1イオン種が高密度に生成された高密度プラズマを生成し、第1及び第2の低密度プラズマ形成領域に低密度プラズマを生成し、第1イオン種をイオン走行領域を介して基板の表面に到達させ、第1イオン種による表面反応を生じさせるステップとを含むことを要旨とする。「成膜される物質に対するスパッタ効率」とは、CVD、エピタキシャル成長等の成膜の場合における成膜(堆積膜)材料に対する、イオンによるスパッタ効率を意味する。又、「エッチングされる物質に対するスパッタ効率」は、基板そのものをエッチングする場合であれば、基板材料に対するイオンによるスパッタ効率であり、基板上に基板とは異なる材料の被エッチング部が形成されている場合は、この被エッチング部となる材料に対するイオンによるスパッタ効率を意味する。種々のイオン種と種々の被スパッタ材料との組み合わせにおいて、イオン銃を用いた実験により「スパッタ効率」は測定される。「スパッタ効率」の実験結果は、基礎データとして文献に記載されているので、それを利用すれば良い。本発明者の実験によれば、「第1イオン種を生成する化合物ガスのみから"実質的"になる」とは、第1のガスの成分を考慮した場合、「表面反応に必要な第1イオン種を生成する化合物ガス」に対してこれ以外のガスが流量比で20%以下含まれているのであれば、「のみから"実質的"になる」と解釈可能である。
【0015】
本発明の第1の特徴に係るプラズマ処理方法によれば、基板の表面反応に必要な第1イオン種のイオン種密度を中性ラジカル種に比して、増大させることが出来る。即ち、基板表面の成膜サイトにおいて、中性ラジカル種の表面へのフラックスに比して第1イオン種のフラックスを増大出来る。この為、異方性成膜特性が改善され、溝部への埋め込み特性が向上する。これにより、プラズマCVDにおいては、配線幅や素子分離用のトレンチの微細化が100nmレベルまで進んだ場合でも、埋め込み特性を向上させることが出来る。この結果、配線間に空間を残すことなく、良好な絶縁膜埋め込みが出来るので、その後の工程(ウエット洗浄処理等)における歩留まりが著しく向上し、半導体装置の信頼性を向上させる。前述したように、第2イオン種としての、Ar+,O+,O2 +等は、表面反応に必要な第1イオン種と比較すると、成膜若しくはエッチングされる物質に対するスパッタ効率が大きい。第1の特徴に係るプラズマ処理方法によれば、過剰な存在が表面反応を阻害する第2イオン種によるスパッタが抑制されるので、プラズマCVDにおける埋め込み特性が向上する。第2イオン種の基板への過剰なエネルギーや過剰なフラックスを制御出来るので、プラズマCVDにおいては、隣の配線上の成膜の傾斜部からたたき出されたスパッタ種による異常な成膜が抑制され、オーバーハング形状等の発生が回避出来る。その結果、100nmレベルの狭いトレンチ間での埋め込み特性が極めて優れたものになる。又、プラズマ密度の面内分布、イオン種密度の面内分布が均一化するので、膜厚均一性やエッチング深さの均一性が向上する。
【0016】
本発明の第1の特徴において、第1のガスは、金属の水素化合物ガス、金属のハロゲン化合物ガス、金属の有機化合物ガス、半導体の水素化合物ガス、半導体のハロゲン化合物ガス、半導体の有機化合物ガスからなるグループから選ぶことが可能である。一方、第2のガスは、希ガス、水素ガス、窒素ガス、窒素の化合物ガス、酸素ガス、酸素の化合物ガスからなるグループから選ぶことが可能である。例えば、本発明の第1の特徴において、第1のガスはシリコンの水素化合物ガス、第2のガスは、酸素ガス若しくは酸素の化合物ガスとすれば、シリコン酸化物のプラズマCVDが実現出来る。本発明の第1の特徴において、第1のイオン種の第1のガスから生成された中性ラジカル種に対する密度比を、0.01〜0.045にすることが可能である。
【0017】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係るプラズマ処理方法と同様に、反応室内に基板を配置し、反応室の頂部と基板の間に、基板に隣接したイオン走行領域、このイオン走行領域に隣接した第1低密度プラズマ形成領域、この第1低密度プラズマ形成領域に隣接した高密度プラズマ形成領域、及びこの高密度プラズマ形成領域と反応室の頂部に挟まれた第2低密度プラズマ形成領域を位置させ、高密度プラズマ形成領域のプラズマを用いた基板の表面反応により、基板上に成膜若しくは基板をエッチングする方法に関する。即ち、本発明の第2の特徴に係るプラズマ処理方法は、(イ)反応室内に基板を配置するステップと、(ロ)反応室内を減圧にするステップと、(ハ)反応室の側壁部に設けられ、第1低密度プラズマ形成領域に根本部を有し、先端部が高密度プラズマ形成領域方向に向かうノズルを用い、基板表面の仰角方向に、表面反応に必要なイオン種を生成する化合物ガスのみから実質的になる第1のガスを噴射するステップと、(ニ)第1のガスを噴射するステップと同時に、第1低密度プラズマ形成領域において、基板の表面に対して平行方向に、基板の表面反応に必要なラジカル種を生成する原料となる第2のガスを噴射するステップと、(ホ)高密度プラズマ形成領域、第1及び第2の低密度プラズマ形成領域に高周波電界を印加することにより、高密度プラズマ形成領域にイオン種が高密度に生成された高密度プラズマを生成し、第1及び第2の低密度プラズマ形成領域に低密度プラズマを生成し、イオン種をイオン走行領域を介して基板の表面に到達させ、イオン種及びラジカル種による表面反応を生じさせるステップとを含むことを要旨とする。ここで、「イオン種」は、電荷を有する反応種(化学種)であり、「ラジカル種」は電荷を有しない反応種(化学種)である。第1の特徴で説明したと同様に、「イオン種を生成する化合物ガスのみから"実質的"になる」とは、第1のガスの成分として、「表面反応に必要なイオン種を生成する化合物ガス」に対して、流量比で20%以下の他のガスの混合を許容する意である。
【0018】
本発明の第2の特徴においては、反応室の側壁部から高密度プラズマ形成領域方向に向かって傾斜した方向に沿って、基板の表面反応に必要なイオン種を生成する原料となる第1のガスを噴射し、基板の表面に対して平行方向に基板の表面反応に必要なラジカル種を生成する原料となる第2のガスを噴射することにより、第1のガスの分解効率を向上させ、不足するイオン種密度を増大させることが可能となる。即ち、アスペクト比の大きいトレンチ、コンタクトホール、バイアホール等を形成する際に必要なイオン種密度と中性ラジカル種密度の制御が容易になる。アスペクト比の大きいトレンチのエッチング反応においては、中性ラジカル種は、エッチング表面での反応層生成、及びエッチング中に現れる側壁保護のために用いられる。従来、アスペクト比の大きいトレンチのエッチング反応において、一般には、イオン種密度が不足し、アスペクト比の大きいトレンチの形成は困難であったが、本発明の第2の特徴によれば、イオン種密度を十分高くすることが出来るので、アスペクト比の大きなトレンチ、ホールの形成が簡単に、且つ高精度で形成出来る。
【0019】
本発明の第2の特徴において、例えば、第1のガスはハロゲン化アルキルのガス、第2のガスは、パーフルオロカーボンのガスとすることが出来る。
【0020】
本発明の第3の特徴は、プラズマを用いた表面反応により、基板上に成膜若しくは基板をエッチングする装置に関する。即ち、本発明の第3の特徴に係るプラズマ処理装置は、(イ)真空排気可能な反応室と、(ロ)基板を配置するための、反応室内に配置された基板ホルダと、(ハ)反応室の側壁部に根本部が配置され、側壁部から反応室の頂部方向に噴射方向が設定され、表面反応に必要な第1イオン種を生成する化合物ガスのみから実質的になる第1のガスを反応室内に導入するための複数本の第1ノズルと、(ニ)第1ノズルの根本部と実質的に同一水平レベル、若しくは第1ノズルの根本部より基板寄りの水平位置に配置され、基板の表面に平行方向の噴射方向を有し、第1ノズルよりも本数が少なく、成膜若しくはエッチングされる物質に対するスパッタ効率が第1イオン種より高い第2イオン種を生成する原料、若しくは基板の表面反応に必要なラジカル種を生成する原料となる第2のガスを反応室内に導入するための第2ノズルと、(ホ)第1ノズルが配置された位置と反応室の頂部との間の空間に第1イオン種が高密度に生成された高密度プラズマを生成するための高周波電界印加手段とを含むことを要旨とする。
【0021】
