JP4744035B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、プラズマ処理用の真空チャンバを具えたプラズマ処理装置に関し、詳しくは、プラズマ処理のために可変バルブにて真空チャンバ内の真空圧力を調整するとともに真空チャンバ内に高周波電力を供給することも行うプラズマ処理装置に関する。
プラズマ処理装置としては、プラズマエッチャーや,プラズマCVD,プラズマアッシャー等が典型的であるが、その他のプラズマリアクタ等も該当する。
プラズマ処理の対象物としては、シリコンウエハや,プラスチックフィルム等の基板ものが典型的であるが、その他の被処理物も対象となる。
【0002】
【従来の技術】
図2に記号図等を示したプラズマ処理装置は、基板1をプラズマに曝して処理するものであり、そのために、プラズマを発生可能に構成された又はプラズマを導入可能に構成された真空チャンバ2を具えている(特開平10−294307号公報など参照)。真空チャンバ2には処理対象の基板1を保持するためのサセプタ3が設けられており、このサセプタ3が電極を兼ねる場合には、そのサポート3aの中を通した配線4aを介して、13.56MHz等の高周波電力が真空チャンバ2外の高周波電源4から真空チャンバ2内のサセプタ3に供給されるようになっている。サセプタ3及びサポート3aには、基板1の搬入搬出時にそれを上下させるリフタ駆動機構5や、ヘリュウム等の冷却ガスを供給したり或いは真空チャック用の負圧吸引力を伝える流路6等も組み込まれている(特開平11−149995号公報,特開2000−3953号公報など参照)。
【0003】
また、真空チャンバ2には、プラズマ形成等に必要な真空状態を確保するために、排気用の大きな開口2aが貫通形成され、そこに大形のバルブ7を介在させて真空ポンプ8が真空吸引可能に連通接続される。バルブ7には、開度を変えられる可変バルブが採用されて、真空チャンバ2から真空ポンプ8への排気量が調整しうるようになっている。さらに、その調整をプロセスレシピ等に基づいて自動制御する場合には、マイクロプロセッサ等からなるコントローラ9が付設され、レシピ等で指定された真空圧力を制御目標とし且つ真空圧計9aの出力をフィードバック信号としてコントローラ9がバルブ7の開度を適切な状態に制御するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のプラズマ処理装置では、基板保持も行う電極(サセプタ3)の支持部(サポート3a)の中に、多くのものを納めるようになっているため、しかも相互の干渉を避けて納めなければならないため、電極周りの設計が面倒で負担が重いうえ、製造や組立も煩雑で厄介なものとなる。
そこで、基板保持部に電極を兼ねさせるべくそこへの高周波電力の供給を可能とするに際し、面倒な電極支持部への格納を増やすことなく簡便に高周波電力供給用の配線4aを実装できるようにすることが、技術的な課題となる。
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、高周波電力供給に関する設計等が楽なプラズマ処理装置を実現することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために発明された第1乃至第2の解決手段について、その構成および作用効果を以下に説明する。
【0006】
[第1の解決手段]
第1の解決手段のプラズマ処理装置は、出願当初の請求項1に記載の如く、プラズマ処理用の真空チャンバと、その排気口(真空吸引用貫通開口)に接続され又はそれに連通する排気路(真空吸引路)に介挿して設けられた排気調整用の可変バルブと、その外部から内部へ高周波電力を供給するための配線とを備えたプラズマ処理装置において、前記配線が前記バルブを貫通して設けられている、というものである。
【0007】
このような第1の解決手段のプラズマ処理装置にあっては、高周波を供給するための配線が、排気調整用の可変バルブを貫通してなされていることから、真空チャンバ壁のところでは排気口を通過させるだけで済む。しかも、そのようなバルブの接続される排気口は一般に電極支持部と異なるところに形成されているので、配線は設計負担や製造負担の重い電極支持部を迂回して行われることとなる。
したがって、この発明によれば、高周波電力供給に関する設計等が楽なプラズマ処理装置を実現することができる。