本発明の第3の特徴に係るプラズマ処理装置によれば、複数本の第1ノズルを用いて、基板の表面反応に必要な第1イオン種のイオン種密度を中性ラジカル種に比して、増大させることが出来る。即ち、基板表面の反応サイトにおいて、中性ラジカル種の表面へのフラックスに比して第1イオン種のフラックスを増大出来る。この為、異方性成膜特性や異方性エッチング特性が改善される。
【0022】
本発明の第4の特徴は、本発明の第1の特徴に係るプラズマ処理方法を用いて、半導体基板上にシリコン酸化膜を堆積する段階を含む半導体装置の製造方法に対応する。したがって、本発明の第1の特徴に係るプラズマ処理方法と同様に、反応室内に半導体基板を配置し、反応室の頂部と半導体基板の間に、半導体基板に隣接したイオン走行領域、このイオン走行領域に隣接した第1低密度プラズマ形成領域、この第1低密度プラズマ形成領域に隣接した高密度プラズマ形成領域、及びこの高密度プラズマ形成領域と反応室の頂部に挟まれた第2低密度プラズマ形成領域を位置させ、高密度プラズマ形成領域のプラズマを用いた半導体基板の表面反応により、半導体基板上にシリコン酸化膜を堆積する段階を含む。即ち、本発明の第4の特徴に係る半導体装置の製造方法は、(イ)半導体基板の表面に開口部の幅が95nm〜130nmの溝部を設けるステップと、(ロ)反応室内に半導体基板を配置するステップと、(ハ)反応室内を減圧にするステップと、(ニ)反応室の側壁部に設けられ、第1低密度プラズマ形成領域に根本部を有し、先端部が高密度プラズマ形成領域方向に向かうノズルを用い、基板表面の仰角方向に、シリコンの水素化合物ガスを噴射するステップと、(ホ)シリコンの水素化合物ガスを噴射するステップと同時に、第1低密度プラズマ形成領域において、基板の表面に対して平行方向に、酸素ガス若しくは酸素の化合物ガスを噴射するステップと、(ヘ)高周波電界を印加することにより、高密度プラズマ形成領域にSi源イオン種が高密度に生成された高密度プラズマを生成し、第1及び第2の低密度プラズマ形成領域に低密度プラズマを生成し、Si源イオン種を介した表面反応によりシリコン酸化膜を堆積し、溝部を埋め込むステップとを含むことを要旨とする。
【0023】
本発明の第4の特徴に係る半導体装置の製造方法によれば、溝部(トレンチ)の表面反応に必要なSi源イオン種、即ちSiHx +(SiH3 +、SiH2 +、SiH+、Si+)の密度を、Si源中性ラジカル種、即ちSiHx(SiH3、SiH2、SiH、Si、SiO)の密度に比して増大させることが出来る。即ち、基板表面の反応サイトにおいて、Si源中性ラジカル種のフラックスに比してSi源イオン種のフラックスを増大出来る。この為、微細な溝部(トレンチ)に対する異方性成膜特性が改善され、シリコン酸化膜の埋め込み特性が向上する。したがって、アスペクト比5程度で、トレンチの溝幅の微細化が95nm〜130nmまで進んだ場合でも、優れた埋め込み特性を発揮することが出来る。この結果、配線間に空間を残すことなく、良好なシリコン酸化膜の埋め込みが出来るので、その後の工程(ウエット洗浄処理等)における歩留まりが著しく向上し、半導体装置の信頼性が向上する。更に、第4の特徴に係る半導体装置の製造方法によれば、過剰なAr+,O+,O2 +等によるスパッタが抑制されるので、プラズマCVDにおける埋め込み特性が向上する。Ar+,O+,O2 +等の過剰なエネルギーや過剰なフラックスを制御出来るので、シリコン酸化膜のプラズマCVDにおいては、隣の配線上の成膜の傾斜部からたたき出されたスパッタ種に起因する異常な成膜を抑制し、オーバーハング形状等の発生を回避出来る。又、プラズマ密度の面内分布、イオン種密度の面内分布が均一化するので、膜厚均一性に優れ、半導体装置の製造歩留まりが高くなる。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して、本発明の第1〜第3の実施の形態を説明する。本発明は、ICP型、HWP型、ECR型、マグネトロン放電型、表面波励起型等の種々の高密度プラズマを利用して基板(被処理基体)を処理する方法及び装置に適用可能であるが、以下の第1〜第3の実施の形態においては、ICP型高密度プラズマ処理装置について例示的に説明する。又、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0025】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るプラズマ処理装置は、真空排気可能な反応室(1,2)と、この反応室(1,2)内に配置された、基板5を配置するための基板ホルダ(4a,4b,4c,4d)と、反応室(1,2)に接続された、反応室(1,2)内を減圧にする真空排気配管13と、斜め上方向を向いた複数本の第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・と、水平方向を向いた複数の第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・・と、反応室(1,2)の内部にプラズマを生成するための高周波電界印加手段(3,6)とを少なくとも有するICP型高密度プラズマ処理装置である。反応室(1,2)はステンレス等の耐腐食性金属からなる容器基体(ベース)1と、この容器基体1の上部のフランジに密閉構造で接続された誘電体容器2とから構成されている。誘電体容器2は、例えば、半透明石英(SiO2)や不透明アルミナ(Al2O3)で構成されている。基板ホルダ(4a,4b,4c,4d)は、金属製の埋め込み電極4dと、この埋め込み電極4dを囲んだ、絶縁性材料で構成された基板ホルダ上部4a及び基板ホルダ下部4bとで構成され、更に基板ホルダ支持部4cにより容器基体1に固定されている。埋め込み電極4dには、例えば13.56MHzのRFバイアス電源7が図示を省略したブロッキングコンデンサを介して接続されている。埋め込み電極4dには、バイアス電源7の他に、静電チャック用のDC電源を接続しても良い。更に、図示を省略しているが、基板温度制御用のガス冷却手段等を基板ホルダ(4a,4b,4c,4d)の内部に収納している。複数本の第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・は、反応室(1,2)の側壁部に根本部が配置され、側壁部から反応室(1,2)の頂部方向に噴射方向が設定されている。この第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・からは、基板5の表面反応に必要な第1イオン種を生成する化合物ガスのみから実質的に構成された第1のガスが反応室(1,2)内に導入される。更に、誘電体容器2の頂部中央部に設けられた頂部ノズル921からも、第1のガスが反応室(1,2)内に導入される。第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・・及び頂部ノズル921の先端は直径0.1mm〜0.8mm程度のオリフィスが設けられていて、第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・及び頂部ノズル921の前には超音速領域、或いは亜音速領域が生成される。第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・には、ガス配管81が接続され、ガス配管81には、図示を省略した第1のガスの導入量を制御するマスフローコントローラ等の導入ガス制御バルブが設けられている。図示を省略しているが頂部ノズル921にも、第1のガスの導入量を制御する制御手段を具備したガス配管が接続されている。
【0026】
一方、第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・・は、第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・の根本部よりと実質的に同一水平レベル、若しくは第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・の根本部より基板5寄りの水平位置の側壁部に根本部が配置されている。即ち、第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・・の付け根は、第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・の根本部よりも下方にあっても良い。第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・・からは、第1イオン種より成膜若しくはエッチングされる物質に対するスパッタ効率の高い第2イオン種を生成する原料となる第2のガスが反応室(1,2)内に導入される。第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・・の先端は、第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・と同様に、直径0.1mm〜0.8mm程度のオリフィスが設けられており、ノズル前には超音速領域、或いは亜音速領域が生成される。第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・・には、図示を省略したガス配管が接続され、ガス配管には、第21のガスの導入量を制御するマスフローコントローラ等の導入ガス制御バルブが設けられているのは、第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・と同様である。なお、第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・、頂部ノズル921及び第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・・のオリフィス径は、ガスの到達、混合を助長するために、0.2mm〜0.6mm程度であることがより好ましい。
【0027】
優れた反応の均一性を確保するためには、第1イオン種の分布を決定する第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・の本数が多いことが重要になる。なぜなら、全体のノズル本数が多くなると、ノズルから出るガス噴流間の干渉が起こり、この干渉によって基板5方向にガスが逃げ、膜厚分布は悪化する。したがって、図2に示すように、膜厚分布にあまり影響を与えない第2のガスを導入する水平方向を向いた第2ノズル901,902,・・・・・,906の本数は少なく、表面反応に必要な第1イオン種を生成する化合物ガスのみから実質的に構成された第1のガスを導入する第1ノズル801,802,・・・・・,812の本数は増やすことが必要となる(図2のA−A方向に沿った断面図が図1に対応する。)。図2においては、第2ノズル901,902,・・・・・,906の本数が6本、第1ノズル801,802,・・・・・,812の本数が12本の例が示されているが、この本数に限定されないことは勿論である。要は、第2ノズル901,902,・・・・・,906の本数が第1ノズル801,802,・・・・・,812の本数より少なければ、目的とするプラズマ反応の種類や特性に応じて、ノズルの本数は適宜選択可能である。
【0028】
図示を省略するが、容器基体1にはダイヤフラム型の圧力計やその他の真空ゲージ等所定の圧力測定器が配置され、この圧力測定器の信号を用いて、自動的に反応室(1,2)内の圧力が制御出来るようになっている。真空排気配管13には、図示を省略するが、この圧力測定器の信号をフィードバックして制御する圧力制御バルブが接続され、更に圧力制御バルブには、排気速度2〜8m3/s程度のケミカル型ターボ分子ポンプ、拡散ポンプ、クライオポンプ、或いはメカニカルブースタポンプ等の真空排気系が接続されている。
【0029】
高周波電界印加手段(3,6)は、誘電体容器2の頂部近傍に設けられたRFコイル3と、このRFコイル3に高周波電力を供給する、例えば13.56MHzのRF電源6とから構成されている。RF電源6からの高周波出力は、図示を省略したマッチングボックスを介して、RFコイル3に供給される。高周波電界印加手段(3,6)は、第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・・が配置された位置と反応室(1,2)の頂部との間の空間にプラズマを生成する。一般に、反応室(1,2)内のプラズマ生成部には分布があり、RF電界が集中する高密度プラズマ形成領域11とその周辺の低密度プラズマ形成領域(12a,12b)が存在する(図1では、それぞれ「高密度プラズマ領域」11、「低密度プラズマ領域」(12a,12b)と略記している。)。ICP型、表面波励起プラズマ型等の高密度プラズマ処理装置でその分布は特に顕著になり、ICP型高密度プラズマ処理装置の場合、コイル3が設置される誘電体容器2の近傍、基板5に対して上方に高密度プラズマ形成領域11(プラズマ中のイオン種密度、電子密度が高い領域)が存在しその周囲に低密度プラズマ形成領域(12a,12b)が存在する。
【0030】
図1においては、反応室(1,2)内において、基板5の表面の法線方向に、順に、基板5に隣接したイオン走行領域10、このイオン走行領域10に隣接した第1低密度プラズマ形成領域(図1では、「第1低密度プラズマ領域」と略記)12a、この第1低密度プラズマ形成領域12aに隣接した高密度プラズマ形成領域(図1では、「高密度プラズマ領域」と略記)11、及びこの高密度プラズマ形成領域11に隣接した第2低密度プラズマ形成領域(図1では、「第2低密度プラズマ領域」と略記)12bが生成されている。第1低密度プラズマ形成領域12aと第2低密度プラズマ形成領域12bとは、高密度プラズマ形成領域11を包み込むように誘電体容器2の側壁部近傍で互いに連続している。
【0031】
図1において、第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・のノズル長L1は、基板ホルダ(4a,4b,4c)と容器基体1との間のギャップ長L及び第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・の基板5に対する仰角(上向き角度)θ1、容器基体1の内径2R、基板5の半径rによって決まる次式:
R−r≧L1・cosθ1≧0.9L ・・・・・(1)
の範囲の値であることが好ましい。第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・の容器基体1の壁面における基板5からの高さ(以下において「ノズル付け根高さ」という。)H1は、容器基体1の内径を2R、基板5の半径r、反応室(1,2)の中央天井(頂部)の基板5からの高さH2とすれば、ノズル長L1及び仰角θ1から、
H=R−r―L1・cosθ1 ・・・・・(2)
を定義し、このHを用いて、
H2−L1・sinθ1−(R−L1・cosθ1)・tanθ1
≧H1≧H・tan(50−θ1)−L1・sinθ1 ・・・・・(3)
の範囲とするのが好ましい。
【0032】
又、第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・の基板5に対する仰角θ1は、反応室(1,2)の中央天井(頂部)の基板5からの高さH2、容器基体1の内径2R、ノズル付け根高さH1から、
H2―H1―L1・sinθ2=(R−L1・cosθ2)・tanθ2・・・・・(4)
の関係で求まる角度θ2、及び
H1+L1・sinθ3=(R−r−L1・cosθ3)・tan(50−θ3)・(5)の関係で求まる角度θ3を定義し、これらの角度θ2及び角度θ3を用いて、
θ2≧θ1≧θ3 ・・・・・(6)
の範囲とするのが好ましい。
【0033】
容器基体1の内径を2R=380mm、反応室(1、2)の中央天井(頂部)の基板5からの高さH2=140mm、基板ホルダ(4a,4b,4c,4d)と容器基体との間のギャップ長L=50mm、基板5の半径r=100mm(8インチウエハ)の場合、後述するように、埋め込み特性・面内膜厚均一性から第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・の仰角θ1は8°から30°の範囲が好ましい。
【0034】
式(1)〜式(6)を考慮すると、例えば、第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・の仰角θ1=8°の場合、91mm≧L1≧45mm、仰角θ1=30°の場合、103mm≧L1≧52mmの範囲のノズル長が好ましい。更に例えば、ノズル長L1=55mmとすると、仰角θ1=8°の場合、113mm≧H1≧24mm、仰角θ1=30°の場合、35mm≧H1≧−12mmのノズル付け根高さH1の範囲が好ましい。ここで、「マイナス」のノズル付け根高さH1は、文字通り、「基板5の表面よりも下側」という意味である。