【0008】
[第2の解決手段]
第2の解決手段のプラズマ処理装置は、出願当初の請求項2に記載の如く、上記の第1の解決手段のプラズマ処理装置であって、前記バルブが次のようになったものである。すなわち、前記バルブは、一端が解放され他端が閉塞されている外筒と、両端が解放されている内筒とを具えていて、前記外筒に前記内筒が回転可能に納められ、且つ、前記配線の貫通部位が前記外筒の閉塞端面に来ている、というものである。
【0009】
このような第2の解決手段のプラズマ処理装置にあっては、高周波供給用配線が、バルブの内筒の内腔を通過するので、可動部材とは全く干渉しない。
これにより、バルブを貫通した配線が容易かつ確実に具体化される。
したがって、この発明によれば、高周波電力供給に関する設計等が楽なプラズマ処理装置を容易かつ確実に実現することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
このような解決手段で達成された本発明のプラズマ処理装置について、これを実施するための幾つかの形態を説明する。
【0011】
本発明の第1の実施形態は、上述した解決手段のプラズマ処理装置であって、前記外筒の側周壁に貫通形成された開口と前記内筒の側周壁に貫通形成された開口との重なり具合が前記内筒の回転状態に応じて変化するようなものに前記バルブがなっている、というものである。
これにより、内筒を回転駆動することで容易に、バルブの開度ひいては排気の状態を調整することができる。
【0012】
本発明の第2の実施形態は、上述した解決手段および実施形態のプラズマ処理装置であって、前記内筒がそれより小径の回転伝動部材により回転駆動されるようになっている、というものである。
これにより、回転伝動に随伴して回転速度の減速まで行われる。
【0013】
このような解決手段や実施形態で達成された本発明のプラズマ処理装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例により説明する。
なお、その図示に際し従来と同様の構成要素には同一の符号を付して示したので、重複する再度の説明は割愛し、以下、従来との相違点を中心に説明する。
【0014】
【実施例】
本発明のプラズマ処理装置の実施例について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1(a)は、その全体構造を示す一部縦断面図併用の記号図であり、従来例の図2に対応している。また、図1(b)は、そのうちの排気調整用可変バルブの詳細構造を示す斜視図である。
【0015】
このプラズマ処理装置が既述した従来例の装置と相違するのは、排気調整用の可変バルブとしてバルブ7に代えて新たなバルブ70が導入された点と、高周波電源4からサセプタ3へ高周波電力を供給するための配線4aがサポート3aでなくバルブ70を貫通するようになった点である。
【0016】
バルブ70は、外筒71と内筒72とを具えた二重環構造をしており、内筒72が外筒71の内腔に同心で回転可能に納められたものである。
外筒71は、上端が解放されて流入ポート7aとなっており、下端が閉塞端面71bとなっている。その閉塞端面71bには、コントローラ9にて制御される電動モータ7cと、サポート3aのところから移ってきた配線4aとが、気密性を損なうことなく装着されている。また、外筒71の側周壁には大きな開口71aが貫通形成され、そこから突き出た分岐管74の先端が流出ポート7bとなっている。
【0017】
内筒72は、両端の解放された筒体からなり、その側周壁には開口72aが貫通形成されている。この開口72aの位置や大きさが外筒71のそれに対応していて、両開口71a,72aの重なり具合が外筒71内での内筒72の回転状態に応じて広がったり狭まったり変化するようになっている。また、内筒72には、電動モータ7cの出力軸に連結された小歯車73と接触する部位に歯形が刻まれており、内筒72は電動モータ7c及び小歯車73によって回転駆動される。小歯車73には内筒72より小径のものが採用されて、回転が伝動時に減速されるようになっているが、それでは減速しきれないときには、適宜な減速ギヤ等も装着される。
【0018】
このような可変バルブ70の外筒71の閉塞端面71bのうちで、内筒72と干渉するおそれのないところ、例えばその中央を貫通して、配線4aは、上下に延びている。その上側は流入ポート7a及び開口2aを経てサセプタ3に至り、下側はブロッキングキャパシタ等を介して高周波電源4に達する。なお、配線4aには、適宜なシールドを施した同軸ケーブル等が採用される。