【0035】
又、容器基体1の内径を2R=500mm、反応室(1、2)の中央天井(頂部)の基板5からの高さH2=160mm、基板ホルダ(4a,4b,4c,4d)と容器基体との間のギャップ長L=60mm、基板5の半径r=150mm(12インチウエハ)の場合、式(1)〜式(6)を考慮すると、例えば、第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・の仰角θ1=8°の場合、101mm≧L1≧54mm、θ1=30°の場合、115mm≧L1≧62mmの範囲のノズル長が好ましい。更に例えば、ノズル長L1=55mmとすると、仰角θ1=8°の場合、140mm≧H1≧45mm、仰角θ1=30°の場合、0≧H1≧−14mmのノズル付け根高さH1の範囲が好ましい。
【0036】
より具体的に、シリコン酸化膜(SiO2膜)をCVDする場合で説明すると、第1のガスとしてシリコン(Si)を含む化合物ガスを用いれば良い。例えばSiH4ガスを第1のガスとして、高密度プラズマ形成領域11を向いたノズル長L1=50mm、ノズル付け根高さH1=40mmの第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・から流量50sccmで導入する。一方、第2のガスとして、流量100sccmのO2ガス、或いはO2ガスとAr等の希ガスの混合ガスが採用可能である。この第2のガスを8インチウエハ(基板)5の基板表面に対して平行となっているノズル長L* 1=20mm、ノズル付け根高さH* 1=40mmの第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・・から導入すれば良い。そして、RF電源6から3kW程度のプラズマ生成用高周波電界を印加し、同時にバイアス電源7を用いて、1〜2kW程度のバイアス用高周波電界を印加すればプラズマが生成される。図1に示すように、SiH4を導入する第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・を上方に向けているので、高密度プラズマ形成領域11でのSiH4ガス濃度が高くなる。この結果、第1イオン種(SiH3 +、SiH2 +、SiH+、Si+)がイオン走行領域10を介して基板5の表面に到達し、基板5の表面において、第1イオン種(SiH3 +、SiH2 +、SiH+、Si+)を介した表面反応が促進され、基板5上にSiO2膜が堆積する。
【0037】
以下において、SiH4/Ar/O2ガス系を用いた高密度プラズマにより、基板5上にシリコン酸化膜(SiO2膜)を堆積する反応を、詳細に説明する。以下の説明では、添え字(s)、(g)、(d)は、それぞれ表面、気体、堆積膜状態を表すとする。即ち、SiO2膜のプラズマCVDにおいては、以下の5つの主反応が生じる。
【0038】
(a) 表面の酸化(OH基作成):
Si(s)-Hp+酸化剤→Si(s)-OHq+副生成物 ・・・・・(7)
ここで、p=1,2,3、q=1,2,3、酸化剤はO、O*、OH、副生成物はOH、H2Oである。
【0039】
(b) イオン種励起によるHの脱離(成膜表面サイトSi(s)-OH生成):
Si(s)-OHq+イオン種X+→Si(s)-OH+副生成物+X・・・・・(8)
ここで、q=1,2,3、イオン種X+はAr+、O+、O2 +、SixHy +、副生成物はH2、H2Oである。
【0040】
(c) Si源供給(表面の成膜サイトで成膜反応):
Si(s)-OH+Si源中性ラジカル種SiHx
→SiO2(d)+Si(s)-Hx+1 ・・・・・(9)
Si(s)-OH+Si源イオン種SiHx ++e
→SiO2(d)+Si(s)-Hx+1 ・・・・・(10)
ここで、Si源中性ラジカル種SiHxはSiH3、SiH2、SiH、Si、SiOであり、Si(s)-Hx+1はSi(s)-H、Si(s)-H2、Si(s)-H3であり、Si源イオン種SiHx +はSiH3 +、SiH2 +、SiH+、Si+である。
【0041】
(d)スパッタエッチング:
イオン種X++SiO2(d)→SiO2(g)+X ・・・・・(11)
ここで、イオン種X+はAr+、O+、O2 +、SixHy +である。
【0042】
(e) SiO2の直接成膜(スパッタ種の再付着、成膜):
SiO2(g)→SiO2(d) ・・・・・(12)
溝部への埋め込み特性は式(8)、式(10) に示されるイオン反応により改善され、式(9)、式(12)に示される反応により悪化される。本発明によれば、表面反応に必要な第1イオン種であるSi源イオン種SiHx +(SiH3 +、SiH2 +、SiH+、Si+)を増大させ、Si源中性ラジカル種SiHx(SiH3、SiH2、SiH、Si、SiO)密度を減少させ、更に、第2イオン種である非Si源イオン種(Ar+、O+、O2 +等)密度を減少させるために、式(10)に示されるイオン反応が促進され、式(9)で示される中性ラジカル種の反応及び式(12) (式(11)の反応が抑制されるため)で示されるSiO2膜に対するスパッタ反応が抑制される。そのため、従来方法では埋め込めなかった狭い配線間をSiO2膜で埋め込むことが可能となる。
【0043】
図4は、Si源イオン種密度のRFパワー依存性、及び(Si源イオン種密度/Si源中性ラジカル種密度)で定義されるSi源イオン種相対密度のRFパワー依存性を示す。図4は、ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・エンド・テクノロジー(J.Vac.Sci.Technol.),第A16巻,第2号,1998年に記載されたエレン・ミーク(Ellen Meeks)らの反応モデルを用いた反応シミュレーションの結果である。この反応シミュレーションは、完全混合槽(PSR)及び槽列モデルを解析するアプリケーションであるケミキン・アウロラ(Chemkin Aurora)を用いて計算した。図4に示すように、RFパワーが1kW以上では、RFパワーの増加とともに、Si源中性ラジカル種密度([SiHx]=[SiH3]+[SiH2]+[SiH]+[Si]+[SiO])はあまり変化しない一方、Si源イオン種密度([SiHx +]=[SiH3 +]+[SiH2 +]+[SiH+]+[Si+])は増大し続けることが分かる。その結果、図4に示すように、Si源イオン種相対密度(= Si源イオン種密度/Si源中性ラジカル種密度密度)は8kWまでは増大することが分かる。
【0044】
図5は、RFパワー3kWにおけるSi源イオン種密度のSiH4ガス濃度依存性、及びSi源イオン種相対密度のSiH4ガス濃度依存性を示す。SiH4ガス濃度は、[SiH4]/([SiH4]+[O2]+[Ar])で定義される。図5に示すように、SiH4ガス濃度の増大とともに、Si源中性ラジカル種(SiHx)密度、Si源イオン種(SiHx +)密度ともに増大するが、Si源中性ラジカル種密度が飽和状態になるため、SiH4ガス濃度0.4以上においてSi源イオン種相対密度は、急激に増大する。即ち、SiH4を噴出する第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・を斜め上方に向けたことより、高密度プラズマ形成領域11でのSiH4ガス濃度が高くなったことが分かる。この結果、Si基板5上の表面反応の反応速度(成長速度)を支配する第1イオン種(SiHx +)の、中性ラジカル種(SiHx)に対する密度比が、0.015〜0.025になり、Si源イオン種(第1のイオン種)の中性ラジカル種に対する相対密度が高くなっていることが分かる。
【0045】
図6は、RFパワー7kWにおけるSi源イオン種密度のSiH4ガス濃度依存性、及びSi源イオン種相対密度のSiH4ガス濃度依存性を示す。図6に示すように、SiH4ガス濃度の増大とともに、Si源中性ラジカル種(SiHx)密度、Si源イオン種(SiHx +)密度ともに増大するが、Si源中性ラジカル種密度が飽和状態になるため、SiH4ガス濃度0.4以上においてSi源イオン種相対密度は、急激に増大する。この結果、「第1のガスから生成された第1のイオン種(SiHx +)」の、「第1のガスから生成された中性ラジカル種(SiHx)」に対する密度比が、0.025〜0.045になり、Si源イオン種(第1のイオン種)の中性ラジカル種に対する相対密度が極めて高くなっていることが分かる。図5及び図6に示す結果を見れば、ガスにかかるRFパワー増大効果とSiH4ガス濃度増大効果の相乗効果により、Si源イオン種相対密度は高くなり、埋め込み限界が大きく改善されることが分かる。
【0046】
実際の、Si源中性ラジカル種、Si源イオン種の基板へのフラックスΓ(SiHx)、Γ(SiHx+)はそれぞれ、
Γ(SiHx) =(1/4)・[SiHx]・v(SiHx) ・・・・・(13)
Γ(SiHx +) =0.6・[SiHx +]・v(SiHx +) ・・・・・(14)
v(SiHx +)= (2・q・Vdc/mi)1/2 ・・・・・(15)
で示される。ここで、qは電気素量、xはイオン化数、miはイオンの質量、Vdcはセルフバイアス電圧、v(SiHx)は中性ラジカルの熱速度、v(SiHx +)はイオン種の基板入射速度である。典型的な一例をとると、Vdc=85V、温度T(gas)=700[K]の場合、v(SiH2)=660[m/s], v(SiH2 +)=22000[m/s]となり、Si源イオン種相対密度を約80倍したものがフラックス比となる。
【0047】
図7は、第1の実施の形態における埋め込み限界の向上を、第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・のノズル角度(仰角)θ1依存性として示す。図7中に示されるように、アスペクト比5程度では、従来例(θ1=0°)では140nm程度に埋め込み限界があったが、第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・のみを上向きにすることにより、溝部への埋め込み特性は大きく改善され、少なくとも8°≦θ1≦40°の範囲において、溝部の深さ400nm〜800nm程度において、溝幅110nm程度までは、簡単に埋め込み可能であることが分かる。図示を省略しているが、更に条件を最適化すると、溝部の深さ400nm〜800nm程度において、溝幅95nmまで埋め込み可能である。条件の最適化には、式(11)及び(12)で示されるAr+イオンによるスパッタ、再付着・成膜(反応)を防止するために、Arガス流量を下げること、或いはArガスをまったく流さないことが有効となる。
【0048】
一方、図7に示すように、膜厚均一性は第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・を上に向けたことにより、基板5周辺部でのSi源が減少して基板5周辺部でCVD膜の成長速度が低くなるため、膜厚均一性が大きく変化する。実用レベルとして、均一性が±8%以下になる条件を要求すれば、角度は8°≦θ1≦30°の範囲が好ましい。これらは、3sccm≦SiH4流量/ノズル1本≦7sccm、10sccm≦O2流量/ノズル1本≦26sccm、0sccm≦Ar流量/ノズル1本≦10sccmの範囲で有効となる。CVD膜の成長速度を落とさないため、又、SiO2膜の絶縁特性確保するために、O2ガス或いはO2/Ar混合ガスは、水平に向いた第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・・から、低密度プラズマ形成領域(12a,12b)に供給される。
【0049】
SiH4ガスの20%以下の流量となる少量であれば、キャリアガスとして、Ar等の希ガスも第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・からSiH4に混合しても良い。即ち、本発明においては、第1のガスに、「表面反応に必要なイオン種を生成する化合物ガス」に対して、流量比で20%以下のキャリアガス等の他のガスが混合されていても、「イオン種を生成する化合物ガスのみから"実質的"になる」と解釈可能である。いずれにせよ、優れた溝部への埋め込み特性と優れた膜厚均一性を両立させるために、これらのノズル配置においては、角度は8°≦θ1≦30°の範囲が有効となる。
【0050】
既に、式(1)〜(6)を用いて説明したように、均一性を確保しつつ溝部への埋め込み特性を向上させるためには、第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・のノズル長L1、ノズル付け根高さH1、角度θ1、基板5の大きさ(半径r)、プラズマ空間の大きさ、即ち反応室(1,2)大きさ(半径R)、誘電体容器2の天井から基板5の表面までの高さH2、基板ホルダ(4a,4b,4c,4d)と反応室(1,2)の側壁(胴)との間のギャップ長Lとの関係を最適化することが重要である。第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・の仰角θ1が、式(4)で定義される誘電体容器2の天井の中心を向く角度θ2よりも大きくなると、基板5の周辺部へのSi源供給が大きく減少し、膜厚均一性を確保出来なくなる。逆に仰角θ1が小さく、ガス噴流広がりが基板5に直接当たる方向を向いていると、基板5周辺部での溝部への埋め込み特性が悪化すると共に、膜厚が局所的に大きくなり、均一性が悪化する。ノズル付け根高さH1の上限についても同様な制限が加わる。又、ノズル長L1が短くなると排気側にガスが引っ張られ、原料効率が大きく悪化する。ノズル長L1が長すぎると、基板5の周辺部での膜厚均一性確保が困難になり、高密度プラズマによるノズル劣化の問題も発生する。
【0051】
本発明の第1の実施の形態に係る第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・を用いる場合、プロセスの合間、例えば基板5の搬送時等に微小パーティクルがノズル穴から入り込み、後の成膜プロセスでの安定性劣化となり得る。成膜時の原料ガスが流れている以外の時間において、希ガス、或いはN2等の不活性ガスを流すことが長期安定性確保のために必要となる。
【0052】
上記の説明では、SiO2膜のプラズマCVDにおける表面反応に必要な第1イオン種を生成する化合物ガスとして、SiH4ガスを例に説明したが、SiH4ガス以外でも、ジシラン(Si2H6)ガス等のSi水素化物、四塩化珪素(SiCl4)、トリクロロシラン(SiHCl3)、ジクロロシラン(SiH2Cl2)等のハロゲン化物、或いはテトラエチルシリケート(TEOS)等の有機ソースを第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・から導入し、O2ガス、CO2、N2O等の酸素を含むガスを水平方向を向いた第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・から導入することにより、溝部への埋め込み特性、膜厚均一性に優れたSiO2膜が成膜可能である。
【0053】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態ではICP型プラズマCVDを説明したが、第2の実施の形態ではプラズマエッチングを説明する。第2の実施の形態に係るプラズマエッチングに用いるプラズマ処理装置の構成は、実質的に図1及び図2に示す構成と同様である。但し、プラズマCVDとは導入するガスが異なり、特に、水平方向の第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・からは、基板5の表面反応に必要なラジカル種を生成する原料となる第2のガスを噴射する点が主なる相違点である。又、第1の実施の形態に係るプラズマCVD装置では、図示を省略したガス冷却手段が基板ホルダ(4a,4b,4c,4d)の内部に収納されていると説明したが、第2の実施の形態に係るプラズマエッチング装置では、基板5を冷却するための水冷配管が設けられている点が異なる。ウェハステージとなる基板ホルダ上部4aの冷却方法については、冷媒として液体窒素、液体ヘリウムやフロロカーボンを使っても構わない。他は、第1の実施の形態に係るICP型プラズマCVD装置と実質的に同様であるので、プラズマ処理装置の構造の重複した記載を省略する。
【0054】