【0019】
このような構成のプラズマ処理装置について、その使用態様及び動作を説明する。
【0020】
バルブ7に代えてバルブ70を使用するには、互換性のある流入ポート7a及び流出ポート7bのところを接続し直せば良いので、簡単に行える。
また、配線4aは、真空チャンバ2の上蓋等を開けた状態で、開口2aから引き上げてサセプタ3に接続し、内筒72の回転を妨げないよう余分な弛み等を無くしておけば良い。
【0021】
そうすると、バルブ70における開度調整が内筒72の回転に依存して行われるが、その回転は電動モータ7cにて駆動されるので、また、バルブ70を貫通している配線4aを介して高周波電源4からサセプタ3へ高周波電力が供給されるが、その配線4aがバルブ70等の動作を妨げることは無いので、装置全体としては従来通りの使い方および動作結果が得られる。
【0022】
したがって、このプラズマ処理装置にあっては、新たなバルブ70の導入により、使い勝手や機能を何ら損なうことなく、配線4aの引き回し箇所がサポート3aのところから排気用に必須で既存の開口2aのところへ移し変えられたものとなっている。そして、その結果、サセプタ3周りの部材配置等に関する設計時や製造時の負担が軽減されている。
【0023】
【その他】
なお、上記の各実施例では、基板の処理に好適な平行平板形の対向電極を具えたものを図示したが、電極構造等はそれに限られるものでなく、本発明は、種々の形態の真空チャンバ等に適用可能である。例えば、被処理物を挟持や真空チャック等にて横や斜めから保持するようになっていても良い。
また、電動モータ7cから内筒72への回転伝動も、上述したギヤ伝動に限らず、他の伝動方式たとえば摩擦伝動でも良い。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の解決手段のプラズマ処理装置にあっては、可変バルブを貫通させて配線することにより、電極支持部が迂回され、その結果、高周波電力供給に関する設計等が楽なプラズマ処理装置を実現することができたという有利な効果が有る。
【0025】
また、本発明の第2の解決手段のプラズマ処理装置にあっては、配線が可動部材と干渉せずにバルブを貫通し易いようにしたことにより、高周波電力供給に関する設計等が楽なプラズマ処理装置を容易かつ確実に実現することができたという有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のプラズマ処理装置の一実施例について、(a)が全体構造を示す一部縦断面図併用の記号図であり、(b)が排気調整用可変バルブの斜視図である。
【図2】 従来のプラズマ処理装置の全体構造を示す一部縦断面図併用の記号図である。
【符号の説明】
1 基板(被処理物、プラズマ処理対象物)
2 真空チャンバ(プロセスチャンバ)
2a 開口(排気口、真空吸引用貫通開口)
3 サセプタ(電極兼用の基板乗載部、被処理物保持可能な電極)
3a サポート(サセプタ基部、サセプタ脚部、電極支持部)
4 高周波電源(RF電源)
4a 配線(RFケーブル、高周波電力供給用の配線)
5 リフタ駆動機構
6 流路(冷却用給気路、真空チャック用吸気路)
7 バルブ(排気調整用の可変バルブ)
7a 流入ポート(排気流入部)
7b 流出ポート(排気流出部)
7c 電動モータ(回転駆動手段)
8 真空ポンプ
9 コントローラ(制御演算手段)
9a 真空圧計
70 バルブ(排気調整用の可変バルブ)
71 外筒
71a 開口(側周壁の貫通開口、開度変更部)
71b 閉塞端面
72 内筒
72a 開口(側周壁の貫通開口、開度変更部)
73 小歯車(回転伝動部材)
74 分岐管

Claims (2)

  1. 高周波電力供給用の配線が真空チャンバの排気調整用可変バルブを貫通しているプラズマ処理装置。
  2. 前記可変バルブが、一端のみ解放した外筒に両端解放の内筒を回転可能に納めたものであり、前記配線の貫通部位が前記外筒の閉塞端面であることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
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