ここでは、図1及び図2に示すICP型プラズマCVD装置を、プラズマエッチング装置として説明する。即ち、図1及び図2に示すプラズマ処理装置において、反応室(1,2)の第1低密度プラズマ形成領域12aに隣接した側壁部から高密度プラズマ形成領域11方向に向かって傾斜した方向に沿って、基板5の表面反応に必要、若しくは表面反応の反応速度(エッチング速度)を支配するイオン種(第1の実施の形態の「第1イオン種」に対応する。)を生成する化合物ガスのみから実質的に構成された第1のガスを噴射し、この第1のガスを噴射するステップと同時に、反応室(1,2)の第1低密度プラズマ形成領域12aに隣接した側壁部から基板5の表面に対して平行方向に基板5の表面反応(エッチング反応)に必要なラジカル種を生成する原料となる第2のガスを噴射することにより、第2の実施の形態に係るプラズマエッチングが実施出来る。そして、高密度プラズマ形成領域11、第1低密度プラズマ形成領域12a及び第2の低密度プラズマ形成領域12bに高周波電界を印加することにより、高密度プラズマ形成領域11にイオン種が高密度に生成された高密度プラズマが生成され、第1低密度プラズマ形成領域12a及び第2の低密度プラズマ形成領域12bに低密度プラズマが生成される。そして、生成されたイオン種及びラジカル種がイオン走行領域10を介して基板5の表面に到達し、基板5の表面において、イオン種及びラジカル種を介した表面反応によりプラズマエッチングが促進する。
【0055】
RIEにおいては、イオン種の異方性を用いて奥行き方向に長くエッチングを進めるが、アスペクト比の大きいトレンチやコンタクトホール、或いはバイアホールを開孔するためには、イオン種と中性ラジカル種の密度制御が重要となる。中性ラジカル種は、エッチング表面での反応層生成、及びエッチング中に現れる側壁保護のために用いられる。一般には、イオン種の生成量不足が発生する。
【0056】
具体的には、エッチング速度を支配するイオン種を生成する化合物ガスのみから実質的に構成された第1のガスとして、例えば、CH3 +イオンを生成しやすいハロゲン化アルキルのガス、例えば沃化メチル(CH3I)ガス、塩化メチル(CH3Cl)ガス、若しくはフッ化メチル(CH3F)ガスを用いる。一方、第2のガスとして、CF2ラジカルを生成しやすいパーフルオロカーボンのガス、例えばテトラフルオロエチレン(C2F4)ガス、若しくはパーフルオロソンクロブタン(C4F8)ガスを用いる。CH3Iガス等のハロゲン化アルキルを用いることでイオン種密度は増大するが、それでも不足が残る。第2の実施の形態に係るプラズマエッチング装置においては、ハロゲン化アルキルのガスを第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・から導入し、パーフルオロカーボンのガスを水平方向を向いた第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・から導入することにより、ハロゲン化アルキルの分解効率が上昇し、表面反応に不足するイオン種を増大させることが可能となる。その結果、開口幅が100nmレベルで、アスペクト比の大きなトレンチ、コンタクトホール、バイア・ホール等が高精度、且つ再現性良く、エッチング出来る。
【0057】
ハロゲン化アルキル/パーフルオロカーボン系以外でも、イオン種生成を目的とするガスを第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・から導入し、中性ラジカル種生成を目的とするガス、或いはイオン種生成目的以外のガスを水平方向を向いた第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・から導入することにより、同様に、アスペクト比の大きなトレンチ、コンタクトホール、バイア・ホール等が高精度、且つ再現性良く、エッチング出来る。
【0058】
(第3の実施の形態)
ノズルの仰角θ1を最適化することにより、増大するイオン量とラジカル量を制御することが可能となる。例えば、プラズマCVDにおいては、厳しい溝部への埋め込み特性を必要とする部分には第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・を用い、デポレートを優先するプロセスでは仰角θ1を小さくする、水平にする、或いは水平方向を向いた第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・からSiH4ガス等を導入することにより、高速プロセスが達成される。一つの成膜プロセス中でも、埋め込み後は仰角θ1を小さく変え、或いは水平方向を向いた第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・を用いて成膜レートを大きくし、スループットを稼ぐことも可能となる。
【0059】
エッチングにおいては、エッチング速度と異方性形状(エッチング形状)を制御が可能となる。
【0060】
角度調整機構は、第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・全体で同時に調節される機構と、1本1本個々に調節される機構がある。個々の制御機構の場合には、膜厚分布改善のために、ノズル個体差補正のために、微調整が可能となる。
【0061】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1〜第3の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0062】
第1の実施の形態においては、SiO2膜のプラズマCVDを例に説明したが、水平方向を向いた第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・から流すガスを、窒素(N2)ガス、アンモニア(NH3)ガス等の窒素を含む化合物ガス、或いは水素(H2)ガスに換えると、溝部への埋め込み特性、膜厚均一性に優れたシリコン窒化膜(Si3N4膜)或いはアモルファスシリコンa-SiH膜がプラズマ反応を用いて成膜可能となる。又、SiH4ガスと共に、第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・からモノゲルマン(GeH4)ガス、フッ化ゲルマニウム(GeF4)ガスを、第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・からメタン(CH4)ガス、エタン(C2H6)ガス、エチレン(C2H4)ガス、アセチレン(C2H2)ガス等のガスを導入することにより、溝部への埋め込み特性、膜厚均一性に優れたa-SiC、a-SiGe:H膜も成膜可能となる。
【0063】
更に、第1のガスとなる「表面反応に必要なイオン種(第1イオン種)を生成する化合物ガス」として6フッ化タングステン(WF6)を第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・から噴射し、第2のガスとして、SiH4ガス若しくはH2ガスを第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・から噴射すれば、タングステン(W)膜が堆積出来る。同様に、第1のガスとして4塩化チタン(TiCl4)ガスを第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・から噴射し、第2のガスとしてNH3ガス,H2ガス、若しくはN2ガスを第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・から噴射すれば、窒化チタン(TiN)膜が堆積出来る。この様にすれば、100nmレベルの微細なコンタクトホールやバイアホールへのW,TiN膜等の金属膜の埋め込み特性を改善し、電気伝導特性、信頼性、膜厚均一性に優れた金属配線が成膜可能である。この様に、イオン化を目的としたガスを第1ノズル801,・・・・・,807,・・・・・から導入し、その他のガスを水平方向を向いた第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・から導入することにより、種々のメタル膜、ダイヤモンド膜、セラミック膜、化合物半導体膜が堆積可能である。
【0064】
既に述べた第1〜第3の実施の形態の説明においては、プラズマCVD、プラズマエッチングの系で説明したが、これ以外のアッシング等の場合であっても、イオン化が必要なガスを高密度なプラズマ部に導入し、他の原料ガスを低密度なプラズマ領域に導入することにより、イオン種密度を増大させることが可能となる。
【0065】
又、容器基体1の前後に基板搬送ゲートバルブを介して真空予備室が配置するようにしても良い。こうすれば、基板5の搬送は、まず基板5を真空予備室(ロードロック室)内にセットし、真空予備室を真空排気後、基板搬送ゲートバルブを開け、セットされた基板5をローダーロボットアームにより容器基体1内に移す。次に基板ホルダ上部4a周辺に配置される基板受け渡しのためのピン上に移し、このピンを下げることで基板5を基板ホルダ上部4aにセットし、所定の静電チャック電圧を埋め込み電極に印加し、静電チャックで基板5をクランプするようにしても良い。
【0066】
なお、図1に示すようなプラズマ処理装置を用いれば、以下のような工程で半導体装置が製造可能である。
【0067】
(イ)まず、半導体基板(Si基板)5の表面を熱酸化し、300nm〜800nmの酸化膜を形成する。そして、フォトレジスト膜を酸化膜の表面にスピン塗布する。そして、フォトリソグラフィー技術により、フォトレジスト膜をパターニングする。そして、このフォトレジスト膜をマスクとして、RIEなどにより酸化膜をエッチングする。酸化膜をエッチング後、フォトレジスト膜を除去する。そして、パターニングされた酸化膜をマスクとして、半導体基板5の表面に、図3に示すような開口部の幅l2が95nm〜130nm、深さ400nm〜800nmの溝部を設ける。溝部形成後、エッチング用マスクとして用いた酸化膜を除去する。
【0068】
(ロ)次に、図1に示すプラズマ処理装置の容器基体1の側壁に、基板搬送ゲートバルブ(図示省略)を介して設けられた真空予備室(図示省略)の内部に、溝部を設けられた半導体基板5を配置する。そして、この真空予備室を真空排気後、基板搬送ゲートバルブを開け、真空予備室にセットされた半導体基板5をローダーロボットアームにより容器基体1内に移す。次に基板ホルダ上部4a周辺に配置される基板受け渡しのためのピン上に移し、このピンを下げることで半導体基板5を基板ホルダ上部4aにセットし、所定の静電チャック電圧を埋め込み電極に印加し、静電チャックで半導体基板5をクランプする。そして、ローダーロボットアームを戻し、基板搬送ゲートバルブを閉じる。この結果、反応室(1,2)内部に、半導体基板5が配置される。
【0069】
(ハ)次に、図1に示すプラズマ処理装置の真空排気配管13に接続された主ゲートバルブ(図示省略)を開け、反応室(1,2)内の圧力を、容器基体1に設けられた圧力測定器でモニタしながら、10-3Pa〜10-7Pa程度の所定の圧力に到達するまで真空排気する。この際、真空排気配管13に主ゲートバルブを介して接続されたケミカル型ターボ分子ポンプ等の真空排気ポンプを用いる。
【0070】
(ニ)所定の圧力に到達したら、基板温度制御用のガス冷却手段を用いて、半導体基板5の冷却を開始する。更に、図1に示すように、反応室(1,2)の側壁部に設けられ、第1低密度プラズマ形成領域12aに根本部を有し、先端部が高密度プラズマ形成領域11方向に向かう第1ノズル801,802,・・・・・,812を用い、基板表面の仰角θ1方向に、シリコンの水素化合物(SiH4)ガスを噴射する。この際、第1ノズル801,802,・・・・・,812に接続されたガス配管81の一部に設けられたマスフローコントローラ等の導入ガス制御バルブで、シリコンの水素化合物ガスの流量を制御する。又、真空排気配管13に接続された圧力制御バルブを利用してCVD圧力を制御する。
【0071】
(ホ)シリコンの水素化合物ガスを噴射するステップと同時に、図1に示す第1低密度プラズマ形成領域12aに設けられた第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・・を用いて、半導体基板5の表面に対して平行方向に、酸素ガス若しくは酸素の化合物ガスを噴射する。この際、第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・・に接続されたガス配管の一部に設けられた導入ガス制御バルブで、酸素ガス若しくは酸素の化合物ガスの流量を制御する。又、真空排気配管13に接続された圧力制御バルブを利用してCVD圧力を制御する。
【0072】
(ヘ)RF電源6からの、例えば13.56MHzの高周波電力をRFコイル3に供給し、高周波電界を印加することにより、高密度プラズマ形成領域11にSi源イオン種が高密度に生成された高密度プラズマを生成し、第1低密度プラズマ形成領域12a及び第2の低密度プラズマ形成領域12bに低密度プラズマを生成する。この際、図1に示す埋め込み電極4dには、RFバイアス電源7を用い、例えば13.56MHzのRFバイアスを印加する。この結果、Si源イオン種を介した表面反応により、シリコン酸化膜59が半導体基板5の表面に堆積し、図3(a)に示すように溝部が埋め込まれる。図3(a)は、埋め込みの途中の段階の模式図であるが、更に深さ400nm〜800nmの溝部が完全に埋まるまで堆積を続ける。
【0073】
(ト)溝部が完全に埋まれば、RF電源6及びRFバイアス電源7のスイッチを切り、更に第1ノズル801,802,・・・・・,812及び第2ノズル901,・・・・・,905,・・・・・からのガス供給を停止する。そして、図1に示すプラズマ処理装置の真空排気配管13に接続された主ゲートバルブ(図示省略)を閉じ、容器基体1の側壁に設けられた基板搬送ゲートバルブ(図示省略)を介して、真空予備室(図示省略)の半導体基板5を戻す。そして、基板搬送ゲートバルブを閉じた後、真空予備室の窓を開け、半導体基板5を大気中に取り出す。
【0074】
(チ)この後、必要に応じて化学的機械研磨(CMP)等を用いて、シリコン酸化膜59の表面を平坦化する。この後は、フォトリソグラフィー技術を駆使した選択的イオン注入等の周知の半導体製造プロセスであるので、説明を省略する。
【0075】
この様に、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、100nmレベルの微細な溝部への埋め込み特性やエッチング特性が大きく改善され、膜厚均一性も良好になる。
【0077】
この結果、100nmレベルの微細な配線間の溝部、コンタクトホール(バイアホール)やSTIトレンチの埋め込み及びエッチングが可能となり、超高速・低消費電力の半導体デバイス、或いはギガスケールの超高密度半導体集積回路(GSI)の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプラズマ処理装置の概略を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るプラズマ処理装置のガスノズルの配置の概略を示す上面図である。
【図3】図3(a)は、Arイオンのフラックスが少ない場合、図3(b)は、Arイオンのフラックスが多い場合における溝部への酸化膜の埋め込み特性を示す模式的な断面図である。
【図4】RFパワーとSi源中性ラジカル種密度との関係、及びRFパワーとSi源イオン種相対密度との関係を示す図である。
【図5】RFパワー3kWにおけるSiH4ガス濃度とSi源中性ラジカル種密度との関係、SiH4ガス濃度とSi源イオン種相対密度との関係を示す図である。
【図6】RFパワー7kWにおけるSiH4ガス濃度とSi源中性ラジカル種密度との関係、SiH4ガス濃度とSi源イオン種相対密度との関係を示す図である。
【図7】ノズルの角度と膜厚の均一性の関係、及びノズルの角度と埋め込み限界幅の関係を示す図である。
【図8】従来のプラズマCVD装置の概略を示す断面図である。
【符号の説明】
1 容器基体(ベース)
2 誘電体容器
3 RFコイル
4a 基板ホルダ上部
4b 基板ホルダ下部
4c 基板ホルダ支持部
4d 埋め込み電極
5 基板
6 RF電源
7 バイアス電源
10 イオン走行領域
11 高密度プラズマ形成領域(高密度プラズマ領域)
12a 第1低密度プラズマ形成領域(第1低密度プラズマ領域)
12b 第2低密度プラズマ形成領域(第2低密度プラズマ領域)
13 真空排気配管
59 シリコン酸化膜(SiO2膜)
61 スパッタ種による成膜
62 オーバーハング
81 ガス配管
801,・・・・・,807,・・・・・ 第1ノズル
901,・・・・・,905,・・・・・ 第2ノズル
921 頂部ノズル
Claims (7)
- 反応室内に基板を配置し、前記反応室の頂部と前記基板の間に、前記基板に隣接したイオン走行領域、該イオン走行領域に隣接した第1低密度プラズマ形成領域、該第1低密度プラズマ形成領域に隣接した高密度プラズマ形成領域、及び該高密度プラズマ形成領域と前記反応室の頂部に挟まれた第2低密度プラズマ形成領域を位置させ、前記高密度プラズマ形成領域のプラズマを用いた前記基板の表面反応により、前記基板上に成膜若しくは前記基板をエッチングする方法であって、
前記反応室内に前記基板を配置するステップと、
前記反応室内を減圧にするステップと、
前記反応室の側壁部に設けられ、前記第1低密度プラズマ形成領域に根本部を有し、先端部が前記高密度プラズマ形成領域方向に向かうノズルを用い、前記基板表面の仰角方向に、前記表面反応に必要な第1イオン種を生成する化合物ガスのみから実質的になる第1のガスを噴射するステップと、
前記第1のガスを噴射するステップと同時に、前記第1低密度プラズマ形成領域において、前記基板の表面に対して平行方向に、前記成膜若しくはエッチングされる物質に対するスパッタ効率が、前記第1イオン種より高い第2イオン種を生成する第2のガスを噴射するステップと、
前記高密度プラズマ形成領域、第1及び第2の低密度プラズマ形成領域に高周波電界を印加することにより、前記高密度プラズマ形成領域に前記第1イオン種が高密度に生成された高密度プラズマを生成し、前記第1及び第2の低密度プラズマ形成領域に低密度プラズマを生成し、前記第1イオン種を前記イオン走行領域を介して前記基板の表面に到達させ、前記第1イオン種による前記表面反応を生じさせるステップ
とを含み、前記第1イオン種の前記第1のガスから生成された中性ラジカル種に対する密度比が、0.01〜0.045であることを特徴とするプラズマ処理方法。 - 反応室内に基板を配置し、前記反応室の頂部と前記基板の間に、前記基板に隣接したイオン走行領域、該イオン走行領域に隣接した第1低密度プラズマ形成領域、該第1低密度プラズマ形成領域に隣接した高密度プラズマ形成領域、及び該高密度プラズマ形成領域と前記反応室の頂部に挟まれた第2低密度プラズマ形成領域を位置させ、前記高密度プラズマ形成領域のプラズマを用いた前記基板の表面反応により、前記基板上に成膜若しくは前記基板をエッチングする方法であって、
前記反応室内に前記基板を配置するステップと、
前記反応室内を減圧にするステップと、
前記反応室の側壁部に設けられ、前記第1低密度プラズマ形成領域に根本部を有し、先端部が前記高密度プラズマ形成領域方向に向かうノズルを用い、前記基板表面の仰角方向に、前記表面反応に必要な第1イオン種を生成するハロゲン化アルキルのガスを噴射するステップと、
前記ハロゲン化アルキルのガスを噴射するステップと同時に、前記第1低密度プラズマ形成領域において、前記基板の表面に対して平行方向に、前記成膜若しくはエッチングされる物質に対するスパッタ効率が、前記第1イオン種より高い第2イオン種を生成するパーフルオロカーボンのガスを噴射するステップと、
前記高密度プラズマ形成領域、第1及び第2の低密度プラズマ形成領域に高周波電界を印加することにより、前記高密度プラズマ形成領域に前記第1イオン種が高密度に生成された高密度プラズマを生成し、前記第1及び第2の低密度プラズマ形成領域に低密度プラズマを生成し、前記第1イオン種を前記イオン走行領域を介して前記基板の表面に到達させ、前記第1イオン種による前記表面反応を生じさせるステップ
とを含むことを特徴とするプラズマ処理方法。 - 反応室内に基板を配置し、前記反応室の頂部と前記基板の間に、前記基板に隣接したイオン走行領域、該イオン走行領域に隣接した第1低密度プラズマ形成領域、該第1低密度プラズマ形成領域に隣接した高密度プラズマ形成領域、及び該高密度プラズマ形成領域と前記反応室の頂部に挟まれた第2低密度プラズマ形成領域を位置させ、前記高密度プラズマ形成領域のプラズマを用いた前記基板の表面反応により、前記基板上に成膜若しくは前記基板をエッチングする方法であって、
前記反応室内に前記基板を配置するステップと、
前記反応室内を減圧にするステップと、
前記反応室の側壁部に設けられ、前記第1低密度プラズマ形成領域に根本部を有し、先端部が前記高密度プラズマ形成領域方向に向かうノズルを用い、前記基板表面の仰角方向に、前記表面反応に必要なイオン種を生成する化合物ガスのみから実質的になる第1のガスを噴射するステップと、
前記第1のガスを噴射するステップと同時に、前記第1低密度プラズマ形成領域において、前記基板の表面に対して平行方向に、前記基板の表面反応に必要なラジカル種を生成する原料となる第2のガスを噴射するステップと、
前記高密度プラズマ形成領域、第1及び第2の低密度プラズマ形成領域に高周波電界を印加することにより、前記高密度プラズマ形成領域に前記イオン種が高密度に生成された高密度プラズマを生成し、前記第1及び第2の低密度プラズマ形成領域に低密度プラズマを生成し、前記イオン種を前記イオン走行領域を介して前記基板の表面に到達させ、前記イオン種及びラジカル種による前記表面反応を生じさせるステップ
とを含み、前記第1イオン種の前記第1のガスから生成された中性ラジカル種に対する密度比が、0.01〜0.045であることを特徴とするプラズマ処理方法。 - 前記第1のガスは、金属の水素化合物ガス、金属のハロゲン化合物ガス、金属の有機化合物ガス、半導体の水素化合物ガス、半導体のハロゲン化合物ガス、半導体の有機化合物ガスからなるグループから選ばれるガスであり、
前記第2のガスは、希ガス、水素ガス、窒素ガス、窒素の化合物ガス、酸素ガス、酸素の化合物ガスからなるグループから選ばれるガスであることを特徴とする請求項1又は3に記載のプラズマ処理方法。 - 前記第1のガスはシリコンの水素化合物ガス、前記第2のガスは、酸素ガス若しくは酸素の化合物ガスであることを特徴とする請求項1又は3に記載のプラズマ処理方法。
- 反応室内に基板を配置し、前記反応室の頂部と前記基板の間に、前記基板に隣接したイオン走行領域、該イオン走行領域に隣接した第1低密度プラズマ形成領域、該第1低密度プラズマ形成領域に隣接した高密度プラズマ形成領域、及び該高密度プラズマ形成領域と前記反応室の頂部に挟まれた第2低密度プラズマ形成領域を位置させ、前記高密度プラズマ形成領域のプラズマを用いた前記基板の表面反応により、前記基板上に成膜若しくは前記基板をエッチングする方法であって、
前記反応室内に前記基板を配置するステップと、
前記反応室内を減圧にするステップと、
前記反応室の側壁部に設けられ、前記第1低密度プラズマ形成領域に根本部を有し、先端部が前記高密度プラズマ形成領域方向に向かうノズルを用い、前記基板表面の仰角方向に、前記表面反応に必要なイオン種を生成するハロゲン化アルキルのガスを噴射するステップと、
前記ハロゲン化アルキルのガスを噴射するステップと同時に、前記第1低密度プラズマ形成領域において、前記基板の表面に対して平行方向に、前記基板の表面反応に必要なラジカル種を生成する原料となるパーフルオロカーボンのガスを噴射するステップと、
前記高密度プラズマ形成領域、第1及び第2の低密度プラズマ形成領域に高周波電界を印加することにより、前記高密度プラズマ形成領域に前記イオン種が高密度に生成された高密度プラズマを生成し、前記第1及び第2の低密度プラズマ形成領域に低密度プラズマを生成し、前記イオン種を前記イオン走行領域を介して前記基板の表面に到達させ、前記イオン種及びラジカル種による前記表面反応を生じさせるステップとを含むことを特徴とするプラズマ処理方法。 - プラズマを用いた表面反応により、基板上に成膜若しくは基板をエッチングする装置であって、
真空排気可能な反応室と、
前記基板を配置するための、前記反応室内に配置された基板ホルダと、
前記反応室の側壁部に根本部が配置され、前記側壁部から前記反応室の頂部方向に噴射方向が設定され、前記表面反応に必要な第1イオン種を生成する化合物ガスのみから実質的になるハロゲン化アルキルのガスを前記反応室内に導入するための複数本の第1ノズルと、
前記第1ノズルの根本部と実質的に同一水平レベル、若しくは前記第1ノズルの根本部より前記基板寄りの水平位置に配置され、前記基板の表面に平行方向の噴射方向を有し、前記第1ノズルよりも本数が少なく、前記成膜若しくはエッチングされる物質に対するスパッタ効率が前記第1イオン種より高い第2イオン種を生成する原料、若しくは前記基板の表面反応に必要なラジカル種を生成する原料となるパーフルオロカーボンのガスを前記反応室内に導入するための第2ノズルと、
前記第1ノズルが配置された位置と前記反応室の頂部との間の空間に前記第1イオン種が高密度に生成された高密度プラズマを生成するための高周波電界印加手段とを含むことを特徴とするプラズマ処理装置。
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